JP4673642B2 - 光導波路形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信分野において各種光伝送システムに適用される光導波路形成方法に関するものである。
近年、インターネットの普及などによるデータトラフィックの飛躍的な増大に対応しうるフォトニックネットワークの実現に向けて、波長分割多重光通信網(WDM光伝送システム)の構築が進められている。
WDM光伝送システムでは、低コスト化を図るべく、光導波路を用いて種々の光部品や電子部品の機能を集積化できる平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)技術を適用するのが有効とされている。このような種々の機能を集積化したPLCデバイスの小型化・高集積化を簡易に実現することが望まれている。
シリカガラスは、光ファイバの主材料として広く用いられている。シリカガラスが光通信分野において広く使用されている理由は、1)低損失で伝送容量が極めて大きく、2)機械的強度、化学耐久性が高いため長期信頼性に優れており、3)伝送技術の高度化に幅広く対応できる受容性を有するためである。
一方、光伝送システムの中継部、終端部として用いられるPLCデバイスは、通信光強度の損失を低減するために、光ファイバと融着接続されて通信網に実装される。そのため、光ファイバがシリカガラスから構成されていることを考えれば、PLCデバイスの主構成材料もシリカガラスであることが望ましい。
現在、主に用いられているシリカガラス系PLCデバイスは、基板としてシリカガラス基板を用い、コアとしてゲルマニウムドープシリカガラスを用いた光導波路を基礎とするものである。
ここで、シリカガラス及びゲルマニウムドープガラスの基本物性値である屈折率、熱膨張係数及び密度について説明する。ゲルマニウムドープガラスの屈折率はドープ濃度に比例し、ドープ濃度10mol%のとき1.460である。一方、導波路基板として用いられるシリカガラスの屈折率は1.457である。ゲルマニウムドープシリカガラスの熱膨張係数αと密度ρは、ドープ濃度が10mol%のとき、α=18×10-7(K-1)、ρ=2.33(g/cm3)である。一方、シリカガラスの熱膨張係数αと密度ρは、α=5×10-7(K-1)、ρ=2.20(g/cm3)である(例えば、非特許文献1,2参照)。
一般に、シリカガラス系の材料で形成される光導波路は、(1)シリカガラス基板上に屈折率の高い薄膜を作製する工程と、(2)所望の導波路構造を屈折率の高い薄膜から切り出し、光導波路のコアパターンを形成する工程により作製される。
コアとなる高屈折率の薄膜を基板上に作製する方法として、火炎堆積法(FHD法)がある。FHD法は、気体状態のSiCl4、GeCl4をシリカガラス基板上に吹きつけ、酸素バーナによる火炎中で加水分解反応させることにより、粒子径0.1μmのガラス微粒子を形成し、電気炉で焼結させることでゲルマニウムドープガラス薄膜を形成する方法である(例えば、非特許文献3参照)。
Y分岐導波路や曲率を有する曲がり導波路を含む光導波路は、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングを用いて作製される。具体的には、FHD法により形成されたコア材料の薄膜上にレジストを塗布し、紫外線照射により導波路パターンを露光、転写する。その後、未露光部のレジストを除去する。レジストが除去された薄膜部分を反応性イオンエッチング工程により除去し、導波路コアだけを残す。その後、露光部のレジストを除去して、所望の導波路パターンが得られる(例えば、非特許文献4参照)。
また、光導波路を形成する他の方法に、シリカガラスにフェムト秒パルスレーザ或いは紫外線レーザを照射して、照射部分の屈折率を上昇させることで光導波路のコアパターンを形成する方法がある。例えば、フェムト秒パルスレーザを用いると、パルス当たり数GW/cm2のピークパワーを有する強度で照射させたとき、0.5〜1%程度の屈折率変化を誘起することができる(例えば、特許文献1〜4、非特許文献5,6参照)。
特開2004−361811号公報 特開2004−295066号公報 特開2004−101697号公報 特開2002−311266号公報 坂口茂樹「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」,リアライズ社,p.156,(1999) Y.Y.Huang and A.Sarkar "Relationship between composition, density and refractive index for germania slica glasses" Jounal of Non-Crystalline Solids Vol.27, 29-37 ,(1978) 大森保治「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」,リアライズ社,p.572,(1999) 西原浩、春名正光、栖原敏明「光集積化回路」,オーム社,p.204,(1993) K. M. Davis, K. Miura, Naoki Sugimoto, Kazuyuki Hirao, "Writing waveguides in glass with a femtosecond laser" Optics Letters, Vol.21, No.21, 1729, (1996) K.O.Hill, Y.Fujii, D.C.Johnson, and B.S.Kawasaki,Appl. Phys. Lett. 32,647, (1978)
光導波路を形成するには、コアとなる薄膜の形成、フォトリソグラフィ、エッチング及びクラッドとなる薄膜の形成等、製造工程数が多く、高コスト化するといった問題があった。
FHD法においてガラス微粒子を焼結する際に、薄膜温度が室温から1300℃まで変化する。そのため、基板であるシリカガラスと導波路コアであるゲルマニウムドープシリカガラスとの熱膨張係数の差によりそれらの界面で応力が発生する。応力が生じると光導波路の損傷を招いたり、応力性複屈折が生じてしまうという問題があった。
フォトリソグラフィを用いて導波路パターンの露光、転写を行う際にはフォトマスクが必要となる。一種類の導波路パターンに対して一つのフォトマスクが必要となるので、多種類の導波路を任意に作製するといったことはできず、作製工程の柔軟性に乏しいといった欠点がある。
反応性イオンエッチングは、ウェットプロセスを含み、エッチング後の廃液が環境に与える負荷が大きな問題となっていた。また、微細なエッチングを施す場合には、特にエッチング界面に発生する「バリ」が導波路コアにおける光散乱の原因となり、光導波路の損失を増加させる要因となっていた。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、製造工程を簡素化し、低損失の光導波路を形成することができる光導波路形成方法を提供する。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ガラス基板上に、高屈折率のコアと低屈折率のクラッドとからなる光導波路を形成する光導波路形成方法において、シリカガラス基板上に、物理気相堆積法を用いて前記シリカガラス基板の屈折率より高い屈折率を有し、かつ、前記シリカガラス基板と同じ組成を有するシリカガラス薄膜を形成する工程と、前記シリカガラス薄膜の任意の箇所を局所的に加熱し、その加熱部を前記クラッドに、非加熱部を前記コアに形成する工程と、を含み、前記物理気相堆積法を行う際に、前記シリカガラス基板の温度を80〜580℃にし、かつ、前記シリカガラス薄膜を局所的に加熱する際に、前記シリカガラス薄膜を600〜1000℃で加熱すると共に、前記クラッドと前記コアとは同じ組成である光導波路形成方法である。
請求項2の発明は、前記シリカガラス薄膜にレーザを照射させて局所的に加熱する請求項1記載の光導波路形成方法である。
請求項3の発明は、ガラス基板上に、高屈折率のコアと低屈折率のクラッドとからなる光導波路を形成する光導波路形成方法において、シリカガラス基板上に、物理気相堆積法を用いて前記シリカガラス基板の屈折率より高い屈折率を有し、かつ、前記シリカガラス基板と同じ組成を有するシリカガラス薄膜を形成する工程と、前記シリカガラス薄膜の上方にフォトマスクを設け、前記フォトマスクを介してレーザを前記シリカガラス薄膜に照射して、その照射部を前記クラッドに、非照射部を前記コアに形成する工程と、を含み、前記物理気相堆積法を行う際に、前記シリカガラス基板の温度を80〜580℃にし、かつ、前記シリカガラス薄膜を照射する際に、前記シリカガラス薄膜を600〜1000℃で照射すると共に、前記クラッドと前記コアとは同じ組成である光導波路形成方法である。
請求項4の発明は、前記レーザがCO2レーザである請求項2または3記載の光導波路形成方法である。
請求項5の発明は、前記シリカガラス薄膜の膜厚が2〜100μmである請求項1〜4いずれかに記載の光導波路形成方法である。
請求項6の発明は、前記物理気相堆積法が、マグネトロン高周波スパッタ法、高周波スパッタ法、電子ビーム蒸着法、加熱蒸着法または反応性スパッタ法のいずれかである請求項1〜5いずれかに記載の光導波路形成方法である。
請求項7の発明は、前記物理気相堆積法を行う際に、前記シリカガラス基板を400℃以上の加熱温度で加熱する請求項1〜6いずれかに記載の光導波路形成方法である。
本発明によれば、製造工程を簡素化でき、低損失の光導波路を形成することができるという優れた効果を発揮する。
従来の光導波路形成方法では、GeO2ドープシリカガラスをコアとして用いて形成していたが、光導波路の形成工程を簡素化するべく、GeO2ドープシリカガラス薄膜自体の屈折率を制御してコアとクラッドを形成する試みがあった。GeO2ドープシリカガラスの屈折率はドーパント濃度に比例する。このドーパント濃度はFHD法で作製するときのSiCl4、GeCl4の濃度比と反応時の加熱温度とにより決定される。ところが、一度FHD法により作製されたGeO2ドープシリカガラスの屈折率は、後処理で大きく変えることはできないという欠点があった。例えば、加熱処理によりGeO2ドープシリカガラスの仮想温度を1000〜1400℃にしたときの屈折率の変化率はわずか0.02%である。
そこで、本発明者は、物理気相堆積法によって形成したシリカガラス薄膜を局所的に加熱することで、加熱部の屈折率を低下させることに着目し、本発明に至った。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1(a)〜図1(c)は本発明に係る光導波路形成方法の好適な実施の形態を示した概略斜視図である。
本実施の形態の光導波路形成方法によって形成される光導波路15は、基板11上に、高屈折率のコア17と、低屈折率のクラッド16とを備えるものである。
まず、図1(a)に示すように、シリカガラス基板11として合成シリカガラス基板を準備し、合成シリカガラス基板の屈折率分布を一定にするために1100℃で8時間加熱処理する。合成シリカガラス基板の加熱処理温度は1000℃以上で、加熱処理時間は、加熱処理温度に応じて適宜調整される。また、シリカガラス基板11として、純粋シリカガラス基板を用いてもよい。
図1(b)に示すように、物理気相堆積法としてマグネトロン高周波スパッタ法を用いて、シリカガラス基板11上にシリカガラス薄膜(スパッタシリカ薄膜)12を形成する。シリカガラス薄膜12は、物理気相堆積法を用いて堆積されることで高密度な薄膜となり、シリカガラス基板11より高屈折率の薄膜となる。
物理気相堆積法を行う際に、シリカガラス基板11の温度をシリカガラス薄膜12の融点の1/3以下程度にすることで比屈折率差を0.5〜1%程度と大きくすることができる。
図1(c)に示すように、シリカガラス薄膜12に波長10.6μmの連続発振CO2レーザLを照射する。CO2レーザLは、レンズ(顕微鏡対物レンズ)13により10〜100μmのスポット14に集光されて照射される。レンズ13には、波長10.6μmの光を透過するレンズとしてZnSe結晶を用いたものを使用した。
シリカガラス(SiO2)には波長10.6μm帯(波数1100cm-1程度)にシリコン(Si)と酸素(O)の結合に起因した波長吸収帯が存在するので、シリカガラス薄膜12のレーザ照射された箇所では、レーザの光エネルギーが吸収されて熱に変換される。その熱により、レーザ照射された箇所(加熱部)は、局所的に加熱されて屈折率が低下し低屈折率領域となる。
これは、物理気相堆積法により形成したシリカガラス薄膜12を600〜1000℃で加熱すると、加熱によりシリカガラス薄膜12の密度が低下し、加熱時間が経過する程に屈折率が変化するためである。
次に、CO2レーザLの光軸及びレンズ13を移動させる。具体的には、所望の導波路パターンのクラッドとなる箇所にスポット14を走査させることで、低屈折率領域が連続的に形成され、光導波路15のクラッド16が形成される。また、シリカガラス薄膜12にCO2レーザLが照射されなかった箇所(非加熱部)は、その屈折率が変化せず、光導波路15のコア17となる。
以上、シリカガラス薄膜12にクラッド(低屈折率領域)16とコア(高屈折率領域)17と同時に形成でき、クラッドとするシリカガラス薄膜12の全てに照射スポット14を走査させて光導波路15が得られる。
CO2レーザLを集光照射することにより、10〜100μmの領域の屈折率を局所的に低下させることができるので、Y分岐導波路(図1(c))や曲率のついた光導波路等、微細な屈折率分布を有する光導波路を任意に形成する(屈折率分布を書き込む)ことができる。
本実施の形態では、レーザ照射によりシリカガラス薄膜12に光導波路パターンを直接描画して形成しているので、フォトリソグラフィやエッチングをすることなく光導波路15を形成でき、従来の製造方法と比べて製造工程を簡素化でき、製造コストを削減することができる。
ここで、シリカガラス基板11及びシリカガラス薄膜12の屈折率について説明する。
図2に基板温度と屈折率との関係を示す。図中○はシリカガラス基板11で、●はシリカガラス薄膜12を示す。
図2に示すように、物理気相堆積法であるマグネトロン高周波スパッタを用いてシリカガラス薄膜12を形成することで、シリカガラス基板11とシリカガラス薄膜12とで屈折率が異なることがわかる。ただし、シリカガラス薄膜12の屈折率は、スパッタ時の基板温度に大きく依存し、基板温度が高い程屈折率は低くなり、シリカガラス基板11との比屈折率差が小さくなる。例えば、基板温度を80℃とした試料では、シリカガラス基板11との比屈折率差は約1.0%程度あるのに対し、基板温度を580℃とした試料ではその比屈折率差が0.8%であった。
本実施の形態では、シリカガラス基板11を用い、物理気相体積法により形成したシリカガラス薄膜12を光導波路15のコア17としている。したがって、基板11と光導波路15共にシリカガラスで形成しているので、従来のFHD法を用いて基板とは組成の異なるコアを形成した光導波路に比べて、基板とコア間の熱膨張係数の差による応力性複屈折や、応力による損傷確率を大きく低減することができる。
図3に、光導波路の導波路損失とスパッタ時の基板温度との関係を示す。
図3に示すように、基板温度が低い程導波路損失は大きく、基板温度が高くなるにつれて、導波路損失が小さくなり、500℃以上で導波路損失は収束している。スパッタ時の基板温度を450℃以上にして形成した光導波路の損失は1dB/cm以下となり、十分実用に耐えうる光導波路を形成することができる。
本実施の形態の方法で形成された光導波路15は、クラッド16となる箇所にのみCO2レーザLを照射して形成されたものであり、通信光が主に伝搬するコア17にCO2レーザLを照射させることはなく、光導波路15の損失は物理気相堆積法でシリカガラス薄膜12を形成した時の膜質にのみ依存する。したがって、実用上使用可能となる損失1dB/cm以下の光導波路を形成するためには、物理気相堆積法時の基板温度を400℃以上、好ましくは450℃以上、より好ましくは500℃以上とするのが好ましい。基板温度が400℃以下のときは、スパッタによって形成されるシリカガラス薄膜12の膜厚分布が不均一に形成され、導波路損失が大きくなってしまう。
また、本実施の形態では、シリカガラス薄膜12の膜厚を2μmとした。シリカガラス薄膜12の膜厚は、コア17の厚みに応じて適宜決定されるものであり、特に限定するものではないが、例えば、2〜100μmが好ましい。
次に、CO2レーザLの強度とシリカガラス薄膜12の屈折率の関係について説明する。
図4に、シリカガラス薄膜12にCO2レーザを150〜400W/cm2の強度で5秒間照射したときの、照射スポット14の赤外反射スペクトルのピーク数とCO2レーザの強度との関係を示す。
図4に示すように、赤外反射スペクトルのピーク波数の変化はシリカガラス薄膜12の屈折率の変化を表しており、レーザ強度が強い程、ピーク波数が大きくなり(シリカガラス薄膜12の屈折率が小さくなり)、その結果、レーザ照射されていないシリカガラス薄膜12との比屈折率差が大きくなっている。例えば、300〜400W/cm2のレーザ強度で照射したとき、照射スポット14の赤外反射スペクトルのピーク波数が1121cm-1程度に変化している。これにより、シリカガラス薄膜12の屈折率がシリカガラス基板11の屈折率に近くなっていることがわかる。さらに、CO2レーザLの強度を変化させることでガラス薄膜の屈折率を任意の値に変化させることができ、基板水平方向にクラッド16の屈折率を変化させた2次元光導波路を形成することができる。
CO2レーザLは、そのピークパワーが数百W/cm2で0.5〜1%程度の屈折率を変化させている。したがって、CO2レーザLを用いることで、フェムト秒パルスレーザ等に比べて、屈折率変化に要するパワーを格段に低くすることができる。
また、反応性イオンエッチングを用いる従来の製造方法では、コアとクラッドの屈折率界面が急峻となり、導波光の散乱の原因となる「バリ」が生じていた。しかしながら、本実施の形態では、CO2レーザLを用いて屈折率分布を描画しており、CO2レーザLのプロファイルは単峰性を有するガウス関数の形状である。そのため、レーザ照射により書き込んだ光導波路15の屈折率界面は滑らかな勾配となり、散乱による損失を低減することができる。
また、シリカガラス薄膜12にCO2レーザLを直接照射して屈折率の変化を誘起しているので、ウェットプロセスを行う必要がなく、廃液処理などによる環境負荷を低減することができる。
本実施の形態の光導波路形成方法は、CO2レーザLの点描画による方式であるので、シリカガラス薄膜12において、所望の光導波路のコアパターンから十分に離れた場所(ここで、十分に離れた場所とは、光導波路を伝搬する導波光のクラッドへの染みだしが及ばない場所)では、レーザ照射により低屈折率領域を形成する工程を省略して製造時間を短縮してもよい。
本実施の形態では、CO2レーザの照射によりシリカガラス薄膜12を加熱して、その屈折率を低下させているが、シリカガラス薄膜12を局所的に加熱できるものであれば、これに限定するものではない。
光導波路15は、コア17とクラッド16の組成が同一であるので、1000℃以上で加熱処理を施すことにより、クラッド16の屈折率をレーザ照射前の屈折率に戻す(リセットする)ことができ、シリカガラス薄膜12の屈折率分布を均一にすることができる。さらに、シリカガラス薄膜12を1100℃で加熱処理すると、シリカガラス薄膜12は、その屈折率がシリカガラス基板11の屈折率と等しくなるので、シリカガラス基板として再利用することができる。
本実施の形態では、物理気相堆積法としてマグネトロン高周波スパッタ法について説明したが、物理気相堆積法としては他に、高周波スパッタ法、電子ビームスパッタ法、加熱蒸着法または反応性スパッタ法が挙げられる。
本実施の形態で形成した光導波路15は、コア17の上面が空気層と接しているため、摩擦による損傷を防ぐために、光導波路15の上面に低屈折率の保護層(上部クラッド)を形成してもよい。
次に他の実施の形態の光導波路形成方法について図5(a)〜図5(d)に基づいて説明する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、図1の形成方法と同様に、物理気相堆積法を用いてシリカガラス基板11上にシリカガラス薄膜12を形成する。
次に、図5(c)に示すように、シリカガラス薄膜12の上方にフォトマスク18を配置し、そのフォトマスク18の上方からCO2レーザLを照射する。
フォトマスク18は、シリカガラス薄膜12に照射するCO2レーザLの波長に対して、透過率の高い物質で基材19が形成され、基材19には反射率の高い材料でコアのマスクパターン20が形成されている。
本実施の形態では、基材19は、CO2レーザ波長の10.6μmにおいて透明な(透過率の高い)ZnSe結晶で形成されている。ZnSe結晶の波長10.6μmの透過率は70%である。マスクパターン20はCO2レーザ波長の10.6μmにおいて反射率の高い金(Au)、白金(Pt)またはクロム(Cr)のいずれかで蒸着形成されている。波長10.6μmにおいて、金の反射率は98%、白金の反射率は96%、クロムの反射率は90%である。
さらに、図5(d)に示すように、フォトマスク18とシリカガラス薄膜12の間には、投影レンズ系21が設けられている。投影レンズ系21はCO2レーザLのビーム径を光導波路15のサイズに合わせるために設けられる。例えば、2枚の投影用レンズ21a,21bを平行に配置し、フォトマスク18側のレンズ21aでレーザLを平行光線とし、シリカガラス薄膜12側のレンズ21bによって平行光線がシリカガラス薄膜12に照射される。投影レンズ系21を用いることで、CO2レーザLの強度を保持してシリカガラス薄膜12にレーザ照射させることができる。
CO2レーザLは、フォトマスク18を通過するとマスクパターン20に応じた強度分布を有し、シリカガラス薄膜12に照射される。具体的には、フォトマスク18でコアパターンのレーザが遮断され、シリカガラス薄膜12にはクラッド16となる箇所にのみCO2レーザLが照射される。照射された箇所(照射部)は低屈折率化してクラッド16となり、照射されない箇所(非照射部)はコア17となって光導波路15が形成される。
本実施の形態の光導波路形成方法では、前実施の形態の光導波路形成方法よりも、広範囲にレーザを照射できる。したがって、フォトマスク18のマスクパターン20に応じて導波路パターンを短時間で形成することができ、光導波路15を大量生産することができる。
また、光導波路パターンがCO2レーザLのビーム径より十分に大きいときは、CO2レーザLの光軸及び投影レンズ系21を走査することで、光導波路を形成することもできる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
基板に合成シリカガラス基板(EDH東ソークォーツ製)を用い、合成シリカガラス基板を1100℃で8時間加熱処理し、合成シリカ基板の屈折率を一定に保つ。
マグネトロン高周波スパッタ法を用いて、合成シリカガラス基板上にシリカガラス薄膜を形成した。マグネトロン高周波スパッタ法の条件は、スパッタターゲットにシリカガラス(高純度科学製)を用い、チャンバ内の圧力を0.2Pa、チャンバ内の雰囲気ガスに気圧比1対1でアルゴンガスと酸素ガスを用い、スパッタ時間を9時間、高周波パワーを100W、高周波周期を13.5MHzとした。スパッタ時の基板温度を80℃から580℃の範囲内のいずれかとし、シリカガラス薄膜の膜厚を2μmとして8つの試料を形成した。
プリズムカプラを用い、測定用のレーザ光の波長を633nmとしてシリカガラス基板とシリカガラス薄膜の屈折率をそれぞれ測定した。基板温度と屈折率の関係は図2に示したようになる。
マグネトロン高周波スパッタ法を用いて、合成シリカガラス基板上にシリカガラス光導波路を作製した。マグネトロン高周波スパッタ法の条件は、スパッタターゲットにシリカガラス(高純度科学製)を用い、チャンバ内の圧力を0.2Pa、チャンバ内の雰囲気ガスに気圧比1対1でアルゴンガスと酸素ガスを用い、スパッタ時間を9時間、高周波パワーを100W、高周波周期を13.5MHzとした。スパッタ時の基板温度を180℃から580℃の範囲内のいずれかとし、シリカガラス薄膜の膜厚を2μmとして5つの光導波路を形成した。
ファイバカプラを用い、測定用のレーザ光の波長を633nmとして本実施例の光導波路の損失を測定した。基板温度と導波路損失の関係は図3に示したようになる。
マグネトロン高周波スパッタ法を用いて合成シリカガラス基板上に形成したシリカガラス薄膜に、CO2レーザを照射し、照射スポットにおける赤外反射スペクトルのピーク波数を測定した。
マグネトロン高周波スパッタ法では、チャンバ内の圧力を0.2Pa、チャンバ内の雰囲気ガスに気圧比1対1でアルゴンガスと酸素ガスを用い、スパッタ時間を9時間、高周波パワーを100W、高周波周期を13.5MHz、基板温度を600℃として、膜厚2μmのシリカガラス薄膜を形成した。
次に、形成されたシリカガラス薄膜にCO2レーザを150〜400W/cm2の範囲内のいずれかの強度で5秒間照射し、照射スポットの赤外反射スペクトルのピーク数を測定した。CO2レーザ光の強度と赤外反射スペクトルのピーク数との関係は図4に示したようになる。
図1(a)〜図1(c)は、それぞれ好適な一実施形態の導波路製造方法の各工程を説明する概略斜視図である。 基板温度と波長633nmにおける屈折率との関係を示す図である。 基板温度と波長633nmにおける導波路損失との関係を示す図である。 CO2レーザの強度と赤外反射スペクトルのピークとの関係を示す図である。 図5(a)〜図5(c)は、それぞれ好適な他の実施形態の導波路製造方法の各工程を説明する概略斜視図であり、図5(d)は、図5(c)の詳細を説明する正面図である。
符号の説明
11 シリカガラス基板
12 シリカガラス薄膜
13 レンズ
15 光導波路
16 クラッド
17 コア
L CO2レーザ

Claims (7)

  1. ガラス基板上に、高屈折率のコアと低屈折率のクラッドとからなる光導波路を形成する光導波路形成方法において、
    シリカガラス基板上に、物理気相堆積法を用いて前記シリカガラス基板の屈折率より高い屈折率を有し、かつ、前記シリカガラス基板と同じ組成を有するシリカガラス薄膜を形成する工程と、
    前記シリカガラス薄膜の任意の箇所を局所的に加熱し、その加熱部を前記クラッドに、非加熱部を前記コアに形成する工程と、を含み、
    前記物理気相堆積法を行う際に、前記シリカガラス基板の温度を80〜580℃にし、かつ、
    前記シリカガラス薄膜を局所的に加熱する際に、前記シリカガラス薄膜を600〜1000℃で加熱すると共に、前記クラッドと前記コアとは同じ組成であることを特徴とする光導波路形成方法。
  2. 前記シリカガラス薄膜にレーザを照射させて局所的に加熱する請求項1記載の光導波路形成方法。
  3. ガラス基板上に、高屈折率のコアと低屈折率のクラッドとからなる光導波路を形成する光導波路形成方法において、
    シリカガラス基板上に、物理気相堆積法を用いて前記シリカガラス基板の屈折率より高い屈折率を有し、かつ、前記シリカガラス基板と同じ組成を有するシリカガラス薄膜を形成する工程と、
    前記シリカガラス薄膜の上方にフォトマスクを設け、前記フォトマスクを介してレーザを前記シリカガラス薄膜に照射して、その照射部を前記クラッドに、非照射部を前記コアに形成する工程と、を含み、
    前記物理気相堆積法を行う際に、前記シリカガラス基板の温度を80〜580℃にし、かつ、
    前記シリカガラス薄膜を照射する際に、前記シリカガラス薄膜を600〜1000℃で照射すると共に、前記クラッドと前記コアとは同じ組成であることを特徴とする光導波路形成方法。
  4. 前記レーザがCO2レーザである請求項2または3記載の光導波路形成方法。
  5. 前記シリカガラス薄膜の膜厚が2〜100μmである請求項1〜4いずれかに記載の光導波路形成方法。
  6. 前記物理気相堆積法が、マグネトロン高周波スパッタ法、高周波スパッタ法、電子ビーム蒸着法、加熱蒸着法または反応性スパッタ法のいずれかである請求項1〜5いずれかに記載の光導波路形成方法。
  7. 前記物理気相堆積法を行う際に、前記シリカガラス基板を400℃以上の加熱温度で加熱する請求項1〜6いずれかに記載の光導波路形成方法。
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