JP4690243B2 - デジタルフィルタ、周期性騒音低減装置および騒音低減装置 - Google Patents

デジタルフィルタ、周期性騒音低減装置および騒音低減装置 Download PDF

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Description

本発明は、周期性騒音を低減するための騒音低減装置やそれに適したデジタルフィルタに関する。
現在、ジェットファンを用いた換気ダクトやディーゼル発電機の排気ダクトなどから発せられる騒音が原因で電話による連絡が取り難いという問題が生じている。そこで、このような騒音が重畳した音声信号に対して、音声と騒音の特性上の違いを利用して騒音を抑圧し、音声を強調する騒音再合成法が検討されている。この手法は連続スペクトルの騒音を効果的に抑圧し、その効果は電話機を用いた受聴実験によって確認されている(非特許文献1,2参照)。また、実際に採取した騒音に対しても、その連続スペクトル成分の低減に効果があることが確認されている。
A. Kawamura, K. Fujii, Y. Itoh, and Y. Fukui, "A new noise reduction method using estimated noise spectrum," IEICE Trans. Fundamentals, vol. E85-A, no. 4, pp. 784-789, Apr. 2002. 川村新,藤井健作,伊藤良生,副井裕, "線形予測分析に基づく騒音抑圧法," 信学論(A), vol. J85-A, no. 4, pp. 415-423, Apr.2002.
しかし、実際には騒音は、そのような連続スペクトル成分以外にも、回転数に対応する周波数とその高調波からなる線スペクトル成分(以下、周期性騒音と称する)を含むことが多い。これに対して、騒音再合成法では後者の周期性騒音で低減効果が得られず、却って、連続スペクトルの騒音が抑えられた分だけ、周期性騒音が強調されて聞こえるという問題が生じている。その原因は、周期性騒音が母音とよく似た特性をもっていて音声と区別しにくい点にある。したがって、その低減には音声との特性上のわずかな違いを最大限に利用する工夫が必要となる。
その特性上の違いとして、ファンやエンジンの回転数に関係する周期性騒音では周波数が既知であることが挙げられる。このような周波数が既知である騒音の低減に対して、ラインエンハンサの原理に基づく手法(例えば、「杉原,藤井,川村,伊藤,副井,”音声に重畳した正弦波騒音の低減法に関する検討”,信学技報,US 2002-98,Jan 2003」参照)が提案されている。
本願発明の目的は、さらに性能が改善された周期性騒音低減装置やそのためのデジタルフィルタを提供することにある。
上記課題を解決するために、本願発明にかかるデジタルフィルタは、周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、そのインパルス応答が、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間においてのみ、0でもなく、また、その近傍の値でもない係数値を有するものである。
上記デジタルフィルタにおいて、該インパルス応答全体にわたる係数値の総和が略1であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、IIR型であり、フィードバックループを備え、該フィードバックループ中に遅延部を有し、該遅延部よって生ずる遅延時間が、該周期性騒音の周期と略同一であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間における係数値が、後段ほど小さくなるような減衰パターンを示すものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該減衰パターンが指数減衰パターンであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、FIR型であり、直列的に連続して接続された複数の遅延素子と、複数のフィルタタップとを備え、複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上において、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、0でもなく、また、その近傍の値でもないフィルタ係数が設定されたフィルタタップが設けられたものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間における係数値が、後段ほど小さくなるような減衰パターンを示すものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該減衰パターンが指数減衰パターンであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該減衰パターンがハミング窓の後半部に相当する減衰パターンであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間における係数値が、ハミング窓に相当するパターンを示すものであってもよい。
上記課題を解決するために、本願発明にかかるもう一つのデジタルフィルタは、周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、適応型であり、直列的に連続して接続された複数の遅延素子と、フィルタ係数を更新可能な複数のフィルタタップとを備え、該周期性騒音の音声信号が主入力信号として用いられ、該デジタルフィルタの出力信号と該音声信号との誤差信号のパワーが最小化されるように該フィルタタップのフィルタ係数が更新され、複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上において、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップが設けられたものである。
上記デジタルフィルタにおいて、該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップによってその出力信号に対してフィルタ係数が乗ぜられる遅延素子以外の遅延素子の出力信号に対しては、フィルタタップを設けないか、又は、0若しくはその近傍の値をフィルタ係数として乗ずるためのフィルタタップが設けられたものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該デジタルフィルタにおいて実行される適応アルゴリズムが学習同定法であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、そのフィルタ係数更新可能範囲の最大値の合計値が、1又はその近傍の値であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、フィルタ係数が0又は正値に制限されるものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、そのフィルタ係数更新可能範囲の最大値が、後段のフィルタタップほど小さくなるような減衰パターンを示すものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該減衰パターンが指数減衰パターンであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該減衰パターンが、ハミング窓の後半部に相当する減衰パターンであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、そのフィルタ係数更新可能範囲の最大値が、ハミング窓に相当するパターンを示すものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該周期性騒音が第一周期を有する騒音成分と第二周期を有する騒音成分とを含み、該第一周期よりも該第二周期の方が大きく、複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上における、該第一周期の周期的なタイミングに略一致する時間と、該第二周期の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップが設けられた
ものであってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該周期性騒音が第一周期を有する騒音成分と第二周期を有する騒音成分とを含み、該第一周期よりも該第二周期の方が大きく、複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上の所定時間よりも前の時間における、該第一周期の周期的なタイミングに略一致する時間と、複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上における、該第二周期の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップが設けられたものであってもよい。
上記課題を解決するために、本願発明にかかるさらにもう一つのデジタルフィルタは、周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、適応型であり、該デジタルフィルタにおいて、第一工程、第二工程 及び 第三工程が実行され、第一工程において、該デジタルフィルタが有する全てのフィルタタップでフィルタ係数の更新がなされ、第二工程において、第一工程が実行されることによって収束したフィルタ係数が所定の閾値よりも大きいフィルタタップが、第一フィルタタップとして抽出され、第三工程において、第二工程が実行されることによって抽出された第一フィルタタップに対してはフィルタ係数の更新が許容され、それ以外のフィルタタップに対しては、フィルタ係数が0又はその近傍の値に設定され、かつ、フィルタ係数の更新が許容されないものである。
上記デジタルフィルタにおいて、該デジタルフィルタにおいて実行される適応アルゴリズムが学習同定法であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該第三工程において、該第一フィルタタップのフィルタ係数更新可能範囲の最大値の合計値が、1又はその近傍の値であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該第三工程において、該第一フィルタタップのフィルタ係数が0又は正値に制限されるものであってもよい。
上記課題を解決するために、本願発明にかかるさらにもう一つのデジタルフィルタは、周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、適応型であり、第一適応アルゴリズム実行部と、第二適応アルゴリズム実行部とを備え、第一適応アルゴリズム実行部と第二適応アルゴリズム実行部とは、フィルタタップ数と単位遅延時間が同一であり、第一適応アルゴリズム実行部に入力される主入力信号が、第二適応アルゴリズム実行部にも主入力信号として入力され、第二適応アルゴリズム実行部で適応アルゴリズムが実行されることによって収束したフィルタ係数が、所定の閾値よりも大きいフィルタタップが、第二フィルタタップとして抽出され、第一適応アルゴリズム実行部において、該抽出された第二フィルタタップと同一のタップ番号を有するフィルタタップに対しては、フィルタ係数の更新が許容され、それ以外のフィルタタップに対しては、フィルタ係数が0又はその近傍の値に設定され、かつ、フィルタ係数の更新が許容されないものである。
上記デジタルフィルタにおいて、該第一適応アルゴリズム実行部において実行される適応アルゴリズム、及び、該第二適応アルゴリズム実行部において実行される適応アルゴリズムが、いずれも学習同定法であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該第一適応アルゴリズム実行部の適応アルゴリズムにおいて、フィルタ係数の更新が許容されるフィルタタップでのフィルタ係数更新可能範囲の最大値の合計値が、1又はその近傍の値であってもよい。
上記デジタルフィルタにおいて、該第一適応アルゴリズム実行部の適応アルゴリズムにおいて、フィルタ係数の更新が許容されるフィルタタップでのフィルタ係数が0又は正値に制限されるものであってもよい。
上記課題を解決するために、本願発明にかかる周期性騒音低減装置は、音声信号入力部と、音声信号出力部と、フィルタとを備え、該音声信号入力部に周期性騒音を含む音声信号が入力され、音声信号入力部に入力された音声信号が該フィルタに入力され、該音声信号入力部に入力された音声信号から該フィルタの出力信号を減ずることによって生成される信号が該音声信号出力部から出力され、該フィルタが上記したデジタルフィルタデジタルフィルタである。
上記課題を解決するために、本願発明にかかる騒音低減装置は、第一騒音低減装置と、その後段に直列に接続された第二騒音低減装置とを備える騒音低減装置であっって、該第一騒音低減装置と該第二騒音低減装置のうちの一方が、上記の周期性騒音低減装置であり、他方が、線型予測フィルタを使った騒音再合成法に基づいて騒音を低減させる装置である。
上記課題を解決するために、本願発明にかかるもう一つの周期性騒音低減装置は、第一マイクロホンと、第二マイクロホンと、スピーカと、フィルタとを備え、該フィルタが上記したデジタルフィルタであり、該第一マイクロホンに周期性騒音が入力され、該第一マイクロホンの出力信号が該フィルタに入力され、該フィルタの出力信号が該スピーカに送出され、該周期性騒音と該スピーカからの放射音とが該第二マイクロホンに入力され、該第二マイクロホンの出力信号が適応アルゴリズム実行のための誤差信号として該フィルタに入力されるものである。
本願発明によれば、周期性騒音を有効に低減させることができる。
[1.評価方法]
(ラインエンハンサの原理に基づく周期性騒音低減システム)
図1は、ラインエンハンサの原理に基づく周期性騒音の低減システム(Line Enhancer System:LES)である。ただし、Z-Nは入力信号にN標本化周期の遅延を与える素子、ADF(Adaptive Digital Filter)は適応フィルタである。また、本検討ではADFの係数を更新するアルゴリズムとして、最も一般的な学習同定法(例えば、「野田淳彦,南雲仁一,”システムの学習的同定法,”計測と制御,vol.7, no.9, pp.597-605(1968)」参照)
Figure 0004690243
を用いる。ここで、h(n)は時刻nにおいてADFに設定される係数ベクトル、μはステップサイズ、y(n)は予測誤差、x(n)はADFに設定されている参照信号ベクトルである。
また、以降のシミュレーションでは、図2に示す男性音声に図3の周期性騒音がSN比0.0dB で重畳した信号を入力信号として用いる。図4はその入力信号波形である。ただし、その周期性騒音は、実際に採取したジェットファンの騒音を模擬する f0=160Hz を基本周波数とする線スペクトルの集合
Figure 0004690243
として与えている。ここで、Ts=1/8000 は標本化周期、r(k) は 0〜1 までの一様乱数である。
この図1のシステムに図4の信号を与えたときのLESの出力信号を図5に示す。ただし、遅延数N=66、タップ数M=200、ステップサイズμ=0.05である。
また、システムの性能を出力信号の音質・騒音抑圧効果について評価する。音質の評価式として
Figure 0004690243
を、騒音抑圧効果の評価式として
Figure 0004690243
を導入する。ここで、Kは全サンプル数で K=50,000 である。また、その評価のために同じシステムを3つ用意し、1つには図4の信号を入力し、そこで得られたADFの係数を残りの2つに複写する。さらに、その複写された係数をもつ2つのシステム に音声xs(n)のみを入力して得られる出力をys(n)、騒音xn(n)のみを入力して得られる出力をyn(n)とする。以上の評価式では値が大きい方が性能が高いことになる。
[2.実施形態A]
上記の評価方法を用いて図5の信号を評価したところ、VE=5.19dB、SNRout=19.59dBであった。試聴してみたところでは音声に若干のひずみが感じられ、音声部に騒音がわずかに残留している。
(更新タップの限定に関する検討:ADFのタップ係数)
図1に示すシステムに入力信号として図3に示す周期性騒音を与えたときのADFのタップ係数値を図6に示す。この図6より、周期性騒音を低減できている場合、タップ係数はピッチ周期ごとにピークをもつこと、その他は0.0に近い値をとっていることが確認できる。そこで、係数更新するタップをピーク値をとるタップのみに限定し、他の係数値を0.0とすれば、ADFを周期性騒音低減に特化されることができ、性能が改善できると期待される。
(更新タップの限定効果)
予測する騒音が完全に周期的である場合、遅延数を含めて最初の周期に相当するタップ係数が1.0、他が0.0となれば騒音は完全に相殺される。しかし、図6はそのようになっていない。この理由をシミュレーションで探る。
まず、図6によればピーク以外でも完全に0.0とはなっていないので更新するタップはピークの前後を含めることとする。また、係数更新に用いるタップ数が非常に少なくなると、音声に反応し易くなるので、μ=0.00025とする。さらに、騒音の周期は50サンプル、遅延数N=66であるので、ピークとなるタップは200タップの内の34、84、134、184番目のタップである。このシステムに周期性騒音に音声をSN比0.0dBで加えた図4に示す信号を与えてシミュレーションを行う。図7は、更新するピーク数と評価値VE、SNRoutの値である。
この図7を見ると、更新するピーク数が多くなるほどVE、SNRoutともに向上している。
この向上理由を波形で確認する。図8と図9は更新ピーク数が1のときのタップ係数値と出力信号、図10と図11は更新ピーク数が4のときのタップ係数値と出力信号である。この図9と図11を比較すると、更新ピーク値が1の場合、音声が入力した後から騒音が増加し、無音声となった後に、ゆっくりと減少していることが確認できる。これに対して、更新ピーク数が4の場合は、音声の入力後に騒音が同様に増加しているものの、無音声となった後の減少が早い。これは図8と比べて、図10の更新ピーク数が多い方が各タップの係数が小さく、音声によって係数値が乱れてから、周期性騒音を低減するための係数値となる(以降、係数が収束するという)までが早いためと考えられる。また、図9に示す信号と図11に示す信号を試聴したところでは、図9に示される信号の方が音声のひずみが大きい。これは、更新ピーク数が多い方がタップ係数が小さいため、音声を傷つける量も小さくなったためと考えられる。
以上の結果から、ピークをとるタップが多い方がタップ係数が音声から受ける影響が小さく、また同時に音声に与える影響も小さくなる。すなわち、タップ数が多い方が周期性騒音低減に有効であると言える。
(タップ数の増大効果)
ここでは、図4の信号を与えたときの出力信号を式(3)、式(4)によって評価し、全タップ係数を更新するLESとの比較を行う。
図7によれば、ピークをとるタップの数が多いほど出力信号の評価値は向上する。しかし、LESでは、タップ数が増加すると音声のエコーが出力される。一方、更新タップを限定する手法においては、多くのタップ係数は0.0であり、音声から受ける影響は小さい。また、ピーク値をとるタップとその前後1タップのみ係数更新を行う場合、更新するタップ数はLESに比べて3/50となり、計算量の増加もわずかである。そこで、試験的にADFのタップ数M=1,000としてシミュレーション行う。この場合、更新タップ数は60となり、全タップ係数を更新するLESと比べて少なくなっている。しかし、タップ数を少なくすると収束が早くなるので、音声から受ける影響を抑えるためにステップサイズを小さくする必要がある。そこで、ここではμ=0.00025とする。また、上記のシミュレーションと同様、遅延数N=66としている。以上の条件で、図4の信号を与えたときの出力信号を図12に示す。
図12を見ると、ピーク数が4の図10の結果より騒音は低減されている。しかし、音声の後に騒音が残留している。試聴してみると、音声部分に騒音がわずかに残り、タップ数がM=1,000と多いにもかかわらず、音声のエコーは感じられない。
また、その評価値はVE=9.47dB、SNRout=21.43dBであった。全タップ係数を更新するLESの出力信号の評価値VE=5.19dB、SNRout=19.59dBと比べてVEは4.28dB、SNRoutは1.84dBの改善が得られている。更新タップを限定する手法は周期性騒音低減に有効であることが分かる。
(MRI騒音への適用)
MRI(Magnetic Resonance Imaging:マグネティック レゾナンス イメージング)騒音は、周期的であり、その周波数は用途によって異なる。しかし、周波数は既知であることから更新タップを限定する手法を適用できる。ここでは、更新タップを限定する手法をMRI騒音に対して適用し、その効果を確認する。
図13に本シミュレーションで用いるMRI騒音を示す。この騒音は400サンプル、3,200サンプルの2つの周期をもつ信号である。以降のシミュレーションでは、この騒音に図2に示す男性音声をSN比0.0dBで加えた図14に示す信号を入力信号として用いる。この信号を全タップ係数を更新するLESに与えたときの出力信号を図15に、そのときのタップ係数の値を図16に示す。ただし、遅延数N=66、タップ数M=4,000、ステップサイズμ=0.05である。
この出力信号の評価値はVE=4.66dB、SNRout=5.45dBである。また、図16より、ピッチ周期である400タップ毎にピーク値をとっていることが確認できる。この出力信号を試聴すると、騒音は低減されているものの、音声のエコーが大きく残っていることが確認される。
次に、更新タップを限定する手法に図14の信号を与える。周期性騒音の周期が400タップ分に相当するから、400の整数倍のタップ番号を持つタップのみを抽出すれば、それらは、周期性騒音の周期的なタイミングに一致する時間に対応するタップとなる。よって、遅延数はN=66、更新するタップは400の整数倍付近プラスマイナス1タップとする。更新するタップにおいてのみ、0でもなく、また、その近傍の値でもない係数値が設定される。また、ステップサイズをμ=0.00025とする。図17は、このシミュレーションの結果である。
この出力信号の評価値はVE=6.16dB、SNRout=6.36dBである。VE、SNRoutとも全タップ係数を更新するLESの結果と比べてVEは1.5dB、SNRoutは0.91dBの改善が得られている。しかし、音声のエコーは同程度残っている。
これは、タップ数が4,000なので、3,200サンプル周期の整数倍となるピークが1つしかないためと考えられる。そこで、タップ数をM=20,000とし、3,200サンプルの整数倍のピークの数を増やす。ただし、LESにはタップ数が増加すると、エコーが生じるため、更新する400サンプルの整数倍のピークは3,200タップまでに限定する。ここで、400サンプル周期が第一周期であり、3,200サンプル周期が第二周期である。第一周期よりも第二周期の方が大きい。3,200タップよりも前の時間における、第一周期の周期的なタイミングに略一致する時間と、全タップ範囲における、第二周期の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、更新タップが設定される。また、タップ数が多くなったことを考慮して、ここではステップサイズをμ=0.0005とする。
また、1つのピークの前後の更新するタップ数を増やすことによって、周期の変動に対応し易くなると考えられる。そこで、試験的に各ピークをとるタップの前後25タップを更新することとする。
このとき図4の信号を入力したときの出力信号を図18に、タップ係数を図19に示す。
この出力信号の評価値は9.05dB、7.03dBであり、全タップ係数を更新するLESの結果と比べてVEは4.39dB、SNRoutは1.58dBの改善が得られている。また、タップ数が4,000の係数更新を限定する手法と比べるとVEについては2.89dB、SNRoutは0.67dBの改善が得られている。実際に試聴してみると、背景騒音に音声のエコーが若干感じられる。このことから、更新タップを限定する手法がMRI騒音の低減に有効であることが確認された。
以上、周期性騒音の低減法について、騒音の周波数が既知である場合、LESの係数更新するタップを限定することによって、タップ係数が音声から受ける影響が小さくなる。そのため、騒音低減効果が大きくなり、出力信号の音声に与える影響が小なくなることが確認された。このとき、LESのステップサイズは全タップ係数を更新する場合に比べて小さくする必要があること、1つのピークの前後の更新するタップを増やすことによって、さらに音声からタップ係数が受ける影響を減らすことができることが確認された。
[3.実施形態B]
(更新タップの限定)
以降では、更新タップを限定する手法から、さらに性能を改善する手法について検討する。以降、更新するタップを限定するADFを限定ADFと呼称する。
図20は、限定ADFを用いて周期性騒音を低減し、収束した後に得られたタップ係数の値である。ただし、遅延数N=49、タップ数M=1,000、ステップサイズμ=0.00025 である。この条件で得られたLESの出力信号を図21に示す。この信号を評価したところ、VE(評価値)=11.25dB、SNRout=22.34dB であった。
ここで、図20を見ると、タップ係数の値の合計はほぼ1であり、Mpを限定ADFに含まれる騒音の周期の数とすると、タップ係数の値の平均はおよそ 1/Mp となっている。このことから、タップ係数の和が1となるように、騒音周期の定数倍となるタップに 1/Mp を係数値として与えても、同様の周期性騒音低減効果が得られると予想される。
図22は、タップ係数の値を適応的には与えず、騒音周期の定数倍となるタップに 1/Mp 、それ以外のタップに0を与えるようにし、非零となるタップの数Mpを変化させたときの VE、SNRout の値である。ここで、周期性騒音の周波数が 160Hz、サンプリング周期が 1/8,000 であるので、騒音の周期は50となる。従って、限定ADFに前置する遅延素子の遅延数を N=49 としたとき、非零の値をとるタップは 1,51,101,151,・・・ となる。
図22において、SNRout の値が −1 となっているのは、騒音が完全に低減されたためであり、式(4)の分母が0となった場合、強制的に −1 を出力するようにしたためである。このことは、騒音周期の定数倍のタップに、その係数の和が1となるように値を与えたとき、周期性騒音は完全に低減されることを示している。
また、非零となるタップ数Mpが大きくなるほどVEの値が向上することが確認される。これは、Mpが大きくなるほど、タップ係数値として与えられる 1/Mp が小さくなり、それによって、出力信号に与える音声の影響が小さくなるためである。
また、VEの値が直線的に上がっていないのは、タップ数の増加とともに、残響の影響を受けやすくなるためと考えられる。図23はタップ数1,000 のときの出力結果である。このときのVEは 15.18dB である。図2と比較して、無音区間で残響が確認される。また、実際に試聴してみても、残響が確認される。しかし、限定ADFにおいてタップ数が 1,000 のときのVEが 11.25dB であったことから、騒音周期の定数倍のタップ係数の値に 1/Mp を与えることで、VEの値が向上することが分かる。
このように、タップ係数を更新する場合、限定ADFは音声の影響を受ける。一方、係数を固定する場合は、係数は音声の影響を受けない。このことは、音声区間において、ステップサイズを小さくすること、すなわち係数更新量に制限を設ける(例えば、「宮田哲,前田和昭,網谷智博,藤井健作,伊藤良生,”2マイクロホンを用いた騒音抑圧システムの実機による検証”,2005 春音論集,1-6-24,(2005.3)」参照)ことによって、VEが向上することを表している。
(出力音声の音質の向上)
前記において、騒音周期が既知の場合、周期性騒音を完全に低減できること、また、タップ数を増加させるとVEの値を向上できることが確認された。しかし、タップ数が増加すると、出力信号に音声の残響が残るという問題が生じる。そこで、タップ数を暫定的に 1,000 とし、タップ数を変えずに出力音声の音質を向上させる手法について検討する。ただし、遅延数は N=49 とする。このときの限定ADFの周波数特性を図24に示す。
図24を見ると、騒音の基本周波数が 160Hz であることから、基本周波数とその整数倍の位置に振幅1のピークが立っていることが分かる。すなわち、ADFは狭い帯域通過フィルタを構成すると言える。しかし、その通過帯域に幅があるため、音声を多く通過させると考えられる。そこで、その通過帯域をさらに狭めることによって、音質の低下が抑えられると推測される。その手段の1つとしてタップ係数にハミング窓をかけ、通過帯域を狭めることを考える。ただし、タップ係数の和が窓をかけた後も1となるように調整する。
図25はハミング窓をかけたタップ係数の値、図26はハミング窓をかけたタップ係数が与えるスペクトルである。
図27はこのハミング窓をかけた係数をもつ限定ADFに対して得られたタップ数とVEとの関係である。図27を見ると、窓処理を行っていない方に比べ、窓処理を行った方がVEの値が低くなっている。この理由として2つ考えられる。1つは、ハミング窓をかけることによって同じタップ数では通過帯域幅が倍になるためである。図28はタップ数1,000 のときの出力信号である。また、この信号を試聴したところによれば、ハミング窓をかけないときよりも、かけたときの方が残響が多い。
窓処理を行ったことによってVEが低くなったのは、理由の2つめとして、フィルタの中心あたりのタップ、すなわち比較的大きな遅延を受けたタップ出力が、窓をかけない場合に比べて大きくなり、残響が増加したためであると考えられる。
そこで、遅延が少ないタップほど大きく、遅延が大きいタップほど小さい係数を与える。これによって、出力信号における音声の残響を減少させることができると期待される。
図29はハミング窓の半分をタップ係数にかけて減衰傾向となるように与えたタップ係数であり、図30はその周波数特性である。また、図31は、このときの出力信号である。この周波数特性を見ると、通常のハミング窓を係数にして乗じた場合より阻止域において悪くなっている。図32は、係数値を減衰傾向にとった場合と、係数値が 1/Mp で一定の場合のタップ数とVEの関係である。図27と比較して、ほぼ同様の傾向にある。
一方、図31の信号を試聴してみると、残響はほとんど確認できない。これは、阻止域の特性劣化が通過域の狭帯域化によって相殺されたためと考えられる。この試聴した結果からして、限定ADFのタップ係数値が減衰傾向にあるときに、大きな遅延を受けた信号が出力信号に与える影響は小さくなり、残響の影響が減少すると分かる。このことから、タップ数を大きくとって通過帯域を狭めることで音質の劣化を防ぎ、タップ数を大きくとったことによる残響の影響をタップ係数に減衰特性をもたせることによって防止することが効果的であることがわかる。
(指数減衰型FIRフィルタ)
前記において、タップ係数に減衰特性をもたせることが有効であることを確認した。しかし、ハミング窓の半分をかけたタップ係数を与えても、係数値が 1/Mp で一定の場合と比較してVEは低くなった。そこで、減衰特性をもち、さらにVEを向上させるタップ係数の与え方として指数減衰型を考える。図33はタップ係数を指数減衰型になるように与えたタップ係数であり、図34はその周波数特性である。ただし、公比は暫定的に r=0.9 とし、タップ係数の和は1となるように調整する。また、図35は、このときの出力信号でVEは 13.45dB であった。
この周波数特性を見ると、ハミング窓の半分を係数にして乗じた場合と同様の特性をもっていることが分かる。また、図36にrを0〜1まで変化させたときのVEの値を示す。図36を見ると、rの値が大きいほどVEが良くなっていることが分かる。また、r>0.9 で傾きが小さくなっているのは、rが1に近い値をとるために受ける残響の影響であると考えられる。
このとき、非零の係数値をもつタップの数はMpで、そのMpのタップ係数の和が1となるように調整するため、指数減衰型に係数を与える場合、Mpが小さいと指数減衰の初期値を大きくする必要が生じ、その結果音声が傷つく。図35の信号を試聴したところ、残響は確認できなかったが、音声が大きくなっている部分にひずみが感じられた。このことから、指数減衰型に係数を与える場合、Mpの数を非常に大きくする必要があることが推測される。
(IIR型周期性騒音低減システム)
前記において、係数を指数減衰型に与える場合、タップ数を非常に大きくとる必要があることがわかった。そこで、図37に示すようなシステムを考える。ここで、Z-NはN遅延素子、aは 0<a<1 を満たす値である。このシステムにおいて、Nに[騒音の周期−1]を与えることによって、タップ係数を指数減衰型に与えた限定ADFと同様の効果を得ることができ、さらに、IIR型であることから、タップ数は非常に大きいと言える。
まず、周期性騒音低減に適した係数aの値を得るためのシミュレーションを行った。図38にaを 0〜1 まで変化させたときのVEとSNRoutの値を示す。
図38より、aの値が1に近いほどVEが良くなることが確認できた。そこで、a=0.99 として、シミュレーションを行う。図39にIIR型周期性騒音低減システムに図4の信号を入力したときの出力信号を示す。
この信号を評価したところ、VE=25.27dB、SNRout=100.2dB であり、限定ADFの出力信号の評価値が、VE=11.25dB、SNRout=22.34dB であったことから、限定ADFと比較してVEは 14.02dB、SNRoutは 77.86dB 向上していることが確認できる。実際に試聴したところ、音声の残響は確認できず、残留騒音も確認できなかった。このことから、周期性騒音の周波数が既知の場合、IIR型周期性騒音低減システムが周期性騒音の低減に有効であることが確認できた。
今回提案したIIR型周期性騒音低減システムを、実騒音へ適用する場合、サンプリングの際に騒音の周期に揺らぎが生じる。そのため、騒音の周期の整数倍だけでなく、その前後数サンプルに対応する必要があると考えられる。
また、騒音の周波数が未知の場合にも適応させる。その具体案としては、騒音の周期検出のためのフィルタをシステムに併設し、システムの遅延数を検出した周期に対応させる方法が考えられる。
[4.実施形態C]
(周期性騒音低減FIRフィルタ)
図40にLESに図3の騒音のみを入力として与えたときのADFのタップ係数を示す。ただし、遅延数N=0、タップ数M=1,000、ステップサイズμ=0.010とした。
図40より、タップ係数はピッチ周期ごとにピークをもつこと、その他は0に近い値をとっていることが確認できる。このことから、係数更新するタップを入力騒音と同周期の騒音が入力されるタップのみに限定し、他の係数値を0とすれば、ADFを周期性騒音低減に特化させることができ、性能が改善する。また、周期性騒音の周波数が既知の場合、ADFの係数更新を行わずFIRフィルタとして、入力騒音と同周期の騒音が入力されるタップの係数値に定数を与え、それ以外のタップの係数値に0を与え、さらにタップ係数の和を1とすることによって、騒音低減性能が向上する。
(係数を定数として与えたフィルタを用いたシステム)
図41に入力騒音と同周期の騒音が入力されるタップのみに値を与え、それ以外の係数には0を与えたときのタップ係数を、また、その出力信号を図42に示す。このとき、与える値は1/Mpとする。ここでMpは、値を与えるのタップの数である。
図42の信号を評価したところ、VE=15.18dBであり、騒音は完全に低減された。実際に試聴したところ、残留騒音は確認できなかったが、音声の残響が確認できた。
このように、特定の係数に定数を与え、それ以外の係数には0を与えるFIRフィルタを用いたシステムを以後、CPPS(Coefficient have Peaks with respect to each Period of noise System)と称する。
(周期が非整数の騒音への適用)
今までのシミュレーションに用いた騒音の周波数は160Hzである。サンプリング周期が8,000であるので、騒音の周期は50サンプルとなり、整数である。そこで、騒音の周期が整数にならない周波数の騒音への適用を考える。
以降のシミュレーションにおいて用いる騒音を図43に示す。また、入力信号として、図2に示す男性音声に図43の周期性騒音がSN比0dBで重畳した信号を用いる。図44にその波形を示す。
この騒音の周波数は120Hzであるので、標本化周期がTs=1/8,000秒であることから、騒音の周期は66.66・・・サンプルとなり整数値ではない。そのため、入力騒音と同周期となるのは66.66、133.33、200、・・・遅延された信号となり、整数とならないため、入力騒音と同周期の騒音が入力されるタップに値を与えることができない。そこで、入力騒音と同周期となる騒音にもっとも近い騒音が入力されるタップ、すなわち、周波数が120Hzの騒音の場合、66.66、133.33、200、・・・を四捨五入し、67、133、200、・・・遅延された信号が入力されるタップに値を与える。
以上の方法を用いた係数値一定型CPPSのタップ係数を図45に、出力信号を図46に示す。ただし、周波数が160Hzの場合と比較するために、タップ数を調整する。周波数が160Hzのとき、タップ数M=1,000、騒音の周期は50サンプルであったので、値を与えるタップの数は20であった。周波数が120Hzのときは、騒音の周期が66.66サンプルであるので、値を与えるタップの数が20となるタップ数はM=1,333である。以降、入力信号の騒音の周波数が120Hzの場合、タップ数はM=1,333としてシミュレーションを行う。
この出力信号をを評価したところ、VE=11.95dB、SNRout=36.2dBであった。また、実際に試聴したところ、騒音は充分低減されているが、騒音の周波数が160Hzの係数値一定型CPPSの場合と同様に音声の残響が確認された。
(適用条件)
以上の結果より、周期性騒音の周波数が既知の場合、入力騒音と同周期の騒音が入力されるタップ、もしくは、入力騒音ともっとも近い周期の騒音が入力されるタップ(以後、ピークとなるタップと称する)にのみ値を与え、それ以外のタップ係数には0を与えるシステム(CPPS)が、騒音の低減に効果があることが確認された。しかし、この手法は騒音のピークとなるタップが分からなければならないため、騒音の周期が既知である必要がある。
(更新タップを限定したADF)
前述したCPPSは、騒音の周期が既知でなければ適用できない。そこで、周波数が未知の騒音への適用を考える。ただし、ここでのシミュレーションの目的は騒音抑圧とする。そこで、図44の前に50,000サンプルの騒音のみの信号を入力し、タップ係数を収束させ、音声が入力される図44の区間では係数更新を行わない手法をとる。
(更新タップを限定したADFを用いたシステム)
図1に示すLESに対して更新するADFのタップを限定することによって、周期性騒音低減性能が向上することが確認されている。以降、更新するタップを限定するADFを限定ADFと称する。
図47に、図44の信号を入力信号として与えたときのタップ係数の値を示す。ただし、遅延数N=0、タップ数M=1,333、ステップサイズμ=1.00 ×10-4 である。この条件で得られたLESの出力信号を図48に示す。この信号を評価したところ、VE=11.8dB、SNRout=35.4dBであった。また、実際に試聴したところ、音声の残響は聞こえないが、音声部分に騒音が残留していることが確認できる。
そこでここでは、限定ADFを用いたLESにおいて、性能を向上させる方法を考える。以降、限定ADFを用いたLESをR-LES(Restricted-LES)と呼称する。
(性能の向上)
まず、CPPSがR-LESに比べて性能が良かった点に着目する。CPPSにおいて、値を与えたのはピークとなるタップのみであったのに対して、R-LESは更新タップはピークとなるタップとその前後数タップであった。R-LESに比べてCPPSの方が評価値がよかったことから、ピークとなるタップのみに値を与える手法が周期性騒音の低減に有効であると考えられる。また、フィルタの出力信号が音声に与える影響を考えると、フィルタの係数値が負であることは望ましくない。そこで、更新するタップをピークとなるタップのみとし、更新時に係数値が負になった場合は強制的に0とするという制限を限定ADFに加える。負になった場合は強制的に0とするということは、フィルタ係数が0又は正値に制限されるということである。
さらに、CPPSの結果から係数値の和を1とすることによって、騒音低減の効果が向上することが確認されているので、限定ADFの係数更新後に係数の和が1となるように、更新タップに定数を乗算する。
以上の手法を適用したR-LESの性能を確認する。図49に図44の信号を入力として与えたときのタップ係数を示す。また、その出力信号を図50に示す。この信号を評価したところ、VE=11.9dB、SNRout=36.5dBであった。また、実際に試聴したところ、音声の残響、騒音の残留は確認できなかった。
(更新タップの検出)
今までのシステムでは、騒音の周波数が既知であることが条件であった。そこで、周波数が未知の騒音に対応するために、R-LESにおいて、更新するタップを自動的に検出する手法を提案する。
まず、信号を入力し始めてから1,000サンプル経過までは全タップ更新するADFを用い、そのタップ係数を収束させる。タップ係数の値の平均値を閾値とし、閾値以上の値をもつタップを更新タップとし、1,000サンプル経過後は限定ADFを用いる。つまり、フィルタにおいて、第一工程、第二工程 及び 第三工程が実行されるのである。ここで、第一工程とは、全てのフィルタタップでフィルタ係数の更新がなされる工程である。第二工程とは、第一工程が実行されることによって収束したフィルタ係数が所定の閾値よりも大きいフィルタタップが抽出される工程である。第三工程とは、第二工程が実行されることによって抽出されたフィルタタップに対してはフィルタ係数の更新が許容され、それ以外のフィルタタップに対しては、フィルタ係数が0に設定され、かつ、フィルタ係数の更新が許容されないようにする工程である。
さらに、以降はタップ係数を監視し、1,000サンプルごとに、更新しているタップ係数の値の平均値を閾値とし、閾値以上の値をもつタップを更新タップとして新しく設定する(更新タップ設定のための具体的構成については後述する)。ただし、更新するタップの数が少なくなりすぎないように下限を設け、更新するタップを再設定する際に下限以下になる場合は再設定を行わないようにする。前述のCPPSにおいて、ピークとなるタップは20であったことから、ここでは更新するタップの下限を20する。また、ADF、限定ADFの係数更新は1サンプル経過毎に行う。
この手法を適用したときに、図43の信号を入力したときのタップ係数の値を図51に示す。ただし、遅延数N=0、タップ数M=1,333、ステップサイズμは、ADFを用いるときはμ=0.01、限定ADFを用いるときはμ=1.0×10-4 とする。図51を見ると、更新しているタップは、66.66、133.33、200、・・・番目のタップであり、騒音の周波数が120Hzのときに、騒音の周期の整数倍の信号が入力されるタップの小数点以下を四捨五入したタップとなっている。このときのシステムの出力信号を図52に示す。
図52の信号を評価したところ、VE=11.9dB、SNRout=36.5dBであった。また、実際に試聴したところ、音声の残響、騒音の残留は確認できなかった。このことから、更新するタップを自動的に検出する手法を用いても、係数を定数として与えたシステムと同程度の性能があることが確認できた。
(音声区間における処理)
前記では、音声区間では限定ADFの係数更新を行わなかったが、ここでは、係数更新を行い、その性能を比較検討する。
まず、音声区間においても限定ADFの係数更新をし続けた場合のタップ係数を図53に、その出力信号を図54に示す。この信号を評価したところ、VE=8.01dB、SNRout=26.8dBであった。また、実際に試聴したところ、音声区間以外では、騒音は充分低減されているが、音声部では残留騒音が確認された。そのため、音声部で騒音が残留するのは、音声が入力されることによって、限定ADFのタップ係数の値が乱れることが原因と考えられる。さらに、限定ADFは更新するタップの数が非常に少ない。これはADFにおいてステップサイズを大きくするのと同じ効果があるので、限定ADFはADFに比べて係数値を乱され易いと考えられる。そこで、タップ係数の乱れを抑えるために、適当な閾値を用いてクリップ処理し、限定ADFの係数更新量を制限する手法を用いる。
図54の出力信号を得たときの、更新タップである200番目のタップの係数の更新量を図55に示す。図55をみると、騒音に対して係数が収束しているときの係数更新量は±5.0×10-5 の範囲に収まっている。しかし、収束し始めにおいては、更新量は±1.5×10-4 の範囲となっている。そこで、係数の収束後の大きな係数の変動を抑え、始めに与える騒音部で係数充分収束するためにここでは閾値を1.0×10-4 とする。
このように係数更新にクリップ処理を加えたときの出力信号を図56に示す。図56の信号を評価したところ、VE=10.4dB、SNRout=32.4dBであった。また、実際に試聴したところ、残留騒音は確認できなかった。
(周波数変化への対応(更新タップの新たな設定の方法))
次の課題として、実騒音への適用、騒音の周波数が変化した場合への対応が挙げられる。周波数の変化への具体的な対応方法としては、騒音の周期検出のためのフィルタをシステムに並列接続し、検出した周期に対応したタップを更新する方法が考えられる。
先に、信号を入力し始めてから1,000サンプル経過までは全タップを更新するADFを用いてタップ係数を収束させ、閾値以上の値をもつタップを更新タップとしてその後は限定ADFを用いる技術、および、以降もタップ係数を監視し、1,000サンプルごとに更新しているタップ係数の値の平均値を閾値とし、閾値以上の値をもつタップを更新タップとして新しく設定する技術が有効であることを述べた。ここで、1,000サンプル毎に更新タップを新しく設定するための、具体的な構成を述べる。
図57は、更新タップを新しく設定するための装置構成である。
この装置は、二の適応アルゴリズム実行部(第一適応アルゴリズム実行部と第二適応アルゴリズム実行部)を有し、次のようにして更新タップを新たに設定する。まず、第二適応アルゴリズム実行部で適応アルゴリズムが実行される。そして、収束したフィルタ係数が、所定の閾値よりも大きいフィルタタップが、第二フィルタタップとして抽出される。次に、第一適応アルゴリズム実行部において、先に抽出された第二フィルタタップと同一のタップ番号を有するフィルタタップに対しては、フィルタ係数の更新を許容し、それ以外のフィルタタップに対しては、フィルタ係数が0に固定されて更新は許容されないようにする。以降も、1,000サンプルごとにこれが繰り返される。
具体的な装置の構成を図57を参照しつつ説明すると、次のとおりである。
この装置は、入力された信号x(n)から騒音成分を除去し、騒音成分が除去された信号y(n)を出力する。
この装置では、上段に限定ADF(R−ADF)が、下段にADFが設けられている。上段の限定ADF(R−ADF)によって第一適応アルゴリズム実行部が構成され、上段の限定ADF(R−ADF)と下段のADFとによって、第二適応アルゴリズム実行部が構成されている。
上段の限定ADF(R−ADF)と、下段のADFとは、フィルタタップ数と単位遅延時間が同一である。
上段の限定ADF(R−ADF)と下段のADFには、同じ信号が入力される。
上段の限定ADF(R−ADF)の出力信号v(n)は、下段のADFの出力信号に加算される。そして、入力信号x(n)から加算信号w(n)が差し引かれることによって得られる信号e(n)を誤差信号として用い、下段のADFにおいて適応アルゴリズムが実行される。
上段の限定ADF(R−ADF)においては、限定されたタップでのみフィルタ係数更新が実行されている。
下段のADFでは、上段の限定ADF(R−ADF)においてフィルタ係数の更新がなされているタップと同一タップ番号のタップにおいては、フィルタ係数が0に固定されたままでその更新がなされず、それ以外のタップにおいてのみフィルタ係数の更新がなされている。
よって、誤差信号e(n)は、擬似的には、下段のADFの全タップにおいてフィルタ係数更新がなされているときと同様の誤差信号となる。
上段の限定ADF(R−ADF)と下段のADFの、更新されているタップ係数を監視し、1,000サンプルごとに、更新しているタップ係数の値の平均値を閾値とし、閾値以上の値をもつタップを抽出する。そして、抽出されたタップと同一タップ番号を持つ、上段の限定ADF(R−ADF)のタップを、更新タップとして新しく設定するのである。
このようにして、1,000サンプルごとに、上段の限定ADF(R−ADF)の更新タップが新しく設定される。
以上、図57を参照しつつ、更新タップを新しく設定するための装置構成を説明した。
次に、図58を参照しつつ、更新タップを新しく設定するための他の装置構成を説明する。
図58は、更新タップを新しく設定するための装置構成である。
この装置も、二の適応アルゴリズム実行部(第一適応アルゴリズム実行部と第二適応アルゴリズム実行部)を有する。
この装置も、上段に限定ADF(R−ADF)が、下段にADFが設けられているが、上段の限定ADF(R−ADF)によって第一適応アルゴリズム実行部が構成され、下段のADFによって、第二適応アルゴリズム実行部が構成されている。
図58の装置が図57の装置と相違する点は、次の三点である。一つ目は、上段の限定ADF(R−ADF)の出力信号v(n)が、下段のADFの出力信号には加算されないという点である。二つ目は、下段のADFにおいて、全タップでフィルタ係数の更新がなされているという点である。三つ目は、次の更新タップとして設定すべきタップのタップ番号を、下段のADFのタップのみから抽出しているという点である。それ以外の点においては、図58の装置は図57の装置と同様である。
この図58の装置によっても、更新タップを新しく設定することができる。
以上、図58を参照しつつ、更新タップを新しく設定するための装置構成を説明した。
(まとめ)
以上のことから、限定ADFを用いたLES(R-LES)が周期性騒音の低減に効果があること、また、R-LESにおいてピークを検出する手法が有効であることが確認できた。
[5.実施形態D]
図59に図4の信号をLESに与えたときの出力信号を示す。ただし、遅延数を49、タップ数を1,000、ステップサイズを0.05とした。この信号を評価したところ、VE=4.16dB、SNRout=15.88dBであった。また、実際にこの信号を試聴したところ、音声が歪んでおり、さらに音声の残響も確認できた。
(更新タップを限定したADF)
図60に図3に示す騒音のみを入力したときのLESのタップ係数を示す。図60を見ると、LESのタップ係数は騒音の周期ごとにピーク値を、それ以外は小さな値をとっている。そこで、LES対して更新するADFのタップをADFでピーク値をとっているタップのみに限定することによって、周期性騒音低減性能は同等のまま、音質評価値が向上することが確認された。以降、更新するタップを限定するADFを限定ADF、また限定ADFを用いたLESをR-LES(Restricted-LES)と呼称する。また、ADFにおいてピークとなるタップ、すなわち、完全な周期性をもった信号において、入力信号と同じ信号が入力となっているタップをピークとなるタップと呼称する。
図61にR-LESに図3に示す騒音を入力したときのタップ係数を示す。このとき、遅延数は49、タップ数は1,000、ステップサイズは更新するタップがLESに比べて非常に小さいため小さくする必要があり0.0005とした。また、図4に示す信号を入力したときの出力信号を図62に示す。この信号を評価したところ、VE=15.08dB、SNRout=31.37dBであった。また、実際に試聴したところ、騒音は充分低減されており、音声の傷つきもわずかであり、エコーも感じられなかった。
(実騒音への適用:MRI騒音への適用)
R-LESを実騒音に適用する。その実騒音として、図63に示すMRI騒音を用いる。この騒音は、標本化周期が(1/8,000)sのとき、400サンプル、3,200サンプルの周期をもっていることが確認されている。シミュレーションに用いる入力信号として、図63の信号と図2の音声をSN比0dBで合成した図65に示す信号を用いる。
MRI騒音の低減手法として、すでに図64に示す騒音再合成法が提案されている。図64において、LPFは線形予測フィルタ、ADFは適応フィルタを示し、両フィルタの係数更新には、学習同定法を用いる。騒音再合成法に図65の信号を入力したときの出力信号を図66に示す。このとき、LPFのタップ数は64、ステップサイズは0.1、ADFのタップ数は128、ステップサイズは0.01とした。この信号を評価したところ、VE=3.99dB、SNRout=3.77dBであった。また、実際に試聴したところ、周期性のある騒音が確認でき、また音声が傷ついていることが確認できた。図67に、騒音のみを入力したときの出力信号を示す。この信号を評価したところ、SNRout=2.44dBであった。図67を見ると、周期性のある騒音が確認できる。
この周期性のある騒音の低減手法として、適応ラインエンハンサという手法が提案されている。しかし、この手法を用いると出力に音声のエコーが出力されるという問題がある。そこで、この音声のエコーを発生させずに騒音を低減させる手法として、R-LESを用いる。R-LESは値をもつタップが限定されており、音声のエコーが出力されにくいという特徴をもつため、音声のエコーを抑えつつ、周期性のある騒音を低減できると考えられる。
そこで、騒音再合成法の出力信号をR-LESに入力する手法を考える。つまり、上述したような周期性騒音低減装置(R−LES)と、線型予測フィルタを使った騒音再合成法に基づいて騒音を低減させる装置とを、直列に接続するのである。騒音再合成法の出力信号において、音声が傷つくのは、適応フィルタのステップサイズが大きいためであると考えられるので、騒音再合成法の適応フィルタのステップサイズを0.001と小さく設定し、音声の傷つきを抑える。このとき、騒音再合成法に図63の騒音のみを入力したときの出力信号を図68に示す。
次に、図68の信号に、図2の音声をSN比0dBで合成した信号をR-LESの入力信号として用いる。このとき、騒音の3,200サンプルの周期に対応させるため、限定ADFのタップ係数は4,000とし、また、ステップサイズは0.0005、遅延数は100とする。また、低減対象が実騒音であるので、先に用いた騒音とは異なり、騒音の周期に揺らぎが生じていると考えられる。そこで、揺らぎに対応するために、以降のシミュレーションでは、ピークとなるタップのみ更新するのではなく、ピークとなるタップとその前後10タップを更新する。
さらに、新たな評価指標を考える。VE、SNRoutは、R-LESの入出力信号を評価する指標である。そこで、騒音再合成法の入力信号からR-LESの出力信号の騒音低減量を表す評価式として
Figure 0004690243
を導入する。ここで、Kは全サンプル数でK=50,000、xnは騒音再合成法への入力騒音、ynはxnを騒音再合成法に入力し得た出力をR-LESに入力したときの出力騒音である。上記の評価式では値が大きい方が性能が高いことになる。
このときのR-LESの出力信号を図69に示す。この信号を評価したところ、VE=13.93dB、SNRout=11.29dB、NR=10.91dBであった。実際に試聴してみると、騒音再合成法と比べて音声がクリアに聞こえていることが確認できる。騒音については、評価値では騒音再合成法に比べて向上しているが、図69からも、また実際に試聴しても周期的な騒音が確認できる。
(長周期騒音への対応)
騒音再合成法の出力をR-LESの入力とする手法において、出力信号に確認できた周期的な騒音の周期は3,200サンプルである。R-LESのタップ数が4,000であることから、3,200サンプルの長周期に対応するピークが1つしか更新されないことが、長周期の騒音が出力される原因と考えられる。そこで、R-LESのタップ数を増やすことを考える。ここで、MRI騒音は400サンプルと3,200サンプルの周期をもっており、各ピーク毎に前後10タップを更新しているため、タップ数4,000の場合で更新するタップ数は210となる。したがって、単純にタップ数を増加した場合、R-LESの音声の残響が少ない、計算量の減少という特徴が失われる。
そこで、R-LESの特徴を活かすために、4,000タップまでは400タップ毎にピークをとり、4,000タップ以降は3,200タップ毎にピークをとる方法を用いる。ここで、400サンプル周期が第一周期であり、3,200サンプル周期が第二周期である。第一周期よりも第二周期の方が大きい。4,000タップよりも前の時間における、第一周期の周期的なタイミングに略一致する時間と、全タップ範囲における、第二周期の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、更新タップが設定される。これにより、3,200サンプル周期の騒音に対応するタップは更新しつつ、タップ数の増加を最小限に抑えることができる。ただし、タップ数を増加させる以前のシミュレーション同様に、各ピーク毎にその前後10タップも更新タップとして設定する。
この方法を用い、タップ数を20,000とし、R-LESの出力信号を騒音再合成法の入力信号としたときの出力信号を図70に示す。また、このときのタップ係数を図71に示す。この信号を評価したところ、VE=15.31dB、SNRout=11.92dB、NR=11.54dBであった。評価値から、音質は若干向上しているが、騒音低減効果が改善できていないことが確認できる。さらに、図70を見ても、図70の信号を実際に試聴しても、長周期の騒音が低減されていない。このことから、騒音低減効果が改善できなかったのは、長周期の騒音が低減できなかったことが原因であり、長周期の騒音を低減することによって騒音低減性能が向上すると考えられる。
図71に、このときの限定ADFのタップ係数を示す。図71において、およそ10,000タップまでの係数は大きな値をとっている。このことから、およそ10,000タップまで3,200サンプル周期の騒音に対するピークとなるタップは、3,200の整数倍の前後10タップにピークが来ているが、それ以降のタップになると、揺らぎのために3,200の整数倍の前後10タップから外れたタップがピークとなっていると考えられる。したがって、長周期の騒音の揺らぎに対応するために、3,200サンプル周期の騒音に対するピークについて、前後100タップを更新タップとする。
このときの出力信号を図72にタップ係数を図73に示す。この信号を評価したところ、VE=8.37dB、SNRout=12.84dB、NR=12.39dBであった。VEの値は、各ピークについて前後10タップを更新する手法に比べると低下しているが、タップ数が4,000のときに比べて向上しており、実際に試聴しても、傷つきはほとんど感じられない。さらに、長周期の騒音は図72を見ても、実際に試聴しても、低減できていることが確認できる。このことから、長周期の騒音は、大きく揺らいでいること、その低減には、ピークに対する更新タップの数を増加させることで対応できることが確認できた。
(まとめ)
以上のことから、限定ADFを用いた周期性騒音低減システム(R-LES)と騒音再合成法とを組み合わせることによって、実騒音であるMRI騒音の低減に対して効果があることが確認できた。また、複数の周期をもつ騒音に対して、各周期毎にピークを設定することが効果があることを確認した。さらに、実騒音における、騒音の周期の揺らぎには、ピークとなるタップの前後に更新するタップを設定することで対応できることを確認した。
[6.実施形態E]
図74に、本願発明の一実施形態たる周期性騒音低減装置10を示す。周期性騒音低減装置10は、本願発明に係る周期性騒音低減装置としての最も簡単な構成を有する。
この周期性騒音低減装置10は、入力端子11と、出力端子12と、減算器13と、適応型FIRフィルタ20とを備える。
適応型FIRフィルタ20は、主信号入力部21と、信号出力部22と、誤差信号入力部23と、遅延素子d1〜d15と、フィルタタップt2,t7,t12と、加算部24と、係数更新部25とを有する。
入力端子11には、音声信号Sinが入力される。入力端子11に入力された信号Sinは、適応型FIRフィルタ20の主信号入力部21と、減算器13とに送出される。適応型FIRフィルタ20の信号出力部22から出力された信号Scは、減算器13に送出される。減算器13では、信号Sinから信号Scを減算し、その減算結果を信号Soutとして出力する。減算器13が出力した信号Soutは、出力端子12と、FIR適応型フィルタ20の誤差信号入力部23とに送出される。出力端子12からは、周期性騒音低減装置10の出力信号として、信号Soutが出力される。
FIR適応型フィルタ20においては、次のような信号処理がなされる。すなわち、主信号入力部21に入力された信号Sinは、主入力信号として、係数更新部25に送られるとともに、直列的に配置された遅延素子d1〜d15によって、順次遅延される。遅延素子d1〜d15は、直列的に連続して接続されている。
フィルタタップt2,t7,t12には、それぞれフィルタ係数h2 ,h7 ,h12が設定されている。
遅延素子d2からは、遅延素子d1〜d2によって遅延させられた信号が出力される。フィルタタップt2において、遅延素子d2から出力された信号にフィルタ係数h2が乗ぜられ、その乗算結果が加算部24に送出される。
遅延素子d7からは、遅延素子d1〜d7によって遅延させられた信号が出力される。フィルタタップt7において、遅延素子d7から出力された信号にフィルタ係数h7が乗ぜられ、その乗算結果が加算部24に送出される。
遅延素子d12からは、遅延素子d1〜d12によって遅延させられた信号が出力される。フィルタタップt12において、遅延素子d12から出力された信号にフィルタ係数h12が乗ぜられ、その乗算結果が加算部24に送出される。
加算部24では、そこに送られてきた全ての信号を加算する。その加算結果としての信号Scは信号出力部22に送られ、さらに、信号出力部22から減算器13に送出される。
主信号入力部21から信号出力部22までの系における伝達関数H(z)は、次の式(6)によって表される。
Figure 0004690243
係数更新部25には、入力信号Sinが入力されるとともに、減算器13が生成した信号Soutが、誤差信号として、誤差信号入力部23を介して入力される。係数更新部25は、信号Sinと信号Soutとに基づいて、フィルタタップt2,t7,t12のフィルタ係数h2 ,h7 ,h12を更新する。係数更新部25は、適応アルゴリズムを用いて、信号Soutのパワーが最小化されるように、フィルタ係数h2 ,h7 ,h12を更新する。係数更新部25においては、適応アルゴリズムとして学習同定法が用いられる。
なお、図1に示されている遅延素子「Z-N」は、遅延時間の調整を図るためのものであるが、図74に示される遅延素子d1と遅延素子d2とによって、図1に示されている遅延素子「Z-N」に相当する部材が構成されていると考えることもできる。また、図74の周期性騒音低減装置10において、入力端子11に入力された信号Sinが分岐する分岐点14と、主信号入力部21との間に、図1に示されている遅延素子「Z-N」に相当する部材を設けるようにしてもよい。
入力信号Sinは、周期性騒音を含む音声信号である。この周期性騒音の周期をTnとし、遅延素子d1〜d15の各々の遅延時間をTdとすれば、「Tn=5×Td」の関係が成り立つ。(なお、「Td」は標本化周期「Ts」に一致する。)
15の遅延素子d1〜d15によってさまざまな遅延時間(0×Td、1×Td、2×Td、・・・、14×Td、15×Td)が生ずる。その最小のものは「0」であり、その最大のものは「15×Td」である。このような、遅延素子d1〜d15によって生ずるさまざまな遅延時間から、遅延時間軸を概念することができる。
そのような遅延時間軸上において、ある基準となる遅延時間を定め、さらにTn毎のタイミングに一致するような遅延時間を定めることができる。そして、そのようにして定められた遅延時間で信号を出力する遅延素子を選ぶとすれば、次のようになる。
例えば、(Td×2)を基準遅延時間であると定めるとする。基準遅延時間よりも(Tn×0)だけ遅延した信号を出力する遅延素子は、遅延素子d2である。遅延素子d2よりも(Tn×1)だけ遅延した信号を出力する遅延素子は、遅延素子d7である。また、遅延素子d2よりも(Tn×2)だけ遅延した信号を出力する遅延素子は、遅延素子d12である。
図74の適応型FIRフィルタ100においては、遅延素子d2,d7,d12からの出力信号に対応する箇所にはフィルタ係数更新が可能であるようなフィルタタップt2,t7,t12が設けられており、遅延素子d2,d7,d12からの出力信号に対してそれぞれのフィルタ係数h2 ,h7 ,h12が乗算され、それらの乗算結果が加算部24に送出される。一方、その他の遅延素子に対してはフィルタタップは設けられていない。
このように、適応型FIRフィルタ20は、限定ADFを実行する適応型FIRフィルタである。限定ADFが周期性騒音の低減に有効であるということは、前述したとおりである。よって、周期性騒音低減装置10は、Tnの周期を有する周期性騒音を低減するのに有効である。
なお図74の適応型FIRフィルタ20においては、遅延素子d2、d7、d12以外の遅延素子に対しては、フィルタタップを設けないようにしたが、これらの遅延素子に対してもフィルタタップを設けるようにすることもできる。また、遅延素子d1に入力される信号に対してフィルタ係数h0を乗ずるためのフィルタタップt0を、さらに設けるようにすることもできる。この場合は、適応型FIRフィルタの伝達関数は次の式(7)のとおりとなる。
Figure 0004690243
ただし、フィルタ係数h2 ,h7 ,h12以外のフィルタ係数は、その絶対値が0またはそれに近い値に設定されたまま、更新されないようにする。そうすると、実質的には、その適応型FIRフィルタは限定ADFを実行することになる。
また、フィルタ係数h2 ,h7 ,h12以外のフィルタ係数は、更新可能ではあるがその絶対値が0に近い値にしか更新されないようにしてもよい。つまり、実質的には、それらのフィルタ係数は、その絶対値が0またはそれに近い値に設定されたままになるのである。換言すれば、フィルタ係数h2 ,h7 ,h12のみが、実質的に更新可能であり、それ以外のフィルタ係数は、実質的には更新不可能であるということができる。このようにした場合も、実質的に、その適応型FIRフィルタは限定ADFを実行することになる。
図75は、適応型FIRフィルタ20のフィルタ係数の更新可能値の範囲を示す図である。図75の横軸にはフィルタタップの番号が示され、縦軸にはそのフィルタ係数の更新可能範囲が示されている。図75から理解されるように、フィルタ係数h2の更新可能範囲は「0以上0.5以下」であり、フィルタ係数h7の更新可能範囲は「0以上0.35以下」であり、フィルタ係数h12の更新可能範囲は「0以上0.25以下」である。
各フィルタ係数h2 ,h7 ,h12がとりうる最大値は、0.5、0.35、0.25と、指数的に減衰している。このように係数を指数減衰型に与えることが周期性騒音の低減に有効であることは、前述したとおりである。
また、各フィルタ係数h2 ,h7 ,h12がとりうる最大値は、0.5、0.35、0.25であり、その合計は「1.1」である。このように、フィルタ係数更新可能なフィルタタップのフィルタ係数の更新可能範囲の最大値の合計が「1」に近い値になっている。このようにすれば、周期性騒音の低減に特に有効であることが、実験的に確認された。
また、各フィルタ係数h2 ,h7 ,h12がとりうる最小値は、すべて0である。このようにしたのは、これらフィルタ係数が、絶対値が大きな負の値に更新されないようにするためである。つまり、これらフィルタ係数が、絶対値が大きな負の値に更新されうるように構成すると、次のような問題が生ずる可能性があるからである。つまり、あるフィルタ係数の値が、絶対値が大きな負の値に更新されると、それを補償するかのように、他のフィルタ係数が絶対値の非常に大きな正の値に更新されてしまうことがあるからである。このように限定ADFのフィルタ係数において、絶対値の大きな値が正負の両領域に表れると、エコーが発生してしまうことが実験的に確認されたのである。
図76は、本願発明に係る周期性騒音低減装置の適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能値の範囲を示す図である。この周期性騒音低減装置は、図74の周期性騒音低減装置10と基本的に同様の構成を有するが、適応型FIRフィルタには、199の遅延素子d1〜d199と、これら遅延素子の出力信号に対してフィルタ係数を乗ずるための199のフィルタタップt1〜t199が配置され、さらに遅延素子d1への入力信号に対してフィルタ係数h0を乗ずるためのフィルタタップt0が配置されている。これら遅延素子の各々は、(1/8000)秒の遅延時間を生ぜしめる。つまり標本化周波数は8000Hzである。ここで、1個の遅延素子が生ぜしめる遅延時間(=(1/8000)秒)をTdとする。
図76の横軸にはフィルタタップの番号が示され、縦軸にはそのフィルタ係数の更新可能範囲が示されている。横軸のフィルタタップ番号は、遅延時間とも対応する。つまり、例えばフィルタタップt80には、遅延素子d80が出力する信号が入力される。遅延素子d80が出力する信号は、(80×Td)だけ遅延した信号であり、その信号がフィルタタップt80に入力される。そうすると図76の横軸は、Tdによって正規化された遅延時間を示す時間軸であるということもできる。
図76には、フィルタ係数の更新可能範囲が示されているが、ここに示されるように、周期Tnが(1/100)秒である周期性騒音の低減に有効となるように、フィルタ更新可能なフィルタタップが限定されている。つまり、フィルタタップt0,t80,t160のフィルタ係数のみ更新可能であって、その他のフィルタタップのフィルタ係数は0に維持され、更新できないようになっている。
1個の遅延素子が生ぜしめる遅延時間Tdが(1/8000)秒であり、周期性騒音の周期Tnが(1/100)秒であるから、周期性騒音の周期Tnは80タップ分に相当する。そのため、フィルタ係数更新可能なフィルタップが、80タップ毎に設定されているのである。
また、80タップ分に相当する周期を有する周期性騒音を低減するためには、フィルタ係数更新可能なフィルタップが80タップ毎に設定されていればよいのであるが、フィルタ係数更新可能範囲は図76に示されるようなもののみならず、図77に示されるようなものであってもよい。
図77には、フィルタ係数の更新可能範囲が示されているが、ここでは、フィルタタップt20,t100,t180のフィルタ係数のみ更新可能で、その他のフィルタタップのフィルタ係数は0に維持され、更新できないようになっている。
また図77では、フィルタ係数がとりうる最大値が、後段にゆくほど減衰している。その減衰パターンは指数減衰パターンである。
しかし、該減衰パターンがハミング窓の後半部に相当する減衰パターンであるように、フィルタ係数の更新可能範囲を定めてもよい。図78には、このような、フィルタ係数の更新可能範囲が示されている。
また、フィルタ係数がとりうる最大値が、最初のフィルタタップから最後のフィルタタップに渡り、ハミング窓相当のパターンを示すように、フィルタ係数の更新可能範囲を定めてもよい。図79には、このような、フィルタ係数の更新可能範囲が示されている。
図77に示されるように、フィルタタップt20,t100,t180のフィルタ係数のみ更新可能で、その他のフィルタタップのフィルタ係数は0に維持され、更新できないようになっている。しかし、フィルタタップt20,t100,t180のみならず、その近傍のフィルタタップにおいてもフィルタ係数更新可能となるように設定することもできる。
図80には、フィルタ係数の更新可能範囲が示されているが、ここに示されるように、フィルタタップt20,t100,t180および、その近傍のフィルタタップ、例えばその前後のフィルタタップのフィルタ係数を更新可能とすることもできる。このようにしても、100Hzの周期の周期性騒音を低減するのに有効である。ここでは、フィルタタップt20のフィルタ係数の更新可能範囲は「0以上0.5以下」であり、フィルタタップt100のフィルタ係数の更新可能範囲は「0以上0.35以下」であり、フィルタタップt180のフィルタ係数の更新可能範囲は「0以上0.25以下」であり、フィルタタップt19,t21,t99,t101,t179,t181のフィルタ係数の更新可能範囲は「-0.05以上0.05以下」である。
図77に示されるようにフィルタ係数の更新可能範囲を定めると、100Hzの周期の周期性騒音を低減するのに有効であるが、100Hzと80Hzの2つの周期性騒音を含むような騒音に対してその低減効果を有効にするためには、図81に示されるように、フィルタ係数の更新可能範囲を定めることもできる。このようにすると、フィルタタップt20,t100,t180が100Hzの周期性騒音の低減に寄与し、フィルタタップt50,t150が80Hzの周期性騒音の低減に寄与する。
図77に示されるようにフィルタ係数の更新可能範囲を定めると、100Hzの周期の周期性騒音を低減するのに有効であるが、その周期が120Hzであるような周期性騒音に対してその低減効果を有効にするためには、図82に示されるように、フィルタ係数の更新可能範囲を定めるとよい。図82から理解されるように、ここでは、フィルタタップt20,t86,t87,t153,t154のフィルタ係数のみ更新可能としている。これは、次の理由による。つまり、120Hzの周期性騒音の周期Tnは66.7タップ分に相当する。フィルタタップt20を基準にした場合、そこから66.7タップ分だけ離れた箇所には、フィルタタップが存在しないので、その近傍の(前後の)フィルタタップt86、t87をフィルタ係数更新可能なフィルタタップとして定めたのである。フィルタタップt153、t154をフィルタ係数更新可能なフィルタタップとして定めたのも、同様の理由による。
以上の図75〜82には、理解の容易化のために、比較的少ないタップ数の適応型FIRフィルタについての、フィルタ係数更新可能範囲を示した。しかし、本願発明の周期性騒音低減装置では、より数の多いタップ数の適応型FIRフィルタを用いることもできる。その例を図83、84に示す。
図83は、0番から1199番までの合計1200タップのフィルタタップt0〜t1199を有する適応型FIRフィルタにおける、フィルタ係数の更新可能範囲を示した図である。1200個のうちの15個のフィルタップのみが係数更新可能に設定されている。これらフィルタ係数更新可能なフィルタタップにおいて、フィルタ係数がとりうる最大値は、後段にゆくほど減衰しており、その減衰パターンは、指数減衰パターンである。
図84も、0番から1199番までの合計1200タップのフィルタタップt0〜t1199を有する適応型FIRフィルタにおける、フィルタ係数の更新可能範囲を示した図である。ここでも1200個のうちの15個のフィルタップのみが係数更新可能に設定されている。これらフィルタ係数更新可能なフィルタタップにおいて、フィルタ係数がとりうる最大値は、後段にゆくほど減衰しており、その減衰パターンは、ハミング窓の後半部に相当する減衰パターンである。
以上、本願発明の一実施形態たる周期性騒音低減装置を説明した。上記では、主に、適応アルゴリズムとして学習同定法が実行される適応型FIRフィルタを用いた周期性騒音低減装置を示した。しかし、適応アルゴリズムとしては、学習同定法に限らず、それ以外のものを適用することもできる。例えば、LMSアルゴリズムを用いてもよい。
(音響系を含むシステムへの適用)
周期性騒音低減装置に用いることのできる、種々のフィルタを上記した。これらのフィルタは、音響系を含むシステムに対しても、用いることができる。
図85は、限定ADF(R−ADF)を、音響系を含むシステムに適用したときの構成を示す図である。
このシステムにおいて、ダクトの左端近傍には、周期性騒音を発する騒音源NSが存在する。ダクトは分岐経路を有し、分岐経路の下端にはスピーカSが設けられている。
ダクトの内部において、騒音源NSの近傍にはマイクロホンM1が設置されている。また、ダクトの内部において、分岐点よりも右の位置に、マイクロホンM2が設置されている。限定ADF(R−ADF)は、マイクロホンM1の出力信号を主入力信号として入力し、マイクロホンM2の出力信号を誤差信号として入力している。また、限定ADF(R−ADF)の出力信号は、スピーカSに送出されている。スピーカSからの放射音は、騒音源NSが発する周期性騒音に干渉する。
限定ADF(R−ADF)において適応アルゴリズムが実行されることによって、スピーカSからは、騒音源NSからの周期性騒音を相殺するような音波が放射されることとなる。
本願発明によれば、騒音低減性能が改善されるので、例えば、電気音響の技術分野において有益である。
ラインエンハンサの原理による周期性騒音低減システムの概略構成図である。 男性音声信号を示す図である。 周期性騒音を示す図である。 入力信号を示す図である。 LESの出力信号を示す図である。 LESにおけるADFのタップ係数値を示す図である。 更新するピーク値をとるタップの数を示す図である。 タップ係数値を示す図である。 出力信号を示す図である。 タップ係数値を示す図である。 出力信号を示す図である。 更新タップを限定する手法における出力信号を示す図である。 MRI騒音を示す図である。 入力信号を示す図である。 LES出力信号を示す図である。 LESのタップ係数値を示す図である。 出力信号を示す図である。 出力信号を示す図である。 タップ係数値を示す図である。 限定ADFのタップ係数を示す図である。 限定ADFの出力信号を示す図である。 タップ数とVEとの関係を示す図である。 出力信号を示す図である。 タップ係数のスペクトル図である。 タップ係数(ハミング窓)を示す図である。 ハミング窓をかけたタップ係数のスペクトル図である。 タップ数とVEとの関係を示す図である。 出力信号を示す図である。 タップ係数(タップ数の2倍でハミング窓)を示す図である。 ハミング窓の半分をかけたタップ係数のスペクトル図である。 出力信号を示す図である。 タップ数とVEとの関係を示す図である。 タップ係数(指数減衰型 r=0.9)を示す図である。 指数減衰型(r=0.9)のタップ係数のスペクトル図である。 出力信号を示す図である。 係数rとVEとの関係を示す図である。 IIR型周期性騒音低減システムの概略構成図である。 係数aとVEとの関係を示す図である。 出力信号(a=0.99)を示す図である。 LESにおけるADFのタップ係数を示す図である。 係数値一定型FIRフィルタのタップ係数(f0=160Hz)を示す図である。 係数値一定型のシステムの出力信号(f0=160Hz)を示す図である。 騒音信号波形図であり、(a)はf0=120Hzの周期性騒音を示し、(b)はその騒音の拡大図を示す。 入力信号を示す図である。 係数値一定型CPPSのタップ係数(f0=120Hz)を示す図である。 係数値一定型CPPSの出力信号(f0=120Hz)を示す図である。 従来法の限定ADFのタップ係数を示す図である。 従来のR-LESの出力信号を示す図である。 改良した限定ADFのタップ係数を示す図である。 改良したR-LESの出力信号を示す図である。 ピーク検出型限定ADFのタップ係数を示す図である。 ピーク検出型R-LESの出力信号を示す図である。 限定ADFのタップ係数(更新継続)を示す図である。 出力信号(更新継続)を示す図である。 タップの係数更新量を示す図であり、(a)は200番目のタップの係数更新量を示し、(b)はその拡大図を示す。 出力信号(クリップ処理あり)を示す図である。 更新タップを新しく設定するための装置構成を示す図である。 更新タップを新しく設定するための装置構成を示す図である。 LESの出力信号を示す図である。 ADFのタップ係数を示す図である。 限定ADFのタップ係数を示す図である。 R-LESの出力信号を示す図である。 騒音波形を示す図であり、(a)はMRI騒音を示し、(b)はその(MRI騒音の)拡大図である。 騒音再合成法を実行するシステムのブロック図である。 入力信号(MRI騒音)を示す図である。 騒音再合成法の出力信号を示す図である。 騒音再合成法の出力信号(騒音のみ)を示す図である。 騒音再合成法の騒音出力(ADFのステップサイズ=0.001)を示す図である。 騒音再合成法+R-LESの出力信号を示す図である。 騒音再合成法 + R-LES(タップ数=20,000)の出力信号を示す図である。 騒音再合成法 + R-LES(タップ数=20,000)のタップ係数を示す図である。 騒音再合成法 + R-LES(タップ数=20,000)の出力信号を示す図である。 騒音再合成法 + R-LES(タップ数=20,000)のタップ係数を示す図である。 周期性騒音低減装置の概略構成図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 適応型FIRフィルタのフィルタ係数の更新可能範囲を示す図である。 限定ADF(R−ADF)を、音響系を含むシステムに適用したときの構成を示す図である。
符号の説明
周期性騒音低減装置 10
入力端子 11
出力端子 12
減算器 13
適応型FIRフィルタ 20
主信号入力部 21
信号出力部 22
誤差信号入力部 23
加算部 24
係数更新部 25

Claims (32)

  1. 周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、
    そのインパルス応答が、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間においてのみ、0でもなく、また、その近傍の値でもない係数値を有する、デジタルフィルタ。
  2. 該インパルス応答全体にわたる係数値の総和が略1である、請求項1記載のデジタルフィルタ。
  3. IIR型であり、
    フィードバックループを備え、
    該フィードバックループ中に遅延部を有し、
    該遅延部よって生ずる遅延時間が、該周期性騒音の周期と略同一である、請求項1又2記載のデジタルフィルタ。
  4. 該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間における係数値が、後段ほど小さくなるような減衰パターンを示す、請求項3記載のデジタルフィルタ。
  5. 該減衰パターンが指数減衰パターンである、請求項4記載のデジタルフィルタ。
  6. FIR型であり、
    直列的に連続して接続された複数の遅延素子と、複数のフィルタタップとを備え、
    複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上において、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、0でもなく、また、その近傍の値でもないフィルタ係数が設定されたフィルタタップが設けられた、請求項1又は2記載のデジタルフィルタ。
  7. 該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間における係数値が、後段ほど小さくなるような減衰パターンを示す、請求項6記載のデジタルフィルタ。
  8. 該減衰パターンが指数減衰パターンである、請求項7記載のデジタルフィルタ。
  9. 該減衰パターンがハミング窓の後半部に相当する減衰パターンである、請求項7記載のデジタルフィルタ。
  10. 該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間における係数値が、ハミング窓に相当するパターンを示す、請求項6記載のデジタルフィルタ。
  11. 周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、
    適応型であり、
    直列的に連続して接続された複数の遅延素子と、フィルタ係数を更新可能な複数のフィルタタップとを備え、
    該周期性騒音の音声信号が主入力信号として用いられ、該デジタルフィルタの出力信号と該音声信号との誤差信号のパワーが最小化されるように該フィルタタップのフィルタ係数が更新され、
    複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上において、該周期性騒音の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップが設けられた、デジタルフィルタ。
  12. 該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップによってその出力信号に対してフィルタ係数が乗ぜられる遅延素子以外の遅延素子の出力信号に対しては、フィルタタップを設けないか、又は、0若しくはその近傍の値をフィルタ係数として乗ずるためのフィルタタップが設けられた、請求項11記載のデジタルフィルタ。
  13. 該デジタルフィルタにおいて実行される適応アルゴリズムが学習同定法である、請求項11又は12記載のデジタルフィルタ。
  14. 該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、そのフィルタ係数更新可能範囲の最大値の合計値が、1又はその近傍の値である、請求項11乃至13のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  15. 該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、フィルタ係数が0又は正値に制限される、請求項11乃至14のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  16. 該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、そのフィルタ係数更新可能範囲の最大値が、後段のフィルタタップほど小さくなるような減衰パターンを示す、請求項11乃至15のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  17. 該減衰パターンが指数減衰パターンである、請求項16記載のデジタルフィルタ。
  18. 該減衰パターンが、ハミング窓の後半部に相当する減衰パターンである、請求項16記載のデジタルフィルタ。
  19. 該実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップにおいて、そのフィルタ係数更新可能範囲の最大値が、ハミング窓に相当するパターンを示す、請求項11乃至15のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  20. 該周期性騒音が第一周期を有する騒音成分と第二周期を有する騒音成分とを含み、
    該第一周期よりも該第二周期の方が大きく、
    複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上における、該第一周期の周期的なタイミングに略一致する時間と、該第二周期の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップが設けられた、請求項11乃至15のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  21. 該周期性騒音が第一周期を有する騒音成分と第二周期を有する騒音成分とを含み、
    該第一周期よりも該第二周期の方が大きく、
    複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上の所定時間よりも前の時間における、該第一周期の周期的なタイミングに略一致する時間と、複数の遅延素子によって生ぜしめられる遅延時間の時間軸上における、該第二周期の周期的なタイミングに略一致する時間の信号に対してのみ、実質的なフィルタ係数の更新が可能なフィルタタップが設けられた、請求項11乃至15のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  22. 周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、
    適応型であり、
    該デジタルフィルタにおいて、第一工程、第二工程 及び 第三工程が実行され、
    第一工程において、該デジタルフィルタが有する全てのフィルタタップでフィルタ係数の更新がなされ、
    第二工程において、第一工程が実行されることによって収束したフィルタ係数が所定の閾値よりも大きいフィルタタップが、第一フィルタタップとして抽出され、
    第三工程において、第二工程が実行されることによって抽出された第一フィルタタップに対してはフィルタ係数の更新が許容され、それ以外のフィルタタップに対しては、フィルタ係数が0又はその近傍の値に設定され、かつ、フィルタ係数の更新が許容されない、デジタルフィルタ。
  23. 該デジタルフィルタにおいて実行される適応アルゴリズムが学習同定法である、請求項22記載のデジタルフィルタ。
  24. 該第三工程において、該第一フィルタタップのフィルタ係数更新可能範囲の最大値の合計値が、1又はその近傍の値である、請求項22又は23記載のデジタルフィルタ。
  25. 該第三工程において、該第一フィルタタップのフィルタ係数が0又は正値に制限される、請求項22乃至24のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  26. 周期性騒音低減装置に用いられるデジタルフィルタであって、
    適応型であり、
    第一適応アルゴリズム実行部と、第二適応アルゴリズム実行部とを備え、
    第一適応アルゴリズム実行部と第二適応アルゴリズム実行部とは、フィルタタップ数と単位遅延時間が同一であり、
    第一適応アルゴリズム実行部に入力される主入力信号が、第二適応アルゴリズム実行部にも主入力信号として入力され、
    第二適応アルゴリズム実行部で適応アルゴリズムが実行されることによって収束したフィルタ係数が、所定の閾値よりも大きいフィルタタップが、第二フィルタタップとして抽出され、
    第一適応アルゴリズム実行部において、該抽出された第二フィルタタップと同一のタップ番号を有するフィルタタップに対しては、フィルタ係数の更新が許容され、それ以外のフィルタタップに対しては、フィルタ係数が0又はその近傍の値に設定され、かつ、フィルタ係数の更新が許容されない、デジタルフィルタ。
  27. 該第一適応アルゴリズム実行部において実行される適応アルゴリズム、及び、該第二適応アルゴリズム実行部において実行される適応アルゴリズムが、いずれも学習同定法である、請求項26記載のデジタルフィルタ。
  28. 該第一適応アルゴリズム実行部の適応アルゴリズムにおいて、フィルタ係数の更新が許容されるフィルタタップでのフィルタ係数更新可能範囲の最大値の合計値が、1又はその近傍の値である、請求項26又は27記載のデジタルフィルタ。
  29. 該第一適応アルゴリズム実行部の適応アルゴリズムにおいて、フィルタ係数の更新が許容されるフィルタタップでのフィルタ係数が0又は正値に制限される、請求項26乃至28のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタ。
  30. 音声信号入力部と、音声信号出力部と、フィルタとを備え、
    該音声信号入力部に周期性騒音を含む音声信号が入力され、
    音声信号入力部に入力された音声信号が該フィルタに入力され、
    該音声信号入力部に入力された音声信号から該フィルタの出力信号を減ずることによって生成される信号が該音声信号出力部から出力され、
    該フィルタが請求項1乃至29のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタである、周期性騒音低減装置。
  31. 第一騒音低減装置と、その後段に直列に接続された第二騒音低減装置とを備える騒音低減装置であって、
    該第一騒音低減装置と該第二騒音低減装置のうちの一方が、請求項30記載の周期性騒音低減装置であり、
    他方が、線型予測フィルタを使った騒音再合成法に基づいて騒音を低減させる装置である、騒音低減装置。
  32. 第一マイクロホンと、第二マイクロホンと、スピーカと、フィルタとを備え、
    該フィルタが請求項11乃至25のいずれか一の項に記載のデジタルフィルタであり、
    該第一マイクロホンに周期性騒音が入力され、
    該第一マイクロホンの出力信号が該フィルタに入力され、
    該フィルタの出力信号が該スピーカに送出され、
    該周期性騒音と該スピーカからの放射音とが該第二マイクロホンに入力され、
    該第二マイクロホンの出力信号が適応アルゴリズム実行のための誤差信号として該フィルタに入力される、周期性騒音低減装置。
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