JP4676056B2 - N−オキシル化合物、シリカゲル結合n−オキシル化合物及びそれを用いたアルコールより高次な酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−オキシル化合物及びシリカゲル結合N−オキシル化合物に関する。また、本発明はこれらの化合物を酸化触媒として用いる、アルコールよりも高次な酸化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコール化合物の酸化反応は有機合成分野では一般に利用範囲が広く数多くの方法が開発されている。特に電解酸化反応は電気化学的に酸化反応を行うためクリーンな酸化反応として注目を集め、そのいくつかの反応が工業的スケールで行われている。
従来アルコールの電解酸化法としては、「有機電解合成」(鳥居 滋著、1981年発行、第262〜273頁)に記載されているように、有機溶媒もしくは含水有機溶媒中にて直接電解酸化法若しくはメディエーター(電子キャリヤー)を用いる間接電解酸化法、水と水に混合しない有機溶媒との2層系での電解酸化法(J.Org.Chem.,1991,56,2416−2421)等が一般的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの電解酸化法の多くの反応系では、元来電流を流し難い有機溶媒を用いるため、例えば溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いる場合には10〜50重量%の支持電解質を必要とするといったように、多量の支持電解質を用いなければならない。また、このように多量の支持電解質を使用するため、コストや廃棄物の問題のみならず、生成物の単離精製においても煩雑な操作が必要となってくる。
【0004】
また、メディエーターとして種々の金属触媒を利用する方法も知られているが、これらは、金属化合物のコストや後処理の問題が大きく工業的に利用できるものは限られている。金属触媒はそのコストの高さからリサイクルを余儀なくされるが、一般的に煩雑な操作を必要とする場合が多く、そのため回収率も優れているとはいえない。
【0005】
N−オキシル化合物はアルコールの電解酸化反応の触媒として優れていることが報告されている(J.Org.Chem.,1991,56,2416−2421)が、文献中紹介されている反応はいずれも塩化メチレン/水の2層系酸化反応であり、環境上の問題より塩化メチレンが工業的に使用しにくい今日ではこの反応を用いることは不可能である。
【0006】
また、従来使用されているN−オキシル化合物は、反応後、有機層に生成物とともに存在しており、通常溶媒濃縮後カラムクロマトグラフィ−や分別結晶化法により回収しなければならなかった。
このようにアルコール化合物の電解酸化法は未だ多くの問題点を抱えており、より工業的に実用的な酸化法の出現が望まれていた。
更にシリカゲルに結合したピペリジン化合物を触媒とする酸化反応としては、Chem.Commun.,1795(1999)に記載のごとく、化合物(A)を使用する方法が知られている。
【0007】
【化4】
【0008】
化合物(A)は、アミノプロピル基が結合したシリカゲルを用い、4−オキソピペリジン化合物と還元縮合反応により製造される。しかしながら、アミノプロピル基を有するシリカゲルは特殊であり、高価かつ工業的に使用できるものではない。化合物(A)を製造する際には、反応させる4−オキソピペリジン化合物を過剰に用いる必要があり、精製時に未反応の4−オキソピペリジン化合物を取り除くため、触媒を数日間洗浄し続けなければならない。また、化合物(A)がアミノ基を有しているため、塩基に対し不安定な化合物に適応することが難しい等、触媒として多くの問題を有している。
また、該文献には塩化メチレン/水の二層系酸化反応条件が開示されているに過ぎない。
【0009】
本発明の課題は、上記の従来の製造方法に見られる欠点を克服し得る、優れた酸化触媒を提供すること、及び水に難溶性のアルコール化合物を電解酸化し、高収率、高効率で目的とするアルコールよりも高次な酸化物を製造し得る汎用的な製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式(1)で表されるN−オキシル化合物及びその製造方法に係る。
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一又は異なって低級アルキル基を示し、nは1から4の整数を示す。)
【0013】
また、本発明は、式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物及びその製造方法に係る。
【0014】
【化6】
【0015】
(式中R1、R2、R3、R4、R5及びnは前記と同じ。Gはシリカゲル残基を示す。mは0、1又は2の整数を示す。)
【0016】
更に、本発明は、式(1)で表されるN−オキシル化合物又は式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物の存在下、アルコール化合物を電解酸化することを特徴とするアルコールより高次な酸化物の製造方法に係る。
【0017】
アルコールより高次な酸化物としては例えばアルデヒド、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステル、カルボン酸化合物等を例示することができる。
【0018】
本発明者等は、シリカゲルと酸化触媒能を有するN−オキシル化合物とを化学結合させることにより、電解酸化条件下もしくは後処理条件下で安定にしかも容易に回収が可能となった酸化触媒能を有するシリカゲル結合N−オキシル化合物を考案した。更に水溶液中でアルコール化合物を該シリカゲル結合N−オキシル化合物に担持させた状態で電解酸化を行うという、アルコールよりも高次な酸化物の全く新しい製法を開発した。
【0019】
該シリカゲル結合N−オキシル化合物を用いれば、アルコール化合物を該シリカゲル結合N−オキシル化合物に担持させた状態で酸化反応が行えるため、電流効率の高い水溶液中での電解酸化反応を行うことができ、支持電解質の使用量を減少させることができる。更にシリカゲルと酸化触媒能を有するN−オキシル化合物とを化学結合させることにより、触媒能を有するN−オキシル化合物の水溶液中への溶解度を極端に低下させることになり、ほぼ完全に回収、再使用することが可能となる。
【0020】
このように従来とは全く異なり有機溶媒を使用することなく、シリカゲルと化学結合した酸化触媒能を有するN−オキシル化合物を用いることにより、触媒をほぼ完全な形でリサイクルし得る電解酸化反応を行うことが可能となる。
【0021】
また、これに伴い、最終的に生成物は該シリカゲル結合N−オキシル化合物のシリカゲル部に担持された状態となっているため、濾過後、少量の有機溶媒により該シリカゲル部を洗浄するだけで、生成物のみを回収できるという高い利点も併せ持っている。またこのとき分離される該シリカゲル結合N−オキシル化合物はそのまま次反応において利用することが可能なため、余分な分離操作が必要ない。このように、有機化合物の電解酸化反応系で有機溶媒を使用せず該シリカゲル結合N−オキシル化合物を用いアルコール化合物を電解酸化することにより、目的とするアルデヒド、ケトン、ラクトン化合物等のアルコールよりも高次な酸化物を高収率、高効率で製造しうるという全く新しい事実を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
【発明の実施の形態】
本明細書において、低級アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状、分枝状のアルキル基を示す。
【0023】
本発明の式(1)で表されるN−オキシル化合物は、例えば下記反応式1で表される反応によって製造される。
【0024】
【化7】
(反応式1)
(式中R1、R2、R3、R4、R5及びnは前記に同じ。)
【0025】
本反応において用いられる式(2)及び式(3)で表される化合物は、何れも公知の方法で製造されるか、市販品を用いることができる。
本反応においては、当該分野で慣用的に行われているイソシアネート化合物とアミン化合物との反応条件が適用される。
【0026】
例えば本反応は適当な溶媒中で行われる。溶媒としては本反応に不活性なものであれば特に制限されない。溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族乃至脂環式炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上混合して使用される。これらの溶媒は、式(3)で表されるN−オキシル化合物1kg当たり、通常2〜200L程度、好ましくは10〜100L程度使用されるのが良い。
【0027】
本反応は通常−30〜150℃、好ましくは10〜80℃で行われる。式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との使用割合については、式(3)で表される化合物に対して式(2)で表される化合物を等モル量使用すればよいが、過剰に用いても問題ない。
本反応により得られた式(1)で表されるN−オキシル化合物には特に精製操作の必要が無く、そのままシリカゲルとの結合反応に用いることができるが、必要に応じて蒸留、再結晶等の通常用いられる精製方法を利用することもできる。
【0028】
本発明の式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物は、上記反応式1で製造された式(1)で表されるN−オキシル化合物とシリカゲルとを反応させることによって製造される。
本発明においてシリカゲルとしては特に制限されず、公知のもの及び通常市販されているものをいずれも使用できる。形状も種々知られているが、特に制限はない。
【0029】
本反応において、式(1)で表されるN−オキシル化合物とシリカゲルとの使用割合については、特に制限されるものではないが、用いられるシリカゲルの重量に対し、式(1)で表されるN−オキシル化合物を3〜40重量%程度、好ましくは5〜25重量%程度とすればよい。
【0030】
本反応は適当な溶媒中で加熱して行われるが、溶媒としては本反応に不活性なものであれば特に制限されない。溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族乃至脂環式炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、これら2種以上の混合溶媒、これら1種又は2種以上と水との混合溶媒等を挙げることができる。
【0031】
本反応は通常室温から使用する溶媒の沸点温度までの温度範囲で行われるが、好ましくは60〜150℃が好ましい。また、本反応は一般に0.5から72時間程度で完結する。反応終了後、ソクスレー抽出方法により精製するのが好ましい。
【0032】
本発明の式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物は、分子中のトリアルコキシシラン部とシリカゲルに存在する水酸基との反応によって形成されるものであって、トリアルコキシ基全てがシリカゲルの3つの水酸基とそれぞれ反応したものも、トリアルコキシ基の内2つ、若しくは1つが反応したものも含まれる。また、中には該N−オキシル化合物の分子間で結合するものも考えられる。本発明でいう式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物は、本発明の式(1)で表されるN−オキシル化合物のトリアルコキシシリル部のアルコキシ基の少なくとも1つがシリカゲルの水酸基と反応し、化学結合したものを包含するものであり、その構造は下記の式のように推定される。
【0033】
【化8】
【0034】
本発明の式(1)で表されるN−オキシル化合物及び式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物は酸化触媒として使用することができる。特に、水溶液中でのアルコール化合物の電解酸化反応においては、式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物が好適に使用される。更に、本発明の式(1)で表されるN−オキシル化合物及び式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物の還元体である各N−ヒドロキシ誘導体は、電解酸化反応系内で容易に各N−オキシル化合物に変換されるため、相当する還元体を使用することも可能である。
【0035】
例えば電解酸化用触媒として、上記シリカゲル結合N−オキシル化合物の代りに、相当するシリカゲル結合N−ヒドロキシ化合物を用いた場合、電解系で容易にシリカゲル結合N−オキシル化合物が生成するため本反応に用いることが可能である。電解酸化用触媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0036】
本発明の電解酸化法は、式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物に原料化合物であるアルコール化合物を担持させた後、これを支持電解質を含む水中に入れ、通常の方法に従って電解酸化することにより行われる。
【0037】
本発明において、アルコール化合物とは、シリカゲルに担持することができるものであればよく、特に水中にほとんど溶出することがないだけの疎水性を有している水に難溶性のアルコール化合物が好ましい。アルコール化合物及びその置換基の種類、式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物のシリカゲルの種類によって、アルコール化合物が留まっている度合いが異なるため、アルコール化合物の水溶解度や分子量等で一概に規定できないが、おおよそ一般に水に対して難溶性を示すアルコール化合物であれば好ましい。事実メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶解性の高いアルコール化合物の場合、反応は進行しない。従って、一般に電解酸化反応に適応することができるアルコール化合物であって、シリカゲルに担持でき且つ水難溶性を示すアルコール化合物であれば特に制限されず種々のものが使用できる。
【0038】
アルコール化合物の具体例としては、例えば、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、2−クロロ−n−ペンチルアルコール、3−アセトキシ−n−ペンチルアルコール、2−ブチルアルコール、2−ペンチルアルコール、ベンジルアルコール、2−フェニル−1−エタノール、1−フェニル−1−エタノール等の置換基を有することのあるアルコール類、シクロヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、4−メトキシシクロヘキシルアルコール等の置換基を有することのある環状アルコール類、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、3−メチルヘキサンジオール、3−アセトキシペンタンジオール、3−クロロ−2−メチルヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,2−ジエタノール等の置換基を有することのある直鎖状もしくは分岐鎖状ジオール類が挙げられる。更に、トリオール類や4つ以上の水酸基を有するアルコール化合物であっても、水難溶性であって、且つシリカゲルに担持可能なアルコール化合物であれば使用できる。
【0039】
これらのアルコール化合物に置換できる置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アリール基、低級アルキル基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、メルカプト基、基RS−(Rは低級アルキル基又はアリール基)で表されるアルキルチオ基又はアリールチオ基、ホルミルオキシ基、基RCOO−(Rは前記に同じ)で表されるアシルオキシ基、ホルミル基、基RCO−(Rは前記に同じ)で表されるアシル基、基RO−(Rは前記に同じ)で表されるアルコキシ基又はアリールオキシ基、カルボキシル基、基ROCO−(Rは前記に同じ)で表されるアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基などが例示できる。ここで低級アルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基、アリール基としてはフェニル、トリル、キシリル、ナフチル等を例示できる。
【0040】
本発明において用いた原料アルコールより高次な酸化物とは、例えば原料アルコールとしてn−ブチルアルコールを使用した場合は、n−ブタナール、n−ブタン酸又はn−ブタン酸n−ブチルエステルが得られ、1−フェニルエタノールを使用した場合は、アセトフェノンが得られ、1,4−ブタンジオールを使用した場合は、テトラヒドロ−2−フラノンが得られ、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンを使用した場合は8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナン−7−オン等が得られる。
【0041】
本電解反応は式(4)で表されるシリカゲル結合N−オキシル化合物に原料を担持した後水中で行われるが、使用量としては、シリカゲルとN−オキシル化合物との結合数にもよるが、原料アルコール化合物1kg当たり0.05〜100kg、好ましくは0.1〜50kgの範囲で行うのが良い。
【0042】
本発明の反応は支持電解質の存在下に行うのが好ましい。使用できる支持電解質としては、水に可溶で通電が可能な塩であればすべて使用可能であるが、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ベリリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化ベリリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、燐酸2水素ナトリウム、燐酸2ナトリウム、燐酸2水素カリウム、燐酸2カリウム等のアルカリ金属燐酸塩、燐酸マグネシウム、燐酸カルシウム等のアルカリ土類金属燐酸塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム塩、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸アンモニウム塩、
【0043】
燐酸2水素アンモニウム、燐酸2アンモニウム等の燐酸アンモニウム塩、燐酸2水素テトラエチルアンモニウム、燐酸2水素テトラブチルアンモニウム等の燐酸テトラアルキルアンモニウム塩、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水素アルカリ金属塩、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等の硫酸水素テトラアルキルアンモニウム塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸金属塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等の過塩素酸アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムトシレート等のスルホン酸アンモニウム塩、硼弗化リチウム、硼弗化ナトリウム等の硼弗化金属塩、硼弗化テトラエチルアンモニウム、硼弗化テトラブチルアンモニウム等の硼弗化アンモニウム塩等が挙げられる。
【0044】
これらの中でも、ハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土類金属塩、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩が好ましい。
これらの支持電解質は、1種を単独で使用でき、必要に応じて2種以上併用できる。支持電解質の使用量としては、溶媒中、通常0.1〜70重量%程度、好ましくは0.1〜50重量%程度の濃度になるようにするのがよい。
【0045】
本反応で使用する水の使用量としては、特に制限されず、各種反応条件等に応じて適宜選択できるが、通常原料化合物1kg当たり、通常2〜2000リットル程度、好ましくは5〜100リットル程度とするのがよい。水と混合可能な有機溶媒がシリカゲルに担持された必要な有機物の担持を阻害しない程度であれば適当な溶媒が混入していても反応に支障はない。このような溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリジノン等の環状アミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの混入許容量はシリカゲルの種類、形状、使用量等により異なり、また混入する溶媒によっても異なるが、使用する水に対して30重量%以下とするのが好ましい。
【0046】
本電解酸化反応は、通常−5〜100℃程度、好ましくは0〜60℃程度の温度下に実施される。
【0047】
本発明の方法による電解酸化においては、通常の電解反応に用いられる電極を広く利用できる。具体的には、陽極材料として、白金、ステンレス、ニッケル、酸化鉛、炭素、酸化鉄、チタン等が、また陰極材料としては、白金、スズ、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、鉛、銅、炭素等が使用できるが、好ましくは陽極材料として白金、炭素、ステンレス等が使用できる。
【0048】
本発明の電解酸化は陽極と陰極を隔膜で分離してもよいが、とくに分離する必要はなく、単一槽中で行なえることをも特徴としている。
本電解反応は、定電流電解法及び定電圧電解法のいずれをも採用することができるが、装置や操作の簡便さの点で定電流電解法を採用するのが好ましい。電解は、直流または交流電解が可能であるが電流方向を1〜30秒毎に切り替えて行なうこともできる。電流密度は、通常1〜500mA/cm2、好ましくは1〜50mA/cm2の範囲とするのが良い。電気量は用いる電解槽の形状、アルコール化合物の種類、用いる溶媒の種類等により異なり、一概には言えないが、通常2〜20F/モル程度、好ましくは2〜8F/モル程度とするのがよく、上記電気量を通電すれば反応は完結する。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、何らこれらに限定されるものではない。
【0050】
実施例1
3−(トリエトキシシリル)プロピル イソシアネート(2a)247mg(1mmol)及び4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(3a)170mg(1mmol)をベンゼン5ml中で室温下5時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧下濃縮して、4−{3−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレイド}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(1a)400mg(収率96%)を油状物として得た。
IR(cm−1) 3358,2975,2931,2887,1634,1568,1458,1390,1364,1306,1241
上記の工程を下記反応式に示す。
【0051】
【化9】
【0052】
実施例2
実施例1で得られたN−オキシル化合物(1a)400mg(0.96mmol)をベンゼン10mlに溶解させ、シリカゲル(YMC製、球状 シリカゲル60)1gを添加し、41時間加熱還流した。反応終了後、混合物をソクスレー抽出器を用いて5時間抽出を行い、シリカゲル結合N−オキシル化合物(4a)が白色粉末で得られた。この化合物(4a)のR1、R2、R3、R4=メチル基、R5=エチル基、n=3で、mは1であると考えられる。
収量:1.35g
IR(cm−1) 3386,2979,2942,1638,1569,1458,1091
【0053】
実施例3
1−(p−クロロフェニル)エチルアルコール(157mg、1.00mmol)及び実施例2で製造したシリカゲル結合N−オキシル化合物4a(504mg)を秤り取り、アセトン2mlを加え、5分間激しく撹拌した後、使用したアセトンを減圧留去した。得られた残渣に20重量%の臭化ナトリウムを含む飽和重曹水(5ml)を加え、十分に撹拌した後、2枚の白金電極(1.5×1.0cm2)を付し、室温で激しく撹拌しながら、電流を30mAに保ちつつ、2.2時間電解酸化反応を行った(2.5F/mol)。反応終了後、反応混合物をろ過し、得られた固形残渣からアセトン5mlにて抽出し、抽出液からアセトンを留去すると1−(p−クロロフェニル)エチル−1−オン(139mg、収率90%)が得られた。
1H NMR (200MHz、CDCl3) δ 2.60(s,3H),7.44(d,J=8.3Hz,2H),7.90(d,J=8.4Hz,2H)。
【0054】
実施例4
実施例3で反応終了後にアセトン抽出されて残った固形残渣を用いて、実施例3と同様の反応を行った。この操作を5回繰り返し、結果を表1に示した。得られた生成物の1H NMRは実施例3で得られたケトン化合物のそれと一致した。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例5〜12
担体となるシリカゲルの種類を以下のシリカゲルに変更したのみで、他の条件は実施例3と同様の反応を行った結果を示す。
得られた生成物の1H NMRは実施例3で得られたケトン化合物のそれと一致した。
【0057】
実施例13〜19
電流と時間を以下の条件に変えた以外は実施例3と同様の反応を行った結果を示す。
得られた生成物の1H NMRは実施例3で得られたケトン化合物のそれと一致した。
【0058】
実施例20〜29
電極を以下の電極に変えた以外は実施例3と同様の反応を行った結果を示す。
得られた生成物の1H NMRは実施例3で得られたケトン化合物のそれと一致した。
【0059】
実施例30〜36
支持電解質を含む反応溶媒を以下のように変えて実施例3と同様の反応を行った結果を示す。
【0060】
実施例37
実施例3で最初にろ過された支持電解質を含む重曹溶液を、実施例3で使用する20重量%の臭化ナトリウムを含む飽和重曹水の代りに用いて反応を行った結果85%の収率で目的のケトン体を得ることができた。
【0061】
実施例38
1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン 144mg(1.00mmol)及び実施例2で製造したシリカゲル結合N−オキシル化合物(4a)504mgを秤り取り、アセトン2mlを加えて攪拌した。使用したアセトンを減圧留去した後、20重量%の臭化ナトリウムを含む7%重曹水5mlを加え、十分に撹拌する。この物に2枚の白金電極(1.5×1.0cm2)を付し、室温下激しく撹拌しながら電流を30mAに保ちつつ4時間電解酸化反応を行った(4.5F/mol)。反応終了後、反応混合物をろ過し、得られた固形残渣からアセトン5mlにて抽出し、抽出液からアセトンを留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=7/1)で精製して、8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナン−7−オン(129mg、収率96%)が得られた。
1H NMR (200MHz、CDCl3) δ1.15−2.61(m,10H),3.93(d,J=8.8Hz,2H),4.18(dd,J=4.2,8.0Hz,2H)。
【0062】
【発明の効果】
電解酸化反応においてシリカゲルと化学結合した酸化触媒を用い、原料を担持させた後、電解酸化を行うことにより、有機溶媒を使用することなくアルコール化合物の電解酸化を行うことが可能となり、アルデヒド、ケトン、ラクトン化合物等を高収率、高効率で製造することができる。また、回収されるシリカゲルまたはポリマーと化学結合した酸化触媒はその性質上そのままリサイクルされるため、実質的に電気のみを用いたクリーンな酸化反応の実現が可能となった。
本発明の酸化反応はシリカゲルに結合した酸化触媒を用い、そのシリカゲル上に原料を担持させて電解酸化反応を行う方法で、酸化反応の効率の向上と、生成物の単離精製を容易にし、アルデヒド、ケトン、ラクトン化合物等の簡便な合成方法の提供が可能となる。
Claims (5)
- 水中にて電解酸化することを特徴とする請求項4記載の製造方法。
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