以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の遊技システムのシステム構成図である。
図1に示す遊技場の内部には内部ネットワークが設けられており、該内部ネットワークには遊技場内部管理装置(遊技機管理装置、いわゆるホールコンピュータ)1、及び、中継装置(ルータ)2が接続されている。
遊技場内に設けられた内部ネットワークは、例えば、Ethernet(登録商標、以下同じ)によって構成されている。該内部ネットワークに接続された機器にはアドレスが設定されており、機器間の通信(例えば、特定の機器に対するデータの転送や指令信号の送信)や、複数の機器に対する同報通信(例えば、マルチキャストやブロードキャスト)を行うことができる。
遊技場内部管理装置1は、遊技用装置4から遊技情報を収集し、各遊技機4a(図4)の動作状態を監視する。遊技場内部管理装置1には、各遊技機4aに関する遊技情報のほか、各遊技機4aの機種情報が記憶される。機種情報とは、機種特定情報(例えば、各遊技機4aのチップID、メーカコード又は機種コード)、及び、確率情報(例えば、各遊技機4aの特賞発生確率又は確変発生確率)である。遊技場内部管理装置1には、各遊技機4aの機種特定情報と確率情報とが関連付けて記憶される。各遊技機4aの機種情報を遊技場内部管理装置1に記憶することによって、図8で後述するように、遊技機4aから受信したチップID(機種特定情報)に基づいて、当該遊技機4aの特賞発生確率や確変発生確率(確率情報)を特定して、特定した確率情報を情報収集端末装置3に通知することができる。
なお、機種情報は、遊技場内部管理装置1に記憶せずに、本実施形態の遊技管理システムを設置する遊技場以外の外部機関(例えば、遊技機4aの製造メーカ)に問い合わせて取得してもよい。
中継装置2は、遊技場内の島設備毎に設けられており、該島設備に設置された情報収集端末装置3からの情報を中継して、該情報を内部ネットワークに向けて送信する。なお、中継装置2の設置は、島設備毎に限られず、フロア毎又は所定のブロック毎であってもよい。
情報収集端末装置3は、遊技機4a及び各遊技機4aに設けられたアウトタンク4d(図4)などの周辺装置からなる遊技用装置4毎に接続されており、遊技用装置4から出力される遊技情報を収集する。なお、複数(例えば、2台)の遊技用装置4に対して1台の情報収集端末装置3を接続する構成であってもよい。
情報収集端末装置3は、遊技用装置4から出力される遊技情報を収集すると、所定期間の遊技情報の累積値(例えば、遊技機4aから出力される特賞信号に基づいて算出される特賞発生回数の累積値)を生成し、当該累積値に基づいて遊技用装置4の異常を判定する。この情報収集端末装置3が生成する所定期間の遊技情報の累積値は、通常は一営業単位毎に累積算出される。
ここで営業単位とは一日の営業開始から営業終了までを意味し、開店時間より早く始まり閉店時間より遅く終わる。なお、一日の営業時間を午前、午後等に分割して、一日に複数の営業単位を設定してもよい。また、営業単位を、複数日(例えば、1週間)にわたるものとしてもよい。
遊技用装置4は、島設備に複数台ずつ設置されており、遊技機4aに、球貸ユニット4b、補給タンク4c及びアウトタンク4dが付加されて構成されている(図4)。
第1の実施の形態では、情報収集端末装置3からの情報を中継する中継装置2を島設備毎に設けたが、中継装置2を設けることなく、情報収集端末装置3を内部ネットワークに直接接続するように構成してもよい。また、情報収集端末装置3の代わりにリモートIOを置き、中継装置2の代わりに複数の遊技用装置4に対応する情報収集端末装置3を設置することもできる。このように構成することで、従来、島コンピュータと称された方式での遊技システムにも対応することができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態の遊技場内部管理装置1の構成を示すブロック図である。
遊技場内部管理装置1には、CPU101、プログラム等を予め格納したROM102、CPUの動作時にワークエリアとして使用されるメモリであるRAM103、各種データを記憶するハードディスク等の記憶装置(HDD)105が設けられている。RAM103は、情報収集端末装置3が送信した各遊技機4aの遊技情報の累積値を記憶する。また、HDD105は、各遊技機4aの機種情報を記憶する。これらのCPU101、ROM102、RAM103及びHDD105はバス104によって接続されている。このバス104はCPU101がデータの読み書きのために使用するアドレスバス及びデータバスから構成されている。
バス104には、外部との入出力を司るネットワーク通信ポート106、I/Oポート107及び外部ネットワーク通信ポート108が接続されている。ネットワーク通信ポート106は、所定の通信プロトコルに従ってデータ通信を行うためのデータ入出力部であり、内部ネットワークと接続されている。I/Oポート107には、遊技用装置4から収集したデータや、遊技場内部管理装置1の稼動状態を表示するディスプレイ、又は、遊技機4aにおいて不正行為が行われていることを報知するスピーカによって構成する出力装置109が接続される。
また、I/Oポート107には、遊技場内部管理装置1の操作のための設定入力装置(キーボード、マウス等)110が接続される。この設定入力装置110を用いて、後述する判定基準(図9)を入力し、設定する。
外部ネットワーク通信ポート108は、所定の通信プロトコルに従ってデータ通信を行うためのデータ入出力部であり、遊技場の外部に設けられた外部ネットワークと接続されている。よって、遊技場内部管理装置1は、外部ネットワークに接続された遊技場外部の機器と通信をすることができる。
図3は、本発明の第1の実施の形態の情報収集端末装置3に設けたマイクロプロセッサ300の構成を示す。情報収集端末装置3は、マイクロプロセッサ300、電源回路及びデータ入出力用端子が設けられている。
マイクロプロセッサ300は、3個のCPU301〜303を内蔵した1チップタイプのプロセッサであり、メディアアクセスコントロールCPU(MACCPU)301、ネットワークCPU302、アプリケーションCPU303の3つのCPUを内蔵している。また、これらのCPU301〜303が接続されているアドレス及びデータのためのコモンバス304には、各CPUに共通して使用されるメモリとして、RAM305、EEPROM306、及び、ROM307が接続されている。RAM305は、CPUによるプログラム実行時のワークエリアとして使用されるメモリである。EEPROM306は不揮発性のメモリである。ROM307にはプログラム等が予め格納されている。
また、このコモンバス304には、外部との入出力を司るネットワーク通信ポート308及びI/Oポート309も接続されている。
EEPROM306は、不揮発性のメモリであって、ネットワーク構成及びアドレスの指定情報、識別コード等の情報収集端末装置3に設定される情報等を記憶している。EEPROM306のプログラムによって書き換え可能な領域及びROM307には、遊技情報の収集に用いられるプログラムが記憶されている。
ネットワーク通信ポート308は、所定の通信プロトコルに従ってデータ通信を行うためのポートである。ネットワーク通信ポート308は、ドライバを介してネットワーク接続端子に接続されており、該ネットワーク接続端子には中継装置2が接続され、遊技場内部管理装置1と信号(データ信号、指令信号)を送受信する。
I/Oポート309は、パラレル又はシリアルの入出力ポートであり、ドライバを介して外部入出力端子に接続されており、該外部入出力端子には、遊技機4aから出力される賞球信号、特賞信号、確変信号、スタート信号や、周辺装置312(補給タンク4c、アウトタンク4d)から出力される補給信号及び回収球信号等のデータ(図4)が入力される。なお、賞球信号、特賞信号、確変信号、スタート信号は、通信ポート310と、遊技機4aの遊技制御装置に備えられた遊技用マイクロコンピュータ401(図5)とで直接通信することで受信することもできる。
通信ポート310は、遊技機4aに設けられた遊技用マイクロコンピュータ401の通信ポートとの間で、所定のプロトコルで通信を行う通信ポートで、遊技機4aの遊技制御基板上に設けられたコネクタと接続されている。
プロセッサには、CPU301〜303のクロックやリセット等の制御信号を出力する制御回路311も内蔵されている。
遊技用装置4から情報収集端末装置3に遊技情報が入力されると、アプリケーションCPU303によって遊技情報の累積値が算出される。そして、アプリケーションCPU303は、算出された遊技情報の累積値に基づいて、遊技用装置4の異常を判定する(図12及び図15)。異常判定の後、遊技情報の累積値は、RAM305に一定期間記憶されて管理される。なお、当該累積値を、情報収集端末装置3がネットワーク通信ポート308から出力して、遊技場内部管理装置1が管理してもよい。
図4は、本発明の第1の実施の形態の遊技機4a周辺のブロック図であり、遊技用装置4が出力する遊技情報を示す。
遊技機4aに設けられた盤用外部情報60(図5)から情報収集端末装置3のマイクロプロセッサ300のI/Oポート309には、遊技に関わる信号(遊技情報)が出力される。また、遊技機4aが備える遊技制御装置400の遊技用マイクロコンピュータ401(図5)は、遊技制御を行う遊技制御ブロックと、セキュリティチェックや遊技情報出力を行う管理ブロックとを有し、管理ブロックからは遊技制御基板上に設けられた外部通信端子404(図5)を介して接続される外部装置(例えば、情報収集端末装置3やセキュリティ検査装置)に当該遊技機4aの機種特定情報及び遊技情報を出力する。
遊技機4aは、始動口への遊技球の入賞によって変動表示ゲーム(補助遊技)が開始したときは、変動表示ゲームが開始される毎に「スタート信号」を遊技情報として出力する。
また、遊技機4aは、変動表示ゲームの結果が特別遊技状態(大当たり遊技)のときは、当該特別遊技状態中に「特賞信号(大当たり信号)」を遊技情報として出力する。
また、遊技機4aは、始動入賞口(始動口)、一般入賞口、特別変動入賞装置(大入賞口)に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球を、排出装置から遊技盤の下方に設けられた供給皿に排出する。そして、所定数の賞球を排出する毎に「賞球信号」(例えば、10個で1パルスのパルス信号)を遊技情報として出力する。
また、遊技機4aは、当該特別遊技状態が確変図柄による特別遊技のときは、当該特別遊技状態中、及び、その後発生する特定遊技状態(確率変動状態)中に、「確変信号」を遊技情報として出力する。
また、遊技機4aの盤用外部情報60から出力される信号(遊技情報)には、上タンク内の賞品球が不足していることを示し、島設備からの球の補給を促す「球切れ信号」、所定数(例えば、25個)の遊技球を貸し出す毎に出力される「球貸信号」、変動表示ゲームが終了したときに出力される「図柄確定信号」等がある。これらの信号は、盤用外部情報60から、電圧出力形式又は接点出力形式で出力される。
また、遊技機4aは、遊技機4aに固有の情報として遊技用マイクロコンピュータ401が備えるチップID(固有情報)、遊技機4aのメーカを特定するメーカコード、遊技機4aの機種を特定する機種コード、プログラムの正当性を確認するセキュリティコード(例えば、プログラムコードのハッシュ値)を機種特定情報として出力する。
なお、遊技情報を、遊技用マイクロコンピュータ401から通信ポート310に対して出力してもよい。この場合、所定のプロトコルを用いたデータ通信(例えば、暗号化通信)によって通信内容を秘匿することで、盤用外部情報60から出力するよりも詳細な遊技情報(例えば、始動記憶数や抽出した乱数値など)を出力することができる。また、双方向通信によって接続相手のIDの認証を行い、不正な機器との接続を防止することができる。
また、球貸ユニット4bが現金サンドである場合には、球貸時の売上高に関する「売上信号」が出力される。なお、この現金サンドからの「売上信号」は、売上金額に関する情報の他、売上金額に相当する貸球数に関する情報を出力してもよい。
これらの信号を受信した情報収集端末装置3は、これらの遊技情報を加算演算し、累積値を集計して、当該集計結果に基づいて各遊技機4aの異常を判定する。また、遊技情報の累積値を内部ネットワークに向けて送信してもよい。この累積値は、例えば、所定時間経過毎、特別遊技状態発生などのイベント時、又は、遊技場内部管理装置1からのポーリング応答時に送信される。
また、遊技機4aが設置される島設備には、遊技機4a及び現金サンド(玉貸し装置)に遊技球(賞球、貸球)を補給する補給路(補給ユニット)と、遊技機4aからアウト球を回収する回収路(回収ユニット)とを備えた補給回収機構(補給タンク4c、アウトタンク4d)が設けられている。補給タンク4cは補給した球数を計数する補給数計数部を有し、アウトタンク4dはアウト球数を計数する回収球計数部を有している。補給タンク(補給数計数部)4cは補給球の計数結果である「補給信号」(例えば、10個で1パルスのパルス信号)を遊技情報として出力する。アウトタンク(回収球計数部)4dはアウト球の計数結果である「回収球信号」(例えば、10個で1パルスのパルス信号)を遊技情報として出力する。この補給タンク4c及びアウトタンク4dは情報収集端末装置3に接続されており、情報収集端末装置3が、補給タンク4c及びアウトタンク4dから出力される遊技情報を加算演算し、累積値を集計して、当該集計結果に基づいて各遊技機4aの異常を判定する。
なお、情報収集端末装置3は、回収球信号、補給信号、及び、売上信号を遊技機4aから直接収集してもよい。
図5は、本発明の第1の実施の形態の遊技機4aの遊技制御装置400を中心とする制御系の一部を示すブロック図である。
遊技制御装置400は、遊技を統括的に制御する主制御装置であり、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶しているROM及び遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAMを内蔵した遊技用マイクロコンピュータ401、入力インターフェース402、出力インターフェース403、外部通信端子404等から構成される。
遊技用マイクロコンピュータ401は、入力インターフェース402を介しての各種検出装置(特別図柄始動センサ51.1、51.2、カウントセンサ52.1、52.2、普通図柄始動センサ53、一般入賞口センサ54.1、54.2)からの検出信号を受けて、大当たり抽選等、種々の処理を行う。そして、出力インターフェース403を介して、各従属制御装置(排出制御装置410、表示制御装置420)、普通電動役物ソレノイド16A、大入賞口ソレノイド12A、13A等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
遊技用マイクロコンピュータ401には外部通信用端子404が設けられており、外部通信用端子404からは、遊技用マイクロコンピュータ401に一意に設定された識別番号を出力することができ、この外部通信用端子404に検査装置や遊技場内部管理装置1を接続することで、遊技場内部管理装置1が遊技機4aを識別することができる。
また、遊技用マイクロコンピュータ401は、盤用外部情報端子60を介して、遊技場内部管理装置1に当該遊技機4aに関する機種特定情報を出力する。
また、遊技用マイクロコンピュータ401は、特別図柄変動表示ゲームの変動表示態様を特別図柄表示器20Aに出力する。また、特別図柄入賞記憶数表示を特別図柄記憶表示器20Bに出力する。
また、遊技用マイクロコンピュータ401は、普通図柄変動表示ゲームの変動表示態様を普通図柄表示器21Aに出力する。また、普通図柄入賞記憶数表示を普通図柄記憶表示器21Bに出力する。
遊技制御装置400から表示制御装置420には、表示制御指令信号として特図変動開始コマンド、変動表示コマンド、識別情報コマンド、確定コマンド、デモ表示コマンド、ファンファーレコマンド、大当たりコマンド、エラーコマンド等が送信される。さらに、通常遊技状態、特別遊技状態、特定遊技状態(確率変動状態)、変動時間短縮状態などの遊技状態の違いによって表示態様を変化させるための指令信号も送信される。
前述した特図変動開始コマンドは、変動表示ゲームの開始を指示する。変動表示コマンドは、識別情報の変動表示態様を指示する。識別情報コマンドは、変動表示ゲームの結果として停止表示される識別情報を指示する。確定コマンドは、識別情報の変動表示の停止を指示する。デモ表示コマンドは、変動表示ゲームが所定時間なされないときに行われる表示を指示する。ファンファーレコマンドは、特別遊技状態に移行する前の状態の表示を指示する。大当たりコマンドは、特別遊技状態中のラウンド表示、インターバル表示、特別遊技状態中のラウンド間表示等の特別遊技状態中の表示を指示する。エラーコマンドは、異常時の表示を指示する。
表示制御装置420は、これらの表示制御指令信号(コマンド)によって、遊技制御装置400が管理している遊技状態の遷移を把握することができる。
表示制御装置420の制御によって変動表示する特別図柄は、遊技制御装置400によって変動表示する特別図柄と対応して、多彩な表示演出を行い興趣を高める。なお、表示制御装置420によって特別図柄を変動表示してもよい。
排出制御装置410は、遊技制御装置400からの賞球指令信号に基づいて、払出ユニットの動作を制御し賞球を排出させる。また、球貸ユニット4bからの貸球要求信号に基づいて、払出ユニットの動作を制御し貸球を排出させる。
音制御装置430は、表示制御装置420からの音制御指令信号に基づいて、スピーカ70から出力される効果音を制御する。
装飾制御装置440は、表示制御装置420からの装飾制御指令信号に基づいて、装飾用ランプ、LED80等の装飾発光装置(センターケース内の装飾ランプ、大入賞口周辺の装飾ランプ等)を制御する。
可変表示装置90は、表示制御装置420からの画像表示信号に基づいて、表示領域に対応する画像を表示する。
表示制御装置420の、遊技制御装置400との接続インターフェースには、信号伝達方向規制手段であるバッファが設けられ、遊技制御装置400と表示制御装置420との間の通信は、遊技制御装置400から表示制御装置420への信号入力のみが許容され、表示制御装置420から遊技制御装置400への信号出力を禁止している。これによって、表示制御装置420から遊技制御装置400に不正な信号が入力されることを防止することができる。なお、遊技制御装置400と表示制御装置420との間で双方向通信を行う場合には、バッファ回路に双方向バッファを用いることもできる。
遊技機4aの電源装置(図示省略)は、電源回路の他に、バックアップ電源部と停電監視回路とを備えている。停電監視回路は、電源装置の電圧降下を検出すると、遊技制御装置400等に対して停電検出信号とリセット信号とを順に出力する。遊技制御装置400は、停電検出信号を受けると所定の停電処理を行い、リセット信号を受けるとCPUの動作を停止する。バックアップ電源部は、遊技制御装置400等のRAMにバックアップ電源を供給して、遊技データ(遊技情報、遊技制御情報:変動表示ゲーム情報を含む)等をバックアップする。
図6は、本発明の第1の実施の形態において遊技機4aの盤用外部情報60から出力される遊技情報のタイミング図である。
「特賞信号」は、特別遊技状態(大当たり遊技)中に出力される。特賞信号は、当該信号の出力の開始時間と終了時間に基づいて、遊技機4aの特賞時間(特別遊技が実行される時間)を算出することができる。
「確変信号」は、確変図柄による特別遊技状態中、及び、特定遊技状態(確率変動状態)中に出力される。確変図柄による特別遊技状態とは、変動表示ゲームの結果として、確率変動状態を発生させる大当たりが発生して、当該特別遊技(大当たり遊技)が実行されている状態をいう。つまり、可変表示装置90の画面上で変動表示する三つの特別図柄が、確変図柄の特別遊技の組み合わせ(例えば、奇数のぞろ目)で停止することによって発生する。
当該特別遊技が実行され、特別遊技状態の終了後に、特賞の発生確率が通常より高められる確率変動状態(特別遊技状態の発生に対して遊技者に有利に作用する特定遊技状態)が発生する。確率変動状態中は、普通図柄の変動表示時間が通常よりも短くなり(例えば、30秒から5秒に短縮され)、普通図柄が当たりとなった場合に、普通変動入賞装置の開放時間が通常よりも長くなる(例えば、0.5秒から3秒に延長されたり、複数回繰り返して開放される)。よって、確率変動状態中には通常遊技状態中よりも始動口への入賞可能性が高められ、通常遊技状態中よりも特別図柄入賞記憶数を増加することができる。
なお、「特賞信号」及び「確変信号」は、いずれも遊技状態を示す信号であるため、対応する遊技状態の間は常時出力される。
「スタート信号」は、始動口への遊技球の入賞によって実行される変動表示ゲームの開始の時点で出力される。なお、特別遊技状態中に始動口へ遊技球が入賞した場合は、当該入賞球数は特別図柄入賞記憶数として記憶されるため、直ちに変動表示ゲームは実行されない。よって、特別遊技状態中にスタート信号が出力されることはない。
次に、各遊技状態中のこれらの信号の出力状態を説明する。
まず、遊技領域へ遊技球が打ち出され、始動口への遊技球の入賞によって変動表示ゲームが開始すると、スタート信号が出力される。スタート信号は、通常遊技状態中に、変動表示ゲームが開始するごとに出力される。なお、通常遊技状態とは、特別遊技が実行されていない状態である。変動表示ゲームの結果として特別遊技状態が発生するまで、遊技機4aでは通常遊技状態で遊技が行われる。この状態では、特賞信号及び確変信号のいずれも出力されない。
そして、変動表示ゲームの結果が大当たりの場合、遊技機4aでは特別遊技が実行され、特別遊技状態で遊技が行われる。このとき、変動表示ゲームの結果が確変図柄による特別遊技状態の場合は、特賞信号及び確変信号の両方が出力される。
そして、規定ラウンドの特別遊技が実行され、特別遊技状態が終了すると、遊技機4aでは、特賞の発生確率が通常より高められる特定遊技状態で遊技が行われる。この状態では、特賞信号は出力されないが、確変信号は継続して出力される。そして、始動口へ遊技球が入賞するごとに、変動表示ゲームが実行され、当該変動表示ゲームが開始するごとにスタート信号が出力される。
特定遊技状態中の変動表示ゲームの結果が大当たりの場合、遊技機4aでは特別遊技が実行され、特別遊技が行われる。このとき、変動表示ゲームの結果が通常図柄による特別遊技状態の場合は、特賞信号は出力されるが、確変信号は出力されない。
そして、規定ラウンドの特別遊技が実行され、特別遊技状態が終了すると、遊技機4aでは通常遊技状態で遊技が行われる。この状態では、特賞信号及び確変信号のいずれも出力されない。ただし、始動口へ遊技球が入賞するごとに、変動表示ゲームが実行され、当該変動表示ゲームが開始するごとにスタート信号が出力される。
このように、遊技機4aでは、遊技領域への遊技球の発射が開始されると、通常遊技状態(特別遊技が実行されていない状態)、特別遊技状態(特別遊技が実行されている状態)、又は、特定遊技状態(確率変動状態)のいずれかの状態で遊技が行われ、遊技状態に応じて遊技機4aから各信号が出力される。
図7は、本発明の第1の実施の形態の基準テーブル設定処理であって、遊技場内部管理装置1のCPU101及び情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で実行される。
基準テーブルとは、遊技機4aについての異常判定値(閾値)の算出において、複数の機種(遊技性能(特賞発生確率)の異なる遊技機)に対して共通に用いられるテーブルである。基準テーブルは、遊技場内部管理装置1のCPU101で生成する(S11)。基準テーブルの値は、次のように算出される。
所定の遊技機4aの特賞発生確率をpとする。特賞発生確率とは、1回の変動表示ゲームあたりの特別遊技状態の発生確率であって、0<p<1である。通常は数十分の一から数百分の一(例えば、1/315)であって、各遊技機4aについて予め決まっている。
特賞発生確率がpの遊技機4aにおいて、n回の変動表示ゲームを試行すると、n回のスタート数では平均λ(回)=n×pの特賞が得られる。このλは、n回のスタート数で期待される特賞発生回数、つまり、期待値ということができる。
一般に遊技機4aの特賞発生確率pは数十分の一から数百分の一であって、pの値が極めて小さいのに対して、nの値は容易に大きくとることができるため(例えば、2000円分の玉貸しでは変動表示ゲームの実行回数は約50回)、n回のスタート数でX回の特賞が発生する確率としてポアソン分布を用いることができる。つまり、スタート数n(回)でX(回)の特賞が発生する確率分布(ポアソン分布)は、以下の数式によって算出することができる。
P(X)=e-λλX/X!
このように、特賞発生確率の分布をポアソン分布として得ることによって、当該分布を容易に算出することができる。
なお、ポアソン分布への適用が困難な場合は二項分布を用いてもよい。二項分布は、以下の数式によって算出することができる。
P(X)=nCxpx(1−p)n-x
ここで、このポアソン確率P(X)を1%に設定する。ポアソン確率(危険率)を1%に設定することによって、1%の確率でしか生じない異常な状態を判定するための基準を得ることができる。
そして、X回の特賞が発生する場合のλ(異常判定の基準値)を算出する。この場合のλの値は、二つの値が算出される。一つは、X回の特賞の発生が1%以下の割合でしか生じない過少な状態と判定される場合のλである。このλの値は、特賞疎状態の判定の際に用いられる。
なお、特賞疎状態とは、スタート数あたりの特賞発生確率が極めて低く、遊技場の利益となる異常な遊技が行われている状態をいう。このように、遊技場の利益となる異常な遊技状態を検出することで、悪意のある不正行為者によって不正な操作が行われた遊技機で善意の遊技者が遊技している状態を検出することができる。
もう一つは、X回の特賞の発生が1%以下の割合でしか生じない過多な状態と判定される場合のλである。このλの値は、特賞密状態の判定の際に用いられる。
なお、特賞密状態とは、スタート数あたりの特賞発生確率が極めて高く、遊技場の損害となる異常な遊技(不正行為)が行われている状態をいう。このように、遊技場の損害となる異常な遊技状態を検出することで、悪意のある不正行為者が遊技している状態を検出することができる。
このようなλの値を、それぞれX=0〜5について算出したのが図8(A)に示す値である。
同様に、ポアソン確率を5%と設定した場合のλの値を図8(B)に示す。また、ポアソン確率を10%と設定した場合のλの値を図8(C)に示す。
遊技場内部管理装置1は、このようにして生成した基準テーブルを、ネットワーク通信ポート106を介して情報収集端末装置3へ通知する(S12)。
情報収集端末装置3は、遊技場内部管理装置1から受信した基準テーブルをRAM305に設定する(S13)。そして、情報収集端末装置3は、設定した基準テーブルに基づいて、異常の判定値を算出する(図9)。
なお、特定の基準テーブル(例えば、図8(A)〜(C)に示す危険率1%、危険率5%又は危険率10%の基準テーブル)を標準的に用いて異常の判定値を算出する場合には、当該判定値の算出毎に基準テーブルの設定処理を行わず、情報収集端末装置3にデフォルトで当該特定の基準テーブルをROM307に記録して、情報収集端末装置3の起動時にRAM305に設定してもよい。
そして、標準的ではない基準テーブル(例えば、危険率0.1%又は危険率3%とした場合の基準テーブル)を用いて異常の判定値を算出しようとする場合にのみ、基準テーブルの生成、通知処理を行う(S11、S12)。つまり、遊技場内部管理装置1で当該標準的でない基準テーブルを生成し(S11)、生成した基準テーブルを情報収集端末装置3に通知して(S12)、情報収集端末装置3は、当該基準テーブルをRAM305に設定する(S13)。
図9は、本発明の第1の実施の形態の判定情報設定処理及び機種特定情報応答処理のフローチャートであって、遊技場内部管理装置1のCPU101及び情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で判定情報設定処理が実行され、遊技機4aの遊技用マイクロコンピュータ401で機種特定情報応答処理が実行される。
まず、遊技場内部管理装置1は、異常判定のための判定基準を設定する(S21)。具体的には、遊技場の従業員が、判定基準となる数値を決定し、決定した数値を設定入力装置110を用いてRAM103に設定する。ここでは、特賞疎状態の判定基準を危険率5%、特賞密状態の判定基準を危険率1%に設定する(図10(A))。ただし、設定する判定基準はこれらの値に限られない。
また、判定基準と併せて、異常判定値となる特賞発生の判定回数を設定する(図10(A))。ここでは、特賞疎状態の判定回数を0回、及び、特賞密状態の判定回数を3回と設定する。ただし、設定する判定回数はこれらの値に限られない。
判定基準は、遊技機4aの機種ごとに異なる値に設定してもよい。これらの判定基準は、遊技場の営業方針や異常検出時の対応能力、監視強化の程度などから、どの時点で異常を検出するか、また、異常発生時にどの程度までの損害を許容できるかを考慮して決定される。
次に、遊技場内部管理装置1は、情報収集端末装置3に対して、当該情報収集端末装置3に接続されている遊技機4aの機種特定情報を要求する(S22)。情報収集端末装置3は、遊技場内部管理装置1からの当該要求を受信することによって、判定情報設定処理を開始する。
まず、情報収集端末装置3は、接続されている遊技機4aに対して機種特定情報を要求する(S23)。情報収集端末装置3に接続されている遊技機4aは、情報収集端末装置3からの当該要求を受信することよって、機種特定情報応答処理を開始する。
遊技機4aは、外部通信端子404を介して、情報収集端末装置3に当該遊技機4aの機種特定情報(例えば、当該遊技機4aのチップID、又は、メーカコード及び機種コード)を通知する(S24)。そして、情報収集端末装置3は、遊技機4aから通知された当該機種特定情報を、ネットワーク通信ポート308を介して遊技場内部管理装置1に通知する(S25)。
遊技場内部管理装置1は、情報収集端末装置3から遊技機4aの機種特定情報を受信すると、当該機種特定情報に基づいて遊技機4aの機種を特定する。そして、遊技場内部管理装置1のHDD105に記憶される機種情報から当該機種を検索することによって、遊技機4aの確率情報(特賞発生確率p)を特定する(S26)。
遊技機4aの機種は、遊技機4aの遊技用マイクロコンピュータ401が備える一意に設定されたチップID(固有情報)を、遊技場内部管理装置1に記憶された機種情報で認証することによって特定することができる。また、遊技機4aの遊技用ROM(図示省略)に記憶されたメーカコード及び機種コードを、遊技機4aが遊技場内部管理装置1に送信することによって、遊技機4aの機種を特定することもできる。このメーカコード及び機種コードに基づいて、機種名、機類を特定することができる。具体的には、パチンコ機か、パチスロ機か、遊技球式か、メダル式か、パチンコ機であれば、1種、2種、3種か、パチスロ機であれば、Aタイプ、Bタイプ等の遊技性、又は、現金機か、カード機か等を特定することができる。なお、チップIDに機種コードが含まれるようにチップIDを構成してもよい。それによって、チップIDから機種コードを特定することができる。
なお、遊技場内部管理装置1のHDD105に記憶される機種情報を検索する代わりに、インターネット等の通信回線を介して遊技機4aの製造メーカ等の外部機関に遊技機性能(特賞発生確率p)を問い合わせるようにしてもよい。また、遊技機4aに機種特定情報を要求することなく遊技場内部管理装置1が情報収集端末装置3に、直接遊技機4aの特賞発生確率pを設定するようにしてもよい。
次に、遊技場内部管理装置1は、ステップS21で設定した異常判定のための判定基準(危険率、特賞発生の判定回数)を、情報収集端末装置3に通知する(S27)。また、遊技場内部管理装置1は、ステップS26で特定した遊技機4aの特賞発生確率pを、情報収集端末装置3に通知する(S28)。なお、ステップS24で遊技機4aから受信した機種特定情報に確率情報が含まれている場合は、情報収集端末装置3は、ステップS25で機種特定情報を遊技場内部管理装置1に通知することなく、当該機種特定情報に含まれる確率情報によって遊技機4aの特賞発生確率pを特定してもよい。
情報収集端末装置3は、遊技場内部管理装置1から異常判定のための判定基準(危険率、特賞発生の判定回数)及び遊技機4aの特賞発生確率pが通知されると、これらの情報をRAM305に記憶する(S29、S30)。なお、一つの情報収集端末装置3に複数の遊技機4aが接続されている場合は、情報収集端末装置3は、これらの情報を各遊技機4aに対応づけて設定する。
設定された異常判定のための判定基準(危険率、特賞発生の判定回数)は、判定値テーブル(図10(B))に特賞疎状態又は特賞密状態を検出するための異常判定値として設定される(S31)。
なお、判定値テーブルは、各遊技機4aの機種ごとに決められた特賞発生確率p等の機種ごとの情報が反映された値となるため、遊技性能が異なれば遊技機4aごとに異なるテーブルが生成される。
また、設定された遊技機4aの特賞発生確率pは、特賞疎状態又は特賞密状態を検出するための監視対象期間となる異常判定値(変動表示ゲームのスタート数)を算出するために用いられる。当該異常判定値は、情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で以下の方法によって算出される。
まず、特賞疎状態の異常判定値の算出には、図10(A)で判定基準を5%と設定したので、図8(B)に示す特賞過少判定値を用いる。図8(B)に示す特賞過少判定値のうち、図10(A)の特賞発生の判定回数として設定された「0」に対応するλの値は3.00である。ここで、λ=n×pであるので、得られたλに1/pを乗ずることによって監視対象期間となる異常判定値を得ることができる。ここでは、p=1/315の場合の監視対象期間として945(回)を得る(図10(B))。つまり、945回(監視対象期間)のスタート数で、0回(判定値)の特賞が発生する状態は、5%の割合でしか生じない過少な状態(特賞疎状態)と判断できる。
特賞密状態の異常判定値の算出には、図10(A)で判定基準を1%と設定したので、図8(A)に示す特賞過多判定値を用いる。図8(A)に示す特賞過多判定値のうち、図10(A)の特賞発生の判定回数として設定された「3」に対応するλの値は0.43である。よって、λ=n×pより、p=1/315の場合の監視対象期間として136(回)を得る。つまり、136回(監視対象期間)のスタート数で、3回(判定値)の特賞が発生する状態は、1%の割合でしか生じない過多な状態(特賞密状態)と判断できる。
このようにして算出された値は、判定値テーブル(図10(B))に特賞疎状態又は特賞密状態を検出するための監視対象期間となる異常判定値として設定される(S31)。
このように、情報収集端末装置3は、RAM305に予め設定した基準テーブル(図8(A)〜(C))に、各遊技機4aの特賞発生確率pをパラメータとして与えるだけで、容易に判定値テーブル(図10(B))を生成することができる。よって、遊技機4aの機種変更があった場合に、遊技機4aの入れ替えに伴う面倒な設定操作を必要としないため、遊技機の頻繁な入れ替えによる頻繁な機種変更に柔軟に対応できる。
また、情報収集端末装置3に基準テーブルを記憶し、情報収集端末装置3において判定値テーブルを生成することによって、情報収集端末装置3で異常判定を行うため、遊技場内部管理装置1及びネットワークにかかる負担を軽減して、リアルタイムに異常を判定できる。
図11は、本発明の第1の実施の形態の特賞疎状態監視処理、特賞疎状態受付処理、及び、特賞疎状態解除受付処理のフローチャートであって、遊技場内部管理装置1のCPU101で特賞疎状態受付処理及び特賞疎状態解除受付処理が実行され、情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で特賞疎状態監視処理が実行される。
遊技者によって遊技が開始されると、情報収集端末装置3は、図12に示す特賞疎状態検出処理によって、遊技機4aの特賞疎状態が検出されているか否かを判定する(S31)。上記判定値に基づいて特賞疎状態を検出すると、情報収集端末装置3は、対応する遊技機4aが特賞疎状態であることを、ネットワーク通信ポート308を介して遊技場内部管理装置1に通知する(S32)。
遊技場内部管理装置1は、ネットワーク通信ポート106を介して、情報収集端末装置3から遊技機4aの特賞疎状態の通知を受信すると、特賞疎状態受付処理(S33、S34)を行う。具体的には、特賞疎状態である旨の通知があった遊技機4aに、特賞疎状態フラグを設定する(S33)。そして、当該遊技機4aで、遊技場にとって損害となるような不正行為が行われている(疑いがある)ことを出力装置109によって報知する(S34)。報知の方法としては、対象となる遊技機4aの異常を出力装置109として設けるディスプレイ上に表示したり、スピーカによって通報したりする。また、検出された異常は、遊技場内部管理装置1のHDD105に履歴として記憶してもよい。
一方、ステップS31で、特賞疎状態を検出しなかったときは、遊技場内部管理装置1への通知(S32)は行わず、ステップS35へ進む。
ステップS35では、特賞疎状態が解除されたときに、その旨をネットワーク通信ポート308を介して遊技場内部管理装置1に通知する。
遊技場内部管理装置1は、ネットワーク通信ポート106を介して、情報収集端末装置3から遊技機4aの特賞疎状態フラグの解除の通知を受信すると、特賞疎状態解除受付処理(S36、S37)を行う。具体的には、特賞疎状態フラグを解除する旨の通知があった遊技機4aの、特賞疎状態フラグを解除する(S36)。そして、特賞疎状態フラグの設定中に、出力装置109によって報知していた警報を解除する(S37)。
図12は、本発明の第1の実施の形態の特賞疎状態検出処理を示すフローチャートである。特賞疎状態検出処理は、遊技機4aからスタート信号が検出されるごとに、情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で実行される。
まず、情報収集端末装置3は、遊技機4aから変動表示ゲームのスタート信号を検出したか否かを判定する(S41)。遊技機4aからスタート信号が検出されない場合は、特賞疎状態検出処理を終了する。
一方、遊技機4aからスタート信号を検出すると、遊技機4aから確変信号が出力されているかによって、当該遊技機4aが確率変動状態であるか否かを判定する(S42)。遊技機4aが確率変動状態ではなかったときは、図13に示す遊技履歴記憶領域の一つの記憶領域にはずれ値「0」を書き込む(S44)。
遊技機4aが確率変動状態であったときは、まず、当該遊技機4aの確変倍数を確変倍数キャリーオーバーに加算する(S43)。確変倍数とは、確率変動状態中の特賞発生確率を通常遊技状態中の特賞発生確率で除した値であって、整数(例えば、5(倍))又は小数(例えば、5.3(倍))で表される。
また、確変倍数キャリーオーバーとは、遊技機4aの確変倍数の端数であって、RAM305に記憶される。アプリケーションCPU303に設けられる所定のレジスタ領域であって、遊技機4aの確変倍数を一時的に記憶する。具体的には、確変倍数キャリーオーバーには、前回の確率変動状態の発生までに書き込まれた確変倍数の累計のうち、整数部分を減じた端数(小数部分)が記憶される。そして、ステップS43で新たに確変倍数が加えられると、整数又は小数で表される加算後の値が記憶される。例えば、初めに確変倍数キャリーオーバーに0.8が記憶されており、ステップS43で加算する確変倍数が5.3の場合、加算後の確変倍数キャリーオーバーに記憶されるのは6.1である。
次に、情報収集端末装置3は、図13に示す遊技履歴記憶領域の、確変倍数キャリーオーバーに記憶された値のうち整数部分に相当する数の記憶領域に、はずれ値「0」を書き込む(S45)。つまり、確変倍数キャリーオーバーに記憶された値が6.1の場合、情報収集端末装置3は、遊技履歴記憶領域の六つの記憶領域にはずれ値「0」を書き込む。
そして、確変倍数キャリーオーバーは、確変倍数の累計のうち、整数部分を減じた端数(小数部分)に更新される(S46)。つまり、確変倍数キャリーオーバーに記憶された値が6.1の場合、整数部分6を減じた0.1が新たに記憶される。
このように、遊技機4aが通常遊技状態の場合と確率変動状態の場合とに区別して、遊技履歴記憶領域にはずれ値「0」を書き込むことによって、特賞疎状態検出処理で、確率変動状態中に特賞発生確率が上昇することによる影響を排除することができる。また、特賞発生確率の異なる通常遊技状態と確率変動状態とで異常判定のための判断基準を区別することなく統一して取扱うことができるため、異常判定処理の実装を容易に行うことができる。さらに、これらの状態を別個にせずまとめて異常判定を行うため、判定に必要な情報が早く集まり、迅速な異常検出ができる。さらに、確変倍数キャリーオーバーで遊技履歴を記録する領域を補正することによって、確変倍数が整数ではない場合に、監視期間中の変動表示ゲームの実行回数に誤差が蓄積するのを防止することができる。その結果、誤差の蓄積による誤った異常判定を防止できる。
次に、ステップS41で検出したスタート信号に対応する変動表示ゲームの結果として遊技機4aから特賞信号が出力されているかによって、当該遊技機4aが特別遊技状態であるか否かを判定する(S47)。遊技機4aが特別遊技状態ではないときは、ステップS49へ進む。
一方、遊技機4aが特別遊技状態であるときは、遊技機4aで実行する変動表示ゲームの結果が当たりであることを示すため、ステップS44、又は、ステップS45で遊技履歴記憶領域に書き込んだはずれ値「0」に、当たり値「1」を上書きする(S48)。
ただし、ステップS45では、遊技履歴記憶領域の確変倍数キャリーオーバーに記憶された値の整数部分に相当する数の記憶領域にはずれ値「0」を書き込んでいるため、当該複数の記憶領域のうち、アドレスが最も大きい一つの記憶領域にのみ当たり値「1」を上書きする。これによって、確率変動状態中の特賞発生確率の上昇による影響を排除しつつも、特賞発生回数を正確に計数することができる。
次に、特賞疎状態記憶領域(図13において、ポインタを基準として、図10(B)の判定値テーブルに設定された特賞疎状態の監視対象期間に相当する数の領域)に書き込まれた当たり値「1」の数を計数する(S49)。そして、予め算出された特賞疎状態の判定値(図10(B))を読み出し(S50)、当たり値「1」の合計(特賞発生回数)と判定値とを比較する(S51)。特賞発生回数が当該判定値以下のときは、特賞発生頻度が過少であって、遊技機4aは特賞疎状態と判断することができるため、当該遊技機4aに特賞疎状態フラグが設定される(S52)。
一方、特賞発生回数が当該判定値よりも多いときは、当該遊技機4aは特賞疎状態ではないと判定される。また、当該遊技機4aに対して、既に特賞疎状態フラグが設定されている場合は、特賞疎状態フラグが解除される。
なお、スタート信号に代えて図柄確定信号(変動表示ゲームの結果態様が確定したことによって、当該変動表示ゲームが終了したことを示す信号)を用いてもよい。その場合、特賞信号の有無は、図柄確定信号を検出してから所定時間経過後に判断する。
このように、情報収集端末装置3は、遊技機4aからスタート信号及び特賞信号を受信するごとに、スタート数及び特賞回数を累積的に加算して、特賞発生履歴を記憶する。そして、変動表示ゲームの所定のスタート数当たりの特賞回数、つまり、特賞発生頻度を算出することによって、膨大な遊技情報の蓄積を待たずに変動表示ゲームのスタート毎に異常を判定でき、遊技機4aの稼動中に迅速に異常を検出できる。
図13は、本発明の第1の実施の形態の遊技履歴記憶領域の説明図であって、特賞疎状態記憶領域及び特賞密状態記憶領域として用いられる。この記憶領域は、情報収集端末装置3のRAM305に設けられたリングバッファによって構成される。
図13に示す遊技履歴記憶領域は、0〜N/pの記憶領域に遊技機4aで実行される変動表示ゲームの結果を記憶することができる。Nは任意の整数であって、図10(B)において監視対象期間として設定する数を十分に超える記憶領域(例えば、特賞発生確率pの逆数にN=5を乗じた個数の記憶領域)が確保される値であればよい。
ポインタは、現在書き込まれている変動表示ゲームの結果(はずれ値「0」又は当たり値「1」)を記憶する領域iを示し、遊技履歴記憶領域(0)→遊技履歴記憶領域(1)→ … →遊技履歴記憶領域(N/p)→遊技履歴記憶領域(0)の順に循環して使用される。
このとき、ポインタを基準として、図10(B)に設定された各監視対象期間に相当する数の過去の記憶領域が、特賞疎状態記憶領域及び特賞密状態記憶領域となる。各記憶領域(各監視対象期間中)における過去の所定の変動表示ゲームの実行回数における特賞発生回数、つまり、特賞発生頻度は、対象となる記憶領域に書き込まれている当たり値「1」の合計を得ることで容易に取り出すことができる。
なお、遊技履歴記憶領域に記憶する遊技履歴は、前営業日の遊技履歴に継続して遊技履歴を記録することで継続性を持って監視して、営業日をまたいだ不正行為を監視対象とする。また、初めての営業などで遊技履歴の蓄積がないときは、ダミーデータを予め設定してもよい。ダミーデータは、例えば、特賞発生確率pの逆数に相当する数の記憶領域にはずれ値「0」を書き込み、そのうち一つの記憶領域に当たり値「1」を上書きしたデータとする。また、例えば、生起確率に従って、複数のはずれ値「0」に無作為に当たり値「1」を上書きしたデータとしてもよい。なお、ランダムデータをダミーデータとする場合、ダミーデータによって異常と判定される危険性を考慮して当たり値「1」の数を設定する。
このように、所定の変動表示ゲームの実行回数に相当する数の領域に区分して当該変動表示ゲームの結果を記憶することによって、過去の所定監視期間における変動表示ゲームの実行結果を遊技履歴として記録できる。
図14は、本発明の第1の実施の形態の特賞密状態監視処理、特賞密状態受付処理、及び、特賞密状態解除受付処理のフローチャートであって、遊技場内部管理装置1のCPU101で特賞密状態受付処理及び特賞密状態解除受付処理が実行され、情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で特賞密状態監視処理が実行される。
遊技者によって遊技が開始されると、情報収集端末装置3は、図15に示す特賞密状態検出処理によって、遊技機4aの特賞密状態が検出されているか否かを判定する(S61)。
上記判定値に基づいて特賞密状態を検出すると、情報収集端末装置3は、対応する遊技機4aが特賞密状態であることを、ネットワーク通信ポート308を介して遊技場内部管理装置1に通知する(S62)。
遊技場内部管理装置1は、ネットワーク通信ポート106を介して、情報収集端末装置3から遊技機4aの特賞密状態の通知を受信すると、特賞密状態受付処理(S63、S64)を行う。
具体的には、特賞密状態である旨の通知があった遊技機4aに、特賞密状態フラグを設定する(S63)。そして、当該遊技機4aで、遊技場にとって損害となるような不正行為が行われている(疑いがある)ことを出力装置109によって報知する(S64)。報知の方法としては、対象となる遊技機4aの異常を出力装置109として設けるディスプレイ上に表示したり、スピーカによって通報したりする。また、検出された異常は、遊技場内部管理装置1のHDD105に履歴として記憶してもよい。
一方、ステップS61で、特賞密状態を検出しなかったときは、遊技場内部管理装置1への通知(S62)は行わず、ステップS65へ進む。
ステップS65では、特賞密状態が解除されたときに、その旨をネットワーク通信ポート308を介して遊技場内部管理装置1に通知する。
遊技場内部管理装置1は、ネットワーク通信ポート106を介して、情報収集端末装置3から遊技機4aの特賞密状態フラグの解除の通知を受信すると、特賞密状態解除受付処理(S66、S67)を行う。
具体的には、特賞密状態フラグを解除する旨の通知があった遊技機4aの、特賞密状態フラグを解除する(S66)。そして、特賞密状態フラグの設定中に、出力装置109によって報知していた警報を解除する(S67)。
図15は、本発明の第1の実施の形態の特賞密状態検出処理を示すフローチャートである。特賞密状態検出処理は、遊技機4aから特賞信号が検出されるごとに、情報収集端末装置3のアプリケーションCPU303で実行される。
まず、情報収集端末装置3は、遊技機4aから特賞信号が検出されたか否かによって、当該遊技機4aに特別遊技状態が発生したか否かを判定する(S71)。遊技機4aの特別遊技状態の発生が検出されないときは、特賞密状態検出処理を終了する。
一方、遊技機4aの特別遊技状態の発生を検出したときは、図12のステップS48によって遊技履歴記憶領域に当たり値「1」が書き込まれる。ステップS72では、これを参照して特賞密状態記憶領域(図13において、ポインタを基準として、図10(B)の判定値テーブルに設定された特賞密状態の監視対象期間に相当する数の領域)に書き込まれた当たり値「1」の数を計数する(S72)。
そして、特賞密状態の判定値を読み出して(S73)、当たり値「1」の合計(特賞発生回数)と判定値とを比較する(S74)。特賞発生回数が当該判定値以上のときは、特賞発生頻度が過大であって、遊技機4aは特賞密状態と判断することができるため、当該遊技機4aに特賞密状態フラグが設定される(S75)。
一方、特賞発生回数が当該判定値よりも少ないときは、当該遊技機4aは特賞密状態ではないと判定される。また、当該遊技機4aに対して、既に特賞密状態フラグが設定されている場合は、特賞密状態フラグが解除される(S76)。
このように、情報収集端末装置3は、変動表示ゲームの所定のスタート数当たりの特賞回数、つまり、特賞発生頻度を算出することによって、膨大な遊技情報の蓄積を待たずに特別遊技状態の発生毎に異常を判定でき、遊技機4aの稼動中に迅速に異常を検出できる。
以上説明したように、第1の実施の形態では、情報収集端末装置3に基準テーブルを記憶し、情報収集端末装置3において判定値テーブルを生成して、当該判定値テーブルに基づいて異常を判定することによって、遊技場内部管理装置1及びネットワークにかかる負担を軽減して、リアルタイムに異常を判定できる。
また、情報収集端末装置3に複数の機種に対して共通に用いられる基準テーブルを記憶することによって、異常判定の判定基準を事前に遊技場内部管理装置に設定して、各遊技機の特賞発生確率をパラメータとして与えるだけで、遊技機の機種変更に柔軟に対応して異常を判定できる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と基準テーブルの構成及び異常判定のための判定基準の設定方法のみが異なるので、前述した第1の実施の形態と異なる構成のみ説明し、第1の実施の形態と同一の構成はその説明を省略する。
図16は、本発明の第2の実施の形態の基準テーブルの構成図であって、情報収集端末装置3のRAM305に設定される。
図16(A)は、特賞密状態の判定値テーブルの生成に用いられる基準テーブルであって、図16(B)は、特賞疎状態の判定値テーブルの生成に用いられる基準テーブルである。これらの基準テーブルとして生成される値は、次のように算出される。
所定の遊技機4aの特賞発生確率をp、変動表示ゲームの試行回数をn(回)、及び、n回のスタート数で期待される特賞発生回数(期待値)をλとした場合、スタート数n(回)でX(回)の特賞が発生する確率分布(ポアソン分布)は、以下の数式によって算出することができる。
P(X)=e-λλX/X!
なお、ポアソン分布への適用が困難な場合は二項分布を用いてもよい。
図16(A)は、特賞密状態を判定する値としてλ=1とした場合の、X=0〜7のポアソン分布である。そして、図16(A)に示す値に、遊技場内部管理装置1に予め設定された図17(A)に示す特賞密状態判定値の判定基準とから、スタート数n(=1/p)回で特賞回数が5回を超えたときに特賞密状態の判定基準1%を下回る状態となり、特賞密状態と判定することができる。つまり、特賞発生確率pの逆数に相当する数の変動表示ゲームの実行回数(例えば、特賞発生確率が1/315であれば315回)での特賞発生回数5が、図17(B)に示す特賞密状態判定値(閾値)として設定される。
一方、図16(B)は、特賞疎状態を判定する値として、λ=5とした場合の、X=0〜7ポアソン分布である。図16(A)に示す表(λ=1)では、特賞回数0回の事象が36.8%の確率で起こるため、異常判定基準5%では特賞発生回数が過少となる異常を判定できない。よって、特賞発生頻度が低い状態(特賞疎状態)の判定には図16(B)を用いる。なお、特賞疎状態を判定する際の値として、λ=5の場合に限られず、λに5よりも小さい値、あるいは大きい値を用いてポアソン分布を算出してもよい。
図16(B)に示す値と、遊技場内部管理装置1に予め設定された図17(A)に示す特賞疎状態判定値の判定基準とから、スタート数n(=5×1/p)回で特賞回数が1回以下のときに特賞疎状態の判定基準5%を下回る状態となり、特賞疎状態と判定することができる。つまり、特賞発生確率の逆数の5倍に相当する数の変動表示ゲームの実行回数(例えば、特賞発生確率が1/315であれば1575回)での特賞発生回数1を、図17(B)に示す特賞疎状態判定値(閾値)として設定する。
遊技場内部管理装置1は、このようにして生成した判定値テーブル(図17(B))を情報収集端末装置3に通知する。遊技場内部管理装置1から判定値テーブルを受信した情報収集端末装置3は、当該判定値テーブルをRAM305に設定する。
情報収集端末装置3は、判定値テーブルに設定された情報に基づいて、特賞疎状態判定値の監視対象期間を1575回、判定値を1回と設定し、特賞密状態判定値の監視対象期間を315回、判定値を5回と設定する。そして、情報収集端末装置3は、このようにして設定された特賞疎状態の監視対象期間、判定値、特賞密状態の監視対象期間、及び、判定値に基づいて、特賞疎状態、及び、特賞密状態を検出する(図12及び図15)。
以上説明したように、第2の実施の形態では、情報収集端末装置3に設定した複数の機種に対して共通に用いられる基準テーブルに、遊技場内部管理装置1に予め設定した異常判定の判定基準、及び、各遊技機4aの特賞発生確率pをパラメータとして与えるだけで、遊技機の機種変更に柔軟に対応して異常を判定できる。
なお、各遊技機4aの異常は、情報収集端末装置3ではなく内部ネットワークに接続された他の判定機器で判定してもよい。この場合、情報収集端末装置3は、遊技機4a及び各遊技機4aに設けられた周辺装置から検出した遊技情報(又は、その累積値)を当該判定機器に送信する。当該判定機器は、受信した遊技情報(又は、その累積値)に基づいて、各遊技機4aの異常を検出する。すなわち、特許請求の範囲に記載された情報収集端末装置は、情報収集端末装置3や内部ネットワークに接続された他の判定機器も含む複数の装置のいずれで構成されてもよい。なお、これらのうち複数の装置で情報収集端末装置を構成してもよく、又は、単体の装置で情報収集端末装置を構成してもよい。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は前述した発明の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。