しかしながら、上述した従来の車両(一人乗りの2輪車)では、小型化を図るべく、ホイールトレッドを極めて狭くせざるを得ないので、旋回時には、車体に作用する横加速度(遠心力)によって、旋回内輪側が浮き上がり易く(図6(b)参照)、十分に減速しなければ車両の横転を招くという問題点があった。
そのため、旋回時には、遠心力による車体の浮き上がりと、遠心力によって運転者が車両から投げ飛ばされることとを抑えるべく、運転者自身が旋回内輪側へ姿勢を傾けて、遠心力に対抗する必要がある。その結果、高度な運転技術が要求されると共に、運転者の負担が増加して、快適性の低下を招くという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、旋回性能を向上して、安定した旋回を行うことができると共に、運転者の負担を軽減して、快適性を確保することができる車両を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の車両は、乗員が乗車可能な車体と、前記車体に設けられる左右の車輪と、前記左右の車輪に回転駆動力を付与する回転駆動手段とを備えたものであって、前記左の車輪と前記車体との間に設けられ、前記左の車輪を前記車体の上下方向へ移動可能に支持する左側懸架手段と、前記右の車輪と前記車体との間に設けられ、前記右の車輪を前記上下方向へ移動可能に支持する右側懸架手段と、前記左側懸架手段に上下駆動力を付与して、前記左の車輪を前記上下方向へ移動させる左側駆動手段と、前記右側懸架手段に上下駆動力を付与して、前記右の車輪を前記上下方向へ移動させる右側駆動手段と、前記左側駆動手段及び右側駆動手段の作動制御を行う制御手段とを備え、少なくとも旋回時には、前記左右の車輪の内の旋回内輪が旋回外輪よりも相対的に前記車体の上方側へ位置し、前記旋回内輪側の車高が前記旋回外輪側の車高よりも低くなるように、前記左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方が前記制御手段により作動制御され、前記回転駆動手段は、回転駆動力を発生する駆動源と、前記駆動源が発生する回転駆動力を前記左右の車輪に伝達する遊星歯車機構とを備え、前記遊星歯車機構は、前記駆動源からの回転駆動力が入力される太陽歯車と、前記太陽歯車に連結され前記太陽歯車から入力される回転駆動力を前記左の車輪に伝達する左側遊星歯車と、前記太陽歯車に連結され前記太陽歯車から入力される回転駆動力を前記右の車輪に伝達する右側遊星歯車とを備え、前記左側遊星歯車は、前記太陽歯車の回転に伴って自転すると共に、前記左の車輪の上下方向への移動に伴って前記太陽歯車の回りを公転するように構成され、前記右側遊星歯車は、前記太陽歯車の回転に伴って自転すると共に、前記右の車輪の上下方向への移動に伴って前記太陽歯車の回りを公転するように構成されている。
請求項2記載の車両は、請求項1記載の車両において、前記左側遊星歯車と前記左の車輪との間または前記右側遊星歯車と前記右の車輪との間の一方又は両方に設けられるクラッチ機構を備え、前記クラッチ機構により前記左右の車輪に回転差を付与可能に構成されている。
請求項3記載の車両は、請求項1又は2に記載の車両において、前記太陽歯車が前記左側遊星歯車及び右側遊星歯車よりも前記車体の進行方向前方側に位置する。
請求項4記載の車両は、請求項1から3のいずれかに記載の車両において、直進走行時には、前記左右の車輪が前記上下方向の最上方に位置し、かつ、前記左側駆動手段及び右側駆動手段による前記左側懸架手段及び前記右側懸架手段への前記上下駆動力の付与がオフされる。
請求項5記載の車両は、請求項4記載の車両において、旋回時には、前記旋回内輪が前記上下方向の最上方に位置し、かつ、前記旋回外輪に対応する前記左側駆動手段又は右側駆動手段のいずれか一方のみが前記制御手段により作動制御される。
請求項6記載の車両は、請求項1から5のいずれかに記載の車両において、旋回を指示するために運転者が操作する操作部材と、前記操作部材の操作状態を検出する操作状態検出手段とを備え、前記制御手段は、前記操作部材の操作が前記操作状態検出手段により検出された場合に、前記左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方の作動制御を行う。
請求項7記載の車両は、請求項1から6のいずれかに記載の車両において、前記車体に作用する左右方向の加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記制御手段は、前記左右方向の加速度が前記加速度検出手段により検出された場合に、前記左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方の作動制御を行う。
請求項1記載の車両によれば、回転駆動手段から左右の車輪に回転駆動力が付与されると、左右の車輪が回転駆動され、車体が走行される。この場合、左側駆動手段が制御手段により作動制御されると、左側駆動手段から左側懸架手段に上下駆動力が付与され、左の車輪が上下方向へ移動される。その結果、左の車輪側の車高が高く又は低くされる。同様に、右側駆動手段が制御手段により作動制御されると、右側駆動手段から右側懸架手段に上下駆動力が付与され、右の車輪が上下方向へ移動される。その結果、右の車輪側の車高が高く又は低くされる。
ここで、本発明の車両によれば、少なくとも旋回時には、左右の車輪の内の旋回内輪が旋回外輪よりも相対的に車体の上方側へ位置し、旋回内輪側の車高が旋回外輪側の車高よりも低くなるように、左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方が制御手段により作動制御される。
これにより、旋回時には、車体を旋回内輪側へ傾斜させ(即ち、旋回内輪側の車高が旋回外輪側の車高よりも低くなるようにして)、車体の重心位置を旋回内輪側へ移動させることができるので、その分、より多くの車体重量を旋回内輪に作用させることができる。その結果、遠心力に対する対抗力を増加させることができるので、旋回内輪の浮き上がりを防止して、旋回性能の向上を図ることができるという効果がある。その結果、車両を安定して走行させることができる。
また、このように、車体の姿勢を制御する(車体を旋回内輪側へ傾斜させる)ことができれば、かかる車体の姿勢制御のみにより、遠心力に対抗することができるので、運転者自身が立ち姿勢を取りつつ旋回内輪側へ姿勢を傾ける(体を移動させる)ことを不要とすることができるという効果がある。その結果、高度な運転技術がなくとも、車両を安定して走行させることができると共に、着座姿勢のままで運転を行うことができるので、運転者の操作負担を軽減して、快適性の向上を図ることができるという効果がある。
更に、旋回時に車体が旋回内輪側へ傾斜する構成であれば、かかる傾斜によって、運転者を車両から押しだそうとする横方向の遠心力成分を低減させ、運転者の尻部を座席の着座面に押し付ける方向に遠心力を作用させることができる。これにより、横方向の遠心力成分による運転者の負担や不快感を軽減することができると共に、直進走行時と同様の姿勢のままで旋回を行うことができ、その結果、運転者の快適性の更なる向上を図ることができるという効果がある。
なお、本発明の車体の姿勢制御は、旋回時に限られるものではない。例えば、走行路面が左右方向に傾斜している(例えば、左の車輪側から右の車輪側へ向けて走行路面が上昇傾斜している)場合などにも、上述のように、車体の姿勢制御を行うことができる。これにより、走行路面の傾斜に起因して車体が左右に振られるなどの不具合を抑制することができるので、操縦安定性の向上と運転者の快適性の向上とを図ることができる。
また、回転駆動手段を駆動源と遊星歯車機構とから構成すると共に、遊星歯車機構を、太陽歯車とその太陽歯車から入力される回転駆動力を左右の車輪にそれぞれ伝達する左側遊星歯車及び右側遊星歯車とから構成したので、1の駆動源で左右の車輪を回転駆動させることができるという効果がある。
その結果、上述した従来の一人乗り2輪車、即ち、左右の車輪をそれぞれ別々の駆動源により回転駆動する構成と比較して、部品点数の削減と構造の簡素化とを図ることができるので、車両を軽量化して、省燃費化を図ることができると共に、部品・製造コストを削減して、車両全体としての製品コストの削減を図ることができるという効果がある。
更に、本発明によれば、左側遊星歯車は、太陽歯車の回転に伴って自転すると共に、左の車輪の上下方向への移動に伴って太陽歯車の回りを公転するように構成され、同様に、右側遊星歯車は、太陽歯車の回転に伴って自転すると共に、右の車輪の上下方向への移動に伴って太陽歯車の回りを公転するように構成されているので、1の駆動源により左右の車輪の回転駆動を可能としつつ、簡素な構造で左右の車輪をそれぞれ独立に上下方向に移動可能とすることができるという効果がある。
即ち、1の駆動源で左右の車輪を回転駆動させ、かつ、左右の車輪をそれぞれ独立に上下方向へ移動可能とする構造としては、例えば、駆動源の回転駆動力をデフ装置から等速ジョイントを介して左右の車輪に配分すると共に、左右の車輪を独立懸架方式(例えば、ダブルウィッシュボーン型、ストラット型或いはトレーリングアーム型など)により支持する構造が一般的である。
しかしながら、かかる構造では、部品点数の増加に伴って構造が複雑化して、部品コスト・組み立てコストの増加を招くと共に、重量が増加して、省燃費化が阻害されるという問題点があった。また、等速ジョイントを介してデフ装置と左右の車輪とを接続する構造では、左右の車輪の上下方向へのストローク(可動量)を確保するために、等速ジョイントを長くする必要が生じるため、ホイールトレッドが拡大して、車両の大型化を招くという問題点があった。
これに対し、本発明では、駆動源の回転駆動力を遊星歯車機構により左右の車輪に伝達するように構成したので、複雑なリンク機構により左右の車輪を支持する必要がなく、左側懸架手段及び右側懸架手段の構造を簡素化することができるので、部品点数や部品・製造コストの削減を図ると共に、軽量化による省燃費化を図ることができる。また、等速ジョイントによる接続が不要となるので、左右の車輪の上下方向へのストローク(可動量)を確保しつつ、ホイールトレッドが不必要に広くなることを抑制することができ、車両の小型化を図ることができる。
ここで、本発明によれば、上述したように、左側遊星歯車及び右側遊星歯車は、左右の車輪の上下方向への移動に伴って太陽歯車の回りを公転するように構成されている。これにより、例えば、旋回時に車体を旋回内輪側へ傾斜させるべく、左又は右の車輪を上下方向へ移動させる場合、その上下方向への移動が行われている間は、左右の車輪に回転差を発生させることができるという効果がある。その結果、旋回性能の向上を図り、車両を安定して旋回させることができるという効果がある。
請求項2記載の車両によれば、請求項1記載の車両の奏する効果に加え、左側遊星歯車と左の車輪との間または右側遊星歯車と右の車輪との間の一方又は両方に設けられるクラッチ機構を備えているので、例えば、旋回時には、左右の車輪に回転差を付与することができるという効果がある。即ち、旋回半径が比較的小さく、旋回内輪と旋回外輪との走行軌跡(旋回半径)が大きく異なる場合でも、両輪の回転速度差(回転差)を吸収することができるという効果がある。その結果、旋回性能の向上を図り、車両を安定して旋回させることができるという効果がある。
請求項3記載の車両によれば、請求項1又は2に記載の車両の奏する効果に加え、太陽歯車が左側遊星歯車及び右側遊星歯車よりも車体の進行方向前方側に位置するように構成したので、旋回時に、左右の車輪を車体の上下方向へ移動させて、車体を旋回内輪側へ傾斜させた(即ち、旋回内輪側の車高が旋回外輪側の車高よりも低くした)場合には、旋回中の車体の傾斜姿勢を安定に保つことができ、旋回性能の向上と安定性の向上とを図ることができるという効果がある。
請求項4記載の車両によれば、請求項1から3のいずれかに記載の車両の奏する効果に加え、直進走行時には、左右の車輪が車体の上下方向の最上方(即ち、上昇限界位置)に位置し、かつ、左側駆動手段及び右側駆動手段による左側懸架手段及び右側懸架手段への上下駆動力の付与がオフされるように構成したので、左右の車輪の上下方向位置を左側懸架手段及び右側懸架手段の上下駆動力により支持又は調整することを不要とすることができる。
よって、左側駆動手段及び右側駆動手段の駆動に要するエネルギーを抑制して、駆動源(例えば、油圧・空圧ポンプ、或いは、油圧・電動モータなど)の小型化を図ることができると共に、直進走行時における左側駆動手段及び右側駆動手段の作動制御を不要として、その分、制御手段の制御負担を軽減することができるという効果がある。
請求項5記載の車両によれば、請求項4記載の車両の奏する効果に加え、旋回時には、旋回内輪が車体の上下方向の最上方に位置し、かつ、旋回外輪に対応する左側駆動手段又は右側駆動手段のいずれか一方のみが制御手段により作動制御されるように構成したので、左側駆動手段及び右側駆動手段の2の駆動手段の内の1の駆動手段のみを作動制御すれば良く、2の駆動手段の両方を作動制御することを不要とすることができるという効果がある。その結果、制御手段の制御負担を軽減することができるという効果がある。更に、左側駆動手段及び右側駆動手段を構成する駆動源の小型化を図ることができるので、その分、車両の小型化と軽量化とを図ることができるという効果がある。
請求項6記載の車両によれば、請求項1から5のいずれかに記載の車両の奏する効果に加え、旋回を指示するために運転者が操作する操作部材と、操作部材の操作状態を検出する操作状態検出手段とを備え、操作部材の操作が操作状態検出手段により検出された場合に、左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方の作動制御を制御手段が行うように構成したので、操作部材(例えば、ジョイスティック装置)の操作が操作状態検出手段により検出された場合に、車両の姿勢制御(左側駆動手段及び右側駆動手段の一方又は両方の駆動)を開始することができ、その結果、運転者の操作感の向上と応答遅れの抑制とを図ることができるという効果がある。
即ち、本発明によれば、運転者による操作部材の操作を起因として、左側駆動手段及び右側駆動手段の一方又は両方の駆動を開始し、車両の姿勢制御を行うので、運転者にダイレクトな操作感を与え、操作感の向上を図ることができる。同時に、車両の姿勢が運転者の意志とは無関係に不意に変更されることがないので、運転者は、車両の姿勢を予め予測することができ、その結果、乗り心地(快適性)の向上を図ることができる。
また、本発明のように、運転者による操作部材の操作を起因として、左側駆動手段及び右側駆動手段の一方又は両方の駆動を開始し、車両の姿勢制御を行う構成であれば、車両に旋回による横加速度(遠心力)が作用する前に、操作部材の操作状態に基づいて、旋回半径等を予測して、横加速度(遠心力)に対抗するための車両姿勢の制御を行うことができる。よって、車両に旋回による横加速度(遠心力)が実際に作用してから制御を開始する場合と比較して、応答遅れを大幅に抑制することができる。
請求項7記載の車両によれば、請求項1から6のいずれかに記載の車両の奏する効果に加え、車体に作用する左右方向の加速度を検出する加速度検出手段を備え、前記左右方向の加速度が加速度検出手段により検出された場合に、左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方の作動制御を制御手段が行うように構成したので、運転者による旋回の指示がなされていない場合(例えば、操作部材が操作されていない場合)でも、車両の左右方向の加速度(横加速度)が加速度検出手段により検出された場合には、左側駆動手段又は右側駆動手段の一方又は両方の駆動を開始することができるので、旋回性能の向上に加え、車両の走行安定性を確保することができるという効果がある。
例えば、トンネル出口での突風や海岸沿いの橋の上で横風を受けた場合には、車両に受けた圧力(横加速度)を検出して、その横加速度に対抗するように、車両の姿勢制御(車体の傾斜)を行うことができ、その結果、走行安定性を確保することができる。また、上述したように、走行路面が左右方向に傾斜している(例えば、左の車輪側から右の車輪側へ向けて走行路面が上昇傾斜している)場合にも、車両に作用した横加速度から路面の傾斜を推定して、車両の姿勢制御(車体の傾斜)を行うことができ、その結果、走行安定性を確保することができる。これらにより、横風や走行路面の傾斜に起因して車両が左右に振られるなどの不具合を抑制して、走行安定性の向上と運転者の快適性の向上とを図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における車両1の斜視図であり、運転者Pがシート11bに着座した状態を示している。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、車体11の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、運転者Pが乗車可能な車体11と、その車体11に設けられる左右の車輪12L,12Rと、それら左右の車輪12L,12Rに回転駆動力を付与する駆動源(例えば、エンジン、電動モータ或いは油圧モータなど)21(図3参照)とを主に備え、旋回時には、旋回内輪側の車高が旋回外輪側の車高よりも低くなるように車体11の姿勢を制御することで(図6参照)、旋回性能の向上を図ることができるように構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車体11は、図1に示すように、筐体部11aとシート11bとを主に備える。筐体部11aは、車体11の骨格をなす部位であり、内部空間を有する略箱状体に構成されると共に、その内部空間内には、駆動源21や遊星歯車機構22などが配設されている(図3参照)。
筐体部11aの上面側には、図1に示すように、シート11bが配設されている。シート11bは、車両1の走行中に運転者Pが着座するための部位であり、運転者Pの尻部を支持する座面部11b1と、運転者Pの背部を支持する背面部11b2とを主に備えて構成されている。
シート11bの左右両側(矢印L側及び矢印R側)には、図1に示すように、運転者Pの上腕部を支持するための一対のアームレスト部11cが設けられている。また、アームレスト部11cの一方には、ジョイスティック装置51が取着されている。運転者Pは、ジョイスティック装置51を操作して、車両1の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、或いは、旋回半径など)を指示する。
筐体部11aの前面側には、図1に示すように、運転者Pの足部を支持するためのフットレスト部11dが配設され、走行中に運転者Pの足部が地面と接触することを回避している。また、筐体部11aの左右両側には、左右の車輪12L,12Rが回転可能かつ上下方向(矢印U−D方向)に移動可能に支持されている。
次いで、図2を参照して、車両1の電気的構成について説明する。図2は、車両1の電気的構成を示したブロック図である。
制御装置70は、車両1の各部を制御するための制御装置であり、図2に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、ジョイスティック装置51等の複数の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図5に図示されるアクチュエータ駆動処理のフローチャート)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
ジョイスティック装置51は、上述したように、車両1を運転する際に運転者Pが操作する装置であり、運転者Pにより操作される操作レバー(図1参照)と、その操作レバーの操作状態を検出するための前後センサ51a及び左右センサ51bと、それら各センサ51a,51bの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを主に備えている。
前後センサ51aは、操作レバーの前後方向(矢印F−B方向、図1参照)への操作状態(操作量)を検出するためのセンサであり、CPU71は、前後センサ51aの検出結果(操作レバーの前後操作量)に基づいて、駆動源21(図3参照)の駆動状態を制御する。これにより、車両1は、運転者Pが指示した走行速度で走行される。
左右センサ51bは、操作レバーの左右方向(矢印L−R方向、図1参照)への操作状態(操作量)を検出するためのセンサであり、CPU71は、左右センサ51bの検出結果(操作レバーの左右操作量)に基づいて、アクチュエータ装置52の駆動状態を制御する。これにより、車両1は、運転者が指示した旋回半径で旋回される。
即ち、操作レバーが左右方向に操作されると、CPU71は、左右センサ51bの検出結果に基づいて、旋回方向と旋回半径とを判断し、旋回内輪(左右の車輪12L,12Rの内の一方)が旋回外輪(左右の車輪12L,12Rの内の他方)よりも相対的に車体11の上方側(矢印U方向側、図1参照)に位置するように、アクチュエータ装置52を駆動制御する(図4参照)。その結果、車両1は、旋回内輪側の車高が旋回外輪側の車高よりも低い姿勢となり(図6参照)、旋回性能の向上が達成される。
なお、このように、車両1の車高を制御して、左右の車輪12L,12Rを路面に対して傾斜させることで、キャンバースラストを発生させることができ、その結果、車両1を旋回させることができる。よって、本実施の形態では、左右の車輪12L,12Rの中心線は互いに平行に保持されており、左右に操舵されることはない。但し、操舵機構を設けても良い。
アクチュエータ装置52は、上述したように、左右の車輪12L,12Rを上下方向へ移動させるための駆動装置であり、左の車輪12Lに上下駆動力を付与するLアクチュエータ52Lと、右の車輪12Rに上下駆動力を付与するRアクチュエータ52Rと、それら各アクチュエータ52L,52RをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路及び駆動源(いずれも図示せず)とを主に備えている。なお、本実施の形態では、各アクチュエータ52,52Rが油圧シリンダーにより構成されている。
加速度センサ装置53は、車体11に作用する左右方向(矢印L−R方向、図1参照)の加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、左右加速度センサ53aと、その検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。なお、本実施の形態では、左右加速度センサ53aが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
図2に示す他の入出力装置35としては、例えば、車両1の走行状態(走行速度や走行距離など)を表示する表示装置(図示せず)などが例示される。
次いで、図3及び図4を参照して、車両1の内部構造について説明する。図3は、車両1の内部構造を上面側から視た上面図である。また、図4は、図3のIV−IV線における車両1の内部構造の側断面図であり、図4(a)は、各アクチュエータ52L,52Rが共に最短に収縮された状態を示し、図4(b)は、右アクチュエータ52Rが最短に収縮され、かつ、左アクチュエータ52Lが最長に伸長された状態を示している。
なお、図3では、歯すじを細線で示すと共に、歯元線及びかみ合い部のピッチ線の図示を省略している。また、図4では、歯先円を実線で、ピッチ円を2点鎖線で、歯底線を細線で示し、歯形の図示を省略している。また、図3及び図4中の矢印F−B等は、図1で説明したものと同一であるので、その説明は省略する。
駆動源21は、上述したように、左右の車輪12L,12Rに回転駆動力を付与するための駆動装置であり、制御装置70により制御される。即ち、運転者Pがジョイスティック装置51(図2参照)を操作すると、その操作状態に応じて、制御装置70が駆動源21の回転数を制御する。
駆動源21は、図示しないトランスミッション装置を介して、遊星歯車機構22(太陽歯車22a)に接続されており、駆動源21の出力(回転駆動力)は、トランスミッション装置及び遊星歯車機構22により減速された後、左右の車輪12L,12Rに伝達される。
なお、駆動源21及びトランスミッション装置は、ゴム状弾性体などから構成される防振装置を介して、車体11の筐体部11a(図1参照)に支持固定されている。
遊星歯車機構部22は、駆動源21が発生する回転駆動力を左右の車輪12L,12Rに伝達するための伝達装置であり、図3及び図4に示すように、太陽歯車22aと、左側遊星歯車22bL及び右側遊星歯車22bRとを主に備えて構成される。
太陽歯車22aは、上述したように、駆動源21からの回転駆動力が入力される平歯車であり、図3に示すように、太陽軸31を介して、サブフレーム33に回転可能に軸支されている。なお、サブフレーム33は、車体11の筐体部11a(図1参照)に固着されている。
左側遊星歯車22bL及び右側遊星歯車22bRは、駆動源21から太陽歯車22aに入力された回転駆動力をそれぞれ左右の車輪12L,12Rに伝達するための平歯車であり、図3及び図4に示すように、遊星軸32L,32Rを介して、左右の車輪12L,12Rにそれぞれ連結固定されている。そして、遊星軸32L,32Rは、左側アーム23L及び右側アーム23Rにそれぞれ軸支されている。
なお、左側遊星歯車22bL及び右側遊星歯車22bRと左右の車輪12L,12Rとの間には、図3に示すように、クラッチ機構41が配設されている。即ち、遊星軸32L,32Rと左右の車輪12L,12Rとは、クラッチ機構41を介して、互いに連結されている。
これにより、例えば、旋回時には、左右の車輪12L,12Rに回転差を付与することができるので、旋回半径が比較的小さく、旋回内輪と旋回外輪との走行軌跡(旋回半径)が大きく異なる場合でも、両輪の回転速度差(回転差)をクラッチ機構41によって吸収して、旋回性能の向上を図ることができる。その結果、車両1を安定して旋回させることができる。
ここで、本実施の形態では、クラッチ機構41を電子制御式の作動制限デフ装置として構成した。但し、例えば、シリコンオイルなどの剪断抵抗を利用する回転感応式の作動制限デフ装置であっても良く、或いは、歯車の抵抗やクラッチ板を利用する摩擦式(機械式)の作動制限デフ装置であっても良い。
左側アーム23L及び右側アーム23Rは、左右の車輪12L,12Rを上下方向(矢印U−D方向)へ移動可能に支持するための懸架装置であり、図3及び図4に示すように、矢印F方向側(図3左側)の端部が太陽軸31に回転可能に軸支されている。
また、左側アーム23L,23Rの矢印B方向側(図3右側)の端部には、図3及び図4に示すように、Lアクチュエータ52L及びRアクチュエータ52Rの一端側(伸縮ロッド側)が接続されると共に、Lアクチュエータ52L及びRアクチュエータ52Rの他端側(本体ケース側)は、車体11(筐体部11a)に接続されている。
更に、各アーム23L,23Rの長手方向(矢印F−B方向、図3左右方向)略中央部には、図3及び図4に示すように、遊星軸32L,32Rが回転可能に貫通されており、遊星軸32L,32Rには、各アーム23L,23Rを挟んで、各遊星歯車22bL,22bRと左右の車輪12L,12Rとが軸支されている。
このように構成によれば、駆動源21の回転駆動力が、図示しないトランスミッション装置を介して、遊星歯車機構22の太陽歯車22aに入力されると、太陽歯車22が太陽軸31回りに回転されると共に、その太陽歯車22の回転に伴って、左側遊星歯車22bL及び右側遊星歯車22bRが回転(自転)される。
その結果、左側遊星歯車22bL及び右側遊星歯車22bRの回転力が、遊星軸32L,32Rを介して、左右の車輪12L,12Rに伝達され、左右の車輪12L,12Rが回転され、車両1が走行される。
また、図4(a)に示す状態から、例えば、Lアクチュエータ52Lが伸長駆動されると、Lアクチュエータ52Lの伸縮ロッドが本体ケースから伸長され、Lアクチュエータ52Lの有効長が伸長されることで、左側アーム23Lの他端側(矢印B方向側)の端部が下方(矢印D方向)へ向けて押し下げられる。
その結果、左側アーム23Lが、太陽軸31を回動中心として、回動されることで、左の車輪12Lが下方(矢印D方向)へ移動され、図4(b)に示すように、左の車輪12Lが右の車輪Rよりも相対的に車体11(筐体部11a)の上方側(矢印U方向側)へ位置する。
この場合、左側遊星歯車22bLは、左の車輪12L(左側アーム23L)の下方向(矢印D方向)への移動に伴って、太陽歯車22aとの歯合状態を保ちつつ、かかる太陽歯車22aの回りを公転する。
一方、図4(b)に示す状態から、例えば、Lアクチュエータ52Lが収縮駆動されると、Lアクチュエータ52Lの伸縮ロッドが本体ケース内に収納され、Lアクチュエータ52Lの有効長が短縮されることで、左側アーム23Lの他端側(矢印B方向側)の端部が上方(矢印U方向)へ向けて引き上げられる。
その結果、左側アーム23Lが、太陽軸31を回動中心として、回動されることで、左の車輪12Lが上方(矢印U方向)へ移動され、図4(a)に示すように、左の車輪12Lと右の車輪Rとの相対位置が一致される。
この場合も、左側遊星歯車22bLは、上述した場合と同様に、左の車輪12L(左側アーム23L)の上方向(矢印U方向)への移動に伴って、太陽歯車22aとの歯合状態を保ちつつ、かかる太陽歯車22aの回りを公転する。
なお、Rアクチュエータ52Rが伸長駆動及び収縮駆動される場合は、右の車輪12Rが上下方向(矢印U−D方向)へ移動される。但し、詳細については、上述したと場合と同様であるので、その説明は省略する。
また、本実施の形態では、車両1の直進走行時は、図4(a)に示すように、左右の車輪12L,12Rが上下方向(矢印U−D方向)可動範囲内の最上方に位置し、かつ、Lアクチュエータ52L及びRアクチュエータ52Rによる各アーム23L,23Rへの上下駆動力の付与がオフされる。
これにより、直進走行時には、左右の車輪12L,12Rの上下方向位置を各アクチュエータ52L,52Rの上下駆動力により支持することを不要とすることができる。よって、各アクチュエータ52L,52Rの駆動に要するエネルギーを抑制して、駆動源(油圧ポンプ)の小型化を図ることができると共に、直進走行時における各アクチュエータ52L,52Rの作動制御を不要として、その分、制御装置70の制御負担を軽減することができる。
また、本実施の形態では、旋回時には、旋回内輪(例えば、図4(b)では右の車輪12R)が上下方向(矢印U−D方向)可動範囲内の最上方に位置し、かつ、旋回外輪(左の車輪12L)に対応するアクチュエータ装置52の一方のみ(Lアクチュエータ52Lのみ)が作動制御される。
これにより、各アクチュエータ52L,52Rの内の一方のみを作動制御すれば良く、両方(各アクチュエータ52L,52R)同時の作動制御を不要とすることができる。その結果、制御装置70の制御負担を軽減することができると共に、各アクチュエータ52L,52Rを駆動するための駆動源の小型化を図ることができるので、その分、車両1の小型化と軽量化とを図ることができる。
更に、本実施の形態では、図3及び図4に示すように、太陽歯車22aが左側遊星歯車22bL及び右側遊星歯車22bRよりも車両1の進行方向前方側(矢印F方向側)に位置するように、遊星歯車機構22が配置されている。
これにより、例えば、右旋回時(即ち、右の車輪12Rが旋回内輪、左の車輪12Lが旋回外輪となる場合、図6参照)において、左の車輪12Lを車体の下方向(矢印D方向)へ移動させると、図4(b)に示すように、遊星軸32L(旋回内輪であって右の車輪12R)を遊星軸32R(旋回外輪であって左の車輪12L)よりも距離Wだけ車両1の進行方向前方側(矢印F方向側)に位置させることができる。
よって、その分、旋回時には、車両1を旋回内輪側へ傾斜し易くすることができると共に、旋回中の車両1の傾斜姿勢を安定に保つことができ、旋回性能の向上と安定性の向上とを図ることができる。
次いで、図5を参照して、制御装置70で実行される処理について説明する。図5は、アクチュエータ駆動処理を示すフローチャートである。
ここで、図5の説明においては、図6を適宜参照して説明する。図6(a)は、車両1の正面図であり、右旋回中の状態を示している。また、図6(b)は、従来の車両の正面図であり、図6(a)と同様に、右旋回中の状態を示している。
即ち、図6(a)及び図6(b)は共に、紙面手前側へ向けて前進走行しつつ、紙面左側へ向けて旋回している状態(即ち、右旋回している状態)を示している。なお、図6(a)及び図6(b)では、図面を簡素化して理解を容易とするために、運転者Pやシート11b等の図示が省略されている。
図5に示すアクチュエータ駆動処理は、制御装置70の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理であり、例えば、旋回時において、旋回内輪側の車高を旋回外輪側の車高よりも低くすることとで、旋回内輪側に重心を移動させて、旋回性能の向上を図る。
CPU71は、アクチュエータ駆動処理に関し、まず、運転者Pによりジョイスティック装置51(操作レバー)が操作されているか否かを判断し(S1)、ジョイスティック装置51が操作されていると判断される場合には(S1:Yes)、次いで、旋回指示中であるか否か、即ち、ジョイスティック装置51の操作レバーが左右方向に操作され、運転者Pが旋回を指示しているか否かを判断する(S2)。
S2の処理において、旋回指示中であると判断される場合には(S2:Yes)、ジョイスティック装置51の操作状態から旋回指示量(即ち、運転者Pが指示した車両1の旋回方向及び旋回半径)を算出し、その旋回指示量に応じた駆動量にてアクチュエータ装置52を駆動した後(S3)、このアクチュエータ駆動処理を終了する。
具体的には、ジョイスティック装置51の操作レバーが傾倒操作されると、CPU71は、まず、左右センサ51b(図2参照)の検出結果を確認し、操作レバーの操作状態(操作方向及び操作量)を取得する。そして、その取得した操作状態に基づいて、運転者Pが指示している旋回方向と旋回半径とを算出する。なお、本実施の形態では、旋回半径が操作レバーの傾倒操作量に比例する方式で算出される。
次いで、CPU71は、算出した旋回方向及び旋回半径に基づいて、左右の車輪12L,12Rの内の旋回内輪となる車輪が旋回外輪となる車輪よりも相対的に車体11の上方側へ位置し、旋回内輪側の車高が旋回外輪側の車高よりも低くなるように、アクチュエータ装置52を作動制御する。
例えば、ジョイスティック装置51の操作レバーが右側に傾倒操作され、運転者Pが右旋回を指示している場合には、左の車輪12Lが旋回外輪となるので、かかる左の車輪12Lが車体11の上方側(矢印U方向側)に位置するように、左側アクチュエータ52Lを伸長駆動する(図4(b)参照)。なお、本実施の形態では、伸長駆動量が旋回半径に比例する方式で決定される。
これにより、図6に示すように、旋回内輪(右の車輪12R、図6左側)側の車高を旋回外輪(左の車輪12L、図6右側)側の車高よりも低くして、車両1(車体11)を旋回内輪(右の車輪12R)側へ傾斜させることができる。
よって、従来の車両では、図7に示すように、車両に遠心力(図7矢印cf)が作用して、旋回内輪(図7左側車輪)の浮き上がりを招くという問題点があったのに対し、本発明の車両1によれば、図6に示すように、車両1の重心位置を旋回内輪(右の車輪12R)側へ移動させ、その分、より多くの車体重量を旋回内輪(右の車輪12R)に作用させることができる。
その結果、遠心力(図6矢印cf)に対する対抗力を増加させることができるので、図6に示すように、旋回内輪(右の車輪12R)の浮き上がりを防止して、旋回性能の向上を図ることができ、車両を安定して走行させることができる。
一方、S1の処理において、ジョイスティック装置51が操作されていないと判断される場合(S1:No)、又は、ジョイスティック装置51が操作されているが、旋回指示中ではないと判断される場合には(S1:Yes、S2:No)、車両1の直進走行中(或いは、停車中)であるので、S3の処理による車両1の姿勢制御は行わない。
但し、この場合には、左右方向加速度を検出したか否かを確認し(S4)、左右方向加速度を検出した場合には(S4:Yes)、検出した左右方向加速度に応じた駆動量にてアクチュエータ装置52を駆動する(S5)。
即ち、車両1が直進走行中であるにも関わらず左右方向加速度を検出したということは、例えば、トンネル出口での突風や海岸沿いの橋の上で横風を受けた場合や、走行路面が左右方向に傾斜している場合などが想定される。
よって、この場合には、検出した横加速度の値から横風の作用方向・圧力や路面の傾斜方向・傾斜角を推定して、その横加速度(即ち、横風や走行路面の傾斜)に対抗するための車両1の姿勢制御(即ち、横風が作用する側や路面の傾斜が高い側の車輪を上方へ移動させる)を行うのである(S5)。
これにより、横風や走行路面の傾斜に起因して車両1が左右に振られるなどの不具合を抑制して、走行安定性の向上と運転者Pの快適性の向上とを図ることができる。
一方、S4の処理において、左右方向加速度が検出されなかった場合には(S4:No)、アクチュエータ装置52(Lアクチュエータ52L及びRアクチュエータ52R)がオフされているか否かを確認する(S6)。
ここで、S6の処理において、アクチュエータ装置52がオフされていないと判断される場合には(S6:No)、このアクチュエータ駆動処理の前回の実行時において、直進走行中(或いは、停車中)の車両に左右方向加速度が作用しており、その左右方向加速度に対抗するべくアクチュエータ装置52の駆動を実行したが(S5)、現段階においては、車両1に左右方向加速度が作用していないということである。
よって、この場合には(S6:No)、通常の直進走行状態(即ち、左右の車輪2が共に最上方に位置する状態、図4(a)参照)とするべく、アクチュエータ装置52をオフして(S7)、このアクチュエータ駆動処理を終了する。
一方、S6の処理において、アクチュエータ装置52がオフされていると判断される場合には(S6:Yes)、車両1が直進走行中(或いは、停車中)であると共に、左右方向加速度も検出されておらず、かつ、左右の車輪12L,12Rが共に最上方に位置している(通常の直進状態にある)ということであり、S7の処理を実行する必要がないので、S7の処理をスキップして、このアクチュエータ駆動処理を終了する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記実施の形態では、左右の車輪12L,12Rを回転駆動する駆動装置として1の駆動源21を使用する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2つのモータを左右の車輪12L,12Rにそれぞれ設けたいわゆるインホイールモータとして構成しても良い。
これにより、左右の車輪12L,12Rをそれぞれ独立に回転駆動させることができるので、クラッチ機構41を不要とすることができる。また、遊星歯車機構22を設けることなく、左右の車輪22の上下方向への移動が可能となる。