JP4678328B2 - 車両用蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両に備えられる車両用蒸発燃料処理装置に関し、特に、モーターを有する車両に備えられる車両用蒸発燃料処理装置に関する。
いわゆるハイブリッド車等、モーターを備えた自動車では、たとえば特許文献1に示されるように、キャパシタ(蓄電手段)に蓄電できないときの回生電力を利用して、キャニスタに吸着された蒸発燃料のパージを行うものがある。
しかし、実際の車両では、さらに効率的にキャニスタを加熱して、吸着された蒸発燃料をパージすることが望まれる。
特開平10−278640号公報
本発明は上記事実を考慮し、モーターを備えた車両において、効率的にキャニスタを加熱して、吸着された蒸発燃料をパージすることが可能な車両用蒸発燃料処理装置を得ることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、電力供給を受けて駆動力を発揮し、車両を駆動させる駆動用モーターと、燃料蒸発ガスを吸着するキャニスタと、電源から前記駆動用モーターに電力供給すると共にこの電力供給によって生じた熱エネルギーを前記キャニスタに伝熱可能に配置されたケーブルを含んで構成された電力供給装置と、を有することを特徴とする。
この車両用蒸発燃料処理装置では、電力供給装置が、電源から、駆動用モーターに電力供給すると共にこの電力供給によって生じた熱エネルギーをキャニスタに伝熱可能に配置されたケーブルを含んでいる。したがって、電力供給時の発熱を利用して効率的にキャニスタを加熱し、吸着された蒸発燃料をパージできる。しかも、ケーブルをキャニスタに対し伝熱可能な位置に配置するだけの簡単な構造で、キャニスタを効率的に加熱できるようになる。
しかも、電力供給装置は、電源から、車両を駆動させる駆動用モーターに電力供給する構成である。
これにより、駆動用モーターの駆動時だけでなく、回生時に生じる熱エネルギーも効率的に利用してキャニスタを加熱できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記ケーブルが、前記キャニスタのパージポートから遠い位置ほどキャニスタへの伝熱量が相対的に多くなるように配置されていることを特徴とする。
一般に、キャニスタのパージポートから遠い位置ではパージ負圧が低くなるが、このような位置においてケーブルからキャニスタへの伝熱量が相対的に多くなるので、パージ能力を高く維持できる。
本発明は上記構成としたので、モーターを備えた車両において、効率的にキャニスタを加熱して、吸着された蒸発燃料をパージすることが可能となる。
図1には、本発明の第1実施形態の車両用蒸発燃料処理装置42が示されている。また、図2には、この車両用蒸発燃料処理装置42を備えた自動車12の駆動系14及びその周辺の概略構成が示されている。
この自動車12はいわゆるハイブリッド車とされており、車輪16を駆動する駆動源として、エンジン18の他に、駆動用モーター20を備えている。駆動用モーター20には、バッテリー22から電力供給装置24及びインバーター26を経て電力供給されるように、モーター電源ケーブル28で電気的に接続されている。また、エンジン18と駆動用モーター20の間には変速機30が配置されている。そして、エンジン18と駆動用モーター20のいずれか一方もしくは双方の駆動力によって車輪16を駆動できる。たとえば急加速時には、エンジン18と駆動用モーター20の双方の駆動力によって、大きな駆動力が得られる。また、減速時(場合によっては定速走行時)には、モーターを発電機として機能させる回生動作を行わせることができる。これによって生じた電力は、バッテリー22に蓄電される。
図1に示すように、車両用蒸発燃料処理装置42は、略直方体状の筐体46を備えたキャニスタ44を有している。図3に示すように、筐体46内は隔壁48によって第1層50A及び第2層50Bに区画されており、それぞれの層に活性炭52が収容されている。また、筐体46の一端の端壁46Aには、第1層50Aに対応する位置にタンク側ポート54及びパージポート56が設けられ、第2層50Bに対応する位置に大気開放側ポート58が設けられている。
筐体46の天面46Tには、第2層50Bに対応する位置に、筐体46の長手方向に沿って収容長溝60が形成されている。図1から分かるように、収容長溝60は、一端の端壁46Aから他端の端壁46Bまで連続しており、電力供給装置24を構成するモーター電源ケーブル28を収容可能な大きさを有している。すなわち、図2にも示すモーター電源ケーブル28は、バッテリー22と駆動用モーター20とを電気的に接続するものであるが、このモーター電源ケーブル28の一部(本実施形態では、2つのコネクタ62の間に位置する部分)が収容長溝60に収容されている。
ここで、図3から分かるように、本実施形態に係るモーター電源ケーブル28は複数本(図3では2本)の金属導線28Cを有しており、全体として長手方向と直交する断面(図3に示す断面)が長方形状になっている。そして、この断面での幅方向(矢印W2方向)が筐体46の幅方向(矢印W1方向)と一致する向きで配置されている。
収容長溝60とモーター電源ケーブル28の間には伝熱材64が充填されており、モーター電源ケーブル28と収容長溝60との接触面積を広くして、伝熱性が高くなるようにされている。
また、上記したように、収容長溝60は第2層50Bに対応する位置に形成されているので、モーター電源ケーブル28も第2層50Bに対応した位置、すなわち、パージポート56から離れた位置に配置されている。
モーター電源ケーブル28には、長手方向と直交する方向に固定片66が延出されている。この固定片66を利用して、溶接や接着、リベット等の固定手段により、モーター電源ケーブル28が筐体46に固定されている。なお、筐体46には固定片66を収容する凹部68が形成されており、モーター電源ケーブル28及び固定片66が筐体46の表面から突出しない(本実施形態では表面と面一になる)ようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記したように、本実施形態の自動車12では、バッテリー22から駆動用モーター20へ、あるいは逆に、駆動用モーター20からバッテリー22へとモーター電源ケーブル28を電流が流れることがある。
ここで、モーター電源ケーブル28を流れる電流による発熱量Qは、電流をI、モーター電源ケーブル28の抵抗をR、電流が流れた時間をtとして、ジュールの法則から
Q=IRt
となる。このように、モーター電源ケーブル28を流れた電流による発熱でキャニスタ44が加熱され、キャニスタ44内の活性炭52も加熱されるので、キャニスタ44を加熱しない構成と比較して、ベーパーの離脱性能が向上する。たとえば加速時等、エンジン18と駆動用モーター20の双方を駆動している場合には、モーター電源ケーブル28に電流が流れ、その発熱によってキャニスタ44が加熱されるので、活性炭52も加熱された状態でパージでき、脱離量を多く確保することができる。また、駆動用モーター20の回生動作時には、駆動時とは逆方向の電流がモーター電源ケーブル28に流れるので、その発熱によりキャニスタ44を加熱できる。
なお、給油時や駐車時には、キャニスタ44へのベーパーの吸着量が多くなる。しかし、このように多くのベーパーが吸着された状態でも、その後に、モーター電源ケーブル28に電流が流れる機会があれば(たとえば上記した加速時等が該当する)、脱離性能が向上するとともに、それ以降の必要脱離量は小さくなる。したがって以降は、たとえば加速時であっても、あるいは通常の状態であっても、活性炭52によるパージを確実に行わせることが可能となる。特に、本実施形態のようなハイブリッド車では、駆動源としてエンジンのみ有する自動車(いわゆるコンベ)と比較して、エンジンが駆動している時間が短くなることが多いが、このような場合であっても、キャニスタ44における吸着量と脱離量とをバランスさせることができる。
また、本実施形態では、モーター電源ケーブル28をキャニスタ44の第2層50B側、すなわち、パージポート56から遠い位置ほど、キャニスタ44への伝熱量が相対的に多くなるように配設して活性炭52を加熱している。すなわち、活性炭52にかかるパージ負圧が小さい位置を加熱するので、キャニスタ44全体としての、偏りの少ない脱離性能を得ることができる。
なお、吸着時には、キャニスタ44内の活性炭52の温度を低下させて吸着性能を高めることが好ましい。本実施形態では、モーター電源ケーブル28が金属導線28Cで構成されている。すなわち熱伝導率が高い材質のものがキャニスタ44の近傍に配置されていることになるので、キャニスタ44の活性炭52の熱をモーター電源ケーブル28を介して放熱でき、吸着性能を向上させることができる。
図4には、本発明の第2実施形態の車両用蒸発燃料処理装置82が示されている。第2実施形態では、第1実施形態と比較して異なる部分のみ説明し、同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、自動車の全体的構成も第1実施形態と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態の車両用蒸発燃料処理装置82では、キャニスタ84の筐体86の高さH1方向と、モーター電源ケーブル28の幅W2方向とが一致するようにモーター電源ケーブル28が筐体86の側面86Sに沿って配置されている。また、キャニスタ84の筐体86の側面86Sには、第1実施形態の収容長溝60等は形成されることなく、モーター電源ケーブル28が配置されている。
したがって、第2実施形態では、収容長溝60を形成する必要がないので、筐体86の成形が容易になる。
また、パージポート56から最も遠い位置にモーター電源ケーブル28が配置されるので、キャニスタ84全体としての、脱離性能の偏りをより少なくすることができる。
図5には、本発明の第3実施形態の車両用蒸発燃料処理装置92が示されている。第3実施形態においても、第1実施形態と比較して異なる部分のみ説明し、同一の構成要素、部材等については同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、自動車の全体的構成も第1実施形態と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
第3実施形態の車両用蒸発燃料処理装置92では、モーター電源ケーブル28の位置は第1実施形態と略同様に、キャニスタ94の筐体96において、第2層50B(第1実施形態として示す図3参照)に対応した位置であるが、第1実施形態と異なり、モーター電源ケーブル28の幅方向(矢印W2方向)が、キャニスタ44の筐体46の高さ方向(矢印H1方向)と一致する向きで配置されている。また、第3実施形態に係る長溝98も、モーター電源ケーブル28の向きに対応して、第1実施形態よりも幅が狭く、且つ深くなるように天面96Tに形成されている。
したがって、第3実施形態では、第1実施形態と比較して、モーター電源ケーブル28から筐体96へと伝熱する面積が広くなっており、モーター電源ケーブル28の発熱をより効率的に活性炭52(図3参照)に伝えて加熱することができる。
なお、上記各実施形態では、バッテリー22から駆動用モーター20へ電力供給する電力供給装置24のなかで、特にモーター電源ケーブル28の発熱をキャニスタ44に伝えるように構成したものを挙げたが、電力供給装置24を構成する他の部材、たとえばコネクタ62や、図示しない取付部材(モーター電源ケーブル28を車体に取り付けるための部材)からキャニスタ44に熱を伝える構成と比較して、モーター電源ケーブル28は、それ自体が熱源であり、しかもその長手方向に沿って広い面積でキャニスタ44に近接配置できるので、効率的な熱伝導の観点からは好ましい。
また、上記実施形態では、本発明に係るモーターとして、ハイブリッド車における駆動用モーター20を挙げている。ハイブリッド車の駆動用モーター20は、上記したように自動車の加速時等の適切なタイミングでキャニスタの脱離能力を高めることができるので、好ましい。
本発明の第1実施形態の車両用蒸発燃料処理装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態の車両用蒸発燃料処理装置を備えた自動車の駆動系まわりを示す概略図である。 本発明の第1実施形態の車両用蒸発燃料処理装置を示す図1のIII−III線断面図である。 本発明の第2実施形態の車両用蒸発燃料処理装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態の車両用蒸発燃料処理装置の概略構成を示す斜視図である。
符号の説明
12 自動車
14 駆動系
16 車輪
18 エンジン
20 駆動用モーター
22 バッテリー
24 電力供給装置
26 インバーター
28 モーター電源ケーブル
28C 金属導線
30 変速機
42 車両用蒸発燃料処理装置
44 キャニスタ
46A 端壁
46B 端壁
46 筐体
48 隔壁
50A 第1層
50B 第2層
52 活性炭
54 タンク側ポート
56 パージポート
58 大気開放側ポート
60 収容長溝
62 コネクタ
64 伝熱材
66 固定片
68 凹部
82 車両用蒸発燃料処理装置
84 キャニスタ
86S 側面
86 筐体
92 車両用蒸発燃料処理装置
94 キャニスタ
96 筐体
96T 天面
98 長溝

Claims (2)

  1. 電力供給を受けて駆動力を発揮し、車両を駆動させる駆動用モーターと、
    燃料蒸発ガスを吸着するキャニスタと、
    電源から前記駆動用モーターに電力供給すると共にこの電力供給によって生じた熱エネルギーを前記キャニスタに伝熱可能に配置されたケーブルを含んで構成された電力供給装置と、
    を有することを特徴とする車両用蒸発燃料処理装置。
  2. 前記ケーブルが、前記キャニスタのパージポートから遠い位置ほどキャニスタへの伝熱量が相対的に多くなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用蒸発燃料処理装置。
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