JPH11122144A - エコー消去方法および装置 - Google Patents

エコー消去方法および装置

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JPH11122144A
JPH11122144A JP27844497A JP27844497A JPH11122144A JP H11122144 A JPH11122144 A JP H11122144A JP 27844497 A JP27844497 A JP 27844497A JP 27844497 A JP27844497 A JP 27844497A JP H11122144 A JPH11122144 A JP H11122144A
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JP
Japan
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echo
signal
sufficient
necessary
echo suppression
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Application number
JP27844497A
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English (en)
Inventor
Sumitaka Sakauchi
澄宇 阪内
Yoichi Haneda
陽一 羽田
Yutaka Kaneda
豊 金田
Shoji Makino
昭二 牧野
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Telephone Function (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 擬似エコー経路を構成する適応フィルタのタ
ップ長を適切なものとする。 【解決手段】 エコー抑圧量決定回路53で、実験的に
シングルトーク状態での所要エコー抑圧量から、伝送遅
延が60ms以下の場合は5dBを、60ms以下の場
合は10dBを差引いた値をダブルトーク時の所要エコ
ー抑圧量DLとし、この値と、平均残響時間と、サンプ
リング間隔とからタップ長Lを計算部52で計算し、そ
のタップ長をキャンセラ21内の適応フィルタに設定す
る。シングルトークを検出部59で検出すると、ダブル
トーク時の所要エコー抑圧量と、シングルトーク時の所
要エコー抑圧量との差の値だけ、誤差信号e(n) に対
し、損失を制御部58で与えて送信する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば2線4線
変換系および拡声通話系などにおいてハウリングの原因
および聴覚上の障害となるエコー信号を、適応フィルタ
よりなる擬似エコー経路により擬似エコー信号を作り、
消去あるいは抑圧するエコー消去方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】まず、このようなハウリングの原因およ
び聴覚上の障害となるエコー信号について図8Aに示す
拡声通話系を参照して説明する。送話者10の発声した
送話音声は、送話用マイクロホン1、送話信号増幅器
5、伝送路9、受話信号増幅器8、受話スピーカ4を経
て受話者11に伝わる。この拡声通話系は、従来の電話
通話系のように送受話器を手に持つ必要がないため、作
業をしながらの通話が可能であったり、また、自然な対
面通話が実現できるという長所を持ち、通信会議やテレ
ビ電話、拡声電話機などに広く利用が進められている。
【0003】しかしながら、この通話系の欠点として、
エコーの存在が問題となっている。すなわち、図8Aに
おいて、スピーカ4から受話者11側に伝わった音声
が、マイクロホン3で受音され、送話信号増幅器7、伝
送路9、受話信号増幅器6、スピーカ2を経て送話側に
再生される。送話者10にとって、この現象は、自分の
発声した音声が、スピーカ2から再生されるというエコ
ー現象であり、音響エコーなどと呼ばれている。このエ
コー現象は、拡声通話系において通話の障害や不快感な
どの悪影響を生じる。さらに、スピーカ2から再生され
た音は、マイクロホン1で受音されて信号の閉ループを
形成する。そして、このループゲインが1より大きい場
合にはハウリング現象が発生して、通話は不能となる。
【0004】このような拡声通話系の問題点を克服する
ために、エコー消去装置(エコーキャンセラ)が利用さ
れている。エコーキャンセラの代表的な構成法として
は、フルバンド方式とサブバンド方式が知られている。
図8Bは従来のフルバンド方式のエコーキャンセラの一
例を示すブロック図を表している。エコーキャンセラ2
1では、まずエコー経路推定回路23において、受話ス
ピーカ4と送話用マイクロホン3間のエコー経路26の
エコー経路伝達特性(インパルス応答)h(n) を推定
し、その推定値h^(n) を擬似エコー経路22に転送す
る。次に擬似エコー経路22において、h^(n) と受話
信号x(n)との畳み込み演算を実行して、擬似エコー信
号y^(n) を合成する。そして減算器24において、マ
イクロホン3の出力信号z(n) から擬似エコー信号y^
(n)を差し引く。エコー経路インパルス応答h(n) の推
定が良好に行なわれていれば、エコー信号y(n) と擬似
エコー信号y^(n) はほぼ等しいものとなっており、こ
の減算の結果、マイクロホン出力に含まれるエコー信号
y(n) は消去される。
【0005】ここで擬似エコー経路22は、エコー経路
インパルス応答h(n) の経時変動に追従する必要があ
る。そのためエコー経路推定回路23では、適応アルゴ
リズムを用いてエコー経路インパルス応答h(n) の推定
を行なう。この推定動作は受話状態、近端話者の送話信
号s(n) ≒0であり、z(n) ≒y(n) とみなせる時に実
行される。適応アルゴリズムとは、インパルス応答の推
定値である擬似エコー経路h^(n) を求めるアルゴリズ
ムであって、LMS法、学習同定法、ES法などが知ら
れている。ここで、擬似エコー経路の値が、真のエコー
経路の値に近く、擬似エコー信号y^(n) がエコー信号
y(n) にほぼ等しくなった状態を、収束したと呼ぶ。ま
た、擬似エコー経路22とエコー経路推定回路23を合
わせて、ここでは適応フィルタと呼ぶ。
【0006】図9に従来のサブバンド方式のエコーキャ
ンセラの一例を示す。図8と共通な部分には同一の番号
を付した。受話信号x(n) および、マイクロホン出力信
号z(n) はそれぞれN個の周波数帯域に周波数帯域分割
回路41,42で分割され、これら分割された受話信号
1 (m) からxN (m) と、周波数分割されたマイクロホ
ン出力信号z1(m)からzN (m) とがそれぞれ適応フィル
タを含むキャンセル部44−1から44−Nに入力さ
れ、適応フィルタキャンセル部44−1から44−Nよ
り周波数分割された後の誤差信号e1 (m) からeN (m)
が出力され、これら誤差信号e1 (m) からeN (m) は周
波数帯域合成回路43で合成されて送信される。mは周
波数分割回路41,42で間引かれた後の信号の離散時
間を示し、間引き率をRとしたとき、n=R×mの関係
がある。サブバンド方式のエコーキャンセラは、このよ
うに、各周波数帯域毎の適応フィルタよりなるキャンセ
ル部において、エコー信号の抑圧を行なう。
【0007】一般に適応フィルタにおいて、そのフィル
タ係数の数を示すタップ長がエコー経路の(真の)イン
パルス応答長分だけ用意された場合には、完全なエコー
消去が実現できる。これまでのフルバンド方式のエコー
消去装置においては、このタップ数は次のように決めて
いた。タップ長Lは所要エコー抑圧量(Desired
Loss)DL、平均残響時間TR およびサンプリン
グ間隔TS (s) として次式で与えられる。
【0008】 L=(1/60)・(TR /TS )・DL (1) この式(1)からわかるように、これまでタップ長は受
話状態において求められた所要エコー抑圧量と、室内の
残響時間によって決定されていた。しかし、一般にエコ
ー信号(音響エコー)は、残響時間にして数百ms程度
のインパルス応答継続時間を有する。したがって、残響
時間のみから計算したタップ長を用いてこのエコー信号
を消去しようとする場合、タップ数が非常に長大となる
問題がある。
【0009】また、所要エコー抑圧量、各帯域量の所要
エコー抑圧量は評価実験のしやすい受話状態の値、もし
くは装置規模に依存した半経験的な値が用いられてい
る。そのため、過剰なタップ長が装置に搭載されハード
規模の増大を招いたり、反対に不十分なタップ長でエコ
ーが消去しきれないという問題がある。このため、様々
な通話状態(受話、送話、同時発話状態および伝送遅延
など)における、人間のエコーに対する許容限に基づい
た所要エコー抑圧量を決定し、その上で適応フィルタに
おいて消去すべき所要エコー抑圧量を決定し、この値と
エコー経路のインパルス応答長とから、必要十分なタッ
プ長を用意する方式が考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来のエコー消去装置においては、適応フィルタのタッ
プ長を半経験的な受話状態での所要エコー抑圧量又は帯
域別所要エコー抑圧量の値と、使用する室内の残響時間
によって決定していた。このため、タップ長の割り当て
が過剰になりハードウェア規模が増大したり、反対にタ
ップ長が不十分のためエコーの消去が不完全になり、通
話品質を劣化させるという問題が生じる。
【0011】この発明の目的は、適応フィルタにおいて
消去すべき所要エコー抑圧量を考慮し、タップ長の効率
的な搭載を行ない、タップ長の過剰な搭載や、不十分な
搭載という従来の問題点を解消した通話品質を良好に保
つエコー消去方法および装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、適応フィルタよりなる擬似
エコー経路を用いて、擬似エコー信号を生成し、エコー
信号から差し引くフルバンド方式のエコー消去方法にお
いて、拡声通信を行なう両対地の話者が、同時に発話す
る際に必要十分なエコーの抑圧量に基づいて、前記のそ
れぞれの適応フィルタのフィルタ係数の数を示すタップ
長を、決定する。
【0013】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明において、前記タップ長を決定するステップが、伝
送遅延が短かい、例えば60ms程度以下の回線系の場
合は、拡声通信を行なう片方の話者のみが、発話する際
に必要十分なエコー抑圧量から、10dB程度差し引い
た値を両対地同時発話時の必要十分なエコー抑圧量と決
定し、伝送遅延が比較的長い、例えば60ms以上の回
線系の場合は、拡声通信を行なう片方の話者のみが、発
話する際に必要十分なエコー抑圧量から、5dB程度差
し引いた値を両対地同時発話時の必要十分なエコー抑圧
量と決定してこのエコー抑圧量からタップ長の計算を行
なう。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1又は2の
発明において、拡声通信の最中、片方の話者のみが発話
を行なっている時、拡声通信を行なう片方の話者のみが
発話する際に必要十分なエコー抑圧量から、拡声通信を
行なう両対地の話者が同時に発話する際に必要十分なエ
コーの抑圧量を差し引いた値を、前記誤差信号に損失と
して挿入して対地へ送信する。
【0015】請求項7記載の発明はサブバンド方式で、
複数の周波数帯域ごとに適応フィルタよりなる擬似エコ
ー経路を用いて擬似エコー信号を生成し、擬似エコー信
号を対応する帯域のエコー信号から差し引くエコー消去
方法において、拡声通信を行なう両対地の話者が、同時
に発話する際に各周波数帯域における必要十分なエコー
の抑圧量に基づいて、対応帯域の適応フィルタのフィル
タ係数の数を示すタップ長を決定する。
【0016】また、請求項8記載の発明は、請求項7記
載の発明において、前記各周波数帯域のタップ長を決定
するステップは、伝送遅延が短かい、例えば60ms以
下の回線系の場合は、拡声通信を行なう片方の話者のみ
が、発話する際に必要十分な各周波数帯域毎のエコー抑
圧量から、10dB程度差し引いた値を前記両対地同時
発話時の必要十分な各周波数帯域毎のエコー抑圧量と決
定し、伝送遅延が比較的長い、例えば60ms以上の場
合は、拡声通信を行なう片方の話者のみが、発話する際
に必要十分な各周波数帯域毎のエコー抑圧量から、5d
B程度差し引いた値を前記両対地同時発話時の必要十分
な各周波数帯域毎のエコー抑圧量と決定し、これら各周
波数帯域毎のエコー抑圧量から対応帯域の適用フィルタ
のタップ長の計算を行なう。
【0017】請求項9記載の発明は、請求項7又は8記
載の発明において、拡声通信の最中、片方の話者のみが
発話を行なっている時、各周波数帯域毎に、拡声通信を
行なう片方の話者のみが発話する際に必要十分なエコー
抑圧量から、対応する周波数帯域の拡声通話を行なう両
方の話者が同時に発話する際に必要十分なエコーの抑圧
量を差し引いた値を、前記各周波数帯域毎の誤差信号に
損失として挿入して対地へ送信する。
【0018】
【作用】上記課題を解決するための手段は以下の理由か
ら効果が生じる。一般的にエコー消去装置は、適応フィ
ルタだけではなく、送信回線に損失を挿入しエコー(誤
差信号)を抑圧する非線形エコー抑圧処理部を併せ持
つ。これは、適応フィルタだけでは、通信環境の急激な
変化や周囲騒音の影響により、エコーを完全に消去はし
きれないため、その消し残ったエコーを抑圧するためで
ある。
【0019】この非線形なエコー抑圧である損失挿入
は、受話状態の場合には消し残ったエコーを抑圧できる
利点がある。しかし、発話状態や両対地同時発話(ダブ
ルトーク)の際に損失が挿入されると、発話の話頭、話
尾切断などが発生し通話品質を劣化させる。そのため、
損失挿入は通話状態を何らかの方法で判定し、必要最低
限の量にとどめる必要がある。
【0020】上記のとおり、エコーキャンセラにおいて
エコーは、適応フィルタと損失挿入を組み合わせて抑圧
される。ここで、適応フィルタにおいて賄うべきエコー
抑圧量を検討する。拡声通信において、発話側の送信回
線には損失を挿入せず、受話側の送信回線に十分な損失
を挿入すれば、エコーは完全に抑圧できる。このような
方式が従来の音声スイッチであるが、送受話の判定が完
全にはできないため、話頭、話尾の切断が起こり通話品
質の劣化が生じる。そのため、適応フィルタによってで
きるだけエコーを消去した後、損失の挿入は必要最小限
に抑えて消し残ったエコーを抑圧するように、エコーキ
ャンセラを設計しなくてはならない。
【0021】ダブルトーク状態の場合、損失の挿入によ
るエコーの抑圧が不可能となる。なぜなら、ダブルトー
ク状態においては、抑圧したいエコーと発話信号が同時
に送信回線に送られるため、その送信回線に損失を多少
でも挿入すると、エコーだけでなく発話信号も抑圧され
著しい通話品質の劣化が生じる。そのため、少なくとも
ダブルトーク状態の時は、適応フィルタによってエコー
を消去する必要がある。従って、適応フィルタにおいて
消去しなければならないエコーの必要量は、ダブルトー
ク時の所要エコー抑圧量と考えられる。
【0022】こうして、ダブルトークの所要エコー抑圧
量を決定することにより、適応フィルタの最適なタップ
数を決定することができるが、一般に所要エコー抑圧量
は、伝送遅延によってその値が著しく変化する。具体的
には遅延が大きくなるに従い所要エコー抑圧量も増加
し、約300ms以上で飽和する傾向にある。エコーキ
ャンセラを使用する伝送回線は、ISDN回線のような
遅延のほぼないものと、LANや衛星回線のような遅延
のとても大きいものとに大きく2つに分けられる。つま
り所要エコー抑圧量は伝送遅延によって連続的に増加し
ても、実際の使用を想定した装置設計においては、遅延
がほぼない場合と十分大きい場合の所要エコー抑圧量を
測定し、タップ長を計算すれば良いと考えられる。
【0023】請求項1記載の発明にあっては、適応フィ
ルタのフィルタ係数の数を示すタップ長を、拡声通信を
行なう両対地の話者が、同時に発話する際に必要十分な
エコーの抑圧量、すなわち、ダブルトーク時の所要エコ
ー抑圧量から決定している。そのために、適応フィルタ
で消去すべきエコーの必要量が過不足なく賄われてい
る。
【0024】また、請求項2記載の発明にあっては、ダ
ブルトーク時の所要エコー抑圧量決定は、拡声通信を行
なう片方の話者のみが、発話する際に必要十分なエコー
抑圧量、すなわち、シングルトークの所要エコー抑圧量
から、伝送遅延の大小により個別に決定している。その
ために、ダブルトークの所要エコー抑圧量を求める際、
伝送遅延によるその抑圧量の変化に対応している。
【0025】さらに、請求項3記載の発明にあっては、
片方の話者のみが発話している場合は、所要エコー抑圧
量は、ダブルトーク時のそれより大きい。よって、シン
グルトークの所要エコー抑圧量から、ダブルトークの所
要エコー抑圧量を差し引いた値を、誤差信号(送信回
線)に損失として挿入している。このようにして、必要
最小限の損失を挿入することにより、適応フィルタにお
いて消し残ったエコーを抑圧しており、通話品質の劣化
を防いでいる。つまり適応フィルタのタップ長はダブル
トーク時の所要エコー抑圧量にもとづいて決定している
ため、シングルトーク時には適応フィルタによるエコー
の除去が、ダブルトーク時よりも不十分となるが、その
分、送信回線に損失を挿入して通話品質の劣化を防いで
いる。
【0026】従って、上記3つの理由から、適応フィル
タにおいて消去すべき所要エコー抑圧量を考慮し、タッ
プ長の効率的な搭載を行なうことが可能となり、この発
明の目的であるタップ長の過剰な搭載や、不十分な搭載
という従来の問題点を解消した通話品質を良好に保つエ
コー消去方法および装置の提供を行なうことができるよ
うになる。
【0027】この発明をサブバンド方式に適用した場合
も、以上のことが各周波数帯域ごとにあてはまり同様の
ことが云える。
【0028】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態を説明する前
に、まず伝送遅延の大小によるシングルトークおよびダ
ブルトーク時の所要エコー抑圧量の変化について実験を
用いて説明する。従来、タップ長を決定する基になる所
要エコー抑圧量は、シングルトーク時の値しか求められ
ていない。また、伝送遅延が大きくなると、エコーの検
知限が増加(所要エコー抑圧量が増加)する事は知られ
ていたが、ダブルトークの場合にどのように変化してい
くのかは、明らかにされてはいない。そのため、ダブル
トークの所要エコー抑圧量が伝送遅延の大小によって、
どのように変化するのかを模擬実験システムを用いた主
観評価により調べた。
【0029】模擬実験システムは、7kHz帯域を有す
る4線回線構成の対向拡声通信システムを想定した。図
2にシステムの概略図を示す。この評価実験は、評価側
71で話者72の発話音声が、マイクロホン73−増幅
器74−75を通じて相手側76のスピーカ77から放
声され、相手側77のエコー経路の室内伝達特性を予め
実測しておき、これをコンピュータ上で模擬したインパ
ルス応答としてスピーカ77からの音声に対し畳み込
み、マイクロホン78−増幅器79−模擬伝送路81を
通じて評価側71の損失挿入部82へ入力し、この損失
が与えられた信号に、相手側76の話者83の発話音声
を加算器84で加算し、増幅器85を通じてスピーカ8
6より放声する。このようにして損失挿入部82で戻っ
てくるエコーに対して所要エコー抑圧量を決定するもの
である。なお、評価側71で発話するのと同時に、相手
側76からも発話してダブルトークの状態を模擬し、そ
の所要エコー抑圧量を決定する。評定者は戻ってくるエ
コーに対し、気にならない程度まで損失挿入部82の可
変抵抗器により損失を挿入し、模擬的にエコー抑圧を行
ない所要エコー抑圧量を決定する。なお、送受話感度は
ITU−T勧告P.34に従い設定しており、挿入した
損失量が0dBの状態を所要量0dBとした。評価パラ
メータは伝送遅延時間である。なお、インパルス応答畳
み込み装置内の音響結合は−2dBとした。
【0030】こうして伝送遅延の大小により、ダブルト
ークの所要エコー抑圧量がどのように影響を受けるか
を、統計的に有意な評定者数において調べた。評価パラ
メータである遅延時間を変化させてエコー抑圧量を求め
た。なお、評価側および相手側のエコー経路インパルス
応答継続時間は、270msとした。求めたシングルト
ークおよびダブルトークの所要エコー抑圧量を図3Aに
示す。
【0031】図3A中の横軸は伝送遅延時間(秒)、縦
軸は所要エコー抑圧(dB)を表し、実線がシングルト
ークの場合、破線がダブルトークの場合の所要エコー抑
圧量の結果を示している。この実験結果より、伝送遅延
が大きくなるに従いシングルトークとダブルトークの所
要エコー抑圧量の差が増加すること、具体的には、伝送
遅延が小さい場合にはその差が約5dB程度であり、伝
送遅延が大きい場合には約10dBである、ということ
が分かる。
【0032】得られたダブルトーク時の所要エコー抑圧
量から、伝送遅延(28ms)と伝送遅延より(300
ms)についてエコー消去装置の適応フィルタのタップ
長を式(1)から求め、従来のシングルトークの所要エ
コー抑圧量から求めた結果と比較する。なお、残響時間
などの条件はITU勧告P.167を準拠した。図3B
に必要タップ長の一例を斜線を施した棒グラフで示す。
なお、比較のため従来のシングルトークの所要エコー抑
圧量により求めたタップ長を斜線なしの棒グラフで示
す。(a)が伝送遅延が小さい場合、(b)が大きい場
合の必要タップ長をそれぞれ示している。図3Bから明
らかな通り、この発明は、従来技術に比べタップ長の削
減がなされており、ハードウェア規模の縮小が可能とな
る。
【0033】以上説明したように、この発明では伝送遅
延の大小に対するそれぞれのダブルトーク時の所要エコ
ー抑圧量を用いることにより、シングルトーク時の所要
エコー抑圧量を用いては不可能であった最適なタップ長
を決定できることが分かる。次に、図1を参照して、こ
の発明をフルバンド方式に適用した一実施形態に係るエ
コー消去装置について説明する。図8Bと共通な部分に
は同一の番号を付与した。この実施例ではタップ長決定
回路51が設けられ、これはタップ長計算回路52、所
要エコー抑圧量決定回路53よりなる。このエコーキャ
ンセラ21の送信回線には損失制御回路58が挿入され
る。
【0034】エコーキャンセラ21内の適応フィルタの
タップ長は、タップ長決定回路51によって決定され転
送される。このタップ長の決定は、所要エコー抑圧量決
定回路53で実験的又は論理的に求められたダブルトー
クの所要エコー抑圧量DLから、式(1)に基づきタッ
プ長計算回路52で計算される。前述の実験結果より、
ダブルトークの所要エコー抑圧量は、伝送遅延の大小で
別々に決定する必要がある。そのため、所要エコー抑圧
量決定回路53において、伝送遅延が60ms以上か以
下かにより、シングルトークの所要エコー抑圧量から所
定の値、例えば10dB又は5dBを差し引いた値をダ
ブルトークの所要エコー抑圧量と決定する。
【0035】得られたダブルトークの所要エコー抑圧量
DLと、勧告に定められた残響時間TR を用い、タップ
長計算回路52において、式(1)に従い適応フィルタ
の必要タップ長を計算する。求めたそれぞれの伝送遅延
に対応したタップ長は、前述の通りタップ長決定回路5
1よりエコーキャンセラ21の適応フィルタに転送され
る。
【0036】次に、損失制御回路58における損失の挿
入について説明する。誤差信号e(n) への損失は、通話
状態が片方向の場合に、片側発話状態検出部59で検出
して行なわれる、その損失量は、シングルトークの所要
エコー抑圧量からダブルトークの所要エコー抑圧量を差
し引いた値であり、つまりエコーキャンセラ21で消し
残った誤差信号を抑圧する。
【0037】次にこの発明をサブバンド方式に適用した
場合について、その所要エコー抑圧量と実施例を述べ
る。ダブルトークの帯域別の所要エコー抑圧量が、小さ
い伝送遅延(28ms)と、大きい伝送遅延(300m
s)によりどのように変化するかを模擬実験システムを
用いて主観評価により調べた。実験条件は先の場合と同
様であり、模擬実験システムは図2において、点線で示
すように模擬伝送路81と直列に帯域分割フィルタ88
を挿入して、サブバンドの各1帯域ごとに主観評価し
た。
【0038】求めたシングルトークおよびダブルトーク
の帯域別所要エコー抑圧量を図5に示す。図5中の横軸
は周波数(Hz)、縦軸は所要エコー抑圧量(dB)を
表し、実線がシングルトークの場合、破線がダブルトー
クの場合の所要エコー抑圧量の結果を示している。さら
に、逆三角形印と三角形印が伝送遅延が大きい場合の、
丸印と四角形印が伝送遅延が小さい場合の結果を示して
いる。
【0039】この実験結果より、伝送遅延が大きい方
が、伝送遅延が小さい場合より、シングルトークとダブ
ルトークの所要エコー抑圧量の差が大となっていること
が分かる。具体的には、伝送遅延が小さい場合にはその
差が各周波数帯域ほぼ一律に約5dB程度であり、伝送
遅延が大きい場合には約10dBである。得られたダブ
ルトーク時の帯域別所要エコー抑圧量から、エコー消去
装置の適応フィルタのタップ長を以下の式(2)から求
め、従来のシングルトークの所要エコー抑圧量から求め
た結果と比較する。なお、残響時間などの条件はITU
勧告P.167を準拠した。各帯域毎のタップ長L
SBは、各帯域毎の所要エコー抑圧量DLf および、室内
の各帯域毎のインパルス応答継続時間TRf(s) との関係
より、 LSB=(1/60)・TRf/(TS ・M)・DLf (2) として求めることができる。ここで、Mは間引き数であ
る。
【0040】求めた必要タップ長の一例を図6〜図7に
示す。図6が伝送遅延の小さい場合、図7が伝送遅延の
大きい場合の結果である。この発明の方法で求めた必要
タップ長を黒塗りの棒グラフで示す。なお、比較のため
従来のシングルトークの所要エコー抑圧量により求めた
タップ長を白抜きの棒グラフで示す。図6、図7から明
らかな通り、この発明は、従来技術に比べそれぞれの伝
送遅延時間において、全ての周波数帯域でタップ長の削
減がなされており、ハードウェア規模の縮小が可能とな
る。
【0041】以上説明したように、この実施例では伝送
遅延の大小に対するそれぞれのダブルトーク時の帯域別
所要エコー抑圧量を用いることにより、シングルトーク
時の帯域別所要エコー抑圧量を用いては不可能であった
最適なタップ長を決定できることが分かる。次に、図4
を参照して、サブバンド方式に適用したこの発明の一実
施形態に係るエコー消去装置について説明する。図1、
図9と共通な部分には同一の番号を付した。タップ長決
定回路51では、キャンセル部44−1〜44−Nの各
周波数帯域毎の各適応フィルタのタップ長を決定し、対
応適応フィルタに転送する。このタップ長の決定は、所
要エコー抑圧量決定回路53で実験的又は論理的に求め
られたダブルトークの帯域別所要エコー抑圧量DLf
ら、式(2)に基づきタップ長計算回路52で計算され
る。
【0042】前述の実験結果より、ダブルトークの帯域
別所要エコー抑圧量は、伝送遅延の大小で別々に決定す
る必要がある。そのため、所要エコー抑圧量決定回路5
3において、伝送遅延が60ms以上か以下かにより、
シングルトークの帯域別所要エコー抑圧量から所定の
値、例えば10dB又は5dBを差し引いた値をダブル
トークの帯域別所要エコー抑圧量と決定する。
【0043】得られたダブルトークの帯域別所要エコー
抑圧量DLf と、勧告に定められた残響時間TRfを用
い、タップ長計算回路52において、式(2)に従い適
応フィルタの必要タップ長を計算する。求めたそれぞれ
の伝送遅延に対応したタップ長は、前述の通りタップ長
決定回路51よりキャンセル部44−1〜44−Nの各
適応フィルタに転送される。
【0044】キャンセル部44−1〜44−Nの出力側
に損失制御回路58−1〜58−Nがそれぞれ挿入され
る。各周波数帯域毎の誤差信号e1(m)〜eN (m) への損
失は、通話状態が片方向の場合に、片側発話状態検出部
分59で検出して行なわれる。それぞれの損失量は、シ
ングルトークの帯域別所要エコー抑圧量から対応するダ
ブルトークの帯域別所要エコー抑圧力を差し引いた値で
あり、つまりキャンセル部44−1〜44−Nでそれぞ
れ消し残った誤差信号を抑圧する。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、フルバンド方式に
適用したこの発明によれば、エコー消去方法、その装置
において、ダブルトークの所要エコー抑圧量を用い、そ
の値から適応フィルタのタップ長の効率的な決定を行う
ことが可能となる。このため、従来のシングルトークの
所要エコー抑圧量からタップ長を決定する方式に比べ演
算量の削減が可能となり、さらに、装置に搭載するタッ
プ長の過不足をなくすことにより、ハードウェア規模の
削減による装置の経済化、また反対に、エコーの消し残
りを防ぐことも可能となる。また、伝送遅延の大小によ
り、タップ長を個別に決定することにより、エコー消去
装置を使用する回線状況に併せて、効果的にエコー信号
を抑圧することができ、更に片側発話状態で送信誤差信
号に損失を挿入することにより、通話品質の向上が実現
できる。
【0046】サブバンド方式に適用したこの発明によれ
ば、ダブルトークの帯域別所要エコー抑圧量を用い、そ
の値から各周波数帯域の適応フィルタのタップ長の効率
的な決定を行うことが可能となる。このため、従来のシ
ングルトークの帯域別所要エコー抑圧量からタップ長を
決定する方式に比べ演算量の削減が可能となり、さら
に、装置に搭載するタップ長の過不足をなくすことによ
り、ハードウェア規模の削減による装置の経済化、また
反対に、エコーの消し残りを防ぐことも可能となる。ま
た、伝送遅延の大小により、タップ長を個別に決定する
ことにより、エコーキャンセラを使用する回線状況に併
せて、効果的にエコー信号を抑圧することができ、また
片側発話状態で各帯域ごとに損失を挿入することにより
通話品質の向上が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フルバンド方式に適用したこの発明の実施例の
機能構成を示すブロック図。
【図2】所要エコー抑圧量を決定する模擬実験システム
の機能構成を示す図。
【図3】Aは伝送遅延時間の所要エコー抑圧量に対する
影響の一例を示す実験結果を示す図、Bは伝送時間によ
り異なるタップ長の一例を示す図である。
【図4】サブバンド方式に適用したこの発明の実施例の
機能構成を示すブロック図。
【図5】伝送遅延時間の帯域別所要エコー抑圧量に対す
る影響の一例を示す実験結果を示す図。
【図6】伝送遅延時間が小さい場合の帯域別タップ長の
例を示す図。
【図7】伝送遅延時間が大きい場合の帯域別タップ長の
例を示す図。
【図8】Aは拡声通話系を示す図、Bは従来のエコー消
去装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】従来のサブバンド方式のエコー消去装置の機能
構成を示すブロック図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 昭二 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エコー経路への送出信号と前記送出信号
    が前記エコー経路を経由した後のエコー信号とから、適
    応フィルタで構成される擬似エコー経路を生成し、 前記送出信号を前記擬似エコー経路に入力して擬似エコ
    ー信号を得、 その擬似エコー信号を前記エコー信号から差し引いて誤
    差信号を得、 その誤差信号を最小とするように動作するアルゴリズム
    により前記適応フィルタのフィルタ係数を逐次的に修正
    して前記エコー信号を消去するエコー消去方法におい
    て、 拡声通信を行なう両対地の話者が、同時に発話する際に
    必要十分なエコーの抑圧量に基づいて、前記適応フィル
    タのフィルタ係数の数を示すタップ長を決定することを
    特徴とするエコー消去方法。
  2. 【請求項2】 伝送遅延が小さい回線系の場合は、拡声
    通信を行なう片方の話者のみが、発話する際に必要十分
    なエコー抑圧量から、10dB程度差し引いた値を前記
    両対地同時発話時の必要十分なエコー抑圧量と決定し、 伝送遅延が比較的大きい回線系の場合は、拡声通信を行
    なう片方の話者のみが、発話する際に必要十分なエコー
    抑圧量から、5dB程度差し引いた値を前記両対地同時
    発話時の必要十分なエコー抑圧量と決定することを特徴
    とする請求項1記載のエコー消去方法。
  3. 【請求項3】 拡声通信の最中、片方の話者のみが発話
    を行なっている時、拡声通信を行なう片方の話者のみが
    発話する際に必要十分なエコー抑圧量から、拡声通信を
    行なう両方の話者が同時に発話する際に必要十分なエコ
    ーの抑圧量を差し引いた値だけ前記誤差信号に対して損
    失を与えることを特徴とする請求項1又は2記載のエコ
    ー消去方法。
  4. 【請求項4】 エコー経路への送出信号と前記送出信号
    がエコー経路を経由した後のエコー信号とから生成され
    る、適応フィルタよりなる擬似エコー経路と、 前記送出信号を前記擬似エコー経路に入力してその出力
    として得られる擬似エコー信号を前記エコー信号から差
    し引いて誤差信号を出力する手段と、 前記誤差信号を最小とするように動作するアルゴリズム
    により逐次的に、前記適応フィルタのフィルタ係数を修
    正する手段とを備えたエコー消去装置において、 拡声通信を行なう両対地の話者が、同時に発話する際に
    必要十分なエコーの抑圧量に基づいて、前記適応フィル
    タのフィルタ係数の数を示すタップ長を、決定するタッ
    プ長決定手段とを有することを特徴とするエコー消去装
    置。
  5. 【請求項5】 前記タップ長決定手段は、 前記両対地同時送話時の必要十分なエコー抑圧量を、 伝送遅延が小さい回線系の場合は、拡声通信を行なう片
    方の話者のみが、発話する際に必要十分なエコー抑圧量
    から、10dB程度差し引いた値と決定し、 伝送遅延が比較的大きい回線系の場合は、拡声通信を行
    なう片方の話者のみが、発話する際に必要十分なエコー
    抑圧量から、5dB程度差し引いた値に決定する同時発
    話所要エコー抑圧量決定手段と、 前記決定された両対地同時発話時の必要十分なエコー抑
    圧量からタップ長の計算を行なうタップ長計算手段とを
    有することを特徴とする請求項4記載のエコー消去装
    置。
  6. 【請求項6】 前記誤差信号が入力されてこれに損失を
    与えて対地へ送出する損失制御手段と、 拡声通信の最中、片方の話者のみが発話を行なっている
    時、拡声通信を行なう片方の話者のみが発話する際に必
    要十分なエコー抑圧量から、拡声通信を行なう両方の話
    者が同時に発話する際に必要十分なエコーの抑圧量を差
    し引いた値を、前記誤差信号に損失として挿入するよう
    に上記前記損失制御手段を制御する片方発話状態検出手
    段とを備えることを特徴とする請求項4又は5記載のエ
    コー消去装置。
  7. 【請求項7】 エコー経路への送出信号を複数の周波数
    帯域に分割し、前記送出信号が前記エコー経路を経由し
    た後のエコー信号を複数の周波数帯域に分割し、 前記分割された送出信号と、これと対応する前記分割さ
    れたエコー信号とからそれぞれの分割された周波数帯域
    での、適応フィルタで構成される擬似エコー経路を生成
    し、 前記複数の周波数帯域の送出信号を前記複数の周波数帯
    域毎の擬似エコー経路にそれぞれ入力して複数の帯域の
    擬似エコー信号を得、 これら複数帯域の擬似エコー信号を、対応する前記複数
    の帯域のエコー信号からそれぞれ差し引いて、複数の帯
    域の誤差信号をそれぞれ求め、 これら各帯域の誤差信号を最小とするように動作するア
    ルゴリズムにより前記各帯域の適応フィルタのフィルタ
    係数を逐次的に修正して前記エコー信号を消去するエコ
    ー消去方法において、 拡声通信を行なう両対地の話者が、同時に発話する際に
    前記各帯域における必要十分なエコーの抑圧量に基づい
    て、前記対応する適応フィルタのフィルタ係数の数を示
    すタップ長を決定することを特徴とするエコー消去方
    法。
  8. 【請求項8】 伝送遅延が小さい回線系の場合は、拡声
    通信を行なう片方の話者のみが、発話する際に必要十分
    な各周波数帯域毎のエコー抑圧量から、それぞれ10d
    B程度差し引いた値を前記両対地同時発話時の必要十分
    な各周波数帯域毎のエコー抑圧量と決定し、 伝送遅延が大きい回線系の場合は、拡声通信を行なう片
    方の話者のみが、発話する際に必要十分な各周波数帯域
    毎のエコー抑圧量から、それぞれ5dB程度差し引いた
    値を前記両対地同時発話時の必要十分な各周波数帯域毎
    のエコー抑圧量と決定することを特徴とする請求項7記
    載のエコー消去方法。
  9. 【請求項9】 拡声通信の最中、片方の話者のみが発話
    を行なっている時、拡声通信を行なう片方の話者のみが
    発話する際に必要十分なエコー抑圧量から、拡声通信を
    行なう両方の話者が同時に発話する際に必要十分なエコ
    ーの抑圧量を差し引いた値を、前記各周波数帯域毎の誤
    差信号に損失として挿入することを特徴とする請求項7
    又は8記載のエコー消去方法。
  10. 【請求項10】 エコー経路への送出信号を複数の周波
    数帯域に分割する手段と、 前記送出信号が前記エコー経路を経由した後のエコー信
    号を複数の周波数帯域に分割する手段と、 前記分割された周波数帯域分ごとに、前記分割された送
    出信号と前記分割されたエコー信号とからそれぞれ生成
    される周波数帯域の、適応フィルタに構成される擬似エ
    コー経路と、 前記複数の周波数帯域の送出信号を前記複数の周波数帯
    域毎の擬似エコー経路へ入力しその出力として得られる
    複数の帯域の擬似エコー信号を対応する前記複数の帯域
    のエコー信号からそれぞれ差し引いて帯域毎の誤差信号
    を得る手段と、 前記周波数帯域ごとに前記誤差信号を最小とするように
    動作するアルゴリズムにより逐次的に対応する各帯域の
    適応フィルタのフィルタ係数を修正する手段とを備えた
    エコー消去装置において、 拡声通信を行なう両対地の話者が、同時に発話する際に
    前記各周波数帯域における必要十分なエコーの抑圧量に
    基づいて、前記の対応の適応フィルタのフィルタ係数の
    数を示すタップ長を、それぞれ決定するタップ長決定手
    段とを有することを特徴とするエコー消去装置。
  11. 【請求項11】 前記タップ長決定手段は、 前記両対地同時送話時の各周波数帯域毎の必要十分なエ
    コー抑圧量を、 伝送遅延が小さい回線系の場合は、拡声通信を行なう片
    方の話者のみが、発話する際に必要十分な各周波数帯域
    毎のエコー抑圧量から、10dB程度差し引いた値と決
    定し、 伝送遅延が比較的大きい回線系の場合は、拡声通信を行
    なう片方の話者のみが、発話する際に必要十分な各周波
    数帯域毎のエコー抑圧量から、5dB程度差し引いた値
    に決定する同時発話所要エコー抑圧量決定手段と、 前記決定された両対地同時発話時の周波数帯域毎の必要
    十分なエコー抑圧量から各帯域ごとのタップ長の計算を
    行なうタップ長計算手段とを有することを特徴とする請
    求項10記載のエコー消去装置。
  12. 【請求項12】 前記各周波数帯域の誤差信号が入力さ
    れてこれに損失を与えて対地へ送出する各周波数帯域毎
    の損失制御手段と、 拡声通信の最中、片方の話者のみが発話を行なっている
    時、拡声通信を行なう片方の話者のみが発話する際に必
    要十分な各周波数帯域毎のエコー抑圧量から、拡声通信
    を行なう両方の話者が同時に発話する際に必要十分な各
    周波数帯域毎のエコーの抑圧量を差し引いた値を、前記
    各周波数帯域毎の誤差信号に損失として挿入するように
    対応する前記各周波数帯域毎の損失制御手段を制御する
    片方発話状態検出手段とを備えることを特徴とする請求
    項10又は11記載のエコー消去装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100407938B1 (ko) * 1999-10-11 2003-12-01 엘지전자 주식회사 이동통신시스템의 음성처리장치
GB2414151A (en) * 2004-03-31 2005-11-16 Yamaha Corp Method of discriminating between double talk state and single talk state
JP2012114650A (ja) * 2010-11-24 2012-06-14 Oki Electric Ind Co Ltd 適応フィルタ次数制御装置及びプログラム、並びに、エコーキャンセラ
WO2018087855A1 (ja) * 2016-11-10 2018-05-17 三菱電機株式会社 エコーキャンセラ装置、エコー消去方法、及びエコー消去プログラム

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