JP4679940B2 - スクリーン印刷機 - Google Patents

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Description

本発明はスクリーン印刷機に係り、とりわけ、スクリーン版の版離れを促進し、かつスクリーン版の離版速度の変動を抑制することができるスクリーン印刷機に関する。
従来、スクリーン印刷機は、被印刷物上の所望の場所に塗工液を印刷(転写または配置)することに用いられる。そして、今日において、スクリーン印刷機は、紙面への活字や図形の印刷に限られず、エレクトロニクス分野を始めとする様々な分野で用いられるようになっている。
図9に従来のスクリーン印刷機10aの概略を示す。スクリーン印刷機10aは、被印刷物4を載置する印刷台12と、印刷台12の上方に被印刷物4と間隔を空けて配置されたスクリーン版16と、スクリーン版16上を移動するスキージ22と、を備えている。
スクリーン版16は、その外縁をスクリーン保持部材18に張設、すなわち張った状態で保持されている。また、スクリーン版16には、スクリーン版16上から被印刷物4上に塗工液(インキまたはインキに相当するペースト状物体)2を通過させるための吐出孔が、所望の印刷パターンに対応して設けられている。
このようなスクリーン印刷機で所望の印刷パターンを被印刷物に印刷する場合、スキージがスクリーン版を押圧してスクリーン版を被印刷物に線状に当接させるとともに、スクリーン版上を移動する。このとき、スクリーン版上であってスキージの移動方向前方に配置された塗工液はスキージの移動およびスクリーン版の被印刷物への当接にともない、スクリーン版の吐出孔に充填されるとともに被印刷物に接触する。そして、スキージが通過すると、スクリーン版は自らの復元力によって被印刷物から離間、すなわち、版離れし、このとき、スクリーン版の吐出孔に充填された塗工液は被印刷物上に配置されたままスクリーン版から分離し、被印刷物上に所望のパターンが印刷(転写)される。
ところで、スクリーン印刷機に用いられる塗工液は通常ある程度の粘性を有している。この塗工液の粘性により、塗工液を介して被印刷物に接触したスクリーン版が、スキージの通過直後に被印刷物から離れない(版離れしない)ことがある。この場合、スクリーン版の版離れ速度が大きく変動し、塗工液の飛び散りまたはパターンの剥がれ等が生じてしまい、精度よく所望のパターンを印刷することができないという不具合が生じる。
また、図10(a),(b),(c)に示すように、仮にスクリーン版の版離れがスムースに行われたとしても、印刷時におけるスキージ後方でのスクリーン版の版離れ角度θ(スクリーン版と被印刷物とがなす角度)はスキージの移動にともなって徐徐に小さくなっていく(θs>θc>θe)。この版離れ角度の変動によって、スクリーン版の版離れ引き上げ力、またこれにともなって版離れ速度が変動し、これにより、被印刷物に印刷されるパターンの厚み(塗工液の転写量)が均一にならないという不具合が生じる。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、スクリーン版の版離れを促進し、かつスクリーン版の離版速度の変動を抑制することができ、これにより、所望のパターンを精度よく印刷することができるスクリーン印刷機を提供することを目的とする。
本発明は、被印刷物を載置する印刷台と、印刷台の一側上方に上下方向へ移動自在に設けられた一側保持部材と、印刷台の他側上方に設けられた他側保持部材と、一側保持部材および他側保持部材に保持され、印刷台の上方に配置されたスクリーン版と、スクリーン版上を移動するスキージと、を備え、スキージがスクリーン版上を一側から他側に向けて移動するのにしたがって、一側保持部材が上方に移動することを特徴とするスクリーン印刷機である。
本発明は、スキージの側方に設けられ、スキージの一側から他側への移動に同期して一側から他側へ移動する案内部材をさらに備え、案内部材は一側上方に延びる上方誘導孔を有し、一側保持部材が案内部材の上方誘導孔と係合することを特徴とするスクリーン印刷機である。
本発明は、スキージの側方に設けられ、スキージの一側から他側への移動に同期して一側から他側へ移動する案内部材をさらに備え、案内部材は、案内部材の移動方向と平行に延びる平行孔と、平行孔の一側に設けられ一側上方に延びる上方誘導孔と、からなる案内孔を有し、一側保持部材および他側保持部材が案内部材の案内孔に係合することを特徴とするスクリーン印刷機である。
本発明は、上方誘導孔は曲線状からなることを特徴とするスクリーン印刷機である。
本発明によれば、スキージが一側から他側へ移動するのにしたがって、スクリーン版の一側を保持する一側保持部材が上方へと移動する。したがって、スクリーン版の版離れを促進し、スクリーン版をスムースかつ確実に被印刷物から離間させることができる。また、印刷中における版離れ角度の変動が緩和されるので、スクリーン版の版離れ速度の変動を抑制することができる。これらにより、所望の印刷パターンを精度良く印刷することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は本発明によるスクリーン印刷機の一実施の形態を示す図である。
このうち図1はスクリーン印刷機10を示す斜視図であり、図2はスクリーン印刷機10を示す側面図であり、図3はスクリーン印刷機10を示す平面図であり、図4(a),(b),(c)は各印刷時(印刷開始時、印刷中間時、印刷終了時)におけるスクリーン印刷機10の状態を示す図であり、図5および図6はスクリーン印刷機10の案内部材30の設計方法を説明する図である。
図1乃至図6に示す本実施の形態のスクリーン印刷機10において、図9および図10(a),(b),(c)を用いて説明した従来のスクリーン印刷機10aと同一部分には同一符号を付すとともに、重複する説明の一部を省略する。
なお、図9は従来のスクリーン印刷機10aを示す側面図であり、図10(a),(b),(c)は各印刷時(印刷開始時、印刷中間時、印刷終了時)における従来のスクリーン印刷機10aの状態を示す図である。
図1乃至図6に示すように、本実施の形態によるスクリーン印刷機10は、被印刷物4を水平に載置する印刷台12と、印刷台12の一側上方に上下方向へ移動自在に設けられた一側保持部材24と、印刷台12の他側上方に設けられた他側保持部材27と、一側保持部材24と他側保持部材27とに保持され、印刷台12の上方に被印刷物4と間隔を空けて配置されたスクリーン版16と、スクリーン版16上を移動するスキージ22と、を備えている。また、スクリーン印刷機10は、スキージ22の両側外方に設けられ、スキージ22の一側から他側への移動に同期して一側から他側へ移動する一対の案内部材30,30をさらに備えている。
なお、本実施の形態において一側とは、印刷時におけるスキージ22の移動開始側であって、図1乃至図4における紙面の右側をさし、一方、他側とは、印刷時におけるスキージ22の移動終了側であって、図1乃至図4における紙面の左側をさす。また、図1、図2、および図4においては、紙面おける手前側に配置される案内部材30を省略している。
一側保持部材24および他側保持部材27は、印刷台12に対し上下方向のみに相対移動自在となるよう固定されている。ただし、後述するように、一側保持部材24および他側保持部材27は案内部材30の案内孔32と係合することによって上下方向への自由な移動を拘束されている。
スクリーン版16は、一側保持部材24と他側保持部材27との間に張設、すなわち張った状態で保持されている。また、スクリーン版16には、スクリーン版16上から被印刷物4上に塗工液(インキまたはインキに相当するペースト状物体)2を通過させるための吐出孔(図示せず)が、所望の印刷パターンに対応して設けられている。
なお、本発明におけるスクリーン版16とは、古くから広く用いられてきた網目状の紗を有する版だけでなく、昨今エレクトロニクスの分野において用いられているメタルマスクや樹脂マスクを含む概念である。このうち紗を有する版としては、ナイロンやテトロン等の化学繊維、またはステンレス等を網目状に編み込んだ紗と、アルミ、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮等からなり、前述した吐出孔が所望パターンに対応して設けられたシートとを積層したもの、あるいは紗の網目のうち吐出口を除く範囲に樹脂が入り込んでいるもの等があげられる。一方、エレクトロニクスの分野、とりわけプリント回路やICの印刷に用いられるメタルマスクとしては、アルミ、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮等からなり、前述した吐出孔が所望パターンに対応して設けられたシート等があげられる。また樹脂マスクとしては、樹脂からなり、前述した吐出孔が所望パターンに対応して設けられたシート等があげられる。
図3に示すように、スクリーン版16は、一側保持部材24および他側保持部材27に把持された領域を含むスクリーン版16の縁部からなり、印刷に用いられない非印刷範囲16bと、非印刷範囲16bに囲まれる範囲であって、被印刷物4に当接させられて印刷に用いられる印刷有効範囲16aと、を有している。上述した吐出孔は当然に印刷有効範囲16a内に設けられている。また、本願において印刷時(印刷)とは、スクリーン版16の印刷有効範囲16aが被印刷物4と当接するとき、言い換えると、スキージ22がスクリーン版16の印刷有効範囲16a上にありスクリーン版16に当接してスクリーン版16を被印刷物4に向けて押圧しているときを意味する。
次にスキージ22について説明する。
図1乃至図3に示すように、スキージ22は幅方向(図2における紙面の奥行き方向であって、図3における紙面の上下方向)に沿って延びる略平板状からなっている。スキージ22はスクリーン版16の上方に配置され、図示しない駆動手段により一側と他側との間を移動自在となっている。なお、本実施の形態において、この移動は、印刷台12上に載置された被印刷物4に平行であり、水平方向に沿っている。また、スキージ22は上下方向にも移動自在となっており、降下してスクリーン版16に当接し、さらに、スクリーン版16が被印刷物4へ線状に接触するまでスクリーン版16を押圧することができるようになっている。
次に案内部材30について説明する。
案内部材30は、前述した駆動手段を介してスキージ22に連結されており、スキージ22の移動に同期して一側と他側との間を被印刷物4と平行に移動することができるようになっている。なお、案内部材30とスキージ22とが互いに対し上下方向へ相対移動自在となっていることが好ましい。
図1および図2に示すように、案内部材30は、案内部材30の移動方向と平行に延びる、すなわち水平方向に延びる細長状の平行孔32bと、平行孔32bの一側に連続して設けられ一側上方に向けて延びる細長曲線状の上方誘導孔32aと、からなる案内孔32を有している。なお、ここでいう「孔」とは溝状のくぼんだ部分および突き抜けている空所のいずれも含む、すなわち、溝および貫通穴のいずれも含む概念である。図3に示すように、本実施の形態においては、案内孔32は貫通穴からなり、一側保持部材24および他側保持部材27の各端部分24a,27a(図3以外の図においては省略)が、案内部材30の案内孔32に係合するように、さらに詳しくは、案内部材30の案内孔32内に配置され案内孔32に沿って案内部材30に対し相対移動自在となっている。
なお、図4(a)に示すように、印刷開始時において一側保持部材24の端部分24aは案内孔32の平行孔32bと上方誘導孔32aとの交点に配置されるようになっている。この案内孔32、とりわけ上方誘導孔32aの設計方法については後に詳述する。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態によるスクリーン印刷機10の場合も、従来のスクリーン印刷機10aと同様にして被印刷物4にパターンを印刷する。すなわち、スキージ22がスクリーン版16を押圧してスクリーン版16を被印刷物4に線状に当接させるとともに、スクリーン版16上を移動する。そして、スクリーン版16上であってスキージ22の移動方向前方に配置された塗工液2はスキージ22の移動およびスクリーン版16の被印刷物4への当接にともない、スクリーン版16の吐出孔に充填されるとともに被印刷物4に接触する。そして、スキージ22が通過すると、スクリーン版16は自らの復元力によって被印刷物4から離間、すなわち、版離れし、スクリーン版16の吐出孔に充填された塗工液2は被印刷物4上に配置されたままスクリーン版16から分離し、被印刷物4上にパターンが印刷(転写)される。
このとき、従来のスクリーン印刷機10aにおいては、図10(a),(b),(c)に示すように、スクリーン版16を一側(印刷開始側)で保持する一側保持部材24は被印刷物4から一定間隔を空けた上方に固定されていることから、印刷が進みスキージ22が印刷開始側のスクリーン版16の保持位置から遠ざかるにつれて、スキージ後方におけるスクリーン版16の版離れ角度θ(図9)はしだいに小さくなっていく。
一方、図2に示すように、本実施の形態によれば、一側保持部材24および他側保持部材27の各端部分24a,27aは案内部材30の案内孔32内に配置されており、案内部材30はスキージ22の移動に同期して移動する。この間、図4(a),(b),(c)に示すように、一側保持部材24は案内孔32のうち他側から一側へ向けて上方に延び上がる上方誘導孔内32aにある。そして、上述したように一側保持部材24の水平方向に沿った位置Pが固定されていることから、一側保持部材24は、移動する案内部材30の上方誘導孔32aと一側保持部材24の水平方向位置Pとの交点に配置されることになる。
すなわち、スキージ22がスクリーン版16上を一側から他側へ向けて移動するのにしたがって、一側保持部材24が上方に移動する(図4(a),(b),(c))。このように印刷が進むのにつれて一側保持部材24が上方に徐徐に移動していくことから、スクリーン版16のスムースな版離れを促進することができるとともに、印刷中における版離れ角度θの変動を抑制することができる。このことにともなって版離れ引き上げ力および版離れ速度(離版速度とも呼ぶ)の変動が抑制され、塗工液2の飛び散りまたはパターンの剥がれ等を生じさせることなく、所望の塗工液の転写量により所望のパターンを均一な厚みで精度よく印刷することができる。
またさらには、各印刷時における一側保持部材24の上下方向に沿った位置は、案内部材30の案内孔32の形状によって決定されるので、案内孔32の形状を適正に設計することにより、版離れ角度θを印刷中の間に渡って一定にすることも可能である。この場合、版離れ引き上げ力および版離れ速度が印刷の間に渡って略一定となり、さらに精度良く印刷することができる。
一方、このような一側保持部材24に対して他側保持部材27の端部分27aは、案内孔32のうち他側に設けられた平行孔32b内に配置されている。この平行孔32bは案内部材30の移動方向と平行、すなわち、被印刷物4と平行になっている。したがって、印刷中、他側保持部材27は被印刷物4から一定間隔を空けた位置にあり、上下方向に変動することはない。
このようにして印刷が終了すると、スキージ22が上方に移動し、スクリーン版16が被印刷物4から完全に離間する。その後、スキージ22が他側から一側へ移動するとともに、案内部材30もスキージ22の移動に同期して他側から一側に移動する。この間、一側保持部材24は、案内部材30の移動にともなって降下し、図4(c)に示す位置から図4(a)に示す位置に戻る。そして、印刷された被印刷物4が印刷台12から取り除かれ、その後、新しい被印刷物4が印刷台12に設置され、この新たな被印刷物4に対して印刷が上述した方法により施される。
次に案内部材30の案内孔32の設計方法について、特に図5および図6を用いて説明する。
図5および図6は案内孔32の設計方法を説明する図であって、スクリーン印刷機10の一側における概略構成を示す模式図である。図中のAはスキージ22のスクリーン版16への当接位置であり、Bは一側保持部材24の配置位置であり、Cは案内孔32の平行孔32bと上方誘導孔32aとの交点を示している。また図中において、実線はスクリーン版16を示し、点線は案内孔32の形状を示している。なお、図中においてsを付された各符号は印刷開始時の状態を示している。
図5には、右側に印刷開始時におけるスクリーン版16が示され、その左側にスキージ22が一定距離xだけ移動した後におけるスクリーン版16が示されている。案内部材30はスキージ22の移動に同期するため、移動後の交点Cと移動前の交点Csとは一定距離xだけ離間している。上述してきたように、一側保持部材24の上下方向位置が不変である場合、版離れ角度θは印刷開始時に最も大きくなる。このため、印刷開始時から印刷終了時までの間、版離れ角度θが常に印刷開始時の版離れ角度θsとなるよう、一側保持部材24が上方に移動することが好ましい。したがって、図5に示すように、上方誘導孔32aは交点において平行孔32bから角度θs(印刷開始時における版離れ角度)だけ一側上方へ向けて傾いていることが好ましい。
図5に示すように、印刷開始時における版離れ角度θsは、印刷開始時におけるスクリーン版16の一側における保持位置までの被印刷物4からの高さをhsとし、印刷開始時におけるスクリーン版16の一側における保持位置から印刷開始時におけるスキージ22のスクリーン版16への当接位置までのスキージ移動方向に沿った離間長さをaとすると、式1で表すことができる。
θs=Tan−1(hs/a) ・・・式1
また、スクリーン版16の移動方向に沿った長さが長い場合、あるいは撓みやすい材料から構成されている場合等には、スキージ22が一側保持部材24から大きく離間すると、図4(c)に示されているようにスクリーン版16が下方に撓んでしまうことが想定される。このような場合、スキージ22が一側から他側へ向かうにつれて、わずかであるが、版離れ角度θが想定した角度θsよりも徐徐に小さくなっていく。本実施の形態においては、このようなことを想定し、上方誘導孔32aは、上方誘導孔32aと平行孔32bとの交点Cを通り平行孔32bに対して角度θsだけ一側上方へ傾いた傾斜線Lに対し、交点Cにおいて接する曲線であって、一側に向かうにつれて傾斜線Lから上方にずれていく曲線に沿った軌跡となっている。
このようにして案内部材30の案内孔32を設計することにより、スムースな版離れを促進するだけでなく、印刷中における版離れ角度θを略一定にすることもできる。これにより、版離れ引き上げ力および版離れ速度の変動が抑制され、塗工液2の飛び散りまたはパターンの剥がれ等を生じさせることなく、所望の塗工液の転写量により所望のパターンを均一な厚みで精度よく印刷することができる。
以上のように本実施の形態によれば、スキージ22がスクリーン版16上を一側から他側に向けて移動するのにしたがって、スクリーン版16の一側を保持する一側保持部材24が上方へと移動する。したがって、スクリーン版16の版離れを促進し、スクリーン版16をスムースかつ確実に被印刷物4から離間させることができる。また、印刷中における版離れ角度θの変動が緩和されるので、スクリーン版16の版離れ速度(離版速度)の変動を抑制することができる。これらにより、所望の印刷パターンを精度良く印刷することができる。
また、本実施の形態によれば、スクリーン印刷機10は、スクリーン版16の側方に設けられ、スキージ22の一側から他側への移動に同期して一側から他側へ移動する案内部材30をさらに備え、案内部材30は一側保持部材24の端部分24aと係合する案内孔32を有している。そして、案内部材30の案内孔32と一側保持部材24の端部分24aとの係合により、一側保持部材24は上方へ移動するようになっている。したがって、特別な制御等を用いてスクリーン印刷機10を複雑化させることなく、一側保持部材24をスキージ22の移動にともなって上方へ移動させることができる。
なお、本実施の形態において、一側保持部材24だけでなく他側保持部材27の端部分27aも案内孔32内に配置される例を示したが、これに限られない。図7に示すように、一側保持部材24だけが案内部材30の案内孔32に係合するようにしてもよい。図7において、図1乃至図6を用いて上述した本実施の形態のスクリーン印刷機10と同一な部分には同一符号を付すとともに詳細な説明は省略する。
図7に示す変形例においては、他側保持部材27は印刷台12に対して相対移動しないように固定されている。また、案内部材30の案内孔32は上述した上方誘導孔32aのみからなっている。このような変形例においても上述した実施の形態と同一の作用効果を奏することができる。
また、本実施の形態において、案内部材30の案内孔32のうち、他側保持部材27の端部分27aが配置される部分が直線状からなり、他側保持部材27は印刷中に上下方向へ移動しない例を示したが、これに限られない。図8に示すように、案内孔32のうち他側保持部材27の端部分27aが配置される部分の形状を変更することができる。図8において、図1乃至図6を用いて上述した本実施の形態のスクリーン印刷機10と同一な部分には同一符号を付すとともに詳細な説明は省略する。
この変形例において、案内孔32は、一側に設けられた上述の上方誘導孔32と、他側に設けられ他側保持部材27の端部分27aと係合する下方誘導孔32cと、上方誘導孔32aと下方誘導孔32cとを連結する平行孔32bとからなっている。図8に示されているように、このうち下方誘導孔32cは、上方誘導孔32aと対称な形状からなっており、他側から一側に向けて下方に延びている。他側保持部材27は下方誘導孔32c内に配置され、印刷中、下方誘導孔32c内を他側から一側へと下方誘導孔32cに対して相対移動し、これにより、上下方向においては下方に移動することになる。この上下方向への移動は一側保持部材24の上方へ向けた移動と逆向きの移動となる。したがって、図1乃至図6を用いて説明したスクリーン印刷機10に比べて、印刷中におけるスクリーン版16の伸張率の変動を緩和することができる。これにより、スクリーン版16の伸張に起因するスクリーン版16の引き上げ力および離版速度の変動を抑制することができる。また、版離れ角度(スキージ後方においてスクリーン版16と被印刷物4とがなす角度)θを印刷中に渡って略一定にすることができるのと同様に、スキージ前方においてスクリーン版16と被印刷物4とがなす角度θaも印刷中に渡って略一定にすることができる。すなわち、スクリーン版16と被印刷物4との接触状態を印刷中にわたって略一定にすることができる。これらのことから、さらに精度良く印刷することができる。
さらに、本実施の形態においては、一側保持部材24および他側保持部材27の印刷中におけるスキージ移動方向(水平方向)に沿った印刷台12に対する相対位置が固定されている例を示したが、これに限られない。例えば、図1乃至図6に示すスクリーン印刷機10において、他側保持部材27のスキージ移動方向(水平方向)に沿った位置が固定されるとともに、スクリーン版16に生ずる張力が一定となるよう、一側保持部材24のスキージ移動方向(水平方向)に沿った位置が決定されるようにしてもよい。すなわち、他側保持部材27はスキージ移動方向に移動することはないが、一側保持部材24は上下方向に移動するだけでなくスクリーン版16の張力を一定にするようスキージ移動方向に移動するようにしてもよい。このような変形例においては、図1乃至図6を用いて説明したスクリーン印刷機10に比べて、スクリーン版16の伸張率の変動にともなう引き上げ力および離版速度の変動を抑制することができ、これにより、さらに精度良く印刷することができる。
本発明によるスクリーン印刷機の一実施の形態を示す斜視図。 スクリーン印刷機を示す側面図。 スクリーン印刷機を示す平面図。 各印刷時(印刷開始時、印刷中間時、印刷終了時)におけるスクリーン印刷機の状態を示す図。 スクリーン印刷機の案内部材の設計方法を説明する図。 スクリーン印刷機の案内部材の設計方法を説明する図。 スクリーン印刷機の変形例を示す側面図。 スクリーン印刷機の変形例を示す側面図。 従来のスクリーン印刷機を示す側面図。 各印刷時(印刷開始時、印刷中間時、印刷終了時)における従来のスクリーン印刷機の状態を示す図。
符号の説明
10 スクリーン印刷機
10a 従来のスクリーン印刷機
12 印刷台
16 スクリーン版
22 スキージ
24 一側保持部材
27 他側保持部材
30 案内部材
32 案内孔
32a 上方誘導孔
32b 平行孔
θ 版離れ角度
A スキージのスクリーン版への当接位置
B 一側保持部材の配置位置
C 案内孔の平行孔と上方誘導孔との交点

Claims (4)

  1. 被印刷物を載置する印刷台と、
    印刷台の一側上方に上下方向へ移動自在に設けられた一側保持部材と、
    印刷台の他側上方に設けられた他側保持部材と、
    一側保持部材および他側保持部材に保持され、印刷台の上方に配置されたスクリーン版と、
    スクリーン版上を移動するスキージと、
    スキージの側方に設けられ、スキージの一側から他側への移動に同期して一側から他側へ移動する案内部材と、を備え、
    案内部材は、一側上方に延びる上方誘導孔を含む誘導孔を有し、
    一側保持部材が案内部材の誘導孔と係合し、スキージがスクリーン版上を一側から他側に向けて移動するのにしたがって、一側保持部材が上方に移動する
    ことを特徴とするスクリーン印刷機。
  2. 案内部材の誘導孔は、上方誘導孔の他側に設けられ案内部材の移動方向と平行に延びる平行孔を、さらに有し
    一側保持部材および他側保持部材が案内部材の案内孔に係合する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
  3. 案内部材の誘導孔は、平行孔の他側に設けられ、他側から一側に向けて下方に延びる下方誘導孔を、さらに有し、
    他側保持部材が、上下方向に移動自在に設けられており、
    スキージがスクリーン版上を一側から他側に向けて移動するのにしたがって、他側保持部材が下方に移動する
    ことを特徴とする請求項2に記載のスクリーン印刷機。
  4. 上方誘導孔は曲線状からなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーン印刷機。
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