WO2018087855A1 - エコーキャンセラ装置、エコー消去方法、及びエコー消去プログラム - Google Patents
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Abstract
エコーキャンセラ装置(100)は、マイク入力信号(y(n))から疑似エコー成分を除去して残差信号(r(n))を出力する適応フィルタ部(101)と、マイク入力信号と残差信号の比を示すpERL値を算出するpERL算出部(106)と、マイク入力信号のうちのエコー信号(d(n))と、エコー信号から疑似エコー成分を減じて得られた残留エコー信号(e(n))との比を示すERLE値を算出するERLE算出部(105)と、ERLE値とpERL値との差分を示す減少度合を算出するpERL減少度合算出部(107)と、ERLE値(t)と前記減少度合(k)とから残留エコー抑圧量(γ(ω))を算出する抑圧量算出部(108)と、残差信号に残留エコー抑圧量を乗じることで、出力信号を生成する残留エコー抑圧処理部(109)とを有する。
Description
本発明は、音声通信システムに使用されるエコーキャンセラ装置、エコー消去方法、及びエコー消去プログラムに関する。
エコーキャンセラ装置は、電話通信システム及びテレビ会議システムなどのような音声通信システムにおいて、スピーカからマイクに回り込んだ音(エコー)に基づくエコー信号を消去するために用いられる。一般に、エコーキャンセラ装置は、適応フィルタがエコー信号と受話信号とからエコー経路を推定(学習)し、推定結果に基づいて疑似エコー信号であるエコーレプリカを生成し、減算器で送話信号からエコーレプリカを減じることで、エコー消去処理を行う。また、エコーキャンセラ装置の多くは、適応フィルタを用いたエコー消去処理後に送話信号に残っている残留エコー信号を減らすために、残留エコー信号を抑圧する残留エコー抑圧処理部を備えている。
しかし、従来のエコーキャンセラ装置では、マイク入力信号が、エコー信号と近端信号(背景雑音及び近端話者音声などに基づく信号)とが重畳した信号であるときに、エコー信号を正確に消去することが難しい。特に、マイクに、近端話者音声とスピーカから出力されたエコー(遠端話者音声)とが同時に入力されるダブルトーク(DT:Double Talk)時には、適応フィルタによるエコー経路の推定(学習)に誤りが生じ易く、残留エコー抑圧処理部における残留エコー量の推定精度が低下する。また、DT時には、エコー信号とエコーレプリカとの差が大きくなり、エコー消去処理後に送話信号に残っている残留エコー信号の量が増加する。
これらの対策として、特許文献1は、エコー信号パワーを受話信号パワーで除算することで得られたエコー経路結合量(すなわち、エコー信号と受話信号とのパワー比として得られた音響結合量)を、受話信号パワーに乗じることで、エコー信号パワーを推定し、推定結果を用いてエコー信号を抑圧する方法を提案している。
Jacob Benesty, Dennis R. Morgan, and Jun. H. Cho著、"A New Class of Doubletalk Detectors Based on Cross-Correlation" IEEE Transactions on Speech and Audio Processing, Vol.8, No.2, pp.168-172, Mar. 2000.
浅野太著、音響テクノロジーシリーズ16、「音のアレイ信号処理 音源の定位・追跡と分離」(Array signal processing for acoustics, -Localization, tracking and separation of sound sources-)、第3章、第58-59頁、2011年2月25日、株式会社コロナ社発行
しかしながら、特許文献1に記載のエコーキャンセラ装置においては、エコー消去処理後の残留エコー信号のパワーの算出に、エコー信号と受話信号とのパワー比であるエコー経路結合量を用いているため、残留エコー信号の推定精度が低い。残留エコー抑圧処理部において残留エコー量の推定精度が低い場合には、送話信号のうちの近端信号(近端話者音声信号を含む)が抑圧されたり、残留エコー信号を十分に減らすことができなかったりするという課題がある。
本発明は、近端信号を抑圧することなく、残留エコー信号を抑圧することができるエコーキャンセラ装置、エコー消去方法、及びエコー消去プログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るエコーキャンセラ装置は、マイクとスピーカとを有する音声通信システムに使用されるエコーキャンセラ装置であって、マイク入力信号から疑似エコー成分を除去して残差信号を出力するエコー消去部と、前記マイク入力信号と前記残差信号の比を示すpERL値を算出するpERL算出部と、前記マイク入力信号のうちの前記スピーカから前記マイクに入力したエコーに基づくエコー信号と、前記エコー信号から前記疑似エコー成分を減じて得られた残留エコー信号との比を示すERLE値を算出するERLE算出部と、前記ERLE値と前記pERL値との差分を示す減少度合を算出するpERL減少度合算出部と、前記ERLE値と前記減少度合とから前記残留エコー抑圧量を算出する抑圧量算出部と、前記残差信号に前記残留エコー抑圧量を乗じることで、出力信号を生成する残留エコー抑圧処理部とを有することを特徴とする。
本発明によれば、近端信号を抑圧することなく、残留エコー信号を抑圧することができる。
《1》実施の形態1.
《1-1》構成
図1は、本発明の実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100の概略構成を示すブロック図である。エコーキャンセラ装置100は、実施の形態1に係るエコー消去方法を実行することができる装置である。エコーキャンセラ装置100は、マイク11とスピーカ12とを有する音声通信システム10の一部を構成することができる。音声通信システム10は、電話回線及びインターネットなどのような信号伝送路を介して、他の音声通信システム(図示せず)と通信可能に接続される。音声通信システム10の例は、ハンズフリー通話機能を備えた電話通信システム(拡声通話装置)及びテレビ会議システム(テレビ会議装置)などである。
《1-1》構成
図1は、本発明の実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100の概略構成を示すブロック図である。エコーキャンセラ装置100は、実施の形態1に係るエコー消去方法を実行することができる装置である。エコーキャンセラ装置100は、マイク11とスピーカ12とを有する音声通信システム10の一部を構成することができる。音声通信システム10は、電話回線及びインターネットなどのような信号伝送路を介して、他の音声通信システム(図示せず)と通信可能に接続される。音声通信システム10の例は、ハンズフリー通話機能を備えた電話通信システム(拡声通話装置)及びテレビ会議システム(テレビ会議装置)などである。
図1に示されるように、エコーキャンセラ装置100は、エコー経路の推定(学習)を行う適応フィルタ101aを備える。適応フィルタ101aは、エコー経路を推定するためにフィルタ係数を更新(算出)すると共に、エコー経路の推定結果に基づいて、スピーカ12からマイク11に入力されるエコーに基づくエコー信号に似せた疑似エコー信号であるエコーレプリカを生成する。エコーキャンセラ装置100は、マイク入力信号y(n)からエコーレプリカを差し引く減算器101bを備える。適応フィルタ101aと減算器101bとは、エコー消去部(適応フィルタ部)101を構成する。
また、エコーキャンセラ装置100は、マイク11に入力された音がダブルトーク(DT)状態であるか否かを判定するダブルトーク判定器(DT判定器)102を備えることが望ましい。DT判定器102としては、例えば、上記非特許文献1に記載のものを用いることができる。ただし、DT判定器102は、DT状態であるか否か(すなわち、DTの有無)を判定する機能を備えたものであれば、他のDT判定器であってもよい。DT判定器102は、DT時に適応フィルタ101aがエコー経路の推定(学習)を行わないように、適応フィルタ101aを制御する。
時刻をnと表記し、時刻nにおけるエコーに基づくエコー信号をd(n)と表記し、時刻nにおける近端話者音声と騒音との和を示す近端信号をs(n)と表記し、時刻nにマイク11に入力された音に基づくマイク入力信号をy(n)と表記すると、次式が成立する。
y(n)=d(n)+s(n)
y(n)=d(n)+s(n)
適応フィルタ101aとしては、例えば、Normalized Least Mean Square(NLMS)アルゴリズムを用いたフィルタを採用することができる。このNLMSによる係数の更新方法として、例えば、上記非特許文献2に記載の方法を用いることができる。NLMSの更新方法は、(式1)及び(式2)に示される。
(式1)及び(式2)において、r(n)は、マイク入力信号y(n)からエコーレプリカを差し引くことで得られた残差信号を示す。(式1)及び(式2)において、過去N個分の受話信号x(n)の時系列は、N個の要素からなるベクトル表現で、
(Nは、フィルタ長)と表される。上付きの「T」は、転置を意味する。
高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)処理部103は、時間領域のマイク入力信号y(n)及び時間領域の残差信号r(n)を、周波数領域のマイク入力信号Y(ω)及び周波数領域の残差信号R(ω)にそれぞれ変換する。ここで、ωは、周波数を示す。
抑圧量推定部104には、周波数領域のマイク入力信号Y(ω)、周波数領域の残差信号R(ω)、及びDT判定結果が入力される。抑圧量推定部104は、周波数領域のマイク入力信号Y(ω)及び周波数領域の残差信号R(ω)から残留エコー抑圧量γ(ω)の推定(算出)を行う。抑圧量推定部104は、本発明の特徴部分である。
まず、抑圧量推定部104において、エコー消去量を模擬するpERL値(pseudo Echo Return Loss:疑似エコーリターンロス)であるpERL(n)は、マイク入力信号y(n)と残差信号r(n)とを用いて、(式3)のように定義される。
また、真のエコー消去量であるERLE値(Echo Return Loss Enhancement)であるERLE(n)は、エコー信号d(n)と残留エコー信号e(n)とを用いて、(式4)のように定義される。
また、pERL値に対するパワー平均pERLave(n)を、(式5)のように定義する。
(式5)において、E[・]は、括弧内の値の時間平均を表す演算子である。また、(式5)において、常用対数(log10)の中身(真数)は、近端信号s(n)とエコー信号d(n)とが無相関であると仮定すれば、(式6)のように展開することができる。
(式6)において、{s(n)}2の時間平均であるE[{s(n)}2]が増加すると、pERL値は減少することが知られている。このことは、(式6)をグラフ化することによって容易に理解できる。
図2は、近接信号の値が大きくなるほど、pERL値が減少することを説明するためのグラフを示す図である。図2においては、a=15、b=2000としたf(x)のグラフが示されている。図2から、f(x)は、f(0)=b/aを最大値とし、単調減少する関数であることが分かる。
図3は、近接信号の値が大きくなるほど、単調減少するpERL値のグラフを示す図である。図3に示されるグラフは、図2に示されたf(x)を、縦軸の数値をデシベル(dB)で表したものである。図3から、実際のハンズフリー通話中のデータでは、ダブルトーク中にエコー消去量が10dB程度落ちること(すなわち、約23dBから約13dBに落ちること)が分かる。
次に、残留エコー抑圧処理部109における理想的な残留エコー抑圧量γ(ω)について説明する。周波数ωのマイク入力信号をY(ω)、近端信号をS(ω)、エコー信号をD(ω)、残差信号をR(ω)、残留エコー信号をE(ω)とそれぞれ表記する。周波数ωに対する理想的な残留エコー抑圧量γ(ω)は、(式7)で表される。
残差信号R(ω)は、観測可能な信号であるが、近端信号S(ω)は、観測することができない信号である。そこで、本発明の実施の形態1においては、近端信号S(ω)を高い精度で推定する。以下に、その方法を説明する。
近端信号が混在しなければ、pERL値は、ERLE値と一致し、適応フィルタ101aの学習が十分に進めば、各時間でpERL値は、安定(例えば、30dB)する。この性質を利用し、ダブルトークが起きた際のpERL値の劣化量(例えば、10dB落ちる)から近端信号パワーを推定する。
ERLE算出部105は、例えば、DT判定器102の判定結果により近端信号s(n)の有無(すなわち、近端信号が無ければDTは無い)を判断し、近端信号s(n)が無ければERLE値を算出する。ERLE値の算出は、数フレームの平均、長時間の移動平均、及び直前の瞬時値などのうちの、いずれであってもよい。
pERL算出部106は、pERL値を算出し、pERL減少度合算出部107は、ERLE値とpERL値の差分を算出する。ダブルトークが生じたことによりpERL値がk[dB]劣化したことを定式化すると、下記の(式9)のようになる。
図4は、図3のグラフ上に適応フィルタ101aが安定した際のERLE値であるt[dB]と、ダブルトークが生じたことによるpERL値の劣化量を示すk[dB]を示す図である。t[dB]及びk[dB]は、観測可能な値である。
抑圧量算出部108は、例えば、(式13)を用いて残留エコー抑圧量γ(ω)を算出する。
最後に、高速逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform:IFFT)処理部110は、残留エコー抑圧処理部109の出力信号にIFFT処理を行い、時間領域の出力信号
を生成する。
《1-2》ハードウェア構成
実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100は、ハードウェア(H/W)、又はソフトウェア(S/W)、又はH/WとS/Wの組み合わせによって実現可能である。
実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100は、ハードウェア(H/W)、又はソフトウェア(S/W)、又はH/WとS/Wの組み合わせによって実現可能である。
図5は、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100を示すハードウェア構成図である。図5には、エコーキャンセラ装置100をH/Wで構成した例を示す。この場合、エコーキャンセラ装置100は、半導体集積回路などから構成された処理回路81と、処理回路81がエコー消去のための処理に使用する情報を記憶する外部記憶装置82とを備えている。処理回路81によって実行されるエコー消去方法は、後述の図7に示されている。外部記憶装置82は、例えば、エコーキャンセラ装置100に直接又はネットワークを経由して接続されたHDD(ハードディスクドライブ)又はSSD(ソリッドステートドライブ)などである。エコーキャンセラ装置100には、近端話者音声が入力される音声入力部としてのマイク11と、受話信号に基づく遠端話者音声を出力する音声出力部としてのスピーカ12と、信号伝送路を介して、他の音声通信システムと通信する通信部13とが接続されている。図1に示される構成要素101~110は、図5に示される処理回路81と外部記憶装置82によって実現されることができる。
図6は、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100を示す他のハードウェア構成図である。図6には、エコーキャンセラ装置100をS/Wで構成した例を示す。この場合、エコーキャンセラ装置100は、ソフトウェアとしてのプログラム(実施の形態1に係るエコー消去プログラム)を格納する記憶装置としてのメモリ92と、メモリ92に格納されたプログラムを実行する情報処理部としてのプロセッサ91とを用いて(例えば、コンピュータにより)実現することができる。エコー消去プログラムによって実行される処理は、後述の図7に示されている。また、エコーキャンセラ装置100は、エコー消去のための処理に使用する情報を記憶する外部記憶装置82を備えている。この場合には、図1に示される構成要素101~110は、図6に示されるプロセッサ91とメモリ92とによって実現される。なお、図1に示されるエコーキャンセラ装置100の一部を、図6に示されるメモリ92とプログラムを実行するプロセッサ91とによって実現し、残りの部分を図5に示される処理回路81によって実現してもよい。
《1-3》動作
図7は、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100の動作(実施の形態1に係るエコー消去方法)を示すフローチャートである。
図7は、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100の動作(実施の形態1に係るエコー消去方法)を示すフローチャートである。
先ず、DT判定器102は、エコーキャンセラ装置100においてDTが発生しているか否か、すなわち、DTの有無を判定する(ステップS1)。
DTが無しであれば(ステップS1においてNO)、適応フィルタ101aは、適応フィルタ101aにおいて係数更新処理を行い(ステップS2)、エコーレプリカを生成し、減算器101bによってマイク入力信号y(n)からエコーレプリカを減じて残差信号r(n)を生成する処理を行わせる(ステップS3)。
DTが有りであれば(ステップS1においてYES)、適応フィルタ101aは、適応フィルタ101aにおいて係数更新処理を行わずに、エコーレプリカを生成し、減算器101bによってマイク入力信号y(n)からエコーレプリカを減じて残差信号r(n)を生成する処理を行わせる(ステップS3)。
次に、FFT処理部103は、マイク入力信号y(n)と残差信号r(n)を周波数領域のマイク入力信号Y(ω)と残差信号R(ω)にそれぞれ変換する(ステップS4)。
次に、pERL算出部106は、周波数領域のマイク入力信号Y(ω)と残差信号R(ω)から、pERL値を算出する(ステップS5)。
次に、DTが無しであれば(ステップS6においてNO)、ERLE算出部105は、ERLE値を算出し(ステップS7)、pERL減少度合算出部107は、pERL値とERLE値とから減少度合を算出する(ステップS8)。
DTが有りであれば(ステップS6においてYES)、ERLE算出部105によるERLE値の算出を行わずに、pERL減少度合算出部107は、予め保持しているダブルトーク時のpERL値の劣化量(例えば、10dB落ちる)を、pERL値の減少度合とする(ステップS8)。
次に、抑圧量算出部108は、ERLE値と減少度合から、残留エコー抑圧量γ(ω)を算出する(ステップS9)。
次に、残留エコー抑圧処理部109は、残留信号R(ω)に残留エコー抑圧量γ(ω)を乗じて、残留エコー信号の抑圧処理を行う(ステップS10)。
次に、IFFT処理部110は、残留エコー抑圧処理部109の出力信号を高速逆フーリエ変換することで、出力信号を送信する。
《1-4》効果
以上に説明したように、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100及びエコー消去方法においては、(式13)に示されるように、適応フィルタ101aが安定した際のERLE値であるt[dB]に基づくT(≡10t/10)及びpERL値の減少度合であるk[dB]に基づくK(≡10k/10)を用いて残留エコー抑圧量γ(ω)を算出している。つまり、実施の形態1においては、適応フィルタ101aのエコー消去量を観測しておくことにより、残差信号R(ω)中の近端信号S(ω)の割合、すなわち、(式7)に示される理想的な残留エコー抑圧量を推定することが可能である。このため、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100及びエコー消去方法によれば、近接信号を抑圧することなく、高いエコー消去(抑圧)性能を発揮することができる。
以上に説明したように、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100及びエコー消去方法においては、(式13)に示されるように、適応フィルタ101aが安定した際のERLE値であるt[dB]に基づくT(≡10t/10)及びpERL値の減少度合であるk[dB]に基づくK(≡10k/10)を用いて残留エコー抑圧量γ(ω)を算出している。つまり、実施の形態1においては、適応フィルタ101aのエコー消去量を観測しておくことにより、残差信号R(ω)中の近端信号S(ω)の割合、すなわち、(式7)に示される理想的な残留エコー抑圧量を推定することが可能である。このため、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100及びエコー消去方法によれば、近接信号を抑圧することなく、高いエコー消去(抑圧)性能を発揮することができる。
《2》実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係るエコーキャンセラ装置200の概略構成を示すブロック図である。図8において、図1に示される構成要素と同じ又は対応する構成要素には、図1に示される符号と同じ符号が付される。エコーキャンセラ装置200は、実施の形態2に係るエコー消去方法を実行することができる装置である。エコーキャンセラ装置200は、マイク11とスピーカ12とを有する音声通信システム20の一部を構成する。音声通信システム20は、電話回線及びインターネットなどのような信号伝送路を介して、他の音声通信システム(図示せず)と通信可能に接続される。
図8は、本発明の実施の形態2に係るエコーキャンセラ装置200の概略構成を示すブロック図である。図8において、図1に示される構成要素と同じ又は対応する構成要素には、図1に示される符号と同じ符号が付される。エコーキャンセラ装置200は、実施の形態2に係るエコー消去方法を実行することができる装置である。エコーキャンセラ装置200は、マイク11とスピーカ12とを有する音声通信システム20の一部を構成する。音声通信システム20は、電話回線及びインターネットなどのような信号伝送路を介して、他の音声通信システム(図示せず)と通信可能に接続される。
実施の形態2に係るエコーキャンセラ装置200は、抑圧量推定部201において、ERLE算出部105の前段に、マイク11に入力する騒音のレベルを算出する騒音レベル算出部202を備えている点において、実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100と相違する。
図9は、実施の形態2に係るエコーキャンセラ装置200の動作を示すフローチャートである。図9において、図7に示される処理ステップと同じ又は対応する処理ステップには、図7に示される符号と同じ符号が付される。エコーキャンセラ装置200は、ステップS5の次に、騒音レベルを算出するステップS21を有する点において、図7に示される実施の形態1に係るエコーキャンセラ装置100と異なる。
マイク11に入力する騒音のレベルは、残差信号R(ω)を観測し、例えば、区間の最低フレームパワーを平均して算出するなどの方法で算出することができる。算出された騒音レベルを残差信号R(ω)から差し引くことで、ERLE値をより正確に算出することが可能となる。ERLE値の精度が上がれば、結果的に抑圧量算出部108の精度も高くなり、エコー消去性能が向上する。
なお、図5及び図6に示されるハードウェア構成は、実施の形態2にも適用可能である。
上記以外の点については、実施の形態2は実施の形態1と同じである。
本発明は、ハンズフリー通話を行う電話機(車載用電話機を含む)、電話機を含む電話通信システム、テレビ会議システムなどのように、通信システムを用いて遠端話者と近端話者とが会話する機能を備えた全てのシステムに適用可能である。
10,20 音声通信システム、 11 マイク(音声入力部)、 12 スピーカ(音声出力部)、 100,200 エコーキャンセラ装置、 101 エコー消去部(適応フィルタ部)、 101a 適応フィルタ、 101b 減算器、 102 ダブルトーク判定器(DT判定器)、 103 FFT処理部、 104,201 抑圧量推定部、 105 ERLE算出部、 106 pERL算出部、 107 pERL減少度合算出部、 108 抑圧量算出部、 109 残留エコー抑圧処理部、 110 IFFT処理部、 202 騒音レベル算出部。
Claims (6)
- マイクとスピーカとを有する音声通信システムに使用されるエコーキャンセラ装置であって、
マイク入力信号から疑似エコー成分を除去して残差信号を出力するエコー消去部と、
前記マイク入力信号と前記残差信号の比を示すpERL値を算出するpERL算出部と、
前記マイク入力信号のうちの前記スピーカから前記マイクに入力したエコーに基づくエコー信号と、前記エコー信号から前記疑似エコー成分を減じて得られた残留エコー信号との比を示すERLE値を算出するERLE算出部と、
前記ERLE値と前記pERL値との差分を示す減少度合を算出するpERL減少度合算出部と、
前記ERLE値と前記減少度合とから残留エコー抑圧量を算出する抑圧量算出部と、
前記残差信号に前記残留エコー抑圧量を乗じることで、出力信号を生成する残留エコー抑圧処理部と
を有することを特徴とするエコーキャンセラ装置。 - 前記エコー消去部から出力された前記残差信号と前記マイク入力信号とを高速フーリエ変換して周波数領域の残差信号と周波数領域のマイク入力信号とを生成するFFT処理部と、
前記残留エコー抑圧処理部で生成された前記出力信号を時間領域の出力信号に変換するIFFT処理部と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のエコーキャンセラ装置。 - 前記マイク入力信号が、前記エコー信号を含むか否かを判定するダブルトーク判定器をさらに有し、
前記ERLE算出部は、前記ダブルトーク判定器が、前記マイク入力信号は前記エコー信号を含まないと判定したときにおける前記pERL値を、前記ERLE値として出力する。
請求項1又は2に記載のエコーキャンセラ装置。 - 前記マイク入力信号に含まれる騒音レベルを算出する騒音レベル算出部をさらに有し、
前記ERLE算出部は、前記エコー消去部から出力された前記残差信号から前記騒音レベルを差し引いた信号から前記ERLE値を算出する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のエコーキャンセラ装置。 - マイクとスピーカとを有する音声通信システムに使用されるエコー消去方法であって、
マイク入力信号から疑似エコー成分を除去して残差信号を出力するステップと、
前記マイク入力信号と前記残差信号の比を示すpERL値を算出するステップと、
前記マイク入力信号のうちの前記スピーカから前記マイクに入力したエコーに基づくエコー信号と、前記エコー信号から前記疑似エコー成分を減じて得られた残留エコー信号との比を示すERLE値を算出するステップと、
前記ERLE値と前記pERL値との差分を示す減少度合を算出するステップと、
前記ERLE値と前記減少度合とから残留エコー抑圧量を算出するステップと、
前記残差信号に前記残留エコー抑圧量を乗じることで、出力信号を生成するステップと
を有することを特徴とするエコー消去方法。 - マイクとスピーカとを有する音声通信システムにおけるマイク入力信号から疑似エコー成分を除去して残差信号を出力する処理と、
前記マイク入力信号と前記残差信号の比を示すpERL値を算出する処理と、
前記マイク入力信号のうちの前記スピーカから前記マイクに入力したエコーに基づくエコー信号と、前記エコー信号から前記疑似エコー成分を減じて得られた残留エコー信号との比を示すERLE値を算出する処理と、
前記ERLE値と前記pERL値との差分を示す減少度合を算出する処理と、
前記ERLE値と前記減少度合とから残留エコー抑圧量を算出する処理と、
前記残差信号に前記残留エコー抑圧量を乗じることで、出力信号を生成する処理と
をコンピュータに実行させるためのエコー消去プログラム。
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