JP4692015B2 - 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4692015B2 JP4692015B2 JP2005045801A JP2005045801A JP4692015B2 JP 4692015 B2 JP4692015 B2 JP 4692015B2 JP 2005045801 A JP2005045801 A JP 2005045801A JP 2005045801 A JP2005045801 A JP 2005045801A JP 4692015 B2 JP4692015 B2 JP 4692015B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- ferrite
- phase
- rolling
- hot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
このような要求に応えるものとして、フェライトとマルテンサイトからなる複合組織を有する鋼板(以下、DP鋼板と呼ぶ)や、フェライト、ベイナイト、残留オーステナイトからなる複合組織を有する鋼板(以下、変態誘起塑性型鋼板と呼ぶ)が開発されてきた。
一方、変態誘起塑性型鋼板は、変形時に残留オーステナイトがマルテンサイトに変態することで高延性を示し、TS×Elは20000MPa・%を超えることが可能である。
しかしながら、この技術では、穴拡げ率が高々73%(d/d0=1.73)程度しか得られておらず、自動車用足回り部品としては適用が限定されるという問題があった。
しかしながら、この技術に従い、仕上圧延機の後段において鋼板を加熱するための設備をスタンド間に設置したとしても、ライン速度が1000 mpm(時速:60km)の高速で通板する鋼板を1000mm以上の全幅にわたって短時間で均一に加熱することは、実機では困難であり、鋼板の幅方向、長手方向での材質ばらつきの要因となる。
この技術の開発により、従来よりも強度と延性−伸びフランジ性バランスが格段に向上し、自動車用材などの用途において大きな期待が寄せられている。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.5〜2.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.1%以下、Al:0.10%以下、S:0.003%以下およびTi:0.05〜0.3%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、主相としてフェライト、第2相として主にベイナイトおよび残留オーステナイトからなる鋼組織を有し、
鋼組織全体に対する上記主相フェライトの体積占有率が60%以上、鋼組織全体に対する上記第2相の体積占有率が10%以上で、かつ鋼組織全体に対する第2相中の残留オーステナイトの体積占有率が8%以上、ベイナイトおよび残留オーステナイト以外の鋼組織の体積占有率が5%以下であり、
主相フェライト中において結晶粒径が4μm 以下のものの個数比率が80%以上で、かつフェライト全体の平均結晶粒径が3μm 以下であり、また第2相中の残留オーステナイトの結晶粒径が3μm 以下であるものの個数比率が60%以上で、かつ残留オーステナイト全体の平均結晶粒径が2.5μm 以下であり、
Hysitron社の TRIBOSCOPEを用い、上記主相フェライトと第2相の圧痕それぞれに対し、深さを50nm±10nmとなるように荷重調整して測定した硬度差が平均で1.5GPa以下である
ことを特徴とする伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板。
また、組織の適正化によって、成形後の疲労特性が著しく向上し、特に自動車用足回り部材として耐久性が重要な部材の高強度化が達成される。
まず、本発明において、鋼板および鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.05〜0.2%
Cは、TiCの形成に有用なだけでなく、C自身がオーステナイトに濃化して、高延性に必要な量の残留オーステナイトを得るのに有効な元素であり、少なくとも0.05%を必要とする。一方、溶接性の劣化防止の観点から上限を0.2%とする。
Siは、高延性化に必要な残留オーステナイト量を得るために少なくとも0.5%を必要とするが、2.5%を超えて添加してもその効果は飽和し、むしろコストアップとなるため、上限を2.5%とする。好ましくは1.0〜2.0%の範囲である。
Mnは、第2相組織すなわちベイナイトと残留オーステナイトを適量存在させるために必要な元素である。そのためには、少なくとも1.0%の添加を必要とする。一方、過剰な添加は巻取り後のベイナイト変態を抑制し、残留オーステナイト量を減少させるので、上限を3.0%とする。好ましくは1.0〜2.5%の範囲である。
Pは、延性を低下させることなく高強度化に寄与する元素であり、所望の強度を得る上では0.005%以上含有させることが好ましいが、含有量が0.1%を超えるとPが粒界に偏析して脆化の原因となるため、0.1%以下の範囲で含有させることができる。好ましくは0.005〜0.05%の範囲である。
Alは、脱酸剤として有用な元素であり、0.01%以上含有していることが好ましいが、0.10%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、上限を0.10%とする。好ましくは0.01〜0.07%の範囲である。
Sは、伸びフランジ性の改善には少ないほど好ましいが、0.003%までは許容できるので、含有量の上限を0.003%とする。なお、0.0005%より少なくしてもその効果は小さく、むしろ精錬時のコストアップを招くので、0.0005%を下限とすることが望ましい。より好ましくは0.0005〜0.002%の範囲である。
Tiは、本発明において最も重要な元素である。Tiは、熱間圧延前の加熱の段階で加熱温度が比較的低温であればTiCとして存在する。多量のTiCの存在により加熱時の熱間圧延前におけるオーステナイト粒径が80μm 以下となり、オーステナイトの粗大化が抑制される。このように微細なオーステナイト粒が熱間圧延前から存在することにより、熱間圧延時に再結晶が進行し、微細な結晶粒が形成されると共に、均一な結晶粒となる。
なお、TiCもしくはTiには、熱間圧延後のオーステナイト粒の再結晶を抑制する作用はなく、熱間圧延後加工されたオーステナイト粒は直ちに再結晶し、微細な再結晶オーステナイト粒を生成する。
そして、熱間圧延終了後、微細なオーステナイトの粒界近傍から速やかにフェライト変態が生じ、フェライト生成サイトの増加により第2相のオーステナイトも微細となる。微細なオーステナイトは、巻取り後に微細なベイナイトに変態するが、その際に固溶Cが未変態のオーステナイト相中に濃化し、オーステナイトを安定化させる。その結果、室温まで冷却した後も一部のオーステナイトは安定して存在する。
Nb:0.1%以下
Nbは、Tiと同様、加熱時にNbCを形成して微細なオーステナイト粒を形成する効果があるため、Tiと重複して添加することができる。なお、NbCの存在によってのみ熱間圧延前のオーステナイト粒を80μm 以下に微細化しようとすると多量のNbCの存在が必要となるが、一方で多量のNbCもしくはNbが存在すると、熱間圧延後の再結晶が著しく阻害されるため、NbはTiと重複して添加する必要がある。この効果を得る上ではNbは0.01%以上含有することが好ましい。しかしながら、含有量が0.1%を超えると再結晶が著しく阻害され、硬質化して材質が低下するため、上限を0.1%とする。好ましくは0.05%以下である。
Mo,Cu,Ni,CrおよびWはそれぞれ、固溶強化ならびに組織強化による高強度化に有効な元素である。それぞれ、上記効果を得る上ではMo:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、Cr:0.01%以上、W:0.01%以上のうちから選んだ1種または2種以上を含有させることが好ましい。しかしながら、いずれも多量に添加すると熱間加工性を低下させると共に、コストアップになるため、Mo,Cu,Ni,Crは上限を1.0%、Wは上限を0.05%とする。
Vは、析出強化による高強度化に有効であるが、含有量が0.1%を超えると再結晶が著しく阻害され、硬質化して材質が低下するので、上限を0.1%とする。好ましくは0.05%以下である。なお、上記効果を得る上では、Vは0.005%以上含有することが好ましい。
Bは、組織強化に有効な元素であるが、0.005%を超えて含有すると再結晶が著しく阻 害され、硬質化して材質が低下するので、上限を0.005%とする。好ましくは0.002%以下である。なお、上記効果を得る上では、Bは0.0005%以上含有することが好ましい。
Caは、介在物の形態を制御し、伸びフランジ性を向上させる目的で添加することができる。しかしながら、過剰に含有させると介在物に起因した発錆が生じ易くなり、耐蝕性が低下するため、上限を0.015%とする。なお、上記効果を得る上では、Caは0.0005%以上含有することが好ましい。
鋼組織全体に対するフェライトの体積占有率:60%以上、結晶粒径が4μm 以下であるフェライトの個数比率:80%以上、フェライト全体の平均結晶粒径:3μm 以下
フェライトは、軟質で延性に富み、材料の延性および伸びフランジ性を確保する上で有用であるため、本発明では、このフェライトを主相として、鋼組織全体に対する体積占有率を60%以上とする。また、かかるフェライトの粒径は均一微細である必要があり、粗大な結晶粒の存在は延性、伸びフランジ性を低下させるため、平均結晶粒径だけでなく、4μm 以下である個数比率を80%以上とする必要がある。さらに、平均結晶粒径が3μm 超えであると延性と伸びフランジ性を両立する特性が得られないので、フェライト全体の平均結晶粒径は3μm 以下とする。
鋼組織全体に対する第2相の体積占有率を10%以上とする。これは、目的とする引張強度(TS):780MPa以上、TS×El≧22000MPa・%、TS×λ≧65000MPa・%、疲労特性(FL/TS)≧0.55を達成するために必要である。特に第2相中の残留オーステナイトは本発明において重要であり、その鋼組織全体に対する体積占有率が8%より少ないと変態誘起塑性効果としての高延性が達成できない。また、第2相は主相であるフェライトに比べて硬質であるため、その粒径が大きいと伸びフランジ性の亀裂の発生元となり、伸びフランジ性の低下を招くため、粒径と量が重要である。結晶粒径が3μm 以下である残留オーステナイトの個数比率が60%に満たないと所望の特性が得られない。また、残留オーステナイト全体の平均結晶粒径が2.5μm 超であると伸びフランジ性を阻害する。
そこで、結晶粒径が3μm 以下である残留オーステナイトの個数比率は60%以上、残留オーステナイト全体の平均結晶粒径は2.5μm以下に制限した。なお、残留オーステナイト全体の平均結晶粒径は2.0μm 以下とすることがより好ましい。
また、第2相中には、ベイナイトおよび残留オーステナイトの他、パーライト、マルテンサイト、セメンタイト等が混入する場合があるが、これらの総量が体積占有率で5%以下であれば許容でき、従って第2相は主にベイナイトおよび残留オーステナイトからなると言える。
複合組織鋼において主相に比べて第2相では硬質であるため、伸びフランジ性を改善するためには、その硬度差を小さくすることが重要である。
そこで、この観点から、許容硬度差について調べたところ、両者の硬度差が1.5以下であれば許容できることが判明した。これより硬度差が高いと伸びフランジ性が低下する。
本発明における溶製法は、通常の方法で良く、特に限定しない。転炉または電気炉で溶製し、取鍋精錬、脱ガス処理等を施し、連鋳法あるいは造塊法によってスラブとし、熱間圧延に供する。
その際の加熱温度は極力低いほうが望ましい。その理由は、Tiの限定理由において述べたとおり、TiCの溶解を抑制して、初期オーステナイト粒の微細化により、その後の熱間圧延後の組織微細化と残留オーステナイトの確保のために不可欠だからである。この効果を得るためには、スラブ加熱温度を1150℃以下とする必要がある。なお、下限は仕上圧延温度を確保するため、1050℃程度とするのが望ましい。
熱延条件;
(SRT−60℃)〜(SRT−150℃)の温度域において、仕上圧延機の前段3スタンドのうち少なくとも2スタンドにおける各スタンドでの圧下率:30%以上、当該3スタンドの合計圧下率:60%以上、(SRT−60℃)〜(SRT−150℃)の温度域における圧延時間:1.5秒以内、圧延終了温度:850〜950℃
通常の圧延設備では、粗圧延後、6〜7段からなる仕上圧延機にて、目標とする 1.2〜25mmの最終板厚に仕上げる。本発明では特に仕上圧延の際、(SRT−60℃)〜(SRT−150℃)の温度域において、仕上圧延機の前段3スタンドのうち少なくとも2スタンドについて各パス当たりの圧下率が30%以上で、かつ当該3スタンドの合計圧下率が60%以上の大圧下を実施することにより、オーステナイト粒が微細化すると共に、圧延の歪みが均一に生じ、本発明の目的とする結晶粒径が4μm 以下のものの個数比率が80%以上で、かつ平均結晶粒径が3μm 以下であるフェライト組織が得られる。
(SRT−60℃)〜(SRT−150℃)の温度域においては、仕上圧延機の前段3スタンドのうち、少なくとも2スタンドについては、各スタンドにおける圧下率をオーステナイトの微細化の観点から30%以上とし、より大きい方が望ましい。なお、生産性、圧延機能力の点から上限は、50%とすることが好ましい。また、(SRT−60℃)〜(SRT−150℃)の温度域での仕上圧延機前段3スタンドの合計圧下率が60%未満ではオーステナイトの微細化が十分に達成されないため、合計圧下率は60%以上とする。しかしながら、生産性、圧延機能力の観点から上限は90%とすることが好ましい。
なお、上記したような圧下率を30%以上とするスタンドは、必ずしも連続したスタンドで実施しなくても良い。また、上記温度域での圧延時間は1.5秒以内とする。この理由は、圧延時間が1.5秒を超えると、オーステナイト粒の粗大化が起こり、微細化の観点から望ましくないからである。
仕上圧延終了後、2秒以内に50℃/s以上の冷却速度で第1段冷却を開始し、第1段冷却を750〜600℃で終了し、この温度域に5〜15秒保持したのち、30℃/s以上の冷却速度で第2段の冷却を開始し、500〜250℃の温度範囲で巻き取る
仕上圧延終了後、2秒以内に50℃/s以上の冷却速度で第1段冷却を開始し、第1段冷却を750〜600℃の温度域で終了することで、圧延により得られた微細なオーステナイト粒の粒成長を抑制して、微細なフェライトへの変態を促進させる。オーステナイトの粒成長を抑制するには、仕上圧延後、早急に冷却を開始するのが望ましいため、冷却は2秒以内に開始するものとする。
第1段冷却速度が50℃/s未満では、高温で生成するフェライト粒が粒成長し、微細なフェライト粒を得るのが困難になる。微細フェライト粒形成のためには冷却速度は速いほど良好であるため、冷却速度の上限は特に規定しないが、鋼板の平坦度などの観点から150℃/s以下とするのが好ましい。
また、ここで、保持時間が5秒未満ではCの濃化が不十分であり、15秒を超えるとフェライト粒が粗大化するため、15秒以内とする。
その後、30℃/s以上の冷却速度で第2段の冷却を開始し、巻取り温度まで冷却することでフェライトと第2相の粒成長性を抑制する。ここで、第2段の冷却開始温度は鋼板の板厚と保持時間によって異なるが、通常700℃から500℃の温度域となる。
巻取り温度が500℃を超えると残留オーステナイトが得られなくなり、またフェライト粒の粒成長が生じる。一方、250℃より低い温度では、マルテンサイトが形成され、残留オーステナイトが減少し、目的とする特性が得られなくなる。
表1中、鋼記号A〜GおよびM〜Zは本発明の成分組成範囲を満足する適合鋼、一方H〜Lはいずれかの成分組成が本発明の適正範囲を外れた比較鋼である。
また、表2中、SRTはスラブ加熱温度、FDTは仕上圧延終了温度、T1は仕上圧延終了後、第1段冷却開始までの時間、S1は第1段冷却時の冷却速度、T2は第1段冷却停止温度、S2は第1段冷却停止後、第2段冷却開始までの冷却停止状態での滞留時間、T3は第2段冷却の開始温度、S3は第2段冷却速度、CTは巻取り温度である。
かくして得られた各熱延鋼板の鋼組織について調べた結果を表3に、また材料特性について調べた結果を表4に示す。
(1) フェライト粒径と分率(鋼組織全体に対する体積占有率)、フェライト粒のうち結晶粒径が4μm以下のものの個数比率および残留オーステナイト粒径と分率、残留オーステナイト粒のうち結晶粒径が3μm以下のものの個数比率ならびに第2相分率(鋼組織全体に対する体積占有率)。
フェライト粒径および残留オーステナイト粒径は、電子顕微鏡観察による写真を画像解析装置を用いて測定した。いずれも100μm×100μm の視野で10箇所測定し、その平均値を表示した。また、残留オーステナイト分率は、X線回折によりMoKα線を用いて算出した。いずれも板厚の1/4を観察面とした。フェライト分率も同様に、画像解析装置でフェライト粒のみの比率(面積率)を求め、これを体積占有率とした。さらに、第2相分率は、組織全体からフェライトを除いた部分として、算出した。
また、第2相の組織は、電子顕微鏡および光学顕微鏡により観察し、第2相中に観察されたベイナイト、残留オーステナイト以外の相であるマルテンサイト、パーライトについて面積率を求め、これを体積分率として示した。
フェライト粒における結晶粒径が4μm以下のものの個数比率、残留オーステナイト粒における結晶粒径が3μm以下であるものの個数比率は、画像解析により求めた各々の粒径をヒストグラフで表わし、各々の個数比率とした。
(2)引張強度、伸び
圧延方向に直交する方向(C方向)からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験によって測定した。
(3)穴拡げ率(λ)
日本鉄鋼連盟規格JFS-T1001-1996に準拠し、穴拡げ試験を行って測定した。
(4) 疲労限
圧延方向に直交する方向(C方向)から試料を作製し、JIS Z 2273の金属材料の疲れ試験方法に準拠し、20Hzでの完全両振り平面曲げ試験法による疲労限を調査した。
(5) 硬さ
各相の硬さは微小硬度計で測定した。ここで微小硬さとは、直径:1μm 以下の微小領域について測定した硬さである。この微小硬さを採用することにより微細な主相および第2相を、従来のビッカース硬さより、組織の硬さをより正確に評価することができ、従来にない組織制御が達成できる。
具体的には、上記熱延板の圧延断面をHysitron社のTRIBOSCOPEを用いて、各相の硬さを測定した。ここで、圧痕サイズが極めて小さい時には硬さの圧痕サイズ依存性が生じる場合がある。従って、それを避けるため、圧痕サイズをほぼ同一にして測定を行った。具体的には、圧痕の大きさと比例関係にある圧痕の深さを50nm±10nmとなるように荷重調整し、当該荷重をもとに硬さを測定した。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.5〜2.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.1%以下、Al:0.10%以下、S:0.003%以下およびTi:0.05〜0.3%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、主相としてフェライト、第2相として主にベイナイトおよび残留オーステナイトからなる鋼組織を有し、
鋼組織全体に対する上記主相フェライトの体積占有率が60%以上、鋼組織全体に対する上記第2相の体積占有率が10%以上で、かつ鋼組織全体に対する第2相中の残留オーステナイトの体積占有率が8%以上、ベイナイトおよび残留オーステナイト以外の鋼組織の体積占有率が5%以下であり、
主相フェライト中において結晶粒径が4μm 以下のものの個数比率が80%以上で、かつフェライト全体の平均結晶粒径が3μm 以下であり、また第2相中の残留オーステナイトの結晶粒径が3μm 以下であるものの個数比率が60%以上で、かつ残留オーステナイト全体の平均結晶粒径が2.5μm 以下であり、
Hysitron社の TRIBOSCOPEを用い、上記主相フェライトと第2相の圧痕それぞれに対し、深さを50nm±10nmとなるように荷重調整して測定した硬度差が平均で1.5GPa以下である
ことを特徴とする伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板。 - 請求項1において、前記鋼板が、さらに質量%で、Nb:0.1%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、W:0.05%以下、V:0.1%以下、B:0.005 %以下および Ca:0.015%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板。
- 質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.5〜2.5%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.1%以下、Al:0.10%以下、S:0.003%以下およびTi:0.05〜0.3%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、1150℃以下のスラブ加熱温度(SRT)に加熱後、熱間圧延を実施するに当たり、粗圧延後、仕上圧延を行うに際し、(SRT−60℃)から(SRT−150℃)の温度域において、仕上圧延機の前段3スタンドのうち少なくとも2スタンドについては、各スタンドの圧下率を30%以上とし、かつ前段3スタンドの合計圧下率を60%以上とし、しかも上記温度域での圧延を1.5秒以内で行うと共に、圧延終了温度:850〜950℃の条件で仕上圧延を終了し、仕上圧延終了後、2秒以内に50℃/s以上の冷却速度で第1段冷却を開始し、第1段冷却を750〜600℃で終了し、この温度域に5〜15秒保持したのち、30℃/s以上の冷却速度で第2段の冷却を開始し、500〜250℃の温度範囲で巻き取ることを特徴とする伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板の製造方法。
- 請求項3において、前記鋼スラブが、さらに質量%で、Nb:0.1%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、W:0.05%以下、V:0.1%以下、B:0.005%以下およびCa: 0.015%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005045801A JP4692015B2 (ja) | 2004-03-30 | 2005-02-22 | 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004099804 | 2004-03-30 | ||
JP2004099804 | 2004-03-30 | ||
JP2005045801A JP4692015B2 (ja) | 2004-03-30 | 2005-02-22 | 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005314798A JP2005314798A (ja) | 2005-11-10 |
JP4692015B2 true JP4692015B2 (ja) | 2011-06-01 |
Family
ID=35442517
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005045801A Expired - Fee Related JP4692015B2 (ja) | 2004-03-30 | 2005-02-22 | 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4692015B2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5070732B2 (ja) * | 2005-05-30 | 2012-11-14 | Jfeスチール株式会社 | 伸び特性、伸びフランジ特性および引張疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
KR20080110904A (ko) * | 2006-05-16 | 2008-12-19 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 신장 특성, 신장 플랜지 특성 및 인장 피로 특성이 우수한 고강도 열연강판 및 그 제조 방법 |
JP4955499B2 (ja) * | 2007-09-28 | 2012-06-20 | 株式会社神戸製鋼所 | 疲労強度及び伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板 |
JP5194857B2 (ja) * | 2008-02-08 | 2013-05-08 | Jfeスチール株式会社 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
JP4998755B2 (ja) * | 2009-05-12 | 2012-08-15 | Jfeスチール株式会社 | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
JP5402848B2 (ja) * | 2010-06-17 | 2014-01-29 | 新日鐵住金株式会社 | バーリング性に優れる高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
MX342629B (es) | 2010-07-28 | 2016-10-07 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | Lamina de acero enrollada en caliente, lamina de acero enrollada en frio, lamina de acero galvanizada y metodos para fabricar los mismos. |
JP5533729B2 (ja) * | 2011-02-22 | 2014-06-25 | 新日鐵住金株式会社 | 局部変形能に優れ、成形性の方位依存性の少ない延性に優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
JP5408382B2 (ja) | 2011-03-28 | 2014-02-05 | 新日鐵住金株式会社 | 熱延鋼板及びその製造方法 |
CA2837052C (en) | 2011-05-25 | 2015-09-15 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Hot-rolled steel sheet and method for producing same |
WO2013065346A1 (ja) * | 2011-11-01 | 2013-05-10 | Jfeスチール株式会社 | 曲げ特性と低温靭性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 |
KR20160041850A (ko) * | 2013-04-15 | 2016-04-18 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 열연 강판 및 그의 제조 방법 |
JP6281284B2 (ja) * | 2014-01-06 | 2018-02-21 | 新日鐵住金株式会社 | 成形性に優れた耐摩耗用鋼板およびその製造方法 |
CN110475889A (zh) * | 2017-03-31 | 2019-11-19 | 日本制铁株式会社 | 热轧钢板和钢制锻造部件及其制造方法 |
KR20230091154A (ko) * | 2021-01-12 | 2023-06-22 | 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 | 열연 강판 |
CN115852247B (zh) * | 2022-09-28 | 2024-06-04 | 马鞍山钢铁股份有限公司 | 一种q460级重型热轧h型钢及其组织细化生产方法 |
Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0310049A (ja) * | 1988-08-26 | 1991-01-17 | Nippon Steel Corp | 加工性の優れた高強度熱延鋼板の製造方法 |
JPH06264181A (ja) * | 1993-03-10 | 1994-09-20 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高加工性熱延高張力鋼板とその製造方法 |
JPH083679A (ja) * | 1994-06-14 | 1996-01-09 | Nippon Steel Corp | 成形性及び疲労特性に優れた耐熱軟化性を有する熱延高強度鋼板並びにその製造方法 |
JPH09104947A (ja) * | 1991-05-30 | 1997-04-22 | Nippon Steel Corp | 成形性又は成形性とスポット溶接性に優れた高降伏比型熱延高強度鋼板 |
JPH09137249A (ja) * | 1995-11-10 | 1997-05-27 | Kawasaki Steel Corp | 疲労特性および加工性に優れる熱延高張力鋼板ならびにその製造方法 |
JPH09143611A (ja) * | 1995-11-21 | 1997-06-03 | Nippon Steel Corp | 成形性及び疲労特性に優れた耐熱軟化性を有する熱延 高強度鋼板 |
JPH1192859A (ja) * | 1997-09-18 | 1999-04-06 | Kawasaki Steel Corp | 超微細組織を有する高張力熱延鋼板及びその製造方法 |
JPH11193439A (ja) * | 1997-12-26 | 1999-07-21 | Nippon Steel Corp | 高い動的変形抵抗を有する良加工性高強度鋼板とその製造方法 |
JP2000178681A (ja) * | 1998-12-11 | 2000-06-27 | Nippon Steel Corp | 材質ばらつきの小さい成形性、溶接性に優れた熱延高強度鋼板とその製造方法 |
JP2000336455A (ja) * | 1999-05-27 | 2000-12-05 | Kawasaki Steel Corp | 高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2001220648A (ja) * | 2000-02-02 | 2001-08-14 | Kawasaki Steel Corp | 伸びフランジ性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2004002969A (ja) * | 2002-03-22 | 2004-01-08 | Jfe Steel Kk | 伸び特性および伸びフランジ特性に優れた高張力熱延鋼板とその製造方法 |
-
2005
- 2005-02-22 JP JP2005045801A patent/JP4692015B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0310049A (ja) * | 1988-08-26 | 1991-01-17 | Nippon Steel Corp | 加工性の優れた高強度熱延鋼板の製造方法 |
JPH09104947A (ja) * | 1991-05-30 | 1997-04-22 | Nippon Steel Corp | 成形性又は成形性とスポット溶接性に優れた高降伏比型熱延高強度鋼板 |
JPH06264181A (ja) * | 1993-03-10 | 1994-09-20 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高加工性熱延高張力鋼板とその製造方法 |
JPH083679A (ja) * | 1994-06-14 | 1996-01-09 | Nippon Steel Corp | 成形性及び疲労特性に優れた耐熱軟化性を有する熱延高強度鋼板並びにその製造方法 |
JPH09137249A (ja) * | 1995-11-10 | 1997-05-27 | Kawasaki Steel Corp | 疲労特性および加工性に優れる熱延高張力鋼板ならびにその製造方法 |
JPH09143611A (ja) * | 1995-11-21 | 1997-06-03 | Nippon Steel Corp | 成形性及び疲労特性に優れた耐熱軟化性を有する熱延 高強度鋼板 |
JPH1192859A (ja) * | 1997-09-18 | 1999-04-06 | Kawasaki Steel Corp | 超微細組織を有する高張力熱延鋼板及びその製造方法 |
JPH11193439A (ja) * | 1997-12-26 | 1999-07-21 | Nippon Steel Corp | 高い動的変形抵抗を有する良加工性高強度鋼板とその製造方法 |
JP2000178681A (ja) * | 1998-12-11 | 2000-06-27 | Nippon Steel Corp | 材質ばらつきの小さい成形性、溶接性に優れた熱延高強度鋼板とその製造方法 |
JP2000336455A (ja) * | 1999-05-27 | 2000-12-05 | Kawasaki Steel Corp | 高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2001220648A (ja) * | 2000-02-02 | 2001-08-14 | Kawasaki Steel Corp | 伸びフランジ性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 |
JP2004002969A (ja) * | 2002-03-22 | 2004-01-08 | Jfe Steel Kk | 伸び特性および伸びフランジ特性に優れた高張力熱延鋼板とその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005314798A (ja) | 2005-11-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4692015B2 (ja) | 伸びフランジ性と疲労特性に優れた高延性熱延鋼板およびその製造方法 | |
US10435762B2 (en) | High-yield-ratio high-strength cold-rolled steel sheet and method of producing the same | |
KR102000854B1 (ko) | 고강도 냉연 강판 및 그 제조방법 | |
JP5070732B2 (ja) | 伸び特性、伸びフランジ特性および引張疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP4062118B2 (ja) | 伸び特性および伸びフランジ特性に優れた高張力熱延鋼板とその製造方法 | |
JP5858174B2 (ja) | 低降伏比高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP2004339606A (ja) | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
KR20100092503A (ko) | 가공성이 우수한 고강도 용융 아연 도금 강판 및 그 제조 방법 | |
JP2008255484A (ja) | プレス加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
JP5825082B2 (ja) | 伸び及び伸びフランジ性に優れた高降伏比高強度冷延鋼板とその製造方法 | |
JP5482204B2 (ja) | 高強度熱延鋼板およびその製造方法 | |
CN108350536B (zh) | 高强度热轧钢板及其制造方法 | |
JP6973694B1 (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 | |
EP2604716B1 (en) | High-strength hot-rolled steel sheet having excellent workability, and a method for producing same | |
JP3433687B2 (ja) | 加工性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 | |
WO2014143702A2 (en) | Line pipe steels and process of manufacturing | |
JP2004043856A (ja) | 低降伏比型鋼管 | |
EP4219784A1 (en) | High-strength thick hot-rolled steel sheet and method for manufacturing same | |
JP2001226741A (ja) | 伸びフランジ加工性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 | |
JP5701483B2 (ja) | 厚さ中心部の強度及び靭性に優れて材質偏差の少ない溶接構造用極厚物鋼板及びその製造方法 | |
JP4867177B2 (ja) | 焼付硬化性及び成形性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 | |
EP3964600A1 (en) | Ultra-high strength steel sheet having excellent shear workability and method for manufacturing same | |
JP3539545B2 (ja) | バーリング性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP7192819B2 (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 | |
JP7192818B2 (ja) | 高強度鋼板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060609 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071225 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100330 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101102 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110104 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20110104 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110125 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110207 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4692015 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |