JP4691650B2 - ニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法、および当該生産方法によって生産されるニワトリ型モノクローナル抗体 - Google Patents

ニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法、および当該生産方法によって生産されるニワトリ型モノクローナル抗体 Download PDF

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Description

本発明は、ニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子およびH鎖をコードする遺伝子が導入された宿主細胞、特に動物細胞を用いたニワトリ型モノクローナル抗体を生産方法、および当該生産方法によって生産されるニワトリ型モノクローナル抗体に関するものである。
また上記生産方法に用いられるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセット、および該遺伝子が挿入されニワトリ型抗体のL鎖を発現するために用いられる発現用ベクターに関する。さらには、上記生産方法に用いられるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセット、および該遺伝子が挿入されニワトリ型抗体のH鎖を発現するために用いられる発現用ベクター、該発現用ベクターが導入されてなる形質転換細胞に関する。
モノクローナル抗体(単クローナル抗体)は、抗原の特定部分だけを認識する単一の抗体のことである。かかるモノクローナル抗体は、抗原に対する特異性が非常に高く、その特異性を利用してタンパク質工学をはじめとするバイオサイエンス研究のツール・特定物質の検出用試薬等広範に利用されている。特に近年においては、各種疾病の治療薬・診断薬としての用途が注目され、その一部が実用化に至っている。モノクローナル抗体およびその生産技術については、マウス型・ラット型・ヒト型をはじめとする哺乳類動物を中心に開発が進められているが、それ以外のモノクローナル抗体(鳥類型モノクローナル抗体)の開発、および生産を行なった例は少ない。
ところで、本発明者等は哺乳類動物型以外の抗体としてニワトリ型の抗体に着目し研究を行なってきた。ニワトリは系統発生学的には哺乳類動物よりも下等であるが、哺乳類動物と同様に精緻な免疫システムを備えている動物である。特に哺乳類動物と系統発生学的に離れているため、多くの哺乳類動物で保存されているタンパク質に対して特異的抗体を作成するのに有用である。すなわちマウスやラットを用いて作製が困難なタンパク質(抗原)に対する特異的抗体が、ニワトリでは作製可能であるということである。例えば、ヒトの癌マーカーとなる抗原であるN−グリコリルノイラミン酸(以下NeuGcと称する)は、ヒトを除くほとんどの哺乳類動物に存在しているため、マウス・ラット等では抗体を作製することはできないが、ニワトリをはじめとする鳥類ではNeuGcが存在しないために抗体を作製することが可能である。また、クロイツフェルト・ヤコブ病や狂牛病の病原体となるプリオンタンパク質(以下PrPと称する)は、哺乳類動物間で90%以上の相同性が有るため哺乳類動物では抗体を作製することは困難であるが、哺乳類動物とニワトリ間の相同性は30%台であるため、ニワトリにおいてその抗体の作製は可能である。事実、本発明者等は、細胞融合法によって上記NeuGc、PrPに対するニワトリ型モノクローナル抗体の作成に成功している。
現在ニワトリ型抗体、特にニワトリ型モノクローナル抗体の作製方法としては、細胞融合法(非特許文献1および非特許文献2参照)、およびファージディスプレイ法(非特許文献3、非特許文献4、および特許文献1参照)が既に確立されている。
またその他のニワトリ型抗体のメリットとしては、哺乳類動物型の抗体との交叉反応性が無いため、ニワトリ型モノクローナル抗体と哺乳類動物型モノクローナル抗体を用いることによって、非特異的反応のない高感度抗原検出系を確立することが可能なことである。
Asaoka, H. Nishinaka, S., Wakamiya, N., Matsuda, H., Murata, M., 1992. Two chicken monoclonal antibodies specific for heterophil Hanganutziu-Deicher antigens. Immunol. Lett. 32, 91-96. Matsuda, H., Mitsuda, h., Nakamura, N., Furusawa, S., Mohri, S., Kitamoto, T., 1999. A chicken monoclonal antibody with specificity for the N-terminal of human prion protein . FEMS Imunol. Med. Microbiol. 23, 189-194 Yamanaka, H. I., Inoue, T., Lkeda-tanaka, O., 1996. Chicken monoclonal antibody isolated by a phage display system. J. Immunol. 157, 1156-1162. Nakamura, N., Shimokawa, M., Miyamoto, K., Hojyo, S., Horiuchi, H., Furusawa, S., Matsuda, H.,2003. Two expression vectors for the phage-displayed chicken monoclonal antibody. J. Immunol. Methods 280, 157-164. 特開2003−9869号公報(公開日:平成15(2003)年1月14日)
しかしながら、上記細胞融合法によるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、その抗体生産能が低いこと、および生産された抗体の精製方法が確立されていないという問題点が有る。一方上記ファージディスプレイ法によるニワトリモノクローナル抗体の生産方法は、生産された抗体の構造が正常抗体と異なっているため、抗原との反応性が低いということ、および発現用ベクターの構造からファージディスプレイ抗体しか生産できないという問題点がある。したがって上記従来のニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、実用性の面において満足できるものとはなっていなかった。
またニワトリ型の抗体分子は哺乳類動物型IgGより分子量が大きく、これを有効利用するためには、不必要なアミノ酸領域を削除あるいは改変する必要がある。
そこで本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ニワトリ型モノクローナル抗体の効率的生産方法の確立、さらには不必要なアミノ酸領域を削除した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法の確立、および当該生産方法によって生産されたニワトリ型モノクローナル抗体、並びに当該生産方法に用いられる発現用ベクター、およびプライマーセットを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行なった。その結果、抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体(HUC2−13)産生ハイブリドーマからクローニングしたHUC2−13のL鎖をコードする遺伝子、および同H鎖をコードする遺伝子をCHO細胞にトランスフェクトし、当該CHO細胞を培養することによって完全長の抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体(以下Full−PrP抗体と称する)を大量生産することができることを発見した。
さらに本発明者等は、同様の方法によってH鎖のカルボキシル末端(C末端)側から7アミノ酸欠失させた構造改変抗PrPモノクローナル抗体(以下Δ7aa−PrP抗体と称する)・CH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失させた構造改変抗PrPモノクローナル抗体(以下ΔCH2−PrP抗体と称する)・CH3領域とCH4領域をともに欠失させた構造改変抗PrPモノクローナル抗体(以下ΔFc−PrP抗体と称する)を生産することに成功した。また上記生産方法により生産したFull−PrP抗体・Δ7aa−PrP抗体・ΔCH2−PrP抗体・ΔFc−PrP抗体は、いずれも抗原(PrP)に対する確かな反応性を有していた。
本発明は、上記検討結果に基づき完成したものである。
すなわち本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記課題を解決するために、ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーとの組み合わせであるL鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクター、および、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせであるH鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターとを宿主細胞に形質転換する工程を含むことを特徴としている。
ニワトリをはじめとする鳥類の抗体遺伝子の多様性獲得機構は哺乳類動物のそれと異なっており、抗体の多様性を決定する機能的V遺伝子は、H鎖、L鎖ともに一つである。したがってニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖をコードする遺伝子(以下、H鎖遺伝子と称する)、あるいはL鎖をコードする遺伝子(以下、L鎖遺伝子と称する)において、塩基配列が不変であるリーダー配列、および定常領域上の塩基配列を元にプライマーを設計し、当該プライマーを用いてPCR等の増幅反応を行なえば、種々のニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖遺伝子、H鎖遺伝子を一対のプライマーによって増幅することができる。
上記増幅反応により取得したL鎖遺伝子が挿入されているL鎖発現用ベクター、およびH鎖遺伝子が挿入されているH鎖発現用ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することによって、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞が調製できる。さらに上記形質転換細胞を培養することによって、ニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記課題を解決するために、ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーとの組み合わせであるL鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクター、および、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域、またはCH3領域、またはCH2領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせであるH鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターとを宿主細胞に形質転換する工程を含むことを特徴としている。
上記L鎖用プライマーセットは、L鎖遺伝子において塩基配列が不変であるリーダー配列、および定常領域上の塩基配列を元にプライマーを設計している。上述の通り、ニワトリを始めとする鳥類においては、当該プライマーを用いてPCR等の増幅反応を行なうことで、種々のニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖遺伝子を増幅することができる。
また上記H鎖用プライマーセットによれば、上記と同様に種々のニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖遺伝子を増幅することができる。さらには、プライマーの設定位置(CH4領域、またはCH3領域、またはCH2領域)によって、種々のサイズのH鎖遺伝子を増幅することができる。後述する実施例に示すごとく、CH4領域およびCH3領域を欠損させた抗体であっても抗原に対するの結合活性を有していた。またCH2領域のシステイン残基を残してその一部を欠損させた抗体であっても、抗原に対する結合活性を有していた。よって、上記のプライマーを用いて増幅される一部が欠損したH鎖遺伝子であっても、最終的に生産する抗体の活性に問題が生じることはない。
上記増幅反応により取得したL鎖遺伝子が挿入されているL鎖発現用ベクター、およびH鎖遺伝子が挿入されているH鎖発現用ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することによって、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞が調製できる。さらに上記形質転換細胞を培養することによって、種々のニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記課題を解決するために、上記ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列が、配列番号19に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号19に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列(以下、L鎖リーダー配列と称する)の塩基配列の一例である。L鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のL鎖リーダー配列の塩基配列は、リーダー配列として機能するものであれば上記配列番号19に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号19に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記L鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子が、配列番号20に示される塩基配列を有することを特徴とするものであってもよい。
配列番号20に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子(以下、CL遺伝子と称する)の塩基配列の一例である。L鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードするものであれば上記配列番号20に示す塩基配列に限られるものではなく、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードするものであれば配列番号20に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CL遺伝子の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列が、配列番号21に示される塩基配列を有することを特徴とするものであってもよい。
配列番号21に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列(以下H鎖リーダー配列と称する)をコードする遺伝子の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列の塩基配列は、リーダー配列として機能するものであれば上記配列番号21に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号21に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記H鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子が、配列番号22に示される塩基配列を有することを特徴とするものであってもよい。
配列番号22に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子(以下、CH遺伝子と称する)の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードするものであれば上記配列番号22に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号22に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH鎖遺伝子の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域をコードする遺伝子が配列番号23に示される塩基配列を有し、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードする遺伝子が配列番号24に示される塩基配列を有し、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードする遺伝子が配列番号25に示される塩基配列を有することを特徴とするものであってもよい。
配列番号23に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域をコードする遺伝子(以下、CH4遺伝子と称する)の塩基配列の一例である。また配列番号24に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードする遺伝子(CH3遺伝子と称する)の塩基配列の一例である。また配列番号25に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードする遺伝子(以下、CH2遺伝子と称する)の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、上記塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、CH4遺伝子の塩基配列は、上記配列番号23に示す塩基配列に限られるものではなく、ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域をコードするものであれば配列番号23に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH4遺伝子の相補配列であってもよい。
また、CH3遺伝子の塩基配列についても、上記配列番号24に示す塩基配列に限られるものではなく、ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードするものであれば配列番号24に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH3遺伝子の相補配列であってもよい。
また、CH2遺伝子の塩基配列についても、上記配列番号25に示す塩基配列に限られるものではなく、ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードするものであれば配列番号25に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH2遺伝子の相補配列であってもよい。
また本発明のかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクターと、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターとを用いて宿主細胞を形質転換する工程を含むことを特徴としている。
上記構成にかかる第一プライマーセットによれば、L鎖遺伝子を増幅することができる。また第二プライマーセットによれば、完全長のニワトリ型抗体のH鎖遺伝子を増幅することができる。上記増幅反応によって得られたニワトリ型抗体のL鎖遺伝子が挿入されているL鎖発現用ベクター、およびH鎖遺伝子が挿入されているH鎖発現用ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することによってニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞が調製できる。さらに上記形質転換細胞を培養することによって、完全長ニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。なお、ニワトリをはじめとする鳥類の抗体遺伝子の多様性獲得機構は哺乳類動物のそれと異なっており、抗体の多様性を決定する機能的V遺伝子が一つであるため、上記第一プライマーセットおよび第二プライマーセットによって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子を増幅することが可能である。
ただし、上記配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクターと、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号5に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第三プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターとを用いて宿主細胞を形質転換する工程を含むことを特徴としている。
上記構成にかかる第一プライマーセットによれば、ニワトリ型抗体のL鎖遺伝子を増幅することができる。また第三プライマーセットによれば、ニワトリ型抗体のH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされた遺伝子を増幅することができる。上記増幅反応によって得られたニワトリ型抗体のL鎖遺伝子が挿入されているL鎖発現用ベクター、およびH鎖遺伝子が挿入されているH鎖発現用ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することによってニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞が調製できる。さらに上記形質転換細胞を培養することによって、ニワトリ型抗体のH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。なお前述と同様の理由により、上記第一プライマーセットおよび第三プライマーセットによって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子を増幅することが可能である。
ただし、上記配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクターと、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号7に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第四プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片と、配列番号6に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第五プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片とを混合し、さらに配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターとを用いて宿主細胞を形質転換する工程を含むことを特徴としている。
上記構成にかかる第一プライマーセットによれば、ニワトリ型抗体のL鎖遺伝子を増幅することができる。また配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号7に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第四プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片と、配列番号6に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第五プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片とを混合し、さらに配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅すれば、ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされた遺伝子を増幅することができる。上記増幅反応によって得られたニワトリ型抗体のL鎖遺伝子が挿入されているL鎖発現用ベクター、およびH鎖遺伝子が挿入されているH鎖発現用ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することによってニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞が調製できる。さらに上記形質転換細胞を培養することによって、ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。なお前述と同様の理由により、上記第一プライマーセット、第二プライマーセット、第四プライマーセット、および第五プライマーセットによって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子を増幅することが可能である。
ただし、上記配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号6または配列番号7に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号4または配列番号6または配列番号7に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクターと、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号8に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第六プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターとを用いて宿主細胞を形質転換する工程を含むことを特徴としている。
上記構成にかかる第一プライマーセットによれば、ニワトリ型抗体のL鎖遺伝子を増幅することができる。また第六プライマーセットによれば、ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされた遺伝子を増幅することができる。上記増幅反応によって得られたニワトリ型抗体のL鎖遺伝子が挿入されているL鎖発現用ベクター、およびH鎖遺伝子が挿入されているH鎖発現用ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することによってニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞が調製できる。さらに上記形質転換細胞を培養することによって、ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。なお前述と同様の理由により、上記第一プライマーセットおよび第六プライマーセットによって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子を増幅することが可能である。
ただし、上記配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号8に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号1または配列番号2または配列番号3または配列番号8に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記構成に加えてさらに宿主細胞が、動物由来細胞であることを特徴としている。当該構成とすることで、ニワトリ型モノクローナル抗体を好適に生産することができる。
さらに本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記構成に加えてさらに動物由来細胞が、CHO細胞であることを特徴としている。CHO細胞は、浮遊培養が可能であり、世代時間が短く増殖能力が高いために、ニワトリ型モノクローナル抗体をさらに効率良く生産することができる。
また本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法は、上記構成に加えてさらに、L鎖発現用ベクターおよび/またはH鎖発現用ベクターが精製用タグを有することを特徴としている。当該構成とすることで、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞の培養液から目的とするニワトリ型モノクローナル抗体を容易に精製することが可能となり、より簡便にニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。
一方、本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体は、上記いずれかに記載の本発明かかるニワトリ型抗体の生産方法を用いて生産されることを特徴としている。それゆえ、本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体は、完全長ニワトリ型モノクローナル抗体(以下、適宜Full抗体と称する)、またはH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(以下、適宜Δ7aa抗体と称する)、またはCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(以下、適宜ΔCH2抗体と称する)、またはCH3領域とCH4領域をともに欠失させた構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(以下、適宜ΔFc抗体と称する)等、種々の態様を有する。
一方、本発明にかかるL鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のL鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーとの組み合わせであるL鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されている。
上記構成によれば、当該L鎖発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてニワトリ型抗体のL鎖を生産させることが可能となる。
また本発明にかかるL鎖発現用ベクターは、上記ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列が、配列番号19に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号19に示す塩基配列は、L鎖リーダー配列の塩基配列の一例である。L鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のL鎖リーダー配列の塩基配列は、リーダー配列として機能するものであれば上記配列番号19に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号19に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記L鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるL鎖発現用ベクターは、上記ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子が、配列番号20に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号20に示す塩基配列は、CL遺伝子の塩基配列の一例である。L鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、CL遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードするものであれば上記配列番号20に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号20に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CL遺伝子の相補配列であってもよい。
また、本発明にかかるL鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のL鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されていることを特徴としている。上記構成によれば、当該発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてニワトリ型抗体のL鎖を生産させることが可能となる。
なお上記配列番号1または配列番号2に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば、当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号1または配列番号2に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるL鎖発現用ベクターは、精製用タグを有するものであってもよい。当該構成とすることで、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞の培養液から目的とするニワトリ型モノクローナル抗体を容易に精製することが可能となり、より簡便にニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。
また本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせであるH鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されている。
上記構成によれば、当該H鎖発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてニワトリ型抗体のH鎖を生産させることが可能となる。
また本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域、またはCH3領域、またはCH2領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせであるH鎖用プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されている。
上記構成によれば、当該H鎖発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてニワトリ型抗体のH鎖を生産させることが可能となる。さらには、プライマーの設定位置(CH4領域、またはCH3領域、またはCH2領域)によって、種々のサイズのニワトリ型抗体のH鎖を生産することができる。
また本発明にかかるH鎖発現ベクターは、上記ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列が、配列番号21に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号21に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖リーダー配列をコードする遺伝子の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のH鎖リーダー配列の塩基配列は、リーダー配列として機能するものであれば上記配列番号21に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号21に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記H鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖発現ベクターは、上記ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子が、配列番号22に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号22に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH遺伝子の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードするものであれば上記配列番号22に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号22に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH鎖遺伝子の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖発現ベクターは、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域をコードする遺伝子が配列番号23に示される塩基配列を有し、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードする遺伝子が配列番号24に示される塩基配列を有し、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードする遺伝子が配列番号25に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号23に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH4遺伝子の塩基配列の一例である。また配列番号24に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH3遺伝子の塩基配列の一例である。また配列番号25に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH2遺伝子の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、上記塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、CH4遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH4領域をコードするものであれば上記配列番号23に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号23に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH4遺伝子の相補配列であってもよい。
また、CH3遺伝子の塩基配列についても、ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードするものであれば上記配列番号24に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号24に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH3遺伝子の相補配列であってもよい。
また、CH2遺伝子の塩基配列についても、ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードするものであれば上記配列番号25に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号25に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH2遺伝子の相補配列であってもよい。
また、本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されていることを特徴としている。上記構成によれば、当該発現用ベクターが導入された形質転換細胞において完全長ニワトリ型抗体H鎖を生産させることが可能となる。
なお上記配列番号3または配列番号4に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号4に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また、本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号5に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第三プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されていることを特徴としている。上記構成によれば、当該発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてC末端側から7アミノ酸欠失したニワトリ型抗体H鎖を生産させることが可能となる。
なお上記配列番号3または配列番号5に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号5に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号7に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第四プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片と、配列番号6に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第五プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片とを混合し、さらに配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されていることを特徴としている。上記構成によれば、当該発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失したニワトリ型抗体H鎖を生産させることが可能となる。
ただし、上記配列番号3または配列番号4または配列番号6または配列番号7に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号4または配列番号6または配列番号7に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号8に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第六プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されていることを特徴としている。上記構成によれば、当該発現用ベクターが導入された形質転換細胞においてCH3領域とCH4領域をともに欠失したニワトリ型抗体H鎖を生産させることが可能となる。
なお上記配列番号3または配列番号8に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号8に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖発現用ベクターは、さらに上記発現用ベクターが精製用タグを有することを特徴としている。当該構成とすることで、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用形質転換細胞の培養液から目的とするニワトリ型モノクローナル抗体を容易に精製することが可能となり、より簡便にニワトリ型モノクローナル抗体を生産することができる。
一方、本発明にかかる形質転換細胞は、ニワトリ型モノクローナル抗体を生産するために用いられる形質転換細胞であって、上記ニワトリ抗体のL鎖発現用ベクターが導入され、かつ上記H鎖発現用ベクターが導入されていることを特徴としている。
上記構成によれば、Full抗体、またはΔ7aa抗体、またはΔCH2抗体、またはΔFc抗体等、種々の態様のニワトリ型モノクローナル抗体を効率良く生産することが可能となる。
一方、本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、ニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセットであって、ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーとの組み合わせからなることを特徴としている。上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子を増幅することができる。
また本発明にかかるL鎖用プライマーセットは、上記ニワトリ型抗体のL鎖のリーダー配列が、配列番号19に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号19に示す塩基配列は、L鎖リーダー配列の塩基配列の一例である。L鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のL鎖リーダー配列の塩基配列は、リーダー配列として機能するものであれば上記配列番号19に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号19に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記L鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるL鎖用プライマーセットは、上記ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする遺伝子が、配列番号20に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号20に示す塩基配列は、CL遺伝子の塩基配列の一例である。L鎖用プライマーの塩基配列は、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードする当該塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、CL遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のL鎖の定常領域をコードするものであれば上記配列番号20に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号20に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CL遺伝子の相補配列であってもよい。
一方本発明にかかるL鎖用プライマーセットは、ニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられる、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子を増幅することができる。
なお上記配列番号1または配列番号2に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば、当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号1または配列番号2に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
一方、本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセットであって、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせであることを特徴としている。
上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々抗原に対するニワトリ型抗体H鎖をコードする遺伝子を増幅することができる。
また本発明にかかるH鎖プライマーセットは、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセットであって、ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドを含むプライマーと、ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域、またはCH3領域、またはCH2領域をコードする遺伝子の塩基配列から選択され、連続する少なくとも15塩基以上のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとの組み合わせであることを特徴としている。
また上記H鎖用プライマーセットによれば、上記と同様に種々のニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖遺伝子を増幅することができる。さらには、プライマーの設定位置(CH4領域、またはCH3領域、またはCH2領域)によって、種々のサイズのH鎖遺伝子を増幅することができる。
また本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、上記ニワトリ型抗体のH鎖のリーダー配列が、配列番号21に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号21に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖リーダー配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のH鎖リーダー配列の塩基配列は、リーダー配列として機能するものであれば上記配列番号21に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号21に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記H鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、上記ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードする遺伝子が、配列番号22に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号22に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH遺伝子の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、当該塩基配列情報を元に設計すればよい。ただし、ニワトリ型抗体のCH遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖の定常領域をコードするものであれば上記配列番号22に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号22に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記H鎖リーダー配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域をコードする遺伝子が配列番号23に示される塩基配列を有し、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードする遺伝子が配列番号24に示される塩基配列を有し、上記ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードする遺伝子が配列番号25に示される塩基配列を有するものであってもよい。
配列番号23に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH4遺伝子の塩基配列の一例である。また配列番号24に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH3遺伝子の塩基配列の一例である。また配列番号25に示す塩基配列は、ニワトリ型抗体のCH2遺伝子の塩基配列の一例である。H鎖用プライマーの塩基配列は、上記塩基配列情報を元にを設計すればよい。ただし、CH4遺伝子の塩基配列は、ニワトリ型抗体のH鎖のCH4領域をコードするものであれば上記配列番号23に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号23に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH4遺伝子の相補配列であってもよい。
また、CH3遺伝子の塩基配列についても、ニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域をコードするものであれば上記配列番号24に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号24に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH3遺伝子の相補配列であってもよい。
また、CH2遺伝子の塩基配列についても、ニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域をコードするものであれば上記配列番号25に示す塩基配列に限られるものではなく、配列番号25に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記CH2遺伝子の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられる、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々抗原に対する完全長ニワトリ型抗体H鎖をコードする遺伝子を増幅することができる。
なお上記配列番号3または配列番号4に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号4に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるH鎖用プライマーセットは、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられる、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号5に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされた遺伝子を増幅することができる。
なお上記配列番号3または配列番号5に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号5に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるプライマーセットは、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられる、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号7に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号6に示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々のニワトリ型抗体のH鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされた遺伝子を増幅することができる
なお、上記配列番号3または配列番号4または配列番号6または配列番号7に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号4または配列番号6または配列番号7に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
また本発明にかかるプライマーセットは、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられる、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと配列番号8に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。上記構成によれば、PCR等の増幅反応によって、種々の抗原に対するニワトリ型抗体のH鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされた遺伝子を増幅することができる。
なお上記配列番号3または配列番号8に示される各プライマーの塩基配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば当該塩基配列に限られるのもではなく、配列番号3または配列番号8に示される塩基配列のうち、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
ニワトリ型モノクローナル抗体は、マウス・ラット等の哺乳類動物において抗体作製困難な抗原に対する抗体とすることが可能なこと、哺乳類動物型抗体と交叉反応性が無いこと等メリットが多いにも関わらず、これまで効率的な生産方法が確立されていなかったために開発・実用化が滞っていた。
本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法等によれば、種々の抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体を、CHO細胞等で効率良く大量生産することが可能となる。また、必要に応じてH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体・CH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体・CH3領域とCH4領域をともに欠失させた構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体も生産が可能である。
それゆえ、非特異的反応のない高感度抗原検出系の確立することが可能となる。さらには、当該高感度抗原検出系を用いた各種疾患の診断薬、診断方法を提供することができるという効果を奏する。加えて、本発明にかかるモノクローナル抗体の生産方法の技術をヒト型抗体へ応用することによって、各種疾患の治療薬の提供が可能となるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
<ニワトリ型抗体(モノクローナル抗体)>
本発明において生産する「ニワトリ型抗体」とは、ニワトリが有する免疫機能によって、抗原に対してニワトリが生産する抗体(IgM,IgG,IgA)のことである。そのうち特に抗原の特定部分だけを認識する単一の抗体のことを「ニワトリ型モノクローナル抗体」という。後の説明において単に「ニワトリ型抗体」と記せばポリクローナル抗体、モノクローナル抗体両方を含む意味であり、「ニワトリ型モノクローナル抗体」と記せばモノクローナル抗体のみを含む意味である。ただし、本発明においては「ニワトリ型抗体(モノクローナル抗体)」とは、ニワトリ自身が生産する天然抗体と同様の構造を有する抗体であればよく、例えばニワトリ以外の宿主細胞にニワトリ型抗体をコードする遺伝子を導入して得られた形質転換細胞によって生産される抗体、公知のファイージディスプレイ法により生産される抗体をも含む意味である。また抗体の一部のアミノ酸が欠失・置換されたものであってよく、またアミノ酸が付加されたもの(構造改変ニワトリ型抗体(モノクローナル抗体))であってもよい。ニワトリ型抗体分子は、哺乳類動物型抗体(IgG)より分子量が大きいため、用途如何によっては不要なアミノ酸を欠失させた構造改変ニワトリ型抗体(モノクローナル抗体)が好ましい場合があるからである。
<ニワトリ型モノクローナル抗体(L鎖、H鎖)をコードする遺伝子の取得>
本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法(以下本生産方法と称する)は、ターゲットとなるニワトリ型モノクローナル抗体をコードする遺伝子を任意の発現用ベクターによって宿主細胞に導入し、当該導入によって得られた形質転換細胞を培養することによってターゲットのニワトリ型抗体を生産する方法である。したがって、まずターゲットとなるニワトリ型モノクローナル抗体をコードする遺伝子を取得する必要がある。抗体分子はL鎖とH鎖が会合した2組のペプチドで構成されているため、L鎖をコードする遺伝子(L鎖遺伝子)とH鎖をコードする遺伝子(H鎖遺伝子)のそれぞれが必要となる。上記遺伝子の取得方法については特に限定されるものではないが、簡便かつ迅速に大量の遺伝子を取得できるという理由で公知のPCR法等の増幅反応を用いて取得することが好適である。本生産方法においては、特にPCR法等の増幅反応により、L鎖遺伝子およびH鎖遺伝子を取得している。
<L鎖用プライマー、H鎖用プライマー>
かかるPCR法は、目的遺伝子の塩基配列情報から設計したセンスプライマー(フォアードプライマー)およびアンチセンスプライマー(リバースプライマー)のセットを用いて、ゲノムDNA等を鋳型として目的遺伝子を増幅する。したがって本生産方法を行なうためには、まず目的の遺伝子(L鎖遺伝子、H鎖遺伝子)を増幅するためのプライマーを設計する必要がある。なおL鎖遺伝子を増幅するためのプライマーをL鎖プライマー、該セットをL鎖プライマーセットといい、H鎖遺伝子を増幅するためのプライマーをH鎖プライマー、該セットをH鎖プライマーセットという。
プライマー配列は、公知のニワトリ型モノクローナル抗体の配列情報を元に設計すればよい。またそのニワトリ型抗体が認識する抗原は、特に限定されるものではない。本発明におけるプライマー配列は、種々の抗体遺伝子において高度に保存されている領域に設計することに意義があるからである。上記高度に保存されている領域に設計されたプライマーを用いることによって、種々の抗原を認識するモノクローナル抗体を増幅することができるのである。
例えば、本発明者らが作製した抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体の塩基配列情報を元にプライマー配列を設計すればよい。そのプライマー配列は、germline(生殖細胞系列)より設計しており、その塩基配列情報は、L鎖 gene bank Accession No.M24403、H鎖 gene bank Accession No.M30319およびX07174により入手可能である。プライマーの設計には公知のソフトウエアを用いればよく、例えばOLIGO 4.05 Primer Analysis Software (National Bioscience) を用いることが可能である。
プライマーを設計する位置は、既述のごとく種々の抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体に高度に保存されている塩基配列上、換言すれば、種々のニワトリ型モノクローナル抗体に共通する塩基配列上に設計すればよい。
より具体的には、ニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖、およびH鎖の可変領域(以下、V領域と称する)のリーダー配列、並びに定常領域をコードする遺伝子(以下、定常領域遺伝子という)の塩基配列から選択され、連続するオリゴオリゴヌクレオチドをプライマーとすればよい。上記リーダー配列、定常領域遺伝子は、種々のニワトリ型モノクローナル抗体において共通する塩基配列を有する領域だからである。ここで「リーダー配列」とは、分泌タンパク質のアミノ酸末端ドメインをコードする配列である。
上記ニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖のリーダー配列は、例えば配列番号19に示される塩基配列を有するものが挙げられ、同L鎖の定常領域遺伝子の塩基配列は、例えば配列番号20に示される塩基配列を有するものが挙げられる。またニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖のリーダー配列は、例えば配列番号21に示される塩基配列を有するものが挙げられ、同H鎖の定常領域遺伝子の塩基配列は、例えば配列番号22に示されるものが挙げられる。なお、上記の各リーダー配列、定常領域遺伝子の塩基配列は、目的の領域をコードするものであれば配列番号に挙げたものに限定されるものではなく、1ないし数個の塩基が欠失、置換、付加されたものであってもよい。
ところで、L鎖の定常領域のC末端に存在するシステイン残基は、H鎖とL鎖がジスルフィド結合(S−S結合)により会合して抗体分子を形成するために必要なアミノ酸である。したがって、上記L鎖の定常領域のC末端に存在するシステイン残基を増幅可能な位置にプライマーを設計しておくことが好ましいといえる。
またニワトリ型抗体のH鎖の定常領域は、CH1領域、CH2領域、CH3領域、およびCH4領域で構成されている。ニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖を増幅するために用いられるプライマーは、上記CH1領域、CH2領域、CH3領域、CH4領域をコードする遺伝子のいずれの領域に設計してもよいが、CH4領域、CH3領域、CH2領域上に設計することが好ましい。抗体分子は、H鎖2分子とL鎖2分子がS−S結合により会合することによって構成されている。よって抗体分子を形成するためには、上記S−S結合を行なう領域が必要である。CH1領域には、L鎖とH鎖とがS−S結合を行なう領域が含まれており、CH2領域にはH鎖同士がS−S結合を行なう領域が含まれている。したがって、抗体分子を形成するためには、少なくともCH2領域のうちS−S結合を行なう領域、およびCH1領域が必要であるといえる。
それゆえ上述のごとく、プライマーは少なくとも上記必要な領域を増幅可能な位置に設計されていることが好ましい。より具体的にはCH4領域、CH3領域、CH2領域上に設計することが好ましいといえる。CH4領域、CH3領域上においてプライマーを設計する場合には特にその位置については限定的ではないが、CH2領域上にプライマーを設計する場合においては、S−S結合を行なう領域を増幅可能な位置にプライマーを設計することが必要であるといえる。
上記ニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖のCH4遺伝子の塩基配列は、例えば配列番号23に示される塩基配列を有するものが挙げられ、同CH3遺伝子の塩基配列は、例えば配列番号24に示される塩基配列を有するものが挙げられ、同CH4遺伝子の塩基配列は、例えば配列番号25に示されるものが挙げられる。なお、上記遺伝子の塩基配列は、上記目的の領域をコードするものであれば配列番号に挙げたものに限定されるものではなく、上記目的の領域をコードするものであれば1ないし数個の塩基が欠失、置換、付加されたものであってもよい。
なおプライマーを設計する長さについては、目的のL鎖遺伝子またはH鎖遺伝子が増幅することができる長さであれば特に限定されるものではないが、L鎖遺伝子の場合15塩基以上が好ましく、20塩基以上がさらに好ましい。また、H鎖遺伝子の場合15塩基以上が好ましく、20塩基以上がさらに好ましく、25塩基以上最も好ましい。上記好ましい範囲以下のオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用すると、非特異的なアニーリングが起こりやすくなり、目的以外のDNAが増幅される可能性が高くなるからである。特にH鎖を増幅する際には、増幅するサイズが大きいために、長いプライマーを用いることが好ましい。一方、プライマーの長さの上限値については、L鎖遺伝子の場合、40塩基以下が好ましく、30塩基以下がさらに好ましい。またH鎖遺伝子の場合、40塩基以下が好ましく、35塩基以下がさらに好ましい。プライマーは長ければ長いほど、非特異的なアニーリングを防止することができるために好ましいが、プライマー配列内で結合して2次構造を作ってしまうことや、コスト、時間、労力等においてデメリットがあるために、上記好ましい半以下の長さのプライマーとすることが好ましいといえる。
また各プライマーには、発現ベクターに導入する際に必要な制限酵素認識配列を付加して設計されていることが好ましい。発現ベクターの構築をより簡便に行なうことができるからである。なお、上記制限酵素認識配列を付加する際には、フレームシフトが起こらないように留意すべきことは言うまでもない。
以下に上記の点をふまえて設計した各種プライマーの一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
L鎖用プライマーの一例としては、完全長のL鎖遺伝子を増幅することが可能なプライマーのセット(第一プライマーセット)が挙げられる。第一プライマーセットは、ATATATAAGCTTGCCATGGCCTGGGCTCCTCTCCT(配列番号1)に示される塩基配列を有するプライマーと、TCTCTAGATTAGCACTCGGACCTCTTCAG(配列番号2)に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。配列番号1に示されるプライマーは、L鎖遺伝子のリーダー配列上に設計されたプライマーであり、さらにベクターに挿入するために使用する制限酵素HindIII認識配列(AAGCTT)が付加されている。また配列番号2に示されるプライマーは、L鎖遺伝子の定常領域上に設計されたプライマーであり、同じく制限酵素XbaI認識配列(TCTAGA)が付加されている。付加する制限酵素認識配列は、特に限定されるものではなく、目的とするL鎖遺伝子内にその制限酵素サイトが存在しないこと、およびその制限酵素サイトが発現ベクターのクローニングサイトとして利用可能であること等の観点から適宜選択の上利用が可能である。例えば、pcDNA3.1/myc-His(A)(Invitrogen社)を発現ベクターに用いる場合、BamHI認識配列、EcoRI認識配列をL鎖用プライマーに付加することが可能である。
図2にHUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記第一プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(L鎖遺伝子)のHindIII認識配列〜XbaI認識配列間の塩基配列(配列番号9)、およびアミノ酸配列(配列番号10)を示す。同図中塩基配列に下線(実線)を引いたものがHindIII認識配列であり、同図中白抜き四角で囲った部分が、配列番号1に示される塩基配列を有するプライマー配列(後半一部)である。また下線(破線)を引いたものがXbaI認識配列であり、同図中影つき四角で囲った部分が、配列番号2に示される塩基配列を有するプライマー配列の相補配列(後半一部)である。
ここで図中2重下線を引いた箇所がL鎖遺伝子におけるV領域(VL領域)であり、矢印線を引いた部分がリーダー配列(Leader sequence)である。また同図中に示す塩基配列の382位〜696位の領域は、L鎖遺伝子における定常領域(CL領域)である。また同図中、塩基配列の両端に示したHindIIIおよびXbaIは、ベクターにクローニングする際に用いる制限酵素認識部位を示している。さらに同図中CL1は、CL1の開始点を示し、それ以降3’端方向はCL1領域であることを示している。
図2に示されるとおり第一プライマーセットは、リーダー配列およびCL領域上に設定されている。これは、リーダー配列およびCL領域の塩基配列は、あらゆる抗原に対するニワトリ型抗体において同じ配列が保存されているためである。換言すれば、VL領域は抗原に応じて変化する配列であるのに対して、リーダー配列およびCL領域の塩基配列は不変だからである。したがってその領域にプライマーを設定しておけば、あらゆる抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖遺伝子を増幅することが可能だといえる。ただしこのことは、ニワトリをはじめとする鳥類が持つ独特の抗体遺伝子の多様性獲得メカニズムによって成り立つ。哺乳類動物の抗体遺伝子の多様性は、V領域に存在するV遺伝子群とJ遺伝子群の中からそれぞれ1つずつのV遺伝子およびJ遺伝子が再編成されることによって獲得している。したがって、抗体ごとにV領域におけるV遺伝子が異なるため、1つのプライマーを設計するだけではあらゆる抗原に対する抗体遺伝子を増幅することができない。つまりあらゆる抗原に対する抗体遺伝子を増幅するためには複数のプライマーを設計し、それらを増幅に用いなければならないということである。一方鳥類の抗体遺伝子の多様性は、V領域に存在する1つのV遺伝子および1つのJ遺伝子が再編成され、さらにV遺伝子の一部が、多数存在する偽遺伝子と遺伝子変換することによって獲得している。したがって、鳥類のV領域をコードする遺伝子は、たった1つのV遺伝子およびJ遺伝子組み合わせからなる。よってそのV領域をコードする塩基配列の中に塩基配列が不変な領域、つまり上記リーダー配列が存在することとなる。つまりそのリーダー配列内にプライマーを設計すれば、そのプライマーと定常領域側に設計したプライマーの組み合わせによってあらゆる抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体が増幅することができるということである。これは、本生産方法が完成した大きな理由の一つである。なお上記抗体の多様性獲得機構は、L鎖およびH鎖において共通のメカニズムである。
次にH鎖用プライマーの一例としては、完全長のH鎖遺伝子を増幅することが可能なプライマーのセット(第二プライマーセット)が挙げられる。上記第二プライマーセットは、完全長のH鎖遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセットであり、TTGGTACCACCATGAGCCCACTCGTCTCC(配列番号3)に示される塩基配列を有するプライマーと、TTACCGGTTTTACCAGCCTGTTTCTGCAG(配列番号4)に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。配列番号3に示されるプライマーは、L鎖遺伝子のリーダー配列上に設計されたプライマーであり、さらにベクターに挿入するために使用する制限酵素KpnI認識配列(GGTACC)が付加されている。また配列番号4に示されるプライマーは、H鎖遺伝子の定常領域上に設計されたプライマーであり、同じく制限酵素PinAI認識配列(ACCGGT)が付加されている。付加する制限酵素認識配列は、特に限定されるものではなく、目的とするH鎖遺伝子内にその制限酵素サイトが存在しないこと、およびその制限酵素サイトが発現ベクターのクローニングサイトとして利用可能であること等の観点から適宜選択の上利用が可能である。例えば、発現ベクターとしてpcDNA4/myc-His(A)(Invitrogen社)を用いる場合、XbaI認識配列をH鎖用プライマーに付加することが可能である。
図3にHUC2−13のmRNAから調製したcDNAを鋳型とし、上記第二プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号11)およびアミノ酸配列(配列番号12)を示す。同図中塩基配列に下線(実線)を引いたものがKpnI認識配列であり、同図中白抜き四角で囲った部分が、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマー配列(後半一部)である。また下線(破線)を引いたものがPinAI認識配列であり、同図中影つき四角で囲った部分が、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマー配列の相補配列(後半一部)である。
ここで図中2重下線を引いた箇所がH鎖遺伝子におけるV領域(VH領域)であり、矢印線を引いた部分がリーダー配列(Leader sequence)である。また同図中に示す塩基配列の454位以降の領域は、H鎖遺伝子における定常領域(CH領域)である。特に同図中に示す塩基配列の454位〜768位の領域はCH1領域を示し、769位〜1050位の領域はCH2領域を示し、1051位〜1377位の領域はCH3領域を示し、1378位〜1731位はCH4領域を示している。
また同図中、塩基配列の両端に示したKpnIおよびPinAIは、ベクターにクローニングする際に用いる制限酵素認識部位を示している。さらに同図中CH1・CH2・CH3・CH4は、各々CH1領域・CH2領域・CH3領域・CH4領域の開始点を示し、それ以降3’端方向はCH1領域・CH2領域・CH3領域・CH4領域であることを示している。
図3に示されるとおり第二プライマーセットは、リーダー配列およびCH領域上に設定されており、この組み合わせによってあらゆる抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体の完全長のH鎖遺伝子を増幅することができる。
また、H鎖用プライマーの他の例として、H鎖のC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することが可能なプライマーのセット(第三プライマーセット)が挙げられる。上記第三プライマーセットは、H鎖のC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセットであり、TTGGTACCACCATGAGCCCACTCGTCTCC(配列番号3)に示される塩基配列を有するプライマーと、TTACCGGTGCGCTGGCTGAAGCGCATG(配列番号5)に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。配列番号3に示されるプライマーは、H鎖遺伝子のリーダー配列上に設計されたプライマーであり、さらにベクターに挿入するために使用する制限酵素KpnI認識配列(GGTACC)が付加されている。また配列番号5に示されるプライマーは、H鎖遺伝子の定常領域上に設計されたプライマーであり、同じく制限酵素PinAI認識配列(ACCGGT)が付加されている。付加する制限酵素認識配列は、特に限定されるものではなく、目的とするH鎖遺伝子内にその制限酵素サイトが存在しないこと、およびその制限酵素サイトが発現ベクターのクローニングサイトとして利用可能であること等の観点から適宜選択の上利用が可能である。例えば、例えば、発現ベクターとしてpcDNA4/myc-His(A)(Invitrogen社)を用いる場合、XbaI認識配列をH鎖用プライマーに付加することが可能である。
図4にHUC2−13のmRNAから調製したcDNAを鋳型とし、上記第二プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号13)およびアミノ酸配列(配列番号14)を示す。同図中塩基配列に下線(実線)を引いたものがKpnI認識配列であり、同図中白抜き四角で囲った部分が、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマー配列(後半一部)である。また下線(破線)を引いたものがPinAI認識配列であり、同図中影つき四角で囲った部分が、配列番号5に示される塩基配列を有するプライマー配列の相補配列(後半一部)である。
ここで図中2重下線を引いた箇所がH鎖遺伝子におけるV領域(VH領域)であり、矢印線を引いた部分がリーダー配列(Leader sequence)である。またVH領域以外の領域はH鎖遺伝子における定常領域(CH領域)である。また同図中に示す塩基配列の454位以降の領域は、H鎖遺伝子における定常領域(CH領域)である。特に同図中に示す塩基配列の454位〜768位の領域はCH1領域を示し、769位〜1050位の領域はCH2領域を示し、1051位〜1377位の領域はCH3領域を示し、1378位〜1707位はCH4領域を示している。
また同図中、塩基配列の両端に示したKpnIおよびPinAIは、ベクターにクローニングする際に用いる制限酵素認識部位を示している。さらに同図中CH1・CH2・CH3・CH4は、各々CH1領域・CH2領域・CH3領域・CH4領域の開始点を示し、それ以降3’端方向はCH1領域・CH2領域・CH3領域・CH4領域であることを示している。
図4に示されるとおり第三プライマーセットは、リーダー配列およびCH領域上に設定されており、この組み合わせによってあらゆる抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することができる。
また、H鎖用プライマーの他の例として、H鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することが可能なプライマーセット(第二プライマーセット、第四プライマーセット、第五プライマーセット)が挙げられる。上記第四プライマーセットは、TTGGTACCACCATGAGCCCACTCGTCTCC(配列番号3)に示される塩基配列を有するプライマーと、CAAACACAACAGCTCCACC(配列番号7)に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせであり、上記第五プライマーセットは、GTGGAGCTGTTGTGTTTGAGCTGTAGGGTGAGGCACC(配列番号6)に示される塩基配列を有するプライマーと、TTACCGGTTTTACCAGCCTGTTTCTGCAG(配列番号4)に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。第四プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片と、第五プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片とを混合し、さらに第二プライマーセットを用いて増幅することによって、H鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することができる。
図5にHUC2−13のmRNAから調製したcDNAを鋳型とし、上記要領でPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号15)およびアミノ酸配列(配列番号16)を示す。同図中塩基配列に下線(実線)を引いたものがKpnI認識配列であり、同図中白抜き四角で囲った部分が、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマー配列(後半一部)である。また下線(破線)を引いたものがPinAI認識配列であり、同図中影つき四角で囲った部分が、配列番号4に示される塩基配列を有するプライマー配列の相補配列(後半一部)である。また特に図示していないが、配列番号6示される塩基配列を有するプライマーは、同図中に示す塩基配列の805位〜841位に設定されており、配列番号7に示される塩基配列を有するプライマーは、同図中に示す塩基配列の804位〜822位に設定されている。
ここで図中2重下線を引いた箇所がH鎖遺伝子におけるV領域(VH領域)であり、矢印線を引いた部分がリーダー配列(Leader sequence)である。また同図中に示す塩基配列の454位〜1566位の領域は、定常領域(CH領域)である。特に同図中に示す塩基配列の454位〜768位の領域はCH1領域を示し、769位〜885位の領域はCH2領域を示し、886位〜1212位の領域はCH3領域を示し、1213位〜1566位はCH4領域を示している。
また同図中、塩基配列の両端に示したKpnIおよびPinAIは、ベクターにクローニングする際に用いる制限酵素認識部位を示している。さらに同図中CH1・CH2・CH3・CH4は、各々CH1領域・CH2領域・CH3領域・CH4領域の開始点を示し、それ以降3’端方向はCH1領域・CH2領域・CH3領域・CH4領域であることを示している。
第四プライマーセットおよび第五プライマーセットおよび第六プライマーセットは、リーダー配列およびCH領域上に設定されており、これらの組み合わせによってあらゆる抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することができる。
また、H鎖用プライマーの他の例として、H鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することが可能なプライマーセット(第六プライマーセット)が挙げられる。上記第六プライマーセットは、H鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅するために用いられるプライマーセットであり、TTGGTACCACCATGAGCCCACTCGTCTCC(配列番号3)に示される塩基配列を有するプライマーと、TTACCGGTCGGGCATCCCTTGACGTG(配列番号8)に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである。配列番号3に示されるプライマーは、L鎖遺伝子のリーダー配列上に設計されたプライマーであり、さらにベクターに挿入するために使用する制限酵素KpnI認識配列(GGTACC)が付加されている。また配列番号8に示されるプライマーは、H鎖遺伝子の定常領域上に設計されたプライマーであり、同じく制限酵素PinAI認識配列(ACCGGT)が付加されている。付加する制限酵素認識配列は、特に限定されるものではなく、目的とするH鎖遺伝子内にその制限酵素サイトが存在しないこと、およびその制限酵素サイトが発現ベクターのクローニングサイトとして利用可能であること等の観点から適宜選択の上利用が可能である。
図6にHUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記第二プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号17)およびアミノ酸配列(配列番号18)を示す。同図中塩基配列に下線(実線)を引いたものがKpnI認識配列であり、同図中白抜き四角で囲った部分が、配列番号3に示される塩基配列を有するプライマー配列(後半一部)である。また下線(破線)を引いたものがPinAI認識配列であり、同図中影つき四角で囲った部分が、配列番号8に示される塩基配列を有するプライマーの相補配列(後半一部)である。
ここで図中2重下線を引いた箇所がH鎖遺伝子におけるV領域(VH領域)であり、矢印線を引いた部分がリーダー配列(Leader sequence)である。また同図中に示す塩基配列の454位以降の領域は、H鎖遺伝子における定常領域(CH領域)である。特に同図中に示す塩基配列の454位〜768位の領域はCH1領域を示し、769位〜1050位の領域はCH2領域を示している。
また同図中、塩基配列の両端に示したKpnIおよびPinAIは、ベクターにクローニングする際に用いる制限酵素認識部位を示している。さらに同図中CH1およびCH2は、各々CH1領域およびCH2領域の開始点を示し、それ以降3’端方向はCH1領域およびCH2領域であることを示している。
図6に示されるとおり第六プライマーセットは、リーダー配列およびCH領域上に設定されており、この組み合わせによってあらゆる抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体のH鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子を増幅することができる。
なお、上記各プライマーの配列は、目的の遺伝子を増幅することができるものであれば上記各配列番号に示す塩基配列に限定されるものではなく、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、付加された塩基配列であってもよい。また上記それぞれの塩基配列の相補配列であってもよい。
次に上記各プライマーセットを用いたニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子の増幅方法について説明する。遺伝子の増幅方法は、PCR法およびその改変法を用いて行なえばよく、その反応条件についても特に限定されるものではない。ただし、H鎖遺伝子については増幅されにくい場合が多い。本発明者らの鋭意検討によれば、後述する実施例において使用したGC bufferI(タカラバイオ社製)、TAKARA LA Taq polymerase(タカラバイオ社製)が最も好ましい組み合わせであるという結果を得ている。また、H鎖遺伝子は増幅量についても少ない場合が多く、かかる場合には、少なくとも2回以上増幅反応を行なえばよいということも確認している。なお上記GCブッファーIは、増幅領域がGCリッチ、あるいは強固な2次構造をとる場合に好適なバッファーとして知られている。
一方鋳型DNAは、例えば所望の抗原に対するニワトリ型モノクローナル抗体産生ハイブリドーマからRNAを抽出し、公知の方法(例えばOligo-dTプライマー法等)によりcDNAを合成し、それを鋳型とすればよい。
<L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターの構築>
上記説示した方法によって取得したL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子を宿主細胞に導入し、該細胞内でL鎖およびH鎖を発現させるためのベクター(以下L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターと称する)、およびそれらの構築方法について説明する。
L鎖発現用ベクターまたはH鎖発現用ベクターは、ニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖またはH鎖を宿主細胞内で発現させることができるものであれば特にその構成等は限定されるものではなく、環状ベクターであってもよいし、リニア形状であってもよい。したがって基本的には取得したL鎖遺伝子またはH鎖遺伝子をプロモーターの下流に制御可能に連結して構築すればよい。使用するプロモーターの種類も特に限定されるものではなく、宿主細胞内において機能するものであればよい。例えば、動物由来細胞用としては、SV40やウシ・パピローマ・ウイルス(BPV)プロモーターやヒトサイトメガロウイルスプロモーター(CMV)等が挙げられる。またその他上記L鎖発現用ベクターまたはH鎖発現用ベクターには、プロモーター以外の種々のDNAセグメントが含まれていてもよい。DNAセグメントとしては、例えば遺伝子導入のマーカーとなる薬剤耐性遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子・ゼオシン耐性遺伝子等)、ターミネーター、精製用タグ(ヒスチジンタグ等)を付加する配列を挙げることができる。また導入する宿主細胞に好適な市販ベクターを用いてもよい。後述する実施例においては、pcDNA3.1/myc-His(A)(Invitrogen社)、およびpcDNA4/myc-His(A)(Invitrogen社)をベースとして用い、L鎖発現用ベクター、およびH鎖発現用ベクターを構築している。そのほかpEF1/myc-His(Invitrogen社)、pSecTag2/Hygro(Invitrogen社)が公知のベクターとして利用可能である。
各発現用ベクターの構築方法は、特に限定されるのではなく、必要な遺伝子配列を通常の遺伝子工学的手法を用いて連結すればよい。またPCRによって取得したL鎖遺伝子またはH鎖遺伝子をサブクローニングすることなく上記各発現用ベクターを構築してもよいし、サブクローニング用ベクター、例えばpUC19、pBluescript II を用いて大腸菌等にサブクローニングを行なった後に上記各発現用ベクターを構築してもよい。
<L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターの宿主細胞の形質転換>
上記L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターを用いて、宿主細胞の形質転換を行なう。なお抗体分子はL鎖およびH鎖がS−S結合によって形成される複合体(L鎖―H鎖複合体)が2分子結合した2量体である。したがって宿主細胞には、L鎖遺伝子およびH鎖遺伝子の両者を導入する必要がある。
上記具体例として挙げた各プライマーセットで増幅したL鎖遺伝子、H鎖遺伝子を用いることによって、以下のL鎖遺伝子発現用ベクター、及びH鎖遺伝子発現用ベクターを構築し、L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターを適宜組み合わせ、同一の宿主を形質転換すればよい。L鎖発現用ベクターの一例としては、完全長のL鎖遺伝子を用いて構築した完全長のL鎖発現用ベクターがあり、H鎖発現用ベクターの一例としては、完全長のH鎖遺伝子(FullH鎖遺伝子)を用いて構築したH鎖発現用ベクター(FullH鎖発現用ベクター)、およびC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子(Δ7aaH鎖遺伝子)を用いて構築したH鎖発現用ベクター(Δ7aaH鎖発現用ベクター)、またはCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子(ΔCH2H鎖遺伝子)を用いて構築されたH鎖発現用ベクター(ΔCH2H鎖発現用ベクター)、またはCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子(ΔFcH鎖遺伝子)を用いて構築されたH鎖発現用ベクター(ΔFcH鎖発現用ベクター)がある。
L鎖発現用ベクターおよびFullH鎖発現用ベクターを用いて、L鎖遺伝子およびFullH鎖遺伝子を宿主細胞に導入すれば、完全長ニワトリ型モノクローナル抗体(Full抗体)を生産することができる。また、L鎖発現用ベクターおよびΔ7aaH鎖発現用ベクターを用いて、L鎖遺伝子およびΔ7aaH鎖遺伝子を宿主細胞に導入すれば、H鎖のC末端側から7アミノ酸欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(Δ7aa抗体)を生産することができる。また、L鎖発現用ベクターおよびΔCH2H鎖発現用ベクターを用いて、L鎖遺伝子およびΔCH2H鎖遺伝子を宿主細胞に導入すれば、CH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(ΔCH2抗体)を生産することができる。さらに、L鎖発現用ベクターおよびΔFcH鎖発現用ベクター用いて、L鎖遺伝子およびΔFcH鎖遺伝子を宿主細胞に導入すれば、CH3領域とCH4領域をともに欠失させた構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(ΔFc抗体)を生産することができる。図1に各モノクローナル抗体の構造の模式図を示す。
なお形質転換を行なう宿主細胞については、特に限定されるものではなく、上記で構築した各発現用ベクターに応じた宿主を選択して用いればよい。すなわち宿主細胞は、動物由来細胞であっても、植物由来細胞であってもよい。また動物由来細胞、植物由来細胞とは、細胞、組織、並びに器官も含む意味である。特にニワトリ型モノクローナル抗体の大量生産を目的としている本発明においては、免疫システムを有する動物由来の細胞であることが好ましく、液体培地等で培養可能な細胞(培養細胞)が好ましい。動物由来培養細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)・HeLa細胞・メラノーマ細胞・マウス3T3細胞等が挙げられ、植物由来培養細胞の例としては、タバコBY2細胞等が挙げられる。後述する実施例においては、宿主細胞にCHO細胞を用いている。これは、当該細胞が浮遊培養が可能であること、世代時間が12時間と短く、増殖能力が高いためにニワトリ型モノクローナル抗体の大量生産に好適であるという理由による。
一方形質転換方法についても特に限定されるものではなく、宿主細胞・発現用ベクターに好適な方法を選択して用いればよい。例えば、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、リン酸カルシウム法、プロトプラスト/スフェロプラスト法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。また特に植物由来細胞への一般的な形質転換法としては、アグロバクテリウムを用いた形質転換法(アグロバクテリウム法)を挙げることができる。ただしL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子が、宿主細胞のゲノムに組み込まれることが好ましい。抗体遺伝子がゲノムに組み込まれることにより、細胞分裂後の娘細胞にもベクターの構成に含まれる遺伝子を確実に伝達することが可能となり、ニワトリ型モノクローナル抗体の生産効率を維持することが可能となるからである。
またL鎖遺伝子およびH鎖遺伝子が宿主細胞に導入されたか否かを確認する方法は、特に限定されるものではなく、公知の各種の方法を用いることができる。具体的には、各種マーカーを用いればよい。例えば、宿主細胞中で欠失している遺伝子をマーカーとして用い、このマーカーと組み換え植物ウイルス遺伝子とを含むプラスミド等を発現用ベクターとして宿主細胞に導入する。これによってマーカー遺伝子の発現から本発明の遺伝子の導入を確認することができる。例えば後述する実施例においては、CHO細胞を形質転換しており、薬剤耐性マーカー(ネオマイシン耐性遺伝子・ゼオシン耐性遺伝子)を用いてCHO細胞を形質転換しており、ネオマイシンおよびゼオシンを含有する培地中で、形質転換候補細胞株を培養することにより、生育してきた細胞株を形質転換体として選抜することが可能となる。その他のマーカーとしては、ピューロマイシン耐性マーカー、ブレオマイシン耐性マーカー、XGPRT遺伝子、DHFR遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子等が動物細胞の選抜には有効であり、ビアラホス耐性マーカー、カナマイシン耐性マーカー等が植物細胞の選抜に有効である。その他、宿主細胞から調製したゲノムDNAを鋳型とし、導入したタンパク質(転写因子)の遺伝子全長を特異的に増幅するいわゆるジェノミックPCR法を挙げることができる。この方法によって、目的タンパク質(転写因子)をコードする遺伝子が増幅されてくることを電気泳動法等によって確認できれば、該遺伝子の導入を確認することができる。
<形質転換細胞の培養(ニワトリ型モノクローナル抗体の生産)>
次に上記で取得した形質転換細胞を用いてニワトリ型モノクローナル抗体の生産を行なう。より具体的には、上記形質転換細胞を培養し、その培養物から目的のニワトリ型モノクローナル抗体を精製すればよい。ここで形質転細胞の培養方法・培養条件等は、該形質転換細胞の培養に好適な方法を用いればよく、特に限定されるものではない。例えば動物細胞を培養する場合は、浮遊培養法・担体付着培養法・ホローファイバー培養法等が好適である。特に浮遊培養法は、適応できる細胞がリンパ系の細胞等に限られるが、ジャーファーメンターを利用することができ、スケールアップが容易であるためより好ましい。後述する実施例において採用した形質転換CHO細胞は、既に述べたとおり浮遊培養が可能な細胞である。また動物細胞を培養する際の培地としては、限定されるわけではないが、アミノ酸、ビタミン類、ブドウ糖、塩類に、血清が加えられている場合がある。その他、緩衝液として重炭酸/炭酸ガス系緩衝液が用いられており、培養器として、CO2インキュベーターが利用可能である。またpHのモニター用にフェノールレッドを添加する場合がある。培養条件は、一般的には37℃で培養するが、細胞株によっては、28℃、40℃の場合がある。なお後述する実施例においては、形質転換CHO細胞の培養には、10% fetal bovine serum (FBS) を含むF12 media (GIBCO BRL社) を用いて、5% CO2、37℃の条件で3日間培養を行なっている。
一方植物細胞を培養する際の培地としては、限定されるものではないが、無機塩類、炭素源、ビタミン類、アミノ酸が加えられている場合がある。さらに、ココナツミルクや酵母エキスを加えて成長を促進させる場合がある。その他、オーキシンとサイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン等の植物ホルモンを添加する場合がある。また培養条件であるが、光、温度、通気の有無等を培養する細胞に応じて最適なものを採用すればよい。
次に目的のニワトリ型モノクローナル抗体の調製方法および精製方法について説明する。L鎖遺伝子およびH鎖遺伝子が導入された形質転換細胞は、細胞内で目的のニワトリ型モノクローナル抗体のL鎖およびH鎖を生産する。生産されたL鎖およびH鎖は細胞内でS−S結合によりL鎖−H鎖複合体を形成し、さらにL鎖−H鎖複合体の2量体が形成されることによって抗体分子となる。このとき生産された抗体分子は、培養液に分泌されるか、または細胞内に蓄積する。なお生産された抗体分子が分泌されるか細胞内に蓄積するかは形質転換体細胞の種類・培養方法等によって決まる。前者のごとく生産されたニワトリ型モノクローナル抗体分子が培養液中に分泌される場合には、培養液上清を遠心分離・ろ過等によって調製し、ニワトリ型モノクローナル抗体すればよい。一方、細胞内にニワトリ型モノクローナル抗体が蓄積する場合には、細胞を、ガラスビーズ等を用いた公知の細胞破砕方法により細胞を破砕し、該細胞破砕物よりニワトリ型モノクローナル抗体を取得すればよい。
なお必要に応じて上記方法によって取得したニワトリ型モノクローナル抗体を、アフィニティークロマトグラフィーや精製用のレジンを用いる方法によって精製を行なってもよい。上記精製を行うことによって、プロテアーゼや抗原抗体反応を阻害する夾雑物を除去することができ、取得したニワトリ型モノクローナル抗体を高感度微量抗原検出系により好適に用いることができる。後述する実施例においては、生産されるニワトリ型モノクローナル抗体H鎖のC末端にヒスチジンタグが付加されるように設計してある。ヒスチジンはニッケルに吸着する性質を有するため、ニッケルカラムを用いることによって目的のニワトリ型モノクローナル抗体を簡単に精製することができる。
<本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体>
本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体は、上記説示した本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法によって生産されたものであり、例えば、Full抗体、Δ7aa抗体、ΔCH2抗体、ΔFc抗体が挙げられる。Full抗体に加えて、構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体(Δ7aa抗体、ΔCH2抗体、ΔFc抗体)を生産する理由は、ニワトリ型抗体分子は、哺乳類動物型抗体(IgG)より分子量が大きいため、用途如何によっては不要なアミノ酸を欠失させるが好ましい場合があるからである。例えば、分子を小さくすることにより、細胞膜を通過することができ、膜内の抗原に関しても検出することができるようになる。
ニワトリ型モノクローナル抗体は、マウス・ラット等の哺乳類動物では抗体を作製することができない抗原に対する抗体とすることに加え、哺乳類動物型の抗体との交叉反応性が無いため、ニワトリ型モノクローナル抗体と哺乳類動物型モノクローナル抗体を用いることによって、非特異的反応のない高感度抗原検出系を確立することが可能となる。さらには、当該高感度抗原検出系を用いた各種疾患の診断薬、診断方法に応用することができる。加えて、本発明にかかるモノクローナル抗体の生産方法の技術をヒト型抗体へ応用することによって、各種疾患の治療薬の提供が可能となる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1:抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体の生産)
一例としてヒトプリオンタンパク質(PrP)に対するニワトリ型モノクローナル抗体の生産を行なった。
〔L鎖遺伝子およびH鎖遺伝子の調製〕
L鎖遺伝子およびH鎖遺伝子は、抗PrPニワトリモノクローナル抗体から合成したcDNAを鋳型としてPCR法によって調製した。より具体的には以下のようにした。
本発明者等が細胞融合法を用いて作製した抗PrPニワトリモノクローナル抗体(HUC2−13)よりRNAを抽出し、Oligo-dTプライマー法により鋳型となるcDNAを合成した。
一方PCRに用いるプライマーセットは、増幅する遺伝子に応じて使用した。具体的には、完全長のL鎖遺伝子を増幅することが可能なプライマーのセットは第一プライマーセットであり、完全長のH鎖遺伝子(FullH鎖遺伝子)を増幅することが可能なプライマーのセットは第二プライマーセットであり、H鎖のC末端側から7アミノ酸欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子(Δ7aaH鎖遺伝子)を増幅することが可能なプライマーのセットは第三プライマーセットであり、H鎖のCH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子(ΔCH2H鎖遺伝子)を増幅することが可能なプライマーセットは、第二プライマーセットと第四プライマーセットと第五プライマーセットであり、H鎖のCH3領域とCH4領域をともに欠失するようにデザインされたH鎖遺伝子(ΔFcH鎖遺伝子)を増幅することが可能なプライマーセットは第六プライマーセットである。なおプライマーの設計は、HUC2−13の塩基配列情報より、L鎖遺伝子増幅用プライマーおよびH鎖遺伝子増幅用プライマーをOLIGO 4.05 Primer Analysis Software (National Bioscience) を用いて設計した。
ここで、ΔCH2H鎖遺伝子は、第四プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片と、第五プライマーセットを用いて増幅されるDNA断片とを混合し、さらに第二プライマーセットを用いて増幅することによって調製する。
次にPCRの反応条件について説明する。L鎖遺伝子の増幅の反応液の組成は、10×KOD plus buffer 5μl、2.0mM dNTP 5μl、25mM MgSO4 3.2μl、各10μM Primer 2.5μl、KOD pulus DNA polymerase(東洋紡社製)1μl、cDNA 1μl、H2O 29.8μlとした。また反応はサーマルサイクラー(エムジェイジャパン株式会社;モデル名PTC- 100)を用いて行なった。その反応条件は、94℃2分を1回、(94℃15秒、60℃30秒、68℃1分)を30回、4℃一定とした。
一方、H鎖遺伝子の増幅は2度行なった。H鎖は鎖長が長く、目的の増幅産物を得るためには、増幅を2度行なう必要があったからである。1度目の反応液の組成は、2×GC bufferI 25μl、2.5mM dNTP 8μl、各10μM Primer 1μl、TAKARA LA Taq polymerase(タカラバイオ社製) 0.5μl、cDNA 1μl、H2O 13.5μlとした。また反応はサーマルサイクラー(エムジェイジャパン株式会社;モデル名PTC-100)を用いて行ない。その反応条件は、94℃2分を1回、(94℃30秒、55℃30秒、72℃2分)を30回、72℃5分を1回、4℃一定とした。
増幅されたPCR断片を回収した後、それをテンプレートとしてもう一度PCRを行なった。2度目の増幅の反応液の組成は、10×KOD plus buffer 5μl、2.0mM dNTP 5μl、25mM MgSO4 3.2μl、各10μM Primer 2.5μl、KOD pulus DNA polymerase(東洋紡社製)1μl、PCR断片 0.5μl、H2O 30.3μlとした。また反応はサーマルサイクラー(エムジェイジャパン株式会社;モデル名PTC- 100)を用いて行ない。その反応条件は、94℃2分を1回、(94℃15秒、60℃30秒、68℃2分)を30回、4℃一定とした。
〔L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターの構築〕
L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターの構築方法の概略図を図7に示す。なお図7(a)がL鎖発現用ベクターの構築方法であり、図7(b)がH鎖発現用ベクター(FullH鎖発現用ベクター)の構築方法である。
L鎖遺伝子を増幅したPCR断片は、pUC19のHindIII−XbaIサイトに挿入しpUCL−2を構築した。pUCL−2は、抗体遺伝子の塩基配列を確認した後、制限酵素HindIII、XbaIで消化し、その制限消化断片をpcDNA3.1/myc-His(A)(Invitrogen社)に挿入してpcCKL−1を構築した。このpcCKL−1は、ネオマイシン耐性遺伝子,CMV(human cytomegalovirus:ヒトメガロウイルス)プロモーター,BGH(bovine growth hormone:ウシ成長ホルモン)ポリAシグナルを有する。なお上記制限酵素消化は、10×M buffer 3μl、DNA10μl、HindIII(New England Biolabs 社製)1μl、XbaI(New England Biolabs 社製)1μl、H2O 15μlの反応液組成で、37℃・6時間反応を行なった。
一方、H鎖発現用ベクターは、FullH鎖発現用ベクター、Δ7aaH鎖発現用ベクター、ΔCH2H鎖発現用ベクター、ΔFcH鎖発現用ベクターの4種類をそれぞれ構築した。その一例としてFullH鎖発現用ベクターの構築例を挙げて説明する。なお他の3つのベクターについても同様にして構築した。
FullH鎖遺伝子増幅したPCR断片を、pBluescript II SK(+)のKpnI−HincIIサイトに挿入してpBSHF−2を構築した。pBSHF−2は抗体遺伝子の塩基配列を確認した後、制限酵素KpnI,PinAIで消化、その制限酵素消化断片をpcDNA4/myc-His(A)(Invitrogen社)に挿入してpcCKH−1を構築した。このpcCKH−1はゼオシン耐性遺伝子,CMVプロモーター,BGHポリAシグナルを有する。また、C末端にヒスチジンタグが付くように構築した。
なお上記制限酵素消化は、以下のとおりに行なった。PCR断片の切断は、10×L buffer 3μl、DNA15μl、KpnI(New England Biolabs 社製)1μl、H2O 11μlの反応液組成で、37℃・6時間反応を行なった。PBluescript SK(+)の切断は、10×M buffer 2μl、DNA5μl、HincII (New England Biolabs 社製)1μl、KpnI(New England Biolabs 社製)1μl、H2O12μlの反応液組成で、37℃・6時間反応を行なった。一方、pBSHF−2およびpcDNA4/myc-His(A)の切断は、まず10×B buffer 3μl、DNA 12μl、PinAI(Roche)1μl、H2O24μlの反応液組成で、37℃・4時間反応を行なった。反応後、エタノール沈殿を行ない、H2O 17μlに溶解した。該DNA溶液に10×L buffer2μl、KpnI(New England Biolabs 社製)1μlを加え、37℃・4時間反応を行なった。
〔抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体生産CHO細胞の取得〕
約2×105のCHO細胞((財)ヒューマンサイエンス振興財団)に、L鎖発現用ベクター(pcCKL−1)およびH鎖発現用ベクター(pcCKH−1)各2.5μgをPlyFect Transfection Reagent (Qiagen社)を用いてトランスフェクションを行なった。トランスフェクションの方法については、操作マニュアルにしたがって行なった。
トランスフェクション開始から48時間後、400μg/ml Geneticin(Sigma社)と200μg/ml Zeocine(Invitrogen社)を用いて上記薬剤耐性細胞をセレクトした。さらに上記薬剤耐性細胞を、10% fetal bovine serum(FBS)を含むF12 media (GIBCO BRL社) を用いて、5% CO2、37℃の条件で3日間培養を行なった。当該培養にて得られた培養液上清について、後述するELISA法によって、最終的に抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体生産CHO細胞を選抜した。なお、Full−PrP抗体・Δ7aa−PrP抗体・ΔCH2−PrP抗体・ΔFc−PrP抗体それぞれについて抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体生産CHO細胞を取得した。なお以下それぞれの細胞をFull−PrP抗体生産CHO細胞・Δ7aa−PrP抗体生産CHO細胞・ΔCH2−PrP抗体生産CHO細胞・ΔFc−PrP抗体生産CHO細胞と称する。
〔ELISA法〕
各抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体生産CHO細胞を上記培養条件にて培養を行なった。細胞数約1×106/plateにそろえ、3日間培養した。当該培養液上清について、抗原に対する反応性をELISA法によって調べた。
ELISAプレートに抗原ヒトプリオンタンパク質25−49残基ペプチド(H25)を4℃、一晩の条件で固相化した。25% Block Ace (雪印乳業社製)入りPBSで、37℃・1時間でブロッキングを行なった。洗浄後、各細胞培養液上清を加えて37℃・1時間インキュベートした。さらに洗浄後、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ニワトリIgG(H+L)(Kirekegaard and Perry Laboratories 製)を加え、37℃・1時間インキュベートした。洗浄後、o-フェニレンジアミンを用いて発色し、490nmの吸収を測定した。表1にその結果を示す。
Figure 0004691650
よって取得したFull−PrP抗体生産CHO細胞・Δ7aa−PrP抗体生産CHO細胞・ΔCH2−PrP抗体生産CHO細胞・ΔFc−PrP抗体生産CHO細胞が生産する抗体全てについて、確かな抗原に対する反応性があった。
上記の結果から、ニワトリ型モノクローナル抗体が抗体として機能するためには、H鎖は必ずしも全長である必要はないこと、またCH4領域及びCH3領域についても必ず有している必要はないこと、さらにはL鎖とH鎖のS−S結合に必要な領域およびH鎖同士のS−S結合に必要な領域(CH2領域のシステイン残基)を少なくとも有していれば抗体として機能するということがわかった。
〔ウエスタンブロット法による抗体タンパク質の検出〕
上記ELISA法で用いた同様の培養液上清にサンプルバッファーを加え,10分間煮沸し、7.5%ゲルにてSDS−PAGEを行なった。泳動終了後、ウエットタイプブロッターを用い、Immuno-Blot PVDF membrane(Bio-RAD社製)へ転写した。転写後、5%スキムミルクおよび0.05% Tween 20 を含むPBSでブロッキングを行なった。洗浄後、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ニワトリIgG Fab fragment(Bethyl社製)と室温で1時間反応させた。反応終了後、ECL plus(Amersham Pharmacia社)を用いて発色させた。そのシグナルは、イメージアナライザー(富士フィルム社製)により解析した。
その電気泳動図を図8に示す。図8は左端レーンからFull−PrP抗体・Δ7aa−PrP抗体・ΔCH2−PrP抗体・ΔFc−PrP抗体の結果を示す。還元剤であるβ−メルカプトエタノールをサンプルバッファーに加えていないため、S−S結合が切断されない。したがって、各抗体生産CHO細胞が生産する抗体が、2量体を形成しているのかどうかを調査することができる。表2に塩基配列から推定されるアミノ酸配列により計算した各抗体の推定分子量(kDa)を示した。
Figure 0004691650
SDS−PAGE上の分子量は推定分子量より大きくなる。これは糖鎖修飾が行われるためである(Full−PrP抗体・Δ7aa−PrP抗体で6ヶ所,ΔCH2−PrP抗体・ΔFc−PrP抗体で4ヶ所)。これらの結果から、すべての抗体がH2L2(図8中矢印で示す)の2量体を形成していると考えられた。しかしながら、Full−PrP抗体とΔFc−PrP抗体においては、HLの単量体(図8中矢印で示す)が存在していた。
〔Full−PrP抗体生産量の検討〕
Full−PrP抗体生産CHO細胞の該抗体の生産量をELISA法によりにより測定し、HUC2−13のそれと比較した。
Full−PrP抗体生産CHO細胞とHUC2−13産生ハイブリドーマを、1×106 cells/plateにそろえ、24時間培養後の培養上清を回収し、ELISA法に用いた。
ELISA法は、マウスモノクローナル抗体抗ニワトリIgG (H) 1γをプレートに固相化した。それ以外については上述と同様の方法を用いた。検出は、アルカリフォスファターゼ標識抗ニワトリIgG light chain を用いた。P-ニトロフェニルフォスフェートを用いて発色させ,405nmの吸収を測定した。標準抗体として、精製卵黄抗体を用いた。
Full−PrP抗体生産CHO細胞の結果は15μg/1×106cells/24hであるのに対してHUC2−13産生ハイブリドーマの場合は、1μg/1×106cells/24hであった。この結果から、Full−PrP抗体生産CHO細胞はHUC2−13産生ハイブリドーマに比して15倍の多く抗体を発現していることが分かった。すなわち本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法によれば、目的の抗体を高生産することができるということがわかった。
(実施例2:抗PrPニワトリ型モノクローナル抗体の精製)
上記実施例1において、HLの単量体が見られたFull−PrP抗体とΔFc−PrP抗体について、ニッケルカラムによる精製を行なった。ニッケルカラムによる精製は、生産した各ニワトリ型モノクローナル抗体H鎖のC末端にヒスチジンタグを付加しているために行なうことができる。方法は以下のとおりにした。
Full−PrP抗体生産CHO細胞およびΔFc−PrP抗体生産CHO細胞を10% FBS添加F12 media にて培養後、無血清のF12 media に交換し、3〜4日培養を行なった。その培養液上清を回収し、ろ過により死細胞を除いた。その試料と、purification buffer(50 mM Na-phosphate pH 7.5, 0.5 M NaCl)で平衡化したProBond resin(Invitrogen社製ニッケルレジン)とを混合し、遠心分離によりレジンに吸着しなかったものを除いた。その後、10mM イミダゾールを含むpurification bufferで洗浄を行なった。抗体の溶出は、100mMまたは200mMのイミダゾールを含むpurification bufferを用いて行なった。溶出画分について非還元条件下および還元条件下でSDS−PAGEを行った。バンドの検出は、クマシー染色により行なった。その結果を図9に示す。
図9は、左端レーンから順にFull−PrP抗体(非還元条件下SDS−PAGE)、ΔFc−PrP抗体(非還元条件下SDS−PAGE)、Full−PrP抗体(還元条件下SDS−PAGE)、ΔFc−PrP抗体(還元条件下SDS−PAGE)の結果を示した。また図中に各抗体のH鎖、L鎖を矢印にて示した。
ニッケルレジンを使用することにより、Full−PrP抗体、ΔFc−PrP抗体ともほぼ精製することができた。さらに、還元状態でSDS−PAGEを行なうと、H鎖とL鎖に分離することができた。なおL鎖は2本検出されたが、これは高分子のバンドが、糖鎖修飾を受けたもの、低分子のバンドが糖鎖修飾を受けてないものである。このようなL鎖が2つ検出されることは,ニワトリのモノクローナル抗体や,卵黄抗体でも認めらる現象である。
以上の結果より本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法で生産した抗体は、簡単な操作で精製が可能であるということがわかった。
本発明にかかるニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法等によれば、種々の抗原に対する完全長ニワトリ型モノクローナル抗体を、CHO細胞等で効率良く大量生産することが可能となる。また、必要に応じてH鎖のC末端側から7アミノ酸欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体・CH2領域のシステイン残基を残して55アミノ酸残基を欠失した構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体・CH3領域とCH4領域をともに欠失させた構造改変ニワトリ型モノクローナル抗体も生産が可能である。
それゆえ、非特異的反応のない高感度抗原検出系の確立することが可能となる。さらには、当該高感度抗原検出系を用いた各種疾患の診断薬、診断方法、並びに食品、化学薬品等の品質検査方法を提供することができるという効果を奏する。加えて、本発明にかかるモノクローナル抗体の生産方法の技術をヒト型抗体へ応用することによって、各種疾患の治療薬の提供が可能となるという効果を奏する。
よって本発明は、医薬品工業、食品工業、化学工業をはじめとする広範な分野で有効に利用できる。さらには、本発明にかかる形質転換体に導入されたベクター、宿主細胞等をニワトリ型モノクローナル抗体の生産キットとして市販することも可能となるので、実験・研究用の試薬産業等にも応用することが可能となる。
各モノクローナル抗体(Full抗体・Δ7aa抗体・ΔCH2抗体・ΔFc抗体)の構造を示す模式図である。 HUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記第一プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(L鎖遺伝子)のHindIII認識配列〜XbaI認識配列間の塩基配列(配列番号9)、およびアミノ酸配列(配列番号10)を示す図である。 HUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記第二プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号11)およびアミノ酸配列(配列番号12)を示す図である。 HUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記第二プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号13)およびアミノ酸配列(配列番号14)を示す図である。 HUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記要領でPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号15)およびアミノ酸配列(配列番号16)を示す図である。 HUC2−13のmRNAを鋳型とし、上記第二プライマーセットを用いてPCRを行なった増幅産物(H鎖遺伝子)のKpnI認識配列〜PinAI認識配列間の塩基配列(配列番号17)およびアミノ酸配列(配列番号18)を示す図である。 (a)はL鎖発現用ベクターの構築方法を示す概略図であり、(b)はH鎖発現用ベクターの構築方法を示す概略図である。 実施例1においてFull−PrP抗体・Δ7aa−PrP抗体・ΔCH2−PrP抗体・ΔFc−PrP抗体をウエスタンブロット法によって検出した結果を示す図である。 実施例2においてFull−PrP抗体とΔFc−PrP抗体について、ニッケルカラムによる精製を行なった結果を示す電気泳動図である。

Claims (8)

  1. 配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクター、および、
    配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクターを用いて動物由来細胞を形質転換する工程を含むことを特徴とするニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法。
  2. 上記動物由来細胞が、CHO細胞であることを特徴とする請求項1に記載のニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法。
  3. 上記L鎖発現用ベクターおよび/またはH鎖発現用ベクターが精製用タグを有することを特徴とする請求項1または2に記載のニワトリ型モノクローナル抗体の生産方法。
  4. 配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなり、ニワトリ型抗体のL鎖を発現させるために用いられるL鎖発現用ベクター、および、
    配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなり、ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられるH鎖発現用ベクターからなる、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用のベクターセット。
  5. 上記L鎖発現用ベクターおよびH鎖発現用ベクターが精製用タグを有することを特徴とする請求項4に記載の、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用のベクターセット。
  6. 配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせであり、ニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるL鎖用プライマーセット、および、
    配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせであり、ニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子を増幅するために用いられるH鎖用プライマーセットからなる、ニワトリ型モノクローナル抗体生産用のプライマーセット。
  7. ニワトリ型モノクローナル抗体を生産するために用いられる、動物由来の形質転換細胞であって、以下の(a)または(b)のL鎖発現用ベクターが導入され、かつ以下の(c)または(d)のH鎖発現用ベクターが導入されていることを特徴とする、動物由来の形質転換細胞
    (a)ニワトリ型抗体のL鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、
    配列番号1に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号2に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第一プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のL鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるL鎖発現用ベクター。
    (b)上記(a)に記載のL鎖発現用ベクターであって、精製用タグを有するベクター。
    (c)ニワトリ型抗体のH鎖を発現させるために用いられる発現用ベクターであって、
    配列番号3に示される塩基配列を有するプライマーと、
    配列番号4に示される塩基配列を有するプライマーとの組み合わせである第二プライマーセットを用いて増幅されるニワトリ型抗体のH鎖をコードする遺伝子が挿入されてなるH鎖発現用ベクター。
    (d)上記(c)に記載のH鎖発現用ベクターであって、精製用タグを有するベクター。
  8. 上記動物由来の形質転換細胞がCHO細胞であることを特徴とする、請求項7に記載の細胞。
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