JP4685702B2 - アルミニウム切粉等の処理装置の運転方法 - Google Patents

アルミニウム切粉等の処理装置の運転方法 Download PDF

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Description

この発明は、アルミニウム切粉等の処理装置の運転方法、特にアルミニウム切粉等の原料を連続的に熱処理して不純物を除去しアルミニウムを再利用可能に回収する処理装置の運転方法に関する。この発明において、アルミニウム切粉等とは、アルミニウム製品の製造時に発生するアルミニウム屑、切削屑、シュレッダー屑のほか、使用済のアルミ缶等アルミ製品の使用済屑等のアルミニウム含有物を含む。なお、この発明の運転方法は、この発明の技術思想の範囲内において、アルミニウム以外の金属切粉等にも適用できる。
上記アルミニウム切粉等は、溶解炉で溶融再生されアルミニウム資源として回収され、再利用される。しかしながら、アルミニウム切粉等の熱処理前のアルミニウム原料には、一般に、水分と油分とを含むので、これらの不純物を除去するために、溶解炉で溶融処理に先立って加熱処理する方法が行われている。
従来、アルミニウム切粉等のリサイクルを目的とした処理装置や処理方法としては、種々の特許出願がなされているが、大別して、処理対象がアルミニウム切粉等に限定されたもの(例えば、特許文献1および2参照。)と、アルミニウム切粉等がその他の廃棄物と混在したもの(例えば、特許文献3および4参照。)とに分類される。さらに、関連する処理技術として、処理対象がアルミニウム切粉等を含まない(もしくは少量含む)一般廃棄物を処理する廃棄物処理装置(例えば、特許文献5参照。)もある。
ここでは、本願発明の背景技術として、本願発明の一部の構成に比較的近い技術を開示する特許文献1および特許文献5について、その概要を以下に述べる。
まず、特許文献1について述べる。図4は、特許文献1に開示されたアルミニウム切削屑等の処理方法に係る装置の概略システム系統図を示す。特許文献1は、その請求項の記載を引用すると、「炉枠は固定式とし、炉両端に軸受けを持った回転軸に設けた撹拌部材からなる内部撹拌装置を備え、密閉した乾留炉内に、可燃物の付着したアルミニウムの切削屑等を供給し、撹拌しながら、付着した可燃物を酸素濃度を制御し温度を300〜500℃に維持して部分燃焼させ、且つ低酸素条件下で加熱乾留処理することを特徴とする可燃物の付着したアルミニウム切削屑等を密閉した乾留炉を用いて連続処理する方法。」を開示する。
図4において、1は原料ホッパ、3は乾留炉、5は乾留炉内に設けた攪拌羽根、12は熱分解ガスを燃焼させる再燃炉、25は溶解炉、26はアルミニウムを回収し再利用に資する製品を示す。図4のシステムの場合、乾留炉3において発生したガスの大部分は、ガス排出口10から再燃炉12に導入され、一方、供給口14から燃料及び空気が供給され、800〜1000℃程度の温度で発生ガスを完全燃焼させて油分をCO2とH2O等に酸化させ、併せて脱臭も行うように構成されている(詳細は、特許文献1参照)。
次に、特許文献5について述べる。特許文献5の発明は、塩化ビニール、ポリエチレン等の塩素化合物を含む廃棄物をダイオキシンが発生しないようにして処理する廃棄物処理装置に関するもので、その請求項の記載を引用すると、「長手方向の両端部に配備した円筒形のタイヤの下部を駆動装置のローラで回転可能に支持し、前後段に配備する機器により内部を密閉するようにした中空の円筒体から構成し、前段から搬入された塩素化合物を含む廃棄物原料を内部で所定の温度に加熱保持しながら搬送して熱分解ガスおよび不揮発性残渣を生成するキルン本体と、該キルン本体の前段に配備して、前記廃棄物を前記キルン本体に搬送するスクリューフィーダーを有する廃棄物原料投入装置と、該キルン本体を外周側から誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記キルン本体の後段に配備して不揮発性残渣を回収するとともに、熱分解ガスを収集して後段のガス処理装置へ排出する残渣回収室とを備えたことを特徴とする廃棄物処理装置。」を開示する。
また、特許文献5は、廃棄物が加熱、保温されているゾーンでは酸素濃度を減少させ、熱分解ガスに含まれる塩素ガスなどから有害ガスが生成するのを未然に防止することを目的として、「キルン本体に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段を設けた構成」も開示する。
ところで、本願発明者等は、従来装置に比べて装置の簡素化を図り、火災の危険性をできる限り低減する観点から、油分を出来る限り燃焼性のガスに分解せずに液状で回収し、さらに熱分解炉に不活性ガスを導入して熱処理を行う方式のアルミニウム切粉等の処理装置を開発した。その第一次開発装置の概略システム系統図を図3に示す。以下にこの装置について述べる。
図3に示す装置は、中空円筒体の内部に、水分と油分とを含むアルミニウム切粉等の原料を投入して所定の温度に加熱しながら搬送し、熱分解により生成した水蒸気と油蒸気と炭化水素系ガスとを含む熱分解気体および熱処理されたアルミニウム切粉を排出する熱分解炉と、この熱分解炉の前段に配設され前記アルミニウム切粉等を搬送して投入する原料搬送投入手段と、前記熱分解炉の後段に配設され前記熱分解気体および熱処理されたアルミニウム切粉を排出する処理物排出手段と、前記熱分解炉に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段とを備える。
前記熱分解炉は、キルン33、IH電源を有する誘導加熱コイル34、冷却ブロア35、キルン駆動手段36、冷却ケーシング38、マンホール39を備える。また、前記原料搬送投入手段は、投入スクリュウ(1)31および投入スクリュウ(2)32を備え、30で示す投入口には、前処理工程としての遠心分離工程により、アルミニウム切粉等に含まれる油分および水分を減少させた遠心分離後の切粉が投入される。なお、キルン33の円筒内部には、例えば、複数個の掻き揚げ板が設けられ、アルミニウム切粉を掻き揚げて均等に加熱すると共に、切粉がキルンの排出口方向へ移動できるように構成されている。
また、前記処理物排出手段は、キルン33の出口部に設けた排出スクリュウ37および冷却ケーシング38における凝縮部の後段の全ての機器からなり、詳細は熱分解動作等の説明と共に後述する。さらに、前記不活性ガス導入手段は、例えば、高圧の工場エヤー61を高分子分離膜により酸素と窒素とに分離して窒素ガスを得る窒素ガス発生器62から、N2ガスをキルン33に供給する構成を備える。
次に、熱分解動作等について述べる。水分と油分とを含むアルミニウム切粉等の原料とN2ガスをキルン33に供給して、300〜500℃の範囲の所定の温度(例えば、400℃弱)に加熱しながら搬送する。キルン33の出口部における符号Aは処理された乾燥切粉を示し、符号Bは熱分解により生成した水蒸気と油蒸気と炭化水素系ガスを含む熱分解気体ならびにN2ガスを示し、それぞれ、キルン33の下方から分離して排出される。前記炭化水素系ガスとしては、処理温度によっても異なるが、ヘキサン、ブタン、トルエン、キシレン、ベンゼン、プロピレン、プロパン、アセチレン等のガスを含む。さらに、炭化水素系ガス以外に、COガスも含まれる。
乾燥切粉Aは、切粉搬送用コンベア40により、後工程のために搬送される。一方、符号Bで示す気体は、冷却されて水蒸気と油蒸気の一部が凝縮し、符号Wで示すラインにより、後段の凝縮器51に導入される。残りの気体は符号Gで示すラインにより凝縮器51の上方に導入されるが、凝縮器に付設され、凝縮した液体を用いて冷却する冷却水シャワー53により、気体内の凝縮性成分が液化すると共に水溶性の気体が溶解する。さらに残った気体は、ポンプ57を有する冷却水シャワー58により再度冷却され一部が液化または溶解する。この冷却水シャワー58には、さらに、符号Cで示す気体(イ)(ロ)が合流して導入される。符号Cの気体は主に、切粉搬送用コンベア40において、乾燥切粉Aから発生する水蒸気、油蒸気、残留する炭化水素系ガス等を含む気体(ロ)である。なお、キルン33の出口部に示す符号Cの(イ)のラインは、キルンに万一漏れが発生した場合に、漏れ気体を誘導するラインを示す。
凝縮器51の他に示された2つのタンク55a,55bは、バブリングタンクであり、ブロア56により、バブリングタンク55a上部の気体を吸引してバブリングを行い気体中の凝縮成分を出来る限り液化すると共に水溶解成分を溶解し、凝縮液はポンプ52を介して、部番59の部分から図示しない廃液槽へ排出される。一方、残りの無害化されたクリーンな気体は屋外へ排気される。なお、凝縮器51と2つのバブリングタンク55a,55bおよび冷却ケーシング38における凝縮液の液面は、全て、実質的に同一レベルである。
特公平6−17520号公報 特開平10−176227号公報 特開平10−226830号公報 特開平11−100621号公報 特開平11−226542号公報
ところで、上記図3に示すアルミニウム切粉等の処理装置によれば、油分を出来る限り燃焼性のガスに分解せずに液状で回収可能であって、さらに熱分解炉に不活性ガスを導入して熱処理を行うので、装置を比較的簡素化することができ、さらに火災発生の危険性をかなり低減できるが、通常の運転方法を行った場合、即ち、キルン33内を大気圧より高くした状態で運転した場合には、下記のような問題があることが判明した。
図3において、冷却ケーシング38内を含むキルン内部および排出スクリュウ37内部の圧力が大気圧より高い場合には、前述のような水蒸気、油蒸気、炭化水素系ガスおよびCOガスを含む白煙が、排出スクリュウ37の出口部で発生し、かつ切粉搬送用コンベア40により搬送される乾燥切粉Aからも白煙が発生し易い状態となる。また、装置に漏れが生じた場合には、前述のように、図3のCで示す部分に白煙が発生する。
この白煙は前述のように、水蒸気、油蒸気、炭化水素系ガスおよびCOガスを含むので、条件次第では、発火の危険性がある。前記炭化水素系ガスの内、発火点が最も低いガスはヘキサンの260℃であるが、油蒸気の発火点は約162℃であり、排出される切粉の温度が約200℃程度であるので、発火のトラブルが発生し易い。さらに、この白煙は、人体に有害である。
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、この発明の課題は、油分を出来る限り燃焼性のガスに分解せずに液状で回収を行うアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法において、装置外部に対する白煙の発生を、乾燥切粉からの微量発生を除いて抑止し、人体に有害かつ発火の危険性を有する熱分解気体の発散を防止することにある。
前述の課題を解決するため、この発明は、水分と油分とを含むアルミニウム切粉等の原料を投入して所定の温度に加熱しながら搬送し、熱分解により生成した水蒸気と油蒸気と炭化水素系ガスとを含む熱分解気体および熱処理されたアルミニウム切粉を排出する熱分解炉と、この熱分解炉の前段に配設され前記アルミニウム切粉等を搬送して投入する原料搬送投入手段と、前記熱分解炉の後段に配設され熱処理されたアルミニウム切粉を排出しかつ前記熱分解気体をブロアにより吸引しその一部を液化および水溶解処理して排出する処理物排出手段とを備え、前記処理物排出手段は、前記熱分解気体中の水蒸気と油蒸気とを冷却して凝縮させ、この凝縮液を廃液槽へ排出する手段を有する凝縮器と、前記熱分解気体中の未凝縮気体または水溶性気体を、凝縮した液体を用いた冷却用シャワーおよび/または液中へのバブリングにより再凝縮または水溶解させ、残りの無害化された気体を外部へ排出する手段とを備えたアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法であって、前記熱分解処理の際、熱分解炉に不活性ガスを導入し、かつ前記ブロアの気体吸引力により、前記熱分解炉内のゲージ圧力を略大気圧もしくは大気圧より小とすることを特徴とする(請求項1)。
この発明によれば、装置外部に対する白煙の発生を、乾燥切粉からの発生を除いて抑止し、人体に有害かつ発火の危険性を有する熱分解気体の発散を防止することができる。基本的には、熱分解炉内のゲージ圧力は大気圧より小とすることが好ましいが、気体が発散する抵抗を考慮すると、実際上は、略大気圧でも問題はなく、熱分解炉内のゲージ圧力は、+5〜−20Paの範囲とする(請求項2)。
また、上記発明の実施態様としては、下記請求項3ないしの発明が好ましい。即ち、前記請求項1または2に記載のアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法において、前記圧力は、前記熱分解炉に設けた圧力センサの測定値に基づき、前記ブロアの回転数を制御して調節する(請求項3)
また、前記請求項1に記載のアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法において、前記不活性ガスは、空気から分離した窒素とする(請求項4)。
さらに、前記請求項1に記載のアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法において、アルミニウム切粉等の原料投入前の熱分解炉起動時には、熱処理されたアルミニウム切粉の排出口を閉鎖した状態で前記ブロアを起動して、前記熱分解炉内および熱分解炉後段の熱分解気体流路内の空気を排出し、空気排出後もしくは空気排出と並行して熱分解炉に不活性ガスを供給し、その後アルミニウム切粉等を投入して熱分解処理運転に移行することを特徴とする(請求項)。
この発明によれば、油分を出来る限り燃焼性のガスに分解せずに液状で回収を行うアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法において、装置外部に対する白煙の発生を、乾燥切粉からの微量発生を除いて抑止し、人体に有害かつ発火の危険性を有する熱分解気体の発散を防止することができる。
本発明の実施例について、まず図3に基づいて述べ、さらに図3を改良した装置の実施例について、図1および図2に基づき以下に述べる。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
図3の装置のシステム構成の詳細は前述のとおりであるので重複説明は省略するが、図3の場合、熱分解処理の際、キルン33にN2ガスを導入し、かつブロア56の気体吸引力により、キルン33内のゲージ圧力を略大気圧もしくは大気圧より小となる+5〜−20Pa、より好ましくは、0〜−20Paとする。
また、図3において、アルミニウム切粉等の原料投入前のキルン起動時には、以下のようにする。即ち、排出スクリュウ37におけるアルミニウム切粉の排出口を閉鎖した状態で、ブロア56を起動して、キルン33内およびキルン後段の冷却ケーシング38内、経路G、凝縮器51上部、バブリングタンク55aおよび55b上部等の熱分解気体流路内の空気を排出し、空気排出後もしくは空気排出と並行してキルン33内にN2ガスを導入し、その後アルミニウム切粉等を部番30の位置から投入して熱分解処理運転に移行する。
次に、図1および図2の実施例について述べる。図1は、図3の装置を、主に乾燥切粉から発生する白煙による火災発生の危険性を抑止するために改良した実施例に係る概略システム系統図であり、乾燥切粉の排出経路に、強制冷却手段と不活性ガス導入手段とを備えることを特徴とする。
図1において、図3に示した部材と同一もしくは機能が同一の部材には同一符号を付し、それらの詳細説明は省略する。図1と図3との実質的な相違点は、主として処理物排出手段、特に図3における排出スクリュウ37の後段の装置構成にある。また、図3におけるバブリングタンク周りの装置構成も一部相違するが、基本的機能は実質的に同一である。詳細は後述する。
図1において、図3と異なる部材番号について示すと以下のとおりである。41はパドルスクリュウ、41a,42aは冷却ジャケット、42は貯留ホッパー、43,44はスクリュウ、46は装置の起動時の用いるシール蓋、48は捕集器、55はバブリングタンクに代わるスクラバー、56a,56bはブロア、63,64,65,66,67,68は窒素ガス供給ライン、69は大気導入弁、71,72は酸素センサ、74は切粉レベルセンサである。なお、T1〜T5は温度センサ(例えば、熱電対)、Pは圧力センサ、M1〜M7は駆動モータ、FMは流量計、LSはレベルセンサを示す。
図1の装置の処理物排出手段においては、キルン33のアルミニウム切粉排出部に接続して順に、切粉排出用の排出スクリュウ37と、パドルスクリュウ41と、切粉を一旦貯留する貯留ホッパー42と、この貯留ホッパー42から切粉を後工程に搬送する搬送用スクリュウ43および44とが設けられ、乾燥切粉Aは、キルン33から前記各スクリュウを経由して、部番45で示す位置に到達し、ここから、バケットコンベアにより次工程に搬送される。なお、パドルスクリュウ41と排出スクリュウ37との間の、部番を付さない板状部材は、スクリュウ駆動用回転シャフトの軸受部を示す。
上記パドルスクリュウ41は、断面U字状の中空チャンバを有し、その軸方向内部に設けたスクリュウの各先端部には切粉の掻き揚げ板が設けられた公知の構成を有するもので、U字状チャンバー下方の半円筒部の外周部には、チャンバ軸方向に沿って水冷ジャケット41aが設けられ、チャンバ内の切粉が強制水冷されるように構成されている。なお、水冷ジャケットは、42aで示すように、貯留ホッパー42の外周部にも設けることが好ましい。上記により、貯留ホッパー42内のアルミニウム切粉の温度は100℃以下とする。
また、パドルスクリュウ41には、窒素ガス供給ライン65および67が接続され、窒素ガス供給ライン64を介して、窒素ガス発生器62から、窒素ガスが導入される。さらに、部番66や68で示すように、貯留ホッパー42の内部や切粉レベルセンサ74の貫通部にも、窒素ガスを導入することが好ましい。なお、窒素ガスの代わりにアルゴン等の他の不活性ガスを用いることもできる。また、強制冷却は、水冷に代えて空冷や他の冷却媒体を用いることもできる。
上記処理物排出手段の構成によれば、アルミニウム切粉が強制冷却されて温度が低下し、かつ、切粉の周りには窒素ガスが導入されて酸素濃度が低減するので、発火の危険性が抑止される。また、前述のように、排出スクリュウ37の前段部と貯留ホッパー42内に溜まったアルミニウム切粉は、パドルスクリュウ41および排出スクリュウ後段部を塞いでガスの流通を妨げるので、パドルスクリュウ部に供給された窒素ガスが流出し難くなり、火災抑止効果がより向上する。
上記構成において、乾燥切粉Aから発生する水蒸気、油蒸気、残留する炭化水素系ガス等を含む気体Cは、スクリュウ44の終端部上方から、捕集器48を介して、冷却水シャワー58へと運ばれる。前記捕集器48は、固形状粉塵を重力沈降させて捕集するもので、必要に応じて設ける。
次に、符号Bで示す気体は、図3の場合と同様に、冷却されて水蒸気と油蒸気の一部が凝縮し、符号Wで示すラインにより、後段の凝縮器51に導入される。残りの気体は符号Gで示すラインにより凝縮器51の上方に導入され、冷却水シャワー53により、気体内の凝縮性成分が液化すると共に水溶性の気体が溶解する。図1の場合、図3で示した2つのバブリングタンクに代えて、1つのスクラバー55を設け、気体による攪拌やバブリングにより、気体の溶解や清浄化を行うようにしており、その基本的な機能は図3の場合と同様である。
次に、図1の装置の運転方法や異常監視等について以下に述べる。アルミニウム切粉等の熱分解処理運転において、キルン33内のゲージ圧は0〜−20Pa程度の圧力で運転することが好ましい。装置運転中は、キルン33の前後がアルミニウム切粉等により塞がれた状態となるので、スクラバー55の上方に設けたブロア56aの回転数制御により吸引量を調節して、前記0〜−20Paの圧力とすることができる。アルミニウム切粉投入前の装置の起動時には、大気導入弁69およびシール蓋46を閉じて、スクラバー55の上方に設けたブロア56aを起動する。これにより、装置内部の空気が排出される。その後、窒素ガスの導入とアルミニウム切粉等の投入により、キルン内の圧力センサーの測定値に基づき、ブロア56aの回転数制御を行って、運転モードに移行する。
次に、異常監視について述べる。装置に漏れが生じた場合や、何らかの原因で装置内の酸素濃度が異常となった場合には、装置を緊急停止する。そのために酸素センサ71および72を設けて監視を行う。また、切粉レベルセンサ74を設け、レベルが上限に到達した際にはキルンの駆動を停止する。この場合、誘導加熱コイルは停止せずに加熱状態を維持することが好ましい。さらに、凝縮器51へ向う気体の流路G内がタール分等で詰また場合にも装置を緊急停止する。そのために温度センサT2を設け、この測定値が、所定温度(例えば、70℃)以下となった場合に、加熱気体が正常に流れていないと判断して装置を緊急停止する。
次に、本発明の運転結果の一例を図2に基づいて述べる。図2は、図1における各部温度(T1,T3,T4,T5)の時間推移を示す。図2の運転条件としては、キルン内温度を設定値385±5℃とし、アルミニウム切粉等の処理量は500kg/Hとした。なお、この切粉等は、前工程としての遠心分離工程により、水分15kg,油分1kgを含むものとした。また、投入スクリュウ(1)31および投入スクリュウ(2)32のモータ周波数は7.4Hzとした。
図2において、T1はキルン温度であり、定常運転状態において、設定値385±5℃に近い値を示している。T3はシュート温度(図1の排出スクリュウ37の切粉入口上部温度)であり、300℃前後の値を示している。T4はスクリュウ排ガス温度(図1のスクリュウ44の終端上部の排ガスCの温度)であり、70℃前後の値を示している。T5は貯留ホッパー42内の切粉温度であり、70℃弱の値を示しており、目標とする切粉温度より低いことが確認された。さらに、運転中、装置外部に対する白煙の発生がなく、人体に有害かつ発火の危険性を有する熱分解気体の発散を防止して、安全に運転できることが確認された。なお、この改良された図1の実施例によれば、乾燥切粉からの白煙の微量発生をも抑制することができる。
本発明のアルミニウム切粉等の処理装置の改良された実施例に係る概略システム系統図。 図1の装置の運転結果の一例として各部温度の時間推移を示す図。 本発明に係るアルミニウム切粉等の処理装置の第一次開発装置の概略システム系統図。 特許文献1に開示されたアルミニウム切削屑等の処理方法に係る装置の概略システム系統図。
符号の説明
31:投入スクリュウ(1)、32:投入スクリュウ(2)、33:キルン、34:誘導加熱コイル、35:冷却ブロア、36:キルン駆動手段、37:排出スクリュウ、38:冷却ケーシング、39:マンホール、40:切粉搬送用コンベア、41:パドルスクリュウ、41a,42a:水冷ジャケット、42:貯留ホッパー、43,44:スクリュウ、46:シール蓋、48:捕集器、51:凝縮器、52:ポンプ、53,58:冷却水シャワー、55:スクラバー、55a,55b:バブリングタンク、56,56a,56b:ブロア、57:シャワリングポンプ、61:工場エヤー、62:窒素ガス発生器、63,64,65,66,67,68:窒素ガス供給ライン、69:大気導入弁、71,72:酸素センサ、74:切粉レベルセンサ。

Claims (5)

  1. 水分と油分とを含むアルミニウム切粉等の原料を投入して所定の温度に加熱しながら搬送し、熱分解により生成した水蒸気と油蒸気と炭化水素系ガスとを含む熱分解気体および熱処理されたアルミニウム切粉を排出する熱分解炉と、この熱分解炉の前段に配設され前記アルミニウム切粉等を搬送して投入する原料搬送投入手段と、前記熱分解炉の後段に配設され熱処理されたアルミニウム切粉を排出しかつ前記熱分解気体をブロアにより吸引しその一部を液化および水溶解処理して排出する処理物排出手段とを備え、前記処理物排出手段は、前記熱分解気体中の水蒸気と油蒸気とを冷却して凝縮させ、この凝縮液を廃液槽へ排出する手段を有する凝縮器と、前記熱分解気体中の未凝縮気体または水溶性気体を、凝縮した液体を用いた冷却用シャワーおよび/または液中へのバブリングにより再凝縮または水溶解させ、残りの無害化された気体を外部へ排出する手段とを備えたアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法であって、
    前記熱分解処理の際、熱分解炉に不活性ガスを導入し、かつ前記ブロアの気体吸引力により、前記熱分解炉内のゲージ圧力を略大気圧もしくは大気圧より小とすることを特徴とするアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法。
  2. 請求項1に記載の運転方法において、前記熱分解炉内のゲージ圧力は、+5〜−20Paとすることを特徴とするアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法。
  3. 請求項1または2に記載の運転方法において、前記圧力は、前記熱分解炉に設けた圧力センサの測定値に基づき、前記ブロアの回転数を制御して調節することを特徴とするアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法。
  4. 請求項1に記載の運転方法において、前記不活性ガスは、空気から分離した窒素とすることを特徴とするアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法。
  5. 請求項1に記載の運転方法において、アルミニウム切粉等の原料投入前の熱分解炉起動時には、熱処理されたアルミニウム切粉の排出口を閉鎖した状態で前記ブロアを起動して、前記熱分解炉内および熱分解炉後段の熱分解気体流路内の空気を排出し、空気排出後もしくは空気排出と並行して熱分解炉に不活性ガスを供給し、その後アルミニウム切粉等を投入して熱分解処理運転に移行することを特徴とするアルミニウム切粉等の処理装置の運転方法。
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