JP4682957B2 - 内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム - Google Patents

内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の排気通路に配置されたパティキュレートフィルタを再生する技術に関する。
内燃機関の排気通路にパティキュレートフィルタが配置されている場合は、パティキュレートフィルタに捕集されたPMを酸化除去するPM再生処理を適宜行う必要がある。
PM再生処理の実行方法としては、パティキュレートフィルタ下流の排気通路に設けられた排気絞り弁の開度を絞ることにより、パティキュレートフィルタ内の圧力(以下、「フィルタ内圧力」と称する)を高めつつ該パティキュレートフィルタに捕集されたPMを酸化除去する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−317333号公報 特開2003−120263号公報
ところで、排気絞り弁の経時変化或いは故障等により該排気絞り弁の開度が所望の開度とならず、フィルタ内圧力が目標値より高く或いは低くなる場合がある。そのような場合は、PM再生処理が適正に行われなくなる可能性がある。
本発明は、上記したような種々の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、パティキュレートフィルタのPM再生処理実行時に排気絞り弁の開度を減少させる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムにおいて、PM再生処理を適正に行うことができる技術の提供にある。
本発明は、上記した課題を解決するために、パティキュレートフィルタのPM再生処理を行う際に排気絞り弁の開度が絞られる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムにおいて、PM再生処理実行時のフィルタ内圧力が目標値と異なる場合は、PM再生処理の実行時間を延長或いは短縮することにより、パティキュレートフィルタに捕集されたPMが過不足なく酸化除去されるようにした。
詳細には、本発明にかかる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムは、内燃機関の排気通路に配置されたパティキュレートフィルタと、前記パティキュレートフィルタより下流の排気通路に配置された排気絞り弁と、前記排気絞り弁の開度をPM再生処理実行前より減少させて前記パティキュレートフィルタのPM再生処理を行う再生手段と、PM再生処理の実行時に前記パティキュレートフィルタ内の圧力を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された圧力が目標値と異なる場合に、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮する制御手段と、を備えるようにした。
ここでいうPM再生処理は、パティキュレートフィルタをPMの酸化に適した温度域(以下、「PM酸化適正温度域」と称する)まで昇温させることにより、該パティキュレートフィルタに捕集されたPMを酸化及び除去する処理である。
また、PM再生処理実行時に排気絞り弁の開度が絞られると、パティキュレートフィルタ内が高圧になる。パティキュレートフィルタ内が高圧になると、酸素分圧が高まるため
、PMの酸化反応速度が高まる。よって、PM再生処理実行時に排気絞り弁の開度が絞られると、PM再生処理の実行期間を短縮することが可能となる。
尚、PM再生処理実行時の排気絞り弁の開度はPM再生処理実行前より小さくなっていればよい。このため、PM再生処理実行時の排気絞り弁の開度は、PM再生処理実行前より小さい範囲内で可変とされてもよく、或いは一定開度に保持されていてもよい。
ところで、排気絞り弁の経時変化或いは故障等により該排気絞り弁の開度が所望の開度に収束しなくなる場合がある。このような場合は、フィルタ内圧力が目標値まで上昇せず、或いは目標値より高くなる可能性がある。
フィルタ内圧力が目標値と異なる場合にPM再生処理の実行時間が正常時(フィルタ内圧力が目標値に収束している時)と同様に設定されると、PM再生処理の実行時間に過不足が生じる。
例えば、フィルタ内圧力が目標値まで上昇しない場合は、PM再生処理が終了した時点でパティキュレートフィルタ内に多量のPMが残留する可能性がある。一方、フィルタ内圧力が目標値より高くなった場合は、パティキュレートフィルタ内のPMが全て酸化除去された後もPM再生処理が継続される可能性がある。
従って、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合にPM再生処理の実行時間が正常時と同等に設定されると、PM再生処理の効率が低下し、燃費の悪化等が誘発される可能性がある。
これに対し、本発明にかかる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムは、PM再生処理実行時にフィルタ内圧力が目標値と異なる場合は、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮する。
例えば、フィルタ内圧力が目標値より低い場合は、PM酸化反応速度が低下するため、単位時間当たりに酸化されるPMの量(以下、「基準PM酸化量」と称する)が減少する。一方、フィルタ内圧力が目標値より高い場合は、PM酸化反応速度が上昇するため、基準PM酸化量が増加する。
よって、本発明にかかる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムは、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値より低い場合はPM再生処理の実行時間を延長し、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値より高い場合はPM再生処理の実行時間を短縮すればよい。
このようにPM再生処理の実行時間が延長又は短縮されると、パティキュレートフィルタに捕集されたPMが過不足なく酸化除去されるようになる。その結果、PM再生処理終了時にパティキュレートフィルタ内に多量のPMが残留し、若しくはパティキュレートフィルタ内のPMが全て酸化除去された後もPM再生処理が継続されることがなくなる。
本発明にかかる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムは、PMの酸化反応速度(或いは基準PM酸化量)とPM再生処理の実行時間とに基づいてPM残留量を演算し、その演算結果が所定の基準量まで減少したことを条件にPM再生処理の実行を終了するようにしてもよい。
その際のPM酸化反応速度(基準PM酸化量)としては前記目標値に基づいた計算値や推定値が用いられることになるが、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合には前記PM酸
化反応速度(基準PM酸化量)を補正することによりPM再生処理の実行時間を延長又は短縮することができる。
例えば、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値より低い場合は、制御手段は、PM残留量の演算に用いられるPM酸化反応速度(基準PM酸化量)を低く補正する。この場合、PM残留量の計算値が前記基準量に到達するまでの所要時間は正常時より長くなる。よって、PM再生処理の実行時間が延長されることになる。
一方、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値より高い場合は、制御手段は、PM残留量の演算に用いられるPM酸化反応速度(基準PM酸化量)を高く補正する。この場合、PM残留量の計算値が前記基準量に到達するまでの所要時間は正常時より短くなる。よって、PM再生処理の実行時間が短縮されることになる。
上記した方法によれば、PM再生処理実行時のPM残留量を正確に見積もることが可能になるため、PM再生処理を適正な時期に終了させることが可能となる。
また、本発明にかかる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムにおいて、制御手段は、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値と異なる場合には、昇温処理に用いられるパラメータを変更するようにしてもよい。
これは、フィルタ内圧力が目標値と異なる時に正常時と同様の昇温処理が行われると、パティキュレートフィルタ内の温度がPM酸化適正温度域から逸脱する可能性があるからである。
ここで、パティキュレートフィルタを昇温させる方法としては、パティキュレートフィルタに併設された酸化触媒へ還元剤を供給し、還元剤の酸化反応熱によってパティキュレートフィルタを昇温させる方法、若しくは内燃機関から排出される排気の温度を上昇させ、排気の熱によってパティキュレートフィルタを昇温させる方法等が考えられる。
パティキュレートフィルタに併設された酸化触媒へ還元剤を供給する方法において、制御手段によって変更されるパラメータとしては、還元剤の供給量を例示することができる。
フィルタ内圧力が目標値より低い場合に還元剤の供給量が正常時と同量にされると、パティキュレートフィルタ内の温度がPM酸化適正温度域まで上昇しない可能性がある。これに対し、制御手段は、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値より低い場合は、還元剤の供給量を増量補正するようにしてもよい。この場合、パティキュレートフィルタ内の温度がPM酸化適正温度域まで上昇し易くなる。
一方、フィルタ内圧力が目標値より高い場合に還元剤の供給量が正常時と同量にされると、パティキュレートフィルタ内の温度がPM酸化適正温度域を超えてしまう可能性がある。これに対し、制御手段は、検出手段により検出されたフィルタ内圧力が目標値より高い場合は、還元剤の供給量を減量補正するようにしてもよい。この場合、パティキュレートフィルタ内の温度がPM酸化適正温度域を超え難くなる。
このように還元剤の供給量が補正されると、パティキュレートフィルタ内の温度がPM酸化適正温度域から大きく逸脱しなくなる。その結果、PM酸化率の低下やパティキュレートフィルタの過昇温を抑制することができる。
ところで、フィルタ内圧力が目標値より低くなる場合は、内燃機関に作用する背圧が低
下するため、内燃機関の吸入空気量が増加する。内燃機関の吸入空気量が増加すると、パティキュレートフィルタを通過する排気流量が多くなる。
この場合、パティキュレートフィルタから排気へ伝播する熱量(言い換えれば、排気によってパティキュレートフィルタから持ち去られる熱量)が増加するため、パティキュレートフィルタ内の温度が上昇し難くなる。その結果、パティキュレートフィルタ内の温度をPM酸化適正温度域まで上昇させるために、還元剤の供給量を大幅に増量する必要がある。
そこで、制御手段は、フィルタ内圧力が目標値より低くなった場合は、内燃機関の吸入空気量を減量させるようにしてもよい。
この場合、パティキュレートフィルタを通過する排気流量が過剰に多くならないため、還元剤の供給量を大幅に増量する必要がなくなる。その結果、還元剤の消費量が過多になることが抑制される。
内燃機関の吸入空気量を減量させる方法としては、内燃機関の吸気通路に配置された吸気絞り弁の開度を絞る方法や、可変動弁機構を利用して吸入空気量を減少させる方法等を例示することができる。
次に、内燃機関から排出される排気の温度を上昇させる方法において、制御手段によって変更されるパラメータとしては、内燃機関の損失の大きさを例示することができる。
内燃機関の損失が大きくなると、正味トルクの減少を補うために燃料噴射量を増量させる必要がある。一方、内燃機関の損失が小さくなると、正味トルクの増加を補うために燃料噴射量を減少させる必要がある。
このように内燃機関の損失の大きさに応じて燃料噴射量が増減されると、正味トルクを変動させることなく排気の温度を変更させることが可能である。
そこで、制御手段は、フィルタ内圧力が目標値より低い場合は内燃機関の損失を増加させ、フィルタ内圧力が目標値より高い場合は内燃機関の損失を減少させるようにしてもよい。
尚、内燃機関の損失を変更する方法としては、内燃機関の出力を駆動源とする補機(例えば、オルタネータ等)の作動量を増減させる方法や、可変動弁機構により吸気損失や排気損失を増減させる方法等を例示することができる。
また、制御手段は、内燃機関の損失の大きさを増減させる代わりに、燃料噴射量を直接増減させるようにしてもよい。但し、内燃機関の損失の大きさが一定のまま燃料噴射量が増減されると、正味トルクが変動して運転者に違和感を与える可能性がある。
これに対し、制御手段は、内燃機関の発生トルクに寄与するメイン噴射の噴射量を変更せずにアフター噴射の噴射量を増減させるようにしてもよい。
例えば、制御手段は、フィルタ内圧力が目標値より低い場合はフィルタ内圧力が低くなるほどアフター噴射の噴射量を増加させ、フィルタ内圧力が目標値より高い場合はアフター噴射を中止するようにしてもよい。
このような方法により燃料噴射量が増減されると、正味トルクの変動を抑制しつつ排気
温度を変更することができる。
ところで、フィルタ内圧力が目標値と異なると、内燃機関に作用する背圧の大きさも予想値と異なるようになる。その結果、フィルタ内圧力が目標値より低い場合は正味トルクが要求トルクより増加し、フィルタ内圧力が目標値より高い場合は正味トルクが要求トルクより減少する可能性がある。
そこで、本発明の制御手段は、フィルタ内圧力が目標値より低い場合はメイン噴射の噴射量を減量させ、フィルタ内圧力が目標値より高い場合はメイン噴射の噴射量を増量させるようにしてもよい。
このようにメイン噴射の噴射量が補正されると、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合であっても内燃機関の正味トルクを要求トルクと一致させることが可能となる。
本発明によれば、パティキュレートフィルタのPM再生処理実行時に排気絞り弁の開度を減少させる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムにおいて、パティキュレートフィルタに捕集されたPMを適正に酸化除去することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
<実施例1>
先ず、本発明の第1の実施例について図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本実施例にかかる内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムの概略構成を示す図である。
図1に示す内燃機関1は、軽油を燃料として運転される圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)である。内燃機関1は、複数の気筒2を有し、各気筒2には気筒2内へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁3が設けられている。
内燃機関1の各気筒2は、吸気通路4と連通している。吸気通路4の途中には、ターボチャージャ5のコンプレッサハウジング50、インタークーラ6、吸気絞り弁7等が配置されている。コンプレッサハウジング50により過給された吸気は、インタークーラ6で冷却された後に各気筒2内へ導入される。各気筒2内へ導かれた吸気は、燃料噴射弁3から噴射された燃料とともに気筒2内で着火及び燃焼される。
各気筒2内で燃焼されたガス(既燃ガス)は、排気通路8へ排出される。排気通路8へ排出された排気は、排気通路8の途中に配置されたタービンハウジング51及び排気浄化装置9を経由して大気中へ放出される。
前記排気浄化装置9は、酸化能を有する触媒が担持されたパティキュレートフィルタである。尚、酸化能を有する触媒をパティキュレートフィルタに担持する代わりに、パティキュレートフィルタの直上流に酸化触媒が配置されるようにしてもよい。以下では、排気浄化装置9をパティキュレートフィルタ9と記す。
前記タービンハウジング51より上流の排気通路8には、還元剤添加弁10が取り付けられている。還元剤添加弁10は、排気通路8を流れる排気中へ還元剤を添加する装置である。尚、還元剤添加弁10から添加される還元剤としては、内燃機関1の燃料を利用することができる。
パティキュレートフィルタ9より下流の排気通路8には、排気絞り弁11が配置されている。排気絞り弁11は、排気通路8の断面積を変更する装置である。
また、上記した内燃機関1には、ECU12が併設されている。ECU12は、エアフローメータ13、差圧センサ14、排気圧力センサ15、排気温度センサ16、アクセルポジションセンサ17等の各種センサと電気的に接続されている。
エアフローメータ13は、吸気通路4を流れる吸気量を測定するセンサである。差圧センサ14はパティキュレートフィルタ9上流の排気圧力とパティキュレートフィルタ9下流の排気圧力との差(フィルタ前後差圧)を測定するセンサである。排気圧力センサ15は、パティキュレートフィルタ9より上流の排気圧力を測定するセンサである。排気温度センサ16は、パティキュレートフィルタ9から流出する排気の温度を測定するセンサである。アクセルポジションセンサ17は、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を測定するセンサである。
ECU12は、上記した各種センサの測定値に基づいて燃料噴射弁3、吸気絞り弁7、還元剤添加弁10などを制御する。具体的には、ECU12は、燃料噴射制御等の既知の制御に加え、パティキュレートフィルタ9のPM再生処理を行う。
PM再生処理は、パティキュレートフィルタ9内の温度をPMが酸化可能な温度域まで昇温させることにより該パティキュレートフィルタ9に捕集されているPMを酸化除去する処理である。このPM再生処理は、パティキュレートフィルタ9に捕集されているPM量(PM捕集量)が一定量以上であることを条件に実行される。
前記した一定量は、例えば、内燃機関1に作用する背圧が許容範囲に収まるよう定められる量である。また、パティキュレートフィルタ9のPM捕集量を取得する方法としては、差圧センサ14の測定値をPM捕集量に換算する方法や、機関負荷と機関回転数をパラメータとして内燃機関1から排出されるPM量を求めそのPM量を積算することによりPM捕集量を算出する方法等を例示することできる。
ECU12は、PM捕集量が一定量以上であるか否かを判別する。PM捕集量が一定量以上である場合には、ECU12は、PM再生処理を実行する。具体的には、ECU12は、パティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化可能な温度域まで昇温させる昇温処理を行う。
昇温処理の実行方法としては、パティキュレートフィルタ9へ未燃燃料を供給する方法を例示することができる。パティキュレートフィルタ9へ未燃燃料が供給されると、パティキュレートフィルタ9に担持された触媒により未燃燃料が酸化され、その際の酸化反応熱によってパティキュレートフィルタ9が昇温する。
パティキュレートフィルタ9へ未燃燃料を供給する方法としては、還元剤添加弁10から排気中へ燃料を添加させる方法や、膨張行程の後半の気筒2において燃料噴射弁3からポスト噴射を行わせる方法等を例示することができる。
但し、膨張行程後半の気筒2において燃料噴射弁3からポスト噴射が行われると、ポスト噴射された燃料がシリンダボア壁面に付着して潤滑油の希釈等を招く可能性があるため、還元剤添加弁10を利用してパティキュレートフィルタ9へ未燃燃料を供給することが好ましい。
また、ECU12は、上記したPM再生処理(昇温処理)の実行に伴い、排気絞り弁11の開度をPM再生処理実行前より減少させる。PM再生処理実行時に排気絞り弁11の開度が減少させられると、フィルタ内圧力(酸素分圧)が上昇する。
フィルタ内圧力が高められた状況下でPM再生処理(以下、「高圧PM再生処理」と称する)が行われると、パティキュレートフィルタ9に捕集されているPMの酸化反応速度が高くなるため、PM再生処理の実行時間を短縮することが可能となる。
ところで、排気絞り弁11の経時変化や故障などにより、排気絞り弁11の開度が目標開度に収束しない場合がある。そのような場合は、フィルタ内圧力が目標値より低く又は高くなる可能性がある。
フィルタ内圧力が目標値より低くなった場合は、PMの酸化反応速度が低下(基準PM酸化量が減少)する。このため、PM再生処理の実行時間が正常時(フィルタ内圧力が目標値と等しい時)と同様の長さに設定されると、PM再生処理終了時に多量のPMがパティキュレートフィルタ9に残留する可能性がある。
その結果、PM再生処理の実行間隔が短くなって燃費が悪化したり、或いはPM残留量が徐々に増加してパティキュレートフィルタ9の圧力損失が過剰に高くなったりする虞がある。
一方、フィルタ内圧力が目標値より高くなった場合は、PMの酸化反応速度が上昇(基準PM酸化量が増加)する。このため、PM再生処理の実行時間が正常時と同様の長さに設定されると、パティキュレートフィルタ9内のPM残留量が基準量(例えば、零)まで減少した後もPM再生処理が継続される可能性がある。その結果、燃費が悪化するなどの不具合を生じる虞がある。
そこで、本実施例の内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システムは、PM再生処理実行時にフィルタ内圧力が目標値と異なる場合は、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮するようにした。
具体的には、ECU12は、先ず、実際のフィルタ内圧力が目標値と等しい否かを判別する。フィルタ内圧力は、パティキュレートフィルタ9の直上流の排気圧力(例えば、タービンハウジング51より下流且つパティキュレートフィルタ9より上流の排気圧力)と相関する。このため、ECU12は、排気圧力センサ15の測定値が目標値と等しいか否かを判別することにより、フィルタ内圧力が目標値と等しいか否かを判別するようにしてもよい。この場合、排気圧力センサ15は本発明にかかる検出手段に相当する。
また、フィルタ内圧力が高くなるほど吸入空気量(エアフローメータ13の測定値)が少なくなるとともに、フィルタ内圧力が低くなるほど吸入空気量が多くなる。このため、ECU12は、エアフローメータ13の測定値が目標値より多ければフィルタ内圧力が目標値より低いと判定し、エアフローメータ13の測定値が目標値より少なければフィルタ内圧力が目標値より高いと判定するようにしてもよい。この場合は、エアフローメータ13が本発明にかかる検出手段に相当する。
上記した判別方法によりフィルタ内圧力が目標値より低い又は高いと判定されると、ECU12は、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮する。以下、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮する方法について述べる。
本実施例のPM再生処理では、ECU12は、パティキュレートフィルタ9に残留して
いるPMの量(PM残留量)を逐次演算し、その演算結果が零となった時点でPM再生処理の実行を終了する。
PM残留量は、基準PM酸化量とPM再生処理の実行時間との乗算値(パティキュレートフィルタ9から酸化除去されたPMの総量に相当する値)を前記一定量(PM再生処理実行開始時のPM捕集量)から減算することにより求めることができる。
上記したPM残留量の演算に用いられる基準PM酸化量はフィルタ内圧力の目標値に基づいて定められる値であるが、この基準PM酸化量が増減されるとPM残留量の計算値が零となるまでに要する時間、すなわちPM再生処理の実行時間も増減する。
そこで、ECU12は、実際のフィルタ内圧力が目標値と異なる場合には、PM残留量の演算に用いられる基準PM酸化量を減量補正又は増量補正することにより、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮するようにした。
例えば、ECU12は、図2に示すように、実際のフィルタ内圧力が低くなるほど基準PM酸化量が少なくなり、実際のフィルタ内圧力が高くなるほど基準PM酸化量が多くなるような補正を行う。
このように実際のフィルタ内圧力に応じてPM再生処理の実行時間が調整されると、PM残留量が零となる前にPM再生処理が終了されたり、若しくはPM残留量が零となった後もPM再生処理が継続されたりすることがなくなる。
よって、排気絞り弁11の経時変化や故障が発生した場合であっても、PM再生処理の終了時期が適正化され、PM再生処理が過不足なく行われることになる。
以下、本実施例におけるPM再生処理の流れについて図3に沿って説明する。図3は、本実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。このPM再生処理ルーチンは、予めECU12のROMに記憶されているルーチンであり、ECU12によって所定期間毎に実行される。
PM再生処理ルーチンでは、ECU12は、先ずS101においてPM再生条件が成立しているか否かを判別する。PM再生条件としては、PM捕集量が一定量以上である、パティキュレートフィルタ9の酸化触媒が活性している等の条件を例示することができる。
前記S101において否定判定された場合は、ECU12は、本ルーチンの実行を終了する。一方、前記S101において肯定判定された場合は、ECU12は、S102へ進み、昇温処理を実行する。
S103では、ECU12は、排気絞り弁11の開度を目標開度まで絞る。目標開度は、フィルタ内圧力の目標値に基づいて決定される開度であり、フィルタ内圧力の目標値と排気絞り弁11の目標開度との関係は予めマップ化されていてもよい。また、フィルタ内圧力の目標値は、パティキュレートフィルタ9のPM捕集量やパティキュレートフィルタ9へ流入する排気流量などに基づいて決定されてもよい。
S104では、ECU12は、フィルタ内圧力と相関する物理量として排気圧力センサ15の測定値(排気圧力Pex)を読み込む。
S105では、ECU12は、前記S104で読み込まれた排気圧力Pexが前記目標値Ptrgと相違しているか否かを判別する。
前記S105において否定判定された場合(Pex=Ptrg)は、ECU12は、S106〜S108をスキップして、S109へ進む。
S109では、ECU12は、前記目標値Ptrgと前記図2のマップとから定まる基準PM酸化量△ΣPMに基づいて、パティキュレートフィルタ9のPM残留量ΣPMrmを演算する。例えば、ECU12は、基準PM酸化量△ΣPMとPM再生処理の実行時間とを乗算して総PM酸化量を算出し、総PM酸化量をPM再生処理実行開始時のPM捕集量(一定量)から減算してPM残留量ΣPMrmを算出する。
S110では、ECU12は、前記S109で算出されたPM残留量ΣPMrmが基準値(この場合は、“0”)まで減少したか否かを判別する。前記S110において否定判定された場合(ΣPMrm≠0)は、ECU12は、S102へ戻りPM再生処理を継続して実行する。
一方、前記S110において肯定判定された場合は、ECU12は、S111へ進み、PM再生処理の実行を終了する。すなわち、ECU12は、S111において、排気絞り弁11の開度を通常開度に復帰させるとともに昇温処理の実行を終了する。
また、前記S105において肯定判定された場合(Pex≠Ptrg)は、ECU12は、S106へ進み、前記排気圧力Pexが前記目標値Ptrgより低いか否かを判別する。
前記S106において肯定判定された場合(Pex<Ptrg)は、ECU12は、S107へ進み、前記排気圧力Pexと前記図2のマップとに基づいて基準PM酸化量△ΣPMを減量補正する。続いて、ECU12は、S109へ進み、前記S107で補正された基準PM酸化量△ΣPMに基づいてPM残留量ΣPMrmを演算する。そして、ECU12は、S110において前記PM残留量ΣPMrmが基準量まで減少したか否かを判別する。この場合、基準PM酸化量△ΣPMが正常時(フィルタ内圧力が目標値Ptrgと等しい時)に比して少なくなっているため、PM再生処理の実行時間は正常時より延長されることになる。
一方、前記S106において否定判定された場合(Pex>Ptrg)は、ECU12は、S108へ進み、前記排気圧力Pexと前記図2のマップとに基づいて基準PM酸化量△ΣPMを増量補正する。続いて、ECU12は、S109へ進み、前記S106で補正された基準PM酸化量△ΣPMに基づいてPM残留量ΣPMrmを演算する。そして、ECU12は、S110において前記PM残留量ΣPMrmが基準量まで減少したか否かを判別する。この場合、基準PM酸化量△ΣPMが正常時(フィルタ内圧力が目標値Ptrgと等しい時)に比して多くなっているため、PM再生処理の実行時間は正常時より短縮されることになる。
このようにECU12が図3に示すようなPM再生処理ルーチンを実行すると、本発明にかかる再生手段、制御手段、推定手段、及び終了手段が実現される。その結果、排気絞り弁11の開度が目標開度に収束しない場合(言い換えれば、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合)であっても、パティキュレートフィルタ9に捕集されたPMを過不足なく酸化除去することが可能となる。
<実施例2>
次に、本発明の第2の実施例について図4〜図5に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合に、PM再生処理実行時間の補正(基準PM酸化量△ΣPMの補正)と同時に、昇温処理のパラメータも変更する例について述べる。
フィルタ内圧力が目標値より低くなると、パティキュレートフィルタ9内の温度がPM酸化適正温度域まで昇温しない場合が想定される。一方、フィルタ内圧力が目標値より高くなると、パティキュレートフィルタ9内の温度がPM酸化適正温度域より高くなる場合が想定される。
上記したようにパティキュレートフィルタ9内の温度がPM酸化適正温度域から逸脱すると、基準PM酸化量の計算値△ΣPMが実際の量から懸け離れてしまう可能性がある。
従って、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合には、パティキュレートフィルタ9内の温度がPM酸化適正温度域に収束するように昇温処理のパラメータが変更されることが好ましい。
昇温処理のパラメータとしては、還元剤添加弁10からパティキュレートフィルタ9の酸化触媒へ供給される燃料量(以下、単に「燃料供給量」と記す)を例示することができる。
そこで、ECU12は、図4に示すように、フィルタ内圧力が低くなるほど燃料供給量が多くなるとともに、フィルタ内圧力が高くなるほど燃料供給量が少なくなるような補正を行う。
このように燃料供給量が補正されると、フィルタ内圧力が目標値から逸脱した場合であっても、パティキュレートフィルタ9内の温度がPM酸化適正温度域に収束するようになる。その結果、基準PM酸化量の計算値△ΣPMが実際の量から懸け離れることがなくなり、PM再生処理を過不足なく行うことが可能となる。
以下、本実施例におけるPM再生処理について図5に沿って説明する。図5は、本実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。図5において、前述した第1の実施例のPM再生処理ルーチン(図3を参照)と同様の処理には、同一の符号を付している。
図5のPM再生処理ルーチンでは、ECU12は、S106において肯定判定された場合(Pex<Ptrg)に、S107において基準PM酸化量△ΣPMを減量補正するとともに、S201において排気圧力Pexと図4のマップとに基づいて燃料供給量の増量補正を行う。
また、S106において否定判定された場合(Pex>Ptrg)は、ECU12は、S108において基準PM酸化量△ΣPMを増量補正するとともに、S202において排気圧力Pexと図4のマップとに基づいて燃料供給量の減量補正を行う。
このようなPM再生処理ルーチンによれば、排気絞り弁11の開度が目標開度に収束しない場合(言い換えれば、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合)であっても、パティキュレートフィルタ9内の温度がPM酸化適正温度域に収まるため、基準PM酸化量の計算値△ΣPMが実際の量から懸け離れることがなくなる。その結果、パティキュレートフィルタ9に捕集されたPMを過不足なく酸化除去することが可能となる。
尚、本実施例では、昇温処理時にパティキュレートフィルタ9の酸化触媒へ燃料を供給する方法として、還元剤添加弁10から酸化触媒へ燃料を供給する方法を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、燃料噴射弁3からのポスト噴射により酸化触媒へ燃料を供給する方法が用いられた場合は、前記S201、S202においてポスト噴射の噴射量を補正すればよい。
<実施例3>
次に、本発明の第3の実施例について図6に基づいて説明する。ここでは前述した第2の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、フィルタ内圧力が目標値より低い場合に、PM再生処理実行時間の延長補正及び燃料供給量の増量補正に加え、吸気絞り弁7の開度を減量補正する例について述べる。
PM再生処理実行時にパティキュレートフィルタ9を通過する排気の流量が多くなると、パティキュレートフィルタ9から排気へ伝播する熱量が増加する。よって、パティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化適正温度域に保つためには、燃料供給量を増加させる必要がある。
ところで、フィルタ内圧力が目標値より低くなると、内燃機関1に作用する背圧が低下するため、内燃機関1の吸入空気量が多くなる。内燃機関1の吸入空気量が増加すると、それに伴ってパティキュレートフィルタ9を通過する排気流量も増加する。このような場合は、燃料供給量の大幅な増量が必要になるため、燃料消費量が過多になる可能性がある。
そこで、本実施例のPM再生処理では、ECU12は、フィルタ内圧力が目標値より低い場合は、内燃機関1の吸入空気量を減量させるようにした。
内燃機関1の吸入空気量を減量させる方法としては、吸気絞り弁7の開度を絞る方法や、可変動弁機構を利用して吸気の吸入効率を低下させる方法(例えば、吸気弁の開弁期間を短縮する)等を例示することができるが、本実施例では吸気絞り弁7の開度を絞る例について述べる。
以下、本実施例におけるPM再生処理について図6に沿って説明する。図6は、本実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。図6において、前述した第2の実施例のPM再生処理ルーチン(図5を参照)と同様の処理には、同一の符号を付している。
図6のPM再生処理ルーチンでは、ECU12は、S106において肯定判定された場合(Pex<Ptrg)に、S107において基準PM酸化量△ΣPMを減量補正する。更に、ECU12は、S301において吸気絞り弁7を所定量△θだけ閉弁させるとともに、S201において燃料供給量の増量補正を行う。
前述した所定量△θは、内燃機関1の吸入空気量が正常時と同量となるように定められる量である。例えば、所定量△θは、フィルタ内圧力が目標値と等しい場合に零となり、フィルタ内圧力が目標値に対して低くなるほど多くなるように定められてもよい。
このようなPM再生処理ルーチンによれば、フィルタ内圧力が目標値に達しない場合に、燃料供給量の増量を最小限に抑えつつパティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化適正温度域に収めることが可能となる。その結果、燃費の悪化を抑制しつつ、前述した第
1及び第2の実施例の効果を得ることができる。
尚、フィルタ内圧力が目標値より高くなると、パティキュレートフィルタ9から排気へ伝播する熱量が減少して、パティキュレートフィルタ9が過昇温する場合も考えられる。そこで、ECU12は、フィルタ内圧力が目標値より高くなる場合は、内燃機関1の吸入空気量を増加させることにより、パティキュレートフィルタ9の過昇温を抑制するようにしてもよい。
<実施例4>
次に、本発明の第4の実施例について図7に基づいて説明する。ここでは前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、フィルタ内圧力が目標値より低い場合に、PM再生処理実行時間の延長補正及び燃料供給量の増量補正に加え、内燃機関1の排気温度を上昇させる処理を行う例について述べる。
フィルタ内圧力が目標値より低くなると、内燃機関1のポンピングロスが減少するため、排気温度が正常時より低くなる。内燃機関1の排気温度が正常時より低くなると、還元剤添加弁10からパティキュレートフィルタ9へ供給される燃料の酸化反応熱のみでパティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化適正温度域まで昇温させることが難しくなる場合がある。
その際、前述した第2又は第3の実施例で述べたように燃料供給量を増量補正することも考えられるが、燃料供給量が多くなると一部の燃料が酸化しきれずにパティキュレートフィルタ9をすり抜ける可能性もある。
そこで、本実施例のPM再生処理では、ECU12は、フィルタ内圧力が目標値より低くなる場合に、内燃機関1の排気温度を上昇させる処理を行うようにした。
排気温度を上昇させる方法としては、内燃機関1で燃焼に供される燃料量を増量する方法が有効である。但し、パイロット噴射やメイン噴射等のように内燃機関1のトルクに寄与する燃料の量が増加されると、内燃機関1のトルクが不用意に増加して運転者へ違和感を与える可能性がある。
このため、本実施例のPM再生処理では、ECU12は、膨張行程後半の気筒2において燃料噴射弁3からアフター噴射を行わせることにより、内燃機関1のトルクが顕著に増加することを抑えつつ排気温度の上昇を図るようにした。
このような方法により排気温度の上昇が図られると、内燃機関1のトルク増加を最小限に抑えつつ排気温度を正常時と同等まで上昇させること可能となる。
以下、本実施例におけるPM再生処理について図7に沿って説明する。図7は、本実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。図7において、前述した第1の実施例のPM再生処理ルーチン(図3を参照)と同様の処理には、同一の符号を付している。
図7のPM再生処理ルーチンでは、ECU12は、S106において肯定判定された場合(Pex<Ptrg)に、S107において基準PM酸化量△ΣPMを減量補正する。更に、ECU12は、S401において燃料噴射弁3からアフター噴射を行わせる。
かかるPM再生処理ルーチンによれば、フィルタ内圧力が目標値より低くなる場合であっても、排気温度を正常時と同等の温度まで高めることが可能となる。その結果、パティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化適正温度域まで昇温させることが可能となり、以てパティキュレートフィルタ9に捕集されたPMが過不足なく酸化除去される。
尚、フィルタ内圧力が目標値に対して過剰に低くなった場合等は、アフター噴射の噴射量が大幅に増加し、内燃機関1のトルクが顕著に増加する可能性がある。よって、アフター噴射の噴射量が所定の上限量に達した場合は、前述した第2又は第3の実施例で述べたような燃料供給量の増量補正を併用するようにしてもよい。この場合、内燃機関1のトルク変動を抑制しつつパティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化適正温度域まで上昇させることが可能になる。
<実施例5>
次に、本発明の第5の実施例について図8に基づいて説明する。ここでは前述した第4の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
本実施例では、内燃機関1の排気温度を上昇させる方法として、内燃機関1の損失を積極的に増加させる例について述べる。
内燃機関1の損失が大きくなると、燃料噴射量が増量されるため、該内燃機関1で燃焼に供される燃料量が増加する。内燃機関1で燃焼に供される燃料量が増加すると、該内燃機関1の排気温度が上昇する。
その際、燃料噴射量の増量によるトルクの増加分は損失の増加分によって相殺されるため、内燃機関1のトルクが殆ど変化せずに排気温度が高められる。
尚、内燃機関1の損失としては、排気のポンピングロスや、オルタネータ等の補機の駆動損失を挙げることができる。排気のポンピングロスを増加させる方補としては、可変動弁機構により排気弁の開弁時期を遅角、排気弁の閉弁時期を進角、或いは排気弁のリフト量を減少させる方法を例示することができる。また、補機の駆動損失を増加させる方法としては、補機の作動量(例えば、オルタネータの発電量)を増加させることによって増加させることができる。
以下、本実施例におけるPM再生処理について図8に沿って説明する。図8は、本実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。図8において、前述した第1の実施例のPM再生処理ルーチン(図7を参照)と同様の処理には、同一の符号を付している。
図8のPM再生処理ルーチンでは、ECU12は、S106において肯定判定された場合(Pex<Ptrg)に、S107において基準PM酸化量△ΣPMを減量補正する。更に、ECU12は、S501において前述した方法により内燃機関1の損失を増加させる。その際の増加量は、フィルタ内圧力が目標値に対して低くなるほど多くされるようにしてもよい。
かかるPM再生処理ルーチンによれば、フィルタ内圧力が目標値より低くなる場合に、内燃機関1のトルクを殆ど変化させることなく排気温度を正常時と同等の温度まで高めることが可能となる。その結果、運転者に違和感を与えることなく、パティキュレートフィルタ9内の温度をPM酸化適正温度域まで昇温させることが可能となる。
尚、フィルタ内圧力が目標値に対して高くなると、排気温度が正常時より高くなるため
、パティキュレートフィルタ9が過昇温する場合も考えられる。そこで、ECU12は、フィルタ内圧力が目標値より高くなった場合は、内燃機関1の損失を減少させて排気温度の低下を図るようにしてもよい。この場合、パティキュレートフィルタ9の過昇温を抑制しつつPM再生処理を行うことができる。
<実施例6>
次に、本発明の第6の実施例について説明する。ここでは前述した第1〜5の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
フィルタ内圧力が目標値より低くなると、内燃機関1に作用する背圧が小さくなるため、該内燃機関1の発生トルクが正常時より増加する。一方、フィルタ内圧力が目標値より高くなると、内燃機関1の作用する背圧が大きくなるため、該内燃機関1の発生トルクが正常時より減少する。
従って、排気絞り弁11の故障や経時変化等によってフィルタ内圧力が目標値から逸脱すると、内燃機関1の発生トルクが要求トルクに収束しなくなる可能性がある。
そこで、本実施例では、フィルタ内圧力が目標値と異なる場合には、PM再生処理実行時の燃料噴射量(内燃機関1のトルクに寄与するパイロット噴射量やメイン噴射量等)を補正するようにした。
具体的には、ECU12は、フィルタ内圧力が目標値より低くい場合はPM再生処理実行時の燃料噴射量を減量補正し、フィルタ内圧力が目標値より高い場合はPM再生処理実行時の燃料噴射量を増量補正するようにした。
このようにPM再生処理実行時の燃料噴射量がフィルタ内圧力に応じて補正されると、内燃機関1の発生トルクを要求トルクに収束させつつPM再生処理を行うことができる。
尚、前述した第1〜第6の実施例の一部若しくは全部は、背反が生じない範囲で組み合わされてもよいことは勿論である。
本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。 フィルタ内圧力と基準PM酸化量との関係を規定したマップを示す図である。 第1の実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。 フィルタ内圧力と燃料供給量との関係を規定したマップを示す図である。 第2の実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。 第3の実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。 第4の実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。 第5の実施例におけるPM再生処理ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
1・・・・・内燃機関
2・・・・・気筒
3・・・・・燃料噴射弁
4・・・・・吸気通路
7・・・・・吸気絞り弁
8・・・・・排気通路
9・・・・・パティキュレートフィルタ
10・・・・還元剤添加弁
11・・・・排気絞り弁
12・・・・ECU
13・・・・エアフローメータ
15・・・・排気圧力センサ

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気通路に配置されたパティキュレートフィルタと、
    前記パティキュレートフィルタより下流の排気通路に配置された排気絞り弁と、
    前記排気絞り弁の開度をPM再生処理実行前より減少させて前記パティキュレートフィルタのPM再生処理を行う再生手段と、
    PM再生処理の実行時に前記パティキュレートフィルタ内の圧力を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された圧力が目標値と異なる場合に、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮する制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
  2. 請求項1において、前記目標値に応じたPM酸化反応速度をパラメータとして、PM再生処理実行中に前記パティキュレートフィルタに残留しているPM残留量を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定されたPM残留量が所定の基準量まで減少したことを条件に、PM再生処理を終了させる終了手段と、を更に備え、
    前記制御手段は、前記検出手段により検出された圧力が目標値と異なる場合に、前記PM酸化反応速度を補正することにより、PM再生処理の実行時間を延長又は短縮することを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
  3. 請求項1又は2において、前記再生手段は、前記パティキュレートフィルタに併設された酸化触媒へ還元剤を供給することにより、前記パティキュレートフィルタ内の温度をPMの酸化に適した温度域まで昇温させる昇温処理を行い、
    前記制御手段は、前記検出手段により検出された圧力が目標値と異なる場合は、前記酸化触媒へ供給される還元剤量を増量補正又は減量補正することを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
  4. 請求項3において、前記制御手段は、前記検出手段により検出された圧力が目標値より低い場合は、前記内燃機関の吸入空気量を減少させることを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一において、前記制御手段は、前記検出手段により検出された圧力が目標値より低い場合に、前記内燃機関の燃料噴射弁からアフター噴射を行わせることにより排気温度を上昇させることを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一において、前記制御手段は、前記検出手段により検出された圧力が目標値と異なる場合に、前記内燃機関の発生トルクが要求トルクと一致するように燃料噴射量を増量補正又は減量補正することを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一において、前記内燃機関の吸気弁および/または排気弁の開弁特性を変更する可変動弁機構を更に備え、
    前記制御手段は、前記検出手段により検出された圧力が目標値より低い場合に、前記内燃機関の吸気損失および/または排気損失を増加させるべく前記可変動弁機構を制御することを特徴とする内燃機関のパティキュレートフィルタ再生システム。
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