JP2000179974A - アンモニア吸収冷凍機、および、同冷凍系統の構成方法 - Google Patents

アンモニア吸収冷凍機、および、同冷凍系統の構成方法

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JP2000179974A
JP2000179974A JP10361381A JP36138198A JP2000179974A JP 2000179974 A JP2000179974 A JP 2000179974A JP 10361381 A JP10361381 A JP 10361381A JP 36138198 A JP36138198 A JP 36138198A JP 2000179974 A JP2000179974 A JP 2000179974A
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ammonia absorption
absorption refrigerator
ammonia
brine
heat exchanger
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Keiji Tachibana
慶二 立花
Kenji Machizawa
健司 町澤
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Hitachi Building Equipment Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メーカーから出荷された冷凍機ユニット30
を冷凍設備構築現場に設置する際、ブライン配管工事の
必要を無くし、かつ、フロン公害の発生を未然に防止す
る。 【解決手段】 1個の冷凍機ユニット30を形成してい
る冷凍機ケーシング16の中に、ブラインを循環流動せ
しめつつ冷却する機能を有するアンモニア吸収冷凍機の
本体部17と、上記のブラインを冷却側とする熱交換器
24とを組み込み、上記ブライン循環流路を冷凍機ケー
シング16の中で完結させる。これにより、冷凍機ユニ
ット30の機外においてブライン配管する必要が無くな
る。前記熱交換器24の被冷却側は、工場出荷時には空
でも良い。冷凍設備構築現場において冷熱負荷機器(例
えばファン・コイルユニット)と配管接続して水を注入
すれば良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア吸収冷
凍機、および、該アンモニア吸収冷凍機と冷熱負荷機器
とによって構成されるアンモニア吸収冷凍系統に関する
ものである。ただし、専用の冷凍機ではなく暖房機能を
兼ねたアンモニア吸収冷温水機についても、冷凍運転を
実施する場合は本発明におけるアンモニア吸収冷凍機に
属する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連する先行技術として、アン
モニア水溶液を循環せしめる方式の吸収式冷温水機と、
水冷チラー形冷房装置とが有る。アンモニア水溶液を循
環せしめる方式の吸収式冷温水機は、アンモニア液を蒸
発させて蒸発潜熱を奪うことにより熱搬送媒体であるブ
ラインを冷却するという点で本発明の先行技術であり、
水冷チラー形冷房装置は、冷水を熱搬送媒体として最終
対象物(例えば室内空気)を冷却するという点で先行技
術である。図4は、密閉循環系の中でアンモニア水溶液
を循環せしめる方式の吸収式冷凍機の1例を示す模式的
な断面図に、流動方向を表す矢印を付記した構造,機能
の説明図である。発生器11の中のアンモニア水溶液
は、バーナ12によって加熱され、アンモニア蒸気とア
ンモニア水溶液とに分けられる、アンモニア蒸気を分離
されたアンモニア水溶液の濃度は低くなる(説明の便宜
上、これを希薄アンモニア水と呼ぶことにする)。
【0003】アンモニア蒸気は凝縮器13に導かれ、熱
交換器として作用する蛇行管路を流通しつつ冷却ファン
Fによって冷却され、凝縮してアンモニア液となる。こ
のとき発生する液化潜熱は上記冷却ファンの風冷によっ
て奪われる。上記凝縮器13内で液化せしめられたアン
モニア液は膨脹弁で減圧された蒸発器14に送られ、熱
交換器として作用するコイル状管路内で気化し、アンモ
ニア蒸気となる。上記の気化によって気化潜熱が奪わ
れ、アンモニア蒸気の温度が低下する。一方、発生器1
1の中でアンモニア蒸気を発生させて形成された希薄ア
ンモニア水は、膨脹弁を経て吸収器15の上部に導か
れ、スプレー15sからシャワー状に雨下せしめられ
る。前記蒸発器14内で気化したアンモニア蒸気も上記
の吸収器15内に導かれる。該吸収器15内を雨下する
希薄アンモニア水は、蒸発器14から導入されたアンモ
ニア蒸気を吸収する。この際、発生する吸収熱は冷却フ
ァン14によって大気中に放散され、吸収器内の圧力上
昇を防ぎ、蒸発器14で発生したアンモニア蒸気は吸収
器15へ連続的に導入される。吸収器15内でアンモニ
ア蒸気を吸収して濃厚となったアンモニア水溶液は、吸
収器15の底部に溜まり、溶液ポンプPによって前記発
生器11に返送される。返送されたアンモニア水溶液は
先に述べたようにバーナ12で加熱されてアンモニア蒸
気を発生し、以降、これらの作動を繰り返して冷凍サイ
クルが構成される。
【0004】図4を参照して以上に説明した発生器11
と、凝縮器13と、蒸発器14内のコイル管と、吸収器
15とを連結して成る循環路は密閉系を形成し、厳格に
気密が保たれる。上記密関系の中でアンモニアと水とは
気相と液相との間で相変化を繰り返し、これに伴って熱
の吸収,放出が行なわれる。アンモニア蒸気の気化によ
って熱の吸収が行なわれる蒸発器14内に、ブライン
(不凍液)が循環せしめられ、前記コイル管内の低温の
アンモニア蒸気との間で熱交換が行なわれる。上記のブ
ラインはブラインポンプP′に吸収されて矢印aのよう
に圧送され、冷熱負荷(例えばファン・コイルユニット
10)に供給される。上記ファンコイルユニット10か
ら矢印bのように還流したブラインは蒸発器14の頂部
付近に導かれて雨下せしめられる。該ブラインは、アン
モニア蒸気が液化しつつ流通しているコイル管の外周面
に接触しつつ流下して熱を奪われて低温になる。上述の
ように、ブラインはブラインポンプP′によって循環せ
しめられつつ、蒸発器14で冷却されて低温になり、フ
ァンコイルユニットで熱を吸収して昇温し、昇温したブ
ラインは蒸発器14で戻って再び冷却され、この作用を
連続的に繰り返すことにより、ファンコイルユニットを
介して冷却目的物(例えば室内空気)の冷却機能を果た
す。
【0005】図5は、電気モータ駆動方式の水冷チラー
形冷房装置の従来例を示す模式的な系統図に、熱搬送媒
体の循環流動方向を標示する矢印、冷水の循環流動方向
を標示する矢印、および冷却水の循環流動方向を標示す
る矢印を記入した、構造・機能の説明図である。符号1
を付して示したものは、当該水冷チラー形冷房装置の原
動力を発生するパッケージポンプであって、熱搬送媒体
である代替フロン(HCFC)の蒸気を吸入して圧縮・
吐出する圧縮ポンプ1aと、該圧縮ポンプを回転駆動す
る電気モータ1bとが一体的に連結され、缶体の中に封
入されている。前記の電気駆動式圧縮ポンプ1aは、熱
搬送媒体の蒸気を矢印aのように吸入して圧縮し、矢印
bのように吐出する。吐出された熱搬送媒体蒸気は断熱
圧縮現象によって温度上昇している。上述のごとく圧縮
されて高温になった熱搬送媒体蒸気は、矢印b,cのよ
うに凝縮器2を流通する。この凝縮器2は、クーリング
タワー5を備えた熱交換器であって、冷却水ポンプ駆動
モータ3で回転駆動される冷却水ポンプ4が、冷却水を
矢印d,eのごとく循環せしめている。矢印bのように
凝縮器2に流入した熱搬送媒体蒸気は、冷却されて液化
し、熱搬送媒体液は矢印cのように膨脹弁6を流通し
て、蒸発器7に供給される。上記の膨脹弁6は、熱搬送
媒体の流量を制御するための重要な構成部材であって、
流量が不足すると当該水冷チラー形冷房装置が所望の冷
房能力を発揮することができない。また、流量が過大で
あると圧縮ポンプ1aの吐出熱搬送媒体蒸気が過熱した
り、該圧縮ポンプ1aの吸入熱搬送媒体蒸気に液滴が混
入して圧縮ポンプ1aを損耗させる虞れが有ったりする
ので著しく不都合である。
【0006】蒸発器7に流入した熱搬送媒体液は該蒸発
器7内で膨脹して気化し、気化潜熱を吸収して低温とな
る。上記の蒸発器は、低温の熱搬送媒体によって冷水を
冷却する熱交換器であって、冷水ポンプ駆動モータ9に
よって回転駆動される冷水ポンプ8が、矢印f,gのご
とく冷水を循環させている。蒸発器7内で冷却された冷
水は、室内機であるファン・コイルユニット10に流通
し、室内空気を吹きさけられてこれと熱交換することに
より冷房機能を果たす。蒸発器7内で冷水から熱を奪っ
た熱搬送媒体蒸気は昇温して矢印aのように圧縮ポンプ
1aに吸入され、以下、前述した圧縮→凝縮→膨脹→気
化の冷房サイクルを繰り返す。従来一般に、クーリング
タワー5は室外に設置される。その他の主要構成機器で
あるパッケージポンプ1、凝縮器2、蒸発器7、および
ファン・コイルユニット10は室内に設置される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図5に示した従来例の
水冷チラー形冷房装置は、室内機であるファン・コイル
ユニット10に流通している熱搬送媒体が水(冷水)で
あるから、その配管に特殊技術を要しない。従って、冷
房対象である各部屋の使用情況の変化に対応してファン
・コイルユニット10を増設したり、移動させたり、も
しくは取り外したりする作業が容易である上に、万一、
熱搬送媒体である水が漏洩しても格別に重大なトラブル
を生じる虞れが無い。しかし、この水冷チラー形冷房装
置は、冷媒としてフロンを用いているので公害を生じる
虞れが有る。本従来例の水冷チラー形冷房装置は冷媒と
して代替フロンを用いているので、オゾン層破壊公害の
危険性は少ないが、地球温暖化公害を生じるという問題
が有る。
【0008】一方、図4に示したアンモニア吸収冷凍機
は、冷媒としてアンモニア水を用いており、オゾン破壊
公害や地球温暖化公害を招く虞れが無い。しかし、ファ
ン・コイルユニット10にブラインを流通させるので、
その取扱いが容易でないという問題が有る。ブライン
は、凍結温度が低く、比熱が大きく、熱伝動率が良く、
粘性の小さい、化学的に不活性の液体であることを要
し、エチレングコール水溶液,塩化カルシウム水溶液,
アルコール類などが用いられるが、いずれも水よりも高
価であり、万一漏れ出したときの被害が漏水よりも大き
く、配管工事に特殊な技術が必要であるため、ファン・
コイルユニット10の増設工事,移転工事,および取外
し工事が容易でない。
【0009】そこで、例えばアンモニア吸収冷凍機など
のようにフロンを用いない方式の冷凍機ユニットによっ
て循環せしめられる低温のブラインと、冷水循環方式の
ファン・コイルユニットを循環流動せしめられる水流と
の間に熱交換器を設けることによって、フロンを用いる
ことなく冷水循環方式のファン・コイルユニットを用い
ることが行なわれている。図6は、フロンを用いない型
式の冷凍機ユニットと、冷水循環方式のファン・コイル
ユニットとを、熱交換器を介して接続した冷凍系統の公
知例を示し、(A)は1個の冷凍機ユニットと1個のフ
ァン・コイルユニットとを接続した状態の模式的な系統
図、(B)は複数個の冷凍機ユニットと複数個のファン
・コイルユニットとを接続した状態の模式的な系統図で
ある。
【0010】本発明の従来例および実施例におけるファ
ン・コイルユニットは「冷水循環を受ける冷熱負荷機
器」の1例であって、産業用の低温槽や恒温槽で代替す
ることができる。ここに言う産業用とは生産用よりも広
義であって、第3次産業および研究活動を含む意であ
る。図6(A)において、冷凍機ユニット31はブライ
ン配管35に低温のブラインを循環流動させる。一方、
冷水ポンプ34は、冷水配管33に冷水を循環流動させ
る。この例では、比較的小容量の熱交換器32(次に述
べる図6(B)の例に比して小容量であるという、相対
的な小容量の熱交換器)が、ブラインを冷却流体とし、
冷水を被冷却流体として熱交換を行なわせる。上記の熱
交換によって降温した冷水は、ファン・コイルユニット
10を流通する際に室内空気から熱を奪って冷房機能を
果たし、昇温した冷水は再び前記小容量熱交換器32で
冷却され、以下、これを繰り返す。
【0011】図6(B)の場合も、本質的には前記の
(A)図におけると同様の動作をするのであるが、4個
の冷凍機ユニット31によって4個のファン・コイルユ
ニットを作動させるので、(A)図におけるよりも大容
量の熱交換器36が設置され、大流量のブラインと大流
量の冷水との間で熱交換が行なわれる。このような構成
の冷房設備の構築は、実際問題として設備業者によって
施工される。設備業者は、施工主から冷房能力に関する
仕様を与えられ、これに基づいて各種メーカーの冷凍機
ユニットのカタログ、各種メーカーのファン・コイルユ
ニットのカタログ、および各種メーカーの熱交換器メー
カーのカタログを比較参照して、所要性能の冷凍機ユニ
ットと所要性能のファン・コイルユニットと所要性能の
熱交換器とを選定する。このような事情であるから、選
定された機器類は必ずしも同一メーカーの製品であると
は限らず、むしろ、異なったメーカーの機器類を組み合
わされる場合が多い。
【0012】メーカーが異なれば設計条件も異なる上
に、各メーカーそれぞれが技術的識見に基づくマージン
(設計の余裕)を含めて定格数値を設定しているので、
図6のように組み合わせて構成された冷房設備を構成し
ている機器類相互の間における性能特性のバランスは必
ずしも良くはない。少なくとも、同一メーカーにおいて
各構成機器の性能特性をマッチングさせて設計,制作さ
れた場合に比して無駄が多くなる。そして、本図6に示
したような冷房設備を構築するにはブライン配管工事を
伴うので特殊な技能工による作業が必要となる。さら
に、冷房設備の運営は固定的なものではなく、例えば建
屋の増,改築や使用情況の変化に対応して、ファン・コ
イルユニットの増設,移転,取外しが必要となり、これ
らの場合には冷凍機ユニットも増減されるので、ブライ
ン配管工事を必要とする。のみならず、ファン・コイル
ユニットや冷凍機ユニットの増減によって、既設熱交換
器の容量に過不足を生じるので、熱交換器を増設もしく
は交換しなければならなくなり、冷房設備を構築した後
の情況変化に対する順応に多大の時間と費用とを必要と
する。
【0013】本発明は上述の事情に鑑みて為されたもの
であって、(a)メーカーから出荷された機器を現場で
設置する際にブライン配管工事を必要とせず、(b)冷
熱負荷機器(例えばファン・コイルユニット)からブラ
インが漏れる虞れが無く、(c)フロン公害(オゾン層
破壊および地球温暖化)を発生させる虞れが全く無く、
(d)冷凍設備を構成している各機器相互の性能特性が
良くバランスしていて、(e)新設時の設備設計も、
増,改築時の施工設計も容易で、施工のコストが低廉
な、冷凍技術を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的な原理について、その1実
施形態に対応する図1を参照して略述すると、メーカー
から出荷された冷凍機ユニット30を冷凍設備構築現場
に設置する際、ブライン配管工事の必要を無くし、か
つ、フロン公害の発生を未然に防止するため、1個の冷
凍機ユニット30を形成している冷凍機ケーシング16
の中に、ブラインを循環流動せしめつつ冷却する機能を
有するアンモニア吸収冷凍機の本体部17と、上記のブ
ラインを冷却側とする熱交換器24とを組み込み、上記
ブラインの循環流路を冷凍機ケーシング16の中で完結
させる。これにより、冷凍機ユニット30の機外におい
てブライン配管をする必要が無くなる。前記熱交換器2
4の被冷却側は、工事出荷時には空でも良い。冷凍設備
構築現場において冷熱負荷機器(例えば図外のファン・
コイルユニット)と配管接続して水を注入すれば良い。
【0015】以上に述べた原理に基づく具体的な構成と
して請求項1の発明に係るアンモニア吸収冷凍機は、加
熱手段を備えた発生器と、上記発生器で発生したアンモ
ニア蒸気を冷却して液化させる凝縮器と、上記凝縮器で
液化したアンモニア液を蒸発させてブラインを冷却する
蒸発器と、上記蒸発器の中へブラインを循環流動させる
ブライン配管およびブラインポンプを具備しているアン
モニア吸収冷凍機において、1組のアンモニア吸収冷凍
機ユニット毎に、当該アンモニア吸収冷凍機の冷却能力
に見合う容量の熱交換器が設けられていることを特徴と
する。以上に説明した請求項1の発明によると、冷媒と
してフロンを用いないアンモニア吸収冷凍機を採用して
いるので、フロン公害を発生する虞れが無い。そして、
1個のアンモニア吸収冷凍機ユニットを構成している冷
凍機本体部の冷凍能力と、熱交換器の熱交換容量とがバ
ランスしているので、双方の機器が過不足無く性能を発
揮することができ、しかもオーバーロードとなる虞れが
無く、安定した作動が行なわれる上に、各構成機器の性
能バランスに無駄が無いので、能力に比しての製造コス
トが低廉である。さらに、1組の冷凍機ユニット内に熱
交換器が組み込まれているので、ブラインの循環流動経
路が冷凍機ユニット内で完結し、該ユニットの外部配管
としてのブライン配管工事を必要としない。従って、冷
凍設備の新設工事においても、該冷凍設備の増設,移転
に際してもブライン配管工事を必要としないので施工の
コストが低廉で、工期が短い。
【0016】請求項2の発明に係るアンモニア吸収冷凍
機の構成は、前記請求項1の発明の構成要件に加えて、
前記の熱交換器が、アンモニア吸収冷凍機ユニットのケ
ーシング内に収納されており、かつ、前記のブライン配
管が上記熱交換器の1次側流路、および前記ブラインポ
ンプ、並びに蒸発器をシリーズに接続して密閉された循
環系を形成していることを特徴とする。以上に説明した
請求項2の発明によると、アンモニア吸収冷凍機のユニ
ット毎にブラインを循環させる流路が形成されて、該循
環系の中のブラインはブラインポンプによって蒸発器内
を流通する間にアンモニア液に気化潜熱を与えて該アン
モニア液を気化させるとともに、該ブライン自身は顕熱
を奪われて降温し、降温した状態で熱交換器の1次側流
路を流通する。降温して低温となったブラインは熱交換
器の1次側を流通しつつ、2次側流路内の流体(冷水)
から熱を奪って、該流体を冷却する。このようにして、
冷却された冷水水流を発生させるので、この冷水流を冷
熱負荷機器(例えばファン・コイルユニット)に循環供
給することができる。この場合、重要なことは、アンモ
ニア吸収冷凍機ユニットの中で、「冷却された冷水」が
形成されるということである。こうした作用により、ア
ンモニア吸収冷凍機ユニットに対して冷水配管を接続し
て冷水流を取り出すことができ、ブライン配管を必要と
しない。さらに、ブラインの循環系統はアンモニア吸収
冷凍機ユニットの内部に形成されていて、アンモニア吸
収冷凍機ユニット外を流動することが無い。従って、該
アンモニア吸収冷凍機の外部接続配管からブラインが漏
れ出すというトラブルは発生し得ない。その上、ブライ
ンを流通せしめる外部配管を設けないので、ブラインの
必要量が少なくて済み、当該アンモニア吸収冷凍機と冷
熱負荷(例えばファン・コイルユニット)との間の熱の
搬送は、ブラインに比して安価で扱い易い水を熱媒体と
して用いるので経済的である。
【0017】請求項3の発明に係るアンモニア吸収冷凍
機の構成は、前記請求項1もしくは同2の構成要件に加
えて、前記の熱交換器が、1次側流路とパラレルに配置
されたバイパス管路を有しており、かつ、ブラインポン
プの吐出流量を上記熱交換器1次側流路と、バイパス管
路とに対して所望の比率で配分する機能を備えた弁手段
を具備していることを特徴とする。以上に説明した請求
項3の発明によると、各アンモニア吸収冷凍機ユニット
毎に、熱交換器のブライン流量を制御して、その実質的
熱交換容量を任意に増減調節することができる。このた
め、冷熱負荷からの冷熱供給要求量(冷水循環供給の顕
熱量)の変化に対応して、アンモニア吸収冷凍機ユニッ
トの冷凍能力を増減調節して、冷凍系統全体の熱バラン
スを安定させることができる。アンモニア吸収冷凍機は
一般に、温度センサおよび自律的な制御機能を有してい
るので、熱交換器の実質的な容量が定格値のnパーセン
トになれば、発生器の加熱手段の発熱量が自動的にnパ
ーセントに抑制されて、ユニット毎に熱バランスが保た
れる。ただし、nは1未満の正の数である。請求項4の
発明に係るアンモニア吸収冷凍機の構成は、前記請求項
1ないし請求項3の発明の構成要件に加えて、前記の
「冷却能力に見合う熱交換器を備えたアンモニア吸収冷
凍機ユニット」が複数基配置されていて、上記アンモニ
ア吸収冷凍機ユニットそれぞれの熱交換器の2次側流路
に弁手段が設けられるとともに、該それぞれの熱交換器
2次側流路が相互にパラレルに接続されており、一方、
複数個の冷熱負荷機器が、弁手段を介してパラレルに配
管されていて、前記「パラレルに接続されたアンモニア
吸収冷凍機ユニットの熱交換器2次側流路」と、「複数
個の冷熱負荷機器を接続した配管」とが、相互に接続配
管されていて、上記熱交換器2次側流路および接続配管
の中に、熱搬送媒体としての水が注入されていることを
特徴とする。以上に説明した請求項4の発明によると、
複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニットそれぞれの冷凍
機本体部分は独立したアンモニア吸収冷凍サイクルを形
成するとともに、各アンモニア吸収冷凍機ユニット毎に
独立したブライン循環系を有しているので、これらの独
立したアンモニア吸収冷凍サイクルおよび独立したブラ
イン循環系はそれぞれプレセットしておくことができ
る。従って、上記のプレセットされた構成部分について
は、あらためて調整を施すことなく、熱交換器の2次側
流路相互を接続配管することによって、複数基のアンモ
ニア吸収冷凍機ユニットを並列運転することができる。
上記の並列運転は、複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニ
ットを冷水流で接続することによって行なわれるので、
配管接続が容易である(すなわち、ブライン配管を必要
とせず、高圧水配管を必要とせず、低圧水の配管工事で
足りる)ので、新設工事も、増,減設、移転工事も容易
に、安全に,低コストで、短工期で施工することができ
る。
【0018】請求項5の発明に係るアンモニア吸収冷凍
機の構成は、前記請求項4の発明の構成要件に加えて、
前記複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニット設けられて
いる弁手段の少なくとも一部分は電動弁もしくは電磁弁
であり、該アンモニア吸収冷凍機ユニットの冷凍機本体
に設けられている電動機の少なくとも一部分は、起動・
停止用のリレー手段を備えており、前記の冷熱負荷機器
は空調用のファン・コイルユニットであって、それぞれ
操作パネルを備えており、上記操作パネルから出力され
る指令信号を受け、予め与えられたプログラムに従って
演算し、前記電動弁もしくは電磁弁および/または前記
リレー手段に対して指令信号を出力して、必要基数のア
ンモニア吸収冷凍機ユニットを作動させるとともに、そ
の他のアンモニア吸収冷凍機ユニットを休止せしめる機
能を有するCPUが設けられていることを特徴とする。
以上に説明した請求項5の発明によると、複数個のファ
ン・コイルユニットからの冷水供給要求に応じて、必要
基数のアンモニア吸収冷凍機ユニットを作動せしめて、
その他のアンモニア吸収冷凍機ユニットを休止せしめる
ことにより、必要基数のアンモニア吸収冷凍機ユニット
のみを、効率の良い負荷率で運転するとともに、その他
のアンモニア吸収冷凍機ユニットに「非効率的なアイド
リング運転,もしくは非効率的な低負荷率運転」を行な
わせないので、複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニット
全体としての総合的な効率が高い。冷水供給要求に対応
して必要基数のアンモニア吸収冷凍機ユニットを作動さ
せるということのみを見れば公知技術のように思われる
かも知れないが、本請求項の発明においては上記複数基
のアンモニア吸収冷凍機ユニットそれぞれの冷凍機本体
部分が独立してプリセットされるとともに、独立したブ
ライン循環系を備えており、かつ、該複数基のアンモニ
ア吸収冷凍機ユニット相互が冷水配管によって接続され
ているので、ファン・コイルユニットを含めた冷房設備
全体として、冷熱負荷機器の作動条件の変動に拘らず常
に安定した状態で自動的に制御することができる。
【0019】請求項6の発明に係るアンモニア吸収冷凍
機の構成は、前記請求項4に係る発明の構成要件に加え
て、前記複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニットに設け
られている弁手段の少なくとも一部分は電動弁もしくは
電磁弁であり、該アンモニア吸収冷凍機ユニットの冷凍
機本体に設けられている電動機の少なくとも一部分は、
起動・停止用のリレー手段を備えており、前記の冷熱負
荷機器は産業用の低温槽もしくは恒温槽であって、それ
ぞれ操作パネルを備えており、上記操作パネルから出力
された指令信号を受け、予め与えられたプログラムに従
って演算し、前記電動弁もしくは電磁弁および/または
前記リレー手段に対して指令信号を出力して、必要基数
のアンモニア吸収冷凍機ユニットを作動せしめるととも
に、その他のアンモニア吸収冷凍機ユニットを休止せし
める機能を有するCPUが設けられていることを特徴と
する。以上に説明した請求項6の発明によると、冷水の
循環供給を受ける構造の各種産業用冷熱負荷機器に対し
て、常に必要に応じた流量の冷水を自動的に供給するこ
とができ、しかもアンモニア吸収冷凍機ユニットの必要
基数のみを高効率の負荷状態で運転することができる。
すなわち、効率の良くない低負荷率での運転を自動的に
回避することができる。その上、複数のアンモニア吸収
冷凍機ユニットは、それぞれのユニット機器内にブライ
ン循環流路を備えていて、ユニット機器外にはブライン
配管を有しておらず、ユニット機器の外部配管は冷水用
の配管のみで足りる。従って、必要とするブラインの量
が少なくて経済的である上に、冷熱負荷機器の近傍でブ
ライン漏出事故を発生する虞れが全く無く。このような
特長は、ブラインの混入を特に禁忌されるような産業用
冷熱負荷(例えば化学反応用の低温槽)において重要な
実用的価値を有する。
【0020】請求項7に係る発明方法の構成は、加熱手
段を備えた発生器と、上記発生器で発生したアンモニア
蒸気を冷却して液化させる凝縮器と、上記凝縮器で液化
したアンモニア液を蒸発させてブラインを冷却する蒸発
器と、上記蒸発器の中へブラインを循環流動させるブラ
イン配管およびブラインポンプとを具備しているアンモ
ニア吸収冷凍機を構成する方法において、前記の加熱手
段を定格状態で作動せしめているときに、当該アンモニ
ア吸収冷凍機が発生する冷却能力を算定し、もしくは実
験的に計測し、上記冷却能力に相当する熱量を冷水から
奪い得る熱交換容量を有する熱交換器を構成して、1組
の「アンモニア水溶液、アンモニア蒸気、およびアンモ
ニア液の循環系」を一つの単位として、これに対して前
記熱交換器の1個を組み合わせて、アンモニア吸収冷凍
機ユニットを構成することを特徴とする。以上に説明し
た請求項7の発明方法によると、1組のアンモニア吸収
冷凍機ユニットを構成する冷凍機本体部(アンモニア水
溶液・アンモニア蒸気・アンモニア液の循環系の構成部
分)の冷却能力と、該アンモニア吸収冷凍機ユニットに
組み込まれる熱交換器の熱交換容量とが、設計計算もし
くは実験的計測によってマッチングした状態にプリセッ
トされる。従って、上述のように構成された1組のアン
モニア吸収冷凍機ユニットは、ユニット毎に熱的にバラ
ンスしている(すなわち、構成機器相互の熱的性能がバ
ランスしている)。このため、本請求項を適用して構成
されたアンモニア吸収冷凍機ユニットは、これの複数個
を設置する場合にもユニット相互の間で詳細な情報交換
や詳細な連繋制御を行なう必要が無く、単に起動・停止
の指令を与えるだけで各アンモニア吸収冷凍機が自律的
に制御され、ユニット毎に高い効率で安定した作動が行
なわれるとともに、それぞれのアンモニア吸収冷凍機ユ
ニットの出力は「冷水」という形で行なわれる。従っ
て、各アンモニア吸収冷凍機ユニットの出力を統合する
ことは、冷水配管による「冷水流の合流」によって行な
うことができる。また、同様の理由により、冷水流を分
流せしめることによって冷凍出力を分配することもでき
る。
【0021】請求項8に係る発明方法の構成は、前記請
求項7の発明方法の構成要件に加えて、アンモニア吸収
冷凍機のユニット毎にケーシングを構成し、1個のケー
シングの中に1組のアンモニア吸収冷凍機のアンモニア
循環系と、1個の熱交換器を組み込み、もしくは機能的
に1個の熱交換器と等価な複数個の熱交換器を組み込
み、前記アンモニア吸収冷凍機の蒸発器に接続されるブ
ライン循環系の配管を、上記熱交換器の1次側に接続
し、かつ上記ブライン循環系の中にブラインを注入して
封入することを特徴とする。以上に説明した請求項8の
発明方法によると、メーカーから出荷される状態におい
て、アンモニア吸収冷凍機ユニットが、ケーシングの中
に「完成されたブライン循環系」と、「冷水管路接続用
の管接手」とを有する「市場流通性を有する1個の商
品」の形態を整えることができる。従って、冷凍能力を
異にする各種仕様のアンモニア吸収冷凍機ユニットを生
産して市場に供給すれば、設備業者は難しい設備設計を
行なう必要無く、所望の仕様の、1個もしくは複数個の
アンモニア吸収冷凍機ユニットを購入して、ブライン配
管工事を行なうこと無く、所望の冷凍機能を有する冷凍
設備(空調設備、もしくは、その他各種の産業用設備)
を、容易に、迅速に、かつ低コストで構築することがで
きる。
【0022】請求項9に係る発明方法の構成は、前記請
求項7もしくは請求項8の発明方法の構成要件に加え
て、前記熱交換器の1次側流路に、弁手段を備えたバイ
パス管路を設け、上記弁手段を操作して熱交換器1次側
のブライン流量を制御することにより、当該アンモニア
吸収冷凍機ユニットごとに冷凍能力負荷率を増減調節す
ることを特徴とする。
【0023】以上に説明した請求項9の発明方法による
と、アンモニア吸収冷凍機ユニットごとに、それぞれの
熱交換器の1次側のブライン流量を制御して、各アンモ
ニア吸収冷凍機ユニットの冷熱出力を個別に増減調節で
きるので、冷熱負荷機器(例えばファン・コイルユニッ
ト)側からの要求の変化に応じて冷却能力を変化させて
順応することができる。アンモニア吸収冷凍機の冷熱出
力は、原理的には発生器の入熱量を比例する。すなわ
ち、発生器の加熱する手段(例えばバーナーや電気ヒー
ター)の発熱量に比例する。しかし、実際問題としてア
ンモニア吸収冷凍機は発生器加熱手段を自動的に制御す
る機構を有しているので、本請求項の発明方法を適用し
てアンモニア吸収冷凍機ユニットの冷熱出力を制御すれ
ば、実質的にアンモニア吸収冷凍機ユニット全体とし
て、熱的作動バランスを崩すことなく、その冷熱出力が
増減調節される。
【0024】請求項10に係る発明方法の構成は、前記
請求項7ないし請求項9の発明の構成要件に加えて、冷
凍能力を異にする複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニッ
トを準備しておき、冷水の循環供給を受ける冷熱負荷機
器を増設し、もしくは減少させる工事に対応して、冷凍
能力の合計が所望の値を概ね等しく、かつ所望の値より
も小さくないように、1基もしくは複数基のアンモニア
吸収冷凍機ユニットを選定し、選定されたアンモニア吸
収冷凍機ユニットが1基である場合は、そのユニットに
設けられている熱交換器の2次側流路を前記冷熱負荷機
器に配管接続して冷水の循環流路を形成し、選定された
アンモニア吸収冷凍機ユニットが複数基の場合は、選定
された複数基のユニットそれぞれの熱交換器の2次側流
路を相互にパラレルに接続するとともに、これらの熱交
換器の2次側流路を前記冷熱負荷機器に配管接続して冷
水の循環流路を形成することを特徴とする。以上に説明
した請求項10の発明方法によると、アンモニア吸収冷
凍機ユニットがメーカーにおいて所定の規格仕様で大量
生産されて既製品として市場に供給され、また一方では
建屋や産業設備の構築設計者が独自の設備設計に基づい
て所要の冷凍能力を有する冷凍設備を構成しようとした
場合、施工主の求める冷凍能力に対して過不足の無いア
ンモニア吸収冷凍系統を、主として既製のアンモニア吸
収冷凍機ユニットおよび既製の冷熱負荷機器(例えばフ
ァン・コイルユニット)を組み合わせて構成することが
でき、熱交換器のような主要構成機器を注文生産する必
要が無い。補機器類は別として、主要構成機器の全部を
既製の規格品によって賄い得るので、工期が短くて済
み、設備コストが低廉である。しかも、主要構成機器が
同一メーカーによって設計生産されるので品質の均一性
が保たれるとともに、性能特性がバランスしていて無駄
が無い。しかも、工場から出荷された構成機器類を現地
で配管接続するに際してブライン配管工事やブライン注
入作業を必要としないので、特殊技能を必要とせず、安
全に施工することができる。
【0025】請求項11の発明に係る冷凍系統の構成方
法は、前記請求項10の発明方法の構成要件に加えて、
複数基の、請求項7に係るアンモニア吸収冷凍機ユニッ
トと、複数個の冷熱負荷機器とによってアンモニア吸収
冷凍系統を構成する方法において、それぞれのアンモニ
ア吸収冷凍機ユニットの熱交換器2次側流路をパラレル
に接続配管するとともに、これらの2次側流路を冷熱負
荷機器に配管接続して、冷水の循環流路に形成し、か
つ、それぞれのアンモニア吸収冷凍機ユニットに制御基
板を設けるとともに、それぞれの冷熱負荷機器に操作パ
ネルを設け、上記操作パネルから出力される指令信号を
入力されて、前記制御基板に対して指令信号を出力する
CPUを設けて、上記CPUに予め与えてあったプログ
ラムに従って制御演算を行なわせることにより、冷熱負
荷機器が必要としている冷凍能力の合計量に応じて、所
要の基数のアンモニア吸収冷凍機ユニットを作動せしめ
て、その他のアンモニア吸収冷凍機ユニットを休止せし
めることを特徴とする。以上に説明した請求項11の発
明方法によると、複数個の冷熱負荷機器(例えばファン
・コイルユニット)が、それぞれに冷水循環供給を要求
し、かつ、その要求量が経時的に複雑に変化しても、こ
れらの冷水循環供給の要求量合計に見合って過不足の無
いように、必要基数のアンモニア吸収冷凍機ユニットを
作動せしめるとともに、その他のアンモニア吸収冷凍機
ユニットを休止せしめるので、冷凍系統全体として無駄
の無い、高効率の稼働が自動的に行なわれる。特に、本
請求項においては、複数個のアンモニア吸収冷凍機本体
部のそれぞれが、専用の熱交換器を備えていて、両者が
ブライン循環系で結ばれてアンモニア吸収冷凍機ユニッ
トを構成しているので、アンモニア吸収冷凍機本体部の
運転・休止と、該本体部とペアをなす熱交換器の作動・
休止とが必然的に一致し、これにより、アンモニア吸収
冷凍系統全体が整然と運転され、局部的な熱的不均衡
(ちぐはぐな作動)を生じる虞れが無い。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るアンモニア吸
収冷凍機の1実施形態および外部配管の一部を示す模式
的な系統図であって、1個のアンモニア吸収冷凍機ユニ
ットを形成している冷凍機ケーシングを実線で描くとと
もに、該1個のアンモニア吸収冷凍機ユニットを構成し
ている冷凍機本体部と熱交換器部とのそれぞれを鎖線で
囲んで描いてある。本図1に示した冷凍機本体部17
は、前掲の図4に示した従来例のアンモニア吸収冷凍機
に比して本質的に同様ないし類似の構成部分である。上
記冷凍機本体部17に対して、その冷凍能力に見合う熱
交換容量を有する熱交換器部24がペアとなり、冷凍機
ケーシング16で覆って、機能的にも外観的にも1基の
アンモニア吸収冷凍機ユニット30が構成されている。
この場合、重要なことは、冷凍機本体部17の冷凍能力
と熱交換器部24の熱交換容量とがバランスしているこ
とである。本例においては1個の熱交換器25によって
熱交換器部27を構成しているが、複数個の熱交換器
(図示省略)をパラレルに接続して熱交換器部24を構
成しても、該複数個の熱交換器が機能的に前記1個の熱
交換器25と等価と見做し得れば、本発明においては1
個の熱交換器25として取扱う。
【0027】発生器1の加熱手段であるバーナ12の燃
料パイプ19に、電磁燃料弁20が介挿接続されてい
る。この燃料弁を電磁弁によって構成したのは、後に述
べるように電気的に自動制御するためであって、電磁弁
でなくて電動弁でも良い。同様に、電気的に自動制御す
るため、ファンモータ21、溶液ポンプPの駆動用モー
タ、およびブラインポンプP′用の駆動モータにはリレ
ー手段(図示せず)を設けておく。前記熱交換器25の
冷却側(1次側)流路と、蒸発器4と、ブラインポンプ
P′とをブライン管路35′でシリーズに接続してブラ
イン循環流動回路(ブライン循環系)を形成する。上記
熱交換器25の被冷却側(2次側)は、管継手27を設
けて外部配管と接続できるようになっている。
【0028】前記熱交換器25の冷却側(1次側)流路
と並列にバイパス管路28を設けるとともに、弁手段
(本例では電動三方弁26)を介挿接続して、ブライン
ポンプP′の吐出流量を熱交換器冷却側流路とバイパス
流路とに、任意の比率で分流せしめ得るようになってい
る。例えば上記電動三方弁26がブライン流量を熱交換
器25とバイパス管路とに等分に振り分けた場合、当該
アンモニア吸収冷凍機ユニットの冷凍出力は1/2にな
る。このままで放置すると、アンモニア吸収冷凍機本体
部17のアンモニア循環流路の低温部(蒸発器4の周
辺)は過冷気味となるが、アンモニア吸収冷凍機本体部
17には自律的に作用する制御手段(図示省略)が設け
られていて電磁燃料弁が絞られ、発生器11に対する入
熱量が約1/2に絞られて、自律的に当該アンモニア吸
収冷凍機ユニットの負荷率が約1/2となるので、別段
の不具合を生じない。本例においては、熱交換器25の
2次側流路(被冷却側)とシリーズに、冷水ポンプ18
を配設して、これを冷凍機ケーシング16内に収納し
た。本発明を実施する際、上記冷水ポンプ18を、アン
モニア吸収冷凍機ユニット30の外装部材としてもよ
い。
【0029】図2は、複数基のアンモニア吸収冷凍機ユ
ニットと、多数の冷熱負荷機器としてのファン・コイル
ユニットとによってアンモニア吸収冷凍系統を構成する
とともに、中央処理装置を設けて自動的に制御できるよ
うにした実施形態を模式的に描いた系統図である。3基
の冷凍機ユニット30A,30B,30Cのそれぞれ
は、前掲の図1に示したアンモニア吸収冷凍機ユニット
30におけると同様に、冷凍機本体部および熱交換器部
とを具体するとともに、制御基板が設けられている。上
記制御機板は各ユニット毎に、構成機器類の作動を制御
している。一方、ファン・コイルユニット10A〜10
Eは、多数の冷熱負荷機器の1例として示したものであ
って、産業用の低温槽,恒温槽であっても良く、また、
さらに多数であっても良い。これら多数の冷熱負荷機器
のそれぞれには操作パネルが設けられている。各操作パ
ネルから出力された冷水循環供給を要求する信号はCP
Uに入力される。該CPUは要求信号に基づき、予め与
えられたプログラムに従って演算して冷凍機ユニットの
必要運転基数を算出する。上記CPUは、必要基数の冷
凍機ユニットに対して運転指令信号を出力し、その他の
冷凍機ユニットは休止させておく。本発明においてCP
Uとはアンモニア吸収冷凍機と冷熱負荷機器とを総合的
に自動制御する手段の意であって、例えばマイコンであ
っても良い。例えば1基の冷凍機ユニットの冷凍能力の
1.5倍に相当する冷水循環供給が必要な場合は、3基
の冷凍機ユニット30A,30B,30Cの内の1基を
運転させるとともに1基を休止させ、かつ、もう1基
は、前掲の図1に示した電動三方弁26によって半負荷
運転させる。
【0030】図3は、冷凍能力を異にする複数基のアン
モニア吸収冷凍機ユニットによって構成された冷凍系統
の1実施形態を示すとともに、上記実施形態の冷凍系統
に対して、さらにアンモニア吸収冷凍機ユニットおよび
/またはファン・コイルユニットを増設する方法を説明
するための模式的な配管系統図であって、制御系統の図
示は省略してある。本図3に示した4個のファン・コイ
ルユニット10F〜10Iは、多数の冷熱負荷機器を表
しており、4個という数字に特別の意味は無い。設備設
計において、これら多数の冷熱負荷機器に供給すべき冷
熱量の合計に相当する冷凍能力を有するアンモニア吸収
冷凍機ユニットが、カタログ規格品の中に発見されなか
った場合は、大型のアンモニア吸収冷凍機ユニット30
Dと、小型のアンモニア吸収冷凍機ユニット30Eと
を、メーカーの既製アンモニア冷凍機ユニットの多数の
規格品の中から選定して組み合わせることにより、前記
多数のファン・コイルユニットが要求する冷熱供給量
(冷水循環供給量)にマッチングする冷凍能力ならしめ
る。
【0031】本図3においては、大型,小型のアンモニ
ア吸収冷凍機ユニットの各1基を選定した実施形態を示
したが、本発明を実施する場合はこれに限定されるもの
ではなく、例えば小型のアンモニア吸収冷凍機ユニット
の3基を設置するなど、任意に設備設計することができ
る。この場合、メーカーにおいて数種類の容量のアンモ
ニア吸収冷凍機ユニット規格品をカタログに掲載して市
場に流通させておけば、設備設計者は大きい設計的自由
度を享受することができる。上述のように選定され、設
置された複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニット30
D,30Eと、多数のファン・コイルユニット10F〜
10Iとを配管で接続する場合、図示のごとく冷水配管
33を施工すれば足り、ブライン配管を必要としない。
その理由は、それぞれのアンモニア吸収冷凍機ユニット
の中にブライン循環流路が形成されていて(図1を参照
して既述したとおり)、アンモニア吸収冷凍機ユニット
の外部にブライン管路が延出していないからである。前
記複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニット30D,30
Eの相互が、図示しない弁手段を介して、冷水配管33
によってパラレルに接続されるとともに、多数のファン
・コイルユニット10F〜10Iも相互に冷水配管33
でパラレルに接続される。
【0032】図3を参照して以上に説明した構成部分に
対して、新たなファン・コイルユニット10Jを増設す
る場合は、該増設ファン・コイルユニット10Jの冷熱
負荷の大きさに応じて、これに見合う冷凍能力を有する
アンモニア吸収冷凍機ユニット30Fを増設する。この
増設に伴う配管工事も、冷水配管のみで足り、ブライン
配管を必要としないので、迅速かつ容易に施工すること
ができる。このような増設工事に際して、熱交換器単体
の増設や交換の必要を生じない。その理由は、各アンモ
ニア吸収冷凍機ユニット毎に、冷凍機本体部の性能特性
に対してマッチングされた適正な容量の熱交換器が既に
組み込まれているからである。上記のマッチングは、ア
ンモニア吸収冷凍機メーカーにおいて行なわれるので、
製品品質に関する信頼性が高く、設備設計の手違いによ
ってミスマッチングに因るトラブルを生じる虞れが無
い。さらに、同一メーカーによって、アンモニア吸収冷
凍機ユニットと熱交換器とが、統一された設計基準の下
に設計され、製作され、かつ両者のペアとして出荷検査
されるので高品質低価格を期待することができる。
【0033】特に、アンモニア吸収冷凍機本体部と熱交
換器とが、相互に連繋して設計されるので合理的であ
り、例えば安全係数のとり方について見ても無駄が無
い。その結果、小形、軽量、低コストとなる。
【0034】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明に
よると、冷媒としてフロンを用いないアンモニア吸収冷
凍機を採用しているので、フロン公害を発生する虞れが
無い。そして、1個のアンモニア吸収冷凍機ユニットを
構成している冷凍機本体部の冷凍能力と、熱交換器の熱
交換容量とがバランスしているので、双方の機器が過不
足無く性能を発揮することができ、しかもオーバーロー
ドとなる虞れが無く、安定した作動が行なわれる上に、
各構成機器の性能バランスに無駄が無いので、能力に比
しての製造コストが低廉である。さらに、1組の冷凍機
ユニット内に熱交換器が組み込まれているので、ブライ
ンの循環流動経路が冷凍機ユニット内で完結し、該ユニ
ットの外部配管としてのブライン配管工事を必要としな
い。従って、冷凍設備の新設工事においても、該冷凍設
備の増設,移転に際してもブライン配管工事を必要とし
ないので施工のコストが低廉で、工期が短い。
【0035】請求項2の発明によると、アンモニア吸収
冷凍機のユニット毎にブラインを循環させる流路が形成
されて、該循環系の中のブラインはブラインポンプによ
って蒸発器内を流通する間にアンモニア液を気化潜熱を
与えて該アンモニア液を気化させるとともに、該ブライ
ン自身は顕熱を奪われて降温し、降温した状態で熱交換
器の1次側流路を流通する。降温して低温となったブラ
インは熱交換器の1次側を流通しつつ、2次側流路内の
流体(冷水)から熱を奪って、該流体を冷却する。この
ようにして、冷却された冷水水流を発生させるので、こ
の冷水流を冷熱負荷機器(例えばファン・コイルユニッ
ト)に循環供給することができる。この場合、重要なこ
とは、アンモニア吸収冷凍機ユニットの中で、「冷却さ
れた冷水」が形成されるということである。こうした作
用により、アンモニア吸収冷凍機ユニットに対して冷水
配管を接続して冷水を取り出すことができ、ブライン配
管を必要としない。さらに、ブラインの循環系統はアン
モニア吸収冷凍機ユニットの内部に形成されていて、ア
ンモニア吸収冷凍機ユニット外を流動することが無い。
従って、該アンモニア吸収冷凍機の外部接続配管からブ
ラインが漏れ出すというトラブルは発生し得ない。その
上、ブラインを流通せしめる外部配管を設けないので、
ブラインの必要量が少なくて済み、当該アンモニア吸収
冷凍機と冷熱負荷(例えばファン・コイルユニット)と
の間の熱の搬送は、ブラインに比して安価で扱い易い水
を熱媒体として用いるので経済的である。
【0036】請求項3の発明によると、各アンモニア吸
収冷凍機ユニット毎に、熱交換器のブライン流量を制御
して、その実質的熱交換容量を任意に増減調節すること
ができる。このため、冷熱負荷からの冷熱供給要求量
(冷水循環供給の顕熱量)の変化に対応して、アンモニ
ア吸収冷凍機ユニットの冷凍能力を増減調節して、冷凍
系統全体の熱バランスを安定させることができる。アン
モニア吸収冷凍機は一般に、温度センサおよび自律的な
制御機能を有しているので、熱交換器の実質的な容量が
定格値のnパーセントになれば、発生器の加熱手段の発
熱量が自動的にnパーセントに抑制されて、ユニット毎
に熱バランスが保たれる。ただし、nは1未満の正の数
である。請求項4の発明によると、複数基のアンモニア
吸収冷凍機ユニットそれぞれの冷凍機本体部分は独立し
たアンモニア吸収冷凍サイクルを形成するとともに、各
アンモニア吸収冷凍機ユニット毎に独立したブライン循
環系を有しているので、これらの独立したアンモニア吸
収冷凍サイクルおよび独立したブライン循環系はそれぞ
れプレセットしておくことができる。従って、上記のプ
レセットされた構成部分については、あらためて調整を
施すことなく、熱交換器の2次側流路相互を接続配管す
ることによって、複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニッ
トを並列運転することができる。上記の並列運転は、複
数基のアンモニア吸収冷凍機ユニットを冷水流で接続す
ることによって行なわれるので、配管接続が容易である
(すなわち、ブライン配管を必要とせず、高圧水配管を
必要とせず、低水圧の配管工事で足りる)ので、新設工
事も、増,減設、移転工事も容易に、安全に,低コスト
で、短工期で施工することができる。
【0037】請求項5の発明によると、複数個のファン
・コイルユニットからの冷水供給要求に応じて、必要基
数のアンモニア吸収冷凍機ユニットを作動せしめて、そ
の他のアンモニア吸収冷凍機ユニットを休止せしめるこ
とにより、必要基数のアンモニア吸収冷凍機ユニットの
みを、効率の良い負荷率で運転するとともに、その他の
アンモニア吸収冷凍機ユニットに「非効率なアイドリン
グ運転,もしくは非効率な低負荷運転」を行なわせない
ので、複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニット全体とし
ての総合的な効率が高い。冷水供給要求に対応して必要
基数のアンモニア吸収冷凍機ユニットを作動させるとい
うことのみを見れば公知技術のように思われるかも知れ
ないが、本請求項の発明においては上記複数基のアンモ
ニア吸収冷凍機ユニットそれぞれの冷凍機本体分が独立
してプリセットされるとともに、独立したブライン循環
系を備えており、かつ、該複数基のアンモニア吸収冷凍
機ユニット相互が冷水配管によって接続されているの
で、ファン・コイルユニットを含めた冷房設備全体とし
て、冷熱負荷機器の作動条件の変動に拘らず常に安定し
た状態で自動的に制御することができる。
【0038】請求項6の発明によると、冷水の循環供給
を受ける構造の各種産業用冷熱負荷機器に対して、常に
必要に応じた流量の冷水を自動的に供給することがで
き、しかもアンモニア吸収冷凍機ユニットの必要基数の
みを高効率の負荷状態で運転することができる。すなわ
ち、効率の良くない低負荷率での運転を自動的に回避す
ることができる。その上、複数のアンモニア吸収冷凍機
ユニットは、それぞれのユニット機器内にブライン循環
流路を備えていて、ユニット機器外にはブライン配管を
有しておらず、ユニット機器の外部配管は冷水用の配管
のみで足りる。従って、必要とするブラインの量が少な
くて経済的である上に、冷熱負荷機器の近傍でブライン
漏出事故を発生する虞れが全く無い。このような特長
は、ブラインの混入を特に禁忌されるような産業用冷熱
負荷(例えば化学反応用の低温槽)において重要な実用
的価値を有する。
【0039】請求項7の発明方法によると、1組のアン
モニア吸収冷凍機ユニットを構成する冷凍機本体部(ア
ンモニア水溶液・アンモニア蒸気・アンモニア液の循環
系の構成部分)の冷凍能力と、該アンモニア吸収冷凍機
ユニットに組み込まれる熱交換器の熱交換容量とが、設
計計算もしくは実験的計測によってマッチングした状態
にプリセットされる。従って、上述のように構成された
1組のアンモニア吸収冷凍機ユニットは、ユニット毎に
熱的にバランスしている(すなわち、構成機器相互の熱
的性能がバランスしている)。このため、本請求項を適
用して構成されたアンモニア吸収冷凍機ユニットは、こ
れの複数個を設置する場合にもユニット相互の間で詳細
な情報交換や詳細な連繋制御を行なう必要が無く、単に
起動・停止の指令を与えるだけで各アンモニア吸収冷凍
機が自律的に制御され、ユニット毎に高い効率で安定し
た作動が行なわれるとともに、それぞれのアンモニア吸
収冷凍機ユニットの出力は「冷水」という形で行なわれ
る。従って、各アンモニア吸収冷凍機ユニットの出力を
統合することは、冷水配管による「冷水流の合流」によ
って行なうことができる。また、同様の理由により、冷
水流を分流せしめることによって冷凍出力を分配するこ
ともできる。
【0040】請求項8の発明方法によると、メーカーか
ら出荷される状態において、アンモニア吸収冷凍機ユニ
ットが、ケーシングの中に「完成されたブライン循環
系」と、「冷水管路接続用の管接手」とを有する「市場
流通性を有する1個の商品」の形態を整えることができ
る。従って、冷凍能力を異にする各種仕様のアンモニア
吸収冷凍機ユニットを生産して市場に供給すれば、設備
業者は難しい設備設計を行なう必要無く、所望の仕様
の、1個もしくは複数個のアンモニア吸収冷凍機ユニッ
トを購入して、ブライン配管工事を行なうこと無く、所
望の冷凍能力を有する冷凍設備(空調設備、もしくは、
その他各種の産業用設備)を、容易に、迅速に、かつ低
コストで構築することができる。
【0041】請求項9の発明方法によると、アンモニア
吸収冷凍機ユニットごとに、それぞれの熱交換器の1次
側のブライン流量を制御して、各アンモニア吸収冷凍機
ユニットの冷熱出力を個別に増減調節できるので、冷熱
負荷機器(例えばファン・コイルユニット)側からの要
求の変化に応じて冷却能力を変化させて順応することが
できる。アンモニア吸収冷凍機の冷熱出力は、原理的に
は発生器の入熱量に比例する。すなわち、発生器を加熱
する手段(例えばバーナーや電気ヒーター)の発熱量に
比例する。しかし、実際問題としてアンモニア吸収冷凍
機は発生器加熱手段を自動的に制御する機構を有してい
るので、本請求項の発明方法を適用してアンモニア吸収
冷凍機ユニットの冷熱出力を制御すれば、実質的にアン
モニア吸収冷凍機ユニット全体として、熱的作動バラン
スを崩すことなく、その冷熱出力が増減調節される。
【0042】請求項10の発明方法によると、アンモニ
ア吸収冷凍機ユニットがメーカーにおいて所定の規格仕
様で大量生産されて既製品として市場に供給され、また
一方では建屋や産業設備の構築設計者が独自の設備設計
に基づいて所要の冷凍能力を有する冷凍設備を構成しよ
うとした場合、施工主を求める冷凍能力に対して過不足
の無いアンモニア吸収冷凍系統を、主として既製のアン
モニア吸収冷凍機ユニットおよび既製の冷熱負荷機器
(例えばファン・コイルユニット)を組み合わせて構成
することができ、熱交換器のような主要構成機器を注文
生産する必要が無い。補機器類は別として、主要構成機
器の全部を既製の規格品によって賄い得るので、工期が
短くて済み、設備コストが低廉である。しかも、主要構
成機器が同一メーカーによって設計生産されるので品質
の均一性が保たれるとともに、性能特性がバランスして
いて無駄が無い。
【0043】しかも、工場から出荷された構成機器類を
現地で配管接続するに際してブライン配管工事やブライ
ン注入作業を必要としないので、特殊技能を必要とせ
ず、安全に施工することができる。
【0044】請求項11の発明方法によると、複数個の
冷熱負荷機器(例えばファン・コイルユニット)が、そ
れぞれに冷水循環供給を要求し、かつ、その要求量が経
時的に複雑に変化しても、これらの冷水循環供給の要求
量合計に見合って過不足の無いように、必要基数のアン
モニア吸収冷凍機ユニットを作動せしめるとともに、そ
の他のアンモニア吸収冷凍機ユニットを休止せしめるの
で、冷凍系統全体として無駄の無い、高効率の稼働が自
動的に行なわれる。特に、本請求項においては、複数個
のアンモニア吸収冷凍機本体部のそれぞれが、専用の熱
交換器を備えていて、両者がブライン循環系で結ばれて
アンモニア吸収冷凍機ユニットを構成しているので、ア
ンモニア吸収冷凍機本体部の運転・休止と、該本体部と
ペアをなす熱交換器の作動・休止とが必然的に一致し、
これにより、アンモニア吸収冷凍系統全体が整然と運転
され、局部的な熱的付均衛(ちぐはぐな作動)を生じる
虞れが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアンモニア吸収冷凍機の1実施形
態および外部配管の一部を示す模式的な系統図であっ
て、1個のアンモニア吸収冷凍機ユニットを形成してい
る冷凍機ケーシングを実線で描くとともに、該1個のア
ンモニア吸収冷凍機ユニットを構成している冷凍機本体
部と熱交換器部とのそれぞれを鎖線で囲って描いてあ
る。
【図2】複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニットと、多
数の冷熱負荷機器としてのファン・コイルユニットとに
よってアンモニア吸収冷凍系統を構成するとともに、中
央処理装置を設けて自動的に制御できるようにした実施
形態を模式的に描いた系統図である。
【図3】冷凍能力を異にする複数基のアンモニア吸収冷
凍機ユニットによって構成された冷凍系統の1実施形態
を示すとともに、上記実施形態の冷凍系統に対して、さ
らにアンモニア吸収冷凍機ユニットおよび/またはファ
ン・コイルユニットを増設する方法を説明するための模
式的な配管系統図であって、制御系統の図示は省略して
ある。
【図4】密閉循環系の中でアンモニア水溶液を循環せし
める方式の吸収式冷凍機の1例を示す模式的な断面図
に、流動方向を表す矢印を付記した構造,機能の説明図
である。
【図5】電気モータ駆動方式の水冷チラー形冷房装置の
従来例を示す模式的な系統図に、熱搬送媒体の循環流動
方向を標示する矢印、冷水の循環流動方向を標示する矢
印、および冷却水の循環流動方向を標示する矢印を記入
した、構造・機能の説明図である。
【図6】フロンを用いない型式の冷凍機ユニットと、冷
水循環方式のファン・コイルユニットとを、熱交換器を
介して接続した冷凍系統の公知例を示し、(A)は1個
の冷凍機ユニットと1個のファン・コイルユニットとを
接続した状態の模式的な系統図、(B)は複数個の冷凍
機ユニットと複数個のファン・コイルユニットとを接続
した状態の模式的な系統図である。
【符号の説明】
1…従来例の水冷チラー形冷房装置におけるパッケージ
ポンプ、1a…熱搬送媒体の蒸気を圧縮する圧縮ポン
プ、1b…ポンプ駆動用の電気モータ、2…凝縮器、3
…冷却水ポンプ駆動モータ、4…冷却水ポンプ、5…ク
ーリングタワー、6…膨脹弁、7…蒸発器、8…冷水ポ
ンプ、9…冷水ポンプ駆動モータ、10…ファン・コイ
ルユニット、11…発生器、12…バーナ、13…凝縮
器、14…蒸発器、15…吸収器、16…冷凍機ケーシ
ング、17…冷凍機本体部、18…冷水ポンプ、19…
燃料パイプ、20…電磁燃料弁、21…ファンモータ、
22…冷凍機本体部、23…冷凍機ケーシング、24…
熱交換器部、25…熱交換器26…電動三方弁、27…
管継手、28…バイパス管路、30,31…冷凍機ユニ
ット、32…小容量熱交換器、33…冷水配管、34…
冷水ポンプ、35…ブライン配管、36…大容量熱交換
器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3L054 BF03 BF04 BF06 BF20 3L093 AA01 BB01 BB18 BB22 BB30 BB37 CC07 DD09 EE30 GG00 HH15 HH19 JJ02 JJ04 KK05 LL05 MM07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱手段を備えた発生器と、上記発生器
    で発生したアンモニア蒸気を冷却して液化させる凝縮器
    と、上記凝縮器で液化したアンモニア液を蒸発させてブ
    ラインを冷却する蒸発器と、上記蒸発器の中へブライン
    を循環流動させるブライン配管およびブラインポンプと
    を具備しているアンモニア吸収冷凍機において、 1組のアンモニア吸収冷凍機ユニット毎に、当該アンモ
    ニア吸収冷凍機の冷却能力に見合う容量の熱交換器が設
    けられていることを特徴とする、アンモニア吸収冷凍
    機。
  2. 【請求項2】 前記の熱交換器が、アンモニア吸収冷凍
    機ユニットのケーシング内に収納されており、 かつ、前記のブライン配管が上記熱交換器の1次側流
    路、および前記ブラインポンプ、並びに蒸発器をシリー
    ズに接続して密閉された循環系を形成していることを特
    徴とする、請求項1に記載したアンモニア吸収冷凍機。
  3. 【請求項3】 前記の熱交換器が、1次側流路とパラレ
    ルに配置されたバイパス管路を有しており、 かつ、ブラインポンプの吐出流量を上記熱交換器1次側
    流路と、バイパス管路とに対して所望の比率で配分する
    機能を備えた弁手段を具備していることを特徴とする、
    請求項1もしくは請求項2に記載したアンモニア吸収冷
    凍機。
  4. 【請求項4】 前記の「冷却能力に見合う熱交換器を備
    えたアンモニア吸収冷凍機ユニット」が複数基配置され
    ていて、 上記アンモニア吸収冷凍機ユニットそれぞれの熱交換器
    の2次側流路に弁手段が設けられているとともに、該そ
    れぞれの熱交換器2次側流路相互がパラレルに接続され
    ており、 一方、複数個の冷熱負荷機器が、弁手段を介してパラレ
    ルに配管されていて、 前記「パラレルに接続されたアンモニア吸収冷凍機ユニ
    ットの熱交換器2次側流路」と、「複数個の冷熱負荷機
    器を接続した配管」とが、相互に接続配管されていて、 上記熱交換器2次側流路および接続配管の中に、熱搬送
    媒体としての水が注入されていることを特徴とする、請
    求項1ないし請求項3の何れかに記載したアンモニア吸
    収冷凍機。
  5. 【請求項5】 前記複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニ
    ットに設けられている弁手段の少なくとも一部分は電動
    弁もしくは電磁弁であり、 該アンモニア吸収冷凍機ユニットの冷凍機本体に設けら
    れている電動機の少なくとも一部分は、起動・停止用の
    リレー手段を備えており、 前記の冷熱負荷機器は空調用のファン・コイルユニット
    であって、それぞれ操作パネルを備えており、 上記操作パネルから出力される指令信号を受け、予め与
    えられたプログラムに従って演算し、前記電動弁もしく
    は電磁弁および/または前記リレー手段に付して指令信
    号を出力して、必要基数のアンモニア吸収冷凍機ユニッ
    トを作動させるとともに、その他のアンモニア吸収冷凍
    機ユニットを休止せしめる機能を有するCPUが設けら
    れていることを特徴とする、請求項4に記載したアンモ
    ニア吸収冷凍機。
  6. 【請求項6】 前記複数基のアンモニア吸収冷凍機ユニ
    ットに設けられている弁手段の少なくとも一部分は電動
    弁もしくは電磁弁であり、 該アンモニア吸収冷凍機ユニットの冷凍機本体に設けら
    れている電動機の少なくとも一部分は、起動・停止用の
    リレー手段を備えており、 前記の冷熱負荷機器は産業用の低温槽もしくは恒温槽で
    あって、それぞれ操作パネルを備えており、 上記操作パネルから出力された指令信号を受け、予め与
    えられたプログラムに従って演算し、前記電動弁もしく
    は電磁弁および/または前記リレー手段に対して指令信
    号を出力して、必要基数のアンモニア吸収冷凍機ユニッ
    トを作動させるとともに、その他のアンモニア吸収冷凍
    機ユニットを休止せしめる機能を有するCPUが設けら
    れていることを特徴とする、請求項4に記載したアンモ
    ニア吸収冷凍機。
  7. 【請求項7】 加熱手段を備えた発生器と、上記発生器
    で発生したアンモニア蒸気を冷却して液化させる凝縮器
    と、上記凝縮器で液化したアンモニア液を蒸発させてブ
    ラインを冷却する蒸発器と、上記蒸発器の中へブライン
    を循環流動せるブライン配管およびブラインポンプとを
    具備しているアンモニア吸収冷凍機を構成する方法にお
    いて、 前記の加熱手段を定格状態で作動せしめているときに、
    当該アンモニア吸収冷凍機が発生する冷却能力を算定
    し、もしくは実験的に計測し、 上記冷却能力に相当する熱量を冷水から奪い得る熱交換
    容量を有する熱交換器を構成して、 1組の「アンモニア水溶液、アンモニア蒸気、およびア
    ンモニア液を循環系」を一つの単位として、これに対し
    て前記熱交換器の1組を組み合わせて、アンモニア吸収
    冷凍機ユニットを構成することを特徴とする、アンモニ
    ア吸収冷凍機の構成方法。
  8. 【請求項8】 アンモニア吸収冷凍機ユニット毎にケー
    シングを構成し、 1個のケーシングの中に1組のアンモニア吸収冷凍機の
    アンモニア循環系と、1個の熱交換器とを組み込み、も
    しくは、機能的に1個の熱交換器と等価な複数個の熱交
    換器を組み込み、 前記アンモニア吸収冷凍機の蒸発器に接続されるブライ
    ン循環系の配管を、上記熱交換器の1次側に接続し、か
    つ上記ブライン循環系の中にブラインを注入して封入す
    ることを特徴とする、請求項7に記載したアンモニア吸
    収冷凍機の構成方法。
  9. 【請求項9】 前記熱交換器の1次側流路に、弁手段を
    備えたバイパス管路を設け、 上記弁手段を操作して熱交換器1次側のブライン流量を
    制御することにより、当該アンモニア吸収冷凍機ユニッ
    トごとに冷凍能力負荷率を増減調節することを特徴とす
    る、請求項7もしくは請求項8に記載したアンモニア吸
    収冷凍機の構成方法。
  10. 【請求項10】 冷凍能力を異にする複数基のアンモニ
    ア吸収冷凍機ユニットを準備しておき、 冷水の循環供給を受ける冷熱負荷機器を増設し、もしく
    は減少させる工事に対応して、 冷凍能力の合計が所望の値と概ね等しく、かつ所望の値
    よりも小さくないように、1基もしくは複数基のアンモ
    ニア吸収冷凍機ユニットを選定し、 選定されたアンモニア吸収冷凍機ユニットが1基である
    場合は、そのユニットに設けられている熱交換器の2次
    側流路を前記冷熱負荷機器に配管接続して冷水の循環流
    路を形成し、 選定されたアンモニア吸収冷凍機ユニットが複数基の場
    合は、選定された複数基のユニットそれぞれの熱交換器
    の2次側流路を相互にパラレルに接続するとともに、こ
    れらの熱交換器の2次側流路を前記冷熱負荷機器に配管
    接続して冷水の循環流路を形成することを特徴とする、
    請求項7ないし請求項9の内のいずれかに記載したアン
    モニア吸収冷凍機の冷凍系統の構成方法。
  11. 【請求項11】 複数基の、請求項7に係るアンモニア
    吸収冷凍機ユニットと、複数個の冷熱負荷機器とによっ
    てアンモニア吸収冷凍系統を構成する方法において、 それぞれのアンモニア吸収冷凍機ユニットの熱交換器2
    次側流路をパラレルに接続配管するとともに、これらの
    2次側流路を冷熱負荷機器に配管接続して、冷水の循環
    流路を形成し、 かつ、それぞれのアンモニア吸収冷凍機ユニットに制御
    基板を設けるとともに、それぞれの冷熱負荷機器に操作
    パネルを設け、 上記操作パネルから出力される指令信号を入力されて、
    前記制御基板に対して指令信号を出力するCPUを設け
    て、 上記CPUに予め与えてあったプログラムに従って制御
    演算を行なわせることにより、冷熱負荷機器が必要とし
    ている冷凍能力の合計量に応じて、所要の基数のアンモ
    ニア吸収冷凍機ユニットを作動せしめて、その他のアン
    モニア吸収冷凍機ユニットを休止せしめることを特徴と
    する、請求項10に記載したアンモニア吸収冷凍機の冷
    凍系統の構成方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003014328A (ja) * 2001-06-28 2003-01-15 Asahi Breweries Ltd 冷熱搬送装置
JP2011163584A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Mayekawa Mfg Co Ltd 駐機航空機用空調装置
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CN116576517A (zh) * 2023-05-15 2023-08-11 骊阳(广东)节能科技股份有限公司 一种磁悬浮一体化智慧冷能站

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