実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図において、主回路3は、交流電源1と負荷2との間に接続され、交流電源1の交流電圧を選択的に制御する複数のスイッチにより切り替えて負荷2に交流電圧を供給するものである。
入力制御器10は、交流電源1の交流電圧に基づいて、交流電源の相を負荷2に接続する時間の比率を定める入力制御比、および負荷2に接続する交流電源1の相を時間的に定める入力制御パルスを生成するものである。この入力制御器10において、セクション検出器11は、交流電源1の交流電圧に基づいて、交流電源1の交流電圧の位相が交流電源1の位相を60度ずつに区切った位相区間についてどの位相区間であるかを示すセクション信号を生成し、転換検出器12は、セクション検出器11によるセクション信号に基づいて、セクション信号が転換したことを示す転換信号を生成し、通電順序制御器13は、転換検出器12による転換信号に基づいて、交流電源1の相の負荷2に接続する順序を定めた通電順序信号を生成し、電圧比率演算器14は、交流電源1の交流電圧、セクション検出器11によるセクション信号、転換検出器12による転換信号、および通電順序制御器13による通電順序信号に基づいて、入力制御比を生成し、入力パルス発生器15は、セクション検出器11によるセクション信号、通電順序制御器13による通電順序信号、および電圧比率演算器14による入力制御比に基づいて、入力制御パルスを生成するものである。
電圧指令器20は、負荷2に供給する電圧の指令値である電圧指令値を生成するものである。出力制御器30は、電圧指令器20による電圧指令値、および入力制御器10による入力制御比に基づいて、交流電源1に接続する負荷2の相を時間的に定める出力制御パルスを生成するものである。ゲート制御器40は、入力制御器10による入力制御パルス、および出力制御器30による出力制御パルスに基づいて、主回路3の複数のスイッチの選択的な制御を時間的に定めるゲート制御パルスを生成するものである。
次に動作について説明する。
交流電源電圧の6倍周波数の周期よりも十分に短い、多相対多相電力変換装置を制御するための基本単位時間となる制御期間の中で、仮想的な直流電圧として利用する交流電源1の相を正極または負極で切り替えて、三角搬送波を利用したパルス幅変調制御によりその仮想的な直流電圧を変調して負荷2へ電力を供給する多相対多相電力変換装置では、その制御期間の中や制御期間の変わり目でそのパルス幅変調制御によるもの以外のスイッチング動作が発生しないような三角搬送波を生成する。
仮想的な直流電圧の正極として利用する交流電源1の相を制御期間内で切り替えるセクションでは、制御期間の変わり目での頂点を最下点に取り、交流電源1の相を切り替える時刻に同期させた頂点を最上点に取り、制御期間内で「山」の形を示す三角搬送波を生成して、仮想的な直流電圧の負極として利用する交流電源1の相を制御期間内で切り替えるセクションでは、制御期間の変わり目での頂点を最上点に取り、交流電源1の相を切り替える時刻に同期させた頂点を最下点に取り、制御期間内で「谷」の形を示す三角搬送波を生成して、制御期間の中で上記スイッチング動作を発生させないようにする。そして、制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する仮想的な直流電圧の極がその2つの相を利用する順序を制御期間毎に交替させることにより、制御期間の変わり目で上記スイッチング動作を発生させないようにする。
このような多相対多相電力変換装置では、ある制御期間で交流電源1の位相のセクションが転換し、その制御期間が終了して次の制御期間に変わるときの変わり目で、三角搬送波の形が「山」から「谷」に転換して三角搬送波の頂点が最下点から最上点に移動する動作、もしくは三角搬送波の形が「谷」から「山」に転換して、三角搬送波の頂点が最上点から最下点に瞬時に移動する動作のいずれかが発生する。これに伴って負荷2の複数の相に係る出力制御パルスが同時に転換して仮想的な直流電圧の極も同時に切り替わるので、負荷2の複数の相について同時にスイッチング動作が発生することになる。
以上のことから、スイッチング動作によりスイッチに発生するサージ電圧が相互のスイッチに干渉して過大な電圧を発生させる、そのスイッチングに係る負荷2の相で中性点電圧が変動することにより負荷機器外部への漏れ電流が発生する、一部スイッチでスイッチング動作に遅延が発生する場合に交流電源1の2つの相の間が短絡して過大な電流が発生する、等の課題があった。また、そのスイッチング動作の発生によってスイッチング動作の回数が増加して電力損失が増大することになり、多相対多相電力変換装置の機器効率向上の障害ともなる。
以下、この課題の詳細について説明する。
図2は課題を説明するための多相対多相電力変換装置を示す構成図である。図において、交流電源1と負荷2とが主回路3によって接続され、主回路3には負荷2へ電力を供給するように選択的にスイッチングを行うスイッチ3UR,3US,3UT,3VR,3VS,3VT,3WR,3WSおよび3WTを含む。5U,5V,5Wは、それぞれ負荷2のU,V,W相の電流検出器であって、主回路3から負荷2へ流れるU相の電流iU、V相の電流iV、W相の電流iWを測定し、それぞれ電流の測定値iUs,iVs,iWsを出力する。
電圧指令器20は、主回路3から負荷2に出力する電圧の指令値vU*,vV*,vW*を出力する。これらの電圧指令値vU*,vV*,vW*の演算には電流測定値iUs,iVs,iWs等を用いても良い。出力制御器30は、入力制御器10uから得られる入力制御比RIと電圧指令器20から得られる電圧指令値vU*,vV*,vW*に基づいて、入力制御器10uの制御期間に同期して出力制御パルスTU,TV,TWを生成して出力する。ゲート制御器40は、入力制御器10uから得られる入力制御パルスTIと出力制御器30から得られる出力制御パルスTU,TV,TWから、ゲート制御パルスTGを生成して主回路3へ出力する。なお、ゲート制御パルスTGの生成は、入力制御パルスTIと出力制御パルスTU,TV,TWの他に、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、または負荷2に流れる電流の測定値iUs,iVs,iWsに基づいて行っても良い。
次に、入力制御器10uの動作について説明する。入力制御器10uは、セクション検出器11、通電順序制御器13u、電圧比率演算器14u、および入力パルス発生器15で構成され、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し、入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。
セクション検出器11は、電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、交流電源1の位相がどのセクションにあるかを検出して、セクション信号Sctを出力する。通電順序制御器13uは、制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する仮想的な直流電圧の極がその利用する順序を制御期間毎に交替させることを指示するように、制御期間毎に0と1が交互に現れる通電順序信号Flgを出力する。電圧比率演算器14uは、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sctおよび通電順序信号Flgを入力し、入力制御比RIを制御期間の変わり目毎に演算して出力する。交流電源1の電圧測定値vRs,vSs,vTsより演算される3つの電圧比率vT/(vT+vR),vS/(vS+vT),vR/(vR+vS)から、セクション信号Sctに基づいて1つを選択して演算する。通電順序制御器13uが出力する、次の制御期間の通電順序信号に基づいて、演算した電圧比率をそのまま用いるか、演算した電圧比率を1から引いた値を用いるかを決定して、これを入力制御比RIとして出力する。
入力パルス発生器15は、セクション信号Sct、通電順序信号Flgおよび入力制御比RIを入力し、入力制御パルスTIを生成する。セクション信号Sctに基づいて、入力制御パルスTIの中から、制御期間内で常に1とするものと、制御期間内で常に0とするものと、制御期間内で切り替えを行うものとをそれぞれ定めて、通電順序信号Flgに基づいて、制御期間内に切り替えを行うものの中から1から0へ切り替えるものと、0から1へ切り替えるものをそれぞれ定めて、入力制御比RIに基づいて、その切り替えを制御期間の開始時刻より、入力制御比RIと制御期間Tcの積だけ経過した時刻において行うようにする。1つの制御期間での入力制御パルスTIについては、その制御期間を開始する時点で制御期間Tc時間分の波形を一括して定めるものとして、その制御期間内でセクション信号Sctの転換や入力制御比RIの変動があっても、その制御期間の入力制御パルスが変化することはないものとする。このことから、その制御期間内でセクション信号Sctが転換したときは、その次の制御期間より転換後のセクションに従って入力制御パルスTIを生成することとする。
図3は課題を説明するためのセクション検出器の動作を示すタイミングチャートであり、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と、セクション検出器11が出力するセクション信号Sctとの対応を示すものである。交流電源1の電圧vR,vS,vTのそれぞれが正電圧であるか負電圧であるかの組み合わせが、交流電源1の位相の60度毎に変わることから、セクション検出器11はその正負の組み合わせに従ってセクション信号Sctを決定して出力するように動作する。
表1は、セクション信号Sctに対応する、仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相、制御期間内で交流電源1の2つの相の切り替えて利用する仮想的な直流電圧の極、その極でその2つの相を利用する順序と通電順序信号Flgとの対応をそれぞれ示したものである。表1の対応関係は、それぞれのセクションにおいて、仮想的な直流電圧として利用できる交流電源1の相の6つの組み合わせのうち、仮想的な直流電圧として現れる電圧が正値で最大のものと、正値で2番目に大きいものの2通りの電圧を利用することを意味する。一例として、セクション信号Sctが1であるときは、仮想的な直流電圧の正極は交流電源1のT相とR相の2つの相を1つの制御期間内で切り替えて利用して、負極は交流電源1のS相を1つの制御期間内で常に利用する。切り替えを行う正極で交流電源1の相を利用する順序は、通電順序信号Flgが1である制御期間では先にT相を利用して、その後R相を利用して、通電順序信号Flgが0である制御期間では先にR相を利用してその後T相を利用する。
入力パルス発生器15は、図3および表1の対応関係に従って、セクション信号Sct、通電順序信号Flgおよび入力制御比RIに基づいて、入力制御パルスTIを生成する。
図4は課題を説明するための通電順序制御器の動作を示すフローチャートである。入力制御器10u、出力制御器30およびゲート制御器40で前の制御期間のパルス生成動作が終了する(ステップST10)と、通電順序制御器13uは、通電順序制御動作B10uとして通電順序信号Flgを反転して(ステップST12)、次の制御期間の通電順序信号とする。これにより通電順序制御動作B10uは終了して、次に示す電圧比率選択動作B20の終了を待機する(ステップST14)。
図5は課題を説明するための電圧比率演算器の動作を示すフローチャートである。その演算器の動作は、3つの電圧比率演算式の中から1つを選択して演算する電圧比率選択動作B20と、演算した電圧比率から入力制御比RIを演算して出力する電圧比率出力動作B30uの2段階で構成される。
入力制御器10u、出力制御器30およびゲート制御器40で前の制御期間のパルス生成動作が終了する(ステップST10)と、電圧比率演算器14uは、電圧比率選択動作B20を開始する。セクション信号Sctが1または4である(ステップST21)ときは、電圧比率vT/(vT+vR)を演算して(ステップST23)、セクション信号Sctが2または5である(ステップST22)ときは、電圧比率vS/(vS+vT)を演算して(ステップST24)、いずれにも当てはまらない場合は、電圧比率vR/(vR+vS)を演算する(ステップST25)。このように電圧比率を演算したことによって、電圧比率選択動作B20は終了する。
電圧比率選択動作B20が終了した時点で通電順序制御動作B10uが終了していればすぐに、通電順序制御動作B10uが終了していなければその終了を待って(ステップSt26u)、電圧比率出力動作B30uを開始する。次の制御期間の通電順序信号が1であれば(ステップST32)、電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率を入力制御比RIとして出力して(ステップST34)、その通電順序信号が0であれば、その電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力する(ステップST35)。このように入力制御比RIを定めたことによって、電圧比率出力動作B30uは終了する。
電圧比率出力動作B30uが終了すると、入力制御比RIは入力パルス発生器15および出力制御器30に出力され、次の制御期間の入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWがそれぞれ生成される。
図6は課題を説明するための多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10uの動作により、その入力制御器10u、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、通電順序信号Flg、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の一例である。図2に示されていないスイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTは、それぞれスイッチ3UR,3US,3UTに対応して、そのスイッチのオン・オフを制御する。
入力制御パルスTIは、交流電源1の相の2倍の数のポートを持つ制御パルス群である。1つの制御パルスは、交流電源1のそれぞれの相を仮想的な直流電圧のそれぞれの極について利用するか否かを1と0で示す信号であり、R相を仮想的な直流電圧の正極として利用するか否かを示す制御パルスTRP、負極として利用するか否かを示すTRN、それぞれに対応するTSP,TSN、T相の制御パルスTTP,TTNを含む。仮想的な直流電圧の正極に係る制御パルスはTRP,TSP,TTP、負極に係る制御パルスはTRN,TSN,TTNである。
仮想的な直流電圧の2つの極の中で、制御期間内で交流電源1の全ての相を切り替えず固定して利用する方の極では、その制御期間でその極に係る全ての入力制御パルスが固定されるように、その制御期間でその極が利用する交流電源1の1つの相に係る入力制御パルスは常に1、それ以外のその制御期間でその極が利用しない交流電源1の全ての相に係る入力制御パルスは常に0とする。
制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する極では、その制御期間でその極が利用する交流電源1の2つ以上の相に係る入力制御パルスは、その制御期間内で1から0または0から1に切り替えて、それ以外のその制御期間でその極が利用しない交流電源1の全ての相に係る入力制御パルスは、常に0とする。その切り替え動作は、交流電源1の2つ以上の相を1つの極で同時に利用することがないように、1つの入力制御パルスは、1から0へ、他の1つの入力制御パルスは、0から1へ、時刻を同期して切り替えを行う。その切り替えの時刻は、その制御期間の開始より入力制御比RIと制御期間Tcとの積だけ経過した時刻とする。
入力パルス発生器15に入力する通電順序信号Flgが制御期間毎に0と1を交互に示していることから、制御期間内で切り替えを行う入力制御パルスについては、ある制御期間で1から0に切り替えたとき、その制御期間の次の制御期間では0から1に切り替えて、さらにその次の制御期間では再び1から0に切り替えることになる。従って、制御期間の変わり目の直前と直後でのその入力制御パルスは同一の値を取ることになり、その変わり目ではその入力制御パルスの切り替えは発生しないことになる。
出力制御パルスTU,TV,TWは、負荷2のそれぞれの相について仮想的な直流電圧の正極に接続するときは1、負極に接続するときは0とする論理信号である。出力制御器30でのパルス幅変調制御では、仮想的な直流電圧の正極または負極のいずれかが2つの相を切り替える時刻に頂点を同期させた三角搬送波を用いている。負荷1のU,V,W相のそれぞれについて、電圧指令値vU*,vV*,vW*の瞬時値と三角搬送波の瞬時値と比較して、その電圧指令値が大きいときには1、三角搬送波が大きいときには0を出力する。制御期間の変わり目および上記切り替え時刻では三角搬送波が最上点もしくは最下点となっていることから、その変わり目およびその切り替え時刻では出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えは発生しないことになる。
U相に係るスイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTは、対応するスイッチ3UR,3US,3UTをオンとするときは1、オフとするときは0とする論理信号で、それぞれの瞬時値を次の論理式により演算する。
負荷2の他の相に係るスイッチ制御パルスについても同様の演算式となる。
この一例では、vTとvRが正電圧であり、vSが負電圧であるため、セクション信号Sctは1となる。通電順序信号Flgは、図4に示したフローチャートの通電順序制御動作B10uに従って、制御期間毎に0と1を交互に出力する。入力制御比RIは、図5に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、セクション信号Sctが1であることから電圧比率vT/(vT+vR)を演算して、図5に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30uに従って、通電順序信号Flgに0と1が交互に現れることに伴い、入力制御比RIとして演算した電圧比率そのままの値と、その電圧比率を1から引いた値とを交互に出力する。
入力制御パルスTIは、仮想的な直流電圧の負極が交流電源1のS相を常に利用して、正極が交流電源1のT相とR相を切り替えて利用することから、負極に係る3つの入力制御パルスでは、S相に係る入力制御パルスTSNが1、その他の2つの入力制御パルスTRN,TTNが0となり、正極に係る3つの入力制御パルスでは、T相に係る入力制御パルスTTPとR相に係る入力制御パルスTRPが制御期間内の同じ時刻に切り替えられ、正極で利用しないS相に係る入力制御パルスTSPは0となる。
出力制御器30でのパルス幅変調制御で用いる三角搬送波は、セクション信号Sctが1であり、制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する極は正極であることから制御期間内で「山」の形を示す三角搬送波としている。このとき、負荷2のU相に係る出力制御パルスTUは、制御期間の変わり目では1、正極で交流電源1の2つの相を切り替える時刻では0となる。これは負荷1の他の相であるV相およびW相に係る出力制御パルスTV,TWも同様の動作となる。
この結果、制御期間の変わり目では、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになる。正極で交流電源1の2つの相を切り替える時刻では、正極に係る3つの入力制御パルスの中でT相に係る入力制御パルスTTPとR相に係る入力制御パルスTRPを切り替えるが、この時刻で出力制御パルスTU,TV,TWはいずれも0となることから、この時刻でも9つのスイッチ制御パルスの切り替えは行われないことになる。
以上の動作は、セクション信号Sctが1以外である制御期間であっても同様に推移する。
図7は課題を説明するための多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10uの動作により、その入力制御器10u、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、通電順序信号Flg、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧について、vRが正電圧であり、vSが負電圧であり、vTは第1の制御期間Tc1u´で正電圧から負電圧へと転じており、それと同時にセクション信号Sctは1から2へ転換している。
第1の制御期間Tc1u´と第2の制御期間Tc2u´での動作について説明する。通電順序信号Flgは、図4に示したフローチャートの通電順序制御動作B10uに従って、第1の制御期間Tc1u´では1であるから第2の制御期間Tc2u´では反転して0となる。入力制御比RIは、図5に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、第1の制御期間Tc1u´ではvT/(vT+vR)、第2の制御期間Tc2u´ではvS/(vS+vT)をそれぞれ演算して、図5に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30uに従って、第1の制御期間Tc1u´では通電順序信号Flgが1であることからvT/(vT+vR)をそのまま、第2の制御期間Tc2u´では通電順序信号Flgが0であることからvS/(vS+vT)を1から引いた値をそれぞれ入力制御比RIとして出力する。
入力制御パルスTIについては、第1の制御期間Tc1u´ではセクション信号Sctが1であることから、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが、図6に示した動作例と同一となるように、第2の制御期間Tc2u´ではセクション信号Sctが2であることか、仮想的な直流電圧の正極が交流電源1のR相を常に利用して、負極が交流電源1のS相とT相を切り替えて利用するように、それぞれ生成される。第1の制御期間Tc1u´は通電順序信号Flgが1であることから、表1に従ってその制御期間の終了時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。第2の制御期間Tc2u´は通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の開始時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はT相となる。従って、第1の制御期間Tc1u´から第2の制御期間Tc2u´への変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はR相に固定されるが、負極が利用する交流電源1の相はT相からS相へ切り替わることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波は、セクション信号Sctが1のときは図6に示した動作例と同じく「山」の形を、セクション信号Sctが2のときは制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する極が負極となることから「谷」の形のそれぞれ示す。従って、第1の制御期間Tc1u´から第2の制御期間Tc2u´への変わり目では、三角搬送波の頂点が最下点から最上点に移動する動作が発生することになり、全ての出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目で1から0へ切り替わる。この結果、負荷2の全ての相が接続する交流電源1の相は、第1の制御期間Tc1u´の終了時は仮想的な直流電圧の正極であるR相、第2の制御期間Tc2u´の開始時は仮想的な直流電圧の負極であるT相となり、9つのスイッチ制御パルスの中の交流電源1のR相とT相に係る6つのスイッチ制御パルスTUR,TUT,TVR,TVT,TWR,TWTで同時に切り替え動作が発生する。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
図8は課題を説明するための多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10uの動作により、その入力制御器10u、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、通電順序信号Flg、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧およびそれに伴うセクション信号Sctの動作は図7に示した動作例と同一であるが、第1の制御期間Tc1u″から第4の制御期間Tc4u″にかけて通電順序信号Flgの動作が逆転している。
第1の制御期間Tc1u″と第2の制御期間Tc2u″での動作について説明する。通電順序信号Flgは、図4に示したフローチャートの通電順序制御動作B10uに従って、第1の制御期間Tc1u″では0であるから第2の制御期間Tc2u″では反転して1となる。入力制御比RIは、図5に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、第1の制御期間Tc1u″ではvT/(vT+vR)、第2の制御期間Tc2u″ではvS/(vS+vT)をそれぞれ演算して、図5に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30uに従って、第1の制御期間Tc1u″では通電順序信号Flgが1であることからvT/(vT+vR)を1から引いた値を、第2の制御期間Tc2u″では通電順序信号Flgが0であることからvS/(vS+vT)をそのまま、それぞれ入力制御比RIとして出力する。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが図7に示した動作例と同一となるように生成される。第1の制御期間Tc1u″は通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の終了時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はT相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。第2の制御期間Tc2u″は通電順序信号Flgが1であることから、表1に従ってその制御期間の開始時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。従って、第1の制御期間Tc1u″から第2の制御期間Tc2u″への変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はT相からR相へ切り替わり、負極が利用する交流電源1の相はS相に固定されることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は図7に示した動作例と同様であり、第1の制御期間Tc1u″から第2の制御期間Tc2u″への変わり目で三角搬送波の頂点が最下点から最上点に移動する動作が発生することから、全ての出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目で1から0へ切り替わる。この結果、負荷2の全ての相が接続する交流電源1の相は、第1の制御期間Tc1u″の終了時は仮想的な直流電圧の正極であるT相、第2の制御期間Tc2u″の開始時は仮想的な直流電圧の負極であるS相となり、9つのスイッチ制御パルスの中の交流電源1のT相とS相に係る6つのスイッチ制御パルスTUR,TUT,TVR,TVT,TWR,TWTで同時に切り替え動作が発生する。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
以上のように、多相対多相電力変換装置では、セクション信号Sctが転換する全ての機会で負荷の複数の相に係るスイッチが同時にスイッチング動作を発生するという課題が生じていた。
以下、実施の形態1の動作について説明する。
図1において、図2と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
入力制御器10の動作について説明する。入力制御器10は、セクション検出器11、転換検出器12、通電順序制御器13、電圧比率演算器14および入力パルス発生器15で構成され、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。
転換検出器12は、セクション信号Sctを入力して、これが転換したときに転換信号TScを1として出力する。
通電順序制御器13は、制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する仮想的な直流電圧の極が、その利用する順序を制御期間毎に交替させることを指示するように、制御期間毎に0と1が交互に現れる通電順序信号Flgを出力する。但し、その通電順序制御器13に入力される転換信号TScが1であるときは、前の制御期間の通電順序信号に係らず、次の制御期間の通電順序信号を0として出力する。
電圧比率演算器14は、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、転換信号TScおよび通電順序信号Flgを入力し、入力制御比RIを制御期間の変わり目毎に演算して出力する。交流電源1の電圧測定値vRs,vSs,vTsより演算される3つの電圧比率vT/(vT+vR),vS/(vS+vT),vR/(vR+vS)から、セクション信号Sctに基づいて1つを選択して演算する。通電順序制御器13が出力する、次の制御期間の通電順序信号に基づいて、演算した電圧比率をそのまま用いるか、演算した電圧比率を1から引いた値を用いるかを決定して、これを入力制御比RIとして出力する。但し、転換信号TScが1であるときは前の制御期間の通電順序信号を参照して、入力制御比RIを0とするか、演算した電圧比率を1から引いた値を用いるかを決定して出力して、転換信号TScを0とする。
図9はこの発明の実施の形態1による通電順序制御器の動作を示すフローチャートであり、図において、図4と同一の部分については同一の符号を付す。入力制御器10、出力制御器30およびゲート制御器40で前の制御期間のパルス生成動作が終了する(ステップST10)と、通電順序制御器13は、通電順序制御動作B10を開始する。転換信号TScが0であれば(ステップST11)、前の制御期間の通電順序信号を反転して(ステップST12)、次の制御期間の通電順序信号として、転換信号TScが0であれば、前の制御期間の通電順序信号に係らず次の制御期間の通電順序信号を0とする(ステップST13)。これにより通電順序制御動作B10は終了して、次に示す電圧比率選択動作B20の終了を待機する(ステップST14)。
図10はこの発明の実施の形態1による電圧比率演算器の動作を示すフローチャートであり、図において、図5と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し、電圧比率選択動作B20およびステップST27の動作については説明を省略する。その演算器の動作は、3つの電圧比率演算式の中から1つを選択して演算する電圧比率選択動作B20と、演算した電圧比率からRIを演算して出力する電圧比率出力動作B30の2段階で構成される。
電圧比率出力動作B30について説明する。転換信号TScが0であれば(ステップST31)、次の制御期間の通電順序信号を参照して、図5に示した電圧比率出力動作B30uと同一の動作となる。転換信号TScが1であれば前の制御期間の通電順序信号を参照して、その通電順序信号が1であれば(ステップST33)、入力制御比RIを0として出力して(ステップST36)、その通電順序信号が0であれば電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力して(ステップST37)、転換検出器12が出力していた転換信号TScを1から0とする(ステップST38)。このように入力制御比RIを定めたことによって、電圧比率出力動作B30は終了する。
電圧比率出力動作B30が終了すると、入力制御比RIは入力パルス発生器15および出力制御器30に出力され、次の制御期間の入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWがそれぞれ生成される。
次に、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10の動作により、その入力制御器10、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作について説明する。
セクション信号Sctが1であり転換しないときの動作は、図6に示した動作例と同一であり、制御期間の変わり目では9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われず、セクション信号Sctが1以外である制御期間であっても同様に推移するため、説明は省略する。
図11はこの発明の実施の形態1による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10の動作により、その入力制御器10、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧およびそれに伴うセクション信号Sctの動作は図7に示した動作例と同一であるが、セクション信号Sctの転換に伴って転換信号TScが1となり、通電順序信号Flgの動作は図9に示したフローチャートの通電順序制御動作B10に従うものとなっている。
第1の制御期間Tc1´での動作は、図7に示した動作例の第1の制御期間Tc1u´と同一である。第2の制御期間Tc2´での動作について説明する。通電順序信号Flgは、図9に示したフローチャートの通電順序制御動作B10に従って、第1の制御期間Tc1´で転換信号TScが1となっていることから、前の制御期間の通電順序信号に係らず0となる。入力制御比RIは、図10に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従ってvS/(vS+vT)を演算するが、図10に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30に従って、転換信号TScが1で前の制御期間の通電順序信号Flgが1であることから、入力制御比RIを0として出力して、転換検出器12が出力する転換信号TScを0とする。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせは、図7に示した動作例と同一となるように生成される。第1の制御期間Tc1´は通電順序信号Flgが1であることから、表1に従ってその制御期間の終了時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。第2の制御期間Tc2´は通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の開始時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はT相、負極が利用する交流電源1の相はS相となるはずであるが、その制御期間の入力制御比RIが0となっていることから、正極がT相を利用する時間が0となり、その後利用することになっているR相をその制御期間の開始時より利用することになる。従って、第1の制御期間Tc1´から第2の制御期間Tc2´への変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はR相に、負極が利用する交流電源1の相はS相に、それぞれ固定されることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は、図7の動作例と同様であるが、第2の制御期間Tc2´の入力制御比RIが0となっていることから、その制御期間では「谷」の形を示すはずの三角搬送波の前半部分がなくなり、右上がりの鋸波となる。従って、第1の制御期間Tc1´の最後と第2の制御期間Tc2´の最初の三角搬送波の頂点は共に最下点となり、第1の制御期間Tc1´から第2の制御期間Tc2´への変わり目では三角搬送波の頂点の移動は発生しないので、全ての出力制御パルスTU,TV,TWは、その変わり目で切り替わらないことになる。
この結果、第1の制御期間Tc1´から第2の制御期間Tc2´への変わり目では、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになる。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
図12はこの発明の実施の形態1による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10の動作により、その入力制御器10、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧の動作と、それに伴うセクション信号Sctおよび転換信号TScの動作は図11に示した動作例と同一であるが、第1の制御期間Tc1″の通電順序信号Flgが0となっている。
第1の制御期間Tc1″での動作は、図8に示した動作例の第1の制御期間Tc1u″と同一である。第2の制御期間Tc2″での動作について説明する。通電順序信号Flgは、図9に示したフローチャートの通電順序制御動作B10に従って、第1の制御期間Tc1″で転換信号TScが1となっていることから、前の制御期間の通電順序信号に係らず0となる。入力制御比RIは、図10に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従ってvS/(vS+vT)を演算して、図10に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30に従って、転換信号TScが1で前の制御期間の通電順序信号Flgが0であることから、その電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力して、転換検出器12が出力する転換信号TScを0とする。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが、図11に示した動作例と同一となるように生成される。第1の制御期間Tc1″は通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の終了時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はT相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。第2の制御期間Tc2″は通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の開始時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はT相となる。従って、第1の制御期間Tc1″から第2の制御期間Tc2″への変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はT相からR相へ切り替わり、負極が利用する交流電源1の相はS相からT相へ切り替わることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は、図8に示した動作例と同様であり、第1の制御期間Tc1″から第2の制御期間Tc2″への変わり目で三角搬送波の頂点が最下点から最上点に移動する動作が発生することから、全ての出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目で1から0へ切り替わる。しかしながら、入力制御パルスTIの切り替え動作と合成した結果、負荷2の全ての相が接続する交流電源1の相は、第1の制御期間Tc1″の終了時は仮想的な直流電圧の正極であるT相と、第2の制御期間Tc2″の開始時は仮想的な直流電圧の負極であるT相となり、第1の制御期間Tc1″から第2の制御期間Tc2″への変わり目では負荷2の相に接続される交流電源1の相の切り替えが行われず、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えが全く行われないことになる。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態1によれば、多相対多相電力変換装置を制御するための基本時間単位である制御期間について、制御期間の途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を切り替えるものであって、負荷2の相に接続する交流電源1の相を接続する順序を入れ替える動作、あるいは、ある交流電源1の相を接続する時間を0とする動作を利用することによって、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図の入力制御器10aにおいて、通電順序制御器13uは、交流電源1の相の負荷2に接続する順序を定めた通電順序信号を生成し、電圧比率演算器14aは、交流電源1の交流電圧、セクション検出器11によるセクション信号、転換検出器12による転換信号、および通電順序制御器13による通電順序信号に基づいて、入力制御比および保持信号を生成し、入力パルス発生器15aは、セクション検出器11によるセクション信号、通電順序制御器13による通電順序信号、および電圧比率演算器14による入力制御比および保持信号に基づいて、入力制御パルスを生成するものである。その他の構成については図1と同様である。
次に動作について説明する。
図1に示した回路では、電圧比率演算器14が入力制御比RIを出力して、入力パルス発生器15および出力制御器30に入力するように構成したが、図13に示したように、電圧比率演算器14aが入力制御比RIと共に保持信号KScを出力して、入力パルス発生器15aおよび出力制御器30に入力するように構成しても良い。
この構成では、セクションが転換した制御期間で負荷2の相が交流電源1の相を接続する順序がある条件に合致するときに、その制御期間で負荷2の相が接続する交流電源1の相の組み合わせをその次の制御期間まで保持することにより、さらにその次の制御期間への変わり目で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相が切り替わらないようにして、制御期間の変わり目でスイッチング動作を発生させないようにすることができる。
図6において、図1および図2と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
入力制御器10aの動作について説明する。入力制御器10aは、セクション検出器11、転換検出器12、通電順序制御器13u、電圧比率演算器14aおよび入力パルス発生器15aで構成され、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し、入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。
電圧比率演算器14aは、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Stc、転換信号TScおよび通電順序信号Flgを入力し、入力制御比RIの演算と保持信号KScの生成を制御期間の変わり目毎に行って出力する。保持信号KScが0であり転換信号TScが0であるときの動作は、図1の電圧比率演算器14で転換信号TScが0であるときの動作と同一である。転換信号TScが1であるときは前の制御期間の通電順序信号を参照して入力制御比RIを0とするか前の制御期間の入力制御比を1から引いた値を用いるかを決定して、また、その通電順序信号を参照して保持信号KScを1として出力するか、転換検出器12が出力する転換信号TScを0とする。また、その電圧比率演算器14aが演算を開始する時点で保持信号KScが1であれば、入力制御比RIを0として出力して、保持信号KScおよび転換検出器12が出力する転換信号TSccを共に0とする。
入力パルス発生器15aは、セクション信号Sct、通電順序信号Flg、保持信号KScおよび入力制御比RIを入力し、入力制御パルスTIを生成する。保持信号KScが0である制御期間でのその発生器の動作については、図1の入力パルス発生器15の動作と同等である。
保持信号KScが1となる制御期間は、その制御期間の前の制御期間でセクション信号Sctが転換している場合にのみ現れる場合がある。このとき、その制御期間でのその発生器の動作上としては、その入力パルス発生器15aが参照するセクション信号Sctをその制御期間の前の制御期間のものから転換せず保持したまま、入力制御パルスTIを生成する。
図14はこの発明の実施の形態2による電圧比率演算器の動作を示すフローチャートであり、図において、図5および図10と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し、電圧比率選択動作B20およびステップST26uの動作については説明を省略する。その電圧比率演算器14aの動作は、3つの電圧比率演算式の中から1つを選択して演算する電圧比率選択動作B20と、演算した電圧比率から入力制御比RIを演算して出力する電圧比率出力動作B30aの2段階で構成される。
電圧比率出力動作B30aについて説明する。その動作の開始時に保持信号KScが0であれば(ステップST41)、図10に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30とほぼ同等の動作に移行する。転換信号TScが0であれば(ステップST31)、次の制御期間の通電順序信号を参照して、図5に示した電圧比率出力動作B30uと同一の動作となる。転換信号TScが1であれば前の制御期間の通電順序信号を参照して、その通電順序信号が1であれば(ステップST33)、入力制御比RIを0として出力し(ステップST36)、転換検出器12が出力していた転換信号TScを1から0として(ステップST38)、その通電順序信号が0であれば、前の制御期間の入力制御比RIを1から引いた値を次の制御期間の入力制御比RIとして出力し(ステップST43)、保持信号KScを1として出力する(ステップST44)。前の制御期間の直前の電圧比率出力動作B30aでステップST44を経ていれば、その前の制御期間では保持信号KScが1となっているので、その前の制御期間が終了した直後の電圧比率出力動作B30aでは、保持信号KScを1から0として(ステップST42)、入力制御比RIを0として出力し、転換検出器12が出力していた転換信号TScを1から0とする。
電圧比率出力動作B30aが終了すると、入力制御比RIは入力パルス発生器15aおよび出力制御器30に出力され、次の制御期間の入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWがそれぞれ生成される。
次に、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10aの動作により、その入力制御器10a、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、保持信号KSc、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作について説明する。
セクション信号Sctが1であり転換しないときの動作は図1の動作例と同一であり、制御期間の変わり目では9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われず、セクション信号Sctが1以外である制御期間であっても同様に推移するため、説明は省略する。また、セクション信号Sctが1から2に転換してその転換時の制御期間の通電順序信号Flgが1であるときの動作は、図14に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30aに従って保持信号KScは0のままであることから、その制御期間と次の制御期間での通電順序信号Flg、入力制御比RIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの動作が図11に示した動作例と同一となるので、このときも制御期間の変わり目で9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われないことになり、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移するため、説明は省略する。
図15はこの発明の実施の形態2による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングであり、図において、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10aの動作により、その入力制御器10a、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、保持信号KSc、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の一例である。この一例では、交流電源1の電圧の動作と、それに伴うセクション信号Sct、転換信号TScの動作は、図12に示した動作例と同一であり、第1の制御期間Tc1a″の通電順序信号Flgが0となっている。
第1の制御期間Tc1a″での動作は、図12に示した動作例の第1の制御期間Tc1″と同一である。
第2の制御期間Tc2a″と第3の制御期間Tc3a″での動作について説明する。通電順序信号Flgは、図4に示したフローチャートの通電順序制御動作B10uに従って、第1の制御期間Tc1a″では1であるから第2の制御期間Tc2a″では反転して0となり、第3の制御期間Tc3a″は再び反転して1となる。入力制御比RIは、図14に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、第2の制御期間Tc2a″と第3の制御期間Tc3a″で共にvS/(vS+vT)を演算するが、図14のフローチャートの電圧比率出力動作B30aに従って、第2の制御期間Tc2a″では保持信号KScが0で転換信号TScが1であり前の制御期間の通電順序信号Flgが0であることから前の制御期間の入力制御比を1から引いた値を入力制御比RIとして出力し保持信号KScを1として出力し、第3の制御期間Tc3a″では前の制御期間の直前の電圧比率出力動作B30aで保持信号KScを1としていることから、保持信号KScを0、入力制御比RIを0としてそれぞれ出力して、転換検出器12が出力する転換信号TScを0とする。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが図12に示した動作例と同一となるように生成される。第2の制御期間Tc2a″では保持信号KScが1であることから、入力パルス発生器15aが参照するセクション信号Sctは前の制御期間のセクション信号である1となり、その制御期間の前の制御期間から通電順序信号Flgが反転していることから、第1の制御期間Tc1a″から第2の制御期間Tc2a″への変わり目では図6に示した動作例と同様に入力制御パルスTIの切り替えは発生しない。第2の制御期間Tc2a″は前の制御期間のセクション信号である1を参照して通電順序信号Flgが1であることから、表1に従ってその制御期間の終了時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。第3の制御期間Tc3a″は保持信号KScが0となってその入力パルス発生器15aが参照するセクション信号Sctは2となり通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の開始時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はT相、負極が利用する交流電源1の相はS相となるが、入力制御比RIが0となっていることから、図11に示した動作例と同様にその制御期間の三角搬送波が右上がりの鋸波となる。従って、第2の制御期間Tc2a″から第3の制御期間Tc3a″への変わり目での動作も図11に示した動作例と同一となる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は図11に示した動作例と同様であり、出力制御パルスTU,TV,TWは、第1の制御期間Tc1a″から第2の制御期間Tc2a″への変わり目では図6に示した動作例と同様に、第2の制御期間Tc2a″から第3の制御期間Tc3a″への変わり目では図11に示した動作例と同様になるため、制御期間の変わり目全てにおいて切り替わらないことになる。
この結果、図15に示した動作例の制御期間の変わり目全てにおいて、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになる。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態2によれば、多相対多相電力変換装置を制御するための基本時間単位である制御期間について、制御期間の途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を切り替えるものであって、ある制御期間で負荷2の相が接続する交流電源1の相の組み合わせを変更して、ある交流電源1の相を接続する時間を0とする動作を利用できるようにすることにより、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態3.
図16はこの発明の実施の形態3による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図の入力制御器10bにおいて、電圧比率演算器14bは、交流電源1の交流電圧、セクション検出器11によるセクション信号、転換検出器12による転換信号、および通電順序制御器13による通電順序信号に基づいて、入力制御比および保持信号を生成するものである。その他の構成については図1あるいは図13と同様である。
次に動作について説明する。
図1に示した回路では、電圧比率演算器14が入力制御比RIを出力して、入力パルス発生器15および出力制御器30に入力するように構成したが、図13に示したように、電圧比率演算器14aが入力制御比RIと共に保持信号KScを出力して、入力パルス発生器15aおよび出力制御器30に入力するように構成しても良い。
この構成では、セクションが転換した制御期間で負荷2の相が交流電源1の相を接続する順序がある条件に合致するときに、その制御期間で負荷2の相が接続する交流電源1の相の組み合わせを、その次の制御期間まで保持することにより、さらにその次の制御期間への変わり目で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相の切り替わりと、パルス幅変調制御によるパルス信号の切り替わりとを合成して、制御期間の変わり目でスイッチング動作を発生させないようにすることができる。
図16において、図1および図13と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
入力制御器10bの動作について説明する。入力制御器10bは、セクション検出器11、転換検出器12、通電順序制御器13、電圧比率演算器14b、および入力パルス発生器15aで構成され、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し、入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。
電圧比率演算器14bは、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、転換信号TScおよび通電順序信号Flgを入力し、入力制御比RIの演算と保持信号KScの生成を制御期間の変わり目毎に行って出力する。保持信号KScが0であり、転換信号TScが0であるときの動作は、図1に示した電圧比率演算器14で転換信号TScが0であるときの動作と同一である。転換信号TScが1であるときは前の制御期間の通電順序信号を参照して、演算した電圧比率を1から引いた値を用いるか前の制御期間の入力制御比を1から引いた値を用いるかを決定して、これを入力制御比RIとして出力して、また、その通電順序信号を参照して保持信号KScを1として出力するか、転換検出器12が出力する転換信号TScを0とする。また、その電圧比率演算器14bが演算を開始する時点で保持信号KScが1であれば、演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力して、保持信号KScおよび転換検出器12が出力する転換信号TScを共に0とする。
図17はこの発明の実施の形態3による電圧比率演算器の動作を示すフローチャートであり、図において、図10および図14と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し、電圧比率選択動作B20およびステップST26uの動作については説明を省略する。その電圧比率演算器14bの動作は、3つの電圧比率演算式の中から1つを選択して演算する電圧比率選択動作B20と、演算した電圧比率から入力制御比RIを演算して出力する電圧比率出力動作B30bの2段階で構成される。
電圧比率出力動作B30bについて説明する。その動作の開始時に保持信号KScが0であれば(ステップST41)、図10に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30とほぼ同等の動作に移行する。転換信号TScが0であれば(ステップST31)、次の制御期間の通電順序信号を参照して、図5に示した電圧比率出力動作B30uと同一の動作となる。転換信号TScが1であれば前の制御期間の通電順序信号を参照して、その通電順序信号が1であれば(ステップST33)、前の制御期間の入力制御比RIを1から引いた値を次の制御期間の入力制御比RIとして出力し(ステップST43)、保持信号KScを1として出力して(ステップST44)、その通電順序信号が0であれば電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力し(ステップST36)、転換検出器12が出力していた転換信号TScを1から0とする(ステップST38)。前の制御期間の直前の電圧比率出力動作B30bでステップST44を経ていれば、その前の制御期間では保持信号KScが1となっているので、その前の制御期間が終了した直後の電圧比率出力動作B30bでは、保持信号KScを1から0として(ステップST42)、電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力し、転換検出器12が出力していた転換信号TScを1から0とする。
電圧比率出力動作B30bが終了すると、入力制御比RIは入力パルス発生器15aおよび出力制御器30に出力され、次の制御期間の入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWがそれぞれ生成される。
次に、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10bの動作により、その入力制御器10b、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、保持信号KSc、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作について説明する。
セクション信号Sctが1であり転換しないときの動作は、図1に示した動作例と同一であり、制御期間の変わり目では9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われず、セクション信号Sctが1以外である制御期間であっても同様に推移するため、説明は省略する。
また、セクション信号Sctが1から2に転換してその転換時の制御期間の通電順序信号Flgが0であるときの動作は、図17に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30bに従って保持信号KScは0のままであることから、その制御期間と次の制御期間での通電順序信号Flg、入力制御比RIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの動作が図10に示した動作例と同一となるため、このときも制御期間の変わり目で9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われないことになり、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移するため、説明は省略する。
図18はこの発明の実施の形態3による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートあり、図において、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10bの動作により、その入力制御器10b、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、転換信号TSc、通電順序信号Flg、保持信号KSc、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の一例である。この一例では、交流電源1の電圧の動作と、それに伴うセクション信号Sct、転換信号TScの動作は図11に示した動作例と同一であり、第1の制御期間Tc1b´の通電順序信号Flgが1となっている。
第1の制御期間Tc1b´での動作は、図11に示した動作例の第1の制御期間Tc1´と同一である。
第2の制御期間Tc2b´と第3の制御期間Tc3b´での動作について説明する。通電順序信号Flgは、図9に示したフローチャートの通電順序制御動作B10に従って、第1の制御期間Tc1b´で転換信号TScが1となっていることから、前の制御期間の通電順序信号に係らず0となり、さらに第3の制御期間Tc3b´でも前の制御期間で転換信号TScが1のままであることから前の制御期間の通電順序信号に係らず0となる。
入力制御比RIは、図17に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、第2の制御期間Tc2b´と第3の制御期間Tc3b´で共にvS/(vS+vT)を演算するが、図14に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30aに従って、第2の制御期間Tc2b´では保持信号KScが0で転換信号TScが1であり、前の制御期間の通電順序信号Flgが1であることから、前の制御期間の入力制御比を1から引いた値を入力制御比RIとして出力し、保持信号KScを1として出力し、第3の制御期間Tc3b´では前の制御期間の直前の電圧比率出力動作30bで保持信号KScを1としていることから、保持信号KScを0として、電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとしてそれぞれ出力して、転換検出器12が出力する転換信号TScを0とする。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが、図18に示した動作例と同一となるように生成される。第2の制御期間Tc2b´では保持信号KScが1であることから、入力パルス発生器15aが参照するセクション信号Sctは前の制御期間のセクション信号である1となり、その制御期間の前の制御期間から通電順序信号Flgが反転していることから、第1の制御期間Tc1b´から第2の制御期間Tc2b´への変わり目では、図6に示した動作例と同様に入力制御パルスTIの切り替えは発生しない。第2の制御期間Tc2b´は、前の制御期間のセクション信号である1を参照して通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の終了時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はT相、負極が利用する交流電源1の相はS相となる。第3の制御期間Tc3b´は保持信号KScが0となってその入力パルス発生器15aが参照するセクション信号Sctは2となり通電順序信号Flgが0であることから、表1に従ってその制御期間の開始時に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はT相となる。従って、第2の制御期間Tc2b´から第3の制御期間Tc3b´への変わり目での動作は図12に示した動作例と同一となる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は、図12に示した動作例と同様であり、出力制御パルスTU,TV,TWは、第1の制御期間Tc1b´から第2の制御期間Tc2b´への変わり目では、図6に示した動作例と同様になるため切り替わらないことになり、第2の制御期間Tc2b´から第3の制御期間Tc3b´への変わり目では、図12に示した動作例と同様になるため、その変わり目で1から0へ切り替わることになる。しかしながら、入力制御パルスTIの切り替え動作と合成した結果は、図12に示した動作例と同様となるため、結果、図18に示した動作例の制御期間の変わり目全てにおいて、負荷2の相に接続される交流電源1の相の切り替えが行われないことになり、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われない。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態3によれば、多相対多相電力変換装置を制御するための基本時間単位である制御期間について、制御期間の途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を切り替えるものであって、ある制御期間で負荷2の相が接続する交流電源1の相の組み合わせを変更して、負荷2の相に接続する交流電源1の相を接続する順序を入れ替える動作を利用できるようにすることにより、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態4.
図19はこの発明の実施の形態4による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図において、入力制御器10cは、交流電源1の交流電圧に基づいて、負荷2に接続する交流電源1の相を時間的に定める入力制御パルスを生成するものである。
入力制御器10cにおいて、セクション検出器11cは、交流電源1の交流電圧に基づいて、交流電源1の交流電圧の位相が交流電源1の位相を60度ずつに区切った位相区間についてどの位相区間であるかを示す中間セクション信号を生成するものである。転換検出器12cは、セクション検出器11cによる中間セクション信号に基づいて、中間セクション信号が偶数値から奇数値へ転換したことを示す第1中間転換信号、およびその中間セクション信号が奇数値から偶数値へ転換したことを示す第2中間転換信号を生成するものである。入力パルス発生器15cは、セクション検出器11cによる中間セクション信号、および転換検出器12cによる第1中間転換信号および第2中間転換信号に基づいて、入力制御パルスを生成するものである。
出力制御器30cは、電圧指令器20による電圧指令値に基づいて、交流電源1に接続する負荷2の相を時間的に定める出力制御パルスを生成するものである。その他の構成については図1と同様である。
次に動作について説明する。
図1に示した回路では、セクション検出器11がセクション信号Sctを、転換検出器12が転換信号TScをそれぞれ出力して入力パルス発生器15に入力して、入力パルス発生器15が、セクション信号Sct、通電順序信号Flgおよび入力制御比RIに基づいて入力制御パルスTIを出力して、出力制御器30が電圧指令値vU*,vV*,vW*および入力制御比RIに基づいて出力制御パルスTU,TV,TWを出力するように構成したが、図19に示すように、セクション検出器11cが中間セクション信号Scmを、転換検出器12cが第1中間転換信号TSm1および第2中間転換信号TSm2をそれぞれ出力して入力パルス発生器15cに入力して、入力パルス発生器15cが、中間セクション信号Scm、第1中間転換信号TSm1および第2中間転換信号TSm2に基づいて入力制御パルスTIを出力して、出力制御器30cが電圧指令値vU*,vV*,vW*に基づいて出力制御パルスTU,TV,TWを出力するように構成しても良い。
この構成では、仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相を1つの制御期間内で切り替えない入力制御パルスを生成するような場合、パルス幅変調制御で負荷2の相を仮想的な直流電圧の正極および負極に接続する順序がある条件に合致するときに、中間セクションが転換するときに負荷2の相が接続する交流電源1の相の切り替える時刻を一定の時間だけ遅延させることにより、中間セクションが転換した直後の制御期間の変わり目で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相の切り替わりとパルス幅変調制御によるパルス信号の切り替わりとを合成して、制御期間の変わり目でスイッチング動作を発生させないようにすることができる。
図19において、図1と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
出力制御器30cは、電圧指令器20から得られる電圧指令値vU*,vV*,vW*に基づいて、入力制御器10cの制御期間に同期した出力制御パルスTU,TV,TWを生成して出力する。
出力制御器30cで三角搬送波を利用したパルス幅変調制御を行う場合、制御期間内で「山」の形を示す三角搬送波と制御期間内で「谷」の形を示す三角搬送波のいずれを利用しても良い。制御期間の中間の頂点をとる時刻もその制御期間内のどの時刻としても良いが、一例としてここでは、その制御期間の開始より制御期間Tcの2分の1に相当する時間が経過した時刻とする。
入力制御器10cの動作について説明する。入力制御器10cは、セクション検出器11c、転換検出器12cおよび入力パルス発生器15cで構成され、交流電源1の電圧vR、vS,vTの測定値vRs、vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し、入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。
セクション検出器11cは、電圧vR、vS,vTの測定値vRs、vSs,vTsを入力し、交流電源1の位相がどの中間セクションにあるかを検出して、中間セクション信号Scmを出力する。転換検出器12cは、中間セクション信号Scmを入力して、その信号が偶数値から奇数値へ転換したときに、第1中間転換信号TSm1を1として、その信号が奇数値から偶数値へ転換したときに第2中間転換信号TSm2を1として、それぞれ出力する。
入力パルス発生器15cは、中間セクション信号Scm、第1中間転換信号TSm1および第2中間転換信号TSm2を入力し、入力制御パルスTIを生成する。中間セクション信号Scmに基づいて、入力制御パルスTIの中から、制御期間内で常に1とするものと制御期間内で常に0とするものをそれぞれ定める。1つの制御期間での入力制御パルスTIの波形をその制御時間の開始時点で一括して定める動作については図1の入力パルス発生器15と同一とする。
制御期間の変わり目以降の一定の時間だけ前の制御期間の入力制御パルスTIを保持することを指令するための信号として、制御期間内の三角搬送波の形が「山」である場合は第1中間転換信号TSm1を、制御期間内の三角搬送波の形が「谷」である場合は第2中間転換信号TSm2をそれぞれ選択する。そして、その選択した中間転換信号が1であるときは、その次の制御期間の開始より制御期間Tcの2分の1に相当する時間が経過するまでの間、その次の制御期間の前の制御期間の入力制御パルスTIをその次の制御期間で保持することとする。
図20はこの発明の実施の形態4によるセクション検出器の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR、vS,vTの変動と、セクション検出器11cが出力する中間セクション信号Scmとの対応を示す。交流電源1の電圧vR、vS,vTの中から2つを選択した3通り全ての組み合わせについて大小比較を行い、3つの大小関係の組み合わせが交流電源位相の60度毎に変わることから、セクション検出器11cは、その組み合わせに応じて中間セクション信号Scmを決定して出力するように動作する。
表2は、中間セクション信号Scmに対応する、仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相をそれぞれ示す。表2の対応関係は、それぞれのセクションにおいて、仮想的な直流電圧として利用できる交流電源1の相の6つの組み合わせのうち、仮想的な直流電圧として現れる電圧が正値で最大のものを利用することを意味する。一例として、中間セクション信号Scmが1であるときは、仮想的な直流電圧の正極は交流電源1のR相を、負極は交流電源1のS相をそれぞれ制御期間で常に利用する。
入力パルス発生器15cは、図20および表2の対応関係に従って、中間セクション信号Scmに基づいて入力制御パルスTIを生成する。
次に、交流電源1の電圧vR、vS,vTの変動と入力制御器10cの動作により、その入力制御器10c、出力制御器30cおよびゲート制御器40が出力する、中間セクション信号Scm、第1中間転換信号TSm1、第2中間転換信号TSm2、入力制御パルスTI、出力制御器30cでのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作について説明する。
中間セクション信号Scmが1であり転換しないときの動作については、入力制御パルスTIは、表2に従って仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相はR相に、負極が利用する交流電源1の相はS相に、それぞれ固定されるように生成され、出力制御パルスTU、TV,TWは制御期間の変わり目で切り替えを行わないような三角搬送波を利用して生成されている。この結果、制御期間の変わり目では、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU、TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになり、セクション信号Sctが1以外である制御期間であっても同様に推移する。
図21はこの発明の実施の形態4による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR、vS,vTの変動と入力制御器10cの動作により、その入力制御器10c、出力制御器30cおよびゲート制御器40が出力する、中間セクション信号Scm、第2中間転換信号TSm1、第2中間転換信号TSm2、入力制御パルスTI、出力制御器30cでのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の一例である。この一例では、出力制御器30cでのパルス幅変調制御は「山」の形を示す三角搬送波によるものとしており、入力パルス発生器15cは第2中間転換信号TSm1が1となったときにその次の制御期間の開始より制御期間Tcの2分の1に相当する時間が経過するまでの間、その次の制御期間の前の制御期間の入力制御パルスTIをその次の制御期間で保持することとする。また、この一例の交流電源1の電圧については、第1の制御期間Tc1c´でvTとvSの大小関係が逆転しており、それと同時に中間セクション信号Scmは1から2へ転換して、第2中間転換信号TSm2が1となっている。
第1の制御期間Tc1c´と第2の制御期間Tc2c´での動作について説明する。
入力制御パルスTIについては、第1の制御期間Tc1c´では中間セクション信号Scmが1であることから、仮想的な直流電圧の正極として利用する交流電源1の相はR相に、負極として利用する交流電源1の相はS相に、それぞれ固定され、第2の制御期間Tc2c´では中間セクション信号Scmが2であることから、仮想的な直流電圧の正極として利用する交流電源1の相はR相に、負極として利用する交流電源1の相はT相に、それぞれ固定される。従って、第1の制御期間Tc1c´から第2の制御期間Tc2c´への変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はR相に固定されるが、負極が利用する交流電源1の相はS相からT相へ切り替わることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波は「山」の形を示す。従って、第1の制御期間Tc1c´から第2の制御期間Tc2c´への変わり目では三角搬送波の頂点は最下点となり、全ての出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目で1となる。この結果、負荷2の全ての相が接続する交流電源1の相は、第1の制御期間Tc1c´の終了時と第2の制御期間Tc2c´の開始時ではいずれも仮想的な直流電圧の正極であるR相となり、その変わり目では負荷2の相に接続される交流電源1の相の切り替えが行われず、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも行われないことになる。
以上の動作は、中間セクション信号Scmが1から2へ転換するとき以外の第2中間転換信号TSm2が1となる中間セクションの転換、すなわち、中間セクション信号Scmが3から4へ、もしくは5から6へ転換するときであっても同様に推移する。
図22はこの発明の実施の形態4による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10cの動作により、その入力制御器10c、出力制御器30cおよびゲート制御器40が出力する、中間セクション信号Scm、第1中間転換信号TSm1、第2中間転換信号TSm2、入力制御パルスTI、出力制御器30cでのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧について、第1の制御期間Tc1c″でvRとvSの大小関係が逆転しており、それと同時に中間セクション信号Scmは2から3へ転換して、第1中間転換信号TSm1が1となっている。
第1の制御期間Tc1c″と第2の制御期間Tc2c″での動作について説明する。
入力制御パルスTIについては、第1の制御期間Tc1c″では中間セクション信号Scmが2であることから、仮想的な直流電圧の正極として利用する交流電源1の相はR相に、負極として利用する交流電源1の相はT相に、それぞれ固定され、第2の制御期間Tc2c″では中間セクション信号Scmが3であることから、仮想的な直流電圧の正極として利用する交流電源1の相はS相に、負極として利用する交流電源1の相はT相に、それぞれ固定される。ここで、第1の制御期間Tc1c″で第1中間転換信号TSm1が1となっていることから、入力パルス発生器15cはその制御期間の次の制御期間である第2の制御期間Tc2c″で、その制御期間の開始より制御期間Tcの2分の1の時間が経過した時刻まで前の制御期間である第1の制御期間Tc1c″の入力制御パルスTIを保持して出力する。従って、第1の制御期間Tc1c″から第2の制御期間Tc2c″への変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はR相、負極が利用する交流電源1の相はT相に固定され、第2の制御期間Tc2c″の中間の時刻で正極で利用される交流電源1の相がR相からS相に切り替わることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波は「山」の形を示す。従って、第1の制御期間Tc1c″から第2の制御期間Tc2c″への変わり目では三角搬送波の頂点は最下点、第2の制御期間Tc2c″の中間の時刻では最上点となり、全ての出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目で1、その中間の時刻で0となる。この結果、負荷2の全ての相が接続する交流電源1の相は、第1の制御期間Tc1c″の終了時と第2の制御期間Tc2c″の開始時ではいずれも仮想的な直流電圧の正極であるR相となり、その中間の時刻の前後ではいずれも仮想的な直流電圧の負極であるT相となるので、その変わり目およびその中間の時刻では負荷2の相に接続される交流電源1の相の切り替えが行われず、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも行われないことになる。
以上の動作は、中間セクション信号Scmが2から3へ転換するとき以外の第1中間転換信号TSm1が1となる中間セクションの転換、すなわち、中間セクション信号Scmが4から5へ、もしくは6から1へ転換するときであっても同様に推移する。
また、出力制御器30cでのパルス幅変調制御を「谷」の形を示す三角搬送波によるものであって、入力パルス発生器15cが、第2中間転換信号TSm2が1となったときに、その次の制御期間の開始より制御期間Tcの2分の1に相当する時間が経過するまでの間、その次の制御期間の前の制御期間の入力制御パルスTIをその次の制御期間で保持することとするものであっても、中間セクション信号Scmが転換したときの動作は図21および図22に示した動作例と同様のものとなる。
以上のように、この実施の形態4によれば、多相対多相電力変換装置を制御するための基本時間単位である制御期間について、負荷2の相が接続する交流電源1の相を切り替える時刻を所定の時間だけ遅延させる動作を利用できるようにすることにより、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態5.
図23はこの発明の実施の形態5による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図の入力制御器10cにおいて、セクション検出器11dは、交流電源1の交流電圧に基づいて、交流電源1の交流電圧の位相が交流電源1の位相を60度ずつに区切った位相区間についてどの位相区間であるかを示すセクション信号、および交流電源1の位相を60度ずつに異なる区切り方で区切った位相区間についてどの位相区間であるかを示す中間セクション信号を生成するものである。転換検出器12dは、セクション検出器11dによる中間セクション信号に基づいて、中間セクション信号が転換したことを示す中間転換信号を生成するものである。電圧比率演算器14dは、交流電源1の交流電圧、セクション検出器11dによるセクション信号、中間セクション信号、および転換検出器12dによる中間転換信号に基づいて、入力制御比を生成するものである。入力パルス発生器15dは、セクション検出器11dによるセクション信号、中間セクション信号、転換検出器12dによる中間転換信号、および電圧比率演算器14dによる入力制御比に基づいて、入力制御パルスを生成するものである。その他の構成については図1と同様である。
次に動作について説明する。
図1に示した回路では、セクション検出器11がセクション信号Sctを、転換検出器12が転換信号TScをそれぞれ出力して電圧比率演算器14および入力パルス発生器15に入力して、電圧比率演算器14が、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、転換信号TScおよび通電順序信号Flgに基づいて入力制御比RIを演算して、入力パルス発生器15が、セクション信号Sct、通電順序信号Flgおよび入力制御比RIに基づいて入力制御パルスTIを出力するように構成したが、図23に示したように、セクション検出器11dがセクション信号Sctおよび中間セクション信号Scmを、転換検出器12dが中間転換信号TSmをそれぞれ出力して電圧比率演算器14dおよび入力パルス発生器15dに入力して、電圧比率演算器14dが、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、中間セクション信号Scmおよび中間転換信号TSmに基づいて入力制御比RIを演算して、入力パルス発生器15dが、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIに基づいて入力制御パルスTIを出力するように構成しても良い。
この構成では、1つの制御期間を2つの変調期間で構成してそれぞれの変調期間で三角搬送波によるパルス幅変調制御を行うような場合、ある制御期間を1つの変調期間のみで構成して、1つの変調期間で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ交流電源1の相を利用する順序を反転させることにより、セクションが転換した直後の制御期間の変わり目で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相の切り替わりと出力制御パルスの切り替わりとを合成して、制御期間の変わり目でスイッチング動作を発生させないようにすることができる。
図23において、図1と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
入力制御器10dの動作について説明する。入力制御器10dは、セクション検出器11d、転換検出器12d、電圧比率演算器14dおよび入力パルス発生器15dで構成され、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し、入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。
セクション検出器11dは、電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、交流電源の位相がどのセクションおよび中間セクションにあるかを図3および図20に従って検出して、セクション信号Sctおよび中間セクション信号Scmを出力する。
転換検出器12dは、中間セクション信号Scmを入力して、これが転換したときに中間転換信号TSmを1として出力する。
電圧比率演算器14dは、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、中間セクション信号Scmおよび中間転換信号TSmを入力し、入力制御比RIを制御期間の変わり目毎に演算して出力する。交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsより演算される3つの電圧比率vT/(vT+vR),vS/(vS+vR),vR/(vR+vS)から、セクション信号Sctに基づいて1つを選択して演算する。中間セクション信号Scmをセクション信号と比較した結果に基づいて、演算した電圧比率をそのまま用いるか、演算した電圧比率を1から引いた値を用いるかを決定して、これを入力制御比RIとして出力する。但し、中間転換信号TSmが1であるときは、中間セクション信号Scmに係らず演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力する。
入力パルス発生器15dは、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIを入力し、入力制御パルスTIを生成する。セクション信号Sctに基づいて、入力制御パルスTIの中から、制御期間内で常に1とするものと制御期間内で常に0とするものと制御期間内で切り替えを行うものとをそれぞれ定めて、中間セクション信号Scmをセクション信号と比較した結果に基づいて、制御期間内に切り替えを行うものの中から、制御期間内の前半の変調期間で1から0へ切り替えて後半の変調期間で0から1へ切り替えるものと、制御期間内の前半の変調期間で0から1へ切り替えて後半の変調期間で1から0へ切り替えるものをそれぞれ定めて、入力制御比RIに基づいて、前半の変調期間ではその切り替えをその前半の変調期間の開始時刻より入力制御比RIと制御期間Tcの2分の1の積だけ経過した時刻において、後半の変調期間ではその切り替えをその後半の変調期間の開始時刻より入力制御比RIを1から引いた(1−RI)と制御期間Tcの2分の1の積だけ経過した時刻において、それぞれ行うようにする。但し、中間転換信号TSmが1となったときは、その次の制御期間を1つの変調期間で構成して制御期間の時間を通常の制御期間Tcの2分の1とするものとし、入力制御パルスTIを制御期間内で切り替える動作を前半の変調期間に相当する1回のみとして、その制御期間の開始時刻より入力制御比RIと制御期間Tcの2分の1の積だけ経過した時刻で行うものとする。なお、その制御期間の時間は通常の制御期間Tcとしても良く、この場合、その切り替えはその制御期間の開始時刻より入力制御比RIと制御期間Tcの積だけ経過した時刻で行うものとする。入力パルス発生器15dは、その制御期間の入力制御パルスTIの出力の開始と同時に、中間転換信号TSmを0とする。
表3は、セクション信号Sctに対応する、仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相、制御期間内で交流電源1の2つの相の切り替えて利用する仮想的な直流電圧の極、その極でその2つの相を利用する順序と、セクション信号Sct、中間セクション信号Scmおよび中間転換信号TSmとの対応をそれぞれ示す。表3において、それぞれのセクションと仮想的な直流電圧として利用する電圧の対応関係が、表1の対応関係と同一である。一例として、セクション信号Sctが1であるときは、仮想的な直流電圧の正極は交流電源1のT相とR相の2つの相を1つの制御期間内で切り替えて利用して、負極は交流電源1のS相を1つの制御期間内で常に利用する。切り替えを行う正極で交流電源1の相を利用する順序は、中間セクション信号Scmがセクション信号Sctと等しくない場合は、制御期間内の前半の変調期間で先にR相を利用してその後、T相を利用して、後半の変調期間では先にT相を利用してその後R相を利用して、中間セクション信号Scmがセクション信号Sctと等しい場合は、制御期間内の前半の変調期間で先にT相を利用してその後R相を利用して、後半の変調期間では先にR相を利用してその後T相を利用する。また、中間転換信号TSmが1である制御期間は1つの変調期間で構成され、その制御期間では先にR相を利用してその後T相を利用する。
入力パルス発生器15dは、図3、図20および表3の対応関係に従って、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIに基づいて、入力制御パルスTIを生成する。
図24はこの発明の実施の形態5による電圧比率演算器の動作を示すフローチャートであり、図において、図10と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し、電圧比率選択動作B20の動作については説明を省略する。その電圧比率演算器14dの動作は、3つの電圧比率演算式の中から1つを選択して演算する電圧比率選択動作B20と、演算した電圧比率からRIを演算して出力する電圧比率出力動作B30dの2段階で構成される。
電圧比率出力動作B30dについて説明する。電圧比率演算器14dは電圧比率選択動作B20を終了するとすぐに電圧比率出力動作B30dを開始する。中間転換信号TSmが0であれば(ステップST45)、中間セクション信号Scmをセクション信号Sctと比較して、その信号値が等しければ(ステップST46)、電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率をそのまま入力制御比RIとして出力して(ステップST34)、その信号値が等しくなければ、その電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力する(ステップST35)。中間転換信号TSmが1であれば中間セクション信号Scmに係らずその電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力する。このように入力制御比RIを定めたことによって、電圧比率出力動作B30dは終了する。
電圧比率出力動作30dが終了すると、入力制御比RIは入力パルス発生器15dおよび出力制御器30に出力され、次の制御期間の入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWがそれぞれ生成される。
次に、交流電源1の電圧vR、vS,vTの変動と入力制御器10dの動作により、その入力制御器10d、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSm、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作について説明する。
セクション信号Sctが1で中間セクション信号Scmが6であり、共に転換しないときの動作については、1つの制御期間の動作が図6に示した動作例の連続する2つの制御期間の動作に相当して図6に示した動作例と同等となるため、制御期間の変わり目では9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われず、セクション信号Sctと中間セクション信号Scmの組み合わせが、これ以外の組み合わせである制御期間であっても同様に推移するため、説明は省略する。
図25はこの発明の実施の形態5による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR、vS,vTの変動と入力制御器10dの動作により、その入力制御器10d、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSm、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の一例である。この一例では、交流電源1の電圧について、vTとvRが正電圧でvSが負電圧でありセクション信号Sctは1であるが、第1の制御期間Tc1d´内の第1の変調期間Tm1d´でvTとvRの大小関係が逆転しており、それと同時に中間セクション信号Scmは6から1へ転換して、中間転換信号TSmが1となっている。セクション信号Sctの転換はないため、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせは図6に示した動作例と同一である。
第1の制御期間Tc1d´、中間転換制御期間Tcmd´および第2の制御期間Tc2d´での動作について説明する。第1の変調期間Tm1d´で中間転換信号TSmが1となっていることから、その次の制御期間である中間転換制御期間Tcmd´を1つの変調期間で構成して制御期間の時間を通常の制御期間Tcの2分の1とする。中間転換制御期間Tcmd´では中間転換信号TSmは0のままであることから、その次の制御期間である第2の制御期間Tc2d´は2つの制御期間で構成して制御期間の時間も通常の制御期間Tcとする。入力制御比RIは、図24に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従ってvT/(vT+vR)を演算して、図24に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30dに従って、第1の制御期間Tc1d´では中間転換信号TSmが0であり中間セクション信号Scmが6でセクション信号Sctと等しくないことから電圧比率出力動作B30dで演算した電圧比率を1から引いた値として、中間転換制御期間Tcmd´では中間転換信号TSmが1であることから、その電圧比率を1から引いた値として、第2の制御期間Tc2d´では中間転換信号TSmが0であり、中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことからその電圧比率をそのまま、それぞれ出力する。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが図6に示した動作例と同一となるように生成される。図25に示した動作例では、負極は常にS相を利用する。第1の制御期間Tc1d´ではセクション信号Sctが1であり、中間セクション信号Scmが6でセクション信号Sctと等しくないことから、表3に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相からT相に切り替えて後に再びR相へ切り替えて、中間転換制御期間Tcmd´では中間転換信号TSmが1であることから、表3に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相からT相に切り替えて、第2の制御期間Tc2d´ではセクション信号Sctが1であり、中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことから、表3に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をT相からR相に切り替えて後に再びT相へ切り替えるように、それぞれ生成される。この結果、制御期間の変わり目に相当しない変調期間の変わり目では、図6に示した動作例と同様に仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相は固定され、第1の制御期間Tc1d´から中間転換制御期間Tcmd´への変わり目では正極が利用する交流電源1の相はR相に固定され、中間転換制御期間Tcmd´から第2の制御期間Tc2d´への変わり目では正極が利用する交流電源1の相はT相に固定されることになる。
出力制御パルスTU,TV,TW生成に用いる三角搬送波は、セクション信号Sctが1であり、制御期間内で交流電源1の2つの相を切り替えて利用する極は正極であることから、1つの変調期間内で「山」の形を示す三角搬送波としている。従って、制御期間の変わり目全てと変調期間の変わり目全てでは三角搬送波の頂点は最下点を取るため、出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目では1となり、正極で交流電源1の2つの相を切り替える時刻では三角搬送波の頂点は最上点を取るため、出力制御パルスTU,TV,TWはその時刻では0となる。
この結果、制御期間の変わり目では、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになる。正極で交流電源1の2つの相を切り替える時刻では、正極に係る3つの入力制御パルスの中でT相に係る入力制御パルスTTPとR相に係る入力制御パルスTRPを切り替えるが、この時刻で出力制御パルスTU,TV,TWはいずれも0となることから、この時刻でも9つのスイッチ制御パルスの切り替えは行われないことになる。
以上の動作は、中間セクション信号Scmが6から1へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
図26はこの発明の実施の形態5による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR、vS,vTの変動と入力制御器10dの動作により、その入力制御器10d、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSm、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧およびそれに伴うセクション信号Sctの動作は図12に示した動作例と同一であり、中間セクション信号Scmの転換はなく中間転換信号TSmは0のままである。
第1の制御期間Tc1d″と第2の制御期間Tc2d″での動作について説明する。中間転換信号TSmが0のままであることから、第1の制御期間Tc1d″および第2の制御期間Tc2d″は共に2つの制御期間で構成して制御期間の時間も通常の制御期間Tcとする。入力制御比RIは、図24に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、第1の制御期間Tc1d″ではvT/(vT+vR)を演算して、第2の制御期間Tc2d″ではvS/(vS+vT)を演算して、図24に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30dに従って、第1の制御期間Tc1d″では中間転換信号TSmが0であり中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことから電圧比率出力動作B30dで演算した電圧比率をそのまま、第2の制御期間Tc2d″では中間転換信号TSmが0であり中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しくないことから電圧比率出力動作B30dで演算した電圧比率を1から引いた値をそれぞれ出力する。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが図12に示した動作例と同一となるように生成される。制御期間の変わり目に相当しない変調期間の変わり目での動作は図25に示した動作例と同様である。入力制御パルスTIは、第1の制御期間Tc1d″ではセクション信号Sctが1であり中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことから、表3に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をT相からR相に切り替えて後に再びT相へ切り替えて、負極が利用する交流電源1の相をS相に固定して、第2の制御期間Tc2d″ではセクション信号Sctが2であり、中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しくないことから、表3に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相に固定して、負極が利用する交流電源1の相をT相からS相に切り替えて、後に再びT相に切り替えるように、それぞれ生成される。この結果、第1の制御期間Tc1d″から第2の制御期間Tc2d″の変わり目では、正極が利用する交流電源1の相はT相からR相へ切り替わり、負極が利用する交流電源1の相はS相からT相へ切り替わることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は図12に示した動作例と同様であり、第1の制御期間Tc1d″から第2の制御期間Tc2d″への変わり目で三角搬送波の頂点が最下点から最上点に移動する動作が発生することから、全ての出力制御パルスTU,TV,TWは、その変わり目で1から0へ切り替わる。しかしながら、入力制御パルスTIの切り替え動作と合成した結果、負荷2の全ての相が接続する交流電源1の相は、第1の制御期間Tc1d″の終了時は、仮想的な直流電圧の正極であるT相と、第2の制御期間Tc2d″の開始時は仮想的な直流電圧の負極であるT相となり、第1の制御期間Tc1d″から第2の制御期間Tc2d″への変わり目では負荷2の相に接続される交流電源1の相の切り替えが行われず、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えが全く行われないことになる。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態5によれば、多相対多相電力変換装置を制御するための基本時間単位である制御期間について、制御期間の途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を一旦異なる相に切り替えた後に再び元の相に切り替える動作を利用するものであって、ある制御期間では途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を異なる相に1回切り替えるのみとする動作を利用できるようにすることにより、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態6.
図27はこの発明の実施の形態6による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図の入力制御器10cにおいて、転換検出器12eは、セクション検出器11dによるセクション信号に基づいて、セクション信号が転換したことを示す転換信号を生成すると共に、中間セクション信号に基づいて、中間セクション信号が転換したことを示す中間転換信号を生成するものである。電圧比率演算器14eは、交流電源1の交流電圧、セクション検出器11dによるセクション信号、中間セクション信号、および転換検出器12eによる転換信号、中間転換信号に基づいて、入力制御比を生成するものである。入力パルス発生器15eは、セクション検出器11dによるセクション信号、中間セクション信号、転換検出器12eによる転換信号、中間転換信号、および電圧比率演算器14eによる入力制御比に基づいて、入力制御パルスを生成するものである。その他の構成については図1と同様である。
次に動作について説明する。
図23に示した回路では、転換検出器12dが中間転換信号TSmを出力して、電圧比率演算器14dが、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、中間セクション信号Scmおよび中間転換信号TSmに基づいて入力制御比RIを演算して、入力パルス発生器15dが、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIに基づいて入力制御パルスTIを出力するように構成したが、図20に示したように、転換検出器12eが転換信号TScおよび中間転換信号TSmを出力して、電圧比率演算器14eが、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TScおよび中間転換信号TSmに基づいて入力制御比RIを演算して、入力パルス発生器15eが、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TSc、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIに基づいて入力制御パルスTIを出力するように構成しても良い。
この構成では、1つの制御期間を2つの変調期間で構成してそれぞれの変調期間で三角搬送波によるパルス幅変調制御を行うような場合、1つの制御期間で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ交流電源の相を利用する順序が上記実施の形態5とは逆転していたとしても、ある制御期間を1つの変調期間のみで構成して、1つの変調期間で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ交流電源の相を利用する順序を反転させて、別のある制御期間を1つの変調期間のみで構成して、1つの変調期間で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源の相を固定することにより、セクションが転換した直後の制御期間の変わり目で仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源の相が切り替わらないようにして、制御期間の変わり目でスイッチング動作を発生させないようにすることができる。
図27において、図23と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
入力制御器10eの動作について説明する。入力制御器10eは、セクション検出器11d、転換検出器12e、電圧比率演算器14eおよび入力パルス発生器15eで構成され、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsを入力し、入力制御比RIを演算し入力制御パルスTIを生成して、それぞれ出力する。セクション信号Sctを入力してこれが転換したときに転換信号TScを1として、中間セクション信号Scmを入力してこれが転換したときに中間転換信号TSmを1として、それぞれ出力する。
電圧比率演算器14eは、交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTs、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TScおよび中間転換信号TSmを入力し、入力制御比RIを制御期間の変わり目毎に演算して出力する。交流電源1の電圧vR,vS,vTの測定値vRs,vSs,vTsより演算される3つの電圧比率vT/(vT+vR),vS/(vS+vT),vR/(vR+vS)から、セクション信号Sctに基づいて1つを選択して演算する。中間セクション信号Scmをセクション信号と比較した結果に基づいて、演算した電圧比率をそのまま用いるか、演算した電圧比率を1から引いた値を用いるかを決定して、これを入力制御比RIとして出力する。但し、中間転換信号TSmが1であるときは中間セクション信号Scmに係らず演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして、転換信号TScが1であるときは中間セクション信号Scmに係らず入力制御比RIを0として、それぞれ出力する。
入力パルス発生器15eは、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TSc、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIを入力し、入力制御パルスTIを生成する。転換信号TScが0のままであるときのその発生器の動作については図23に示した入力パルス発生器15dの動作と同等であるが、制御期間内で交流電源1の2つの相の切り替える仮想的な直流電圧の極がその2つの相を利用する順序と、中間セクション信号Scmとセクション信号Sctとの大小比較結果との対応が逆転している。中間転換信号TSmもしくは転換信号TScが1となったときは、その次の制御期間を1つの変調期間で構成して制御期間の時間を通常の制御期間Tcの2分の1とするものとし、入力制御パルスTIを制御期間内で切り替える動作を前半の変調期間に相当する1回のみとして、その制御期間の開始時刻より入力制御比RIと制御期間Tcの2分の1の積だけ経過した時刻で行うものとする。なお、その制御期間の時間は通常の制御期間Tcとしても良く、この場合、その切り替えはその制御期間の開始時刻より入力制御比RIと制御期間Tcの積だけ経過した時刻で行うものとする。なお、転換信号TScが1となったときの動作については、電圧比率演算器14eが出力する入力制御比RIが0であることから、図11に示した動作例と同様にその制御期間内では入力パルスTIの切り替え動作が発生しないことになる。入力パルス発生器15eは、その制御期間の入力制御パルスTIの出力の開始と同時に、転換信号TScまたは中間転換信号TSmのうち1となっていた信号を0とする。
表4は、セクション信号Sctに対応する、仮想的な直流電圧の正極および負極がそれぞれ利用する交流電源1の相、制御期間内で交流電源1の2つの相の切り替えて利用する仮想的な直流電圧の極、その極でその2つの相を利用する順序と、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TScおよび中間転換信号TSmとの対応をそれぞれ示す。表4において、それぞれのセクションと仮想的な直流電圧として利用する電圧の対応関係が、表1の対応関係と同一である。一例として、セクション信号Sctが1であるときは、仮想的な直流電圧の正極は交流電源1のT相とR相の2つの相を1つの制御期間内で切り替えて利用して、負極は交流電源1のS相を1つの制御期間内で常に利用する。切り替えを行う正極で交流電源1の相を利用する順序は、中間セクション信号Scmがセクション信号Sctと等しくない場合は、制御期間内の前半の変調期間で先にT相を利用してその後R相を利用して、後半の変調期間では先にR相を利用してその後T相を利用して、中間セクション信号Scmがセクション信号Sctと等しい場合は、制御期間内の前半の変調期間で先にR相を利用してその後T相を利用して、後半の変調期間では先にT相を利用してその後R相を利用する。また、転換信号TScまたは中間転換信号TSmが1である制御期間は1つの変調期間で構成され、その制御期間では、転換信号TScが1であるときは常にT相を利用して、中間転換信号TSmが1であるときは先にT相を利用してその後R相を利用する。転換信号TScが1であるときにその制御期間で仮想的な直流電圧の正極が利用する交流電源1の相の切り替えが発生しないのは、電圧比率演算器14eの動作により入力制御比RIが0となり、本来はその制御期間で正極が先に利用するR相を利用する時間が0となるためである。
入力パルス発生器15eは、図3、図20および表4の対応関係に従って、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TSc、中間転換信号TSmおよび入力制御比RIに基づいて、入力制御パルスTIを生成する。
図28はこの発明の実施の形態6による電圧比率演算器の動作を示すフローチャートであり、図において、図24と同一もしくは相当の部分については同一の符号を付し、電圧比率選択動作B20の動作については説明を省略する。その電圧比率演算器14eの動作は、3つの電圧比率演算式の中から1つを選択して演算する電圧比率選択動作B20と、演算した電圧比率から入力制御比RIを演算して出力する電圧比率出力動作B30eの2段階で構成される。
電圧比率出力動作B30eについて説明する。電圧比率演算器14eは電圧比率選択動作B20を終了するとすぐに電圧比率出力動作B30eを開始する。転換信号TScが0であれば(ステップST31)、中間転換信号TSmを参照して、中間転換信号TSmが0であれば(ステップST45)、中間セクション信号Scmをセクション信号Sctと比較して、その信号値が等しければ(ステップST46)、電圧比率選択動作B20で演算した電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力して(ステップST35)、その信号値が等しくなければその電圧比率をそのまま入力制御比RIとして出力する(ステップST34)。中間転換信号TSmが1であれば中間セクション信号Scmに係らずその電圧比率を1から引いた値を入力制御比RIとして出力する。転換信号TScが1であれば入力制御比RIを0として出力する(ステップST36)。このように入力制御比RIを定めたことによって、電圧比率出力動作B30eは終了する。
電圧比率出力動作B30eが終了すると、入力制御比RIは入力パルス発生器15eおよび出力制御器30に出力され、次の制御期間の入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWがそれぞれ生成される。
次に、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10eの動作により、その入力制御器10e、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TSc、中間転換信号TSm、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作について説明する。
セクション信号Sctが1で中間セクション信号Scmが6であり、共に転換しないときの動作については、1つの制御期間の動作が図6に示した動作例の連続する2つの制御期間の動作に相当して図6に示した動作例と同等となるため、制御期間の変わり目では9つのスイッチ制御パルスの切り替え動作が行われず、セクション信号Sctと中間セクション信号Scmの組み合わせがこれ以外の組み合わせである制御期間であっても同様に推移するため、説明は省略する。
図29はこの発明の実施の形態6による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR,VS,vTの変動と入力制御器10eの動作により、その入力制御器10e、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TSc、中間転換信号TSm、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の一例である。この一例では、交流電源1の電圧、それに伴うセクション信号Sct、中間セクション信号Scmおよび中間転換信号TSmの動作が、図25に示した動作例と同一である。セクション信号Sctの転換はないため転換信号TScは0のままであり、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせは図25に示した動作例と同一である。
第1の制御期間Tc1e´、中間転換制御期間Tcme´および第2の制御期間Tc2e´での動作について説明する。制御期間を構成する変調期間の数および制御期間の時間については図25に示した動作例と同一である。入力制御比RIは、図28に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従ってvT/(vT+vR)を演算して、図28に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30eに従って、第1の制御期間Tc1e´では転換信号TScと中間転換信号TSmが共に0であり、中間セクション信号Scmが6でセクション信号Sctと等しくないことから、電圧比率出力動作B30dで演算した電圧比率をそのまま、中間転換制御期間Tcme´では転換信号TScが0で中間転換信号TSmが1であることからその電圧比率をそのまま、第2の制御期間Tc2e´では転換信号TScと中間転換信号TSmが共に0であり、中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことからその電圧比率を1から引いた値として、それぞれ出力する。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが図25に示した動作例と同一となるように生成される。制御期間の変わり目に相当しない変調期間の変わり目での動作は図25に示した動作例と同様である。
図29に示した動作例では、負極は常にS相を利用する。第1の制御期間Tc1e´ではセクション信号Sctが1であり、中間セクション信号Scmが6でセクション信号Sctと等しくないことから、表4に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をT相からR相に切り替えて後に再びT相へ切り替えて、中間転換制御期間Tcme´では中間転換信号TSmが1であることから、表4に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をT相からR相に切り替えて、第2の制御期間Tc2e´ではセクション信号Sctが1であり、中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことから、表4に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相からT相に切り替えて後に再びR相へ切り替えるように、それぞれ生成される。この結果、第1の制御期間Tc1e´から中間転換制御期間Tcme´への変わり目では正極が利用する交流電源1の相はT相に固定され、中間転換制御期間Tcme´から第2の制御期間Tc2e´への変わり目では正極が利用する交流電源1の相はR相に固定されることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波は「山」の形を示す。従って、制御期間の変わり目全てと変調期間の変わり目全てでは三角搬送波の頂点は最下点を取るため、出力制御パルスTU,TV,TWはその変わり目では1となり、正極で交流電源1の2つの相を切り替える時刻では三角搬送波の頂点は最上点を取るため、出力制御パルスTU,TV,TWはその時刻では0となる。
この結果、制御期間の変わり目では、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになる。正極で交流電源1の2つの相を切り替える時刻では、正極に係る3つの入力制御パルスの中でT相に係る入力制御パルスTTPとR相に係る入力制御パルスTRPを切り替えるが、この時刻で出力制御パルスTU,TV,TWはいずれも0となることから、この時刻でも9つのスイッチ制御パルスの切り替えは行われないことになる。
以上の動作は、中間セクション信号Scmが6から1へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
図30はこの発明の実施の形態6による多相対多相電力変換装置の動作を示すタイミングチャートであり、図において、交流電源1の電圧vR,vS,vTの変動と入力制御器10eの動作により、その入力制御器10e、出力制御器30およびゲート制御器40が出力する、入力制御比RIの演算結果、セクション信号Sct、中間セクション信号Scm、転換信号TSc、中間転換信号TSm、入力制御パルスTI、出力制御器30でのパルス幅変調結果、U相に係る出力制御パルスTU、スイッチ制御パルスTUR,TUS,TUTの動作の他の一例である。この一例では、交流電源1の電圧、それに伴うセクション信号Sct、中間セクション信号Scmおよび中間転換信号TSmの動作が図26に示した動作例と同一である。セクション信号Sctは1から2へ転換しており、これに伴って転換信号TScが1となっている。
第1の制御期間Tc1e″、中間制御期間Tcte″および第2の制御期間Tc2e″での動作について説明する。第1の制御期間Tc1e″で転換信号TScが1となっていることから、その次の制御期間である中間制御期間Tcte″を1つの変調期間で構成して制御期間の時間を通常の制御期間Tcの2分の1とする。中間制御期間Tcte″では転換信号TScは0のままであることから、その次の制御期間である第2の制御期間Tc2e″は2つの制御期間で構成して制御期間の時間も通常の制御期間Tcとする。入力制御比RIは、図28に示したフローチャートの電圧比率選択動作B20に従って、第1の制御期間Tc1e″ではvT/(vT+vR)を演算して、中間制御期間Tcte″および第2の制御期間Tc2e″ではvS/(vS+vT)を演算して、図28に示したフローチャートの電圧比率出力動作B30eに従って、第1の制御期間Tc1e″では転換信号TScと中間転換信号TSmが共に0であり、中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことから、電圧比率出力動作B30eで演算した電圧比率を1から引いた値として、中間制御期間Tcte″では転換信号TScが1であることから0として、第2の制御期間Tc2e″では転換信号TScと中間転換信号TSmが共に0であり中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しくないことから、その電圧比率をそのまま、それぞれ出力する。
入力制御パルスTIについては、仮想的な直流電圧の正極および負極が利用する交流電源1の相の組み合わせが図25に示した動作例と同一となるように生成される。制御期間の変わり目に相当しない変調期間の変わり目での動作は図25に示した動作例と同様である。入力制御パルスTIは、第1の制御期間Tc1e″ではセクション信号Sctが1であり中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しいことから、表4に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相からT相に切り替えて後に再びR相へ切り替えて、負極が利用する交流電源1の相をS相に固定して、中間制御期間Tcte″では転換信号TSmが1であることから、表4に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相に、負極が利用する交流電源1の相をS相に、それぞれ固定して、第2の制御期間Tc2e″ではセクション信号Sctが2であり中間セクション信号Scmが1でセクション信号Sctと等しくないことから、表4に従ってその制御期間で正極が利用する交流電源1の相をR相に固定して、負極が利用する交流電源1の相をS相からT相に切り替えて後に再びS相へ切り替えるように、それぞれ生成される。この結果、第1の制御期間Tc1e″から中間制御期間Tcte″への変わり目、および、中間制御期間Tcte″から第2の制御期間Tc2e″への変わり目では、いずれも、正極が利用する交流電源1の相はR相に、負極が利用する交流電源1の相はS相に固定されることになる。
出力制御パルスTU,TV,TWの生成に用いる三角搬送波が示す形は図11に示した動作例と同様であり、中間制御期間Tcte″の入力制御比RIが0となっていることから、その制御期間では右上がりの鋸波となるので、第1の制御期間Tc1e″の最後と中間制御期間Tcte″の最初では三角搬送波の頂点はともに最下点となり、中間制御期間Tcte″の最後と第2の制御期間Tc2e″の最初では三角搬送波の頂点は共に最上点となり、制御期間の変わり目全てで三角搬送波の頂点の移動は発生しないので、全ての出力制御パルスTU,TV,TWは、その変わり目で切り替わらないことになる。
この結果、制御期間の変わり目では、入力制御パルスTIおよび出力制御パルスTU,TV,TWの切り替えが全く行われないので、9つのスイッチ制御パルスでの切り替えも全く行われないことになる。
以上の動作は、セクション信号Sctが1から2へ転換するとき以外のセクション転換であっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態6によれば、多相対多相電力変換装置を制御するための基本時間単位である制御期間について、制御期間の途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を一旦異なる相に切り替えたのちに再び元の相に切り替える動作を利用するものであって、ある制御期間では途中で負荷2の相に接続する交流電源1の相を異なる相に1回切り替えるのみとする動作を利用できるようにして、別のある制御期間ではある交流電源1の相を接続する時間を0とする動作を利用できるようにして、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態7.
この発明における実施の形態1から実施の形態6のいずれかの多相対多相電力変換装置においては、出力制御器30または出力制御器30cでのパルス幅変調制御を三角搬送波によるものとしているが、負荷2の相が交流電源1の相を接続する順序を三角搬送波によるパルス幅変調制御と同一のものとした瞬時空間電圧ベクトルの概念によるものとしても良い。
負荷2の相を交流電源1のそれぞれの相に接続する動作について、交流電源1のそれぞれの相を接続する時間については三角搬送波によるパルス幅変調制御と異なる場合があるが、交流電源1のそれぞれの相を接続する順序については三角搬送波によるものと同一としている。このことから、9つのスイッチ制御パルスでの切り替え動作についても、三角搬送波によるものと全く同一となる。
以上のように、この実施の形態7によれば、多相対多相電力変換装置のパルス幅変調制御について、負荷2の相が交流電源の相を接続する順序を三角搬送波によるパルス幅変調制御と同一のものとした瞬時空間電圧ベクトルの概念によるものあっても、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する交流電源1の相を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態8.
この発明における実施の形態1から実施の形態7のいずれかの多相対多相電力変換装置においては、出力制御器30または出力制御器30cでの三角搬送波または瞬時空間電圧ベクトルの概念によるパルス幅変調制御で、負荷2の全ての相について仮想的な直流電圧の極を制御期間内で1回または2回切り替えるものとしているが、負荷2のいずれか1つの相について仮想的な直流電圧の極を制御期間内で固定して接続するようにして負荷2の他の相について仮想的な直流電圧の極を制御期間内で1回または2回切り替えるようにしても良い。
一例として、この発明における実施の形態1の多相対多相電力変換装置において、この発明における実施の形態8のパルス幅変調動作を実施した場合の動作を説明する。
セクション信号Sctが転換しないときの動作は、制御期間内で仮想的な直流電圧の極を固定して接続するような負荷2の相については交流電源1の相の切り替えが全く行われず、負荷2の他の相については、図6に示した動作例と同様にパルス幅変調制御によるスイッチング動作のみが行われる。
セクション信号Sctが転換した直後の制御期間の変わり目での動作は、セクションが転換した制御期間まで仮想的な直流電圧の極を固定して接続していた負荷2の相が次の制御期間以降では仮想的な直流電圧の極を制御期間内で切り替えるようになり、負荷2の他の相の中の1つの相がその次の制御期間以降で仮想的な直流電圧の極を固定して接続するようになる。前者についてはセクションが転換した直後の制御期間の変わり目でその相に係る出力制御パルスが切り替わり、後者についてはその変わり目ではその相に係る出力制御パルスは切り替わらない。
その変わり目で出力制御パルスTU,TV,TWの切り替え動作を入力制御パルスTIの切り替え動作と合成した結果、負荷2の上記の2つの相の中のいずれか一方の相ではスイッチ制御パルスの切り替えが行われるが、他方の相ではスイッチ制御パルスの切り替えは行われない。また、負荷2の他の相に係るスイッチ制御パルスについては、図11および図12に示した動作例と同様に切り替えが全く行われない。
以上の動作は、この発明の実施の形態2から実施の形態7のどの多相対多相電力変換装置であっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態8によれば、多相対多相電力変換装置のパルス幅変調制御について、負荷2のいずれか1つの相を交流電源1の1つの相に固定して接続するようなパルス幅変調制御であっても、制御期間の変わり目の前後で接続する交流電源1の相を切り替える負荷2の相を高々1つとすることができるので、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態9.
図31はこの発明の実施の形態9による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図において、主回路3Dは、交流電源1と負荷2との間に接続され、交流電源1の交流電圧を選択的に制御する複数のスイッチにより切り替えて負荷2に交流電圧を供給するものである。その他の構成については図13と同様である。
次に動作について説明する。
この発明における実施の形態2、4または6のいずれかの多相対多相電力変換装置と、この発明における実施の形態2、4および6のいずれかについてこの発明における実施の形態7もしくは8のいずれかを適用した多相対多相電力変換装置においては、例えば、図13の回路では、主回路3が負荷2へ電力を供給するように選択的にスイッチングを行うスイッチ3UR,3US,3UT,3VR,3VS,3VT,3WR,3WSおよび3WTを含むものとしているが、図31に示すように、主回路3Dが、選択的にスイッチングを行うスイッチ3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NTおよびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBを含み、スイッチ3PR,3PS,3PTの一端およびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBの一端が直流回路の正極3Pに接続され、スイッチ3NR,3NS,3NTの一端およびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBの他の一端が直流回路の負極3Nに接続されて、スイッチ3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NTは選択的にスイッチングを行うことにより直流回路の正極3Pと負極3Nとの間に任意の直流電圧を出力するものとしても良い。
入力制御パルスTIは、図1に示した回路では交流電源1のそれぞれの相を仮想的な直流電圧のそれぞれの極について利用するか否かを1と0で示す信号であったが、図31に示した回路では交流電源1のそれぞれの相を直流回路の正極3Pもしくは直流回路の負極3Nのそれぞれについて接続するか否かをそれぞれ1と0で示す信号となる。例えば、図11に示した動作例の制御パルスTRP,TRN,TSP,TSN,TTP,TTNはそれぞれスイッチ3PR,3NR,3PS,3NS,3PT,3NTに対応して、そのスイッチのオン・オフを制御する。
出力制御パルスTU,TV,TWは、図1に示した回路では負荷2のそれぞれの相を仮想的な直流電圧の正極に接続するときは1、負極に接続するときは0とする論理信号であったが、図31に示した回路では負荷2のそれぞれの相を直流回路の正極3Pに接続するときは1、直流回路の負極3Nに接続するときは0とする論理信号となる。出力制御パルスTU,TV,TWはそれぞれハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBに対応して、そのハーフブリッジ回路が含むスイッチ素子のオン・オフを制御する。
一例として、この発明における実施の形態2における図15に示した動作例では、制御期間の変わり目では全ての出力制御パルスTU,TV,TWは0または1で必ず同一の値となり、その変わり目で切り替えが行われることはない。このことは、その変わり目では負荷の全ての相が直流回路の正極3Pまたは負極3Nに固定されて切り替わらないこととなり、その変わり目では負荷の全ての相に係るスイッチのスイッチング動作が発生しないことを意味する。
以上の動作は、この発明の実施の形態4および6の多相対多相電力変換装置と、この発明における実施の形態2、4および6のいずれかについてこの発明における実施の形態7もしくは8のいずれかを適用した多相対多相電力変換装置のいずれであっても同様に推移する。
以上のように、この実施の形態9によれば、多相対多相電力変換装置の回路構成について、選択的にスイッチングを行うスイッチにより交流電源の相を選択的に直流回路の正極または負極に接続して正極と負極の間に任意の電圧を出力して、直流回路の電圧をハーフブリッジ回路により負荷2に供給するようなものであっても、制御期間の変わり目の前後で負荷の相が接続する直流回路の極を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
実施の形態10.
図32はこの発明の実施の形態10による多相対多相電力変換装置を示す構成図であり、図において、主回路3Sは、交流電源1と負荷2との間に接続され、交流電源1の交流電圧を選択的に制御する複数のスイッチにより切り替えて負荷2に交流電圧を供給するものである。その他の構成については図13と同様である。
次に動作について説明する。
この発明における実施の形態9の多相対多相電力変換装置において、図31に示した回路では、主回路3Dが、選択的にスイッチングを行うスイッチ3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NTおよびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBを含み、スイッチ3PR,3PS,3PTの一端およびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBの一端が直流回路の正極3Pに接続され、スイッチ3NR,3NS,3NTの一端およびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBの他の一端が直流回路の負極3Nに接続されて、スイッチ3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NTは選択的にスイッチングを行うことにより直流回路の正極3Pと負極3Nとの間に任意の直流電圧を出力するものとして構成していたが、図32に示すように、主回路3Sが、回路3RCおよびハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBを含み、ハーフブリッジ回路3UB,3VB,3WBの一端が直流回路の正極3Pに接続され、他の一端が直流回路の負極3Nに接続されて、回路3RCは選択的にスイッチングを行うことにより直流回路の正極3Pと負極3Nとの間に任意の直流電圧を出力するものとして構成しても良い。また、回路3RCはスイッチ素子とダイオードとで構成されて、直流回路の正極3Pと負極3Nとの間に任意の電圧を発生させるものであればどのような回路構成であっても良い。この構成では、図11に示した動作例の制御パルスTRP,TRN,TSP,TSN,TTP,TTNにより回路3RC内のスイッチ素子のオン・オフを制御する。
選択的にスイッチングを行うことにより、直流回路の正極3Pと負極3Nとの間に任意の直流電圧を出力する動作について、図31に示したスイッチ3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NTにより構成される回路と、図32に示した回路3RCとは同等の機能を有するため、制御期間の変わり目で負荷2の相が直流回路の正極3Pまたは負極3Nに接続する動作についても同等である。このことから、その変わり目では負荷の全ての相が直流回路の正極3Pまたは負極3Nに固定されて切り替わらないこととなり、その変わり目では負荷の全ての相に係るスイッチのスイッチング動作が発生しないことを意味する。
以上のように、この実施の形態10によれば、多相対多相電力変換装置の回路構成について、スイッチ素子とダイオードとで構成する回路により交流電源1の相を選択的に直流回路の正極または負極に接続して正極と負極の間に任意の電圧を出力して、直流回路の電圧をハーフブリッジ回路により負荷2に供給するようなものであっても、制御期間の変わり目の前後で負荷2の相が接続する直流回路の極を固定することができるので、制御期間の変わり目の全てでスイッチ制御パルスの切り替えを行わないようにすることができ、負荷2の複数の相に係るスイッチのスイッチング動作が同時に発生しないようにすることを実現することができる。
1 交流電源、2 負荷、3,3D,3S 主回路、3UR,3US,3UT,3VR,3VS,3VT,3WR,3WS,3WT,3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NT スイッチ、3UB,3VB,3WB ハーフブリッジ回路、3RC 回路、3P 正極、3N 負極、5U,5V,5W 電流検出器、10,10a,10b,10c,10d,10e,10u 入力制御器、11,11c、11d セクション検出器、12,12c,12d,12e 転換検出器、13,13u 通電順序制御器、14,14a,14b,14d,14e,14u 電圧比率演算器、15,15a,15b,15c,15d 入力パルス発生器、20 電圧指令器、30,30c 出力制御器、40 ゲート制御器。