JP2011163617A - 給湯装置および給湯システム - Google Patents

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Abstract

【課題】利便性を低下させることなく低コスト化を図りつつ、衛生面において安全な湯を供給することが可能な給湯装置および給湯システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる給湯装置の構成は、ヒートポンプを用いて室内の空調を行う空調機と併設される給湯装置130であって、空調機100の室外機110と室内機120とを循環する一次冷媒の循環経路102上に設けられ、一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う第1熱交換器132と、二次冷媒を貯留する蓄熱槽136と、蓄熱槽に貯留された二次冷媒と水との熱交換を行い湯を生成する第2熱交換器142と、生成された湯を給湯設備に供給する給湯手段146と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水を加熱して生成した湯を供給する給湯装置および給湯システムに関する。
近年、エネルギの有効利用(省エネルギ)、および温室効果ガスであるCO排出量削減の観点から、ヒートポンプ式給湯装置の普及が進んでいる。ヒートポンプ式給湯装置は、液体の熱媒体が、膨張により気化するときに周囲の熱を吸収し、凝縮により液化するときに熱を発する性質を利用している。これにより、燃焼式給湯装置に比べて、一次エネルギ消費量を約40%、CO排出量を約58%程度削減することができ、ランニングコストも大幅に抑えることが可能である。
上記のように様々な優れた利点を有するヒートポンプ式給湯装置であるが、燃焼式給湯装置と比較すると機器が複雑であるため導入時の初期費用が高額となる。例えば注文住宅のように施主と居住者が同一である場合には、たとえ導入時の初期費用が高額であっても使用時のランニングコストを削減できるというメリットを有するため導入され易い。しかし、例えば賃貸住宅のように施主と居住者が異なる場合には、施主は初期費用を負担してもランニングコストを削減することによる利益を享受できない。故に、賃貸住宅等にはヒートポンプ式給湯装置が導入されにくく、導入を促進するためにはヒートポンプ式給湯装置を低コスト化する必要がある。
またヒートポンプ式給湯装置は、必要とする外気風量が燃焼式給湯装置より多い。このため、設置にあたりヒートポンプの周囲に外気導入のための空間が必要となる。しかし、賃貸住宅では床面積を重視するため、新たにヒートポンプを設置する際における制約が多く、このこともヒートポンプ式給湯装置の導入が促進されない原因の1つであった。
低コスト化のための手段としては、ヒートポンプ式給湯装置を構成するヒートポンプユニットおよび貯湯タンクユニットのうち、コストの大部分を占めるヒートポンプユニットの低価格化を図ることが最も効果的であると考えられる。そこで、ヒートポンプユニットとして、住宅等にほぼ確実に設けられている空気調和機のヒートポンプ(室外機)を用いる空調・給湯システムが開示されている(例えば特許文献1)。これによれば、空気調和機のヒートポンプを用いて電気温水器の水を高効率に加熱できるため、電気温水器用のヒートポンプユニットを設ける必要がなく、そのコストを削減することが可能となる。また特許文献1では、すでに設置されている空気調和機のヒートポンプ(室外機)を利用するため、上述したような設置上の制約を回避することができる。
特開2001−235252号公報
ところで、近年普及している家庭用のヒートポンプ式給湯装置は、生成した湯の供給先が主に台所や浴室であるため、出湯温度は45℃〜60℃程度で十分である。それにも拘らず、現状においてヒートポンプ式給湯装置が給湯する湯水の温度、すなわち出湯温度の下限は65℃付近に設定されている。これは、貯湯タンクユニットに貯湯される湯中での細菌類、特にレジオネラ菌の繁殖防止を目的としている。
レジオネラ菌(レジオネラ属菌)は、自然界の土壌と淡水に生息するグラム陰性の桿菌であり、一般に20度から50度で繁殖し、36度前後で最もよく繁殖する。このため、台所や洗面台等、湯が直接人間の口に入る(経口される)可能性がある給湯設備にも湯を供給するヒートポンプ式給湯装置においては、衛生上の観点から湯を60℃以上で貯湯することが望ましい。
しかしながら、市場に流通している一般家庭用の空調機のヒートポンプは冷媒としてフロンを用いているため、運転可能な冷媒圧力の上限値相当の凝縮温度が65℃に設定されることが一般的であり、湯すなわち循環水を65℃以上に加熱することは困難である。故に、特許文献1に記載の空調・給湯システムでは、湯の衛生面に配慮しようとすると、市場に流通している空調機のヒートポンプを用いることはできず、空調機において運転可能な冷媒圧力をより高くする必要がある。しかし、運転可能な冷媒圧力をより高くすると、冷媒部品コストの増大、重量の増加など好ましくない影響が発生する。このため市場に流通している、冷媒としてフロンを用いている空調機のヒートポンプをそのまま利用可能な技術の開発が求められている。
また特許文献1に記載の空調・給湯システムでは、室外機と室内機とを連結する第1の冷媒サイクル、または室外機と給湯熱交換器とを連結する第2の冷媒サイクルのいずれか一方の冷媒サイクルを選択して冷媒を循環させる。したがって、第1の冷媒サイクルおよび第2の冷媒サイクル(給湯熱交換器)の両方に同時に冷媒を循環させられないため、室内機および給湯熱交換器を両方同時に運転することはできない。すなわち、空気調和機を運転している間は給湯熱交換器を運転することができず、利便性において課題を有していた。そして、かかる課題を解決するために、特許文献1に記載の空調・給湯システムでは電気ヒータを設けているが、これでは低コスト化に反することとなり、またランニングコストの削減という観点においても優れているとは言い難い。
また仮に、特許文献1に記載の空調・給湯システムにおいて第1の冷媒サイクルおよび第2の冷媒サイクルの両方に冷媒を循環させることができたとしても、空調機の冷房運転時には、膨張弁において膨張冷却された低温の冷媒が給湯熱交換器を循環する。このため、給湯熱交換器において水を加熱できない(湯を生成することができない)。したがって、特許文献1に記載の空調・給湯システムでは、空調機を冷房運転させながらの貯湯は実質的に不可能である。
本発明は、このような課題に鑑み、利便性を低下させることなく低コスト化を図りつつ、衛生面において安全な湯を供給することが可能な給湯装置および給湯システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる給湯装置の代表的な構成は、ヒートポンプを用いて室内の空調を行う空調機と併設される給湯装置であって、空調機の室外機と室内機とを循環する一次冷媒の循環経路上に設けられ、一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う第1熱交換器と、二次冷媒を貯留する蓄熱槽と、蓄熱槽に貯留された二次冷媒と水との熱交換を行い湯を生成する第2熱交換器と、生成された湯を給湯設備に供給する給湯手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、従来は蓄熱槽(貯湯タンクユニット)と一対に設けられていたヒートポンプユニットとして空調機の室外機のヒートポンプを利用することができる。したがって、ヒートポンプユニットにかかるコスト、ひいては給湯装置全体のコストを大幅に削減すること、すなわち低コスト化を図ることが可能となる。そして、空調機の室外機と室内機とにおける一次冷媒の循環経路上に第1熱交換器が設けられていることにより、空調機運転時に一次冷媒は確実に第1熱交換器を通過する。したがって、空調機運転時においても、一次冷媒を用いて二次冷媒を加熱することができ、ひいては二次冷媒により水を加熱し湯を生成することができる。したがって、利便性の低下を招くことがない。
また上記構成では、第1熱交換器において一次冷媒と熱交換を行うことにより二次冷媒が加熱され、加熱された二次冷媒が第2熱交換器において水と熱交換を行い湯が生成される。ここで、二次冷媒が水であると、かかる水(二次冷媒)は第1熱交換器における熱交換において湯となる。すなわち、この場合の二次冷媒は従来のように空調機のヒートポンプにおける熱交換により生成された湯であると言うことができる。したがって、その温度は、ヒートポンプ式給湯装置の出湯温度の下限である65℃付近に達しないため、衛生上、貯湯した湯水の直接利用は難しい。しかし、上記構成では、二次冷媒が水であったとしても、加熱後の二次冷媒(湯)を用いて第2熱交換器において別途水を加熱して生成した湯を給湯設備に供給する。このため、衛生面において安全な湯を供給することが可能となる。
当該給湯装置は、第1熱交換器の室内機側に、冷房動作時に一次冷媒を膨張させる膨張弁を備えていてもよい。一般に、家庭用の空調機においては、室外機に膨張弁が備えられており、室内機には備えられていない。この場合において、暖房時には第1熱交換器に熱い一次冷媒が通過するが、冷房運転時には膨脹後の一次冷媒が通過することになる。しかし上記構成によれば、常に第1熱交換器の下流側で一次冷媒を膨脹させることができるため、家庭用の空調機においても冷暖房運転の両方において水を加熱することが可能となる。なお、給湯装置内の膨張弁によって膨脹させるときには、室外機内の膨張弁は開放させて一次冷媒を膨脹させないように制御する。
上記の蓄熱槽は、外形がほぼ直方体の開放式蓄熱槽であるとよい。従来では、蓄熱槽に貯留された湯を給湯設備に供給する(直接利用する)場合、水道圧によって湯を供給するために蓄熱槽を密閉式にしており、それ故に耐圧性を高めるべく蓄熱槽に高価なステンレス容器を用いざるを得なかった。ステンレス容器は、形状の自由度が低く、外形寸法が大きくなる。したがって、設置上の制約が多く床面積を重視する賃貸住宅では、蓄熱槽の形状もヒートポンプ式給湯装置が導入されない原因の1つとなっていた。
しかし、当該給湯装置では、蓄熱槽に貯留された二次冷媒(湯)は直接利用されない。このため、蓄熱槽には水道圧がかからないので密閉式にする必要がない。また当該給湯装置では、上述したように二次冷媒が水であっても、一次冷媒との熱交換により湯となった二次冷媒は直接利用されず、第2熱交換器において湯を生成するための熱媒体として利用される。
上記の理由から、当該給湯装置では蓄熱槽を開放式にすることができ、かかる蓄熱槽を従来のようなステンレス鋼等ではなく樹脂系材料により形成することが可能となる。したがって、蓄熱槽に要するコストの削減が図れる。またステンレス容器を用いる必要がなくなることで形状制約が少なくなるため、蓄熱槽の外形をほぼ直方体とすることができる。これにより、蓄熱槽の上部空間にヒートポンプを設置するなど、設置上の自由度が大幅に増し、より少ない面積において給湯装置を設置することができる。その結果、賃貸住宅への当該給湯装置の導入をより促進することが可能となる。
上記の循環経路は、第1熱交換器の室外機側および室内機側の両側において分岐して第1熱交換器の両端に接続されており、第1熱交換器の一方側には室外機および室内機の両方から流入する向きの逆止弁が設けられており、第1熱交換器の他方側には室外機および室内機の両方へと流出する向きの逆止弁が設けられているとよい。
通常、空調機では、暖房運転時と冷房運転時の一次冷媒の循環方向は逆方向となる。したがって、第1熱交換器において、例えば空調機の暖房運転時における一次冷媒の循環方向と、二次冷媒の循環方向とが対向する方向(対向流)であるとすると、空調機の冷房運転時における一次冷媒の循環方向と二次冷媒の循環方向とは並行する方向、すなわち並行流となる。熱交換効率は、並行流よりも対向流のほうが高いため、上記の例では、暖房時の熱交換効率は高いが、冷房時の熱交換効率が低くなるという事態が生じてしまう。
そこで、上記構成では、循環経路を分岐して第1熱交換器の両側に逆止弁を設ける。これにより、空調機の暖房運転時および冷房運転時のいずれにおいても、一次冷媒の循環方向と二次冷媒の循環方向とを対向流にすることができる。したがって、一次冷媒と二次冷媒とが、暖房運転時および冷房運転時の両方において最も効率的な熱交換を行うことが可能となる。
当該給湯装置内において循環経路から分岐し、室内機を介さずに一次冷媒を室外機に戻す分岐経路と、分岐経路に設けられ一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う第3熱交換器と、を更に備えるとよい。
上記構成によれば、室内機を介さずに、室外機と第3熱交換器との間で直接一次冷媒を循環させることが可能となる。これにより、空調機の室内機を運転しない場合においても第3熱交換器に一次冷媒を循環させて二次冷媒を加熱することができ、かかる二次冷媒を用いて湯を生成することが可能となる。また室内機を運転する場合においても、室内機を介さない、すなわち室内機における熱交換を行わない一次冷媒を第3熱交換器に循環させることにより、熱を放出していない、より高温の一次冷媒と二次冷媒とを熱交換させることができ、より効率的に二次冷媒、ひいては水を加熱することが可能となる。
上記の蓄熱槽の内部もしくは外部のいずれか一方または両方に設けられ、二次冷媒を加熱する補助熱源を更に備えるとよい。
かかる構成によれば、蓄熱槽に貯留されるまたは貯留された二次冷媒を補助的に加熱することができる。したがって、例えば高温の湯が大量に必要な場合等に、二次冷媒を補助熱源によって加熱して高温にし、第2熱交換器における熱交換においてより多くの熱を水に与えることが可能となる。
上記の第2熱交換器の上流側もしくは下流側のいずれか一方または両方に設けられ、前記湯を加熱する補助熱源を更に備えるとよい。
かかる構成により、第2熱交換器に供給する水、または第2熱交換器における熱交換により生成された湯を更に加熱することができる。したがって、より高温の湯を供給することが可能となり、利便性の更なる向上が図れる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる給湯システムの代表的な構成は、室外機と室内機の間で構成されるヒートポンプを用いて室内の空調を行う空調機と、請求項1に記載の給湯装置とを備える給湯システムであって、ヒートポンプは、膨張弁と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、圧縮機と、これらに一次冷媒を循環させる循環経路とを有し、さらに、循環経路から分岐し、室外熱交換器を迂回して膨張弁と圧縮機とを接続するバイパス経路とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、室外熱交換器を介さずに、圧縮機と第1熱交換器との間で直接一次冷媒を循環させることが可能となる。これにより、空調機の冷房運転時における室外熱交換器での一次冷媒からの熱の放出を回避される。したがって、その放出されなかった熱を二次冷媒の加熱に用いることが可能となり、かかる二次冷媒を用いてより効率的に湯を生成することができる。なお、上述した給湯装置の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該給湯システムにも適用可能である。
本発明によれば、利便性を低下させることなく低コスト化を図りつつ、衛生面において安全な湯を供給することが可能な給湯装置および給湯システムを提供することができる。
第1実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。 一次冷媒の循環サイクルを示すPH線図である。 第1実施形態にかかる給湯システムの他の構成を示す図である。 第2実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。 運転モードごとの給湯装置の制御状態を示す図である。 第3実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。 第4実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。 第5実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。 第6実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。 第7実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明にかかる給湯装置および給湯システムの好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる給湯装置130の構成を示す図である。図1(a)は、空調機が暖房運転時をする場合を、図1(b)は空調機が冷房運転をする場合を例示している。なお、図中、一次冷媒が通過する配管を実線で、二次冷媒が通過する配管を破線で、それ以外の配管を一点鎖線で示し、各々の線の矢印は通過方向を示す。
図1(a)および(b)に示すように、第1実施形態にかかる給湯装置130は、ヒートポンプを用いて室内の空調を行う空調機100と併設される。本実施形態では、給湯装置130と空調機100とをあわせた構成を給湯システムと称する。かかる空調機100は、主に室外機110と室内機120とから構成される。室外機110と室内機120とは循環経路102によって接続されており、循環経路102には一次冷媒が循環している。なお、本実施形態においては一次冷媒としてフロンを使用しているが、これに限定するものではなく、他の種類の冷媒を用いてもよい。
また上記の空調機100の空調対象となる室内とは、居室等の一般用途に限定されず、冷蔵庫、冷凍庫、恒温室等の特殊用途であってもよい。ただし、冷蔵庫等では空調機100は暖房運転を行わないことがある。なお、室内機120を高圧冷媒で除霜する場合は、空調機100の暖房運転は室内機除霜運転に相当する。
室外機110には、膨張弁112、室外熱交換器114、圧縮機116および四方弁118が設けられている。膨張弁112は、一次冷媒を減圧状態とし膨張冷却する。室外熱交換器114は、一次冷媒と外気との熱交換を行う。かかる室外熱交換器114は送風機114aを備えており、送風機114aにより外気を室外熱交換器114に強制的に送出することで、熱交換効率を向上させることができる。圧縮機116はいわゆるポンプであり、電力を利用して一次冷媒を加圧し高圧状態とする。四方弁118は、循環経路102における一次冷媒の循環方向を逆転させる。
なお、本実施形態においては圧縮機116を電動機(不図示)により駆動することを想定するが、これに限定するものではなく、タービンやエンジンなど他の種類の駆動方式でもよい。また燃料は都市ガス、LPGのような気体燃料や、ガソリン、軽油、重油などの液体燃料を用いても良い。
室内機120には室内熱交換器122が設けられている。室内熱交換器122は、一次冷媒と室内(不図示)の空気(以下、内気と称する)との熱交換を行う。かかる室内熱交換器122も送風機122aを備えており、これにより、熱交換効率を向上させることができる。
空調機100では、上述した室外機110の膨張弁112、室外熱交換器114および圧縮機116と、室内機120の室内熱交換器122と、これらに一次冷媒を循環させる循環経路102によりヒートポンプが構成される。これにより、一次冷媒を加熱する熱交換サイクルを構築することができる。
空調機の暖房運転時には、図1(a)に示すように、一次冷媒は室外熱交換器114において外気との熱交換を行う。これにより、一次冷媒は外気(大気中)の熱を吸熱して蒸発する。室外熱交換器114における熱交換後の一次冷媒は、四方弁118を通過して圧縮機116に流入し、圧縮機116により加圧されて高圧状態となる。
そして、一次冷媒は再度四方弁118を通過して室内熱交換器122に流入し、内気との熱交換を行う。これにより、一次冷媒の熱は内気に放熱して凝縮し、室内の暖房が実施される。室内熱交換器122における熱交換後の一次冷媒は、給湯装置130を通過した後に膨張弁112に流入し、膨張弁112において膨張冷却される。これにより、一次冷媒が再度外気の熱を吸収することが可能となり、再利用可能となる。
空調機の冷房運転時には、図1(b)に示すように、一次冷媒は、後述する膨脹弁135において膨張冷却された後、給湯装置130を通過して室内熱交換器122に流入し、室内熱交換器122において内気との熱交換を行う。これにより、一次冷媒は内気の熱を吸熱して蒸発し、室内の冷房が実施される。室内熱交換器122における熱交換後の一次冷媒は、四方弁118を通過して圧縮機116に流入し、圧縮機116により加圧されて高圧状態となる。
そして、一次冷媒は再度四方弁118を通過して室外熱交換器114に流入する。空調機100の本来の動作としては、室外熱交換器114において外気との熱交換を行い、一次冷媒は外気に放熱して凝縮する。ただし本実施形態では、室外熱交換器114では放熱させず、後述する第1熱交換器132において二次冷媒に放熱する。
ここで、冷房運転中には、一次冷媒は室外熱交換器114の後に第1熱交換器132に至る。第1熱交換器132においてなるべく多くの熱を二次冷媒に放熱するためには、室外熱交換器114でなるべく外気に放熱しないことが望ましい。そのため、冷房運転中に給湯装置130において二次冷媒を加熱しようとするとき、室外熱交換器114に外気を送る送風機114aを停止する制御を行う。ただし、給湯装置130の動作を停止する場合や、給湯装置130がさらなる加熱を必要としない場合などには、従来通り冷房運転中にも送風機114aを動作させる。また二次冷媒の加熱に必要な熱量が少ない場合は、送風機114aを小風量で運転して放熱を行い、空調機100全体のヒートバランスをとってもよい。
本実施形態では空調機100の室外機110および室内機120は一般的なものであって、原則として装置構成に変更がなく、そのまま利用することができる。ただし上記したように冷房運転時には室外機110の送風機114aを停止することが好ましいため、制御プログラムに若干の修正を加えることが好ましい。また、給湯装置130が動作していることを示す信号を受け取るために回路基板に経路(端子や配線)を設けることが好ましいが、室内機120から室外機110に接続される信号線を給湯装置130によって中継し、その信号に給湯装置130独自の制御信号を乗せることによって、専用の端子や配線を省略することができる。
給湯装置130では、二次冷媒が循環しており、上述した空調機100に循環する一次冷媒を用いてかかる二次冷媒を加熱し、加熱された二次冷媒を用いて水を加熱し、湯を生成する。そして、生成した湯を給湯設備(不図示)に供給する。なお、二次冷媒の温度は流量を制御することによって調節してもよい。
第1熱交換器132は、空調機100の室外機110と室内機120とを循環する一次冷媒の循環経路102上に設けられ、一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う。これにより、二次冷媒が一次冷媒の熱を吸熱し、かかる熱を用いて水を加熱することが可能となる。なお、本実施形態においては、二次冷媒として水を用いることを想定するが、これに限定するものではなく、不凍液や油、フロンなど他の種類の冷媒を用いてもよい。
本実施形態では、循環経路102は、第1熱交換器132の室外機110側において、分岐経路102aおよび102bに分岐している。同様に第1熱交換器132の室内機120側において、分岐経路102cおよび102dに分岐している。そして、分岐経路102aおよび102cが合流した合流経路102eが第1熱交換器132の一方側(一端)に、分岐経路102bおよび102dが合流した合流経路102fが第1熱交換器132の他方側(他端)に接続されている。
また第1熱交換器132の一方側の分岐経路、すなわち分岐経路102aには室外機110から一次冷媒が流入する向きの逆止弁134aが、分岐経路102cには室内機120から一次冷媒が流入する向きの逆止弁134cが設けられている。同様に、第1熱交換器132の他方側の分岐経路、すなわち分岐経路102bには一次冷媒が室外機110へと流出する向きの逆止弁134bが、分岐経路102dには一次冷媒が室内機120へと流出する向きの逆止弁134dが設けられている。
上記構成によれば、空調機100の暖房運転時および冷房運転時のいずれにおいても、第1熱交換器132における一次冷媒の循環方向と二次冷媒の循環方向とを対向流にすることができる。
詳細には、図1(a)および(b)に示すように、給湯装置130における二次冷媒の循環方向は、空調機100の運転モードに拘わらず常に同じ方向である。これに対し、上記説明したように一次冷媒は、空調機100の暖房運転時は循環経路102を図示時計回りに循環し、空調機100の冷房運転時は循環経路102を図示反時計回りに循環する。したがって、逆止弁を設けず単純に循環経路102上に第1熱交換器132を設けた場合、第1熱交換器132において、空調機100の暖房運転時または冷房運転時のいずれか一方の運転モード時に一次冷媒と二次冷媒とが対向流となり、他方の運転モード時には一次冷媒と二次冷媒とが並行流となる。このため、一次冷媒と二次冷媒とが並行流となる場合において第1熱交換器132での熱交換効率が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、循環経路102を第1熱交換器132の両側において分岐し、分岐経路上102a〜102dに逆止弁134a〜134dを設ける。これにより、空調機100の暖房運転時には、図1(a)に示す太実線のように、一次冷媒は、室内熱交換器122から循環経路102を流れ、分岐経路102cおよび合流経路102eを流れて第1熱交換器132に流入する。そして、第1熱交換器132を通過した後は合流経路102fおよび分岐経路102bを流れ、循環経路102に戻って膨張弁112に流入する。
一方、空調機100の冷房運転時には、図1(b)に示す太実線のように、一次冷媒は、室外熱交換器114から循環経路102を流れて膨張弁112を通過し、分岐経路102aおよび合流経路102eを流れて第1熱交換器132に流入する。そして、第1熱交換器132を通過した後は合流経路102fおよび分岐経路102dを流れ、循環経路102に戻って室内熱交換器122に流入する。したがって、空調機100の暖房運転時および冷房運転時の両方において一次冷媒と二次冷媒とを対向流とすることができ、常に最も効率的な熱交換を行うことが可能となる。
また本実施形態では、第1熱交換器132の室内機120側に膨張弁135を備える。これにより、常に第1熱交換器132の下流側で一次冷媒を膨脹させることが可能となる。詳細には、一般に、家庭用の空調機においては、膨張弁112は、本実施形態のように室外機110に設けられており、室内機120には設けられていない。このような構成であると、暖房運転時には、室内熱交換器122において熱交換を行った後の高温の一次冷媒が第1熱交換器132に通過するが(図1(a)参照)、冷房運転時には膨張弁112において膨張冷却された後の低温の一次冷媒が通過することになる(図1(b)参照)。したがって、冷房運転時の第1熱交換器132において二次冷媒が一次冷媒からむしろ熱を奪われてしまうことになり、給湯器としての機能を果たせないばかりか、本来の空調の機能をも損ねてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では給湯装置130内に膨張弁135を設け、冷房運転時には、膨張弁112ではなく膨張弁135において一次冷媒を膨張させる。これにより、冷房運転時においても、膨張冷却されていない状態の一次冷媒が第1熱交換器132に流入するため、二次冷媒はより多くの熱を一次冷媒から吸熱することが可能となる。したがって、家庭用の空調機であっても、第1熱交換器132は冷暖房運転の両方において水を加熱することができる。そして、第1熱交換器132において熱交換を行った後の一次冷媒を膨張弁135において膨張させることにより、かかる一次冷媒を冷却し、室内の冷房を好適に実施することができる。
なお、給湯装置130内の膨張弁135によって一次冷媒を膨脹させるとき、すなわち空調機100の冷房運転時には、室外機110内の膨張弁112は開放するように制御する。反対に、室外機110内の膨張弁112によって一次冷媒を膨張させるとき、すなわち空調機100の暖房運転時には、給湯装置130内の膨張弁135は開放するよう制御する。
また上述した冷房運転時と同じ方向に一次冷媒を循環させることにより、室外機110の除霜運転が可能となる。詳細には、空調機100の室外機110は屋外に配置されるため、外気の気温や湿度の影響を受けやすく、暖房運転時に室外熱交換器114に着霜が生じることがある。着霜が進行すると、圧縮機116の吸い込み圧力が運転限界以下となり、室外機110の運転停止ひいては空調機100の動作不良が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態では、暖房運転時に102に室外熱交換器114に着霜が生じたら、暖房運転を一時中断し、冷房運転時と同じ方向に一次冷媒を循環させる。すると、室内熱交換器122において熱交換を行っていた一次冷媒は、圧縮機116に流入し、圧縮機116において圧縮されることで高圧状態となり、温度が上昇する。そして、温度が上昇した一次冷媒が四方弁118を通過して室外熱交換器114に流れることにより、室外熱交換器114において放熱し除霜が実施される。
除霜後の一次冷媒は膨張弁112に流れる。ここで、一般の空調機の動作としては、室内の温度低下を防止するために室内機のファンを動作させずに一次冷媒を循環させて、ポンプ仕事のみによって除霜を行っている。しかし本実施形態の構成では、蓄熱槽136の熱を除霜に利用することができる。詳しくは、除霜運転時は、冷房運転時とは異なり膨張弁112を開放しない。これにより、一次冷媒は膨張弁112において膨張冷却される。そして、膨張冷却された一次冷媒は、第1熱交換器132において蓄熱槽136から供給される二次冷媒と熱交換を行う。このとき、一次冷媒が膨張弁112において膨張冷却されているので、二次冷媒の熱を吸熱することができる。したがって、本実施形態にかかる空調器100では、一次冷媒は、二次冷媒との熱交換により、除霜に利用するための熱を従来の空調器よりも多く得ることができるため、圧縮機116の仕事量を低減させ、消費電力量の削減を図ることが可能となる。なお、除霜運転時は送風機122aを停止する。これは、室内熱交換器122における一次冷媒の内気からの吸熱を回避するためである。
図2は、一次冷媒の循環サイクルを示すPH線図である。図2(a)は空調機100の暖房運転時の状態を、図2(b)は空調機100の冷房運転時の状態を示している。なお、図中実線は、第1熱交換器132を備えない従来の空調機における一次冷媒のサイクルを、破線は、本実施形態にかかる空調機100における一次冷媒のサイクルを示しており、重複部分については実線にて図示している。
図2(a)および(b)において、「A→B」および「A´→B´」は圧縮過程(等エントロピー変化)、「B→C」および「B´→C´」は放熱過程(等圧変化)、「C→D」および「C´→D´」は膨張過程(等エンタルピー変化)、「D→A」および「D´→A´」は吸熱過程(等圧変化)である。
図2(a)に示すように、従来の空調機の暖房運転時には、一次冷媒は圧縮機において圧縮され(A´→B´)、室内熱交換器において放熱し(B´→C´)、膨張弁において膨張され(C´→D´)、室外熱交換器において吸熱する(D´→A´)。これに対し、本実施形態の空調機100の暖房運転時には、一次冷媒は、室内熱交換器122において放熱した後に、第1熱交換器132における二次冷媒との熱交換により更に放熱する(C´→C)。すなわち、二次冷媒は大幅に過冷却される。そして、膨張弁112において膨張され(C→D)、室外熱交換器114において外気から吸熱する(D→A)。このとき、一次冷媒は、過冷却されている分、つまりDからD´までの熱をより多く吸熱することができる。暖房の成績係数(COP)はエンタルピhを用いて(h−h)/(h−h)で表せる。図2(a)に示すようにポンプ仕事の増分に対して過冷却によるエンタルピの増分の方が大きいため、圧縮機動力をほぼ増大させることなく、二次冷媒を加熱することができる。
なお、上述した暖房運転時において、第1熱交換器132入口における一次冷媒の温度が低い場合は、二次冷媒温度がさほど高くならないことが想定される。このように二次冷媒温度が低い場合は、蓄熱槽136内の温度成層を崩さないために二次冷媒を中温領域に戻してもよい(図10参照)。
一方、図2(b)に示すように、従来の空調機の冷房運転時には、一次冷媒は圧縮機において圧縮され(A´→B´)、室外熱交換器において放熱し(B´→C´)、膨張弁において膨張され(C´→D´)、室内熱交換器において吸熱する(D´→A´)。これに対し、本実施形態の空調機100の冷房運転時には、一次冷媒は、室外熱交換器114において放熱した後に、第1熱交換器132において二次冷媒と熱交換して更に放熱する(B→C)。そして、膨張弁135において膨張され(C→D)、122において内気から吸熱する(D→A)。この場合においても、一次冷媒は、過冷却されているために内気の熱をより多く(DからD´までの熱)することができる。冷房の成績係数(COP)はエンタルピhを用いて(h−h)/(h−h)で表せる。この場合においても図2(b)に示すように、ポンプ仕事の増分に対して過冷却による増分の方が大きいため、冷房時のCOPを向上させることが可能となる。
なお、冷房時において、圧縮機116の吸込圧力(A)が、従来の空調機の吸込圧力(A´)よりも若干ながら低下しているため圧縮機116の動力増大が懸念される。しかし、圧縮機116の吐出圧力(B)を従来の空調機の吐出圧力(B´)よりも大幅に低下させることができるため、全体としては圧縮機116の動力はむしろ低減し、その効果として消費電力の削減が可能である。
上述したように本実施形態の空調機100の冷房運転時では、従来外気に捨てていた廃熱によって二次冷媒を加熱するので、実質的には貯湯に関する消費電力は無いものと考えることができる。また廃熱は二次冷媒の加熱に利用されるため、冷房運転時にヒートポンプ周囲の外気温度が上昇しない。したがって、周囲外気温度上昇に起因する圧縮機116の吐出冷媒圧力上限異常停止を回避でき、且つヒートアイランド現象の緩和効果も奏する。
なお、空調機100の冷房運転時において、一次冷媒の冷却に要する能力に対して給湯設備での必要給湯量が少ない場合、蓄熱槽136が満蓄(二次冷媒が蓄えた熱量が上限値になること)となることが起こり得る。すると、一次冷媒は第1熱交換器132において二次冷媒に放熱できないため、一次冷媒が有する熱(冷房廃熱)を室外熱交換器114にて外気に捨てる必要がある。ところが、外気温度が高くなる時間帯(例えば正午から午後2時など)には、外気に放熱しづらいため、一次冷媒の圧力が上がってしまって圧縮機116の吐出冷媒圧力が上限に達し、空調機100が異常停止してしまうおそれがある。このような異常停止を回避するために、外気温度が高くなる時間帯にはできるだけ一次冷媒の冷房廃熱を二次冷媒に放熱できるように、あらかじめ蓄熱槽136における二次冷媒の貯留量を低めに制御してもよい。
蓄熱槽136は二次冷媒を貯留する。本実施形態における蓄熱槽136は、外形がほぼ直方体の開放式蓄熱槽である。蓄熱槽136の外形をほぼ直方体とすることにより、四角形状であることが多い賃貸住宅の敷地の有効活用を図り、賃貸住宅への当該給湯装置の導入を促進することができる。
また本実施形態では、後に詳述するように、二次冷媒を、第2熱交換器142において湯を生成するための熱媒体として利用する。このため、二次冷媒が水であっても直接利用しないので、従来のように65℃以上での貯湯が不要となる。また二次冷媒は水道圧を利用せずに第2熱交換器142に供給される。したがって、蓄熱槽136を密閉式ではなく開放式にすることができるため、従来のように耐圧のためにステンレス鋼等で形成する必要がなく、樹脂系材料で形成することが可能となり、蓄熱槽136に要するコストの削減が図れる。
蓄熱槽136には、二次冷媒を第1熱交換器132や第2熱交換器142に循環させるための2つの循環経路が接続されている。二次冷媒を第1熱交換器132に循環させるための循環経路は、第1行き経路138aおよび第1戻り経路138bからなる。第1行き経路138aは、蓄熱槽136の下方から第1熱交換器132に接続されており、第1戻り経路138bは、第1熱交換器132から蓄熱槽136の上方に接続されている。二次冷媒を第2熱交換器142に循環させるための循環経路は、第2行き経路138cおよび第2戻り経路138dからなる。第2行き経路138cは、蓄熱槽136の上方から第2熱交換器142に接続されており、第2戻り経路138dは、第2熱交換器142から蓄熱槽136の下方に接続されている。
また第1行き経路138aにはポンプ140aが、第2行き経路138cにはポンプ140bが設けられている。これにより、蓄熱槽136が開放式であっても、ポンプの動力を利用して第1熱交換器132や第2熱交換器と蓄熱槽136とに二次冷媒を好適に循環させることが可能となる。
第2熱交換器142は、給水経路144を通じて水が、第2行き経路138cを通じて二次冷媒が供給され、二次冷媒と水との熱交換を行う。これにより、二次冷媒の熱を水が吸熱し、湯が生成される。給湯手段146は、いわゆる給湯経路であり、生成された湯を給湯設備に供給する。このように二次冷媒を用いて水を加熱する、すなわち二次冷媒を直接利用ではなく間接利用することにより、衛生面において安全な湯を供給することが可能となる。
給湯装置130における二次冷媒の循環では、まず蓄熱槽136の下方に貯留する低温の二次冷媒が、ポンプ140aの動力により第1行き経路138aを通過して第1熱交換器132に流入する。そして、第1熱交換器132における熱交換により二次冷媒は一次冷媒の熱を吸熱する。吸熱により高温となった二次冷媒は第1戻り経路138bを通過して蓄熱槽136の上方に貯留される。
蓄熱槽136の上方に貯留された高温の二次冷媒は、ポンプ140bの動力により第2行き経路138cを通過して第2熱交換器142に流入する。これと並行して、第2熱交換器142には給水経路144から水が供給される。そして、第2熱交換器142における熱交換により二次冷媒の熱は水に吸熱される。吸熱により高温となった水すなわち湯は、給湯手段146を通じて給湯設備に供給される。
上記説明したように、第1実施形態にかかる給湯装置130によれば、空調機100の室外機110および室内機120から構成されるヒートポンプを、従来は蓄熱槽(貯湯タンクユニット)と一対に設けられていたヒートポンプユニットとして利用することができる。したがって、給湯専用のヒートポンプユニットが不要となり、給湯装置全体のコストを大幅に削減し、低コスト化を図れる。また空調機100における一次冷媒の循環経路102上に第1熱交換器132が設けられているので、空調機100の運転時に一次冷媒は常に第1熱交換器132を通過する。このため、空調機100の運転時においても、一次冷媒を用いて二次冷媒を加熱し、加熱された二次冷媒により水を加熱し湯を生成することができ、利便性の向上を図ることが可能となる。
なお、上記第1実施形態においては、冷房運転時に室外熱交換器114における放熱を低減させるために送風機114aを停止すると説明したが、熱容量の大きな室外熱交換器114に一次冷媒を通過させれば、やはりある程度の放熱は避けられない。そこで室外機110の構成に変更を加えて空調機100と給湯装置130をあわせた給湯システムとし、さらなる効率の向上を図ることができる。
図3は、第1実施形態にかかる給湯システムの他の構成を示す図であって、空調機が冷房運転をする場合を例示している。図3に示すように、室外機110には、室外熱交換器114を迂回して膨張弁112と圧縮機116とを接続するバイパス経路812と、その流量を調整する制御弁814を更に備える。そして一次冷媒を、冷房運転時にはバイパス経路812を通過させ、暖房運転時には室外熱交換器114を通過させる。
このような構成とすることにより、単に送風機114aを停止させる場合よりも、さらに室外熱交換器114における一次冷媒からの熱の放出を回避することができる。したがって、第1熱交換器132における二次冷媒との熱交換に、より温度が高い状態の一次冷媒を用いることできるため、二次冷媒の加熱効率ひいては湯の生成効率の向上を図れる。
なお、上述したように本実施形態の蓄熱槽136は開放式であるので、蓄熱槽136に貯留される二次冷媒が水であると水分蒸発が生じる。このため一定期間毎に蓄熱槽136への水(二次冷媒)の補給が必要となる。そこで、空調機100では、冷房運転時は室内機120において、暖房運転時は室外機110においてドレン水が発生するので、このドレン水を蓄熱槽136への補給水として使用してもよい。なお、補給水の供給は、蓄熱槽136の水位が一定値以下のときに実施することとしてもよい。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態にかかる給湯装置230の構成を示す図であり、特に第2実施形態にかかる給湯装置の暖房運転時を例示している。なお、第1実施形態の構成要素と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また図4中の実線、破線および一点鎖線については、図1と同様の経路を意味している。
図4に示すように、第2実施形態にかかる給湯装置230は、主に、当該給湯装置230内において循環経路102から分岐して室内機120を介さずに一次冷媒を室外機110に戻す分岐経路232と、第3熱交換器234とを備える点において、第1実施形態の給湯装置130と異なる。
本実施形態にかかる分岐経路232は、循環経路102において、圧縮機116と室内熱交換器122との間、および膨張弁112と第1熱交換器132との間で分岐する。これにより、空調機100の通常運転時のように室内機120の室内熱交換器122に一次冷媒を循環させるだけではなく、室内熱交換器122および第1熱交換器132を通過させることなく一次冷媒を室外機110に戻すことができる。
また本実施形態においては、蓄熱槽136と第3熱交換器234とに二次冷媒を循環させるための第3行き経路238aおよび第3戻り経路238bが設けられる。第3行き経路238aは、蓄熱槽136の下方から第3熱交換器234に接続されており、第3戻り経路238bは、第3熱交換器234から蓄熱槽136の上方に接続されている。なお、これに限定するものではなく、蓄熱槽136と第3熱交換器234との間に第3行き経路238aおよび第3戻り経路238bを設けずに、第1行き経路138aおよび第1戻り経路138bを分岐させ、第3熱交換器234に接続する構成としてもよい。
上記の第3行き経路238aにはポンプ240が設けられており、かかるポンプ240の動力を利用して第3熱交換器234と蓄熱槽136とに二次冷媒を好適に循環させることが可能となる。なお、ポンプ240は第3戻り経路238bに設けられていてもよい。
第3熱交換器234は、分岐経路232に設けられ、空調機100を循環する一次冷媒と蓄熱槽136からの二次冷媒との熱交換を行う。これにより、第1熱交換器132において熱交換を行っていない一次冷媒、すなわち、より高温の一次冷媒と二次冷媒とを熱交換させることが可能となる。
分岐経路232上、且つ第3熱交換器234の下流側には流量調整弁236が設けられている。これにより、第3熱交換器234に流入する一次冷媒の量を調整することができる。なお、本実施形態においては流量調整弁236を第3熱交換器234の下流側に設けたが、これに限定するものではなく、第3熱交換器234の上流側に設けてもよい。
第2実施形態にかかる給湯装置において暖房運転時には、図4に太実線で示すように、圧縮機116により加圧された高圧状態の一次冷媒は、循環経路102を流れて室内熱交換器122に流入すると共に、これと並行して分岐経路232を流れて第3熱交換器234にも流入する。そして、第1熱交換器132における熱交換後の一次冷媒と、第3熱交換器234における熱交換後の一次冷媒は、合流した後に膨張弁112において膨張冷却される。なお、本実施形態においても、空調機の暖房運転時は、膨張弁112のみを使用し、膨張弁135は開状態としておく。
上記説明したように第2実施形態にかかる空調機100によれば、室内機120を介さない、すなわち室内機120の室内熱交換器122における熱交換を行わない一次冷媒を第3熱交換器234に循環させることにより、熱を放出していない、より高温の一次冷媒と二次冷媒とを熱交換させることができ、更に効率的に二次冷媒ひいては水を加熱することが可能となる。また室外機110と第3熱交換器234との間で直接一次冷媒を循環させることにより、室内機120を運転しない場合においても第3熱交換器234において二次冷媒を加熱し、湯を生成することができる。
なお、第2実施形態にかかる給湯装置230では、空調機100の冷房運転時には、流量調整弁236を閉状態として分岐経路232に一次冷媒を流さずに、すなわち第3熱交換器234を使用せずに、第1実施形態の空調機100および給湯装置130と同様に一次冷媒を循環させる。膨張弁においても、第1実施形態と同様に、膨張弁135を使用し、膨張弁112を開状態としておく。
図5は、運転モードごとの給湯装置の制御状態を示す図である。図5に示すように、上述した給湯装置130および230では、膨張弁112等の開閉状態や、送風機112aおよび122aの動作状態、循環経路102における冷媒の循環方向を適宜制御することにより、様々な運転モードを実施することが可能となる。これにより、多様なニーズを満たすことができ、利便性の向上が図れる。
なお、空調機100の暖房運転時において、暖房負荷が小さいため圧縮機116の運転周波数が低くなり効率が低い運転状態となった場合には、暖房運転と並行して二次冷媒の加熱を行い、圧縮機116の運転周波数が所定範囲内となるように制御してもよい。これにより、圧縮機116の運転周波数を上昇させ、低効率運転を回避することができる。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態にかかる給湯装置330の構成を示す図であり、特に第3実施形態にかかる給湯装置の暖房運転時を例示している。なお、第1実施形態および第2実施形態の構成要素と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また図6中の実線、破線および一点鎖線については、図1と同様の経路を意味している。
図6に示すように、第3実施形態にかかる給湯装置330は、主に、当該給湯装置230内において循環経路102から分岐して室内機120を介さずに一次冷媒を室外機110に戻す分岐経路332と、第3熱交換器234とを備える点において、第1実施形態の給湯装置130と異なる。また分岐経路332が設けられる位置において第2実施形態の230と異なる。
本実施形態においては、分岐経路332は、循環経路102において、圧縮機116と室内熱交換器122との間、および室内熱交換器122と第1熱交換器132との間で分岐する。これにより、第2実施形態の給湯装置のように、室内機120の室内熱交換器122における熱交換を行わない一次冷媒を第3熱交換器234に循環させるだけでなく第3熱交換器234における熱交換後の一次冷媒に残っている熱を、更に第1熱交換器132において回収することが可能となる。したがって、エネルギーロスが更に削減され、二次冷媒の加熱効率、ひいては水の加熱効率をより向上させることができる。
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図であり、特に第4実施形態にかかる給湯装置の暖房運転時を示している。図7(a)は補助熱源を蓄熱槽の外部に備える給湯装置430を、図7(b)は補助熱源を蓄熱槽の内部に備える給湯装置450を例示している。なお、第1実施形態の構成要素と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また図7中の実線、破線および一点鎖線については、図1と同様の経路を意味している。
図7(a)および(b)に示すように、第4実施形態にかかる給湯装置430および450は、主に補助熱源を備える点において、第1実施形態の給湯装置130と異なる。
本実施形態では、補助熱源として、二次冷媒を補助的に加熱する熱交換器すなわち補助熱交換器432を設け、外部熱源402の廃熱を吸熱した熱媒体をかかる補助熱交換器432に循環させている。これにより、外部熱源402の排熱を、蓄熱槽136に貯留されるまたは貯留された二次冷媒の補助的な加熱に用い、有効利用することが可能となる。外部熱源402としては、例えばガスヒートポンプ、燃料電池(FCとも称される)、ガスエンジンなどを好適に利用することができる(コジェネレーション廃熱)。またこれらの熱源だけでなく、例えば太陽熱温水パネルを外部熱源402として熱媒体を加熱し、かかる熱媒体を補助熱交換器432に循環させてもよいし、入浴後の浴槽(図10の風呂702参照)の湯を補助熱交換器432に循環させてもよい。また外部熱源402を設けず、電気ヒータ等を補助熱源として、すなわち熱交換器ではない補助熱源により二次冷媒を直接加熱してもよい。
図7(a)の給湯装置430は、蓄熱槽136の外部に補助熱交換器432を備えている。そして、給湯装置430では、蓄熱槽136の下方から補助熱交換器432に接続される第4行き経路434aと、補助熱交換器432から蓄熱槽136の上方に接続される第4戻り経路434bとが設けられていて、蓄熱槽136と補助熱交換器432とに二次冷媒を循環させている。また第4行き経路434aには、二次冷媒を補助熱交換器432に送り出すための動力としてポンプ436が設けられている。なお、ポンプ436は第4戻り経路434bに設けられていてもよい。
また図7(a)に示す給湯装置430は2つの分岐経路を備えている。分岐経路438aは、蓄熱槽136の高さ方向の略中央から第4行き経路434aに接続されている。これにより、蓄熱槽136の下方の二次冷媒だけでなく、蓄熱槽136の中央付近の二次冷媒を補助熱交換器432に送出することができる。換言すれば、低温の二次冷媒だけでなく、中温の二次冷媒を補助熱交換器432に送出することができる。したがって、高温の湯を多く必要とする場合等に、二次冷媒の温度をより速く高め、ひいては高温の湯をより速く生成することができる。
分岐経路438bは、第4戻り経路434bから蓄熱槽136の下方に接続されている。これにより、補助熱交換器432によって加熱された二次冷媒の温度を参照し、温度が低い場合には分岐経路438bを通じて蓄熱槽136の下方に、温度が高い場合には第4戻り経路434bを通じて蓄熱槽136の上方に二次冷媒を戻すことができる。したがって、補助加熱後の二次冷媒の温度が低い場合においても、蓄熱槽136上方に貯留された二次冷媒の温度成層を乱したり、温度低下を招いたりすることがない。
図7(b)の給湯装置450は、蓄熱槽136の内部に補助熱交換器432(熱交換器)を備えている。そして、給湯装置450では、補助熱交換器432と外部熱源402との間に設けられた循環経路452aおよび452bにより、外部熱源402からの熱媒体を補助熱交換器432に循環させている。これにより、給湯装置430よりも更に簡易な構成としつつも、外部熱源402の廃熱を有効利用することが可能となる。
上記説明したように、第4実施形態にかかる給湯装置430および450によれば、二次冷媒を補助的に加熱することができ、二次冷媒の温度をより効率的に高めることが可能となる。したがって、第2熱交換器における熱交換においてより多くの熱を水に与えることができる。なお、本実施形態では例示していないが、蓄熱槽136の外部および内部の両方に補助熱交換器432を設ける構成としてもよい。
また上述した給湯装置450と外部熱源402とを一体に構成してもよい。本実施形態においては例示していないが、外部熱源402を例えば太陽熱温水器とする場合、太陽熱温水器は蓄熱槽を有するのが一般的である。したがって、給湯装置450と外部熱源402とを一体とすることによって、蓄熱槽を共用することができ、さらなるコストの削減を図ることができる。
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態にかかる給湯装置の構成を示す図であり、特に第5実施形態にかかる給湯装置の暖房運転時を示している。図8(a)は補助熱源を第2熱交換器の下流側に備える給湯装置530を、図8(b)は補助熱源を第2熱交換器の上流側に備える給湯装置550を例示している。なお、第1実施形態の構成要素と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また図8中の実線、破線および一点鎖線については、図1と同様の経路を意味している。
図8(a)および(b)に示すように、第5実施形態にかかる給湯装置530および550は、主に補助熱源532を備える点において、第1実施形態の給湯装置130と異なる。
本実施形態では、補助熱源532は燃焼式給湯装置であり、水または湯を直接加熱する。なお、これに限定するものではなく、補助熱源532として電気ヒータ等を用いてもよいし、第4実施形態の補助熱源(補助熱交換器432)のように、補助熱源532を熱交換器とし且つ給湯装置に外部熱源を設け、外部熱源の廃熱を吸熱した熱媒体をかかる補助熱源532に循環させてもよい。
図8(a)の給湯装置530は、第2熱交換器142の下流側、すなわち給水経路144に補助熱源532を備えている。これにより、第2熱交換器142において二次冷媒との熱交換を行う前の水を予め加熱しておくことが可能となり、例えば太陽熱温水器などの低温の熱源を補助熱源532として有効利用することができる。
図8(b)の給湯装置550は、第2熱交換器142の上流側、すなわち給湯手段146に補助熱源532を備えている。これにより、第2熱交換器142において二次冷媒と熱交換を行った後の湯を更に加熱することが可能となる。
なお、補助熱源532の最小加熱能力が大きい場合、第2熱交換器142から補助熱源532に供給する湯の温度が高いと最終的な供給温度が目標温度より高温となる可能性がある。このような場合、補助熱源532に供給する水温を予め低めに調整して、最終的な供給温度が目標温度またはその近傍になるように制御するとよい。このような制御を行う際には、補助熱源532と第2熱交換器142とが通信できる手段を給湯装置550に設けることが好ましい。
更に、図8(b)に示す給湯装置550は、給湯手段146において、補助熱源532を迂回するバイパス経路534を備えている。これにより、第2熱交換器142における熱交換のみで湯の温度を目標温度に到達させることが可能な場合に、補助熱源532を迂回することができる。したがって、湯が補助熱源532を通過する際の放熱を回避することができ、熱損失を低減することが可能となる。
上記説明したように、第5実施形態にかかる給湯装置530および550によれば、第2熱交換器142に供給する水、または第2熱交換器142における熱交換により生成された湯を補助的に加熱することができる。したがって、より高温の湯を容易に供給することや、第2熱交換器142における熱交換により得ることができる熱が少ない場合であっても湯を確実に目標温度に到達させることができ、利便性の更なる向上が図れる。
なお、本実施形態の給湯装置530は空調実施時(空調機100の運転時)のみに貯湯(給湯装置530の運転)を行ってもよい。これにより、給湯装置530の第1熱交換器132は一次冷媒の廃熱回収に徹することとなり、残湯発生による効率低下を防止することができる。
また一日の時間を、夜間など低負荷時となる第1の時間帯と、その他の時間帯である第2の時間帯とのように複数の時間帯に分割し、時間帯に応じて給湯システムの動作を制御してもよい。例えば、低負荷時となる第1の時間帯では空調機100のヒートポンプを利用して二次冷媒の加熱(二次冷媒が水である場合には貯湯)を行い、その他の第2の時間帯では、蓄熱槽136の熱量または貯留量が所定値以下になった場合にヒートポンプを利用した二次冷媒の加熱(貯湯)を行い、給湯手段146から供給する湯の温度が目標温度に到達しない場合のみ補助熱源532を用いて更に加熱を行うというように給湯装置530を動作させてもよい。また第2の時間帯の中に、電力ピークカットが求められる時間帯として第3の時間帯を設定し、第3の時間帯にはヒートポンプによる二次冷媒の加熱(貯湯)を休止し、補助熱源532のみを用いてもよい。
なお、補助給湯器532は、必ずしも給湯装置530の内部に設置される必要はなく、外部に設置されてもよい。例えば、給湯装置530を既設の給湯器(不図示)に接続する場合がこれに該当する。
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態にかかる給湯装置630の構成を示す図であり、特に第6実施形態にかかる給湯装置の暖房運転時を示している。なお、第1実施形態の構成要素と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また図9中の実線、破線および一点鎖線については、図1と同様の経路を意味している。
図9に示すように、第6実施形態にかかる給湯装置630は、主に蓄熱槽の二次冷媒を直接利用可能な温熱利用設備602を備える点において、第1実施形態の給湯装置130と異なる。温熱利用設備602の例としては、融雪装置や床暖房装置、全館暖房用ヒータ等を挙げることができる。換言すれば、二次冷媒を経口用途ではなく、熱媒体として利用する機器であれば、温熱利用設備602に該当する。
給湯装置630は、二次冷媒を直接利用する経路、すなわち蓄熱槽136と温熱利用設備602とに二次冷媒を循環させるための経路として、直接行き経路632および直接戻り経路636を備える。また直接行き経路632には二次冷媒を循環させるための動力としてポンプ634が設けられている。なお、ポンプ634は、直接戻り経路636に設けられていてもよい。
直接行き経路632は、蓄熱槽136から温熱利用設備602の上流側に接続されている。かかる直接行き経路632は、ポンプ634より上流側において複数の経路に分岐して蓄熱槽136に接続されている。詳細には、蓄熱槽136の上方には分岐経路632aが接続され、蓄熱槽136の高さ方向の略中央には分岐経路632bが接続され、蓄熱槽136の下方には分岐経路632cが接続されている。これらの分岐経路632a〜632cは合流して直接行き経路632となる。各分岐経路632a〜632cには、不図示の流量調整弁が設けられている。
上記構成によれば、分岐経路632aにより蓄熱槽136の上方に貯留されている高温の二次冷媒を、分岐経路632bにより蓄熱槽136の中央に貯留されている中温の二次冷媒を、分岐経路632dにより蓄熱槽136の下方に貯留されている低温の二次冷媒を混合することができる。これにより、温熱利用設備602に供給する二次冷媒の温度を目標温度に到達するように調整することができる。
直接戻り経路636は、温熱利用設備602の下流側から蓄熱槽136に接続されている。かかる直接戻り経路636は、複数の経路に分岐して蓄熱槽136に接続されている。詳細には、分岐経路636aは、直接戻り経路636から分岐して蓄熱槽136の下方に接続されている。分岐経路636bは、直接戻り経路636から分岐して蓄熱槽136の高さ方向の略中央に接続されている。
上記構成によれば、温熱利用設備602において使用されることにより低温となった二次冷媒を分岐経路636aを介して蓄熱槽136の下方に戻すことができる。例えば温熱利用設備602が融雪装置であった場合には、戻りの二次冷媒は常に低温になると考えられることから、分岐経路636aを介して蓄熱槽136の下方に戻す。温熱利用設備602が床暖房装置であった場合には、運転開始時には低温で戻ってくるが、時間が経つにつれて中温程度まで昇温すると考えられるので、始めの頃は蓄熱槽136の下方に戻し、二次冷媒の温度に応じて分岐経路636bを介して蓄熱槽136の中央に戻す。このように、二次冷媒の温度に応じて戻す位置を変えることにより、蓄熱槽136の温度成層の乱れを防止し、以後の一次冷媒との熱交換効率の低下を防止することができる。
上記説明したように、第6実施形態にかかる給湯装置630によれば、二次冷媒を間接利用のみならず直接利用することが可能となる。したがって、二次冷媒をより多くの用途に用いることができ、利便性の向上が図れる。
なお、上述したように温熱利用設備602として床暖房装置や融雪装置を想定した場合、これらの設備は熱容量が大きいため装置起動時に非常に大きな熱負荷がかかり、一度装置全体が暖まると比較的小負荷が長い時間継続する。しかしながら、従来のヒートポンプ式温熱利用設備は、蓄熱槽(貯湯槽)を有さない、または蓄熱槽を有していたとしても容量が小さかったため、起動時の大負荷に対処するべくヒートポンプ容量を大きくし、小負荷時は圧縮機116において効率の悪い低周波数運転を長時間継続していた。これに対し、本実施形態では、給湯のために設けられた蓄熱槽136の二次冷媒を直接使用するので、大容量ヒートポンプを使用することなく起動時の大負荷に対処でき、また小負荷時の圧縮機低周波数を回避して運転効率の向上を図ることができる。
(第7実施形態)
図10は、第7実施形態にかかる給湯装置730の構成を示す図であり、特に第7実施形態にかかる給湯装置の暖房運転時を示している。なお、第1実施形態の構成要素と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また図10中の実線、破線および一点鎖線については、図1と同様の経路を意味している。
図10に示すように、第7実施形態にかかる給湯装置730は、主に風呂702の湯を追いだきする熱交換器および経路を備える点において、第1実施形態の給湯装置130と異なる。詳細には、給湯装置730は第4熱交換器732を備え、第4熱交換器732には風呂行き経路734aおよび風呂戻り経路734bが接続されている。風呂行き経路734aは、第4熱交換器732の下流側から風呂702の上流側に接続されており、風呂戻り経路734bは、風呂702の下流側から第4熱交換器732の上流側に接続されている。そして、風呂戻り経路734bには動力としてのポンプ736が設けられている。これらにより、風呂702の湯を第4熱交換器732に循環させることができる。
また第4熱交換器732と蓄熱槽136との間には、第5行き経路738および第5戻り経路740が設けられている。第5行き経路738は、蓄熱槽136の上方から第4熱交換器732の上流側に接続される。第5戻り経路740は、第4熱交換器732の下流側から分岐経路740aおよび740bに分岐し、分岐経路740aとして蓄熱槽136の高さ方向の略中央に、分岐経路740bとして蓄熱槽136の下方に接続されている。そして、第5行き経路738には動力としてのポンプ742が設けられている。これらにより、二次冷媒を第4熱交換器732に循環させることができる。
給湯装置730を用いて風呂の追いだきを行う場合、まず風呂702の湯は風呂戻り経路734bを通じて第4熱交換器732に流入し、これと並行して、第4熱交換器732には第5行き経路738を通じて蓄熱槽136の上方の高温の二次冷媒が流入する。そして、第4熱交換器732における熱交換により湯は二次冷媒により加熱される。加熱された湯は、風呂行き経路734aを通じて風呂702に供給される。
一方、732における熱交換後の二次冷媒は、第5戻り経路740を通じて蓄熱槽136に戻る。このとき、二次冷媒が低温であった場合には、二次冷媒を分岐経路740bを通じて蓄熱槽136の下方に戻し、二次冷媒が中温であった場合には、二次冷媒を分岐経路740aを通じて蓄熱槽136の中央に戻す。二次冷媒を蓄熱槽136のいずれの位置に戻すかは、第4熱交換器732の出口における二次冷媒の温度(出口温度)を参照して決定するとよい。
上記説明したように、第7実施形態にかかる給湯装置730によれば、蓄熱槽136の二次冷媒を用いて風呂702の湯の追いだきを行うことが可能となる。したがって、更なる利便性の向上を図ることができる。
なお、第7実施形態の給湯装置では、二次冷媒が蓄熱槽と第1熱交換器とを循環する経路、すなわち第1行き経路138aおよび138bにおいても複数の分岐配管を設けている。詳細には、第1行き経路138aからは分岐経路750が分岐しており、分岐配管750は蓄熱槽136の高さ方向の略中央に接続されている。これにより、例えば、蓄熱槽136に貯留されている二次冷媒において中温の領域が増大してしまった場合等に、分岐経路750を通じて中温の二次冷媒を132に送り、第1熱交換器132における熱交換により高温とすることができる。
また第1戻り経路138bからは、蓄熱槽の高さ方向の略中央に接続される分岐経路752と、蓄熱槽の下方に接続される分岐経路754とが分岐している。これにより、第1熱交換器132において熱交換後の二次冷媒を、通常時は第1戻り経路138bを通じて蓄熱槽136の上方に戻したり、二次冷媒の温度が中温の場合には752を通じて蓄熱槽136の中央に戻したり、二次冷媒の温度が低温の場合には分岐経路754を通じて蓄熱槽の下方に戻したりすることができる。したがって、二次冷媒の温度に応じてより適切な循環経路を構築することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、水を加熱して生成した湯を供給する給湯装置および給湯システムとして利用することができる。
100…空調機、102…循環経路、102a・102b・102c・102d…分岐経路、102e・102f…合流経路、110…室外機、112…膨張弁、114…室外熱交換器、114a…送風機、116…圧縮機、118…四方弁、120…室内機、122…室内熱交換器、122a…送風機、130…給湯装置、132…第1熱交換器、134a・134b・134c・134d…逆止弁、135…膨張弁、136…蓄熱槽、138a…第1行き経路、138b…第1戻り経路、138c…第2行き経路、138d…第2戻り経路、140a・140b…ポンプ、142…第2熱交換器、144…給水経路、146…給湯手段、230…給湯装置、232…分岐経路、234…第3熱交換器、236…流量調整弁、238a…第3行き経路、238b…第3戻り経路、240…ポンプ、330…給湯装置、332…分岐経路、402…外部熱源、430…給湯装置、432…補助熱交換器、434a…第4行き経路、434b…第4戻り経路、436…ポンプ、438a・438b…分岐経路、450…給湯装置、452a・452b…循環経路、530…給湯装置、532…補助熱源、534…バイパス経路、550…給湯装置、602…温熱利用設備、630…給湯装置、632…直接行き経路、632a・632b・632c…分岐経路、634…ポンプ、636…直接戻り経路、636a・636b…分岐経路、702…風呂、730…給湯装置、732…第4熱交換器、734a…風呂行き経路、734b…風呂戻り経路、736…ポンプ、738…第5行き経路、740…第5戻り経路、740a・740b…分岐経路、742…ポンプ、750・752・754…分岐経路、812 …バイパス経路、814…制御弁

Claims (8)

  1. ヒートポンプを用いて室内の空調を行う空調機と併設される給湯装置であって、
    前記空調機の室外機と室内機とを循環する一次冷媒の循環経路上に設けられ、該一次冷媒と二次冷媒との熱交換を行う第1熱交換器と、
    前記二次冷媒を貯留する蓄熱槽と、
    前記蓄熱槽に貯留された二次冷媒と水との熱交換を行い湯を生成する第2熱交換器と、
    前記生成された湯を給湯設備に供給する給湯手段と、
    を備えることを特徴とする給湯装置。
  2. 前記第1熱交換器の前記室内機側に、冷房動作時に前記一次冷媒を膨張させる膨張弁を備えたことを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  3. 前記蓄熱槽は、外形がほぼ直方体の開放式蓄熱槽であることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  4. 前記循環経路は、前記第1熱交換器の前記室外機側および前記室内機側の両側において分岐して該第1熱交換器の両端に接続されており、
    前記第1熱交換器の一方側には前記室外機および前記室内機の両方から流入する向きの逆止弁が設けられており、
    前記第1熱交換器の他方側には前記室外機および前記室内機の両方へと流出する向きの逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  5. 当該給湯装置内において前記循環経路から分岐し、前記室内機を介さずに前記一次冷媒を前記室外機に戻す分岐経路と、
    前記分岐経路に設けられ前記一次冷媒と前記二次冷媒との熱交換を行う第3熱交換器と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  6. 前記蓄熱槽の内部もしくは外部のいずれか一方または両方に設けられ、前記二次冷媒を加熱する補助熱源を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  7. 前記第2熱交換器の上流側もしくは下流側のいずれか一方または両方に設けられ、前記湯を加熱する補助熱源を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
  8. 室外機と室内機の間で構成されるヒートポンプを用いて室内の空調を行う空調機と、請求項1に記載の給湯装置とを備える給湯システムであって、
    前記ヒートポンプは、
    膨張弁と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、圧縮機と、これらに一次冷媒を循環させる循環経路とを有し、
    さらに、該循環経路から分岐し、前記室外熱交換器を迂回して前記膨張弁と前記圧縮機とを接続するバイパス経路とを備えることを特徴とする給湯システム。
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