JP2010115081A - 交流−交流電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力端の多相交流電圧を直接多相交流電圧に変換して誘導性負荷を接続した出力端に供給する交流−交流電力変換装置において、制御周期を変えることなく、一方の2相間電圧の接続期間が制御周期のほとんどを占める制御周期であっても高周波電流振動が大きくならないようにすることを目的としている。
【解決手段】インバータ制御手段21の搬送波生成手段211が生成する搬送波は、接続期間比率が50%以下である、2相間電圧VRTを接続する中間電圧期間では1個の片搬送波を、接続期間比率が50%を越える、2相間電圧VRSを接続する最大電圧期間では2個の片搬送波を、それぞれ生成する。これにより、最大電圧期間における零ベクトルの期間を最大電圧期間の最初と最後に加えて中間にも設けることになり、その中間部分でU相出力端電流を減少させることができるため、高周波電流振動を小さくすることができる。
【選択図】図6

Description

この発明は、入力端の多相交流電圧を直接多相交流電圧に変換して誘導性負荷を接続した出力端に供給する交流−交流電力変換装置に関するものである。
複数のスイッチからなるPWM(パルス幅変調)整流器と、平滑リアクトルおよび平滑コンデンサを有しない直流母線と、複数のスイッチからなるインバータと、で構成される、出力端に誘導性負荷を接続した交流−交流電力変換装置は、入力端の多相交流電圧を大容量のエネルギー蓄積手段に一時的に蓄積することなく任意の周波数と振幅を持つ多相交流電圧に直接変換して出力端に出力することができる。このような交流−交流電力変換装置のPWM整流器を構成する複数のスイッチとインバータを構成する複数のスイッチをそれぞれ制御する方法として、例えば、特許文献1および特許文献2に記載の手法がある。
特許文献1では、PWM整流器を構成する複数のスイッチを制御するPWM整流器制御手段が、入力端の多相交流電圧の周期に対して十分短い所定の周期である、所定の制御周期毎に、入力端の複数の2相間電圧の各一つを一時的な直流電圧として直流母線に接続する期間である接続期間をPWM整流器の搬送波と入力電流指令値によりそれぞれ定める。そして、その接続期間に応じて複数のスイッチの切り替えタイミングを定めてそれらのスイッチを制御するスイッチ制御信号を出力する。
インバータを構成する複数のスイッチを制御するインバータ制御手段は、一方の頂点をPWM整流器の搬送波の頂点に同期させ、他方の頂点をPWM整流器の切り替えタイミングに同期させ、PWM整流器の搬送波の頂点に対して対称とした変形三角搬送波を生成して、インバータを構成する複数のスイッチを制御するスイッチ制御信号をその変形三角搬送波と出力電圧指令値により定める。
特許文献2は、交流交流変換スイッチからなるマトリクスコンバータを主回路とし、一時的な直流電圧として利用する入力端の複数の2相間電圧を接続する直流母線を制御上の仮想的な直流母線とする。所定の制御周期において仮想的な直流母線に接続する入力端の複数の2相間電圧として最大の2相間電圧と2番目に大きい2相間電圧とを対象として、前者を最大相間電圧、後者を中間相間電圧とする。そして、所定の制御周期において、最大相間電圧を接続する接続期間を最大電圧期間、中間相間電圧を接続する接続期間を中間電圧期間とし、その最大電圧期間と中間電圧期間との期間比率を接続期間比率として、入力力率を改善するために上記接続期間比率を入力端の複数の相電圧のうち絶対値が最大とはならない複数の相の電圧比とする。
インバータ制御手段は、それぞれの接続期間について1個の三角搬送波を生成しその波高値を所定の制御周期の仮想的な平均母線電圧として、上記スイッチ制御信号を該三角搬送波と出力電圧指令値により定める。もしくは出力電圧指令値を仮想的な平均母線電圧により規格化して、同様に規格化した三角搬送波によりスイッチ制御信号を定める。
ゲートパルス合成手段は、交流交流変換スイッチの制御信号を、仮想的なPWM整流器のスイッチ制御信号および仮想的なインバータのスイッチ制御信号より合成する。仮想的なPWM整流器のスイッチ制御信号が特許文献1のPWM整流器のスイッチ制御信号と、仮想的なインバータのスイッチ制御信号が特許文献1のインバータのスイッチ制御信号と、いずれも同一であれば、特許文献2の交流−交流電力変換装置は特許文献1の交流−交流電力変換装置と同一の電圧を出力端に出力することができる。
特開2004−266972号公報(5ページ・段落0016〜段落0019、図2) 特公平8−32177号公報(3ページ左21行〜4ページ右15行、第1図・第5図・第8図〜第10図)
以上のように、この種の交流−交流電力変換装置においては、そのPWM整流器の動作で、各制御周期において、直流母線(または、仮想的な直流母線)に2つの2相間電圧が接続される。そして、インバータは、出力電圧指令に基づきその直流母線に印加される直流電圧を交流電圧に変換して誘導性負荷に供給する。ところで、この直流母線の電圧は、両2相間電圧の接続期間比率によって変化し、更に、この接続期間比率に応じてインバータのスイッチング制御における搬送波の波形も異なることになる。
ここで、誘導性負荷に流れる電流、特に、インバータのキャリアリップルに相当する高周波電流振動に着目すると、その大きさは当然ながら上述の、両2相間電圧の接続期間比率によって変化する。詳細な現象は更に後段で説明するが、この高周波電流振動の大きさは、制御周期内における両2相間電圧の接続期間比率がほぼ均衡しているときは比較的小さいが、この接続期間比率の配分が一方に偏るにつれて次第に大きくなり、一方の2相間電圧が制御周期のほとんどを占める状態になると、かなり大きくなる。これに伴って誘導性負荷の高周波電力振動や高周波運転振動も大きくなり、誘導性負荷の電力損失も大きくなるという課題があった。
交流−交流電力変換装置として要請される種々の制御特性を満たすためには、制御動作における上記接続期間比率は種々の範囲に変化せざるを得ず、状況によっては上述したように高周波電流振動が増大することが避けられない。また、制御周期自体を短縮すると高周波電流振動は減少するが、スイッチング周波数が一律に上昇しそれに伴いスイッチング損失が大幅に増大するという不利益が生じる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、制御周期を変えることなく、一方の2相間電圧の接続期間が制御周期のほとんどを占める制御周期であっても高周波電流振動が大きくならないようにすることを目的としている。
第1の発明に係る交流−交流電力変換装置は、入力端の多相交流電圧を出力電圧指令に基づく多相交流電圧に変換して誘導性負荷が接続された出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
前記入力端の多相交流電圧から逐次1つの2相間電圧を選択して直流母線に接続する複数のスイッチを有するコンバータ、前記直流母線の電圧を前記出力電圧指令に基づき多相交流電圧に変換して前記出力端に出力する複数のスイッチを有するインバータ、前記入力端の多相交流電圧の周期に対して十分短い所定の制御周期毎に前記入力端の多相交流電圧から前記直流母線に接続すべき2種の2相間電圧を抽出する2相間電圧抽出手段、入力電流指令に基づき前記2相間電圧抽出手段で抽出した前記2種の2相間電圧のそれぞれの前記制御周期における接続期間比率を演算する接続期間比率演算手段、前記2相間電圧抽出手段と前記接続期間比率演算手段との出力に基づき前記コンバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するコンバータスイッチ制御信号生成手段、前記接続期間比率演算手段の出力に基づきパルス幅変調制御の搬送波を生成する搬送波生成手段、および前記出力電圧指令と前記搬送波生成手段からの搬送波とに基づき前記インバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するインバータスイッチ制御信号生成手段を備えた交流−交流電力変換装置において、
前記搬送波生成手段は、前記制御周期における搬送波の形状として、片搬送波と称する各直線を上端レベルまたは下端レベルで折り返してなる変形三角波形状のものを生成するとともに、
前記2種の2相間電圧の内、それぞれその接続期間比率が50%以下である電圧の接続期間では前記片搬送波を1個、その接続期間比率が50%を越える電圧の接続期間では前記片搬送波を2個以上生成するようにしたものである。
また、第2の発明に係る交流−交流電力変換装置は、入力端と出力端との間に複数のスイッチを有する交流交流変換器を直接介在させ、前記入力端の多相交流電圧を出力電圧指令に基づく多相交流電圧に変換して誘導性負荷が接続された前記出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
仮想の直流母線、前記入力端の多相交流電圧から逐次1つの2相間電圧を選択して前記仮想の直流母線に接続する複数のスイッチを有する仮想のコンバータ、および前記仮想の直流母線の電圧を前記出力電圧指令に基づき多相交流電圧に変換して前記出力端に出力する複数のスイッチを有する仮想のインバータを設定するとともに、
前記入力端の多相交流電圧の周期に対して十分短い所定の制御周期毎に前記入力端の多相交流電圧から前記仮想の直流母線に接続すべき2種の2相間電圧を抽出する2相間電圧抽出手段、入力電流指令に基づき前記2相間電圧抽出手段で抽出した前記2種の2相間電圧のそれぞれの前記制御周期における接続期間比率を演算する接続期間比率演算手段、前記2相間電圧抽出手段と前記接続期間比率演算手段との出力に基づき前記仮想のコンバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するコンバータスイッチ制御信号生成手段、前記接続期間比率演算手段の出力に基づきパルス幅変調制御の搬送波を生成する搬送波生成手段、前記出力電圧指令と前記搬送波生成手段からの搬送波とに基づき前記仮想のインバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するインバータスイッチ制御信号生成手段、および前記コンバータスイッチ制御信号生成手段と前記インバータスイッチ制御信号生成手段との出力を合成して前記交流交流変換器のスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するスイッチ制御信号合成手段を備えた交流−交流電力変換装置において、
前記搬送波生成手段は、前記制御周期における搬送波の形状として、片搬送波と称する各直線を上端レベルまたは下端レベルで折り返してなる変形三角波形状のものを生成するとともに、
前記2種の2相間電圧の内、それぞれその接続期間比率が50%以下である電圧の接続期間では前記片搬送波を1個、その接続期間比率が50%を越える電圧の接続期間では前記片搬送波を2個以上生成するようにしたものである。
以上のように、第1および第2の発明とも、2相間電圧の接続期間比率が一方に偏った場合、搬送波を、その接続期間比率が50%を越えた方の電圧接続期間では片搬送波を2個以上に増やしたものとしたので、インバータを構成する複数のスイッチの切り替え動作による誘導性負荷の高周波電流振動を小さくすることができ、それに伴い高周波電力振動や高周波運転振動を小さくするとともに誘導性負荷の電力損失も小さくすることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による交流−交流電力変換装置の構成図である。このような交流−交流電力変換装置は、インバータ4の直流母線部に直流電源や平滑コンデンサなどの大容量エネルギー蓄積手段をもたないため、交流電源1の何れかの相がコンバータであるPWM(パルス幅変調)整流器3と2つの直流母線P,Nとインバータ4とを介して直接誘導性負荷2に接続され交流電源1の相電圧がそのまま誘導性負荷2の相に現れる。
なお、ここで、誘導性負荷とは、少なくともインダクタンス成分を含む負荷のことをいい、インダクタンス成分のみからなる負荷は勿論、このインダクタンス成分に抵抗性成分や容量性成分が含まれるものも包含される。
なお、以下各実施の形態では、入力端の3相交流電圧を変換して出力端に3相交流電圧を出力するものとして説明するが、本願発明は、その適用を適切に行うことにより、3相交流電圧に限らず、一般的な多相交流電圧を対象とする場合にも適用できるものである。
PWM整流器3は、双方向に電圧を阻止してかつ電流の導通を制御できるスイッチ3PR〜3NTの6個のスイッチからなり、そのスイッチングによって直流母線P,N間に一時的な直流電圧として入力端の2相間電圧を接続する。スイッチ3PR〜3NTは、上段側のスイッチ3PR,3PS,3PTの何れか一つをターンオンとし、下段側のスイッチ3NR,3NS,3NTの何れか一つをターンオンとする。ただし、互いに直列に接続されているスイッチ3PRと3NR、3PSと3NS、3PTと3NTが同時にオンとなることはない。
インバータ4は、例えば、絶縁ゲート形バイポーラトランジスタとダイオードとを逆並列に接続したスイッチ4UP〜4WNの6個のスイッチからなる。
電圧検出器5は、交流電源1に接続する入力端の多相交流電圧を検出してコンバータ制御手段であるPWM整流器制御手段11に与える。
PWM整流器制御手段11は、2相間電圧抽出手段111、接続期間比率演算手段112およびコンバータスイッチ制御信号生成手段113からなる。2相間電圧抽出手段111は、後段の図2で説明するように、検出した3相交流電圧に基づいて最大相間電圧と中間相間電圧とを抽出する。接続期間比率演算手段112は、抽出した最大相間電圧および中間相間電圧ならびに3相交流電圧に基づいて、入力端の複数の相電圧のうち絶対値が最大とはならない複数の相の電圧比を接続期間比率として出力する。
コンバータスイッチ制御信号生成手段113は、最大相間電圧および中間相間電圧ならびに接続期間比率に基づいて、PWM整流器3を構成するスイッチ3PR〜3NTのスイッチ制御信号を生成して出力する。
インバータ制御手段21は、搬送波生成手段211、出力電圧指令値演算手段212およびインバータスイッチ制御信号生成手段213からなる。搬送波生成手段211は、上記接続期間比率に基づいて、一方の頂点をPWM整流器3の切り替えタイミングに同期させ、他方の頂点を制御周期の境界に同期させた変形三角搬送波を生成し出力する。なお、搬送波の具体的な生成方法については、更に後段で詳述する。
出力電圧指令値演算手段212は、任意の出力電圧制御法により出力電圧指令値を生成する。インバータスイッチ制御信号生成手段213は、変形三角搬送波と出力電圧指令値とにより、インバータ4を構成するスイッチ4UP〜4WNのスイッチ制御信号を生成して出力する。
図2は、入力端に接続する交流電源1の相電圧VR,VS,VT、ならびに、2相間電圧VRS,VST,VTRおよびその逆電圧VSR,VTS,VRTを交流電源1の1周期分について示したものである。例えば、位相期間IIでは、2相間電圧抽出手段111が抽出する2相間電圧は、位相期間IIの前半では最大相間電圧がVRSで中間相間電圧がVRT、位相期間IIの後半では最大相間電圧がVRTで中間相間電圧がVRSとなる。また、接続期間比率は、入力端の相電圧絶対値が最大の相がR相であるため、それ以外のS相とT相の相電圧VSとVTの比率となり、図2最下欄に示すように変動する。
なお、接続期間比率を図2最下欄のように設定するのは、入力電流指令として、入力端の力率を1とするよう設定したことから導出されているもので、これ自体は公知の内容であり、ここではそれ以上の説明は省略する。
次に、この発明の実施の形態1における交流−交流電力変換装置の動作、特に、誘導性負荷2に流れる電流に着目した動作を説明することになるが、その理解を容易とするため、ここでは、先ず、従来の装置における動作を説明し、しかる後、その従来の動作と比較する形で本願発明の動作についての説明を進めるものとする。
図3は、従来の交流−交流電力変換装置の構成図である。先の本願発明の図1と異なるのは、インバータ制御手段21で、図3では、搬送波生成手段210を備えたインバータ制御手段21Nとしている点のみである。
図4は、従来のインバータ制御手段21Nの搬送波生成手段210が生成する変形三角搬送波、出力電圧指令値VU*,VV*,VW*、PWM整流器3を構成するスイッチ3PR〜3NTのスイッチ制御信号、インバータ4を構成するスイッチ4UP〜4WNのスイッチ制御信号4U,4V,4W、および、U相出力端の電流波形の一例を示したタイミングチャートである。変形三角搬送波および出力電圧指令値VU*,VV*,VW*は、それぞれ平均母線電圧により規格化したものである。スイッチ制御信号4Uは、スイッチ4UPのスイッチ制御信号であると同時に、それを反転した信号がスイッチ4UNのスイッチ制御信号となる。4V,4Wについても同様である。
本例は、交流電源1の位相が図2の位相期間IIにあるときの一例であり、PWM整流器制御手段11の2相間電圧抽出手段111は、入力端の2相間電圧VRSとVRTとを直流母線に接続する2相間電圧として抽出し、接続期間比率演算手段112は、2相間電圧VRSとVRTとを直流母線に接続する接続期間を相電圧VSとVTとの比としてそれらをdRSとdRTとし、それぞれに制御周期Tsを乗じたものをそれぞれの接続期間とする。なお、接続期間比率dRSとdRTはともに0以上1以下とする。
インバータ制御手段21Nの搬送波生成手段210が生成する変形三角搬送波は、それらの接続期間の境界、すなわちPWM整流器3の切り替えタイミングに一方の頂点を同期させ、制御周期の境界に他方の頂点を同期させた搬送波とし、その結果としてそれぞれの接続期間で1個の片搬送波が生成されることになる。換言すると、この搬送波の形状は、片搬送波と称する各直線を上端レベル(図4の例)または下端レベルで折り返してなる変形三角波形状と言える。
U相出力端の電流は、出力端に誘導性負荷2が接続されていることから、U相とV相またはW相との間に電圧が印加される期間、すなわち4Uがオンで4Vと4Wの少なくとも一方がオフの期間はU相から誘導性負荷2への電流が増加し、U相、V相、W相の全てがP端またはN端で短絡される期間、いわゆる零ベクトルの期間では電流が減少する。その結果、U相出力端の電流は、図4に示すように、インバータ4のスイッチング周波数で振動する。この高周波電流振動の大きさは、「1つの制御周期での電流値の上限と下限との差」で求められる。
このような高周波電流振動は、記述した通り、誘導性負荷2の高周波電力振動や高周波運転振動を伴い、誘導性負荷の電力損失の原因にもなる。
ところで、図4に示すように、2つの2相間電圧の接続期間が等しい制御周期では、交流−交流電力変換装置による高周波電流振動は、直流電源や平滑コンデンサなどの大容量エネルギー蓄積手段をもつインバータによる高周波電流振動と同等でそれほど大きいことはない。
ところが、同じ位相期間IIであっても、図5に示すように、一方の2相間電圧の接続期間が制御周期Tsのほとんどを占める制御周期では、比較的接続期間の長い最大電圧期間において、インバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作による高周波電流振動が大きくなる。これに伴って誘導性負荷2の高周波電力振動や高周波運転振動も大きくなり、誘導性負荷の電力損失も大きくなるという課題が生じる訳である。
本願発明は以上の課題を解決するものであり、次に、先の図1に示すインバータ制御手段21の搬送波生成手段211を採用した場合の動作を説明する。
図6は、本発明の実施の形態1の交流−交流電力変換装置による、インバータ制御手段21の搬送波生成手段211が生成する搬送波、出力電圧指令値、スイッチ制御信号、および、U相出力端の電流波形を示したタイミングチャートである。本例も、図4および図5と同様に、交流電源1の位相が位相期間IIにあるときの一例であり、最大相間電圧はVRS、中間相間電圧はVRTで、接続期間比率dRSおよびdRTは図5と同一とした。
インバータ制御手段21の搬送波生成手段211が生成する搬送波は、接続期間比率が50%以下である、VRTを接続する中間電圧期間では1個の片搬送波を、接続期間比率が50%を越える、VRSを接続する最大電圧期間では2個の片搬送波を、それぞれ生成し、片搬送波の境界でインバータを構成するスイッチ4UP〜4WNのスイッチングが発生しないように片搬送波の頂点位置を一致(ここでは上端レベルに一致)させたものとする。
従来の交流−交流電力変換装置の搬送波生成手段210が生成する変形三角搬送波では、最大電圧期間における零ベクトルの期間は最大電圧期間の最初と最後の2ヶ所しかなく、高周波電流振動を大きくする原因となっていた。これに対して、本発明の実施の形態1の交流−交流電力変換装置の搬送波生成手段211が生成する搬送波では、最大電圧期間における零ベクトルの期間を最大電圧期間の最初と最後に加えて中間にも設けることになり、その中間部分でU相出力端電流を減少させることができるため、高周波電流振動を小さくすることができる。
参考として、発明者等で実施したモータ駆動実験の電流波形を図7に示す。波形の黒い部分のタテ方向の幅が高周波電流振動の振幅に相当する。下側の図(b)は、本発明を適用しない従来の場合の負荷電流波形であり、黒い部分の幅が狭くなったり広くなったりしており、幅の狭いところが図4に示す制御周期に、幅の広いところが図5に示す制御周期にあたる。上側の図(a)は、本発明による負荷電流波形であり、目に見えて幅の広いところはなくなっており全体的に高周波電流振動が小さくなっていることが判る。
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、搬送波生成手段211が1つの最大電圧期間で2個以上の片搬送波を生成したことにより、インバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作による誘導性負荷2の高周波電流振動を小さくすることができ、それに伴い高周波電力振動や高周波運転振動を小さくするとともに誘導性負荷2の電力損失も小さくすることができる。
以上の効果から更に以下の利点も得られる。すなわち、電力損失が低減することから製品の小型軽量化が実現する。また、電力損失の低減から、温度上昇が抑制され長寿命化に結びつき製品の安全性・環境保全性が向上すると言える。また、電力損失の低減は、そのまま省エネルギーとなる。更に、製品のライフサイクルにおける環境負荷低減にも寄与する訳である。以下の各実施の形態も同様にこれらの効果を奏するものである。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2による交流−交流電力変換装置の構成図である。図8の交流−交流電力変換装置は、入力端の各相と出力端の各相との間を直接的に接続する複数の交流交流変換スイッチ6UR〜6WTからなる、交流交流変換器であるマトリクスコンバータ6を主回路とする。
図9は、本発明の実施の形態2による交流−交流電力変換装置の制御上の構成を示すものであり、図1のPWM整流器3の代わりに仮想的なPWM整流器6RCとし、インバータ4の代わりに仮想的なインバータ6IVとしたものである。仮想的なPWM整流器6RCを構成するスイッチ6PR〜6NTのスイッチ制御信号を仮想PWM整流器制御手段11Mにより、仮想的なインバータ6IVを構成するスイッチ6UP〜6WNのスイッチ制御信号を仮想インバータ制御手段21Mにより、それぞれ生成する。
図8に戻って、スイッチ制御信号合成手段であるゲートパルス合成手段61は、仮想的なPWM整流器制御手段11Mが生成するスイッチ制御信号と仮想的なインバータ制御手段21Mが生成するスイッチ制御信号とを合成してマトリクスコンバータ6を構成する交流交流変換スイッチ6UR〜6WTのスイッチ制御信号を生成する。仮想的なPWM整流器制御手段11Mの構成はPWM整流器制御手段11と、仮想的なインバータ制御手段21Mはインバータ制御手段21と、それぞれ同一の構成であり、その他の構成も図1と同一であるため説明は省略する。
図10は、ゲートパルス合成手段61が生成するスイッチ制御信号の信号生成論理回路を示したものである。図10は、U相に直接的に接続する交流交流変換スイッチに関するスイッチ制御信号を生成するための回路であるが、V相およびW相についても同様の回路を用いる。
図11は、本発明の実施の形態2の交流−交流電力変換装置による、インバータ制御手段21Mの搬送波生成手段211が生成する搬送波、出力電圧指令値、仮想的なPWM整流器6RCを構成するスイッチ6PR〜6NTのスイッチ制御信号、仮想的なインバータ6IVを構成するスイッチ6UP〜6WNのスイッチ制御信号6U,6V,6W、ゲートパルス合成手段61においてスイッチ6PR〜6NTのスイッチ制御信号およびスイッチ6UP〜6WNのスイッチ制御信号に基づいて生成される、マトリクスコンバータ6を構成する交流交流変換スイッチ6UR〜6WTのスイッチ制御信号、ならびに、U相出力端の電流波形を示したタイミングチャートである。
電圧検出器5が検出する入力端の3相交流電圧と、出力電圧指令演算手段212が生成する出力電圧指令値が、図6の一例と同一であるとしたときのものである。スイッチ制御信号6Uは、仮想的なインバータ6IVのスイッチ6UPの制御信号であると同時に、それを反転した信号が仮想的なインバータ6IVのスイッチ6UNの制御信号となる。6V,6Wについても同様である。
なお、搬送波の、接続期間の境界にあたる頂点が、先の図6では上端レベル(+1)に位置しているのに対し、この図11では下端レベル(−1)に位置しているのは以下の理由による。
先の実施の形態1の回路構成(図1)では上下端を問わないが、途中で上下端を反転させるとその時点で変形三角波の頂点位置が一致せず、そこでは全ての出力相(U,V,W)でスイッチングが発生しスイッチング損失が発生するため、通常はどちらかの向きに固定する。
一方、実施の形態2の回路構成(図8=マトリクスコンバータ)では、変形三角波の向きは図11に示すとおりに限定される。このこと自体は公知技術であるので詳しい根拠は省略するが、実際は、入力電圧がどの位相期間であるかに応じて変形三角波の上下端を反転させることになっており、具体的には、図2の偶数番号の位相期間(II,IV,VI)では図11の向き、奇数番号の位相期間(I,III,V)では図11の上下端を反転させた向きとなる。
変形三角波の向きを限定する理由は、位相期間IIで変形三角波の上下端を反転させた場合は、スイッチ制御信号6U〜6Wのパターンも反転し、図10の論理回路で6UR〜6UTの信号を合成すると、2つの2相間電圧が切り替わるタイミングで6USのターンオフと6UTのターンオンのスイッチングが発生し、結果として余分なスイッチング損失が発生してしまうためである。6VR〜6VT、6WR〜6WTも同様である。
図11が、3相交流電圧と出力電圧指令値が図6と同一であるときのものとしたことから、仮想PWM整流器制御手段11Mが生成するスイッチ制御信号は構成が同一であるPWM整流器制御手段11が生成するスイッチ制御信号と、また、仮想インバータ制御手段21Mが生成するスイッチ制御信号は構成が同一であるインバータ制御手段21が生成するスイッチ制御信号と、それぞれ同一である。これにより、図11のスイッチ制御信号により図8の誘導性負荷2が接続される出力端に出力する電圧は、図6のスイッチ制御信号により図1の誘導性負荷2が接続される出力端に出力する電圧と同一となる。したがって、U相出力端の電流波形も同一となり、従来のマトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置と比較して高周波電流振動を小さくすることができる。
以上のように、本発明の実施の形態2によれば、複数の交流交流変換スイッチからなる交流−交流電力変換装置であっても、複数の交流交流変換スイッチの切り替え動作による誘導性負荷2の高周波電流振動を小さくすることができ、それに伴い高周波電力振動や高周波運転振動を小さくするとともに誘導性負荷2の電力損失も小さくすることができる。加えて、マトリクスコンバータ6は電流が通過するスイッチ個数が少ないことから、スイッチの電圧降下により発生する損失を低減することができる。
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3による交流−交流電力変換装置の構成図である。図12の交流−交流電力変換装置は、所定の制御周期における入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序を制御周期ごとに反転させる反転信号を生成する反転信号生成手段31を備える。
先の実施の形態1、2では、その搬送波が、1制御周期内に3個以上の片搬送波を有することになる。図6や図11に示すように、1制御周期内に3(奇数)個の片搬送波が存在する。従って、搬送波の、接続期間の境界にあたる頂点を、例えば、上端レベル(+1)に位置に保つようにしてそのままのパターンで制御周期を連ねていくと、制御周期の境界で搬送波に垂直線で現れる不連続部分が出現し、そこでは全ての出力相(U,V,W)でスイッチングが発生し余分なスイッチング損失が発生する。
この実施の形態3は上記した問題点を解決するものである。
本発明の実施の形態3では、電圧検出器5が検出した3相交流電圧に基づいて抽出する複数の2相間電圧の組み合わせを変更した時点での最大の2相間電圧を第1相間電圧、2番目の2相間電圧を第2相間電圧とする。例えば、図2では、位相期間Iから位相期間IIに替わり抽出する複数の2相間電圧の組み合わせを変更したときに、最大の2相間電圧がVRS、2番目の2相間電圧がVRTであることから、位相期間IIの間はVRSを第1相間電圧、VRTを第2相間電圧とする。同一の位相期間の途中で最大相間電圧と中間相間電圧との組み合わせは入れ替わるが、第1相間電圧と第2相間電圧との組み合わせは、図2に示すように、同一の位相期間では替わらないものとする。
PWM整流器制御手段11のスイッチ制御信号生成手段113は、反転信号がHIであるときは当該制御周期における2相間電圧の直流母線への出現順序が第1相間電圧、第2相間電圧の順序となるように、また、反転信号がLOであるときは第2相間電圧、第1相間電圧の順序となるように、PWM整流器3のスイッチ制御信号を生成する。搬送波生成手段211は、反転信号に基づいて、当該制御周期においてスイッチ制御信号生成手段113が生成するスイッチ制御信号による2相間電圧の直流母線への出現順序に応じて、最大電圧期間および中間電圧期間のそれぞれに対応する順序で搬送波を生成する。その他の構成は図1と同一であるため説明は省略する。
図13は、本発明の実施の形態3の交流−交流電力変換装置による搬送波、反転信号およびPWM整流器3のスイッチ制御信号を示したタイミングチャートである。図中左端の第1の制御周期は、位相期間Iであり反転信号がHIであるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は、位相期間Iの第1相間電圧であるVTS、第2相間電圧であるVRSの順序となる。第2の制御周期は、位相期間IIであり反転信号がLOであるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は、位相期間IIの第2相間電圧であるVRT、第1相間電圧であるVRSの順序となる。第3の制御周期、第4の制御周期についても同様である。
この結果、位相期間がIIで同一である第2、第3、第4の制御周期では、第2の制御周期の最後と第3の制御周期の最初とはともに位相期間IIの第1相間電圧であるVRSが、第3の制御周期の最後と第4の制御周期の最初とはともに位相期間IIの第2相間電圧であるVRTが、それぞれ直流母線に接続することになり、制御周期の境界の前後で直流母線に接続する2相間電圧が同一となる。これによって、PWM整流器3を構成するスイッチ3PR〜3NTの切り替え動作が発生しないことになり、PWM整流器3から発生するノイズを低減することができる。
また、本発明の実施の形態2のマトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置では、制御周期の境界の前後で仮想的な直流母線に接続する2相間電圧が異なるとゲートパルス合成手段61が生成するスイッチ制御信号は全ての出力相について切り替え動作が発生する。本発明の実施の形態3の反転信号生成手段31を備えることによって、制御周期の境界の前後で仮想的な直流母線に接続する2相間電圧が同一となるので仮想的なPWM整流器6RCを構成するスイッチ6PR〜6NTの切り替え動作が発生しないことになり、ゲートパルス合成手段61が生成する交流交流スイッチ6PR〜6NTのスイッチ制御信号でも切り替え動作が発生しないため、マトリクスコンバータ6から発生するノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
以上のように、本発明の実施の形態3によれば、反転信号によって制御周期の境界の前後で直流母線に接続する2相間電圧が同一としたため、PWM整流器3を構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、PWM整流器3から発生するノイズを低減することができる。また、仮想的なPWM整流器6RCを構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、マトリクスコンバータ6を構成する複数の交流交流変換スイッチでの切り替え動作を発生させずにノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
実施の形態4.
先の実施の形態1、2において、搬送波生成手段211は、高周波電流振動を抑制するため、最大電圧期間では2個以上の片搬送波を生成するようにしたが、片搬送波の個数を増やすことは、反面、インバータ4から発生するノイズやスイッチング損失を増大させることになる。そこで、本発明の実施の形態4では、片搬送波の個数を増加させるか否かの判定を、接続期間比率演算手段112で演算された接続期間比率に基づき行うようにしたものである。
具体的には、搬送波生成手段211が、1つの中間電圧期間では1個の片搬送波を生成し1つの最大電圧期間では2個以上の片搬送波を生成する制御周期を第1搬送波周期、1つの中間電圧期間と1つの最大電圧期間でともに1個の片搬送波を生成する制御周期を第2搬送波周期とする。
そして、当該制御周期を第1搬送波周期とするか第2搬送波周期とするかの判定は、接続期間比率演算手段112が出力する接続期間比率に基づくものとし、第2搬送波周期とするのは接続期間比率が0.5を含む所定の範囲内にある場合とする。所定の範囲は、望ましくは0.5を中央値とし両端が0または1にも0.5にも近接しないものとする。
図14は、本発明の実施の形態4の交流−交流電力変換装置による搬送波、出力電圧指令値、反転信号、第1搬送波周期または第2搬送波周期の何れかを示す信号、スイッチ制御信号およびU相出力端の電流波形を示したタイミングチャートである。第1の制御周期は第1搬送波周期に該当し、最大相間電圧であるVRSを直流母線に接続する最大電圧期間では2個の片搬送波を、中間相間電圧であるVRTを直流母線に接続する中間電圧期間では1個の片搬送波を、それぞれ生成する。第2の制御周期は第2搬送波周期に該当し、最大電圧期間、中間電圧期間ともに1個の片搬送波を生成する。
第2搬送波周期では最大電圧期間でも1個の片搬送波しか生成しないことから、第1搬送波周期と比較して高周波電流振動は大きくなる。しかしながら、第2搬送波周期とするのは接続期間比率が所定の範囲内にある場合としており、先の図4で説明したように、接続期間比率が所定の範囲を外れる場合と比較すれば高周波電流振動は小さい。したがって、接続期間比率が所定の範囲内にある場合には第2搬送波周期としても高周波電流振動を大きくすることはなく、最大電圧期間での片搬送波の個数を1個に減らすことによってインバータ4を構成するスイッチ4UP〜4WNの切り替え動作の回数が少なくなり、インバータ4から発生するノイズを低減するとともにスイッチング損失を低減することができる。
所定の範囲が0.5を中央値とするのが望ましいとするのは、高周波電流振動が大きくならないようにする効果は、所定の範囲の最小値と0との偏差、または、1と所定の範囲の最大値との偏差、のいずれか小さいほうに依存するため、一方の偏差を他方より大きくしても他方の偏差による効果しか得られないためである。
また、両端が0または1にも0.5にも近接しないものが望ましいとするのは、両端が0.5に近接すると第2搬送波周期とする制御周期が著しく少なくなりインバータ4から発生するノイズやスイッチング損失を低減する効果が小さくなり、両端が0または1に近接すると第1搬送波周期とする制御周期が著しく少なくなり誘導性負荷2の高周波電流振動が大きくならないようにする効果が小さくなるためである。
以上のように、本発明の実施の形態4によれば、1つの中間電圧期間と1つの最大電圧期間でともに1個の片搬送波を生成する第2搬送波周期を設けて、制御周期ごとに接続期間比率に基づいて当該制御周期を第1搬送波周期とするか第2搬送波周期とするかを判定することにより、誘導性負荷2に流れる高周波電流振動を大きくすることなくインバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作の回数を少なくして、インバータ4から発生するノイズを低減するとともにスイッチング損失を低減することができる。
実施の形態5.
先の実施の形態3の交流−交流電力変換装置では、図13において、位相期間Iから位相期間IIに替わり2相間電圧抽出手段111が抽出する複数の2相間電圧の組み合わせを変更したときに、位相期間Iから位相期間IIに替わる境界の前後で直流母線に接続する2相間電圧が異なるためPWM整流器3を構成するスイッチの切り替え動作が発生する。また、搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置が、位相期間Iから位相期間IIに替わる境界で異なることから、インバータ4を構成するスイッチでも切り替え動作が同時に発生する。これらの切り替え動作はすでに述べたように、PWM整流器3またはインバータ4から発生するノイズとなり、またマトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置ではマトリクスコンバータ6から発生するノイズになるとともにスイッチング損失を増大させる。
本発明の実施の形態5の交流−交流電力変換装置は、上記した問題点を解消する対策案の一つで、接続期間比率演算手段112が出力する接続期間比率に基づいて、所定の制御周期における接続期間比率と0との偏差、または1と接続期間比率との偏差が所定の範囲内にある場合に当該制御周期を1つの最大電圧期間のみで構成する第3搬送波周期とする。
図15は、本発明の実施の形態5の交流−交流電力変換装置による搬送波、反転信号およびPWM整流器3のスイッチ制御信号を示したタイミングチャートである。第2、第3、第4の制御周期は上記偏差が所定の範囲内にあるとして当該制御周期を1つの最大電圧期間のみで構成するようにした。第2の制御期間は、位相期間Iの後半であるため最大相間電圧はVRSであり、第3、第4の制御期間は、位相期間IIの前半であるため最大相間電圧は同じくVRSである。
この結果、位相期間Iから位相期間IIに替わる境界、すなわち第2の制御周期と第3の制御周期との境界ではともに同一の2相間電圧であるVRSを直流母線に接続することになる。また、搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置も一致する。これによって、PWM整流器3を構成するスイッチ3PR〜3NTおよびインバータ4を構成するスイッチ4UP〜4WNの切り替え動作が発生しないことになり、PWM整流器3およびインバータ4から発生するノイズを低減するとともにインバータ4から発生するスイッチング損失を低減することができる。マトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置では、仮想的なPWM整流器6RCを構成するスイッチ6PR〜6NTおよび仮想的なインバータ6IVを構成するスイッチ6UP〜6WNの切り替え動作が発生しないことになり、ゲートパルス合成手段61が生成する交流交流スイッチ6PR〜6NTのスイッチ制御信号でも切り替え動作が発生しないため、マトリクスコンバータ6から発生するノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
以上のように、本発明の実施の形態5によれば、接続期間比率と0との偏差、または1と接続期間比率との偏差が所定の範囲内にある場合に当該制御周期を1つの最大電圧期間のみで構成するとしたことにより、複数の2相間電圧の組み合わせを変更する前後で直流母線に接続する2相間電圧が同一となり、搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置も一致するため、PWM整流器3を構成する複数のスイッチおよびインバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、PWM整流器3およびインバータ4から発生するノイズを低減するとともにインバータ4から発生するスイッチング損失を低減することができる。また、仮想的なPWM整流器6RCを構成する複数のスイッチおよび仮想的なインバータ6IVを構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、マトリクスコンバータ6を構成する複数の交流交流変換スイッチでの切り替え動作を発生させずにノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
実施の形態6.
先の実施の形態5の交流−交流電力変換装置は、PWM整流器制御手段11が出力するスイッチ制御信号による実質的な接続期間比率が相電圧の比と異なることから、接続期間比率の制御結果に高周波成分が発生して入力力率の悪化と入力端の高周波電流振動増大の原因となる。これらの点を考慮し、本発明の実施の形態6は、先の実施の形態5で提起した問題点を解消するための実施の形態5とは異なる対策案を提案するものである。
図16は、本発明の実施の形態6による交流−交流電力変換装置の構成図である。図16の交流−交流電力変換装置は、電圧検出器5が検出した3相交流電圧に基づいて、2相間電圧抽出手段111が抽出する複数の2相間電圧の組み合わせを変更するときにその変更したことを示す転換信号を出力して反転信号生成手段31に入力する。そして、反転信号生成手段31は、転換信号を検出したときに反転信号を反転させないようにしたものである。その他の構成は図12と同一であるため説明は省略する。
図17は、本発明の実施の形態6の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号およびPWM整流器3のスイッチ制御信号を示したタイミングチャートである。第1の制御周期は、位相期間Iであり反転信号がHIであるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は位相期間Iの第1相間電圧であるVTS、第2相間電圧であるVRSの順序となる。第2の制御周期は、位相期間IIとなり2相間電圧抽出手段111が転換信号を出力する。そして、反転信号生成手段31がその転換信号を検出したことから反転信号はHIのままである。そのため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は、位相期間IIの第1相間電圧であるVRS、第2相間電圧であるVRTの順序となる。第3の制御周期は、位相期間IIであり転換信号は検出せず反転信号はLOとなるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は、位相期間IIの第2相間電圧であるVRT、第1相間電圧であるVRSの順序となる。
この結果、位相期間Iから位相期間IIに替わる境界、すなわち第1の制御周期と第2の制御周期の境界ではともに同一の2相間電圧であるVRSを直流母線に接続することになる。また、搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置も一致する。これによって、PWM整流器3を構成するスイッチ3PR〜3NTおよびインバータ4を構成するスイッチ4UP〜4WNの切り替え動作が発生しないことになり、PWM整流器3およびインバータ4から発生するノイズを低減するとともにインバータ4から発生するスイッチング損失を低減することができる。マトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置では、仮想的なPWM整流器6RCを構成するスイッチ6PR〜6NTおよび仮想的なインバータ6IVを構成するスイッチ6UP〜6WNの切り替え動作が発生しないことになり、ゲートパルス合成手段61が生成する交流交流スイッチ6PR〜6NTのスイッチ制御信号でも切り替え動作が発生しないため、マトリクスコンバータ6から発生するノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
以上のように、本発明の実施の形態6によれば、検出した3相交流電圧に基づいて抽出する複数の2相間電圧の組み合わせを変更するときにその変更したことを示す転換信号を出力する。そして、反転信号生成手段31は転換信号を検出したときに反転信号を反転させないようにしたことにより、複数の2相間電圧の組み合わせを変更する前後で直流母線に接続する2相間電圧が同一となり、搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置も一致する。したがって、PWM整流器3を構成する複数のスイッチおよびインバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、入力力率を悪化させることなく、また、入力端の高周波電流振動を増大させることなく、PWM整流器3およびインバータ4から発生するノイズを低減するとともにインバータ4から発生するスイッチング損失を低減することができる。また、仮想的なPWM整流器6RCを構成する複数のスイッチおよび仮想的なインバータ6IVを構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、入力力率を悪化させることなく、また、入力端の高周波電流振動を増大させることなく、マトリクスコンバータ6を構成する複数の交流交流変換スイッチでの切り替え動作を発生させずにノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
実施の形態7.
第1搬送波周期(中間電圧期間では1個の片搬送波を生成し、最大電圧期間では2個以上の片搬送波を生成する制御周期)が奇数個の片搬送波で構成される場合、当該制御周期では、搬送波生成手段211が片搬送波を奇数個生成することから、制御周期の開始時点と終了時点とでは搬送波の頂点位置が一致しない。したがって、上記第1搬送波周期と第2搬送波周期(中間電圧期間、最大電圧期間とも1個の片搬送波を生成する制御周期)または第3搬送波周期(最大電圧期間のみの2個の片搬送波を生成する制御周期)との相互間の移行時には、搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置が一致しない場合があり、その場合、搬送波に垂直線で現れる不連続部分が存在することになる。このとき、インバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作が同時に発生することになり、インバータ4から発生するノイズとなるとともにスイッチング損失を増大させ、またマトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置ではマトリクスコンバータ6から発生するノイズとなるとともにスイッチング損失を増大させる。
本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置は、奇数個の片搬送波を生成する第1搬送波周期と第2搬送波周期または第3搬送波周期との相互間の移行時に発生しうる上述したスイッチング損失増大等の不具合を解消するため、反転信号を調整する、または、移行時のタイミングを調整するようにしたものである。
以下、各搬送波周期の移行のパターン毎に説明する。
先ず、図18は、第1の制御周期での第3搬送波周期から第2の制御周期での第1搬送波周期へ移行する場合を示す。この移行タイミングで反転信号がLOからHIに切り替わると、第1搬送波周期である第2の制御周期では第1相間電圧を先に直流母線に接続するが、この場合、第1相間電圧は最大相間電圧であり2個の片搬送波を生成する。よって、第3搬送波周期である第1の制御周期の終了時点では変形三角波の頂点位置は−1、第2の制御周期の開始時点では三角波の頂点位置は+1となり、図18に示すように、第1の制御周期と第2の制御周期との境界で変形三角波の頂点位置が一致しないことになる。
そこで、この実施の形態7では、後述するように、移行直後の反転信号を必ずLOとすることにより、移行タイミングでの頂点位置を一致させている。
すなわち、図19は、本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号、第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れかを示す信号、およびPWM整流器3のスイッチ制御信号を示したタイミングチャートであり、接続期間比率に基づいて第3搬送波周期から第1搬送波周期へ移行するときの一例である。第1の制御周期は、位相期間II前半の第3搬送波周期に該当することから、反転信号に係らず、最大相間電圧VRSを直流母線に接続する最大電圧期間のみで構成される。第2の制御周期は、位相期間II前半の第3搬送波周期から第1搬送波周期に移行し反転信号をLOのまま反転させないようにしたことから、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は位相期間IIの第2相間電圧であるVRT、第1相間電圧であるVRSの順序となって、最大電圧期間であるVRSの接続期間で2個の片搬送波を生成する。これにより、第1の制御周期と第2の制御周期との境界では搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置が一致する。
次に、第1の制御周期での第1搬送波周期から第2の制御周期での第2搬送波周期へ移行する場合について説明する。この場合は、移行直前の反転信号の状態によって動作が異なる。
先ず、図20は、移行直前の反転信号がHIの場合を示す。移行する直前の制御周期で反転信号がHIであれば、その制御周期の終了時点での変形三角波の頂点位置は−1である。第2搬送波周期では制御周期境界での頂点位置は必ず−1となるので、図20に示すように、その移行タイミングでの頂点位置は必ず一致する。
一方、図21は、移行直前の反転信号がLOの場合を示す。移行する直前の制御周期で反転信号がLOであると、その制御周期の終了時点での変形三角波の頂点位置は+1となる。第2搬送波周期では、制御周期境界での頂点位置は必ず−1となるので、図21に示すように、その移行タイミングでの頂点位置は一致しなくなる。
そこで、この実施の形態7では、後述するように、移行タイミングを制御周期1周期遅延させることにより移行直前の制御周期の反転信号が必ずHIとなるようにして、移行タイミングでの頂点位置を一致させている。
すなわち、図22は、本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置によるタイミングチャートの別の一例であり、接続期間比率に基づいて第1搬送波周期から第2搬送波周期へ移行するときの一例である。第1の制御周期は、位相期間II前半の第1搬送波周期に該当し反転信号がLOであるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は位相期間IIの第2相間電圧であるVRT、第1相間電圧であるVRSの順序となって、最大電圧期間であるVRSの接続期間で2個の片搬送波を生成する。第2の制御周期は、接続期間比率に基づいて本来であれば第2搬送波周期へ移行する制御周期であるが、反転信号がHIになることから第2搬送波周期への移行を第3の制御周期へ遅延させる。
これにより、第2の制御周期は、位相期間II前半の第1搬送波周期に該当し反転信号がHIであるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は位相期間IIの第1相間電圧であるVRS、第2相間電圧であるVRTの順序となって、最大電圧期間であるVRSの接続期間で2個の片搬送波を生成し、第3の制御周期は、位相期間IIの第2搬送波周期に該当し反転信号がLOであるため、入力端の2相間電圧の直流母線への出現順序は位相期間IIの第2相間電圧であるVRT、第1相間電圧であるVRSの順序となって、ともに1個の片搬送波を生成する。これにより、第1の制御周期と第2の制御周期との境界、第2の制御周期と第3の制御周期との境界のいずれにおいても搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置が一致する。
同様の要領により、図23は、本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置によるタイミングチャートの別の一例であり、接続期間比率に基づいて第2搬送波周期から第1搬送波周期へ移行するときの一例である。本例では、本来であれば第2の制御周期で第1搬送波周期へ移行するところ、移行直前の反転信号がHIのときは、第2の制御周期で反転信号がLOであれば、第1搬送波周期への移行を制御周期1周期分遅延させ第3の制御周期で移行する。これにより、図22の一例と同様に、いずれの制御周期の境界においても搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置が一致する。
更に、図24は、本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置によるタイミングチャートの別の一例であり、接続期間比率に基づいて第1搬送波周期から第3搬送波周期へ移行するときの一例である。本例では、本来であれば第2の制御周期で第3搬送波周期へ移行するところ、移行直前の反転信号がHIであれば、第3搬送波周期への移行を制御周期1周期分遅延させ第3の制御周期で移行する。これにより、図22および図23の一例と同様に、いずれの制御周期の境界においても搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置が一致する。
以上のように、本発明の実施の形態7によれば、奇数個の片搬送波を生成する第1搬送波周期と第2搬送波周期または第3搬送波周期との相互間の移行時に、反転信号生成手段31が反転信号を調節して出力する、もしくは、反転信号生成手段31が出力する反転信号に応じて、搬送波生成手段211が第1ないし第3搬送波周期への移行のタイミングを制御周期1周期遅延させることにより、いかなる制御周期の境界でも搬送波生成手段211が生成する搬送波の頂点位置を一致させるようにしたので、インバータ4を構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、インバータ4から発生するノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。また、仮想的なインバータ6IVを構成する複数のスイッチの切り替え動作が発生しないことになり、マトリクスコンバータ6を構成する複数の交流交流変換スイッチでの切り替え動作を発生させずにノイズを低減するとともにスイッチング損失も低減することができる。
実施の形態8.
この種の交流−交流電力変換装置では、インバータ4もしくはマトリクスコンバータ6を構成するスイッチの切り替え動作において、入力端の短絡または出力端の開放を防止しつつ誘導性負荷2を流れる電流を転流するためにデッドタイム時間を設ける。よって、1回の転流で複数のスイッチの切り替えが完了するまでには一定の時間を要することになり、出力電圧指令値により与えられる転流の時刻と実際の転流の時刻との間に誤差が生じることがある。このため、実際に出力端に現れる電圧と出力電圧指令値との間に誤差が生じて出力端の電圧に歪みや高周波成分が発生して、誘導性負荷2に発生する電力振動や運転振動が大きくなるとともに誘導性負荷2の電力損失も大きくなる。
図25は、本発明の実施の形態8の交流−交流電力変換装置の構成図である。図25の交流−交流電力変換装置は、誘導性負荷2の電流を検出する電流検出器7と、搬送波生成手段211が中間電圧期間および最大電圧期間でそれぞれ生成する片搬送波の個数ならびに中間相間電圧および最大相間電圧から計算した合計電圧と、検出した誘導性負荷2の電流に応じて、出力電圧誤差を計算して出力電圧指令値を補正する出力電圧誤差補正手段214を備える。その他の構成は図1と同一であるため説明は省略する。
図26は、先の実施の形態1の交流−交流電力変換装置による、インバータ制御手段21の搬送波生成手段211が生成する搬送波、U相出力電圧指令値VU*、PWM整流器3を構成するスイッチ3PR〜3NTのスイッチ制御信号、インバータ4を構成するスイッチ4UPおよび4UNを制御するスイッチ制御信号4U、ならびに、これらのスイッチ制御信号の結果としてU相出力端に現れる電圧VUの瞬時値波形のタイミングチャートを、2つの制御周期にわたって示したものである。
図26は、位相期間IIで最大相間電圧がVRS、中間相間電圧がVRTであり、当該制御周期を第1搬送波周期と判断して中間電圧期間で1個の片搬送波を生成して最大電圧期間で2個の片搬送波を生成したときの一例である。
図27は、スイッチ4UPと4UNの切り替え動作において入力端の短絡を防止するための短絡防止時間tdを設けたときであって、U相出力端を流れる電流がインバータ4から誘導性負荷2の方向である場合の、スイッチ4UPおよび4UNのゲートパルス、ならびに、U相出力端に実際に現れる電圧VUEのタイミングチャートを示したものである。U相出力端を流れる電流がインバータ4から誘導性負荷2の方向であるときは、入力端のより低い電圧の相からより高い電圧の相へ転流するときに、転流時刻がtdだけ遅延する。
図28は、スイッチ4UPと4UNの切り替え動作において入力端の短絡を防止するための短絡防止時間tdを設けたときであって、U相出力端を流れる電流が誘導性負荷2からインバータ4の方向である場合の、スイッチ4UPおよび4UNのゲートパルス、ならびに、U相出力端に実際に現れる電圧VUFのタイミングチャートを示したものである。U相出力端を流れる電流が誘導性負荷2からインバータ4の方向であるときは、入力端のより高い電圧の相からより低い電圧の相へ転流するときに、転流時刻がtdだけ遅延する。
先の実施の形態1の交流−交流電力変換装置が真にU相に出力したい電圧はVU*であり、これは図26の電圧VUの瞬時値波形の平均値である。したがって、VUの平均値VUAは次式となる。
VUA={VR×(tR11+tR12+tR22+tR21)
+VS×(tS11+tS12+tS22+tS21)
+VT×(tT11+tT21)}/(2×Ts) ・・・(1)
これに対して、図27の電圧VUEの平均値VUEAおよび図28の電圧VUFの平均値VUFAはそれぞれ次式となる。
VUEA={VR×(tRE11+tRE12+tRE22+tRE21)
+VS×(tSE11+tSE12+tSE22+tSE21)
+VT×(tTE11+tTE21)}/(2×Ts) ・・・(2)
VUFA={VR×(tRF11+tRF12+tRF22+tRF21)
+VS×(tSF11+tSF12+tSF22+tSF21)
+VT×(tTF11+tTF21)}/(2×Ts) ・・・(3)
図26の入力端の各相の接続期間に対して、図27および図28の入力端の各相の各接続期間は次式の関係となる。
tRE11=tR11,tTE11=tT11,tSE11=tS11+td,
tRE12=tR12−td,tSE12=tS12,
tSE22=tS22+td,tRE22=tR22−td,
tSE21=tS21,tTE21=tT21+td,tRE21=tR21−td
・・・ (4)
tRF11=tR11+td,tTF11=tT11−td,tSF11=tS11
tRF12=tR12+td,tSF12=tS12−td,
tSF22=tS22,tRF22=tR22+td,
tSF21=tS21−td,tTF21=tT21,tRF21=tR21
・・・ (5)
(4)式および(5)式をそれぞれ(2)式および(3)式に代入すると次式となる。
VUEA={VR×(tR11+tR12+tR22+tR21−3×td)
+VS×(tS11+tS12+tS22+tS21+2×td)
+VT×(tT11+tT21+td)}/(2×Ts)
={VR×(tR11+tR12+tR22+tR21)
+VS×(tS11+tS12+tS22+tS21)
+VT×(tT11+tT21)}/(2×Ts)
+(−3×VR+2×VS+VT)×td/(2×Ts)
=VUA−(2×VRS+VRT)×td/(2×Ts) ・・・(6)
VUFA={VR×(tR11+tR12+tR22+tR21+3×td)
+VS×(tS11+tS12+tS22+tS21−2×td)
+VT×(tT11+tT21−td)}/(2×Ts)
={VR×(tR11+tR12+tR22+tR21)
+VS×(tS11+tS12+tS22+tS21)
+VT×(tT11+tT21)}/(2×Ts)
+(3×VR−2×VS−VT)×td/(2×Ts)
=VUA+(2×VRS+VRT)×td/(2×Ts) ・・・(7)
出力端に現れる電圧の誤差は、電流がインバータ4から誘導性負荷2の方向であるときをΔVUE、電流が誘導性負荷2からインバータ4の方向であるときをΔVUFとして、それぞれ次式となる。
ΔVUE=VUEA−VUA=−(2×VRS+VRT)×td/(2×Ts)
・・・(8)
ΔVUF=VUFA−VUA=(2×VRS+VRT)×td/(2×Ts)
・・・(9)
(8)式および(9)式では最大相間電圧VRSの2倍と中間相間電圧VRTとの和を合計電圧とする。この合計電圧とは、インバータ4のスイッチ4UPと4UNにより切り替える入力端の2相間電圧の合計値であるが、このような式となったのは、制御周期1周期あたりで中間電圧期間で1個の片搬送波を生成して最大電圧期間で2個の片搬送波を生成したためであることにほかならない。
したがって、当該制御周期を第1搬送波周期と判断したときの出力電圧誤差は、中間電圧期間で生成する片搬送波の個数(上記計算例では1個)と中間相間電圧との積と最大電圧期間で生成する片搬送波の個数(上記計算例では2個)と最大相間電圧との積との和を合計電圧として計算し、その合計電圧に短絡防止時間tdと制御周期Tsの2倍の逆数を乗じたものとなる。
また、出力電圧誤差の極性は、インバータ4から誘導性負荷2への方向を正の電流極性としたときにその逆極性となる。
出力電圧誤差補正手段214は、このようにして演算した出力電圧誤差を出力電圧指令値より引いて補正後の出力電圧指令値としスイッチ制御手段213に与える。これにより、出力電圧誤差補正手段214の出力電圧指令値の補正とゲートドライバ22が生成するゲートパルスによるスイッチ4UPと4UNの切り替え動作の結果として、U相出力端には出力電圧誤差補正手段214で補正する前の真にU相に出力したい電圧VUの瞬時値波形が現れることになる。
また、マトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置では、マトリクスコンバータ6を構成する複数のスイッチの切り替え動作には、電流検出器7が検出する誘導性負荷2の電流に応じた切り替え動作と電圧検出器5が検出する入力端の交流電圧1に応じた切り替え動作とがあるが、前者の切り替え動作を行う場合は(8)式および(9)式の出力電圧誤差の計算式において短絡防止時間tdの代わりに開放防止時間toを用いて次式とする(この代用の理論自体は、例えば、特開2007−82286参照)。
ΔVUE=(2×VRS+VRT)×to/(2×Ts) ・・・(10)
ΔVUF=−(2×VRS+VRT)×to/(2×Ts)・・・(11)
後者の切り替え動作を行う場合は(8)式および(9)式をそのまま用いる。これにより、マトリクスコンバータ6を主回路とする交流−交流電力変換装置であっても、出力電圧誤差補正手段214の出力電圧指令値の補正とゲートドライバ62が生成するゲートパルスによるマトリクスコンバータ6を構成する複数のスイッチの切り替え動作の結果として、U相出力端には出力電圧誤差補正手段214で補正する前の真にU相に出力したい電圧VUの瞬時値波形が現れることになる。
以上のように、本発明の実施の形態8によれば、インバータ4もしくは仮想的なインバータ6IVを構成する複数のスイッチにより切り替える入力端の2相間電圧の合計値を合計電圧として、出力端の電圧の誤差をその合計電圧と検出した誘導性負荷2の電流とに基づいて演算して出力電圧指令値を補正する出力電圧誤差補正手段214を備えたことにより、誘導性負荷2の電流の転流動作に伴う出力端の電圧の誤差を制御周期1周期の平均値として精度よく演算して出力電圧指令値を補正するため、出力端の電圧の歪みや高周波成分を低減し誘導性負荷2に発生する電力振動や運転振動を小さくするとともに誘導性負荷2の電力損失も小さくすることができる。
実施の形態9.
先の実施の形態7に記載の交流−交流電力変換装置は、接続期間比率演算手段112が出力する接続期間比率に応じて、当該制御周期を第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れとするかを判定する。その判定結果に応じて搬送波生成手段211が中間電圧期間および最大電圧期間でそれぞれ生成する片搬送波の個数が異なることから、誘導性負荷2の電流の転流動作に伴う出力端の電圧の誤差も異なることになる。
本発明の実施の形態9の交流−交流電力変換装置では、制御周期1周期あたりで中間電圧期間および最大電圧期間のそれぞれにおいて生成する片搬送波の個数に基づき予め(8)式から(11)式により出力電圧誤差に係る合計電圧を例えば表1の形で求めておき、出力電圧誤差補正手段214は、当該制御周期を第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れとするかに応じて、この表1に従い適用すべき合計電圧を選択する。なお、表1は、片搬送波の個数を、中間電圧期間では1個、最大電圧期間では2個とした場合で算出している。
Figure 2010115081
これにより、搬送波生成手段211の判定結果によらず、誘導性負荷2の電流の転流動作に伴う出力端の電圧の誤差を制御周期1周期の平均値として精度よく演算することができる。
以上のように、本発明の実施の形態9によれば、搬送波生成手段211が当該周期を第1搬送波周期、第2搬送波周期、第3搬送波周期の何れとするかを判定した結果に応じて、出力電圧誤差補正手段214が合計電圧を選択して出力電圧誤差を演算することにより、搬送波生成手段211の判定結果によらず、誘導性負荷2の電流の転流動作に伴う出力端の電圧の誤差を制御周期1周期の平均値として精度よく演算することができる。
本発明の実施の形態1による交流−交流電力変換装置の構成図である。 交流電源1の1周期分における相電圧、2相間電圧および接続期間比率を示す図である。 本願発明の理解を容易とするため例示する、従来の交流−交流電力変換装置の構成図である。 同従来の交流−交流電力変換装置による変形三角搬送波、出力電圧指令値、スイッチ制御信号および出力端の電流波形のタイミングチャートの一例を示す図である。 同従来の交流−交流電力変換装置による変形三角搬送波、出力電圧指令値、スイッチ制御信号および出力端の電流波形のタイミングチャートの他の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1の交流−交流電力変換装置による搬送波、出力電圧指令値、スイッチ制御信号および出力端の電流波形のタイミングチャートの一例を示す図である。 モータ駆動実験により高周波電流振動の振幅を従来と比較して示す図である。 本発明の実施の形態2による交流−交流電力変換装置の構成図である。 本発明の実施の形態2による交流−交流電力変換装置の制御上仮想的に設定する部分の構成を示す図である。 本発明の実施の形態2のゲートパルス合成手段61が生成するスイッチ制御信号の信号生成論理回路を示す図である。 本発明の実施の形態2の交流−交流電力変換装置による搬送波、出力電圧指令値、スイッチ制御信号および出力端の電流波形のタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による交流−交流電力変換装置の構成図である。 本発明の実施の形態3の交流−交流電力変換装置による搬送波、反転信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施の形態4の交流−交流電力変換装置による搬送波、出力電圧指令値、反転信号、第1搬送波周期または第2搬送波周期の何れかを示す信号、スイッチ制御信号および出力端の電流波形のタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施の形態5の交流−交流電力変換装置による搬送波、反転信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施の形態6による交流−交流電力変換装置の構成図である。 本発明の実施の形態6の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号、第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れかを示す信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートを示す図であって、第3搬送波周期から第2搬送波周期への移行において反転信号を調整しないと不具合が発生する事例を示す図である。 図18と同様の図であって、反転信号を調整して不具合を解消した事例を示す図である。 本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号、第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れかを示す信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートを示す図であって、第1搬送波周期から第2搬送波周期への移行において、移行直前の反転信号がLOでなければ不具合が発生しない事例を示す図である。 図20と同様の図であって、移行直前の反転信号がLOであれば不具合が発生する事例を示す図である。 図20と同様の図であって、移行直前の反転信号がLOであっても移行時のタイミングを調整して不具合を解消した事例を示す図である。 本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号、第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れかを示す信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートを示す図であって、第2搬送波周期から第1搬送波周期への移行において、移行直前の反転信号がHIであっても移行時のタイミングを調整して不具合を解消した事例を示す図である。 本発明の実施の形態7の交流−交流電力変換装置による搬送波、転換信号、反転信号、第1搬送波周期、第2搬送波周期または第3搬送波周期の何れかを示す信号およびスイッチ制御信号のタイミングチャートを示す図であって、第1搬送波周期から第3搬送波周期への移行において、移行直前の反転信号がHIであっても移行時のタイミングを調整して不具合を解消した事例を示す図である。 本発明の実施の形態8による交流−交流電力変換装置の構成図である。 本発明の実施の形態1の交流−交流電力変換装置による搬送波、出力電圧指令値、スイッチ制御信号および出力端に現れる電圧の瞬時値波形の、2つの制御周期にわたるタイミングチャートの一例を示す図である。 出力端を流れる電流がインバータ4から誘導性負荷2の方向であるときの、出力端に実際に現れる電圧のタイミングチャートを示す図である。 出力端を流れる電流が誘導性負荷2からインバータ4の方向であるときの、出力端に実際に現れる電圧のタイミングチャートを示す図である。
符号の説明
1 交流電源、2 誘導性負荷、3 PWM整流器、4 インバータ、
5 電圧検出器、6 マトリクスコンバータ、7 電流検出器、
3PR,3PS,3PT,3NR,3NS,3NT PWM整流器3を構成するスイッチおよびそのスイッチ制御信号、
4UP,4VP,4WP,4UN,4VN,4WN インバータ4を構成するスイッチおよびそのスイッチ制御信号、
6UR,6US,6UT,6VR,6VS,6VT,6WR,6WS,6WT マトリクスコンバータ6を構成するスイッチおよびそのスイッチ制御信号、
6PR,6PS,6PT,6NR,6NS,6NT 仮想的なPWM整流器6RCを構成するスイッチおよびそのスイッチ制御信号、
6UP,6VP,6WP,6UN,6VN,6WN 仮想的なインバータ6IVを構成するスイッチおよびそのスイッチ制御信号、
11,11M PWM整流器制御手段、111 2相間電圧抽出手段、
112 接続期間比率演算手段、113 スイッチ制御信号生成手段、
12 ゲートドライバ、21,21M インバータ制御手段、211 搬送波生成手段、212 出力電圧指令値演算手段、213 スイッチ制御信号生成手段、
214 出力電圧誤差補正手段、22 ゲートドライバ、31 反転信号生成手段、
61 ゲートパルス合成手段、62 ゲートドライバ。

Claims (15)

  1. 入力端の多相交流電圧を出力電圧指令に基づく多相交流電圧に変換して誘導性負荷が接続された出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
    前記入力端の多相交流電圧から逐次1つの2相間電圧を選択して直流母線に接続する複数のスイッチを有するコンバータ、前記直流母線の電圧を前記出力電圧指令に基づき多相交流電圧に変換して前記出力端に出力する複数のスイッチを有するインバータ、前記入力端の多相交流電圧の周期に対して十分短い所定の制御周期毎に前記入力端の多相交流電圧から前記直流母線に接続すべき2種の2相間電圧を抽出する2相間電圧抽出手段、入力電流指令に基づき前記2相間電圧抽出手段で抽出した前記2種の2相間電圧のそれぞれの前記制御周期における接続期間比率を演算する接続期間比率演算手段、前記2相間電圧抽出手段と前記接続期間比率演算手段との出力に基づき前記コンバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するコンバータスイッチ制御信号生成手段、前記接続期間比率演算手段の出力に基づきパルス幅変調制御の搬送波を生成する搬送波生成手段、および前記出力電圧指令と前記搬送波生成手段からの搬送波とに基づき前記インバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するインバータスイッチ制御信号生成手段を備えた交流−交流電力変換装置において、
    前記搬送波生成手段は、前記制御周期における搬送波の形状として、片搬送波と称する各直線を上端レベルまたは下端レベルで折り返してなる変形三角波形状のものを生成するとともに、
    前記2種の2相間電圧の内、それぞれその接続期間比率が50%以下である電圧の接続期間では前記片搬送波を1個、その接続期間比率が50%を越える電圧の接続期間では前記片搬送波を2個以上生成するようにしたことを特徴とする交流−交流電力変換装置。
  2. 入力端と出力端との間に複数のスイッチを有する交流交流変換器を直接介在させ、前記入力端の多相交流電圧を出力電圧指令に基づく多相交流電圧に変換して誘導性負荷が接続された前記出力端に出力する交流−交流電力変換装置であって、
    仮想の直流母線、前記入力端の多相交流電圧から逐次1つの2相間電圧を選択して前記仮想の直流母線に接続する複数のスイッチを有する仮想のコンバータ、および前記仮想の直流母線の電圧を前記出力電圧指令に基づき多相交流電圧に変換して前記出力端に出力する複数のスイッチを有する仮想のインバータを設定するとともに、
    前記入力端の多相交流電圧の周期に対して十分短い所定の制御周期毎に前記入力端の多相交流電圧から前記仮想の直流母線に接続すべき2種の2相間電圧を抽出する2相間電圧抽出手段、入力電流指令に基づき前記2相間電圧抽出手段で抽出した前記2種の2相間電圧のそれぞれの前記制御周期における接続期間比率を演算する接続期間比率演算手段、前記2相間電圧抽出手段と前記接続期間比率演算手段との出力に基づき前記仮想のコンバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するコンバータスイッチ制御信号生成手段、前記接続期間比率演算手段の出力に基づきパルス幅変調制御の搬送波を生成する搬送波生成手段、前記出力電圧指令と前記搬送波生成手段からの搬送波とに基づき前記仮想のインバータのスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するインバータスイッチ制御信号生成手段、および前記コンバータスイッチ制御信号生成手段と前記インバータスイッチ制御信号生成手段との出力を合成して前記交流交流変換器のスイッチをオンオフ制御するスイッチ制御信号を生成するスイッチ制御信号合成手段を備えた交流−交流電力変換装置において、
    前記搬送波生成手段は、前記制御周期における搬送波の形状として、片搬送波と称する各直線を上端レベルまたは下端レベルで折り返してなる変形三角波形状のものを生成するとともに、
    前記2種の2相間電圧の内、それぞれその接続期間比率が50%以下である電圧の接続期間では前記片搬送波を1個、その接続期間比率が50%を越える電圧の接続期間では前記片搬送波を2個以上生成するようにしたことを特徴とする交流−交流電力変換装置。
  3. 前記多相交流電圧は3相交流電圧であり、前記入力電流指令は前記入力端の力率を1とするよう設定されたものである場合、
    前記2相間電圧抽出手段は、前記制御周期において、前記入力端の3相交流電圧の各相間電圧の内、大きさが第1番目の最大相間電圧と第2番目の中間相間電圧とを抽出し、前記接続期間比率演算手段は、前記入力端の力率を1にする前記入力電流指令に基づき前記最大相間電圧と前記中間相間電圧との接続期間比率を演算し、
    前記搬送波生成手段は、前記中間相間電圧が接続される中間電圧期間では前記片搬送波を1個、前期最大相間電圧が接続される最大電圧期間では前記片搬送波を2個以上生成することを特徴とする請求項1または2に記載の交流−交流電力変換装置。
  4. 前記2相間電圧抽出手段が抽出する前記2種の2相間電圧の組み合わせを変更した時点での、大きさが第1番目の最大相間電圧を第1相間電圧、当該第1相間電圧の接続期間を第1電圧期間、前記大きさが第2番目の中間相間電圧を第2相間電圧、当該第2相間電圧の接続期間を第2電圧期間として、
    前記第1電圧期間と前記第2電圧期間との出現順序を前記制御周期毎に反転させる反転信号を生成する反転信号生成手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の交流−交流電力変換装置。
  5. 前記中間電圧期間では前記片搬送波を1個、前記最大電圧期間では前記片搬送波を2個以上生成する制御周期を第1搬送波周期、前記中間電圧期間および前記最大電圧期間のいずれでも前記片搬送波を1個生成する制御周期を第2搬送波周期として、
    前記搬送波生成手段は、前記接続期間比率演算手段で演算された接続期間比率に基づき当該制御周期を前記第1搬送波周期とするか前記第2搬送波周期とするかを判定することを特徴とする請求項4記載の交流−交流電力変換装置。
  6. 2個の片搬送波からなる最大電圧期間のみで構成する制御周期を第3搬送波周期として、
    前記搬送波生成手段は、生成する変形三角波形状の搬送波に垂直線で現れる不連続部分が存在しないよう、前記接続期間比率演算手段で演算された接続期間比率に基づき当該制御周期を前記第3搬送波周期とすることを特徴とする請求項5記載の交流−交流電力変換装置。
  7. 前記2相間電圧抽出手段が抽出する前記2種の2相間電圧の組み合わせを変更した時点でその変更を示す転換信号を出力し、
    前記反転信号生成手段は、前記転換信号を検出したときは前記反転信号を反転させないようにしたことを特徴とする請求項5記載の交流−交流電力変換装置。
  8. 前記第1搬送波周期を奇数個の片搬送波で構成する場合、
    当該第1搬送波周期と前記第2搬送波周期または前記第3搬送波周期との相互間の移行時において、
    前記搬送波生成手段は、生成する変形三角波形状の搬送波に垂直線で現れる不連続部分が存在しないよう、前記反転信号または前記移行時のタイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項6記載の交流−交流電力変換装置。
  9. 前記第3搬送波周期から前記第1搬送波周期への移行時、前記反転信号を、その移行直前の如何に拘わらずLO(前記電圧期間の出現順序を本来の順序から反転させる)に調整するようにしたことを特徴とする請求項8記載の交流−交流電力変換装置。
  10. 前記第1搬送波周期から前記第2搬送波周期への移行時であって移行直前の前記反転信号がLO(前記電圧期間の出現順序を本来の順序から反転させる)である場合、前記第2搬送波周期への移行が制御周期1周期分遅延するよう前記移行時のタイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項8記載の交流−交流電力変換装置。
  11. 前記第2搬送波周期から前記第1搬送波周期への移行時であって移行直前の前記反転信号がHI(前記電圧期間の出現順序を本来の順序とする)である場合、前記第1搬送波周期への移行が制御周期1周期分遅延するよう前記移行時のタイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項8記載の交流−交流電力変換装置。
  12. 前記第1搬送波周期から前記第3搬送波周期への移行時であって移行直前の前記反転信号がHI(前記電圧期間の出現順序を本来の順序とする)である場合、前記第3搬送波周期への移行が制御周期1周期分遅延するよう前記移行時のタイミングを調整するようにしたことを特徴とする請求項8記載の交流−交流電力変換装置。
  13. 前記誘導性負荷に流れる電流の転流動作において前記入力端の短絡を防止するため前記スイッチの動作にデッドタイム時間を設けて前記スイッチをオンオフ制御する場合、
    前記デッドタイム時間を設けたことによる前記出力端の出力電圧の誤差を、前記入力端の前記最大相間電圧と前記中間相間電圧とから求まる合計電圧と前記誘導性負荷に流れる電流値とから演算し、当該演算した誤差に基づき前記出力電圧指令を補正する出力電圧誤差補正手段を備えたことを特徴とする請求項3ないし12のいずれか1項に記載の交流−交流電力変換装置。
  14. 前記誘導性負荷に流れる電流の転流動作において前記出力端の開放を防止するため前記スイッチの動作にデッドタイム時間を設けて前記スイッチをオンオフ制御する場合、
    前記デッドタイム時間を設けたことによる前記出力端の出力電圧の誤差を、前記入力端の前記最大相間電圧と前記中間相間電圧とから求まる合計電圧と前記誘導性負荷に流れる電流値とから演算し、当該演算した誤差に基づき前記出力電圧指令を補正する出力電圧誤差補正手段を備えたことを特徴とする請求項3ないし12のいずれか1項に記載の交流−交流電力変換装置。
  15. 前記搬送波生成手段が前記第1搬送波周期、前記第2搬送波周期または前記第3搬送波周期のいずれかを選択して前記搬送波を生成する場合、
    予め前記各搬送波周期の種別毎に前記各合計電圧を求めておき、前記出力電圧誤差補正手段は、前記搬送波生成手段が選択する前記各搬送波周期の種別に応じて当該搬送波周期に係る前記合計電圧を使用して前記出力電圧指令の補正演算を行うことを特徴とする請求項13または14に記載の交流−交流電力変換装置。
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