JP4676314B2 - レーザ発振器及びレーザ発振器の劣化部品判定方法 - Google Patents

レーザ発振器及びレーザ発振器の劣化部品判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、レーザ発振器に関するものであり、詳しくは出力低下時の交換部品特定機能を備えたレーザ発振器、及びレーザ発振器出力低下時の劣化部品判定方法に関するものである。
固体レーザ発振器、特にNd:YAG結晶等をレーザ結晶として使用するレーザ発振器では、ランプやレーザダイオードのような消耗品が励起光源として使用される。また、レーザ光を制御する光学部品も使用されている。kWクラスの高出力レーザとなると微量のほこりで焼損するため、この光学部品も消耗品になる。レーザ発振器の出力が低下した場合、励起光源の劣化が原因である場合と、光学部品の劣化が原因である場合が存在する。しかし、レーザ発振器内で出力低下の原因となっている部品が、励起光源か光学部品かを特定することは難しく、出力低下が発生した場合にはこれらの部品を1個ずつ順番にレーザ発振器上で新品と交換し、問題のあるユニットを特定・復旧させていた。このため、問題のない部品も交換することになり、時間が掛かりレーザ発振器の停止時間が長くなってしまうという問題があった。出力低下の原因が励起光源にあるか、光学部品にあるかを特定できれば、レーザ発振器からこれらの部品全てを取り出して調査するといった手間を省くことが可能であるため、交換時の保守性が大幅に向上する。
従来の技術として、事前に励起光源の寿命を推定する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法を用いると、励起光源寿命以前にレーザ発振器の出力低下が発生した場合には、光学部品の劣化が原因であると特定することが可能である。しかしながら、この手法では励起光源が、突発的な劣化(漏水、焼損など)を示した場合に、劣化部品を特定できないという問題があった。
また、レーザ光から任意の波長をフィルタにて取り出し、その波長の光出力の増減と、レーザ発振器の放電によるプラズマの色から、総合的にレーザ出力低下原因を特定する手法が知られている(特許文献2参照)。しかし、この手法は、従来のレーザ発振器に加え、フィルタやカラーセンサなどの追加機器が必要となる上、エキシマレーザに限定されるものであった。
特開2003−298182号公報 特開2005−167017号公報
本発明は、上記の従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、追加機器無しに、また、励起光源やレーザ発振部の光学部品をレーザ発振器から取り出すことなく、出力低下の原因となっている部品やユニットを特定する機能を有するレーザ発振器、及び出力低下原因の特定可能な劣化部品判定方法を提供することにある。
また本発明の別の目的は、出力低下原因の特定方法を提供することで、レーザ発振器出力低下時のメンテナンス時間を大幅に短縮することが可能なレーザ発振器を提供することにある。
また本発明のさらに別の目的は、励起光源、及び光学部品の劣化状況をモニタすることが可能なレーザ発振器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るレーザ発振器は、励起光源と、励起光源に電流を供給する電源と、複数の光学部品で構成され、励起光源から照射された励起光によってレーザ光を出力するレーザ発振部と、レーザ発振部により生じたレーザ光を受光し、レーザ光の強度に対応した信号を出力するパワーセンサと、プロセッサであって、レーザ発振器の連続発振時において、レーザ光の強度が予め定められた第1の強度である場合に電源から励起光源に供給される第1の電流値、及びレーザ発振器のパルス(間欠)発振時において、レーザ光の強度が予め定められた第2の強度である場合に電源から励起光源に供給される第2の電流値の何れかが所定の基準値よりも大きく、且つ第1の電流値と第2の電流値の差が所定の閾値よりも小さい場合、励起光源が劣化していると判定するプロセッサと、を有することを特徴とする。
また、プロセッサは、第1の電流値又は第2の電流値が所定の基準値よりも大きい場合で、且つ第1の電流値と第2の電流値との差が閾値よりも大きい場合、複数の光学部品の何れかが劣化していると判定することが好ましい。
連続発振時の励起光源への供給電流値と、パルス発振時の励起光源への供給電流値の差を調べることにより、励起光源が劣化したのか、レーザ発振部の光学部品が劣化したのかを判別することができる。
なお、上記において、第1及び第2の電流値は、電流値から換算可能な値に置き換えても良い。例えば、電流値の代わりに、励起光源に印加する電圧値を用いてもよい。また、電源が出力可能な最大電流値までのマージン、例えば電源が出力可能な最大電流値に対する割合(単位:パーセント)などを用いてもよい。以下の各形態においても同様である。
また、電流値の代わりにこれらの換算可能な値を用い、それら換算値に対する所定の基準値及び閾値を用いて上記の判定を行ったとしても、結局、これらは、電流値及び電流値に対する基準値及び閾値に換算可能であり、電流値及び電流値に対する基準値及び閾値として判定を行う場合と実質的に差異が無いため、本発明の範囲を外れるものではない。
さらに、第1の強度は、レーザ発振器の連続発振における定格出力であり、第2の強度は、レーザ発振器のパルス発振における定格出力であることが好ましい。パワーセンサがレーザ光を受光することにより生じる電流が大きくなるため、ノイズによる悪影響を受け難くなり、正確に劣化の判定を行うことが可能なためである。
なお、簡便のため、連続発振時の定格出力およびパルス発振時の定格出力は、略等しいことが好ましい。
また、第1又は第2の電流値が所定の基準値よりも大きい場合に警告を表示する警告手段をさらに有する。
さらに、警告手段は、第1の電流値と第2の電流値の差が閾値よりも大きい場合と小さい場合で異なる警告を表示することが好ましい。
具体的には、警告手段は、第1の電流値と第2の電流値の差が閾値よりも小さい場合、励起光源に関する警告を表示することが好ましく、一方、第1の電流値と第2の電流値の差が閾値よりも大きい場合、複数の光学部品に関する警告を表示することが好ましい。
ここで、励起光源に関する警告とは、励起光源の出力低下を示す情報の表示、励起光源の交換を促すメッセージの表示などを含む。同様に、複数の光学部品に関する警告とは、それら光学部品の交換を促すメッセージの表示などを含む。
また、励起光源は、複数のサブ光源を有し、電源は、複数のサブ光源の各々に電流を供給する複数のサブ電源を有し、且つ第1の電流値及び第2の電流値は、複数のサブ電源の何れかが供給する電流値であることが好ましい。
若しくは、励起光源は、複数のサブ光源を有し、電源は、複数のサブ光源の各々に電流を供給する複数のサブ電源を有し、且つ第1の電流値及び第2の電流値は、それぞれ複数のサブ電源から供給される電流値の平均値であることが好ましい。
また、本発明は別の形態として、励起光源と、励起光源に電流を供給する電源と、複数の光学部品で構成され、励起光源から照射された励起光によってレーザ光を出力するレーザ発振部と、レーザ結晶により生じたレーザ光を受光し、レーザ光の強度に対応した信号を出力するパワーセンサとを有するレーザ発振器の劣化部品判定方法を提供する。本発明に係るレーザ発振器の劣化部品判定方法は、レーザ発振器が連続発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第1の強度に調整するステップと、レーザ光の強度が第1の所定の出力に調整された場合に、電源が励起光源に供給する第1の電流値を測定するステップと、レーザ発振器がパルス発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第2の強度に調整するステップと、レーザ光の強度が第2の強度に調整された場合に、電源が励起光源に供給する第2の電流値を測定するステップと、第1の電流値又は第2の電流値が、所定の基準値よりも大きいか否かを判定する第1の判定ステップと、第1の判定ステップで、第1の電流値又は第2の電流値が所定の基準値よりも大きいと判定された場合に、第1の電流値と第2の電流値の差が、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する第2の判定ステップを有し、第2の判定ステップで、上記差が所定の閾値よりも小さいと判定された場合、励起光源が劣化していると判定することを特徴とする。
また、第2の判定ステップで、上記差が所定の閾値よりも大きいと判定された場合、複数の光学部品の何れかが劣化していると判定することが好ましい。
連続発振時の励起光源への供給電流値と、パルス発振時の励起光源への供給電流値の差を調べることにより、励起光源が劣化したのか、レーザ発振部の光学部品が劣化したのかを判別することができる。
また、本発明はさらに別の形態として、励起光源と、励起光源に電流を供給する電源と、複数の光学部品から構成され、励起光源から照射された励起光によってレーザ光を出力するレーザ発振部と、レーザ発振部により生じたレーザ光を受光し、レーザ光の強度に対応した信号を出力するパワーセンサとを有するレーザ発振器の劣化部品の判定をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。本発明に係るプログラムは、コンピュータが、レーザ発振器が連続発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第1の強度に調整するステップと、レーザ光の強度が第1の強度に調整された場合に、電源が励起光源に供給する第1の電流値を測定するステップと、レーザ発振器がパルス発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第2の強度に調整するステップと、レーザ光の強度が第2の強度に調整された場合に、電源が励起光源に供給する第2の電流値を測定するステップと、第1の電流値又は第2の電流値が、所定の基準値よりも大きいか否かを判定する第1の判定ステップと、第1の判定ステップで、第1の電流値又は第2の電流値が所定の基準値よりも大きいと判定された場合に、第1の電流値と第2の電流値の差が、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する第2の判定ステップを実行し、第2の判定ステップで、上記差が所定の閾値よりも小さいと判定した場合、励起光源が劣化していると判定することを特徴とする。
また、上記プログラムは、第2の判定ステップで、上記差が所定の閾値よりも大きいと判定された場合、複数の光学部品の何れかが劣化しているとコンピュータに判定させることが好ましい。
本発明によれば、追加機器無しに、また、励起光源やレーザ発振部の光学部品をレーザ発振器から取り出すことなく、出力低下の原因となっている部品やユニットを特定する機能を有するレーザ発振器、及び出力低下原因の特定可能な劣化部品判定方法を得ることが可能となった。
また出力低下原因の特定方法を提供することで、レーザ発振器出力低下時のメンテナンス時間を大幅に短縮することが可能なレーザ発振器を得ることが可能となった。
さらに、励起光源、及び光学部品の劣化状況をモニタすることが可能なレーザ発振器を得ることが可能となった。
以下、図面を参照しつつ本発明について詳細に説明する。
図1に、本発明の第一の実施態様に係るレーザ発振器100の概略構成図を示す。
本実施態様に係るレーザ発振器100は、操作部5、励起光源10、レーザ発振部20、電源30、パワーセンサ40、プロセッサ50、メモリ60、表示部70、ビームシャッタ80、及びチラー90等によって構成される。各部の機能及び代表的な構成を以下に示す。
励起光源10は、レーザ発振部20のレーザ結晶に励起光を照射することにより、レーザ発振を生じさせるように構成されており、本実施形態では、波長0.8μm帯のAlGaAsレーザダイオードが使用される。しかしながら、励起光源10には、ハロゲンランプや、AlGaInN系、AlGaInP系、InGaAsP系他のレーザダイオード等を使用してもよい。また、励起光源10は、電源30から供給される電流値に線形な光量の励起光を発生させる。
レーザ発振部20は、レーザ結晶、ミラー、レンズなどで構成され、励起光に応じたレーザ光を発振する。レーザ発振部20では、対向して配置された出射側ミラーとリア側ミラーの間にレーザ結晶を配置し、励起光源10から照射された励起光を利用して、対向配置されたミラー間でレーザ発振を生じ、出射側ミラーを透過してレーザ光を取り出せるように構成される。また、励起光の収束のために、励起光源10とレーザ結晶の間に、レンズが配置される。レーザ結晶として、本実施形態ではネオジウムを添加したイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG)結晶を使用した。しかしながら、レーザ結晶として、ネオジウムを添加したイットリウム・バナデート(Nd:YVO4)結晶、ネオジウムを添加したイルフ(Nd:YLF)結晶、ネオジウムを添加したランザナムスカンジウムボレート(Nd:LSB)結晶、エルビウムを添加したイルフ(Er:YLF)結晶他といったレーザ光学結晶等を使用してもよい。
なお、レーザ結晶は、0.8μm帯LD光を励起光として、Nd:YAG結晶を用いた場合、波長1.064μmのレーザ光を発生させる。さらに、レーザ結晶は、非線形光学結晶を用いて、2次高調波発生による波長0.532μmのレーザ光や3次高調波発生による波長0.355μmのレーザ光を発生させることも可能である。
電源30は、プロセッサ50からの指令に基づいて励起光源10に電流を供給する。供給する電流値は、電源30中に設けられる可変抵抗を操作することによって調整可能なように構成される。また電源30は、励起光源10に供給する電流値を、常時計測可能なように電流計(図示せず)を備え、プロセッサ50に、その測定された供給電流値Iを送信し電流値として取得しても良い。電源30は、プロセッサ50から電流値を測定する旨の指令を受信した場合のみ供給電流値Iを測定するように構成してもよい。同様に、プロセッサ50から、測定した供給電流値を送信する旨の指令を受けた場合にのみ測定された供給電流値Iをプロセッサ50に送信するように構成してもよい。この場合、電流値の取得から、プロセッサ50への伝達までにタイムラグがあっても測定値が失われないように、測定された供給電流値Iを一時的に記憶するキャッシュメモリを備えておくと良い。
パワーセンサ40は、フォトダイオード及びレーザ光電流測定回路等から構成される。フォトダイオードは、レーザ発振部20の出射側ミラーを透過したレーザ光を、出射側ミラー近傍に配置したビームスプリッタ(図示せず)により分岐して一部のレーザ光を受光し、レーザ光の強度に応じた電流(ここでは、電源30が励起光源10へ供給する電流と区別するため、レーザ光電流と呼ぶ)を生じさせる。本実施形態において、上記ビームスプリッタは、レーザ光の99.5%を透過し、残りの0.5%を上記フォトダイオードへ導くように構成した。また、ビームスプリッタとフォトダイオードの間に、分岐されたレーザ光の強度をさらに1%程度に低減するフィルタを配しても良い。このようなフィルタを用いることにより、レーザ光の出力が非常に大きい場合でも、市販のフォトダイオードが使用可能となる。さらに、リア側ミラーをレーザ光の一部が透過できるようにして、ビームスプリッタをリア側ミラーの近傍に配置してもよい。
レーザ光電流測定回路は、フォトダイオードで生じた電流の値を測定し、測定されたレーザ光電流値をプロセッサ50へ送信する。
プロセッサ50は、レーザ発振器のレーザ光出力を最大出力まで調整可能であり、操作部5からの操作信号(電源のON/OFF、レーザ光出力の指定等)及びパワーセンサ40から受信したレーザ光電流測定値に基づいて、レーザ光を所定の出力に保ち、あるいはレーザ光出力を変化させるために、電源30が励起光源10へ供給すべき電流値を計算し、その計算値に基づいた指令を電源30へ送信する。
また、プロセッサ50は、電源30が励起光源10へ供給すべき電流値を監視し、この値が予め定められた最大許容値Imと比較して大きい場合には、電流値や出力低下警告情報等を表示部70へ送信する。
また、プロセッサ50は、上記出力低下が発生した場合に、その原因が励起光源10にあるか、若しくはレーザ発振部20を構成するレーザ結晶、ミラー、レンズなどの光学部品(図示せず)にあるかを特定する。なお、出力低下原因の特定は、後述するように、レーザ発振器の出力測定を行う際、レーザ光出力を予め定めた最大出力近傍の値、若しくは所定の定格出力値まで上げ、その予め定められた出力値を示す場合における、連続発振させた際の励起光源10への供給電流値IC、及びパルス発振させた際の励起光源10への供給電流値IPと、基準となる時点での連続発振させた際の励起光源10への供給電流値ICinit、及びパルス発振させた際の励起光源10への供給電流値IPinitとを用いて行う。
ここで、レーザ光の出力低下原因を、励起光源10の劣化によるものか、レーザ結晶などレーザ発振部20の光学部品の劣化によるものかを判定する原理について説明する。
まず、励起光源10の劣化によってレーザ光の出力低下が生じる場合、レーザ発振器100に何の劣化もない正常な状態と比較すると、励起光の出力が低下する以外には特に異なる点は存在しない。そのため、連続発振時のレーザ光の出力及びパルス発振時のレーザ光の出力は、ともに励起光の出力低下にほぼ比例して低下する。したがって、連続発振時の励起光源10への供給電流値ICと、パルス発振時の励起光源10への供給電流値IPの差は、レーザ発振器100が正常な状態における、その差とほぼ同等となる。
一方、レーザ結晶又はミラーなどの光学部品に汚れなどが付着して劣化を生じている場合、レーザ発振器100を連続発振させると、その汚れの部分でレーザ光を吸収して発熱を生じ、透過率または反射率の低下を生じて、レーザ光の増幅率が低下する。一方、パルス発振時には、そのような発熱は比較的少ないため、レーザ光の増幅率も殆ど低下しない。そのため、所定の出力(例えば、定格出力)のレーザ光を出力するために、連続発振の場合にはより大きな励起光を供給する必要があり、連続発振の場合とパルス発振の場合のそれぞれにおける励起光源10への供給電流値ICとIPの差ΔIは、レーザ発振器100が正常な状態における、励起光源10への供給電流値ICとIPの差と比較して大きな値となる。
したがって、レーザ発振器100が正常な状態(すなわち、基準時点)において、予め連続発振の場合とパルス発振の場合のそれぞれにおける励起光源10への供給電流値ICinitとIPinitの差ΔIinitを求めておき、その差ΔIinitを基準として、ΔIが大きいか小さいかを判定することにより、励起光源10が劣化したのか、又はレーザ発振部20の光学部品の何れかが劣化したのかを判別することができる。
上記基準となる時点での連続発振した際の電流値ICinit、パルス発振した際の電流値IPinit、及びICinitと電流値IPinitの差ΔIinit(=ICinit−IPinit)は、上記基準となる時点(基準時間と呼ぶ)において、電源30が励起光源10へ供給する電流値ICinit、IPinit及びΔIinitは、メモリ60に記憶される。なお、基準時間は、工場出荷時、レーザ発振器100の設置作業時若しくは励起光源10などの交換を行った際のメンテナンス作業時とすることができる。
さらに、プロセッサ50は、特定された出力低下原因をユーザに知らせるために、この情報を表示部70へ送信する。
メモリ60は、上記のように、基準時間における、連続発振時の定格出力に相当する励起光源10への供給電流値ICinit及びパルス発振時の定格出力に相当する励起光源10への供給電流値IPinit及びその差ΔIinitを記憶する。さらに、メモリ60は、励起光源10へ供給される電流値の許容限界値Im、レーザ発振器の定格出力に相当するレーザ光電流値等を保存する。そして、プロセッサ50からの呼び出し要求に応じてこれらの値をプロセッサ50へ送信する。また、プロセッサ50からの更新要求に応じて、プロセッサ50から受信したこれらの値を、それまで保存していた値の代わりに保存する。
表示部70は、プロセッサ50より受信した、電流値や出力低下警告情報等を表示する。さらに、表示部70は、プロセッサ50より受信した出力低下原因を表示し、励起光源10、若しくはレーザ発振部20の光学部品の交換を促す警告情報等を表示する。
なお、プロセッサ50、メモリ60、操作部5及び表示部70は、レーザ発振器100に内蔵される組み込み型の演算装置、メモリ、タッチパネル付液晶表示パネル等であってもよいが、本実施形態においては、プロセッサ50、メモリ60、及び表示部70は、レーザ発振器と、通信可能に構成されたコンピュータ数値制御装置及びモニタとして構成される。
ビームシャッタ80は、レーザ光を吸収するダンパー及びレーザ光の出射方向を変更する反射部材を備える。そして、このビームシャッタ80は、レーザ発振部20から出射されるレーザ光の光路上に配置され、上記ダンパーや反射部材を出し入れ自在とすることにより、プロセッサ50からの制御信号に基づいてレーザ光の出射,停止の制御や進行方向の制御を行う。
チラー90は、本発明に係るレーザ発振器100を一定温度に保つために配置され、励起光源10及びレーザ発振部20に近接して配置された流路に冷却水を循環させるように構成される。また、チラー90は、冷却水の流量を測定する流量計及び冷却水の水温を計る水温計等を備え、レーザ発振器の駆動中、測定した冷却水の流量及び水温をプロセッサ50に送信する。そして、プロセッサ50から受信した指令により、冷却水の流量及び水温を制御し、レーザ発振器の温度を一定に保つ。
図2に、レーザ出力低下が発生した場合に、プロセッサ50において、その原因が励起光源10にあるか、又はレーザ発振部20の光学部品にあるかを特定するフローチャートを示す。
なお、本発明に係るレーザ出力低下原因特定手順は、プロセッサ50に予め保存されたプログラムを用いて実行される。しかし、レーザ出力原因特定手順は、プログラムを用いた実行に限られるものではなく、独立したハードウェアを用いてマニュアル操作で実行することも可能である。
出力低下原因の特定は、レーザ出力低下の警告を検知した後の、レーザ発振器100の定格出力を測定する際に行われる。また、レーザ出力低下の警告が発生していない場合でも、各稼動時にその時点での出力低下が励起光源10の劣化によるものか、レーザ発振部20の光学部品の劣化によるものかを特定することも可能であり、その場合には、レーザ発振器100の起動時に、一旦所定の定格出力までレーザ光の出力を上げる動作を行うことにより、以下に示す手順でレーザ出力低下原因を特定することが可能である。
まず、操作部5より、電源ONの信号がプロセッサ50に入力され、レーザ出力低下原因の特定が開始される(ステップ201)。
次に、プロセッサ50は、レーザ発振器が所定の定格出力のレーザ光を生ずるよう、電源30を制御して励起光源10への電流供給を開始する(ステップ203)。具体的には、プロセッサ50は、定格出力のレーザ光を得るために必要とされる励起光を発生させるため、励起光源10に電流を供給するよう電源30に指令を送信する。電源30はプロセッサ50から受信した指令に基づいて電流を励起光源10へ供給する。励起光源10に電流供給が開始されると、励起光源10は、供給された電流に線形な強度を有する励起光を生じ、レーザ発振部20に照射する。レーザ発振部20は、照射された励起光が所定以上の強度に到達すると、レーザ発振を生じ、レーザ光を出力する。
続いて、レーザ光の出力測定が行われる(ステップ205)。レーザ発振部20の出射側若しくはリア側ミラーの近傍に配置されたビームスプリッタを介して、レーザ光の一部がパワーセンサ40のフォトダイオードへ誘導される。フォトダイオードがレーザ光を受光すると、その受光したレーザ光の強度に線形なレーザ光電流が生じ、その電流の測定値Ioが求められてプロセッサ50に送信される。
プロセッサ50は、レーザ光の出力が安定したか否かを判定するために、上記レーザ光に対応した電流の測定値Ioを、メモリ60から取得した、レーザ光の指令定格出力に相当する電流値IFと比較する(ステップ206)。
ステップ206での判定の結果、測定値Ioと定格出力に相当する電流値IFが等しくない場合、プロセッサ50は、電源30に対して供給電流を調整する指示を送る。(ステップ207)。具体的には、測定値Ioが定格出力に相当する電流値IFを下回る場合、電源30に対して、供給電流を増加させるよう指示を送る。逆に、定格出力に相当する電流値IFを上回る場合、電源30に対して、供給電流を減少させるよう指示を送る。なお、測定値が定格出力に相当する電流値IFと一致する場合、電源30に対して、供給電流の量をそのまま維持するよう指示を送る。上記の判定は、レーザ光を連続発振させる場合又はパルス発振させる場合の何れについても行うことができる。また上記の判定は、レーザ発振中は常に行われる。また、上記定格出力は、本発明に係るレーザ発振器100の最大出力近傍であることが好ましい。最大出力近傍では、励起光源10自体の出力もある程度大きくなっており、レーザ発振部20の光学部品が劣化している場合、連続発振時とパルス発振時の供給電流の差ΔIも相対的に大きくなる。そのため、電流値の制御精度、若しくは測定精度に対して、供給電流値の差ΔIが十分大きく、その差ΔIを、基準時点における連続発振時とパルス発振時の供給電流の差ΔIinitに基づいて定められる閾値との比較を正確に行うことが可能となる。なお上記電流値IFは、レーザ発振器100の初期設置手順において取得され、メモリ60に保存される。
上記定格出力判定ループ中に、パワーセンサ40から受信したレーザ光電流値Ioが所定時間、例えば1分、10分といった時間の間、一定の範囲(例えば、変動範囲が定格出力に相当する電流値IFの0.1%未満)内に収まり続けたか否かを調べ、定格出力のレーザ光を出力する電流値が安定したかどうかを判定する(ステップ208)。
定格出力のレーザ光を出力するための電流値が安定していると判断した場合、プロセッサ50は、レーザ発振器100を連続発振方式で定格出力させ、その際に電源30が励起光源10に供給する電流値ICをパワーセンサ40から受信する。そして、供給電流ICが、許容限界値Imを超えるか否か判定する(ステップ209)。すなわち、励起光源10又はレーザ発振部20の光学部品が劣化すると、定格出力のレーザ光を出力するために、電源30から励起光源10へ供給する電流値を増加させなければならず、そのため、供給電流値を、ある許容限界を超えるほど増大させなければ定格出力のレーザ光を得られない場合には、励起光源10又はレーザ発振部20の光学部品の何れかが劣化していると考えられる。ここで、許容限界値Imは、励起光源10又は電源30の仕様から決定される。また、励起光源10の仕様として与えられる、稼動累計時間と出力低下の関係を考慮して、出力低下が稼動累計時間から推定される値に相当する供給電流値を、許容限界値Imとして設定することができる。なお、本構成例では、連続発振時の供給電流値ICについて許容限界値を超えたか否かを判断しているが、パルス発振時の供給電流値IPについて許容限界値Imを超えたか否かを判断するようにしてもよい。許容限界値Imは、連続発振の場合、パルス発振の場合に応じて、それぞれ最適な値に決定される。
プロセッサ50は、メモリ60から、基準時間において連続発振方式で電源が励起光源10に供給していた電流値ICinitと、パルス(間欠)発振方式で電源が励起光源10に供給していた電流値IPinitとの差ΔIinitを呼び出す(ステップ210)。
次に、プロセッサ50は、レーザ発振器100をパルス発振方式で定格出力させ、その際に電源30が励起光源10に供給する電流値IPをパワーセンサ40から受信する(ステップ211)。そして、ICとIPの差ΔI(=IC−IP)を算出する。
なお、ステップ209において、レーザ発振器100をパルス発振方式で発振させた場合の供給電流値IPについて、許容限界値Imを超えたか否かを判定した場合には、ステップ211では、レーザ発振器100を連続発振方式で発振させた場合の供給電流値ICを取得してΔIを算出する。
次に、プロセッサ50は、算出したΔIが、ΔIinitと連続発振時とパルス発振時の供給電流値の差の見込み変化量ΔIthdの和である閾値(ΔIinit+ΔIthd)より大きいか、又は小さいかを判定する(ステップ213)。
なお、上記ΔIthdは、予め設定された値でも良く、基準時間からの稼動累計時間に比例して増加する、可変の値としても良い。ΔIthdを可変とする場合、メモリ60に基準時間における稼動時間のデータを記憶しておく必要がある。なお、ΔIthdは、励起光源10の仕様から想定される発光量の低下量に基づいて定めることができる。また、実験的に稼動累計時間と励起光源10の劣化度合いを調べ、その結果に基づいてΔIthdを定めることもできる。
次に、プロセッサ50は、前記ΔIとΔIinit+ΔIthdの大小を比較することにより、レーザ出力低下原因が励起光源10にあるか、又はレーザ発振部20の光学部品の何れかにあるかを特定する(ステップ213)。
上記大小の比較により、
ΔI≦ΔIinit+ΔIthdの場合、出力低下原因が励起光源10にあると特定し、
ΔI>ΔIinit+ΔIthdの場合、出力低下原因がレーザ発振部20の光学部品にあると特定する(ステップ214、ステップ215)。
プロセッサ50は、上記大小の比較結果に基づいて、出力低下警告および、交換の必要な部品情報を表示部70に表示する(ステップ217)。
例として、励起光源10に最大定格電流1.5AのAlGaAsレーザダイオードを用いた場合について説明する。レーザダイオードの使用開始当初において、本発明に係るレーザ発振器100の連続発振方式による定格出力達成時における上記レーザダイオードへの供給電流ICinitを1.0A、パルス発振方式による定格出力達成時における上記レーザダイオードへの供給電流IPinitを0.8Aとする。尚、本発明に係る実施例として、パルス発振方式のデューティーは80%で行った。このデューティーは95%以下であることが好ましい。
また、レーザ発振器100の使用開始後、レーザダイオードが劣化し始めると、レーザ発振器100が定格出力のレーザ光を出力するために、即ちレーザダイオードから発せられる励起光が所定の強度となるために、レーザダイオードに供給される電流値は増加することとなる。ある稼動時間において、連続発振時若しくはパルス発振時の供給電流値が許容限界値Imを超えた場合、レーザ出力低下の警告が発生し、その時点における連続発振方式による定格出力達成時における電流値ICが1.2A、パルス発振方式による定格出力達成時における上記レーザダイオードへの供給電流IPが0.85A、ΔIthdが0.5A(定数)であるとする。この時、ΔI=(IC−IP)=(1.2-0.85)=0.35Aであり、一方、ΔIinit+ΔIthd=(1.0-0.8)+0.5=0.7Aであり、
ΔI<ΔIinit+ΔIthd
となるため、出力低下原因が励起光源10にあると特定できる。
このように、連続発振方式とパルス発振方式との供給電流値の差が大きくなるにつれて、光学系部品の劣化が進んでいることが分かる。なお、励起光源10に使用するレーザダイオードの種類や、ΔIthdの設定値、設定方法については、上述したように別の条件を設定することも可能である。
以上述べてきたように、本発明によると、レーザ発振器から部品を取り外して調査することなく、レーザ光をパワーセンサで測定すること、及び電源が励起光源に供給する電流値をモニタすることにより、レーザ出力低下原因を特定することが可能である。
図3に、本発明の別の実施態様に係るレーザ発振器200の構成図を示す。
図1と同様な構成には、同じ番号を付している。図3に示す構成と図1に示す構成との差異は、図3に示す構成では、図1の構成に示したプロセッサ50が有する機能のうち、出力レーザ光を安定させるためのフィードバックループ機能部分を独立させたサブプロセッサ55を別途設けている点である。
サブプロセッサ55は、レーザ本体に組み込まれた演算装置であってもよく、若しくはレーザ本体、及びプロセッサ51と通信可能に構成されたコンピュータのような外部演算装置であってもよい。また、サブプロセッサ55は、パワーセンサ40のレーザ光電流測定回路と一体化した回路として構成してもよい。この構成では、サブプロセッサ55は、プロセッサ51から、電源ONの指令を受け取ると、電源30に対して電流供給を開始する指令を発生する。そして、パワーセンサ40から、レーザ光の出力に対応する上記レーザ光電流値Ioを受信し、定格出力に対応する電流値IFとの比較を行う。その結果、測定電流値Ioが定格出力に相当する電流値IFを下回る場合、サブプロセッサ55は、電源30に対して供給電流を増加させるよう指示を送る。逆に定格出力に対応する電流値IFを上回る場合、サブプロセッサ55は、電源30に対して供給電流を減少させるよう指示を送る。また、測定値が定格出力に相当する電流値IFと一致する場合、サブプロセッサ55は、電源30に対して供給電流の量をそのまま維持するよう指示を送信する。また、プロセッサ51から、電源OFFの指令を受け取ると、電源30に対して供給電流を停止させるよう指示を送信する。
このような構成とすることにより、レーザ光の出力と励起光源10に供給される電流に関するフィードバック周期を短くすることが可能となり、図1に示す構成よりもレーザの出力安定性を向上させることが可能である。サブプロセッサ55にはデジタル信号プロセッサのような高速処理可能な機構が好ましく、処理を限定することで高速にフィードバックを掛けることが好ましい。この構成においても、プロセッサ51が、電源30から励起光源10に供給する電流値を監視することにより、図1に示す構成例と同様に、連続発振方式およびパルス発振方式における定格出力発振時の電流値から、レーザ出力低下原因を特定することができる。この場合、出力されるレーザ光の強度が安定したか否かの判断はサブプロセッサ55およびプロセッサ51のどちらでも良い。その後、プロセッサ51が、電源30から励起光源10へ供給する電流値Iを監視することで、定格出力のレーザ光を発振するための電流値が安定したか否かを判定する。
また、レーザ出力低下原因の特定手順は、図2に示すフローチャートと同様の手順によって実行することが可能である。ただし、ステップ207に示す励起光源への供給電流の調整を、専らサブプロセッサ55が担当する点において、図1に示す構成と差異がある。
図4に、本発明のさらに別の実施態様に係るレーザ発振器300の構成図を示す。
上記と同様に、図1又は図3に示す構成と同様な構成には、同じ番号を付している。図4に示す構成と図3に示す構成との差異は、図4に示す構成では、励起光源10に複数のサブ光源15を有すること、及び電源30に複数のサブ電源35を有する点である。
この構成例では、励起光源10は、複数のレーザダイオード、若しくは複数のレーザダイオードアレイといった複数のサブ光源15で構成される。例えば、サブ光源15は、個々のレーザダイオードであり、これら複数のレーザダイオードは、例えば1列に並べられてレーザダイオードアレイを構成する。また励起光源10は、サブ光源15として、レーザダイオードアレイを複数備え、レーザ発振部20のレーザ結晶の周囲に配置し、複数の方向からレーザ結晶に照射するように構成してもよい。この場合、電源30は、各サブ光源(レーザダイオード若しくはレーザダイオードアレイ)毎に電力を供給する複数のサブ電源35で構成される。各々のサブ電源35が対応するサブ光源15に供給する電流値を計測可能なように電流計を備え、各電流計で測定した電流値をプロセッサ51に伝送する場合と、プロセッサ51が指令供給電流値をモニタする場合とが考えられる。サブ電源35がN個存在する場合、プロセッサ51は、本発明に係るレーザ発振器のレーザ出力が定格出力に達した時の各サブ電源35の供給電流測定値I1,I2,...,INを受信し、任意の一つの値、若しくは、これらの値から換算される代表値を用いて、図1及び図3に示す構成例と同様に、連続発振方式およびパルス発振方式における定格出力発振時の電流値から、レーザ出力低下原因を特定することができる。
上記I1,I2,...,INの代表値としては、I1,I2,...,INの平均値や、I1,I2,...,INの最大値又は中央値等を使用することができる。尚、ここでの電流から代表値への換算はプロセッサ51にて自動で行われる。
本構成例の場合、メモリ60では、各サブ電源35について、基準時間における、連続発振方式およびパルス発振方式で定格出力達成時の供給電流値が保存され、それぞれプロセッサ51からの呼び出しに対して、電流値がN個になる。それ以外のレーザ発振部20、パワーセンサ40等は、図1及び図3の構成例と同じである。
例として、励起光源10にAlGaAsレーザダイオードを500個並べたレーザダイオードアレイを3個用いた場合の動作について説明する。本構成例におけるレーザ発振器300の動作は、レーザ発振器100と同様、図2の動作フローチャートで示される。ただし、判定に使用する電流値が、各サブ電源35からサブ光源15に供給される電流値より求められた代表値である点で異なっている。
レーザ発振器の電源が投入され(ステップ201)、サブ電源15より、励起光源10の各サブ光源15に電流が供給される(ステップ203)。レーザ発振部20のレーザ結晶より出射されたレーザ光の一部がパワーセンサ40に誘導されて、レーザ光出力が測定される(ステップ205)。測定値をもとに、レーザ光出力の調整(ステップ206、207)が行われる。その後、電流値が安定したか否かの判定を行い(ステップ208)、安定したと判定された場合に、プロセッサ51は、メモリ60から、基準時間に記録した連続発振方式およびパルス発振方式で定格出力達成時の供給電流値を取得し(ステップ209)、それぞれ代表値に換算する。尚、本発明に係る実施例として、パルス発振方式のデューティーは80%で行った。このデューティーは95%以下であることが好ましい。
ここで、各レーザダイオードアレイの使用開始当初(基準時間)において、本発明に係るレーザ発振器300の定格出力達成時における上記レーザダイオードアレイへの供給電流の連続発振方式における代表値ICinitを30.0A、パルス発振方式における代表値IPinitを28.0Aとする。
プロセッサ51は、定格出力発振時の電流値が安定したことを検出後、連続発振方式におけるレーザダイオードアレイへの供給電流の代表値IP又はパルス発振方式におけるレーザダイオードアレイへの供給電流の代表値ICの何れかが、許容限界値を超えた場合、レーザ発振器300の定格出力達成時における、連続発振方式および、パルス発振方式での供給電流をそれぞれのサブ電源35より受信する(ステップ211)。
ここでプロセッサ51にて各電流から代表値(IC,IP)への換算が自動で行われる。今、代表値(IC,IP)が、それぞれ34.0Aと28.5Aであったする。
プロセッサ51はΔI=(IC−IP)を算出し、ΔIinit+ΔIthdとの大小比較をする。ここではΔIthd=3.0Aとした(ステップ213)。
このとき、ΔI=(IC−IP)=(34.0−28.5)=5.5Aであり、一方、ΔIinit=(30.0−28.0)=2.0A、ΔIthd=3.0Aより、ΔIinit+ΔIthd=5.0Aとなるので、
(IC−IP)>ΔIinit+ΔIthd
であり、出力低下原因がレーザ発振部20の光学部品にあると特定できる。
以上述べてきたように、本発明によると、レーザ発振器から部品を取り外して調査することなく、レーザ光をパワーセンサで測定すること、及び電源が励起光源に供給する電流値をモニタすることにより、レーザ出力低下原因を特定することが可能であり、励起光源に複数のレーザダイオードを用いたとしても部品点数が増大することなく、簡便な構成でレーザ出力低下原因を特定することが可能である。
本発明の実施態様に係る、レーザ発振器の概略構成図である。 本発明の実施態様に係る、励起光源又は光学部品の劣化判定のフローチャートを示す図である。 本発明の別の実施態様に係る、レーザ発振器の概略構成図である。 本発明の別の実施態様に係る、レーザ発振器の概略構成図である。
符号の説明
5 操作部
10 励起光源
15 サブ光源
20 レーザ発振部
30 電源
35 サブ電源
40、45 パワーセンサ
50、51 プロセッサ
55 サブプロセッサ
60 メモリ
70 表示手段
80 ビームシャッタ
90 チラー
100、200、300 レーザ発振器

Claims (13)

  1. レーザ発振器であって、
    励起光源と、
    前記励起光源に電流を供給する電源と、
    複数の光学部品で構成され、前記励起光源から照射された励起光によってレーザ光を出力するレーザ発振部と、
    前記レーザ発振部により生じたレーザ光を受光し、前記レーザ光の強度に対応した信号を出力するパワーセンサと、
    プロセッサであって、前記レーザ発振器の連続発振時において、前記レーザ光の強度が予め定められた第1の強度である場合に前記電源から前記励起光源に供給される第1の電流値、及び前記レーザ発振器のパルス発振時において、前記レーザ光の強度が予め定められた第2の強度である場合に前記電源から前記励起光源に供給される第2の電流値の何れかが所定の基準値よりも大きく、且つ前記第1の電流値と前記第2の電流値の差が所定の閾値よりも小さい場合、前記励起光源が劣化していると判定するプロセッサと、
    を有することを特徴とするレーザ発振器。
  2. 前記プロセッサは、前記第1の電流値又は前記第2の電流値が前記所定の基準値よりも大きい場合で、且つ前記第1の電流値と前記第2の電流値との差が前記閾値よりも大きい場合、前記複数の光学部品の何れかが劣化していると判定する、請求項1に記載のレーザ発振器。
  3. 前記第1の強度は、前記レーザ発振器の連続発振における定格出力であり、前記第2の強度は、前記レーザ発振器のパルス発振における定格出力である、請求項1又は2に記載のレーザ発振器。
  4. 前記第1又は第2の電流値が前記所定の基準値よりも大きい場合に警告を表示する警告手段をさらに有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のレーザ発振器。
  5. 前記警告手段は、前記第1の電流値と第2の電流値の差が前記閾値よりも大きい場合と小さい場合で異なる警告を表示する、請求項4に記載のレーザ発振器。
  6. 前記警告手段は、前記第1の電流値と第2の電流値の差が前記閾値よりも小さい場合、前記励起光源に関する警告を表示する、請求項4又は5に記載のレーザ発振器。
  7. 前記警告手段は、前記第1の電流値と第2の電流値の差が前記閾値よりも大きい場合、前記複数の光学部品に関する警告を表示する、請求項4又は5に記載のレーザ発振器。
  8. 前記励起光源は、複数のサブ光源を有し、
    前記電源は、前記複数のサブ光源の各々に電流を供給する複数のサブ電源を有し、
    且つ前記第1の電流値及び第2の電流値は、前記複数のサブ電源の何れかが供給する電流値である、請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ発振器。
  9. 前記励起光源は、複数のサブ光源を有し、
    前記電源は、前記複数のサブ光源の各々に電流を供給する複数のサブ電源を有し、
    且つ前記第1の電流値及び第2の電流値は、それぞれ前記複数のサブ電源から供給される電流値の平均値である、請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ発振器。
  10. 励起光源と、前記励起光源に電流を供給する電源と、複数の光学部品で構成され、前記励起光源から照射された励起光によってレーザ光を出力するレーザ発振部と、前記レーザ発振部により生じたレーザ光を受光し、前記レーザ光の強度に対応した信号を出力するパワーセンサとを有するレーザ発振器の劣化部品判定方法であって、
    前記レーザ発振器が連続発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第1の強度に調整するステップと、
    前記レーザ光の強度が前記第1の所定の出力に調整された場合に、前記電源が前記励起光源に供給する第1の電流値を測定するステップと、
    前記レーザ発振器がパルス発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第2の強度に調整するステップと、
    前記レーザ光の強度が前記第2の強度に調整された場合に、前記電源が前記励起光源に供給する第2の電流値を測定するステップと、
    前記第1の電流値又は第2の電流値が、所定の基準値よりも大きいか否かを判定する第1の判定ステップと、
    前記第1の判定ステップで、前記第1の電流値又は第2の電流値が所定の基準値よりも大きいと判定された場合に、前記第1の電流値と第2の電流値の差が、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する第2の判定ステップを有し、
    前記第2の判定ステップで、前記差が所定の閾値よりも小さいと判定された場合、前記励起光源が劣化していると判定することを特徴とする劣化部品判定方法。
  11. 前記第2の判定ステップで、前記差が所定の閾値よりも大きいと判定された場合、前記複数の光学部品の何れかが劣化していると判定する、請求項10に記載の劣化部品判定方法。
  12. 励起光源と、前記励起光源に電流を供給する電源と、複数の光学部品から構成され、前記励起光源から照射された励起光によってレーザ光を出力するレーザ発振部と、前記レーザ発振部により生じたレーザ光を受光し、前記レーザ光の強度に対応した信号を出力するパワーセンサとを有するレーザ発振器の劣化部品の判定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータが、
    前記レーザ発振器が連続発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第1の強度に調整するステップと、
    前記レーザ光の強度が前記第1の強度に調整された場合に、前記電源が前記励起光源に供給する第1の電流値を測定するステップと、
    前記レーザ発振器がパルス発振により生じたレーザ光の強度を予め定められた第2の強度に調整するステップと、
    前記レーザ光の強度が前記第2の強度に調整された場合に、前記電源が前記励起光源に供給する第2の電流値を測定するステップと、
    前記第1の電流値又は第2の電流値が、所定の基準値よりも大きいか否かを判定する第1の判定ステップと、
    第1の判定ステップで、前記第1の電流値又は第2の電流値が所定の基準値よりも大きいと判定された場合に、前記第1の電流値と第2の電流値の差が、所定の閾値よりも大きいか否かを判定する第2の判定ステップを実行し、
    前記第2の判定ステップで、前記差が所定の閾値よりも小さいと判定した場合、前記励起光源が劣化していると判定することを特徴とするプログラム。
  13. 前記第2の判定ステップで、前記差が所定の閾値よりも大きいと判定された場合、前記複数の光学部品の何れかが劣化していると判定する、請求項12に記載のプログラム。
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