JP4683207B2 - 伝動ベルト - Google Patents
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Description
(クロロプレンゴムベルトの場合)
このベルトでは、老化防止剤及び可塑剤を使用しているため時間の経過に伴いアウトガスが発生し、真空室の真空度が所定に到達しないと共に、半導体ウエハの汚染を引き起こすという問題が生じる。
(熱可塑性ウレタンベルトの場合)
このベルトは耐熱性を有していないので、温度が80℃以上に達する(真空室内の温度は100℃以上に達する)ようなところではベルト自体が軟化して使用できないという問題が生じる。
この発明の伝動ベルトは、真空高温下で使用される搬送ロボット用の伝動ベルトであって、フッ素ゴムであるゴム組成物100重量部に対して、FT法により製造された平均粒子径90〜210nmの分散性のカーボン20〜80重量部を配合させることでアウトガスの発生が抑制されたゴム加硫物により成型されることを特徴とする。
(請求項2記載の発明)
この発明の伝動ベルトは、請求項1に記載の発明に関し、板状のベルト本体の片面長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に一体成形され、前記歯部及び歯底部の形成面が帆布で被覆されていると共に、ベルト本体内にベルト長手方向に延びる複数の心線が埋設されるようにして構成された伝動ベルトであって、
前記ベルト本体、歯部、及び歯底部は、フッ素ゴムであるゴム組成物に、少なくとも前記カーボンと液体加硫助剤としてのトリアリルイソシアヌレートを配合してなると共にシロキサン、ヘキサン、シリカのアウトガスとなる成分を含まないゴム加硫物であり、
前記心線は、撚りをかける前にRFL処理して成るフィラメント弾性係数が80〜110GPaの高強度ガラス心線であり、その後のオーバーコート処理はエポキシ系処理剤(金属酸化物含有)とフェノール樹脂系処理剤を混合したもので行っており、
前記心線及び帆布はシロキサン、ヘキサン、シリカのアウトガスが発生しない構成からなる。
(この伝動ベルトBの基本的構成と、成型方法の概略説明について)
この伝動ベルトBは、図1に示すように、板状のベルト本体1の片面長手方向に沿って歯部2と歯底部3が交互に一体成形され、前記歯部2及び歯底部3の形成面が帆布4で被覆されていると共に、ベルト本体1内にベルト長手方向に延びる複数の心線5が埋設されるようにして構成されている。
このベルト本体1、歯部2と歯底部3は、フッ素ゴムであるゴム組成物(FKMポリマー)100重量部に対して以下のa〜eが配合されたもので構成されている。
b.酸化亜鉛 :5重量部
c.トリアリルイソシアヌレート :2重量部
d.内添型接着剤 :4重量部
e.パーオキサイド(粉末加硫剤) :3重量部
「フッ素ゴムに関する内容」
一般名称はフッ化ビニリデン−4フッ化エチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル系共重合ゴムであり、高い耐熱性及び耐油性を有するものである。例えば、DuPont株式会社の「Viton VTR8500(商品名)」等が使用できる。なお、このゴム組成物の硬さは常温でDURO85〜95Aの範囲であることが好ましい。
「FTカーボンに関する内容」
FTカーボンは補強剤として使用されるものである。
「酸化亜鉛に関する内容」
酸化亜鉛は、加硫促進助剤として使用されるが、FTカーボンと同様に補強剤としての効果も有する。
「トリアリルイソシアヌレートに関する内容」
トリアリルイソシアヌレートは加硫助剤として使用される。
「内添型接着剤に関する内容」
内添型接着剤は、ベルト本体1と心線5との接着、及び歯部2及び歯底部3の形成面と帆布4との接着を向上させるものであり、具体的にはマレイン酸変性液状ポリブタジエン(例えば、RICON RESINS株式社の「Ricobond173IHS(商品名)」)が採用できる。その他、無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン、マレイン酸変性液状ポリブタジエン、アクリル酸変性液状ポリブタジエン、ウレタン変性液状ポリブタジエン、カルボン変性液状ポリブタジエン、マレイン酸変性液状ポリイソプレン等を使用することができる。
「パーオキサイドに関する内容」
パーオキサイドは加硫剤として使用され、例えば、日本油脂株式会社の「ペロキシモンF−40(商品名)」を使用できる。
(帆布4について)
帆布4は、アラミド(ナイロン、ウレタン含有)により構成されており、RFL処理してなるものであるが、ラテックスとしてカルボキシル化変性水添NBRを採用している。したがって、この帆布4はフッ素ゴムとの接着性が良好になっている。
(心線5について)
この心線5は、撚りをかける前にRFL処理して成るフィラメント弾性係数が80〜110GPaの高強度ガラス心線であり、その後のオーバーコート処理はエポキシ系処理剤(金属酸化物含有)とフェノール樹脂系処理剤を混合したもので行っている。したがって、この心線5はフッ素ゴムとの接着性が良好になっている。その他スチール心線やアラミド心線も使用できる。さらに、高い応答性や停止精度が要求される場合は心線を構成する素材の弾性率が200〜300GPaのカーボン心線も使用できる。
(この伝動ベルトBの優れた効果について)
この伝動ベルトBは、上記のような構成であるから次の効果を奏する。
(1)この伝動ベルトBは、本体1、歯部2及び歯底部3は、ゴム組成物をフッ素ゴムとしているので、耐熱性に優れており、150℃という高温下であってもベルト自体が劣化することはなく使用可能である。
(2)この伝動ベルトBにおける本体1、歯部2及び歯底部3は、フッ素ゴムであるゴム組成物に、FTカーボン(補強剤)、酸化亜鉛(加硫促進助剤)、トリアリルイソシアヌレート(液体加硫助剤)等を配合したものであり、半導体や液晶ディスプレイの製造において、影響度が大きいアウトガス(シロキサン、ヘキサン、シリカ)が発生しない。帆布4及び心線5についても、その構成からすると、半導体や液晶ディスプレイの製造において、影響度が大きいアウトガスは発生しない。
(4) 撚りをかける前にRFL処理して成るガラス心線
この伝動ベルトBでは、心線5は高強度ガラス心線であるから、位置決め精度が優れたものとなる。
この伝動ベルトによると、従来の寿命を確保した上で、アウトガスが少なく且つ耐熱性に優れ、更に寸法安定性に優れているので、真空高温下で高い位置決め精度が要求される搬送用ロボットに適用することができることが明らかである。
1 ベルト本体
2 歯部
3 歯底部
4 帆布
5 心線
Claims (2)
- 真空高温下で使用される搬送ロボット用の伝動ベルトであって、フッ素ゴムであるゴム組成物100重量部に対して、FT法により製造された平均粒子径90〜210nmの分散性のカーボン20〜80重量部を配合させることでアウトガスの発生が抑制されたゴム加硫物により成型されることを特徴とする伝動ベルト。
- 板状のベルト本体の片面長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に一体成形され、前記歯部及び歯底部の形成面が帆布で被覆されていると共に、ベルト本体内にベルト長手方向に延びる複数の心線が埋設されるようにして構成された伝動ベルトであって、
前記ベルト本体、歯部、及び歯底部は、フッ素ゴムであるゴム組成物に、少なくとも前記カーボンと液体加硫助剤としてのトリアリルイソシアヌレートを配合してなると共にシロキサン、ヘキサン、シリカのアウトガスとなる成分を含まないゴム加硫物であり、前記心線は、撚りをかける前にRFL処理して成るフィラメント弾性係数が80〜110GPaの高強度ガラス心線であり、その後のオーバーコート処理はエポキシ系処理剤(金属酸化物含有)とフェノール樹脂系処理剤を混合したもので行っており、前記心線及び帆布はシロキサン、ヘキサン、シリカのアウトガスが発生しない構成からなる請求項1記載の伝動ベルト。
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