JP4683299B2 - 2色感熱記録体 - Google Patents
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Description
複合粒子を構成する有機高分子の中では特に耐熱性が良好なため、ポリウレアおよびポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種が用いられる。
上記複合粒子は、染料前駆体、並びに、重合によりポリウレアおよびポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種を形成しうる高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコールなどの親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、高分子形成性原料を高分子化することにより調製する方法や、染料前駆体を高分子形成性原料に加熱溶解し、この溶解液を前述の方法で乳化分散後、高分子形成性原料を高分子化することにより調製する方法で製造される。
これらの黒発色する染料前駆体のうちでも、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオランは、高温発色色調である黒発色を、より黒味の強い色調にすることができる。
また、かかる黒発色層に使用する顕色剤は、前記の顕色剤から適宜選択して使用することができる。
また、黒発色層における顕色剤の使用量は、染料前駆体100質量部に対して100〜1000質量部程度が好ましく、150〜500質量部程度がより好ましい。
2色発色層および黒発色層用塗料は、それぞれ支持体の一表面に乾燥後の重量が1〜10g/m2となるように塗布される。
2色発色層上に形成する保護層の塗布量は、乾燥後の重量が0.5〜8.0g/m2となるように塗布され、2色発色層と支持体の間または黒発色層と支持体の間に形成される下塗層は、乾燥後の重量が3〜15g/m2となるように塗布される。
また、各層を形成しおえた後、スーパーカレンダーやソフトカレンダー等の既知の平滑化方法を用いて平滑化処理することは、感熱記録体の発色感度を高めることに効果がある。その場合、2色発色層側を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールのいずれに当てて処理してもよい。勿論、例えば下塗層形成後などの任意の過程で、付加的に平滑化処理を施すこともできる。
・下塗層用塗料の調製
吸油量110ml/100gの焼成カオリン88部、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス(固形分濃度:50%)20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、ポリアクリル酸ナトリウムの20%水溶液5部および水190部を均一に混合して下塗層用塗液を得た。
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン7.5部、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド7.5部、および紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン5部を100℃に加熱したジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート12部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液100部に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数8000rpm で60分間の攪拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水60部を加えて均一化した。この乳化分散液を90℃に昇温し、10時間の硬化反応を行わせた後、固形分濃度が20%となるように水を添加し、平均粒子径0.8μmの複合粒子分散液を得た。
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、水20部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製)を用いて、平均粒子径が0.7μmとなるように粉砕、分散した。
N−p−トルエンスルホニル−N′−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、水30部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製)を用いて、平均粒子径が1.2μmとなるように粉砕、分散した。
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルとシュウ酸ジ−p−クロルベンジルの1:1の混合物20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業社製)の20%水溶液10部、水30部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製)を用いて、平均粒子径が1.0μmとなるように粉砕、分散した。
A液265部、B液30部、C液60部、D液30部、水酸化アルミニウム10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、クラレ社製)の10%水溶液100部、および水70部を均一に混合攪拌して2色発色層用塗液を得た。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−200、日本合成化学工業社製)の10%水溶液100部、カオリン200部、ステリン酸亜鉛36%分散体(商品名:ハイドリンZ−8、中京油脂社製)10部、および水100部を均一に混合して保護層用塗液を得た。
坪量81.4g/m2の上質紙(紙面pH5.9)の片面に、下塗層用塗液、2色発色層用塗液、および保護層用塗液をそれぞれ乾燥後の塗布量が8g/m2、7g/m2、および2g/m2となるように塗布乾燥して下塗層、2色発色層、および保護層を順次有する2色感熱記録体を得た後、スーパーカレンダーにて、感熱記録面のベック平滑度(JIS−P8119)が4000秒となるように平滑化処理し、2色感熱記録体を作製した。
・染料前駆体分散液(E液)の調製
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液10部、水20部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製)を用いて、平均粒子径が0.8μmとなるように粉砕、分散した。
E液65部、C液170部、D液10部、水酸化アルミニウム10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、クラレ社製)の10%水溶液100部、および水190部を均一に混合攪拌して黒発色層用塗液を得た。
A液50部、B液75部、C液180部、D液30部、水酸化アルミニウム10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA110、クラレ社製)の10%水溶液100部、および水220部を均一に混合攪拌して2色発色層用塗液を得た。
坪量81.4g/m2の上質紙(紙面pH5.9)の片面に、下塗層用塗液、黒発色層用塗液、2色発色層用塗液、および保護層用塗液をそれぞれ乾燥後の塗布量が8g/m2、4g/m2、3g/m2、および2g/m2となるように塗布乾燥して下塗層、黒発色層、2色発色層、および保護層を順次有する2色感熱記録体を得た後、スーパーカレンダーにて、感熱記録面のベック平滑度(JIS−P8119)が4000秒となるように平滑化処理し、2色感熱記録体を作製した。
実施例2の2色発色層用塗液の調製において、A液50部の代わりに、下記のF液50部を使用した以外は、実施例2と同様にして本発明の2色感熱記録体を作製した。なお、これに用いた染料前駆体含有複合粒子分散液(F液)は、乳化に要する撹拌時間が半減し、分散し易いものであった。
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)−フルオラン10部、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド3部、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド2部、および紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン5部を100℃に加熱したジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート12部に溶解し、この溶液を35℃に冷却後、同温度の8%ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、商標:ゴーセノールGM−14L)水溶液100部に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数8000rpm で30分間の攪拌によって乳化分散した後、この乳化分散液に水60部を加えて均一化した。この乳化分散液を90℃に昇温し、10時間の硬化反応を行わせた後、固形分濃度が20%となるように水を添加し、平均粒子径0.8μmの染料前駆体含有複合粒子分散液を得た。
実施例3の染料前駆体含有複合粒子分散液(F液)の調製において、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)−フルオラン2部、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド10部、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド3部とした以外は、実施例3と同様にして本発明の2色感熱記録体を作製した。なお、これに用いたF液も実施例3と同様に、乳化に要する撹拌時間が半減し、分散し易いものであった。
実施例3の染料前駆体含有複合粒子分散液(F液)の調製において、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)−フルオラン5部、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド5部、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド5部とした以外は、実施例3と同様にして本発明の2色感熱記録体を作製した。なお、これに用いたF液も実施例3と同様に、乳化に要する撹拌時間が半減し、分散し易いものであった。
実施例1で得られた2色感熱記録体の裏面に、合成非晶質シリカ100部、ポリビニルアルコール50部、カチオン性定着剤(アキュラック41:三井サイアナミッド社製)10部を用いたインク受理層用塗液を、エアナイフコーターにより乾燥後の塗布量が7.0g/m2となるように塗布、乾燥した以外は、実施例1と同様にして2色感熱記録体を得た。この2色感熱記録体は、感熱記録層を設けていない面にインクジェットプリンタ(BJC−420J:キャノン株式会社製)を用いて評価した結果、鮮明な印刷が得られ、インクジェット記録適性に優れているものであった。
実施例1のA液調製において、染料前駆体として3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリドを使用せず、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオランの使用量を15部とした以外は、実施例1と同様にして2色感熱記録体を作製した。
実施例1のA液調製において、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリドの代わりに、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリドを使用した以外は、実施例1と同様にして2色感熱記録体を作製した。
実施例1の2色発色層用塗液の調製において、A液265部の代わりに、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン20部、3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド20部、スルホン変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセランL−3266、日本合成化学工業製)の20%水溶液20部、および水40部を縦型サンドミル(アイメックス(株)製)を用いて、平均粒子径が0.7μmとなるように粉砕、分散して得た固体分散液を30部使用した以外は、実施例1と同様にして2色感熱記録体を作製した。
・印字試験
プリンター(機種名:バーラベ300、(株)サトー社製)を用いて、印加エネルギー:0.15mJ/dotで低温発色、更に0.27mJ/dotで高温発色を行った。なお、印字パターンはバーコードで行った。
各評価結果は表1に示したが、これらの項目に関する評価基準および好ましい範囲は、以下の通りである。
◎ :高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りがほとんどなく、より黒味の強い黒発色である。
○ :高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りが若干あるが、黒味の強い黒発色である。
○′:高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りがあるが、実用上問題ないレベルである。
× :高温発色色調である黒の色調に他の色相による濁りが顕著で、実用上問題がある。
◎ :黒発色部の濃度が極めて高い。
○ :黒発色部の濃度が高い。
○′:黒発色部の濃度がやや低いが、実用上は問題ないレベルである。
× :黒発色部の濃度が低く、実用上問題がある。
◎ :低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りが全く無く、鮮明な赤発色であり、2色分離性に特に優れている。
○ :低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りが若干あるが、赤発色の鮮明さは維持されており、2色分離性に優れている。
○′:低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りがあるが、2色分離性は実用上問題ないレベルである。
× :低温発色部である赤発色には、高温発色色調による濁りが顕著で、2色分離ができていない。
地肌濃度が0.18以下の値を示すものが好ましい。
Claims (3)
- 支持体上に、有機高分子と黒発色する染料前駆体を含有する複合粒子、赤発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子、および顕色剤を含有する2色発色層を設けた2色感熱記録体において、前記有機高分子が、ポリウレアおよびポリウレア−ポリウレタンより選ばれる少なくとも1種であり、前記黒発色する染料前駆体が3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオランであり、前記赤発色する染料前駆体が3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリドであり、該複合粒子中に、更に染料前駆体として3−〔2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリドを含有することを特徴とする2色感熱記録体。
- 前記複合粒子中に、更に染料前駆体として3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリドを含有する請求項1に記載の2色感熱記録体。
- 前記支持体と2色発色層との間に、更に黒発色する染料前駆体からなる固体分散微粒子と顕色剤を含有する黒発色層を有する請求項1または2に記載の2色感熱記録体。
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