以下、添付図面を参照しつつ本発明のマッサージ装置の実施形態を説明する。
図1は本発明のマッサージ装置の一実施形態を示す斜視図である。このマッサージ装置1はいす型を呈しており、その背もたれ部2が座面部3に対して手動または電動によって前後に傾倒する(リクライニング)ことができるようにされている。背もたれ部2および座面部3にはそれぞれマッサージ機構4、5が配設されている。背もたれ部2のマッサージ機構4は、背もたれ面に沿って昇降可能な昇降台6に取り付けられている。この昇降台6はモータ7とネジ送り機構8によって昇降させられる。昇降台6が昇降することにより、マッサージ機構4が被施療者の腰から背中、肩、首を通って頭まで施療しつつ上昇、またはその逆方向に下降することになる。
マッサージ機構4は被施療者の身体に機械的刺激を与える左右一対の施療子9とこの施療子9を変位駆動するための図示しないモータとを有している。施療子9は、V字状のアーム12の先端それぞれに回転自在に厚肉円盤状の揉み玉13が取り付けられたものである。一方のモータは施療子9を被施療者の身体に向けて比較的速い速度で進退させるための叩きモータであり、他方のモータはV字状のアーム12をたとえばすりこぎ状に揺動するように変位させるための揉みモータである。このマッサージ機構4によれば、揉み動作と叩き動作とが独立の駆動系によって施行され、また、両動作が合成されて施行される。もちろん、各動作を独立して行うことも可能である。このマッサージ機構4に関しては本出願人の出願による特開平2000−350756号に詳しく説明されている。図1において符号14で示すのは昇降台6の昇降を案内するガイドローラである。
座面部3のマッサージ機構5は被施療者の身体に対して振動を与えるものであり、バイブレーションモータから構成されている。このバイブレーションモータ5はモータの出力軸に偏心した質量が取り付けられたものであり、その回転によってモータ自身が振動するものである。
また、図2には施療子9の詳細が示されている。施療子9を駆動する前述の図示していない叩きモータ、揉みモータおよび伝動機構を収容した駆動機本体10が配設されている。また、図示のごとく一対の施療子9の上記V字アーム12の上部先端にはそれぞれ筋硬度計測装置15が配設されている。各V字アーム12の下部先端には一個の揉み玉13aが取り付けられているが、上部先端には二個の揉み玉13bが取り付けられている。換言すれば、V字アーム12の上部先端には上下に間隔をおいて二個の揉み玉13bを備えた筋硬度計測装置15が取り付けられている、ともいえる。また、図2及び図3並びに後述する図13から明らかなように、V字アーム12の上部先端には細長い支持部材100がその長手方向中央箇所で枢着されており、この支持部材の両端にそれぞれ揉み玉13bが取り付けられている。図13から明らかなように、2つの揉み玉13bは、前記支持部材100がV字アーム12の上部先端に枢着されている揺動軸101を中心として、前後に揺動することが可能となっている。前述したとおり、施療子9は昇降台6によって被施療者の背骨に沿って昇降する。また、揉み玉13は上記揉み動作によって偏心運動をするので、それに伴い、筋硬度計測装置15は単に上下方向のみに位置を変えるのではなく、上記揉み動作によって横方向(昇降方向に垂直な方向)にも移動することができる。したがって、被施療者の身体の広い範囲について筋硬度を測定することが可能である。
また、1つのV字アーム12につき、合計3つの揉み玉13a,13bが設けられているので、図3から明らかなように、1つのV字アームに2つの揉み玉が設けられている場合に比して、被施療者の身体の多くの箇所を同時に押圧することができる。更に、昇降台6を昇降させたときには、揉み玉13a,13bの進行経路上に存在する被施療者の身体の一箇所を、3つの揉み玉13a,13bが通過することにより、1つのV字アームに2つの揉み玉が設けられている場合に比して、当該箇所に対する押圧回数が増す。
図3に示すように、筋硬度計測装置15は、先端に圧力センサ16を有する可動棒部材17と、この可動棒部材17をその中心軸方向に進退させるためのリニアアクチエータ(以下、単にアクチエータという)18と、可動棒部材17の移動距離を検出するための距離センサ19と、これら17、18、19を収納したハウジング20とを備えている。可動棒部材17には距離センサ19に連結するための指針17aが取り付けられている。圧力センサ16、アクチエータ18、および距離センサ19にはそれぞれ様々な機構が採用されうる。圧力センサ16は被施療者の身体を押圧したときの反力を検出するものである。
この筋硬度計測装置15は、その圧力センサ16の先端が、二個の揉み玉13bの前端を結ぶ仮想直線Lよりも若干寸法後退した位置に来るように配置されている。上記仮想直線Lが被施療者の身体の表面に対応する。したがって、マッサージを施すときには圧力センサ16が被施療者の身体に接触することがない。そして、この圧力センサ16は被施療者の身体の筋硬度を測定するときに、図3に二点鎖線で示すように上記仮想直線より外方に突出させられる。上記可動棒部材17は、その中心軸が両揉み玉13bの上記仮想直線Lに垂直となるように配設されている。両揉み玉13bの外径が等しければ、両揉み玉13bの中心同士を結ぶ仮想直線Lに垂直の方向となる。
筋硬度計測装置15は、以上の構成により、作動していないときには二個の揉み玉13bがともに被施療者の身体に当接した状態で、圧力センサ16には押圧力が付加されない。しかし、筋硬度計測装置15が作動して可動棒部材17が前進すると、圧力センサが上記仮想直線Lより前方に突出して被施療者の身体をその表面に対してほぼ垂直にこれを押圧する。また、被施療者の身体の表面が曲面であっても、二個の揉み玉13bがこの表面に常に接しているので、圧力センサが被施療者の身体をほぼ垂直に押圧する。したがって、身体のいずれの部位であっても圧力(反力)測定のメカニズムが一定となり、信頼性のある筋硬度を得ることができる。
筋硬度測定のために可動棒部材17を進出させると、被施療者の身体に当接する。さらに進出させると圧力センサ16が検出する圧力値が増加する。この状態を図4のグラフに示す。縦軸が圧力センサ16による検出反力値Rfを表し、横軸は圧力センサ16の被施療者に向かって進出した距離Xを表す。図中のB点は圧力センサ16(可動棒部材17)の進出開始点である。C点は圧力センサ16が進出して被施療者の身体に当接した点を示している。すなわち、反力検出位置(反力上昇開始点)Cが自動的に検出され、これが身体当接点であると判断される。C点からD点までは圧力センサ16が進出を続けて被施療者の身体を押圧している状態を表している。D点は圧力センサ16が進出を停止した点を表している。C点からD点までの筋硬度は検出反力値Rfを進出距離Xによって微分することにより評価される。たとえば、得られた圧力変化曲線を、ある数式(たとえば指数関数等)によって近似し、その係数によって筋硬度を評価するのである。また、疲労度は筋硬度から作成された筋硬度情報の履歴を比較することにより、比較対照とするデータの測定された体調に対し、比較したデータが測定されたときの体調において、どの部位がどの程度疲労しまたは回復したのかをその割合で示すことによって評価することができる。また、筋疲労はC点からD点までの検出反力値を進出距離によって積分して得られる筋硬度計測装置15の仕事量(図中の面積S)から評価することも可能である。
C点からD点までの圧力センサ16の進出距離は予め設定されているが、この距離に至る前(D点に至る前)に反力値が急上昇すれば圧力センサ16の進出を停止させる。これは、被施療者の身体部分によっては表面から骨までの距離(肉の厚さ)が小さいところがあるからであり、かかる部位においてはさらなる筋硬度の計測ができないからである。圧力センサ16の進出を停止させる基準として、上限反力値を設定してもよく、また、進出距離に対する反力の上昇率の上限値を設定してもよい。
図3に示す圧力センサ16は安価な導電ゴム式のセンサが採用されている。このセンサは、導電ゴムに電流を印加した状態で対象に押圧すれば、導電ゴムに歪みが生じる結果電気抵抗が変化するので、この電気抵抗の変化量から歪み量を検出し、歪み量を押圧による圧力に変換するものである。導電ゴム以外には、たとえば歪みゲージを採用することもできる。歪みゲージを可動棒部材17等の押圧による応力が生じる部材に貼設し、押圧に伴う歪みを検出して圧力に換算するものである。また、圧電式やピエゾ式の半導体圧力センサを採用してもよい。歪みゲージ式や半導体式は精度が高いので好ましい。
図5に示すように、アクチエータ18としてはたとえば、ねじ棒式、ラックピニオン式、リニアモータ式、流体圧式、カム式等の機構が採用されうる。
図5(a)に示すねじ棒式アクチエータ181は、モータMの出力軸にねじ棒(ナット)181aを接続しておき、可動棒部材17にはナット(ねじ棒)181bを接続しておき、ねじ棒(ナット)とナット(ねじ棒)とを螺合する。そして、可動棒部材17を回転不能にする。これにより、モータMの正逆回転によって可動棒部材17がその中心軸方向に進退する。
図5(b)に示すラックピニオン式アクチエータ182は、可動棒部材17にラック182aを形成し、モータMの出力軸にピニオンギア182bを固設してこれを上記ラック182aに噛合させる。そして、モータMの正逆回転によって可動棒部材17をその中心軸方向に進退させる。
図5(c)に示すリニアモータ式アクチエータ183は、可動棒部材17に磁石183aを配設し、可動棒部材17の進退経路に沿って多数の電磁石183bを交互にS極とN極となるように配列しておく。そして、S極とN極とを切り換えることによって可動棒部材17を直線的に移動させる。
図5(d)に示す流体圧式アクチエータ184は、たとえば油圧シリンダ(またはエアシリンダ)184aのピストン184bに可動棒部材17を接続し、油圧または空気圧を負荷することによって可動棒部材17をその中心軸方向に進退させる。
図5(e)に示すカム式アクチエータ185は、モータMの出力軸に回転板185aを接続し、この回転板185aの回転中心から離間した部位にコンロッド185bの一端を揺動自在に取り付ける。コンロッド185bの他端を可動棒部材17に揺動自在に取り付ける。可動棒部材17に対しては直進のみを許すようにガイド部材185cを配設しておく。そして、モータMを回転させることによって可動棒部材17をその中心軸方向に進退させる。
以上はアクチエータ18を例示したものに過ぎず、他の公知の機構を採用することに問題はない。
図6には距離センサ19が示されている。図6(a)に示す電気抵抗式スライド機構(いわゆるスライダック)の距離センサ(リニアセンサ)191は電気抵抗としてのレール191aを備えている。そして、可動棒部材17の移動に伴って上記指針17aがこのレール191a上を摺動する。レール191aの一端と指針17aとの間に電流を供給し、レール191aの一端と指針17aとの間の電気抵抗の変化を可動棒部材17の移動距離に変換する。このリニアセンサ191は構造が簡易でコンパクトであるため、筋硬度計測装置15全体を小さく構成することができる。
図6(b)に示すポテンショメータ式距離センサ192は、その検出軸に押圧ローラ192bを有する回転式ポテンショメータ192aを備えている。可動棒部材17に押圧ローラ192bを押圧させ、可動棒部材17の直線移動距離を押圧ローラ192bを介して回転数に変換するものである。押圧ローラに代えてピニオンギアを用い、このピニオンギアに噛合するラックを可動棒部材17に形成してもよい。本図ではアクチエータとして図5(b)に示すモータMとラック182aとピニオンギア182bとからなるものを採用している。
その他にも、図示はしないがインピーダンス変化型の距離センサを用いてもよい。たとえば、コイル内に透磁率の高い心材を挿入し、この心材に上記可動棒部材17を連結したものである(インダクタンス変化型センサ)。これは、心材のコイル内への挿入量の変化、つまり可動棒部材17の軸方向変位、を透磁率の変化として検出するものである。または、相互に離間して対向する一対の電極のうちの一方に上記可動棒部材17を連結した、容量可変型センサ(面積変化型センサ)である。これは、可動棒部材17の軸方向変位に伴って両電極の向かい合っている面積が変化し、この面積変化に伴ってコンダクタンスが変化するが、可動棒部材17の移動距離をコンダクタンスの変化量として検出するものである。
また、図示しないが、可動棒部材に被検出板を貼着し、レーザー発振子を用いて被検出板における反射光を検出することによって非接触で可動棒部材の移動距離を検出するものでもよい。また、エンコーダを用いてパルス数を検出し、これによって可動棒部材の移動距離を検出するものであってもよい。
図1〜3に示す筋硬度計測装置15はV字アーム12の上部先端に取り付けられているが、本発明ではこれに限定されず、下部先端に取り付けてもよい。しかし、筋硬度計測装置15をV字アームの上部先端に取り付けておく方が、施療子9が被施療者の肩に移動したときに肩上部にまで回り込んで肩上部の筋硬度を容易に計測することができるので好ましい。
また、図7に示すように、筋硬度計測装置15をV字アーム12の中央に取り付けてもよい。図7(a)は施療子9の側面図であり、図7(b)は正面図である。かかる構成によれば、筋硬度計測装置15を取り付けるスペースに余裕が生じるので好ましい。V字アーム12の先端同士の離間距離は通常は160mm程度である。これは人間工学上、人の手が揉むときの親指と他の四本の指との感覚を参考にしたものである。上記のように筋硬度計測装置15の取付スペースに余裕がある場合は、図7(b)に示すように、両揉み玉13a、13bを結ぶ仮想直線Q上に圧力センサ16を位置させることが容易となる。その結果、筋硬度測定部位とマッサージ施行部位とを近づけることができるので好ましい。また、筋硬度計測装置15を作動させないときには圧力センサ16を被施療者の身体に対する非接触状態を確実なものとすることができるので好ましい。
揉み玉13の形状は、被施療者の身体表面に対する面圧が低くなるように、身体表面への接面が広いものが好ましい。たとえばレースカー用のタイヤのごとくである。
図8には、左右に一対配設された各施療子22が一個の揉み玉13cを備えたマッサージ装置21(図8(b))が示されている。片側の施療子22のみを示しているが、図示しない他方の施療子はマッサージ装置の背もたれ部23の中心線に対して左右対称形であるため、その説明を省略する。この施療子22も図1〜3に示す施療子9と同様に揉み動作および叩き動作が可能である。図8(a)に示すように各施療子22には一個の筋硬度計測装置15が取り付けられている。この筋硬度計測装置15はその圧力センサ16が揉み玉13cに近接し、圧力センサ16の先端が揉み玉13cの前端よりも若干寸法後退した位置に来るように配置されている。そして、圧力センサ16はマッサージを施すときには被施療者の身体に接触せず、筋硬度を測定するときには揉み玉13cの前端より外方に突出させられる。揉み玉13cはアーム24の先端に回転自在に取り付けられており、このアーム24は図示しない駆動ユニットを内蔵したハウジング25(図8(b))に取り付けられている。一方、筋硬度計測装置15もハウジング25に取り付けられており、圧力センサ16の突出方向は施療子22のアーム24と平行にされている。両者の平行状態を確実なものとするために、筋硬度計測装置15とアーム24とがブラケット26によっても相互に固定されている。図示しないが、筋硬度計測装置15の圧力センサ16、アクチエータ18および距離センサ19は前述のものと同一である。
図8(b)に示すように、本マッサージ装置21では背もたれ部23の面に沿うように施療子22の移動経路が配設されている。この移動経路はラック式のレール27であり、上記ハウジング25にはこのラックに噛合する駆動ピニオン28が配設されている。駆動ピニオン28はレール27の長手方向に間隔をおいて一対配設されている。また、圧力センサ16の突出方向および施療子22のアーム24の長手方向はレール27に垂直に被施療者の身体に向かうようにされている。これにより、被施療者の身体の表面が背もたれ部23に沿っている場合、施療子22はその位置に拘わらず常に被施療者の身体表面にほぼ垂直に作用し、筋硬度計測装置15もその圧力センサ16を被施療者の身体表面にほぼ垂直に押圧することになる。
図9(a)には、転動式の接触子29aを有する筋硬度計測装置29が示されている。この筋硬度計測装置29は、図2に示すようにV字アーム12の一先端に取り付けられた二個の揉み玉13b間に取り付けてもよく、図7に示すようにV字アーム12の中央凹部(両揉み玉13a、13b間)に取り付けてもよく、また、図8に示すように一個の揉み玉に対して取り付けてもよい。この接触子29aは可動棒部材17の先端に回転自在に取り付けられたローラである。この筋硬度計測装置29は、ローラ29aが被施療者の身体表面に押圧された状態で転動させられるときに受ける転がり抵抗力Fr(図9(b))から相対的な筋硬度を検出するものである。
図9(b)に示すように、可動棒部材17の先端には、たとえば前述の導電ゴム式の圧力センサ30が取り付けられており、被施療者の身体への押圧力が検出される。また、可動棒部材17には歪みゲージ31が貼着されており、この歪みゲージ31によってローラ29aの転動時の転がり抵抗力が検出される。さらに、筋硬度計測装置29には図示しない前述のアクチエータおよび距離センサが内蔵されている。そして、アクチエータは上記圧力センサ30からのフィードバック信号により、被施療者の身体表面にローラ29aから一定の押圧力が加わるように作動する。
図9(b)にこの転動式の筋硬度測定の原理を示す。半径Rのローラ29aを被施療者の身体表面に一定の押圧力Fvによって押圧した状態で転動させられるとき、ローラ29aが被施療者の身体から垂直抗力N(=Fv)を受ける点Pにおいて、進行方向Fと反対の方向に転がり抵抗力Frを受ける。この転がり抵抗力Frを受ける点Pと押圧力Fvの作用方向との離間距離Aが転がり抵抗係数と呼ばれ、転がり抵抗を特徴づける。これらの関係は下式で表される。
Fr=Fv×A/R
ここで、転がり抵抗力Frは歪みゲージ31によって知ることができ、押圧力Fvは圧力センサ30によって知ることができ、ローラ29aの半径は既知である。したがって、上記式から抵抗係数Aを得ることができる。この抵抗係数Aは被施療者の身体表面の硬さに応じて変化するため、この抵抗係数Aによって筋硬度を評価することができる。
以上説明した施療子9、22を有するマッサージ機構4は被施療者の首、肩、背中、腰等を施療し、これらの筋硬度を計測するものであったが、以下には手や足を施療し、これらの筋硬度を計測するマッサージ機構32を説明する。
図10(a)に示す上記マッサージ機構32は、腕、ふくらはぎ、太もも(以下、腕で代表させて説明する)を載置する載置台33上に移動可能に取り付けられている。この載置台33は、相互に平行に配設され且つラックが形成された二本のレール34と、両レール34の両端それぞれに固定された載置部35とを備えている。両載置部35には腕を載置しやすいように腕に沿う湾曲断面を呈した凹所Gが形成されている。両載置部35間のレール部分に往復移動自在に上記マッサージ機構32が係合されている。このマッサージ機構32は各レール34に係合する一対の係合部36と、両係合部36を繋ぐ円弧状のブリッジ37と、このブリッジ37の中央部にブリッジ37回りに回動可能(図10(b))に取り付けられた施療子38とを備えている。施療子38がブリッジ37回りに所定回転角だけ往復回動することにより、マッサージを施すことができる。
上記係合部36には図示しないモータとモータの出力軸に固定されたピニオンギヤとを備えている。このピニオンギヤが上記レール34のラックに噛合している。したがって、モータの駆動によってマッサージ機構32がレール34に沿って移動することができ(図10(a))、被施療者の腕や足に沿ってマッサージがなされる。また、上記ブリッジ37にはラックが形成されており、施療子38の本体39内には図示しないモータとモータの出力軸に固定されたピニオンギヤとが配設されている。このピニオンギヤがブリッジ37のラックに噛合し、モータの駆動によって施療子38がブリッジ37に沿って移動可能にされている(図10(c))。かかる構成により、被施療者の腕や足に対してその周方向に施療子38の位置合わせをすることができる。
図10(b)に示すように上記施療子38は、上記本体39から上記ブリッジ37と交差する双方向であり且つ両レール34が成す面に向かって延びた一対のアーム40を有しており、各アーム40の先端には揉み玉41が回転自在に取り付けられている。
上記本体39には、上記両アーム40の間を両レール34が成す面に向かって延びるように筋硬度計測装置15が立設されている。そして、その圧力センサ16の先端が、二個の揉み玉41の前端を結ぶ仮想直線よりも若干寸法後退した位置にあり、筋硬度計測装置15が筋硬度を測定するときに上記仮想直線より外方に突出させられる。
かかる構成により、被施療者の腕や足について前述のマッサージ機構4と同様にその筋硬度を計測することができる。
以上に説明したマッサージ装置では、その施療子とは別に筋硬度計測装置を配設しているが、本発明ではかかる構成に限定されない。たとえば、施療子を筋硬度計測に用いるように構成してもよい。すなわち、施療子と筋硬度計測装置との兼用である。たとえば図8(a)を参照して説明すれば、施療子22のアームを可動棒部材とし、この可動棒部材を図5に示すアクチエータで進退駆動し、ハウジング25に距離センサを内蔵し、圧力センサとしては前述した種々のものを選択することができる。または、図9に示す転動式の筋硬度計測装置29を施療子として用いてもよい。そのローラ29aを施療子として機能させることが可能である。
以上のように、施療子と筋硬度計測装置とを兼用する場合には、背もたれ部の表面から後退した位置にこの筋硬度計測装置の先端が配置されるようにしておく。こうすると、被施療者が背もたれ部にもたれたときにも、筋硬度計測装置の押圧子が被施療者の身体に接触することがない。そして、筋硬度の計測のときおよびマッサージ施行のときに、筋硬度計測装置の押圧子を背もたれ部の表面から進出させればよい。
また、如上のマッサージ装置では、その筋硬度計測装置が施療子に取り付けられているが、本発明ではかかる構成に限定されない。筋硬度計測装置と施療子とを別体として、相互に独立して被施療者の身体表面に沿って移動しうるように構成してもよい。たとえば、図1においては、図示しないが施療子の昇降台6とは独立して昇降する昇降台に筋硬度計測装置を取り付けることができる。また、図10に示す手足のためのマッサージ機構では、図示しないが、マッサージ機構32とは別体の移動子を配設し、この移動子に筋硬度計測装置を取り付けることができる。そして、まず筋硬度計測装置を所定経路に沿って移動させながら被施療者の身体の各部の筋硬度を計測し、その後に被施療者の身体の任意の部位に施療子を移動させてマッサージを施行することができる。
図11〜13に示すように、本マッサージ機構4には被施療者の肩の位置を検出するための肩位置センサ42が配設されている。この肩位置センサ42は、マッサージ機構4の上下ストロークの原点、たとえば上下ストロークの上端位置、からマッサージ機構4を移動させて被施療者の肩の位置を検出するものである。肩位置の特定は昇降用モータ7の出力軸の回転を検出する回転センサ(図示しない)によって行う。つまり、上記原点から肩位置までの昇降用モータ7の回転数(累積回転角)によって特定する。そして、原点から肩位置までの距離が後述するメモリ53に記憶される。上記昇降用モータ7としては直流モータを選択するのが好ましい。直流モータは印加される電圧を変えることによって任意の速度を得ることができるので、停止位置の手前で速度を低下させるような制御によってマッサージ機構4の位置制御が容易となるからである。
図示のごとく肩位置センサ42は、上記V字アーム12を揺動自在に枢支する枢支体44に取り付けられている。この枢支体44は図12に示すように左右一対に形成されており、両枢支体の間にV字アーム12が貫入した上でピン45によって枢支されている。そして、両枢支体44を左右に貫通する貫通孔46が形成されている。一方の枢支体44aの貫通孔46aには発光素子47が配設され、他方の枢支体44bの貫通孔46bには発光素子47からの光線を受光するための受光素子48が配設されている。しかし、V字アーム12の揺動位置によっては発光素子47からの光線がV字アーム12によって遮られて受光素子がこの光線を検出することができない。図11中に実線で示すのがV字アーム12によって光線が遮られている状態であり、二点鎖線で示すのが受光素子48が光線を検出し得る状態である。かかる構成によってV字アーム12の揺動を検出し、その結果、被施療者の肩位置が検出されるというものである。
図13に示すように、マッサージ装置1に着座した被施療者に当接させてその背中に沿って施療子9を昇降させる。このとき、すなわち施療子9がH位置にあるときにはV字アーム12は発光素子47の光線を遮ってはいない(図11の二点鎖線の状態)。そして、図示のごとく施療子9の上方の揉み玉13bが被施療者の首か肩に達すると(J位置)、V字アーム12が矢印K方向に揺動する。そうするとV字アーム12は発光素子47の光線を遮り(図11の実線の状態)、肩位置センサ42がV字アーム12の所定範囲の揺動を検出し、その結果、施療子9が被施療者の肩に至ったことが検知される。
図1に示すようにV字アーム12は左右それぞれに設けられているが、この肩位置センサ42も両アームに対応するように左右に一対設けられている(図1には図示しない)。かかる構成により、たとえば両肩位置センサ42によって検出された値等について、その平均値を採用することによってより正確な揺動を検出することが可能となる。
図14に示す制御装置50が本マッサージ装置1、21(以下、符号1で代表させる)に内蔵されている。この制御装置50は、マッサージ機構4、5、32(以下、符号4で代表させる)および筋硬度計測装置15、29(以下、符号15で代表させる)の動作を制御し、筋硬度計測装置15によって計測された筋硬度に基づいて被施療者の体調を判断し、この体調に応じたアドバイス等の、被施療者にとって有用な情報を出力するためのものである。さらに、マッサージ内容を選定し、選定されたマッサージ内容をマッサージ機構4に指示するものである。
この制御装置50は、マッサージ機構4および筋硬度計測装置15の移動を制御する移動制御部51と、マッサージ動作制御部52と、マッサージ動作プログラム、筋硬度計測プログラム、問診プログラム、問診結果や筋硬度計測結果から体調を判断しマッサージ内容を選定するマッサージ内容選定プログラム等の各種プログラムを含めた複数の情報を記憶するメモリ53と、プログラムを実行するCPU54が配設されている。
また、このマッサージ装置1には、被施療者に関する情報(個人情報)を入力するための個人情報入力装置55と、問診結果や筋硬度計測結果に基づいて選定されたマッサージ内容を表示するためのマッサージ内容表示装置56と、被施療者の身体から計測された筋硬度等をその計測部位と対応させて表示する硬度マップ表示装置57とを備えている。この硬度マップ表示装置57は、前述したごとく、身体の各部位で測定した結果に基づいて疲労度(筋硬度)マップを作成できるものである。
上記移動制御部51は、マッサージ機構4および筋硬度計測装置15の位置を、その移動範囲を表す座標の上に検出し、且つ、この座標上の任意の位置に移動させるものである。上記メモリ53には座標記憶部53aが内蔵されており、マッサージ機構4および筋硬度計測装置15の移動範囲に対応した座標が記憶される。この座標は二次元の直角座標でも極座標でもよく、三次元の直角座標でも直角座標と極座標との組み合わせ(たとえば円柱や球)でもよい。この座標は被施療者の身体に対応させることが可能である。すなわち、たとえば前述した肩位置センサ42によって特定された身体上の特定位置(肩)を座標の基準位置(原点)とすればよい。マッサージ機構4および筋硬度計測装置15の移動は、移動駆動するモータとしてサーボモータを使用することによってその距離が特定できる。また、移動制御には身体上の特定位置、たとえば経穴の位置にマッサージ機構4および筋硬度計測装置15を移動させることも含まれる。肩位置センサ42によって検出された被施療者の肩位置を基準とした各経穴の位置までの距離および方向が上記座標記憶部53aに記憶されている。経穴は、被施療者の背面では、頭から首、肩および背中を経て腰部に至るまで脊椎の両側に脊椎に沿って75〜150mmの間隔をおいて存在している。そして、昇降用モータ7等の移動用モータの回転数によって施療子9の肩位置からの距離が逐次判断される。そして、判断された距離と予め座標記憶部53aに記憶された上記距離と比較演算して経穴位置を決定し、施療子9が各経穴に至る度に昇降用モータ7を停止させることができる。
マッサージ動作制御部52は、マッサージ機構の叩きモータ11a、揉みモータ11b、バイブレーションモータ5、昇降用モータ7等の各モータの作動を制御することにより、選定されたマッサージ動作を実行するものである。
身体におけるマッサージ機構4および筋硬度計測装置15の移動範囲内で網羅的に筋硬度の計測およびマッサージの施行が可能ではあるが、上記構成により、、経穴等の特定部位に対してのみ筋硬度の計測およびマッサージの施行が可能となる。メモリ53には個人硬度マップ記憶部53bが内蔵されており、各部位において計測された筋硬度は上記座標記憶部53aに記憶された座標に対応するようにここ53bに記憶される。この筋硬度は後述する個人情報に対応して記憶されるため、一台のマッサージ装置1に複数の被施療者の筋硬度を記憶することができる。さらに、同一被施療者の筋硬度を時期を変えて複数回計測した場合に、計測筋硬度を時系列的に記憶することも可能である。こうすることにより、筋硬度の変化率や変化量を検討材料として被施療者の体調を判断し、最適なアドバイスやマッサージを提供することが可能となる。さらに、マッサージの施行前後の筋硬度を比較することにより、当該被施療者の疲労の回復度合いを知り、マッサージの効果を知ることも可能である。
上記座標記憶部53a、個人硬度マップ記憶部53bまたは後述の標準硬度マップ記憶部53cには、経穴情報、すなわち経穴の位置、当該経穴名、当該経穴に関連する臓器名、当該臓器に関係する病名等を、そこに記憶された座標または硬度マップに関連づけて記憶しておいてもよい。
上記個人情報入力装置55は、たとえば民族、年齢、性別、身長、体重等の個人情報をマイクロホン58(図1)を通して音声によって入力するものであり、音声分析処理およびマッチング処理して入力音声を認識する。もちろん、音声入力に代えてまたは音声入力とともに、操作器59(図1)のキーによって表示画面60(図1)上に入力する構成を採用してもよい。操作器59およびマイクロホン58ともに入力手段である。メモリ53には個人情報記憶部53dが内蔵されており、上記個人情報がここに記憶される。たとえば経穴の位置は民族、体格、性等によって多少異なるので、この個人情報に応じた経穴位置を特定することが可能となる。また、後述するように、計測された被施療者の筋硬度を評価する上で上記個人情報が有用となる。
また、メモリ53には標準硬度マップ記憶部53cが内蔵されている。この標準硬度マップ記憶部53cには、座標記憶部53aに記憶された座標に対応するように健全な人体の筋硬度が記憶されている。すなわち、標準硬度としてこの健全体の筋硬度が採用されている。健全な人体の筋硬度は臨床データに基づいて得られた値が、たとえば民族、年齢、性別、身長、体重等ごとに分類されて記憶されている。したがって、座標上の同一位置における被施療者の身体の硬度を、当該被施療者の個人情報に対応する上記健全な人体の硬度と比較検討することによって適正な評価が可能となる。
図15を参照しつつ上記個人硬度マップおよび標準硬度マップによる被施療者の筋硬度評価の一例を説明する。図14(a)は被施療者の身体上で計測された筋硬度を座標上に分布させたもの(分布Aと呼ぶ)である。図14(b)は被施療者の個人情報に対応する健全体の筋硬度を上記計測筋硬度の座標と同一座標上に分布させたもの(分布Bと呼ぶ)である。図14(c)は座標上の同一位置における分布Aの筋硬度から分布Bの筋硬度を減じた値を該当座標位置に分布させたもの(分布Cと呼ぶ)である。分布Cにおいて+値が示されている部位については筋肉のこりが発生していると判断する。また、座標上に経穴位置を示しておけば、経穴位置での筋肉のこりが、後述するように対応する内蔵の異常を推測することに役立つ。なお、分布Aの筋硬度から分布Bの筋硬度を減ずるのに代えて、分布Aの筋硬度を分布Bの筋硬度によって除した値を分布Cとしてもよい。
また、上記硬度マップ表示装置57には、前述した座標、分布A、分布Bおよび分布C等が表示される。この場合、分布A、分布Bおよび分布Cをそれぞれ異なる画面に表示してもよく、また、三者をラップさせて表示してもよい。以上の硬度マップに、人体の二次元的外形または三次元的外形および骨格等をラップさせて表示してもよい。また、分布Aについては、異なる時期に複数回計測した場合に、上記操作器59の操作によって画面を変えて時系列的に表示するように構成してもよい。さらに、座標は二次元のみならず三次元で表示してもよい。たとえば、腕、足、背中に対する肩のように人体表面に沿って三次元で表示する方が判りやすいからである。さらに、座標上で経穴に相当する位置には特別の表示を加えてもよい。また、異なる時期に複数回計測した場合に、分布Aについてたとえばグラフ表示等によって筋硬度の時間的変化を表示するように構成してもよい。以上の各表示項目を選択して表示させてもよい。さらに、個人情報を併せて表示するようにしてもよい。
上記個人情報記憶部53dには問診結果をも加えて個人情報として記憶しておいてもよい。この問診は、たとえば、質問をマッサージ装置1内臓のスピーカ61(図1)を通して合成音声によって行ってもよく、または、操作器59上の表示画面60に質問事項を表示するように構成してもよい。スピーカ61および表示画面60ともに出力手段である。そして、この質問に対し、操作器59上でイエスかノーかを選択してボタンを押して回答をすように構成してもよく、また、マイクロホン58を通して音声によって回答するように構成してもよい。この問診内容としては、食欲の有無、身体のだるさの有無、睡眠不足の有無、体重の急激な変化の有無等である。これらの問診実行のためのプログラムは上記メモリ53に記憶させておけばよい。かかる問診結果と上記筋硬度の計測結果とを併せて評価することにより、より一層適切なアドバイスおよびマッサージの提供が可能となる。
上記メモリ53には体調情報記憶部53eが内蔵されている。この体調情報記憶部53eには、筋硬度等に基づいて導かれる筋肉の疲労度合い、ストレス度合い、内蔵の異常、身体の疲労等の内容(体調情報)が記憶されている。筋硬度等に基づいてとは、たとえば、計測された筋硬度値のみならず、計測された筋硬度の時間的変化率、健全体の筋硬度との比較、入力された食欲の有無、身体のだるさの有無、睡眠不足の有無、体重の急激な変化の有無等の個人情報等、およびこれらの組み合わせから、東洋医学の理論に基づいて推論することである。この推論はメモリ53に記憶された演算プログラムによってCPU54が実行する。これら検討材料から該当体調を導く手法としては現在ではいわゆるエキスパートシステムが好適であろう。
上記メモリ53にはマッサージ内容記憶部53fが内蔵されている。このマッサージ内容記憶部53fには、前述した各体調情報と対応するマッサージ内容が記憶されている。すなわち、計測筋硬度等から導かれたある体調に最適なマッサージ内容が関連づけられて記憶されている。このマッサージ内容の種類としては、ローリング、揉み、叩き、指圧、超スロー揉み等である。具体的な例としては、たとえば導かれた体調が肩こりである場合、被施療者の肩に対する揉みおよび叩きのマッサージが関連づけられる。また、導かれた体調が肩こりであり、さらにこの結果から肺ユ(経穴の一つ)に異常が認められると、呼吸器系疾患の可能性があると判断され、肺ユおよび肩から背中にかけてのマッサージが関連づけられる。この推論はメモリ53に記憶された演算プログラムによってCPU54が実行し、選択されたマッサージを上記マッサージ機構4に施行させる。
また、このマッサージ内容記憶部53f、上記個人硬度マップ記憶部53bまたは個人情報記憶部53dには、当該被施療者の過去の施療履歴を記憶させるようにしてもよい。すなわち、計測した筋硬度、対応する体調、対応するアドバイス、対応して選択、施行されたマッサージ内容である。
このマッサージ内容記憶部53fには、各体調情報と対応下適切なアドバイス事項をさらに記憶させておいてもよい。このアドバイス事項とは、たとえば、「毎日軽い運動を行ってください」、「過激な運動を控えて休息してください」、「好きな音楽を聴いてリラックスしてください」、「規則正しい生活を心がけてください」、「仕事のペースを少し落としてみてください」、「睡眠を十分にとってください」等である。
上記マッサージ内容表示装置56には、前述した筋硬度および個人情報、これらに対応した体調情報、および、この体調情報に対応した適切なアドバイス事項およびマッサージ内容が表示される。また、このマッサージ内容表示装置56には同一被施療者の過去の体調情報および施行したマッサージ内容等を時系列的に表示するようにしてもよい。
図16および図17を参照しつつ、かかるマッサージ装置1の作動を以下に説明する。
(1)まず、被施療者がマッサージ装置1に座り、操作器59を操作してマッサージ装置1に筋硬度計測動作および問診動作を行わしめる。被施療者は表示画面60を見ながら操作機59を操作して自分の年齢等の個人情報を入力する。一方、背もたれ部2内のマッサージ機構4がその原点である上端位置から下降を始める。
(2)肩位置センサ42が肩位置を検出して原点から肩位置までの距離を記憶する。
(3)つぎに、初期の問診が開始される。すなわち、問診にかかる質問が表示画面60またはスピーカ61を通してなされる。たとえば、「食欲はありますか?「はい」または「いいえ」でお答えください。どうぞ。」、「身体がだるいですか?「はい」または「いいえ」でお答えください。どうぞ。」、「睡眠はとれていますか?「はい」または「いいえ」でお答えください。どうぞ。」、「過激な運動をしましたか?「はい」または「いいえ」でお答えください。どうぞ。」、「最近、大きな体重の変化はありますか?「はい」または「いいえ」でお答えください。どうぞ。」等の体調に関する一般的な質問(以下、初期問診という)である。この質問に対して被施療者は操作器59によって表示画面60に「イエス」または「ノー」と入力するか、または、マイクロホン58に向かって「はい」または「いいえ」と口頭で答える。
(4)入力された回答情報が個人情報記憶部53dに記憶される。このような一般的質問をするのはマッサージによって治療するための刺激点、すなわち、経穴を選択することができ、また、体調を推論するのに有用だからである。
(5)つぎに、被施療者が操作器59の操作により、または自動的に筋硬度計測動作が開始される。マッサージ機構4が肩位置から所定の経穴位置(通常は肩位置から最も近い経穴)まで移動して止まり、(6)(7)そこで被施療者の身体(経穴)に筋硬度計測装置15を作動させて経穴位置での筋硬度を計測する。ついで、マッサージ機構4は次の経穴位置まで移動して止まり、そこで上記と同様に筋硬度計測装置15を作動させて経穴位置での筋硬度を計測する。この動作を予め定められた経穴の全てに対してに対して行う。マッサージ機構4の各経穴への移動順序は限定されず、マッサージ機構4の上昇下降は随時行われるが、一方向(例えば下降)のみの移動にすれば時間短縮が可能となる。
(8)筋硬度計測が終了すると、初期問診の結果および計測筋硬度から体性内臓反射の相関を演算し、被施療者の体調等を特定する。
(9)表示画面60に前述した筋硬度のマップ、対応する体調情報を表示する。
(10)特定された被施療者の体調等に対応した適切なマッサージコースを選択する。
(11)選択されたマッサージ内容を表示画面60に表示する。
(12)(13)(14)選択されたマッサージが規定時間実行される。
(15)そして、マッサージ装置1の作動が終了する。
異なる実施形態では、上記(1)から(11)までの作動が終了したのち、マッサージコースの選択に代えてまたはこの選択とともに、上記体調およびこれに対応した適切なアドバイス事項を選択し、スピーカ61を通して音声で出力するか、表示画面60にこれを表示してもよい。
以上説明した実施形態では経穴における筋硬度の計測を中心にしたが、本発明ではとくに経穴のみの筋硬度を計測するものに限定されない。筋硬度計測装置の移動範囲であれば身体のいかなる部位において計測してもよい。
図18には触診マッサージシステムの一例が示されている。この触診マッサージシステム(以下、単にシステムという)71は、それぞれがユーザー端末72を有した一台以上のマッサージ装置73と、各ユーザー端末72とネットワーク74を介して接続されたサーバーマシン75とを備えている。ユーザー端末72には、上記入力手段58、59および出力手段60、61に接続された制御装置76が配設されている。この制御装置76には筋硬度計測プログラムおよびマッサージ動作プログラム等を格納したメモリ76a、並びに、これらのプログラムを実行するCPU77を備えている。筋硬度の計測結果を分析して体調等を判断する分析判断プログラムは上記サーバーマシン75に備えられている。また、ユーザー端末72には筋硬度計測結果の情報をサーバーマシン75に送信し、且つ、サーバーマシン75から当該計測結果に対応する被施療者の体調情報、この体調に対応した適切なアドバイス、体調に対応した適切なマッサージ内容の情報を受信する第一送受信手段78が備えられている。もちろん、この第一送受信手段78をマッサージ装置73に備えることなく、別体で配設したり、既設のホームサーバーマシンを第一送受信手段として用いてもよい。ユーザー端末72からサーバーマシン75に送信する情報は筋硬度計測結果に限らず、被施療者の個人情報および当該被施療者の施療履歴を含めてもよい。
一方、サーバーマシン75には上記分析判断プログラムを格納したメモリ79、この分析判断プログラムを実行するCPU80、ユーザー端末72からの計測筋硬度等の情報を受信し、且つ、当該情報に対応する被施療者の体調情報、この体調に対応した適切なアドバイス、体調に対応した適切なマッサージ内容の情報をユーザー端末72に送信する第二送受信手段81が備えられている。もちろん、サーバーマシン75からユーザー端末72には計測結果に対応する被施療者の体調情報、および、体調に対応した適切なアドバイスのみを送信し、ユーザー端末72においてかかる情報にに対応した適切なマッサージ内容を選択するようにしてもよい。
この構成により、サーバーマシン75の機能向上が可能となり、一層の高速演算により、多量のデータを用いてより詳細な被施療者の体調を把握することができる。その結果、より詳細なアドバイスを提供し、より適切なマッサージを施すことが可能となる。また、一台のサーバーマシン75と多数台のマッサージ装置73とをネットワーク74で接続することにより、各地の温泉旅館やホテル、百貨店の家具売場、東洋医学による医療現場、一般家庭、スポーツクラブ、ゴルフ場、リラクゼーション施設等にマッサージ装置73を設置して同等の施療サービスを行うことが可能となる。
ユーザー端末72は音声等(画像を含む場合がある)の情報の通信ができるようなものであり、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、情報提供装置等、また、図示しないが携帯情報端末装置を含む。上記両送受信手段78、81は各種のネットワークを介した通信を可能とするためのインターフェースであり、ネットワーク制御部とも言える。
本実施形態においては、単にネットワーク74として示してあるが、このネットワーク74は、ユーザー端末72の形態に応じた情報の通信ができるようなものを意味する。ユーザー端末72の形態が多岐に亘る場合には複数の種類のネットワークを組み合わせたものとなる。