JP4671546B2 - 冷熱搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝熱媒体を用いて冷熱の搬送を行う冷熱搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、水やブライン等の伝熱媒体を用いて冷熱を搬送する冷熱搬送装置が知られている。この冷熱搬送装置は、冷凍機と利用側の熱交換器等に接続し、両者の間で伝熱媒体を循環させる。冷熱搬送装置では、冷凍機で冷却された伝熱媒体が利用側の熱交換器等へ送られる。利用側の熱交換器等では、伝熱媒体が対象物から吸熱し、これによって対象物が冷却される。吸熱した伝熱媒体は、冷凍機へ戻されて再び冷却される。
【0003】
一方、従来より、アンモニア(NH3)を冷媒とする冷凍機が知られている。この種の冷凍機としては、日本冷凍協会編「冷凍空調便覧 新版・第5版 2巻 機器編」325〜327ページに開示されている吸収式冷凍サイクルを行うものが一般的であるが、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うものも存在する。この種の冷凍機で生成した冷熱を上記冷熱搬送装置により搬送する場合、冷熱搬送装置の伝熱媒体は、冷凍機の蒸発器において冷媒であるアンモニアと熱交換を行って冷却される。
【0004】
上記冷凍機において、蒸発器の伝熱管に亀裂が生じたようなときには、冷媒であるアンモニアが漏洩して伝熱媒体に混入するおそれがある。このような状態で冷熱搬送装置の運転を継続すると、アンモニアの混入した伝熱媒体が利用側へ送られることとなる。一方、利用側の熱交換器等では、伝熱管等として熱伝導率の高い銅管を用いることが多い。このため、アンモニアの混入した伝熱媒体が利用側の熱交換器等へ送られると、銅管の腐食を招いて伝熱媒体が漏洩してしまう。
【0005】
この問題の対策としては、図5に示すように、冷熱搬送装置に2つの閉回路(b,c)を設け、冷凍機(a)で冷却された伝熱媒体を利用側へ直接送らないようにすることが考えられる。この場合、第1閉回路(b)では、冷凍機(a)と媒体熱交換器(d)との間で伝熱媒体が循環し、冷凍機(a)で冷却された伝熱媒体が媒体熱交換器(d)へ送られる。一方、第2閉回路(c)では、媒体熱交換器(d)と利用側の熱交換器等との間で伝熱媒体が循環する。その際、媒体熱交換器(d)では、第1閉回路(b)の伝熱媒体によって第2閉回路(c)の伝熱媒体が冷却される。そして、第2閉回路(c)では、媒体熱交換器(d)で冷却された伝熱媒体が利用側へ送られる。
【0006】
このような対策を講じると、冷凍機(a)において漏洩したアンモニアが伝熱媒体に混入したとしても、アンモニアの混入した伝熱媒体は第1閉回路(b)内だけで循環することとなる。従って、第2閉回路(c)を流れる伝熱媒体にアンモニアが混入することはなく、利用側の熱交換器等で銅管が腐食することもない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2つの閉回路(b,c)で個別に伝熱媒体を循環させるという上記の対策を講じた場合には、冷凍機(a)の運転に要するエネルギが増大してしまう。この問題点について、利用側へ−4℃の伝熱媒体を供給する場合を例に説明する。
【0008】
先ず、冷凍機(a)で冷却した伝熱媒体を利用側へ直接送るのであれば、冷凍機(a)において伝熱媒体を−4℃にまで冷却すればよい。尚、途中の配管等における入熱は無視する。これに対し、2つの閉回路(b,c)で伝熱媒体を循環させることとすると、第2閉回路(c)において媒体熱交換器(d)から利用側へ送られる伝熱媒体を−4℃としなければならない。その際、媒体熱交換器(d)の温度効率が100%ということは現実的に有り得ないため、第1閉回路(b)において冷凍機(a)から媒体熱交換器(d)へ送られる伝熱媒体を−4℃よりも低温(例えば−8℃程度)とする必要がある。
【0009】
このように、冷媒であるアンモニアの漏洩に起因する問題を回避すべく2つの閉回路(b,c)で伝熱媒体を循環させることとすると、冷凍機(a)において、伝熱媒体を一層低い温度にまで冷却する必要が生じる。そのためには冷凍機(a)における冷媒の蒸発温度を下げねばならず、これに起因して冷凍機(a)の成績計数(COP)が低下し、冷凍機(a)における消費エネルギの増大を招いていた。
【0010】
また、2つの閉回路(b,c)で伝熱媒体を循環させることとすると、閉回路(b,c)ごとにポンプ等で伝熱媒体を循環させねばならず、1つの回路で伝熱媒体を循環させる場合に比べ、伝熱媒体を循環させるのに要するエネルギが増大する。従って、上記の対策を講じた場合には、冷熱の搬送に要するエネルギの増大をも招いてしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷凍機や冷熱搬送装置自体での消費エネルギの増大を招くことなく、冷凍機からのアンモニアの漏洩に起因する腐食の問題を回避することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明が講じた第1の解決手段は、アンモニアを冷媒とする冷凍機(61)と対象物を冷却するための冷却用部材(70)とに接続する循環管路(10)を備え、該循環管路(10)で伝熱媒体を循環させて上記冷凍機(61,62,63)の冷熱を冷却用部材(70)へ搬送する冷熱搬送装置を対象とする。そして、上記循環管路(10)には、上記冷凍機(61)で冷却された伝熱媒体が流れる往管路(13)と、上記冷凍機(61)に向かって伝熱媒体が流れる復管路(12)とが設けられる一方、上記往管路(13)に設けられて該往管路(13)を流れる伝熱媒体中のアンモニアを検出するアンモニア検出手段(40)と、上記アンモニア検出手段(40)がアンモニアを検出すると、上記往管路(13)におけるアンモニア検出手段(40)よりも下流側の箇所で伝熱媒体の流通を遮断する第1遮断機構(31)と、上記アンモニア検出手段(40)がアンモニアを検出すると、上記復管路(12)における伝熱媒体の流通を遮断する第2遮断機構(32)とを備えるものである。
【0013】
また、上記第1の解決手段は、上記の構成に加え、上記アンモニア検出手段(40)が、伝熱媒体中のアンモニアを検出するアンモニア検出部(43)と、上記往管路(13)を流れる伝熱媒体の一部を取り込んで上記アンモニア検出部(43)へ供給し、該アンモニア検出部(43)を通過した伝熱媒体を上記往管路(13)へ戻すサンプル用管路(41)と有するものである。
【0014】
また、上記第1の解決手段は、上記の構成に加え、往管路(13)のうちアンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)により遮断される箇所との間の部分の容積は、アンモニアの混入した伝熱媒体が上記往管路(13)から上記サンプル用管路(41)へ流入してから該伝熱媒体中のアンモニアを上記アンモニア検出部(43)が検出するまでに経過する時間内に冷凍機(61)から送出される伝熱媒体の体積以上となっているものである。
【0015】
本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、往管路(13)におけるアンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)により遮断される箇所との間には、往管路(13)の容積を稼ぐためのタンク(33)が設けられるものである。
【0016】
−作用−
上記第1の解決手段では、冷熱搬送装置の循環管路(10)がアンモニアを冷媒とする冷凍機(61)に接続される。循環管路(10)は、利用側の冷却用部材(70)にも接続される。冷熱搬送装置は、循環管路(10)で伝熱媒体を循環させることによって、冷凍機(61)で生成した冷熱を冷却用部材(70)へ搬送する。つまり、循環管路(10)において、冷凍機(61)で冷却された伝熱媒体は、冷却用部材(70)へ送られて対象物から吸熱する。また、対象物から吸熱した伝熱媒体は、冷凍機(61)へ送り返されて再び冷却される。
【0017】
上記循環管路(10)には、往管路(13)及び復管路(12)が設けられる。往管路(13)及び復管路(12)は、アンモニアを冷媒とする冷凍機(61)に接続している。アンモニアを冷媒とする冷凍機(61)で冷却された伝熱媒体は、往管路(13)を通じて冷却用部材(70)へ送られる。冷却用部材(70)で吸熱した伝熱媒体の一部は、復管路(12)を通じてアンモニアを冷媒とする冷凍機(61)へ送られる。往管路(13)には、アンモニア検出手段(40)が設けられる。アンモニア検出手段(40)は、往管路(13)を流れる伝熱媒体中のアンモニアを検出する。
【0018】
アンモニア検出手段(40)によりアンモニアが検出されるということは、冷凍機(61)から冷媒であるアンモニアが漏洩し、このアンモニアが伝熱媒体に混入していることを意味する。そこで、アンモニア検出手段(40)がアンモニアを検出すると、第1遮断機構(31)が往管路(13)における伝熱媒体の流通を遮断し、第2遮断機構(32)が復管路(12)における伝熱媒体の流通を遮断する。その際、第1遮断機構(31)は、伝熱媒体の流通方向におけるアンモニア検出手段(40)の下流で伝熱媒体の流れを遮断する。従って、往管路(13)及び復管路(12)の何れにおいても、アンモニアで汚染された伝熱媒体が冷凍機(61)側から冷却用部材(70)側へ流れ込むことはない。
【0019】
また、上記第1の解決手段では、往管路(13)のうち特定の部分の容積が所定値以上とされる。この特定の部分とは、アンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)による遮断箇所との間の部分である。
【0020】
ある時点において冷凍機からアンモニアが漏れ始めると、アンモニアの混入した伝熱媒体は、往管路(13)を流れてアンモニア検出手段(40)の設置箇所に到達する。そして、アンモニアの混入した伝熱媒体は、アンモニア検出手段(40)に取り込まれる。ところが、アンモニア検出手段(40)において、伝熱媒体を取り込んで瞬時にアンモニアを検出するのは現実的に困難であり、伝熱媒体の採取からアンモニアの検出までにある程度の時間を要するのが通常である。このため、アンモニア検出手段(40)がアンモニアを検出するまでの間に、アンモニアの混入した伝熱媒体はアンモニア検出手段(40)の設置箇所よりも下流に流れていってしまう。
【0021】
これに対し、本解決手段では、往管路(13)における上記特定の部分の容積を、アンモニア検出手段(40)が伝熱媒体を採取してからアンモニアを検出するまでに経過する時間内に冷凍機(61)から流出する伝熱媒体の体積以上としている。従って、アンモニア検出手段(40)が伝熱媒体中のアンモニアを検出した時点においても、アンモニアの混入した伝熱媒体は、第1遮断機構(31)による遮断箇所にまで未だ到達していないこととなる。つまり、往管路(13)における上記特定の部分の容積を所定値以上とすることにより、アンモニアの混入した伝熱媒体がアンモニア検出手段(40)の設置箇所から第1遮断機構(31)による遮断箇所に達するまでの時間を稼いでいる。
【0022】
上記第2の解決手段では、往管路(13)にタンク(33)が設けられる。具体的に、このタンク(33)は、往管路(13)におけるアンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)による遮断箇所との間に配置される。このタンク(33)は、往管路(13)のうちアンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)による遮断箇所との間の部分の容積を稼ぐためのものである。このタンク(33)を設ければ、例えば往管路(13)においてアンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)による遮断箇所とが距離的に近接している場合であっても、これら2箇所間の部分の容積が確保される。
【0023】
【発明の効果】
本発明では、アンモニア検出手段(40)が伝熱媒体中のアンモニアを検出したときに、第1遮断機構(31)が往管路(13)での伝熱媒体の流通を遮断し、第2遮断機構(32)が復管路(12)での伝熱媒体の流通を遮断する。従って、本発明によれば、冷凍機(61)から冷媒であるアンモニアが漏洩したとしても、アンモニアで汚染された伝熱媒体が利用側の冷却用部材(70)へ流入するのを阻止できる。このため、アンモニアに対する耐食性のない銅管等を冷却用部材(70)に用いたとしても、銅管等の腐食を確実に回避して伝熱媒体の漏洩等のトラブルを回避できる。
【0024】
また、本発明によれば、冷凍機(61)からのアンモニアの漏洩がない限り、冷凍機(61)と冷却用部材(70)との間で伝熱媒体を循環させることができる。つまり、冷凍機(61)で冷却された伝熱媒体を、利用側の冷却用部材(70)へ直接送ることができる。このため、2つの閉回路で個別に伝熱媒体を循環させる上記従来の冷熱搬送装置と異なり、本発明に係る冷熱搬送装置を用いれば、冷凍機(61)における冷媒の蒸発温度を低下させる必要はない。従って、本発明によれば、冷凍機(61)からアンモニアが漏洩したときの対策を講じた上で、冷凍機(61)のCOPを高く保つことができ、冷凍機(61)における消費エネルギの増大を回避できる。
【0025】
また、本発明によれば、冷凍機(61)からのアンモニアの漏洩がない限り、1つの循環管路(10)でのみ伝熱媒体を循環させて冷熱の搬送を行うことができる。つまり、2つの閉回路を設ける上記従来の冷熱搬送装置のように、各閉回路において伝熱媒体を循環させる必要がなくなる。従って、伝熱媒体を循環させるために必要なエネルギを削減でき、冷熱搬送装置自体の消費エネルギを低減できる。
【0026】
また、本発明では、往管路(13)のうちアンモニア検出手段(40)の設置箇所から第1遮断機構(31)による遮断箇所までの部分の容積を所定値以上としている。このため、アンモニア検出手段(40)が伝熱媒体を採取してからアンモニアを検出するまでにある程度の時間を要する場合であっても、アンモニアの混入した伝熱媒体が第1遮断機構(31)による遮断箇所へ到達する前に、第1遮断機構(31)によって往管路(13)における伝熱媒体の流通を遮断できる。従って、本発明によれば、アンモニアの混入した伝熱媒体を循環管路(10)における冷凍機(61)側へ完全に封じ込めることができる。
【0027】
特に、上記第2の解決手段では、往管路(13)の容積を稼ぐためにタンク(33)を設けている。このため、冷熱搬送装置の設置スペースに制約があるような場合であっても、往管路(13)の容積を確保することができる。
【0028】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態1に係る冷熱搬送装置は、ビール工場に設置され、ビールの製造ラインや工場内の空調機に対して冷凍機(61,62,63)の冷熱を搬送する。詳細は後述するが、本実施形態1に係る冷熱搬送装置は、冷凍機(61,62,63)と利用側の冷却用部材(70)との間でブライン(グリコール水溶液)を循環させて、冷熱の搬送を行う。
【0029】
《ビールの製造ライン》
はじめに、ビールの製造ラインについて、図1を参照しながら説明する。仕込み行程では、麦芽と原料湯とを混ぜ合せ、更に副原料を加えた上で煮る。仕込み行程で得られた煮汁は、続く麦汁ろ過行程でろ過されて透明な飴湯状の麦汁となる。この麦汁は、麦汁予熱行程を経て、麦汁煮沸行程に送り込まれる。麦汁煮沸行程では、上記麦汁にホップを加えて煮沸する。その際、麦汁全体の10%程度を蒸発させ、麦汁を濃縮する。煮沸により濃縮された麦汁は、ワールプール(図示せず)に熱い状態のまま静置され、その間に熱凝固物が麦汁から除去される。続いて、麦汁は、麦汁冷却器(71)において冷却され、酵母が加えられた上で発酵タンク(72)に送り込まれる。発酵タンク(72)では、発酵が行われ、麦汁からビールが得られる。得られたビールは、貯酒タンク(73)に送られて一旦蓄えられる。そして、貯酒タンク(73)のビールは、ろ過及び殺菌の行程を経て容器に詰められ、製品となる。
【0030】
このように、ビールの製造ラインでは、麦汁冷却器(71)において麦汁を冷却する必要がある。そこで、麦汁冷却器(71)に低温のブラインを供給し、このブラインとの熱交換によって麦汁を冷却している。また、発酵タンク(72)や貯酒タンク(73)では、その内容物を低温に保つ必要がある。そのため、これらのタンクには、その外周部にブラインを流すためのジャケット(図示せず)が形成されている。そして、このジャケットに低温のブラインを流通させ、タンク内のビール等を冷却している。従って、本実施形態1では、発酵タンク(72)及び貯酒タンク(73)のジャケットや麦汁冷却器(71)が利用側の冷却用部材(70)を構成している。更に、本実施形態1では、工場内を空調するための空調機も冷却用部材(70)を構成している。
【0031】
《冷熱搬送装置》
本実施形態1に係る冷熱搬送装置について説明する。図2に示すように、上記冷熱搬送装置には、循環管路(10)が設けられている。循環管路(10)には、伝熱媒体としてのブラインが充填されている。この循環管路(10)は、3台の冷凍機(61,62,63)に接続されている。尚、ここで示す冷凍機の台数は例示である。従って、冷凍機の台数は、必要となる冷凍能力等に応じて適宜定めればよい。
【0032】
上記循環管路(10)が接続する冷凍機のうち、第1冷凍機(61)は、いわゆるアンモニア吸収式冷凍機により構成されている。つまり、第1冷凍機(61)は、蒸発器、吸収器、凝縮器、発生器、及び精留塔を備え、アンモニアを冷媒とした吸収式冷凍サイクルを行うように構成されている。尚、第1冷凍機(61)については、アンモニアを冷媒とするものであればよい。従って、第1冷凍機(61)は、吸収式冷凍サイクルを行うものに限定されず、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うものであってもよい。
【0033】
一方、第2冷凍機(62)及び第3冷凍機(63)は、いわゆるフロン冷凍機により構成されている。つまり、第2冷凍機(62)及び第3冷凍機(63)は、圧縮機、凝縮器、膨張機構、及び蒸発器を備え、フロン冷媒を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うように構成されている。尚、図2においては、第2及び第3冷凍機(62,63)における圧縮機、凝縮器、膨張機構、及び蒸発器の図示を省略する。
【0034】
上記循環管路(10)は、第1回路(11)、第2回路(15)、第3回路(17)、送出ヘッダ(22)、戻しヘッダ(21)、ブラインタンク(25)、及び供給用管路(26)を備えている。第1回路(11)は、その入口端が戻しヘッダ(21)に接続され、出口端が送出ヘッダ(22)に接続されている。第1回路(11)の途中には、第1冷凍機(61)が配置されている。第1回路(11)の詳細は後述する。第2回路(15)と第3回路(17)は、それぞれの入口端が戻しヘッダ(21)に接続され、それぞれの出口端が送出ヘッダ(22)に接続されている。第2回路(15)の途中には、第2循環ポンプ(16)と第2冷凍機(62)とが配置されている。第3回路(17)の途中には、第3循環ポンプ(18)と第3冷凍機(63)とが配置されている。このように、3台の冷凍機(61,62,63)は、循環管路(10)において並列に配置されている。
【0035】
上記ブラインタンク(25)は、縦長の円筒容器状に形成されている。ブラインタンク(25)は、戻し側主管路(23)を介して戻しヘッダ(21)に接続されている。この戻し側主管路(23)は、その入口端がブラインタンク(25)の上端部に接続され、出口端が戻しヘッダ(21)に接続されている。戻しヘッダ(21)は、戻し側主管路(23)からのブラインを第1〜第3の各回路(11,15,17)へ分配する。また、ブラインタンク(25)は、送出側主管路(24)を介して送出ヘッダ(22)に接続されている。この送出側主管路(24)は、その入口端が送出ヘッダ(22)に接続され、出口端がブラインタンク(25)の下端部に接続されている。送出ヘッダ(22)は、第1〜第3の各回路(11,15,17)からのブラインを合流させて送出側主管路(24)へ送り込む。
【0036】
上記供給用管路(26)は、その入口端がブラインタンク(25)の下端部に接続され、出口端がブラインタンク(25)の上端部に接続されている。この供給用管路(26)は、上記麦汁冷却器(71)等により構成される冷却用部材(70)に接続している。また、供給用管路(26)には、供給用ポンプ(27)が設けられている。
【0037】
上記第1回路(11)は、戻し管路(12)と送出管路(13)とを備えている。この第1回路(11)は、戻しヘッダ(21)からのブラインを第1冷凍機(61)へ送ると共に、第1冷凍機(61)で冷却されたブラインを送出ヘッダ(22)へ送る。
【0038】
上記戻し管路(12)は、その入口端が戻しヘッダ(21)に接続され、出口端が第1冷凍機(61)の蒸発器に接続されている。戻し管路(12)には、その入口端から出口端に向かって順に、第1循環ポンプ(14)と第2遮断弁(32)とが設けられている。この戻し管路(12)は、戻しヘッダ(21)から第1冷凍機(61)に向かってブラインが流れる復管路を構成している。
【0039】
上記送出管路(13)は、その入口端が第1冷凍機(61)の蒸発器に接続され、出口端が送出ヘッダ(22)に接続されている。送出管路(13)には、その入口端から出口端に向かって順に、アンモニア検出装置(40)とホールディングタンク(33)と第1遮断弁(31)とが設けられている。この送出管路(13)は、第1冷凍機(61)で冷却されたブラインが送出ヘッダ(22)に向かって流れる往管路を構成している。
【0040】
上記アンモニア検出装置(40)は、サンプル用管路(41)とアンモニア検出部(43)とを備え、アンモニア検出手段を構成している。サンプル用管路(41)は、その入口端が送出管路(13)における第1冷凍機(61)の近傍に接続されている。サンプル用管路(41)には、サンプル用ポンプ(42)が設けられている。サンプル用管路(41)の出口端は、該サンプル用管路(41)の入口端が送出管路(13)に接続する箇所の下流側において、送出管路(13)に接続されている。また、サンプル用管路(41)の入口端と出口端は、比較的近接した位置で送出管路(13)に接続されている。
【0041】
上記アンモニア検出部(43)は、サンプル用管路(41)におけるサンプル用ポンプ(42)の下流に配置されている。図3に示すように、アンモニア検出部(43)には、サンプル用管路(41)を通じて送り込まれたブラインの流れに沿って順に、予熱ヒータ(44)と第1計測部(45)と第2計測部(46)とが設けられている。予熱ヒータ(44)は、送り込まれたブラインを所定温度にまで加熱して第1計測部(45)へ送り込むためのものである。第1計測部(45)及び第2計測部(46)は、それぞれが送り込まれたブラインの導電率を測定する。
【0042】
上記アンモニア検出部(43)は、第1計測部(45)における導電率の測定値と第2計測部(46)における導電率の測定値との差を常に監視する。そして、アンモニア検出部(43)は、両計測部(45,46)における測定値の差が所定値以上に達すると、ブラインにアンモニアが含まれていると判断し、ブライン中にアンモニアを検出した旨の検出信号を出力する。つまり、アンモニア検出部(43)は、ブラインの導電率を測定することによってブライン中のアンモニアを検出するように構成されている。
【0043】
上記アンモニア検出装置(40)は、送出管路(13)を流れるブラインの一部をサンプルとしてサンプル用管路(41)に取り込み、取り込んだブラインをアンモニア検出部(43)へ送って該ブラインにアンモニアが含まれるか否かを判断する。そのため、このアンモニア検出装置(40)では、アンモニアの混入したブラインがサンプル用管路(41)へ流入してからアンモニア検出部(43)においてブライン中のアンモニアを検出するまでに、約30秒程度の時間を要する。
【0044】
上記第1遮断弁(31)は、空気圧式の操作弁であって、第1遮断機構を構成している。つまり、第1遮断弁(31)は、アンモニア検出装置(40)がアンモニアの検出信号を出力すると、送出管路(13)でのブラインの流通を遮断するために閉鎖される。また、上述のように、第1遮断弁(31)は、送出管路(13)におけるアンモニア検出装置(40)の下流に配置されている。
【0045】
上記第2遮断弁(32)は、空気圧式の操作弁であって、第2遮断機構を構成している。つまり、第2遮断弁(32)は、アンモニア検出装置(40)がアンモニアの検出信号を出力すると、戻し管路(12)でのブラインの流通を遮断するために閉鎖される。
【0046】
上記ホールディングタンク(33)は、円筒容器状に形成されている。ホールディングタンク(33)の下端部には、その内部に導入管(34)が設けられている。導入管(34)は、ホールディングタンク(33)の側壁からその内部に向かって突出し、その先端が下方に概ね90°曲がった形状とされている。第1冷凍機(61)から出て送出管路(13)を流れるブラインは、導入管(34)を通じてホールディングタンク(33)の内部へ導入される。一方、ホールディングタンク(33)の上端部には、その内部に導出管(35)が設けられている。導出管(35)は、ホールディングタンク(33)の側壁からその内部に向かって突出し、その先端が上方に概ね90°曲がった形状とされている。ホールディングタンク(33)に貯留されたブラインは、導出管(35)を通じてホールディングタンク(33)から流出する。
【0047】
上記ホールディングタンク(33)の容積は、下記のように設定されている。つまり、上述のように、アンモニア検出装置(40)では、アンモニアの混入したブラインを取り込んでから該ブライン中のアンモニアを検出するまでに、約30秒程度の時間を要する。従って、送出管路(13)を流れるブラインがアンモニア検出装置(40)の設置個所から第1遮断弁(31)の設置個所へ至るまでの時間を30秒以上稼がなければ、アンモニア検出装置(40)がアンモニアの検出信号を出力して直ぐに第1遮断弁(31)を閉じたとしても、アンモニアで汚染されたブラインが第1遮断弁(31)の下流へ流入してしまう。そこで、ホールディングタンク(33)の容量は、余裕を見越して60秒間(1分間)に第1冷凍機(61)から送出されるブラインの体積と等しくされている。具体的に、第1冷凍機(61)からのブラインの送出量、即ち送出管路(13)でのブライン流量が260m3/hである場合、ホールディングタンク(33)の容積は260/60=4.3m3とされる。
【0048】
−運転動作−
上記冷熱搬送装置の運転動作について説明する。第1〜第3冷凍機(61,62,63)で冷却されたブラインは、それぞれ第1〜第3回路(11,15,17)を流れ、送出ヘッダ(22)へ流入して合流する。合流したブラインは、送出側主管路(24)を流れてブラインタンク(25)へ一旦導入される。その後、ブラインは、供給用管路(26)を流れて利用側の冷却用部材(70)へ送られ、ビール製造ラインの麦汁等の対象物の冷却に利用される。対象物から吸熱したブラインは、ブラインタンク(25)へ一旦導入され、戻し側主管路(23)を通じて戻しヘッダ(21)へ送られる。戻しヘッダ(21)では、送り込まれたブラインが第1〜第3回路(11,15,17)に分配される。そして、吸熱して温度の上昇したブラインは、第1〜第3冷凍機(61,62,63)へ送られて再び冷却される。冷熱搬送装置の循環管路(10)では、このようなブラインの循環が繰り返され、第1〜第3冷凍機(61,62,63)で生成した冷熱が利用側の冷却用部材(70)へ搬送される。
【0049】
ここで、利用側の冷却用部材(70)における熱負荷は変動するため、その変動に併せて供給用管路(26)でのブライン流量や冷凍機の運転台数が変更される。ところが、短時間のうちに熱負荷が大きく変動するような場合には、冷凍機(61,62,63)が短時間の間に何度も発停を繰り返すこととなり、冷凍機(61,62,63)の信頼性を損なうことにもなりかねない。これに対し、上記冷熱搬送装置では、送出側主管路(24)、戻し側主管路(23)、及び供給用管路(26)を全てブラインタンク(25)に接続している。そして、上記冷熱搬送装置では、供給用管路(26)でのブライン流量が変動しても、各冷凍機(61,62,63)へ送り出すブラインの流量を一定に保ち、冷凍機(61,62,63)の発停が頻繁に行われる事態を回避している。
【0050】
上記第1冷凍機(61)の蒸発器においてアンモニアが漏洩すると、この漏洩したアンモニアがブラインに混入し、アンモニアで汚染されたブラインが送出管路(13)へ送り出される。そして、循環管路(10)内を循環するブライン中のアンモニア濃度が3〜4ppm程度となると、利用側の冷却用部材(70)において銅管が腐食する等の問題が生じる。
【0051】
これに対し、アンモニア検出装置(40)は、送出管路(13)を流れるブラインの一部を採取し、採取したブラインにアンモニアが含まれるか否かを常に調べている。このアンモニア検出装置(40)は、取り込んだブラインにおけるアンモニア濃度が3〜4ppmに達するまでにアンモニアを検出できるように構成されており、アンモニアを検出すると検出信号を出力する。そして、アンモニア検出装置(40)がアンモニアの検出信号を出力すると、第1遮断弁(31)及び第2遮断弁(32)が閉鎖される。また、これと同時に、第1循環ポンプ(14)及び第1冷凍機(61)の運転が停止される。
【0052】
ここで、第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩した場合、アンモニアの混入したブラインがサンプル用管路(41)の入口端に達しても、それから約30秒経過した後でなければアンモニア検出部(43)からアンモニアの検出信号は出力されない。そして、その間にも、アンモニアの混入したブラインは、送出管路(13)を第1遮断弁(31)に向かって流れてゆく。これに対し、上記冷熱搬送装置では、ホールディングタンク(33)を設けることで、ブラインがアンモニア検出装置(40)から第1遮断弁(31)に到達するまでの時間を稼いでいる。このため、アンモニア検出部(43)からのアンモニアの検出信号を受けて第1遮断弁(31)を閉鎖した時点において、アンモニアで汚染されたブラインは、未だホールディングタンク(33)の内部に留まっており、第1遮断弁(31)にまでは達していない。
【0053】
−実施形態1の効果−
本実施形態1に係る冷熱搬送装置では、アンモニア検出装置(40)からのアンモニアの検出信号を受けて、第1遮断弁(31)及び第2遮断弁(32)が閉鎖される。従って、本実施形態1によれば、第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩したとしても、アンモニアで汚染されたブラインが利用側の冷却用部材(70)へ流入するのを阻止できる。このため、アンモニアに対する耐食性のない銅管等を冷却用部材(70)に用いたとしても、銅管等の腐食を確実に回避してブラインの漏洩等のトラブルを回避できる。
【0054】
また、本実施形態1によれば、第1冷凍機(61)からのアンモニアの漏洩がない限り、第1冷凍機(61)と冷却用部材(70)との間でブラインを循環させることができる。つまり、第1冷凍機(61)で冷却されたブラインを、利用側の冷却用部材(70)へ直接送ることができる。このため、2つの閉回路で個別に伝熱媒体を循環させる上記従来の冷熱搬送装置と異なり(図5参照)、本実施形態1に係る冷熱搬送装置を用いれば、第1冷凍機(61)における冷媒の蒸発温度を低下させる必要はない。従って、本実施形態1によれば、第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩したときの対策を講じた上で、第1冷凍機(61)のCOPを高く保つことができ、第1冷凍機(61)における消費エネルギの増大を回避できる。
【0055】
また、本実施形態1によれば、第1冷凍機(61)からのアンモニアの漏洩がない限り、第1循環ポンプ(14)を運転することで第1冷凍機(61)の冷熱を利用側へ搬送できる。つまり、2つの閉回路を設ける上記従来の冷熱搬送装置では、各閉回路でブラインを循環させるために2つのポンプを運転しなければならないのに対し(図5参照)、1つのポンプを運転するだけで冷熱の搬送が可能となる。従って、本実施形態1によれば、ブラインを循環させるためにポンプで消費されるエネルギを削減でき、冷熱搬送装置自体における消費エネルギを低減できる。
【0056】
特に、本実施形態1では、循環管路(10)に対して3台の冷凍機(61,62,63)が並列に接続されている。従って、アンモニアを冷媒とする第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩して該第1冷凍機(61)を停止させざるを得なくなったとしても、残りの冷凍機(61,62,63)によってブラインの冷却を継続することができる。
【0057】
また、本実施形態1では、送出管路(13)にホールディングタンク(33)を設け、アンモニアの混入したブラインが第1遮断弁(31)に到達するまでの時間稼ぎをしている。従って、アンモニア検出装置(40)からのアンモニアの検出信号を受けて第1遮断弁(31)を閉鎖しても、アンモニアの混入したブラインが第1遮断弁(31)に到達する前にブラインの流通を遮断できる。このため、本実施形態1によれば、アンモニアで汚染されたブラインを第1回路(11)の第1冷凍機(61)側へ完全に封じ込めることができ、汚染されたブラインが利用側へ流れ出すのを確実に阻止できる。
【0058】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の冷熱搬送装置に対して、第1補助管路(51)、第2補助管路(54)、及び中間熱交換器(56)を付加したものである。ここでは、上記実施形態1と異なる部分について、図4を参照しながら説明する。
【0059】
上記第1補助管路(51)は、第1管路を構成している。この第1補助管路(51)は、その入口端が送出管路(13)におけるアンモニア検出装置(40)とホールディングタンク(33)の間に接続され、出口端が戻し管路(12)における第2遮断弁(32)と第1冷凍機(61)の間に接続されている。また、第1補助管路(51)には、その入口端から出口端に向かって順に、中間熱交換器(56)と補助循環ポンプ(52)と第1手動弁(53)とが設けられている。
【0060】
上記第2補助管路(54)は、第2管路を構成している。この第2補助管路(54)は、その入口端が送出管路(13)における第1遮断弁(31)と送出ヘッダ(22)の間に接続され、出口端が戻し管路(12)における第1循環ポンプ(14)と第2遮断弁(32)の間に接続されている。また、第2補助管路(54)には、その入口端から出口端に向かって順に、第2手動弁(55)と、中間熱交換器(56)とが設けられている。
【0061】
上記中間熱交換器(56)は、いわゆるプレート式熱交換器により構成されている。この中間熱交換器(56)には、第1流路(57)と第2流路(58)とが形成されている。中間熱交換器(56)の第1流路(57)は、第1補助管路(51)に接続されている。中間熱交換器(56)の第2流路(58)は、第2補助管路(54)に接続されている。この中間熱交換器(56)では、第1流路(57)のブラインと第2流路(58)のブラインとが熱交換を行う。尚、中間熱交換器(56)を構成するプレート式熱交換器は、一般にステンレス製であってアンモニアに対する耐食性を有している。
【0062】
−運転動作−
第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩していない通常の場合、本実施形態2に係る冷熱搬送装置では、補助循環ポンプ(52)は停止され、第1手動弁(53)及び第2手動弁(55)は閉鎖されている。この状態で、上記冷熱搬送装置は、上記実施形態1のものと同様の動作により、冷熱の搬送を行う。つまり、第1〜第3循環ポンプ(14,16,18)や供給用ポンプ(27)を運転し、第1〜第3冷凍機(61,62,63)で冷却されたブラインを利用側の冷却用部材(70)へ供給する。
【0063】
本実施形態2に係る冷熱搬送装置において、アンモニア検出装置(40)がブライン中のアンモニアを検出すると、第1遮断弁(31)及び第2遮断弁(32)が閉鎖されると共に、第1循環ポンプ(14)及び第1冷凍機(61)の運転が停止される。この動作は、上記実施形態1と同様である。
【0064】
ここで、第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩しても、その漏洩速度が遅ければ第1冷凍機(61)の運転を継続できる場合もある。また、第2冷凍機(62)及び第3冷凍機(63)の冷凍能力だけでは利用側の熱負荷に対応できないときには、多少無理をしても第1冷凍機(61)の運転を継続させたい場合もある。そこで、このような場合には、第1手動弁(53)及び第2手動弁(55)を開き、第1循環ポンプ(14)、補助循環ポンプ(52)、及び第1冷凍機(61)を起動する。
【0065】
この状態において、第1冷凍機(61)で冷却されたブラインは、中間熱交換器(56)の第1流路(57)へ送り込まれる。一方、利用側の冷却用部材(70)で吸熱しで第1回路(11)へ流入したブラインは、中間熱交換器(56)の第2流路(58)へ送り込まれる。中間熱交換器(56)では、第1流路(57)のブラインと第2流路(58)のブラインとが熱交換を行う。そして、第2流路(58)のブラインは、第1流路(57)のブラインによって冷却される。冷却された第2流路(58)のブラインは、第2冷凍機(62)や第3冷凍機(63)で冷却されたブラインと共に、利用側の冷却用部材(70)へ供給される。一方、第1流路(57)において吸熱したブラインは、第1冷凍機(61)へ送られて再び冷却される。
【0066】
その際、第1冷凍機(61)で冷却されたブラインには、アンモニアが混入している。しかしながら、このブラインは中間熱交換器(56)の第1流路(57)を通って第1冷凍機(61)へ戻されるため、アンモニアにより汚染されたブラインが利用側の冷却用部材(70)へ送られることはない。このように、本実施形態2によれば、第1冷凍機(61)からアンモニアが漏洩している状態であっても、冷却用部材(70)への悪影響を回避しながら第1冷凍機(61)の運転を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ビール製造ラインの概略構成図である。
【図2】 実施形態1に係る冷熱搬送装置の配管系統図である。
【図3】 実施形態1に係るアンモニア検知部の概略構成図である。
【図4】 実施形態2に係る冷熱搬送装置の配管系統図である。
【図5】 従来技術に係る冷熱搬送装置の配管系統図である。
【符号の説明】
(10) 循環管路
(12) 戻し管路(復管路)
(13) 送出管路(往管路)
(31) 第1遮断弁(第1遮断機構)
(32) 第2遮断弁(第2遮断機構)
(33) ホールディングタンク(タンク)
(40) アンモニア検出装置(アンモニア検出手段)
(51) 第1補助管路(第1管路)
(54) 第2補助管路(第2管路)
(56) 中間熱交換器
(61) 第1冷凍機
(62) 第2冷凍機
(63) 第3冷凍機
(70) 冷却用部材
Claims (2)
- アンモニアを冷媒とする冷凍機(61)と対象物を冷却するための冷却用部材(70)とに接続する循環管路(10)を備え、該循環管路(10)で伝熱媒体を循環させて上記冷凍機(61)の冷熱を冷却用部材(70)へ搬送する冷熱搬送装置であって、
上記循環管路(10)には、上記冷凍機(61)で冷却された伝熱媒体が流れる往管路(13)と、上記冷凍機(61)に向かって伝熱媒体が流れる復管路(12)とが設けられる一方、
上記往管路(13)に設けられて該往管路(13)を流れる伝熱媒体中のアンモニアを検出するアンモニア検出手段(40)と、
上記アンモニア検出手段(40)がアンモニアを検出すると、上記往管路(13)におけるアンモニア検出手段(40)よりも下流側の箇所で伝熱媒体の流通を遮断する第1遮断機構(31)と、
上記アンモニア検出手段(40)がアンモニアを検出すると、上記復管路(12)における伝熱媒体の流通を遮断する第2遮断機構(32)とを備え、
上記アンモニア検出手段(40)は、
伝熱媒体中のアンモニアを検出するアンモニア検出部(43)と、
上記往管路(13)を流れる伝熱媒体の一部を取り込んで上記アンモニア検出部(43)へ供給し、該アンモニア検出部(43)を通過した伝熱媒体を上記往管路(13)へ戻すサンプル用管路(41)と有しており、
上記往管路(13)のうち上記アンモニア検出手段(40)の設置箇所と上記第1遮断機構(31)により遮断される箇所との間の部分の容積は、アンモニアの混入した伝熱媒体が上記往管路(13)から上記サンプル用管路(41)へ流入してから該伝熱媒体中のアンモニアを上記アンモニア検出部(43)が検出するまでに経過する時間内に冷凍機(61)から送出される伝熱媒体の体積以上となっている冷熱搬送装置。 - 請求項1に記載の冷熱搬送装置において、
往管路(13)におけるアンモニア検出手段(40)の設置箇所と第1遮断機構(31)により遮断される箇所との間には、往管路(13)の容積を稼ぐためのタンク(33)が設けられている冷熱搬送装置。
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