JP4677891B2 - 伝熱部品 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器や放熱機あるいは熱電発電装置において、その伝熱部を構成する伝熱部品に関し、詳しくは、一群の伝熱フィンを備えた伝熱部品に関するものである。
従来、エンジンからの排気を導出する排気管の外面に高温端を押し付けた状態で発電モジュールを取り付け、この発電モジュールにより排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーとして回収する自動車用の排熱発電装置(熱電発電装置)が一般に知られている(例えば特許文献1参照)。
この排熱発電装置には、排気ガスから熱エネルギーを回収して発電モジュールの高温端に伝熱する一群の集熱フィン(伝熱フィン)が排気管内の排気ガス流路に沿って設けられている。この一群の伝熱フィンは、発電モジュールの荷重支持構造を兼用しており、常時、圧縮荷重を受けている。
特開2001−12240号公報(要約書)
ところで、前述した一群の集熱フィン(伝熱フィン)は、一般に厚さが薄く剛性が低いため、高温の排気ガスに長時間曝される使用条件においては、座屈変形して伝熱性能を損なう虞がある。また、座屈変形しない場合であっても、発電モジュールとの間の接触状態が不安定となって伝熱性能が著しく低下する虞がある。
そこで、本発明は、一群の伝熱フィンが所期の伝熱性能を十分に発揮することができる伝熱部品を提供することを課題とする。
本発明に係る伝熱部品は、相互に隙間を開けて配列され、両端部から押圧された状態で組み付けられた一群の伝熱フィンと、一群の伝熱フィンの一方の端部に設けられた伝熱プレートと、一群の伝熱フィンの各々に設けられ、伝熱フィンをそれぞれ伝熱プレート側に押圧する複数の押圧部材と、を備え、一群の伝熱フィンは、その押圧方向と直交する横断面の形状が波打ち状に屈曲した形状とされていることを特徴とする。
本発明に係る伝熱部品では、波打ち状に屈曲した横断面形状により一群の伝熱フィンの座屈強度が向上するため、一群の伝熱フィンは座屈変形が防止されて所期の伝熱性能を十分に発揮する。
ここで、波打ち状に屈曲した各伝熱フィンの横断面形状において、波の振幅が少なくとも伝熱フィンの厚み程度以上であると、座屈強度が確実に向上するので好ましい。また、波の周期長が各伝熱フィンの相互間隔または波の振幅のうち何れか大きい方の2倍程度以上であると、各伝熱フィン間を流動する熱媒体の流動抵抗の増加を抑制できるので好ましい。
本発明の伝熱部品において、一群の伝熱フィンをその押圧方向に均一に押圧するばね機構が設けられていると、一群の伝熱フィンを介して均一に熱伝導されるので好ましい。
本発明に係る伝熱部品によれば、一群の伝熱フィンの横断面形状が波打ち状に屈曲した形状とされているため、一群の伝熱フィンの座屈強度を向上でき、その座屈変形を防止して所期の伝熱性能を十分に発揮することができる。
本発明の伝熱部品において、一群の伝熱フィンをその押圧方向に均一に押圧するばね機構が設けられている場合、一群の伝熱フィンを介して均一に熱伝導することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る伝熱部品の最良の実施形態を説明する。この説明において、同一または同様の構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。ここで、参照する図面において、図1は第1実施形態に係る伝熱部品の概略構造を示す斜視図、図2は図1に示した伝熱部品のばね機構の側面図、図3は図2示したばね機構の平面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る伝熱部品10は、相互に所定の間隔gの隙間を開けて配列された厚さtの一群の伝熱フィン11,11,…と、伝熱フィン11,11,…の伝熱方向上流側の端部に配置されるベースプレート12と、伝熱フィン11,11,…の伝熱方向下流側の端部に配置される伝熱プレート13と、各伝熱フィン11,11,…の伝熱方向上流側の端部とベースプレート12との間にばね機構として挟み込まれる波板ばね14とを備えている。
ベースプレート12と伝熱プレート13とは、各波板ばね14を介して一群の伝熱フィン11,11,…を両端部から押圧するように、図示しないボルト/ナットなどの緊締具を介して相互に緊締状態で連結される。なお、各伝熱フィン11,11,…、ベースプレート12、伝熱プレート13は、熱伝導性が高くしかも耐熱性の高い銅合金で構成されている。
ここで、一群の伝熱フィン11,11,…は、その押圧方向と直交する横断面の形状が波打ち状に屈曲した形状とされており、座屈強度の向上が図られている。この波打ち状に屈曲する各伝熱フィン11の横断面形状において、波の振幅Mは、座屈強度を確実に向上できるように、例えば伝熱フィン11の厚さtより大きく設定されている。また、波の周期長Lは、各伝熱フィン11,11,…の間を流動する熱媒体の流動抵抗の増加を抑制できるように、伝熱フィン11の相互の間隔gの2倍以上の例えば4倍程度に設定されている。
一方、波板ばね14は、図2に示すような波形の断面形状を有するばね板材からなり、その平面形状は、図3に示すように、各伝熱フィン11,11,…の横断面の形状と一致する波打ち状に屈曲した形状とされている。そして、この波板ばね14は、例えば長手方向の中間部がベースプレート12に固定されており、一群の伝熱フィン11,11,…の伝熱方向上流側の端部を伝熱方向下流側の端部へ向けて押圧し、その伝熱方向下流側の端部を伝熱プレート13に均一に密着させる。
このような構造を有する図1に示した伝熱部品10は、熱電発電モジュール15の高温側の受熱面が伝熱プレート13に接合され、熱電発電モジュール15の低温側の放熱面に放熱ブロック16が接合されることで、例えば図示しない自動車用のエンジンから排出される高温の排気ガスから熱エネルギーを回収して発電する熱電発電装置を構成する。
熱電発電モジュール15は、高温側の受熱面と低温側の放熱面との温度差に応じた熱起電力をゼーベック効果により発生する複数のn型熱電発電素子およびp型熱電発電素子を内蔵したものであり、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することができる。
また、放熱ブロック16は、熱電発電モジュール15の低温側の放熱面との間の熱交換により十分に吸熱できるように、熱伝導性の高い銅合金やアルミニウム合金の材料で構成されており、その内部には冷却水の流通路(図示省略)が形成されている。
ここで、図1に示すように第1実施形態の伝熱部品10が組み付けられた熱電発電装置は、例えば図示しない自動車用の排気系の熱を回収して発電するように設置される。すなわち、図示しない自動車用のエンジンから排出される高温の排気ガスが伝熱部品10の一群の伝熱フィン11,11,…流動するように設置される。
このような熱電発電装置の設置状態において、排気ガスの熱は伝熱部品10の各伝熱フィン11,11,…から伝熱プレート13を介して熱電発電モジュール15の高温側の受熱面に伝熱され、熱電発電モジュール15の低温側の放熱面から放熱ブロック16へ放熱される。その結果、熱電発電モジュール15の高温側の受熱面と低温側の放熱面との間に温度差が発生し、その温度差に応じて熱電発電モジュール15の各n型熱電発電素子およびp型熱電発電素子が起電力を発生して発電する。
ここで、熱電発電装置の使用状態においては、伝熱部品10の一群の伝熱フィン11,11,…が例えば500℃以上の高温に達するため、ベースプレート12と伝熱プレート13との間に挟持されてその両端部から押圧される各伝熱フィン11,11,…は、座屈変形が発生し易い状況となる。しかしながら、各伝熱フィン11,11,…は、その押圧方向と直交する横断面の形状が波打ち状に屈曲した形状とされており、その波の振幅Mが例えば伝熱フィン11の厚さtより大きく設定されているため、各伝熱フィン11,11,…が高い座屈強度を発揮する。従って、第1実施形態の伝熱部品10によれば、各伝熱フィン11,11,…の座屈変形を防止して所期の伝熱性能を十分に発揮することができる。
また、各伝熱フィン11,11,…の波打ち状に屈曲した横断面の形状において、波の周期長Lが伝熱フィン11の相互の間隔gの4倍程度に設定されているため、各伝熱フィン11,11,…の間を流動する排気ガスの流動抵抗の増加が抑制されている。さらに、各伝熱フィン11,11,…は、波板ばね14によって伝熱方向上流側の端部が伝熱方向下流側の端部へ向けて押圧されているため、各伝熱フィン11,11,…の伝熱方向下流側の端部が伝熱プレート13に均一に密着している。従って、これらの点からも、第1実施形態の伝熱部品10によれば、所期の伝熱性能を十分に発揮することができる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る一対の伝熱部品の概略構造を示している。この一対の伝熱部品20,20は、熱電発電モジュール15の高温側の受熱面と低温側の放熱面とにそれぞれ接合されるものであり、両者は同様の構造を有するため、その構造については同一の符号を用いて説明する。
熱電発電モジュール15の高温側の受熱面に接触する一方の伝熱部品20は、肉厚のベースプレート21と、このベースプレート21の周縁部に複数のボルトBを介して締結される肉厚の締結部22A,22Aを有する熱伝導部材22とを備えており、ベースプレート21と締結部22A,22Aとの間には、シールリングSが挟み込まれている。なお、これらのベースプレート21および熱伝導部材22は、熱伝導性が高くしかも耐熱性の高い銅合金で構成されている。
熱伝導部材22には、締結部22A,22Aに対し柔軟性のある薄肉の連結部22B,22Bを介して連続する伝熱プレート部22Cと、この伝熱プレート部22Cからベースプレート21側へ突出する一群の伝熱フィン22D,22D,…とが一体に形成されている。
一群の伝熱フィン22D,22D,…は、図1に示した一群の伝熱フィン11,11,…と同様に、波打ち状に屈曲した横断面形状に形成されており、その波の振幅は、伝熱フィン22Dの厚さより大きく設定され、波の周期長は、伝熱フィン22Dの相互の間隔の4倍程度に設定されている。
ここで、ベースプレート21には、一群の伝熱フィン22D,22D,…の突出端部を受け入れる複数の屈曲した溝21A,21A,…が形成されており、各溝21A内には、各伝熱フィン22Dを伝熱プレート部22C側へ押圧するばね機構としてのコイルばね23が溝21Aに沿って複数個ずつ配置されている。そして、これらのコイルばね23の押圧力により、伝熱プレート部22Cが熱電発電モジュール15の高温側の受熱面に密着している。なお、同様に構成された他方の伝熱部品20は、熱電発電モジュール15の低温側の放熱面に伝熱プレート部22Cが密着している。
図4に示すように第2実施形態の伝熱部品20,20が組み付けられた熱電発電装置は、熱電発電モジュール15の高温側の受熱面に熱伝導する一方の伝熱部品20の一群の伝熱フィン22D,22D,…の間を高温の排気ガスが流通し、熱電発電モジュール15の低温側の放熱面から吸熱する他方の伝熱部品20の一群の伝熱フィン22D,22D,…の間を低温の熱媒体(冷却水)が流通するように設置される。
このような熱電発電装置の設置状態において、高温の排気ガスの熱は一方の伝熱部品20の各伝熱フィン22D,22D,…から伝熱プレート部22Cを介して熱電発電モジュール15の高温側の受熱面に伝熱され、熱電発電モジュール15の低温側の放熱面に密着する他方の伝熱部品20の伝熱プレート部22Cから各伝熱フィン22D,22D,…を介して低温の熱媒体(冷却水)に放熱される。その結果、熱電発電モジュール15の高温側の受熱面と低温側の放熱面との間に温度差が発生し、その温度差に応じて熱電発電モジュール15の各n型熱電発電素子およびp型熱電発電素子が起電力を発生して発電する。
ここで、第2実施形態の一対の伝熱部品20,20が組み付けられた熱電発電装置においても、各伝熱フィン22D,22D,…の押圧方向と直交する横断面の形状が波打ち状に屈曲した形状とされており、その波の振幅が伝熱フィン22Dの厚さより大きく設定されているため、各伝熱フィン22D,22D,…が高い座屈強度を発揮する。従って、第2実施形態の伝熱部品20,20によれば、各伝熱フィン22D,22D,…の座屈変形を防止して所期の伝熱性能を十分に発揮することができる。
また、一対の伝熱部品20,20における各伝熱フィン22D,22D,…の波打ち状に屈曲した横断面の形状において、波の周期長が伝熱フィン22Dの相互の間隔の4倍程度に設定されているため、一方の伝熱部品20の各伝熱フィン22D,22D,…の間を流動する排気ガスの流動抵抗の増加が抑制されると共に、他方の伝熱部品20の各伝熱フィン22D,22D,…の間を流動する熱媒体(冷却水)の流動抵抗の増加も抑制される。さらに、各伝熱フィン22Dを伝熱プレート部22C側へ押圧するコイルばね23の押圧力によって、一方の伝熱部品20の伝熱プレート部22Cが熱電発電モジュール15の高温側の受熱面に密着し、他方の伝熱部品20の伝熱プレート部22Cが熱電発電モジュール15の低温側の放熱面に密着している。従って、これらの点からも、第2実施形態の伝熱部品20,20によれば、所期の伝熱性能を十分に発揮することができる。
本発明に係る伝熱部品は、前述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、図4に示した一対の伝熱部品20,20は、図5に示すように、ベースプレート21,21同士を背面合わせにし、一方の熱伝導部材22の締結部22Aからベースプレート21,21を貫通して他方の熱伝導部材22の締結部22Aにねじ込まれる複数のボルトBによって一体に締結した構造としてもよい。この場合、一対の伝熱部品20,20の伝熱プレート部22C,22Cにはそれぞれ熱電発電モジュール15,15の高温側の受熱面が接合され、この熱電発電モジュール15,15の低温側の放熱面にはそれぞれ放熱ブロック16,16が接合される。
このような構造の一対の伝熱部品20,20が組み込まれた熱電発電装置は、一対の伝熱部品20,20のそれぞれ一群の伝熱フィン22D,22D,…の間を高温の排気ガスが流通することで、一対の熱電発電モジュール15,15がそれぞれ熱発電する。そして、この熱電発電装置を構成する一対の伝熱部品20,20においても、前述した第1実施形態の伝熱部品10または第2実施形態の伝熱部品20と同様の作用効果を奏することができる。
また、本発明の伝熱部品は、図6に示す構造の伝熱部品30としてもよい。この伝熱部品30は、一対の伝熱プレート31,31の間に所定の相互間隔を開けて配列された一群の伝熱フィン32,32,…および他の一群の伝熱フィン33,33,…を備えている。そして、この伝熱部品30は、一対の伝熱プレート31,31がそれぞれ熱電発電モジュール15,15の高温側の受熱面に接合され、この熱電発電モジュール15,15の低温側の放熱面にそれぞれ放熱ブロック16,16が接合されることで、熱電発電装置を構成している。
ここで、伝熱部品30の一群の伝熱フィン32,32,…および他の一群の伝熱フィン33,33,…は、いずれも図1に示した伝熱フィン11,11,…と同様に、波打ち状に屈曲した横断面形状に形成されており、その波の振幅は、伝熱フィン32,33の厚さより大きく設定され、波の周期長は、伝熱フィン32,33の相互の間隔の4倍程度に設定されている。そして、一群の伝熱フィン32,32,…の両端部付近には、三角波形に屈曲するばね部32A,32Aがばね機構として形成されている。また、他の一群の伝熱フィン33,33,…の中央部には、三角波形に屈曲する同様のばね部33Aがばね機構として形成されている。
このような構造の伝熱部品30が組み込まれた熱電発電装置は、一群の伝熱フィン32,32,…および他の一群の伝熱フィン33,33,…の間を高温の排気ガスが流通することで、一対の熱電発電モジュール15,15がそれぞれ熱発電する。そして、この熱電発電装置を構成する伝熱部品30においても、前述した第1実施形態の伝熱部品10または第2実施形態の伝熱部品20と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、図2および図3に示したばね機構としての波板ばね14は、図7に示すように、各伝熱フィン11,11,…の横断面の形状と一致する波打ち状に屈曲した状態でベースプレート12に固定される細長いコイルばね17に変更することができる。
本発明の第1実施形態に係る伝熱部品の概略構造を示す斜視図である。 図1に示した伝熱部品のばね機構の側面図である。 図2示したばね機構の平面図である。 本発明の第2実施形態に係る伝熱部品の概略構造を示す縦断面図である。 本発明に係る伝熱部品の変形例の概略構造を示す縦断面図である。 本発明に係る伝熱部品の他の変形例の概略構造を示す正面図である。 図2および図3に示した波板ばねに変わるコイルばねを示すベースプレートの部分斜視図である。
符号の説明
10 伝熱部品
11 伝熱フィン
12 ベースプレート
13 伝熱プレート
14 波板ばね
15 熱電発電モジュール
16 放熱ブロック

Claims (3)

  1. 相互に隙間を開けて配列され、両端部から押圧された状態で組み付けられた一群の伝熱フィンと、
    前記一群の伝熱フィンの一方の端部に設けられた伝熱プレートと、
    前記一群の伝熱フィンの各々に設けられ、前記伝熱フィンをそれぞれ前記伝熱プレート側に押圧する複数の押圧部材と、
    を備え、
    前記一群の伝熱フィンは、その押圧方向と直交する横断面の形状が波打ち状に屈曲した形状とされている
    伝熱部品。
  2. 前記押圧部材は、ばね機構である、
    請求項1に記載の伝熱部品。
  3. 相互に隙間を開けて配列され、両端部から押圧された状態で組み付けられた一群の伝熱フィンと、
    前記一群の伝熱フィンの一方の端部に設けられた伝熱プレートと、
    前記一群の伝熱フィンのそれぞれを個別に前記伝熱プレート側に押圧する押圧部材と、
    を備え、
    前記一群の伝熱フィンは、その押圧方向と直交する横断面の形状が波打ち状に屈曲した形状とされている、
    伝熱部品。
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