JP4672956B2 - 電気二重層キャパシタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層キャパシタの製造方法に関し、特に電池外装をアルミラミネートフィルムにより形成した電気二重層キャパシタ(以下「アルミラミネートキャパシタ」と称する)の内部発生ガスを外部に放出して性能を向上させるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
現在用いられているコンピュータには、メモリのバックアップ用として、電気二重層キャパシタが利用されている。この電気二重層キャパシタは、小型で大容量であり、また、繰り返し寿命が長いという特長を有する。電気二重層キャパシタは、A1電解コンデンサに代表される電極間に誘電体を有するコンデンサに比べ、体積あたりの容量が300〜1000倍高い。この電気二重層キャパシタは、分極性電極に電解質中のアニオン,カチオンをそれぞれ正極,負極表面に物理吸着させて電気を蓄えるという原理で動作するため、その吸着する電極の表面積が大きいことが要求される。そこで、現在では、比表面積が1000〜3000(m2 /g)の活性炭がこの電気二重層キャパシタの電極として利用されている。電気二重層キャパシタは、この2つの電極の間に電解質が存在する構造を有している。
【0003】
近年、この電気二重層キャパシタが、様々な機器のバックアップ電源として広く用いられるようになってきた。適用対象の大容量化に伴い、バックアップとして用いる電気二重層キャパシタも、大容量化が望まれている。このとき、大容量化された電気二重層キャパシタにおいては、使用電圧の高いことや内部抵抗が低く大電流が流せることが望ましい。
【0004】
図4は電気二重層キャパシタの概略構成図である。同図に示すように、対向する集電極1a,1bにはそれぞれ活性炭電極2a,2bが張り付けられており、電極2a,2bの間には両極の短絡を防ぐためにセパレータ3が挿入されている。電極2a,2b及びセパレータ3には電解質4aを含む電解液4が含浸されている。充電時には電気二重層αが形成される。電気二重層キャパシタからの電気の取り出しは、両極である集電極1a,1bの背面より直接取り出す構造になっている。また、集電極1a,1bのサイド部より直接取り出す構造のものもある。なお、実際の電気二重層キャパシタは、電解液4の漏れを防止するためにシール構造が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、この電気二重層キャパシタは、様々な機器のバックアップ電源として広く用いられるようになってきた。適用対象の大容量化に伴い、バックアップとして用いる電気二重層キャパシタも、大容量化が望まれている。それと同時に、電気二重層キャパシタの重量当りのエネルギー密度と体積当りのエネルギー密度を大きくし、機器への取り付けの際に小型化をはかる試みがなされている。
例えば、電極の単位体積当りのイオン吸着量を増加させ、キャパシタ自体の静電容量を上げることによってエネルギー密度を上げる試み等がなされている。
【0006】
また、キャパシタの包装形態として、従来からよく用いられている金属缶に挿入して電気取り出し端子のみを外に出す方式や、リチウム電池に見られるアルミ箔と樹脂(プラスチック)フィルムによって構成されるアルミラミネートフィルムによるパッケージングなども検討されている。
【0007】
電気二重層キャパシタは、一般的にその内部に含まれる不純物や電解液・電解質の分解によるガス発生が考えられる。その際、発生ガスによる抵抗上昇や内圧上昇が予想される。従って、パッケージングを金属缶とした今までの電気二重層キャパシタには、一般的に放圧弁(ガス抜きベント)が設置されていた。
【0008】
しかし、アルミラミネートフィルムを使用したものでは、放圧弁の設置が難しく初期にガス発生を抑止する方法が必要であった。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、アルミラミネートキャパシタ構造を保ちつつ、初期にガス発生を抑止する方法を提案すると共に、発生したガスをアルミラミネートキャパシタより取り去る構造となっている、電気二重層キャパシタの製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の電気二重層キャパシタの製造方法の構成は、アルミ箔とプラスチックフィルム層をラミネートしてなるアルミラミネートフィルムにより電池外装を形成すると共に該アルミラミネートフィルムにガス抜きベントを備えた電気二重層キャパシタの製造方法において、前記ガス抜きベントは、複数の貫通孔を底面に有する本体を前記ラミネートフィルムに熱融着すると共に前記本体の上面を膜材で塞ぎ、且つ、前記膜材を押え部材で固定することにより構成され、更に、前記アルミラミネートフィルム内に電解液を注液して初期課電をし、その後に電気二重層キャパシタを減圧環境に放置することにより、前記膜材を捲くり上げて前記貫通孔を開とし、該貫通孔を通じて前記アルミラミネートフィルム内のガスを外部に放出することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施の形態にかかるアルミラミネートキャパシタ11を示す斜視図であり、図2は図1のII−II断面図である。
【0014】
このラミネートキャパシタ11では、図2に示すように、活性炭電極であるシート電極12a,12bに、集電電極及び取出端子として機能するアルミ箔13a,13bを導電性塗料(導電性接着剤)により接着している。なお、シート電極12a,12bとアルミ箔13a,13bとの接着は、導電性樹脂による融着加熱接続、電極表面をアルミ溶射しアルミ箔と接触させる方法、電極自体を集電アルミ箔に塗布する方法等の各種の方法を採用することができる。
【0015】
シート電極12a,12bは、セパレータ14を間に挟んで対向配置されている。シート電極12a,12b、アルミ箔13a,13b及びセパレータ14で構成されるセルは、ラミネートフィルム15内に収納されている。
【0016】
ラミネートフィルム15は、アルミ箔16とプラスチックフィルム層17をラミネートした熱融着シートフィルムである。そして2枚のラミネートフィルム15,15を重ねて4辺を加熱シールして袋状の電池外装が形成されている。そして、電池外装となるラミネートフィルム15内には、電解液が封入されこの電解液がシート電極12a,12b及びセパレータ14に含浸されている。
【0017】
更に、図1に示すように、電池外装となるアルミラミネートフィルム15には、ガス抜きベント(放圧弁)20が1個ないし複数個備えられている。このガス抜きベント20は樹脂で形成されているため、その周囲がアルミラミネートフィルム15に熱融着されている。詳細は後述するが、このガス抜きベント20は、電池外装であるアルミラミネートフィルム15の内部圧力が所定圧力よりも低いときは閉となり、内部圧力が所定圧力以上になると開となる構造となっており、市販品の部品である。
【0018】
ここで、ガス抜きベント20の構成及び動作を図3を参照して説明する。なお、図3(a)は平面図、図3(b)は底面図、図3(c)は閉状態における断面図、図3(d)は開状態における断面図である。
【0019】
このガス抜きベント20では、鍋状の本体21の底面に複数の貫通孔22が形成されている。本体21の凹部(底面)には、貫通孔22の上面を塞ぐ膜材23がシリコンオイルを介して張り付いている。この膜材23の上には押え部材24が固定されている。
【0020】
ガス抜きベント20の本体21の周囲は、アルミラミネートフィルム15に熱融着されている。このため、電池外装であるアルミラミネートフィルム15の内部圧力が所定圧力よりも低いときには、図3(c)に示すように、膜材23が本体21の凹部に張り付いて貫通孔22が塞がれている。このため、アルミラミネートフィルム15による電池外装の密閉状態が保持される。
【0021】
一方、電池外装であるアルミラミネートフィルム15の内部圧力が所定圧力よりも高いときには、図3(d)に示すように、膜材23が圧力により捲り上げられ、内部のガスが貫通孔22を通って外部に放出される。そして、ガスの放出により内部圧力が所定圧力よりも低くなったら、再び、膜材23が本体21の凹部に張り付いて貫通孔22が塞がれる。
【0022】
このようにガス抜きベント20を備えているため、内部にガスが発生しても、このガスはガス抜きベント20を介して外部に放出され、ガス発生に起因するキャパシタ内圧の上昇やキャパシタの内部抵抗上昇を防止することができる。
【0023】
なお、上述したガス抜きベント20はその全体が樹脂で形成されているが、その周囲、つまりアルミラミネートフィルム15に熱融着する部分のみを樹脂で生成しているようにしてもよい。
【0024】
次に、上述したラミネートキャパシタの製造方法(製造手順)を説明する。図1,図2に示すような構成となっているラミネートキャパシタ11を構成した後、電解液を注液しラミネートキャパシタを完成させる。このラミネートキャパシタには、極微量の水分、不純物等が含まれている場合がある。そこで、このラミネートキャパシタを減圧環境に放置することにより、ガス抜きベント20を介して内圧を解放(内部ガスを放出)させた。このような手順で製造することにより、初期発生ガス(製造時に発生するガス)を確実に放出してラミネートキャパシタの性能が向上した。勿論、製造後において実際に使用している際に、内部ガスが発生しても、このガスが外部に放出される。
【0025】
性能向上は次のような計測をすることにより確認した。まず、電解液を注液しラミネートキャパシタを完成させた状態(減圧の前の状態)で、ラミネートキャパシタを2.8Vで10h課電を行い性能(内部抵抗)を確認した。また、このラミネートキャパシタを減圧環境に放置し、ガスベント内より内圧を解放させた後の性能(内部抵抗)も確認した。
【0026】
このときのラミネートキャパシタの仕様は次の通りである。
電極:粉末活性炭、導電性助剤、PTFE粉末を9:1:1の割合で混合しプレス成形した。
電解液:テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1mo1/リットのPC溶液。
充放電時間:10mA/cm2 の電流密度で2.3Vまで充電後同一電流で放電
【0027】
計測結果は次の通りであった。
・キャパシタ組み立て初期の内部抵抗 :5.1Ω・cm2
・2.8V,10h課電後の内部抵抗 :7.3Ω・cm2
・課電後減圧した後の内部抵抗 :5.2Ω・cm2
【0028】
上記の結果からラミネートキャパシタ11にガスベント20を設置し初期課電後に減圧ガスを放出することで初期性能を保持させることができたことが判明した。
【0029】
【発明の効果】
以上実施の形態と共に具体的に説明したように、本発明によれば、電気二重層キャパシタの電池外装となっているアルミラミネートフィルムにガス抜きベントを備えたため、キャパシタ内部に発生したガスを放出させることが可能になり、性能を向上させることができると共に、高い性能を長時間にわたり維持することができる。
【0030】
また、ガス抜きベントを樹脂により形成することにより、アルミラミネートフィルムに容易に溶着することができ、ガス抜きベントを短時間で接合することができる。
【0031】
また、初期課電後に減圧処理することによりガス抜きベントを介して、キャパシタ内に発生したガスを放出させることができるため、性能の向上つまり、抵抗低下を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるアルミラミネートキャパシタを示す斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】ガス抜きベントを示す構成図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は底面図、図3(c)は閉状態における断面図、図3(d)は開状態における断面図である。
【図4】電気二重層キャパシタを示す概略構成図である。
【符号の説明】
11 アルミラミネートキャパシタ
12a,12b シート電極
13a,13b アルミ箔
14 セパレータ
15 アルミラミネートフィルム
16 アルミ箔
17 プラスチックフィルム層
20 ガス抜きベント
21 本体
22 貫通孔
23 膜材
24 押え部材
Claims (1)
- アルミ箔とプラスチックフィルム層をラミネートしてなるアルミラミネートフィルムにより電池外装を形成すると共に該アルミラミネートフィルムにガス抜きベントを備えた電気二重層キャパシタの製造方法において、
前記ガス抜きベントは、複数の貫通孔を底面に有する本体を前記ラミネートフィルムに熱融着すると共に前記本体の上面を膜材で塞ぎ、且つ、前記膜材を押え部材で固定することにより構成され、更に、
前記アルミラミネートフィルム内に電解液を注液して初期課電をし、その後に電気二重層キャパシタを減圧環境に放置することにより、前記膜材を捲くり上げて前記貫通孔を開とし、該貫通孔を通じて前記アルミラミネートフィルム内のガスを外部に放出することを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
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