JP4687059B2 - 有機金属錯体、および発光材料、並びに発光素子 - Google Patents

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本発明は、可視波長域のスペクトル成分を発光可能な有機金属錯体、および有機金属錯体を基にした発光材料、並びにこれらを用いた有機エレクトロルミネッセント(EL)素子などの発光素子に関するものである。
有機EL素子の技術は、イーストマン・コダック社C.W. Tang and S. A. VanSlykeが、「Organic electroluminescent diodes」というタイトルで、ジアミン系のTPDを正孔輸送材料、Tris(8−quinolinato)Al錯体(以下Alqと略)を発光層とした2層構造のEL素子の報告がされている(非特許文献1参照)。
これ以来、高輝度でカラー化が容易なことから、EL素子が盛んに研究されるようになった。
初期の有機EL素子は、1重項励起子からの蛍光発光を利用したものが主流であった。
そして、1997年に、パイオニア社が、蛍光発光を利用した車載用パッシブマトリクス有機ELディスプレイが実用化されし、その後、2003年にイーストマン・コダック社が、アクティブマトリクスのフルカラーELディスプレイをデジタルカメラで実用化した。
しかし、例えば、携帯電話用のメインパネル用等に利用するには、より一層の低消費電力化型EL素子が求められている。
ここで、EL素子は、一般に、自由電子と正孔が再結合するとした、単純なスピン統計の場合、1重項励起子の生成比は25%、3重項励起子の生成比は75%と計算され、3重項励起子のエネルギーレベルは、1重項励起子のエネルギーレベルより低いため、他へのエネルギー移動が悪い場合には、系間交差により、3重項励起子を100%生成し、100%の量子効率で燐光発光することが理論的には可能である。
ここで、3重項励起分子間の衝突や、共役系高分子の主鎖内での励起子同士の衝突による、3重項-3重項消滅による遅延発光を考慮しても、1重項励起子の最大生成比は、62.5%となり、3重項励起子からの燐光発光を利用した発光素子の方が、高効率が期待できる。
実際には、1重項と3重項の生成比は、単純ではなく、例えば、MEH-PPVの場合は、3重項励起子の生成比は、1重項励起子の3倍の割合ではなく、生成比は、電界に依存していると報告している(非特許文献2参照)。
また、燐光材料自体の研究では、すでに1963年に、Ralph S.Beckerらは、PtメソポルフィンIXジメチルエステルが、波長618nm(寿命0.14msec)の強い燐光を有し、無蛍光であると報告している(非特許文献3参照)。
そして、燐光を利用したEL素子は、九州大学の森川らが、4−ベンゾイルビフェニル等を用いて「燐光物質を発光層に持つ電界発光素子」というタイトルで、1990年秋の第51回応用物理学会学術講演会で最初に報告した。しかし、この報告は、10cd/m2程度の輝度だったこと、また一般に燐光材料は液体窒素温度等の低温で剛性溶媒中のガラス状試料、またはろ紙やTLCプレートに吸着させて、分子間衝突による熱失活を防がないと強く光らない材料が多かった。
その後、1998年にM.A.Baldo,D.F.O‘Brienらは、2,3,7,8,12,13,17,18−octaethyl−21H,23H−porphine Pt(II)錯体[PtOEP を、Alq中に6mol%ドープした赤色EL素子(発光ピーク波長が650nm、輝度が100cd/mで、発光効率が0.15lm/W、外部量子効率が1.3%)が報告している(非特許文献4参照)。
さらに、D.F.O‘Brien,M.A.Baldoらは、4,4′−N,N’−dicarbazole−biphenyl[以下 CBPと略 ]中に、上記Pt錯体を6モル%ドープし、2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline[以下BCP と略]を正孔ブロック層として導入することにより、100cd/mで外部量子効率2.2%まで発光効率を改善した(非特許文献5参照)。
その後、M.A.Baldo、P.E.Burrowsらは、緑色りん光発光性物質であるfac tris(2−phenylpyridine)iridium錯体[Ir(ppy)3 ]を、CBP中に、6mol%の濃度となるように混合した混合物発光層を用いて、最高10万cd/m2の高輝度、31lm/Wの高発光効率、8%(28cd/A)の高外部量子収率の緑色有機EL素子報告している(非特許文献6参照)。
この燐光材料は、従来の蛍光材料によるEL素子の効率を大幅に上回り、注目された。
従来、Ir錯体の合成の例としては、名古屋大学の野々宮が、ベンゾhキノリンを配位子とした化合物を、Irの2核錯体を経由して合成した例があった(非特許文献7参照)。
その後、IrClを原料として、同様の合成法により、2−phenylpyridine(Hppy)を配位子としたIr(ppy)3の合成を、カルフォルニア大学のS.Sprouseら(非特許文献8参照)、やKing,K.Aらが報告した(非特許文献9参照)。
また、カリフォルニア大学サンタバーバラ校のK.Dedeianらは、Ir(III)acetylacetonateを原料として、acetylacetoneをppy誘導体で置換することにより、各種置換基付きIr錯体を合成し77Kの低温での発光スペクトルを測定した。
4−fluorophenyl−pyridinatoを配位子としたIr(4−F−ppy)3の短波長側発光端は、Ir(ppy)3の498nmより30nm短波長シフトすると報告し、電子吸引置換基による青色発光材料が得られる可能性を示した(非特許文献10参照)。
その後、acetylacetonateを一つの配位子として残したIr(ppy)acac錯体を、南カリフォルニア大のS.Lamanskyらが報告した( 非特許文献11参照)。
また、C.Adachi、Raymond C.Kwongらは、Ir(III)bis(4,6−di−fluorophenyl)−pyridinato−N,C’)picolinate( 以下FIrpicと略す )を、CBP中に6mol%ドープしIr(III)bis(4,6−di−fluorophenyl)−pyridinato−N,C’)acac(以下Ir(4,6−diFppy)acacと略す)のよりも良いCIE色度の青色発光(x=0.16、y=0.29)を得た報告した(非特許文献12参照)。
ここで、Ir(ppy)acacに比べ、Ir(4,6−diFppy)acacは、発光スペクトルが40nm短波長シフトし、Ir(4,6−diFppy)acacのacacをpicolinateで置換したFIrpicは、さらに20nm短波長シフトした。
さらに、EL素子の発光効率向上、寿命向上を目的として、置換基導入による有機金属錯体の濃度消光の抑制、発光層ホスト材料のキャリア輸送性やエネルギーギャップの拡大、正孔ブロック層の改良が行われている。
そして、カラー化と色純度の向上を目的として、有機金属錯体の各種配位子が合成され、多くの置換基も検討されている
一方、Os、Re、RhなどPt,Ir以外の中心金属のバリエーションも研究されている。
れらの低分子燐光材料をポリマーホスト材料中に分散し、コーティング法によりEL素子を作成する研究も行われている。
Ir(ppy)3を、ポリビニルカルバゾール(以下PVCzと略す)中に分散した素子は、九州大学のM.YangとT.Tsutsuiにより作られた。Ir(ppy)3を6.8wt%分散し、発光層とし、BCP正孔ブロック層とOXD−7電子輸送層を積層した素子では、14.5Vにおいて、0.4mA/cm、5.8lm/W、外部量子効率7.5%を得たと報告している。(非特許文献13参照)。
また、昭和電工(株)の高橋らは、低分子燐光材料をビニルモノマー化し、ビニルカルバゾールと共重合することにより、ポリマーの側鎖にりん光発光性有機金属錯体を導入した発光材料を合成した(特許文献1参照)。
さらに、FIrpicをN−ビニルカルバゾールと共重合し、1mol%導入したポリマーを用いて、NHKの時任らはEL素子を作製し、青色で3.5%の外部量子効率を得ている(非特許文献14参照)。
Appl. Phys. Lett.51,913 (1987) Phy.Rev.Lett.,90,36601(2003) Ralph S.Becker,けい光とりん光,東京化学同仁、206−207(1971) Nature,395,151(1999) Appl.Phys.Lett.,74,442(1999) Appl.Phys.Lett.,75,4(1999) Bull.Chem.Soc.Jpn.47、767(1974) J.Am.Chem.Soc.,106,6647(1984) J.Am.Chem.Soc.,107,1431(1985) Inorganic Chemistry,30 ,1685(1991) Inorg.chem、40,1704(2001) Appl.Phys.Lett.,79,2082(2001) Jpn.J.Appl.Phys.,39,828(2000) S.Tokito,M.Suzuki,andF.Sato,Information Display,6,23(2003) 特開2003−206320号公報
これまでの可視領域発光可能な燐光発光性有機金属錯体に利用できる配位子の選択範囲は狭く、十分ではなかった。本発明の課題は、従来にない配位子を用いた発光性有機金属錯体を提供することである。
また、従来燐光発光性有機金属錯体は、真空蒸着で成膜を行う低分子材料が主に研究されてきたが、大面積ディスプレイを低コストで製造可能にするため、塗布または印刷可能なポリマー発光材料を提供することである。
さらに、可視領域発光が可能で、反応性基をつけたモノマーを容易に合成でき、ポリマー化も可能な新規な配位子を有する発光性有機金属錯体、及びこれらを用いた発光材料、及び発光素子を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、チアゾール−4−カルボン酸誘導体を配位子とする発光性有機金属錯体およびそれらの錯体を有するポリマー発光材料を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、以下の一般式()で表される新規発光性有機金属化合物から構成される発光材料と、一般式()中のR1に、反応性基を少なくとも一つ以上含む置換基を有する有機金属錯体をコモノマーとして共重合したことを特徴とする新規ポリマー発光材料を提供すること、及びそれらの化合物を用いた発光素子により達成されるものである。
の発明は、以下の一般式(2)で表されることを特徴とする有機金属錯体である。
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〔一般式(2)において、Mはイリジウムを示し、R1は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリル基、べンゾチアゾール基、6−ジメチルアミノベンゾチアゾール基、フェノキシ基から選ばれる基、またはビニル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシプロピル基から選ばれる重合基、またはSH基を有するベンゼンエタンチオール基、であり、R2からR7は水素、フッ素、フェニル基、メチル基、エチル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾール基からそれぞれ独立に選ばれる基である。また、一般式(2)中の水素は、任意に重水素に置換されていても良い。kは2である。〕
の発明は、以下の一般式(3)で表されることを特徴とする有機金属錯体。
Figure 0004687059
〔一般式(3)において、Rは、フェニル基、スチリル基から選ばれる基である。〕
の発明は、第1の発明、又はの発明のいずれかの有機金属錯体を含むことを特徴とする発光材料である。
の発明は、第の発明の有機金属錯体をコモノマーとして用いて共重合して得たポリマーを成分とすることを特徴とするポリマー発光材料である。
の発明は、上記一般式()〜(3)のいずれかに記載の発光性有機金属錯体、またはそれらの発光性有機金属錯体を含むポリマー発光材料、またはそれらの発光性有機金属錯体を発光性コモノマーとして共重合して得たポリマーを成分としたポリマー発光材料を、少なくとも一対の電極間に配置された発光層に含むことを特徴とする発光素子である。
ここで、一般式(1)または(2)のMが、Pt(II),Pd(II),Ir(III)、Rh(III)、Bi(III)、Os(II)、Ru(II)であることが好ましい。
そして、第6の発明において、カルバゾール誘導体を、キャリア輸送性コモノマーとすることが好ましい。
さらに、以下の化学式(1)で示されるような重合性反応基を有する有機金属錯体を発光性コモノマーとして、0.01から10モル%、好ましくは、濃度消光を防ぐため、0.1モル%以上、3モル%未満の割合で、、N−ビニルカルバゾール等のキャリア輸送性コモノマーと共重合して得たポリマー発光材料がより好ましい。
Figure 0004687059
本発明の有機金属錯体化合物および高分子発光材料は可視領域に強い発光を有し青から赤の発光が可能である。
以下本発明を具体的に説明する。
本発明は、一般式(1)で示される有機金属錯体化合物である。
Figure 0004687059
ここで、中心金属イオンMは、2価または3価の金属イオンが選ばれるが、2価の金属イオンの例はPt、Pd、Os、Ru、Cu、Zn、Ge、Ba、Sr、Ca、Mg、Beの中から選ぶことができる。3価の金属イオンの例はIr、Rh、Bi、Co、In、Al、Ga、Cr、V、Ti、Sc、Taの中から選ぶことができる。
好ましくは、Pt、Pd、Os、Ru、Ir、Rh、Biの中から選ばれる。さらに好ましくは室温での燐光発光効率が高い有機金属錯体化合物が得られるOs、PtまたはIrのいずれかから選ばれる。
軽い中心金属イオンを用いた場合は、室温での燐光発光の量子収率が低下し、発光効率が低下する場合がある。また、一般式(1)の中の水素を、重水素に置き換えることにより、燐光の量子収率を向上できる場合もある。
本発明の有機金属錯体化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
化学式(2)から化学式(35)は、Ir錯体の例を示し、そのうち、化学式(11)は、化学式(2)の水素を重水素で置き換えた例で、化学式(30)から化学式(33)は、反応性基を有し、重合可能な有機金属錯体化合物の例である。
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化学式(36)から化学式(47)は、Pt錯体の例である。そのうち、化学式(46)は、反応性基を有し、重合可能な有機金属錯体化合物の例である。
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化学式(48)から化学式(53)は、反応性基を含む基を有する有機金属錯体化合物を発光性コモノマーとして、少なくとも1種類以上のキャリア輸送性コモノマーと共重合したポリマー青色発光材料の例である。
ここで、化学式(48)等のポリマー発光材料中の、前記化学式(1)に示した有機金属錯体をコモノマーとした場合、キャリア輸送性のカルバゾールを含むコモノマーに対して、0.01から20モル%、好ましくは0.1モル%以上3モル%未満の割合で共重合することが望ましい。3モル%以上の場合はトルエンなどの有機溶剤に溶解しにくくなる。また0.01モル%以下の場合には有機金属錯体からの発光の割合が少なくなり、ホスト材料からの発光の割合が大きくなる。
化学式(49)(50)は、青色発光Ir錯体の他に、正孔輸送性のカルバゾール誘導体と電子輸送性のオキシジアゾール誘導体をコモノマーとして用いたコポリマーの例である。
化学式(51)(52)は、前記化学式(49)(50)の青色発光有機金属錯体化合物を含むコモノマーに代えて、それぞれ緑色発光有機金属錯体、赤色有機金属錯体の誘導体をコモノマーに用いたコポリマーの例である。
化学式(53)は、青色発光有機金属錯体、緑色発光有機金属錯体、赤色有機金属錯体の誘導体をそれぞれk::m:lの比でコモノマーとして含む白色発光のコポリマーである。ここでスピロシラン化合物は正孔輸送性のコモノマーとして用いられている。
Figure 0004687059
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以下に本発明の発光素子を模式的に示す、図1および図2に基いて説明する。
図1は、本発明における発光素子を、基板(1)上に陽極(2)、正孔注入輸送層(3)、有機発光層(4)、陰極(5)、封止層(6)の順に構成した場合の例である。
正孔注入輸送層(3)は、通常1〜3層で構成され、3層で構成される場合は、各層のイオン化エネルギーの値が陽極<第1正孔注入輸送層<第2正孔注入輸送層<第3正孔注入輸送層<有機発光層の順になるように配置することで有機発光層(4)への正孔注入効率が向上し、低電圧でEL発光が得られるようになる。
また、有機発光材料の紫外可視吸収スペクトルの吸収端エネルギーより求められる、エネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップの材料を、発光層と接する正孔注入輸送層に用いることが発光材料からのエネルギー移動を防ぎ発光効率を向上させるために望ましい。
図2は、さらに、有機発光層(4)と陰極(6)間に有機発光層との界面に、発光層への電子注入効率を高め、または、正孔の陰極への流れを抑制する効果を有する正孔ブロック電子輸送層(7)を設けた場合である。
正孔ブロック電子輸送層は、通常1〜2層で構成される。有機発光層の界面において、正孔ブロック性を高め、発光層にキャリアを閉じ込め発光効率を高めるため、有機発光層材料よりも0.3eV以上大きいイオン化エネルギーの、HOMO(最高被占軌道)レベルを有し、かつ、最低3重項と基底状態間のエネルギーギャップが、発光材料のそれ以上である材料を用いることが望ましい。
また、発光層材料のLUMO(最低空軌道)レベルと、陰極の仕事関数との間のLUMOレベルを有する正孔ブロック電子輸送層材料を用いると、陰極から発光層への電子注入効率を高めることができる。
それらの条件を1層で満足できない場合は、多層で形成すればよい。
また、陽極(2)が不透明で、透明もしくは半透明の陰極(5)から光を取り出す構成の素子においては、正孔ブロック電子輸送層は、少なくとも有機発光層材料の発光波長領域において実質的に透明である必要がある。
以下、さらに詳しく材料および素子の製造方法について説明する。
基板(1)は、ガラスやポリエーテルスルホン等のプラスチックフィルム等の透明絶縁性材料を用いる。基板(1)には、コントラストや耐性向上のため、着色したり、円偏光フィルター、多層膜反射防止フィルター、紫外線吸収フィルター、RGBカラーフィルター、蛍光波長変換フィルター、シリカコーティング層等を内外面に適宜設けても良い。
陽極(2)は、通常、表面抵抗1〜50Ω/□、可視光線透過率70%以上の透明電極を用いる。
例えば、ITO(仕事関数4.6〜408eV)、酸化亜鉛アルミニウムの非晶質、または微結晶透明導電膜、または低抵抗化のため10nm程度の厚さの銀や銅、または銀と銅の合金層をITO、インジウム亜鉛複合酸化物、酸化チタン、酸化錫等を主成分とする非晶質または微結晶の透明導電膜で挟んだ構造の膜を、真空蒸着やスパッタリング法等でガラスやプラスチックフィルム等の透明絶縁性の基板(1)上に形成し透明電極として用いることが望ましい。
ここで、単純マトリックス駆動ディスプレイに用いる場合は、透明電極のラインに接して、Cu、Al等の低抵抗金属からなるバスラインを設け、より低抵抗化することが望ましい。
その他、金やプラチナを薄く蒸着した半透明電極や、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸などのルイス酸をドープした低抵抗なPEDOT:PSSなどの導電性ポリマー、またはポリアニリン、ポリピロールを被覆した半透明電極等も用いることができる。
しかし、別の場合には、陽極(2)は不透明でも良い。その場合には、陽極(2)には正孔注入輸送層(3)を通して、有機発光層(4)へ正孔注入しやすい仕事関数の値の大きい金、プラチナ、パラジウム、ニッケル等の金属膜、シリコン、ガリウムリン、アモルファス炭化シリコン、カーボン、酸化銅等の仕事関数が4.6eV以上の半導体基板、もしくはそれらの金属や半導体を絶縁性の基板(1)上に被覆した基板を用い、陰極(5)を透明電極もしくは半透明電極とする。陰極(5)も不透明であれば、有機発光層(4)の少なくとも一端が透明である必要がある。
次に、正孔注入輸送層(3)を陽極(2)上に形成する。
正孔注入輸送層(3)に用いる材料は、銅フタロシアニンや塩素化銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、N,N’- ジメチルキナクリドン等のトルエン等の発光層を塗布する溶剤に難溶な低分子正孔注入輸送材料、またはPEDOT:PSS、ポリアニリン系のPANIなどの水に分散したポリマー正孔輸送材料、またはビニル基などの架橋基を有する、例えば、化学式(54)に示される、芳香族第3級アミン系ポリマーを、塗布後、熱や光、放射線で架橋させ有機溶媒に不溶化した材料、その他p型炭化珪素膜、p型ダイヤモンド膜、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、アルミニウム銅複合酸化物、インジウムガリウム複合酸化物、カーボン60等の無機半導体の中から選ぶことができる。
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この正孔注入輸送層は、真空蒸着法、CVD法、昇華転写法等の乾式法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、反転転写印刷法、インクジェット法等の湿式法等、適宜の方法により単層、または多層で成膜して用いることができる。
この膜厚は、通常10から100nm範囲で形成する。
次に、正孔注入輸送層(3)上に、本発明の発光性有機金属錯体化合物を含む有機発光層(4)を形成する。
有機発光層(4)には、一般式(1)または(2)ので表される発光性の低分子、またはそれらの有機金属錯体化合物をコモノマーとして含む、化学式(48)から(53)で例示したような発光性有機金属錯体化合物を含むポリマーを用いることができる。
低分子の発光性有機金属錯体化合物は、キャリア移動度を向上し駆動電圧低減、発光色補正、濃度消光を防ぎ、発光強度の増強、キャリアバランスを改善し発光効率を向上させる等の目的でオキサジアゾール系、トリアゾール系またはシロール系などの電子輸送材料、芳香族3級アミン系正孔輸送ポリマー、化学式(55)から(57)の例で示す、[2,2]パラシクロファン系ポリマーや、ポリNビニルカルバゾール、または化学式(58)から(61)で示すような、低分子化合物からなるキャリア輸送性のホスト材料中に分散させて用いることが望ましい。
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発光性有機金属錯体化合物の濃度は、膜の発光強度が最大になる濃度が望ましく、通常0.1から20mol%(単量体比)程度から適宜選ばれる。
本発明の発光性有機金属錯体化合物を含むポリマーは、発光性有機金属化合物よりなるコモノマーと、キャリア輸送性コモノマーを適当な割合で共重合することにより、単独で発光層とすることも可能である。
しかし、キャリア移動度を向上し低電圧駆動化、発光色補正、濃度消光を防ぎ、発光強度の増強、キャリアバランスを改善し発光効率を向上させる等の目的で、低分子の発光性有機金属化合物と同様に、本発明の有機金属化合物を含む材料以外のキャリア輸送性または発光性のポリマーや低分子材料と混合して用いることもできる。
また、発光色を変える目的で、少なくとも1種類の本発明の有機金属化合物材料を含む複数種類の低分子、または高分子の発光性有機金属化合物材料を混合して用いることもできる。
効率的に発光性有機金属錯体からの発光を得るためには、キャリア輸送材料、ホスト材料の最低3重項エネルギーレベルが、発光性有機金属錯体の最低3重項エネルギーレベルよりも高い材料を選択する必要がある。
有機発光層は、真空蒸着法、CVD法、昇華転写法等の乾式法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、反転転写印刷法、インクジェット法等の湿式法等により単層、または多層で成膜して用いる。
膜厚は、通常10から100nm程度形成する。
次に、有機発光層(4)上に電子輸送層(7)を積層する。
電子輸送層材料の例としては、例えば、特開平7−90260号公報に示されているトリアゾール化合物、ヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン、バソクプロイン、紫外から青色の光を放射する有機発光材料とアルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属との電荷移動錯体、フェニル−ビス(ピレン−1−イル)フォスフィンオキシドとCsのモル比が2:1の蒸着膜、炭化シリコン、アモルファスシリコン膜等の無機半導体や光導電性膜があげられる。
電子輸送層(7)は、真空蒸着法、CVD法、昇華転写法等の乾式法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、反転転写印刷法、インクジェット法等の湿式法等により単層、または多層で成膜して用いる。
膜厚は、通常10から100nm程度形成する。
次に陰極(5)として、Mg、Al等の金属単体、または低仕事関数と安定性を両立させるため、低仕事関数であるCs、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属を1種以上を含む合金系、または低仕事関数金属膜上にAg、Al、In、Cu、Au等の安定な金属を積層し用いられる。
陰極にAlを用いる場合は、より電子注入効率を上げるために0.5−1nm程度のリチウムまたはセシウムのフッ化物や酸化物、有機塩、有機金属等のアルカリ金属含有電子注入層(図示せず)を有機発光層(4)または電子輸送層(7)と陰極(5)間に形成することも行われる。
陰極の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法を用いたり、合金ターゲットを用いてスパッタリング法が用いられ、200〜1000nm程度の膜厚が有機発光層(4)または電子輸送層(7)上に形成される。
陰極をストライプ状に形成する場合には、陰極隔壁分離法やマスク蒸着法、イオンビームエッチング法、リアクティブエッチング法等で陰極金属のパターンニングを行う。
次に、素子の有機層や電極の酸化を防ぐために素子上に封止層(6)を形成する。
封止層(6)は、陰極(5)の形成後直ちに連続して形成する。
封止層材料の例としては、SiO2 、SiO、GeO、MgO、CaO、Al2 3 、B2 3 、TiO2 、ZnO、SnO等の酸化物(1酸化物は多少化学量論比からずれていることもある)、MgF2 、LiF、BaF2 、AlF3 、FeF3 等の沸化物、Si3 4 等の窒化物等の無機材料、パリレンやポリエチレン等の有機ポリマー材料があげられるが、絶縁材料であれば上記例に限定されるものではない。これらを単体または複合化、または多層化して蒸着法、反応性蒸着法、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により成膜する。
ここで、水蒸気バリアー性能を高めるためにはAl、In等の金属をさらに積層する。
さらに、湿気の浸入を完全に防ぐために、ハーメチックシールにより発光素子の基板を真空中で密封するか、十分乾燥させた低吸湿性の光硬化性接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤や低融点ガラス等の接着材料を用いて、金属板、ガラス板等の封止板を接着し密封する。
ガラス板以外にも、金属箔やバリヤ膜付きプラスチックフィルムを用いることもできる。
封止層上や削りこんだ封止板の内側にカルシア、酸化バリウム等の乾燥剤、アルカリ金属やアルカリ土類金属、希土類、ジルコニアなどからなるゲッター材の層やシートを入れても良い。
以上のように構成した有機薄膜発光素子は、正孔注入輸送層(3)側を正として、リード線(8)で電源(9)に接続し、直流電圧を印加することにより発光するが、交流電圧を印加した場合にも正孔注入輸送層(3)側の電極が正に電圧印加されている間は発光する。
本発明による有機薄膜発光素子を、基板上に2次元に配列することにより文字や画像を表示可能な薄型ディスプレイとすることができる。
青、緑の発光素子と組み合わせて、3色の発光素子を2次元に配列するか、白色発光素子とカラーフィルターを用いてカラーディスプレー化も可能である。
以下、本発明を実施例によりより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能なものである。
<実施例1>低分子化合物の合成例
イリジウム(III)ビス[2−(2、4−ジフルオロフェニル)ピリジナート](4−チアゾールカルボキシナート)
[化学式4に示される化合物]の合成
冷却管を備えた内容積 50mlの三ツ口フラスコ中に、ビス(μ―クロロ)テトラキス[2−(2、4−ジフルオロフェニル)ピリジン]ジイリジウム(III) 0.577g (0.47mモル)、4−チアゾールカルボン酸 0.183g (1.42mモル)、炭酸ナトリウム 0.50g (4.7mモル)、2−メトキシエタノール 20mlをしこみ、窒素を5.5時間バブリングしながら攪拌した。
その後115℃で24時間反応した。反応混合物を室温に冷却後、水70mlを加え、酢酸エチル100ml、ついで50mlで抽出した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、濃縮した。黄茶色の固い皮膜状の固体0.21gを得た。収率32モル%。
構造は、NMR解析(H1、C13、DEPT、COSY、HMBC)およびFD+マス(m/z=701)により同定した。
1H−nmrスペクトルチャートを図3に示す。
この生成物は、トルエン溶液は青色発光を示した。
この生成物のトルエン溶液(7.6E-3M)を、室温で、脱気せず、島津UV-3100自記分光光度計で測定した吸収スペクトル、並びに、島津RF-5300PC蛍光光度計で測定した発光スペクトルを、図4に示す。
室温、空気中で測定した膜の発光スペクトルは、図6中の破線で示す。
<実施例2>低分子化合物の合成例
イリジウム(III)ビス[2−(2、4−ジフルオロフェニル)ピリジナート](2−フェニル)−4−チアゾールカルボキシナート][化学式(9)に示される化合物]の合成
冷却管を備えた内容積 100mlの三ツ口フラスコ中に、ビス(μ―クロロ)テトラキス[2−(2、4−ジフルオロフェニル)ピリジン]ジイリジウム(III)を1.0g(0.82mモル)、2−フェニルチアゾール−4−カルボン酸を0.513g(2.5mモル)、炭酸ナトリウム0.87g、および2−メトキシ−エタノール25mlを仕込み、窒素を1晩バブリングしながら攪拌した。その後、115℃で8時間反応させた。反応混合物を室温に冷却後、水70mlを加え、析出する固体を濾別した。水洗、さらに少量のエタノールで洗浄し、黄色の固体を1.10g得た。
収率は、87モル%、構造は、NMR解析(H1、C13、DEPT、COSY、HMBC)により固定した。1H−nmrスペクトルチャートを図5示す。
室温、空気中で測定した膜の発光スペクトルは、図6中の実線で示す。
<実施例3>重合基を有する配位子の合成例
2−(4−ビニルフェニル)―4−チアゾールカルボン酸の合成
冷却管を備えた内容積 100mlの三ツ口フラスコ中に、2−フ゛ロモ-4−チアゾールカルボン酸2.08g(10mモル)、4−ビニルフェニルボロン酸 1.48g (10mモル)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 0.59g(0.05mモル)トルエン 50ml、2M 炭酸ナトリウム水溶液 20ml、エタノール 25mlおよび重合禁止剤 BHT4mg を仕込み、窒素下30分室温で攪拌した。
その後加熱を開始、還流下に7.5時間反応した。反応混合物を室温に冷却後、終夜窒素をバブリングすることにより、エタノールを留去した後、酢酸エチルを100ml加え良く撹拌した。不溶物を濾取し得られた固体を風乾後、水に懸濁し、10%塩酸でpH1にまで酸性とした。析出した固体を濾取し水洗後、50℃で加熱乾燥し、灰色の固体 0.86gを得た。収率37モル%。
構造は、NMR解析およびFD+マスにより同定した。
<実施例4>モノマーの合成例
イリジウム(III)ビス[2−(2、4−ジフルオロフェニル)ピリジナート][2−(4−ビニルフェニル)−4−チアゾールカルボキシナート[化学式(1)に示される化合物]の合成
冷却管を備えた内容積が50mlの三ツ口フラスコ中に、Ir二核錯体ビス(μ―クロロ)テトラキス[2−(2、4−ジフルオロフェニル)ピリジン]ジイリジウム(III)を1.09g(0.9mモル)、 2−(4−ビニルフェニル)―4−チアゾールカルボン酸を0.69g(3.0mモル)、炭酸ナトリウムを0.96g、2−メトキシ−エタノールを25mlおよび2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1mgしこみ、窒素を1晩バブリングしながら攪拌した。
その後、115℃で9時間反応した。反応混合物を室温に冷却後、水50mlを加え、酢酸エチル100ml中に移した。撹拌後、不溶物を濾別した。
そして、酢酸エチル層を分離し、水層をさらに酢酸エチル100ml抽出し、先の酢酸エチルに併せた。水洗後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。
次に、アセトンを留出液として、シリカゲルカラムで主生成物(アセトンを展開液とするシリカゲルTLCでのRf値:0.50と、副生成物(アセトンを展開液とするシリカゲルTLCでのRf値:0.90)を分離した。主生成物として黄色の固体0.92gを得た。収率は、64モル%であった。
構造は、NMRおよびFDマススペクトル(m/z=803)から同定した。
淡黄色の副生成物である固体(収量0.08g、収率6モル%)は、FDマススペクトルが主生成物と同じことより構造異性体と推定された。
<実施例5>ポリマーの合成例
イリジウム(III)ビス[2−(2、4―ジフルオロフェニル)ピリジナート] [2−(4−ビニルフェニル)-4−チアゾールカルボキシナート]と、N−ビニルカルバゾールとの共重合体(化学式45に示す共重合体)の合成。
冷却管を備えた内容積が100mlの三ツ口フラスコ中に、N−ビニルカルバゾール1.911g(9.89mモル)および重合性有機イリジウム錯体:イリジウム(III)ビス[2−(2、4―ジフルオロフェニル)ピリジナート][2−(4−ビニルフェニル)-4−チアゾールカルボキナート]80mg(0.10mモル)、および脱水THF40mlを仕込み、窒素下にスターラーで攪拌した。
その後80℃に加熱した後、開始剤AIBNを前2種のモノマーの合計重量に対し、1重量%を一括添加した。
さらに、7時間重合を行った後、室温に冷却した。反応液をメタノール250ml中に加え、析出する重合体を濾別した。メタノール100mlで洗浄した後、60℃で乾燥し微黄色固体を1.40g得た。
この固体は、紫外線により青色の発光を示し、クロロホルムに容易に溶解した。収率は70モル%であった。
室温、空気中で測定したこのポリマーフィルムの発光スペクトルを図7に示す。
ポリマーの平均分子量は、ポリスチレンを標準としたゲルバーミッションクロマトグラフィーにより8510であった。DSCにより20℃/minの速度で昇温し、測定したガラス転移温度は、197℃であった。
<実施例6―8>ポリマーの合成例
実施例4のイリジウム(III)ビス[2−(2、4―ジフルオロフェニル)ピリジナート] [2−(4−ビニルフェニル)-4−チアゾールカルボキシナート]の重合時の濃度を、それぞれ0.3モル%(実施例6)、3モル%(実施例7)、5モル%(実施例8)とした以外は実施例4と同様に重合を行った。
実施例4と同様の収率で青色発光ポリマーが得られたが、3モル%、5モル%の場合は、室温のクロロホルムに10mg/ml以上の濃度で溶解できなかった。
<実施例9>EL素子の作製例
透明絶縁性の基板(1)として、厚さ1.1mmの青板ガラス板を用い、この上に120nmのITOをスパッタリング法で被覆して陽極(2)とした。この透明導電性基板を使用前に水洗、プラズマ洗浄により十分に洗浄した。
正孔注入輸送層は、まず、第1正孔注入輸送層(4)としてPEDOT:PSS(H.C.Starck社I4083)を50nmスピンコートした。
次に、有機発光層(4)として、実施例1で合成した化学式(4)に示される化合物と、化学式(58)示すCBP誘導体を、成膜速度比1:20で30nmの厚さで共蒸着した。
さらに、正孔ブロック電子輸送層として、バソクプロインを30nm、電子注入層として、LiFを0.5nm、陰極(5)として、Alを200nm、順に真空蒸着した。
次に、封止膜(6)として、酸化ゲルマニウムを、Arプラズマ下1μm蒸着後、発光部上にAlを200nm蒸着した。
最後に乾燥窒素下でプラズマ洗浄したカバーガラスを感光性接着剤で貼り付けた。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで10Vの電圧を印加すると青色発光を呈した。
ELスペクトルを図8に示す。
<実施例10>EL素子の作製例
実施例9の化学式(4)の化合物に代えて、化学式(2)の化合物を用いた以外は、同様の構造の素子を作製した。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで10Vの電圧を印加すると緑色発光を呈した。
<実施例11>EL素子の作製例
実施例9の化学式(4)の化合物に代えて、化学式(26)の化合物を用いた以外は、同様の構造の素子を作製した。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで10Vの電圧を印加すると赤色発光を呈した。
<実施例12>EL素子の作製例
透明絶縁性の基板(1)として、厚さ1.1mmの青板ガラス板を用い、この上に120nmのITOをスパッタリング法で被覆して陽極(2)とした。この透明導電性基板を使用前に水洗、プラズマ洗浄により十分に洗浄した。
正孔注入輸送層は、まず、第1正孔注入輸送層(4)としてPEDOT:PSS(H.C.Starck社I4083)を60nmスピンコートした。
次に、有機発光層(4)として、化学式(48)で示すポリマーのクロロホルム溶液をスピンコートし75nmの厚さで成膜した。
その上面に電子注入層としてLiFを0.5nm蒸着し、陰極(5)としてAlを200nm蒸着した。
次に、封止膜(6)として、酸化ゲルマニウムをArプラズマ下1μm蒸着後、Alを200nm蒸着した。
最後に、乾燥窒素下でプラズマ洗浄したカバーガラスを感光性接着剤で貼り付けた。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで、10Vの電圧を印加すると、ピーク波長約475nmの青色発光を呈した。
図8に,ELスペクトルを示すが、カルバゾール成分からの発光は無く、有機金属錯体のみからEL発光が得られた。
<実施例13>EL素子の作製例
実施例12のポリマーに代えて、化学式(49)のポリマー(l=100、m=20、n=1)を用いて、同様に発光素子を作製した。この素子は陽極と陰極を直流電源につない、で9Vの電圧を印加すると青色発光を呈した。
<実施例14>EL素子の作製例
実施例12のポリマーに代えて、化学式(50)のポリマー(l=100、m=40、n=1)を用いて、同様に発光素子を作製した。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで、8Vの電圧を印加すると青色発光を呈した。
<実施例15>EL素子の作製例
実施例12のポリマーに代えて、化学式(51)のポリマー(l=100、m=20、n=1)を用いて、同様に発光素子を作製した。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで、9Vの電圧を印加すると緑色発光を呈した。
<実施例16>EL素子の作製例
実施例12のポリマーに代えて、化学式(52)のポリマー(l=100、m=20、n=1)を用いて、同様に発光素子を作製した。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで、9Vの電圧を印加すると赤色発光を呈した。
<実施例17>EL素子の作製例
実施例12のポリマーに代えて、化学式(53)のポリマー(k=5、 l=1、m=3、 n=100、o=70 )を用いて、同様に発光素子を作製した。
この素子は、陽極と陰極を直流電源につないで、9Vの電圧を印加すると白色発光を呈した。
本発明の発光素子は、高輝度な有機EL素子を得ることができ、ディスプレイ、照明、アクセサリー、インテリア、光通信用発光素子などに応用できる。
また、本発明の有機金属錯体化合物は、レーザー色素、液晶ディスプレイまたはELディスプレイ用の色変換フィルター、発光を利用した診断薬などの医療分野等にも適用可能である。
本発明の発光素子構造の一例を示す説明図である。 本発明の発光素子構造他の例を示す説明図である。 実施例1の有機金属錯体の1H−nmrスペクトルチャートを示す図である。 実施例1の有機金属錯体のトルエン溶液(7.6E-5M)の吸収スペクトル(左)と発光スペクトル(右)を示す図である。 実施例2の有機金属錯体の1H−nmrスペクトルチャート図である。 実施例1の有機金属錯体膜の発光スペクトル(破線)および実施例2の有機金属錯体の発光スペクトル(実線)を示す図である。 実施例5の共重合体フィルムを300nmで励起した発光スペクトルを示す図である。 実施例9のEL素子のELスペクトルを示す図である。
符号の説明
1…基板
2…陽極
3…正孔注入輸送層
4…有機発光層
5…陰極
6…封止層
7…正孔ブロック電子輸送層
8…リード線
9…電源

Claims (5)

  1. 下の一般式(2)で表されることを特徴とする有機金属錯体。
    Figure 0004687059
    〔一般式(2)において、Mはイリジウムを示し、R1は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリル基、べンゾチアゾール基、6−ジメチルアミノベンゾチアゾール基、フェノキシ基から選ばれる基、またはビニル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシプロピル基から選ばれる重合基、またはSH基を有するベンゼンエタンチオール基、であり、R2からR7は水素、フッ素、フェニル基、メチル基、エチル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、カルバゾール基からそれぞれ独立に選ばれる基である。また、一般式(2)中の水素は、任意に重水素に置換されていても良い。kは2である。〕
  2. 以下の一般式(3)で表されることを特徴とする有機金属錯体。
    Figure 0004687059
    〔一般式(3)において、Rは、フェニル基、スチリル基から選ばれる基である。〕
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の有機金属錯体を含むことを特徴とする発光材料。
  4. 請求項記載の有機金属錯体をコモノマーとして共重合して得られたポリマーを成分とする特徴とするポリマー発光材料。
  5. 前記請求項またはのいずれか1項に記載の発光材料からなる発光層を、少なくと一対の電極間に配置したことを特徴とする発光素子。
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