JP5295481B2 - 空調システム - Google Patents

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Description

本発明は,圧縮膨張方式の空調装置を有する建築物の空調システムに関する。
貸しビル等の業務用建築物などの内部には,各ユニットに分割された複数の空調空間が存在する。そのような複数の空調空間を空調する空調設備として,室外機で凝縮させた冷媒を室内機に循環供給して膨張させ,冷凍サイクルを行うことにより建築物内の空調空間を冷房する圧縮膨張方式の空調装置が一般に知られている。この空調装置は,パッケージ型空調装置などと呼ばれている。例えば,特開2003−56930号公報には,そのような圧縮膨張方式の空調装置に用いられる冷凍サイクルが開示されている。また,圧縮膨張方式の空調装置の一つとして,建築物内に複数配置された室内機に,共通の室外機から冷媒が循環供給されるいわゆるビルマルチ型の空調装置も知られている。
この圧縮膨張方式の空調装置は設置が比較的容易であり,また,一般的に空調装置のパーソナル性が明かなため,貸しビルオーナーにとってはテナントなどへの課金が透明である等の利点がある。そのため,テナントビルや小規模建物などに一般に採用されている。
特開2003−56930号公報
圧縮膨張方式の空調装置は,室内の床面積当たりの冷房負荷が大きいほど,室外機と室内機の台数を増加させる必要がある。しかしながら,室外機の台数が増加し,屋上階や各階のベランダ等に設置される室外機の密度が高くなると,室外機の排気によって室外機周辺の空気温度が上昇し,室外機の吸気温度が高くなるため,冷房能力が低下する問題があった。また,空気温度の上昇により,都市のヒートアイランド現象をまねく要因にもなっていた。更に,冷房能力低下により,室外機の設置台数をより増加させる必要が生じ,設備費用が高コストとなるとともに,室外機がより高密度に設置され,冷房能力がさらに低下する問題があった。
一方,このような冷房能力の低下を回避するために,室外機に散水することも行われている。しかしそうすると,散水の垂流しに伴う藻の発生や,室外機フィンの腐食などといった室外機廻りの水仕舞いの問題を生ずることになる。
本発明は以上の如き問題に鑑みてなされたものであり,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を,低コストで向上できる空調システムを提供することにある。
室外機と室内機の間で冷媒を循環させ,冷凍サイクルを行うことにより建築物内の空調空間を冷房する圧縮膨張方式の空調装置を有する建築物の空調システムであって,前記圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒と,冷却塔で冷却された冷却水とを熱交換させる熱交換器を設けたことを特徴とする,空調システムが提供される。
この空調システムにあっては,圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒を,冷却塔で冷却された冷却水で冷却することにより,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を向上させることができる。
前記空調システムは,前記圧縮膨張方式の空調装置を複数有するものでも良い。また,前記空調システムは,前記圧縮膨張方式の空調装置の他に,熱源設備の冷媒を空調空間内に設置した室内機に循環供給して,建築物内の空調空間を冷房するセントラル方式の空調装置を有する構成でも良い。その場合,前記熱源設備は,冷却手段として冷却塔を備え,前記熱交換器は,このセントラル方式の熱源設備の冷却塔で冷却された冷却水と,前記圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒とを熱交換させる構成としても良い。
また,室外機と室内機の間で冷媒を循環させ,冷凍サイクルを行うことにより建築物内の空調空間を冷房する圧縮膨張方式の空調装置を有する建築物の空調システムであって,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水を溜める水槽が設置され,前記圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒と,前記水槽から建築物の外部に排出される,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水とを熱交換させる熱交換器を設けたことを特徴とする,空調システムが提供される。
この空調システムにあっては,圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒を,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水で冷却することにより,冷熱源動力を投入せずに,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を向上させることができる。
また,本発明によれば,室外機と室内機の間で冷媒を循環させ,冷凍サイクルを行うことにより建築物内の空調空間を冷房する圧縮膨張方式の空調装置を有する建築物の空調システムであって,前記圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる凝縮液化された冷媒と,前記建築物に設けられた給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラに供給される給水とを熱交換させて,前記冷媒を冷却し,前記給水を昇温させる熱交換器と,給水を溜める膨張タンクを設け,前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラから前記膨張タンクへ膨張配管が接続され,前記膨張タンクから前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラへ給水管が接続され,前記給水管に,前記熱交換器が設けられることにより,前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラ,前記膨張タンク,前記熱交換器,前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラの循環経路が形成されたことを特徴とする,空調システムが提供される。
この空調システムにあっては,圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒を,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラに供給される給水で冷却することにより,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を向上させることができる。また,圧縮膨張方式の空調装置の冷媒を冷却したことにより,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラに供給される給水は昇温され,給湯設備の省エネルギ化がはかられる。
また,室外機と室内機の間で冷媒を循環させ,冷凍サイクルを行うことにより建築物内の空調空間を冷房する圧縮膨張方式の空調装置を有する建築物の空調システムであって,前記圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる凝縮液化された冷媒と,前記建築物に設けられた貯湯槽を有する給湯設備の貯湯水とを熱交換させて,前記冷媒を冷却し,前記貯湯水を昇温させる熱交換器を設け,非給湯時間帯に該熱交換器で熱交換した貯湯水を,給湯時間帯に加熱して給湯することを特徴とする,空調システムが提供される。
この空調システムにあっては,圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒を,加熱給湯前の貯湯水で冷却することにより,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を向上させることができる。また,圧縮膨張方式の空調装置の冷媒を冷却したことにより貯湯水は昇温され,給湯設備の省エネルギ化がはかられる。
本発明によれば,圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる冷媒を,電力などのエネルギーを大量に要さずに冷却でき,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力が向上し,結果的に建築物全体の省エネルギー性を高めることができる。既に存在する設備や本来の目的のために存在する設備を空調熱源としても活用できるようになる。未利用エネルギの利用により,追加的なコストを要しない。したがって,改修工事などに極めて有益である。
以下,本発明の実施の形態を,図面を参照にして説明する。図1は,空調システムを適用した建築物1の説明図である。建築物1の内部には,2つに分割された空調空間a,bが形成されている。
空調空間aには,圧縮膨張方式の空調装置10の室内機11が設置されている。空調空間bには,圧縮膨張方式の空調装置15の室内機16が設置されている。なお,「空調空間」とは,例えば室,階,あるいは室の一部の区域などであり,室内機が負荷を受け持つ空間を指す。
圧縮膨張方式の空調装置10は,空調空間aのみを独立して空調する個別方式の空調装置である。この空調装置10は,建築物1の外部に設置された室外機20と,空調空間aに設置された室内機11と,室外機20から室内機11に冷媒を送る配管21及び室内機11から室外機20に冷媒を送る配管22を備えている。室外機20は,建築物1の屋上,ベランダ,隣接地などに設置され,冷房運転時は外気によって冷媒を冷却する。室外機20は,圧縮機25,放熱コイル26,ファン27,制御弁28等を備えており,室内機11は,膨張弁29などの制御弁,蒸発器30,ファン31等を備えている。そして,配管21,22を通じて,これら圧縮機25,放熱コイル26,制御弁28,膨張弁29,蒸発器30の順に冷媒を循環させることにより,冷凍サイクルを行わせしめて,空調空間a内の冷房運転を行うようになっている。室外機20から室内機11に冷媒を送る配管21には,後述するように,圧縮膨張方式の空調装置10の冷媒と,冷却塔70で冷却された冷却水とを熱交換させるための熱交換器32が設けられている。
同様に,圧縮膨張方式の空調装置15は,空調空間bのみを独立して空調する個別方式の空調装置である。この空調装置15は,建築物1の外部に設置された室外機40と,空調空間bに設置された室内機16と,室外機40から室内機16に冷媒を送る配管41及び室内機16から室外機40に冷媒を送る配管42を備えている。室外機40も,建築物1の屋上,ベランダ,隣接地などに設置され,冷房運転時は外気によって冷媒を冷却する。室外機40も,圧縮機45,放熱コイル46,ファン47,制御弁48等を備えており,室内機16は,膨張弁49,蒸発器50,ファン51などの制御弁等を備えている。そして,配管41,42を通じて,これら圧縮機45,放熱コイル46,制御弁48,膨張弁49などの制御弁,蒸発器50の順に冷媒を循環させることにより,冷凍サイクルを行わせしめて,空調空間b内の冷房運転を行うようになっている。室外機40から室内機16に冷媒を送る配管41には,後述するように,圧縮膨張方式の空調装置15の冷媒と,冷却塔70で冷却された冷却水とを熱交換させるための熱交換器52が設けられている。
また,建築物1の屋上などの外部には,冷却塔70が設置されている。この冷却塔70と,前述の熱交換器32,52との間には,配管75,76が接続してあり,冷却塔70において外気で冷却された冷却水は,ポンプ73の稼動によって,これら配管75,76を介して熱交換器32,52に循環供給されるようになっている。
以上のように構成された空調システムを備える建築物1において主として夏季に行われる冷房運転を説明すると,先ず空調空間aでは,圧縮膨張方式の空調装置10により,圧縮機25,放熱コイル26,制御弁28,膨張弁29などの制御弁,蒸発器30の順に冷媒が循環されて冷凍サイクルが行われ,空調空間a内の冷房が行われる。
ここで,圧縮膨張方式の空調装置10において,室外機20(圧縮機25,放熱コイル26および制御弁28)で凝縮液化された冷媒は,配管21を通って室内機11に供給されるが,その途中で,熱交換器32において冷却塔70から配管75を経て供給された冷却水と熱交換される。これにより,空調装置10において室外機20から室内機11に送られる冷媒は,減圧膨張前に冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置10の冷房能力が向上することになる。なお,圧縮膨張方式の空調装置10の冷媒と熱交換した後,熱交換器32から配管76を経て冷却塔70に戻された冷却水は,冷却塔70において再び外気によって冷却される。
また同様に,空調空間bにおいても,圧縮膨張方式の空調装置15により,圧縮機45,放熱コイル46,制御弁48,膨張弁49などの制御弁,蒸発器50の順に冷媒が循環されて冷凍サイクルが行われ,空調空間b内の冷房が行われる。こうして空調空間bでも,圧縮膨張方式の空調装置15による冷房が行われる。
この場合も同様に,圧縮膨張方式の空調装置15において,室外機40(圧縮機45,放熱コイル46および制御弁48)で凝縮液化された冷媒は,配管41を通って室内機16に供給されるが,その途中で,熱交換器52において冷却塔70から配管75を経て供給された冷却水と熱交換される。これにより,空調装置15において室外機40から室内機16に送られる冷媒も,減圧膨張前に冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置15の冷房能力が同様に向上する。なお,圧縮膨張方式の空調装置15の冷媒と熱交換した後,熱交換器52から配管76を経て冷却塔70に戻された冷却水は,冷却塔70において再び外気によって冷却される。
以上に説明した形態によれば,圧縮膨張方式の空調装置10,15の室外機20,40から送られる冷媒を,冷却塔70で冷却された冷却水で冷却してから室内機11,16に供給することにより,冷媒を減圧膨張前に冷却して過冷却の状態とすることができ,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷房能力を向上させることができる。冷却塔70の冷却水を利用することにより,電力などのエネルギーを大量に要さずに冷媒を冷却でき,建築物1全体の省エネルギー性を高めることができる。
また,システム全体の屋外への排熱は,室外機20,40の排熱の他,冷却塔70による水の蒸発潜熱でなされるため,屋外への排熱が顕熱のみである空冷のビル用マルチなどに比べ,都市のヒートアイランド現象も抑制できる。更に,室外機へ散水するシステムと違って,室外機廻りの水仕舞いの問題を発生させずに冷房能力を向上できる。
次に,図2は,別の形態にかかる空調システムを適用した建築物1’の説明図である。この形態の空調システムは,圧縮膨張方式の空調装置10,15の他に,熱源設備としての蓄熱槽60の冷媒(冷水61)を空調空間a,c内に設置した室内機としてのファンコイルユニット13,17に循環供給して,建築物1’内の空調空間を冷房するセントラル方式の空調装置12を有している。なお,圧縮膨張方式の空調装置10,15については,先に図1で説明した形態と同様であるので,それらについては共通の符号を付すことにより,重複説明を省略する。
この形態にかかる建築物1’の内部には,3つに分割された空調空間a,b,cと,地下空間dが形成されている。これら3つの空調空間a,b,cのうち,空調空間aには,圧縮膨張方式の空調装置10の室内機11と,セントラル方式の空調装置12のファンコイルユニット13が設置されている。空調空間bには,圧縮膨張方式の空調装置15の室内機16のみが設置され,一方,空調空間cには,セントラル方式の空調装置12のファンコイルユニット17のみが設置されている。
セントラル方式の空調装置12は,地下空間dに設置された熱源設備としての蓄熱槽60と,空調空間aに設置されたファンコイルユニット13及び空調空間cに設置されたファンコイルユニット17を備えている。この空調装置12は,2つのファンコイルユニット13,17に,1つの共通の蓄熱槽60から冷媒としての冷水61を循環供給するようになっている。
このセントラル方式の空調装置12において,蓄熱槽60に蓄えられた冷水61は,配管62,63を介してポンプ64の稼動によって冷凍機65に循環させられ,冷凍機65によって冷却された冷水が,蓄熱槽60に蓄えられるようになっている。冷凍機65には,建築物1の屋上など外部に設置された冷却塔70’が配管71,72によって接続してある。冷却塔70’は,セントラル方式の空調装置12の冷熱を生成するための冷凍機65の凝縮器(冷却手段)として機能するものであり,この冷却塔70’において外気で冷却された冷却水が,ポンプ73の稼動によって,配管71,72を介して冷凍機65に循環供給されている。
また,この冷却塔70’と,圧縮膨張方式の空調装置10,15に備えられた熱交換器32,51との間には,配管75,76が接続してあり,冷却塔70’において外気で冷却された冷却水は,ポンプ73の稼動によって,これら配管75,76を介して熱交換器32,51にも循環供給されるようになっている。即ち,先に図1で説明した実施の形態では,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷媒を専用の冷却塔70で冷却された冷却水で冷却するものであったが,この図2に示した実施の形態では,セントラル方式の空調装置12の冷却手段として備えられた冷却塔70’の冷却水で,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷媒を冷却するように構成した点が相違している。
空調空間aに設置されたファンコイルユニット13は,冷却コイル80とファン81を備えている。同様に,空調空間cに設置されたファンコイルユニット17も,冷却コイル82とファン83を備えている。これらファンコイルユニット13の冷却コイル80とファンコイルユニット17の冷却コイル82には,ポンプ85の稼動で蓄熱槽60から汲み上げられた冷水61が,配管86を通じてそれぞれ送液される。そして,ファンコイルユニット13では,ファン61の稼動によって冷却コイル80の表面に空調空間a内の空気を送風し,空調空間a内の空気を冷却することにより冷房が行われる。同様に,ファンコイルユニット17でも,ファン83の稼動によって冷却コイル82の表面に空調空間c内の空気を循環送風し,空調空間c内の空気を冷却することにより冷房が行われる。そして,これら冷却コイル80,82を通過した冷水61(空調空間a,c内の空気と熱交換した後の冷水61)は,配管87に排出されて蓄熱槽60に戻される。
しかして,以上のように構成された空調システムを備える建築物1’において主として夏季に行われる冷房運転を説明すると,先ず空調空間aでは,圧縮膨張方式の空調装置10による冷房に加え,セントラル方式の空調装置12により,蓄熱槽60から汲み上げられた冷水61がファンコイルユニット13に供給されて,冷房が行われる。こうして空調空間aでは,圧縮膨張方式の空調装置10とセントラル方式の空調装置12の両方による冷房が行われる。そして図1で説明した場合と同様に,圧縮膨張方式の空調装置10において,室外機20から室内機11に送られる冷媒は,減圧膨張前に冷却塔70’の冷却水で冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置10の冷房能力が向上することになる。
次に空調空間bでは,圧縮膨張方式の空調装置15のみによる冷房が行われる。この場合も同様に,圧縮膨張方式の空調装置15において,室外機40から室内機16に送られる冷媒は,減圧膨張前に冷却塔70’の冷却水で冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置15の冷房能力が向上する。
また空調空間cでは,セントラル方式の空調装置12により,蓄熱槽60から汲み上げられた冷水61がファンコイルユニット17に供給されて,冷房が行われる。こうして空調空間cでは,セントラル方式の空調装置12のみによる冷房が行われる。
そして,セントラル方式の空調装置12において,ファンコイルユニット13,17(冷却コイル80,82)を通過した冷水61(空調空間a,c内の空気と熱交換した後の冷水61)は,配管87を通って蓄熱槽60に戻される。こうして蓄熱槽60に戻された冷水61は,冷凍機65に循環させられて冷却され,蓄熱槽60に蓄えられる。また,冷却塔70’において外気で冷却された冷却水が冷凍機65に循環供給され,冷凍機65の冷却負荷が処理される。
以上に説明した形態によっても,同様に電力などのエネルギーを大量に要さずに圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷房能力を向上させることができ,建築物1全体の省エネルギー性を高めることができる。また,都市のヒートアイランド現象も抑制できる。
なお,一般に,建築物の空調システムの出力は余裕を持って設計されるので,この実施の形態によれば,高効率なセントラル方式の空調装置12を主として稼動させ,比較的効率の悪い圧縮膨張方式の空調装置10,15の稼働を抑えることにより,空調システムの省エネルギー性を更に高めることができる。
また,空調空間a,bには互いに独立した圧縮膨張方式の空調装置10,15を設けているので,空調空間a,bについては空調装置のパーソナル性が明らかとなり,貸しビルオーナーなどにとってはテナントなどへの課金が透明となる。このように,利便性及び自立性と,セントラル方式の空調装置12の特長である省エネルギー性及び地球環境保全策への柔軟性(フロン使用量低減,自然冷媒利用)の両方を併せ持つ統合型の空調システムを提供できる。
また,震災などの緊急時には,電気の復旧から水道の復旧までは圧縮膨張方式の空調装置10,15の運転が可能であるので,ガス・水道等のライフラインに対する自立性も併せ持つ空調システムといえる。そして,セントラル方式の空調装置12の蓄熱槽60として,冷水61を蓄える蓄熱槽を採用した場合は,その冷水61は緊急時の生活用水としても活用できる。また,セントラル方式の空調装置12の冷凍手段として用いられる冷凍機63は,フロン冷媒の使用量が相当に少ないので,地球環境保全(フロン対策/オゾン層破壊対策)にも寄与できる。
また,例えば空調システムのリニューアル(設備増築)などに対しては,軽微な工事で済む圧縮膨張方式の空調装置の増設によって,冷房負荷の増強に容易に対応できる。その場合も,セントラル方式の空調装置12が備える冷却塔70’の冷却水を利用して,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷媒を冷却することによって,増設した圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を容易に向上させることができる。
また,図2に示したようにセントラル方式の空調装置を利用する場合,各空調空間に設けられるセントラル方式の空調装置の室内設備の台数も任意であり,すべての空調空間にセントラル方式の空調装置の室内設備をそれぞれ設けても良いし,図示したように,一部の空調空間にセントラル方式の空調装置を設けても良い。また,一つの空調空間にセントラル方式の空調装置を複数台設けても良い。
なお,図2に示したように圧縮膨張方式の空調装置10の室内機11とセントラル方式の空調装置12のファンコイルユニット13の両方を設置する空調空間aとしては,例えばデパートの出入り口,倉庫の荷捌室など,冷房負荷の多い箇所が考えられる。また,圧縮膨張方式の空調装置15の室内機16のみが設置される空調空間bとしては,例えば会議室,ホテルの宴会場などといった非定常の冷房負荷が要求される箇所が考えられる。そして,圧縮膨張方式の空調装置10により,そのような箇所に発生する非定常の冷房負荷を処理すれば良い。そうすれば,圧縮膨張方式の空調機10の電源スイッチのオン・オフにより簡単に発停できる。一方,セントラル方式の空調装置12のファンコイルユニット17のみが設置される空調空間cとしては,例えば執務室,冷蔵倉庫など,定常負荷の冷房が要求される箇所が考えられる。そして,セントラル方式の空調装置12により,そのような箇所で発生する定常の冷房負荷を処理すれば良い。
また,図2では,建築物1の地下空間dにセントラル方式の空調装置12の蓄熱槽60を設置した例を示したが,セントラル方式の空調装置の熱源設備(蓄熱槽など)は建築物の外部に設置しても良い。また,セントラル方式の空調装置の熱源設備は一つに限らず,複数の熱源設備によって建築物内の冷却負荷を賄っても良い。セントラル方式の空調装置に備えられる熱源設備は,例えば建築物内の大半の冷却負荷を賄えるような比較的大量の冷熱を生成及び蓄熱できるようなものであることが好ましい。
なお,セントラル方式の空調装置の熱源設備として蓄熱槽を採用する場合は,水蓄熱方式でも氷蓄熱方式でも良い。また,セントラル方式の空調装置12の室内機としてのファンコイルユニット13,17を例示したが,その他,エアハンドリングユニットやユニタリーヒートポンプをセントラル方式の空調装置の室内設備としても良い。ファンコイルユニットに限らず,例えば冷蔵食品のショーケースの冷却など,空調以外の用途にも適用できる。
なお,圧縮膨張方式の空調装置の冷媒を,セントラル方式の空調装置12の冷却塔70’の冷却水で冷却する他,セントラル方式の空調装置を併用する場合であっても,別途に冷却塔を追加し,その追加した冷却塔の冷却水で圧縮膨張方式の空調装置の冷媒を冷却することも可能である。
次に,図3は,別の形態にかかる空調システムを適用した建築物1a’の説明図である。この形態の空調システムは,圧縮膨張方式の空調装置10,15において室外機20,40から室内機11,16に送られる冷媒と,雨水,地下水または建築物1a’の空調衛生設備から排出される排水とを熱交換させる熱交換器87,88を有している。
この形態にかかる建築物1a’の内部には,2つに分割された空調空間a,bと,地下空間dが形成されている。空調空間aには,圧縮膨張方式の空調装置10の室内機11とが設置され,空調空間bには,圧縮膨張方式の空調装置15の室内機16が設置されている。この形態にかかる圧縮膨張方式の空調装置10,15は,共通の室外機から複数の室内機に冷媒を循環供給させるビル用マルチの空調装置として構成されている。ビル用マルチとした点を除けば,圧縮膨張方式の空調装置10,15は,先に図1で説明した実施の形態と同様の構成であり,詳細な説明は省略する。
この形態にかかる建築物1a’の地下空間dには,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水を溜める水槽89が設置されている。「建築物の空調衛生設備から排出される排水」は,例えば厨房排水や汚水,冷却塔のオーバーフロー水,空調ドレンであり,建物の運用で必然的に生じる排水である。従来そのまま廃棄されていた排水の熱を利用する。この水槽89は上方(例えば雨樋,厨房,トイレ,冷却塔下部水槽,空調機ドレインパン)や下方(湧水槽や井戸)から不図示の配管を経て排水等を受け入れる。そして,ここに溜められた水は,水管90を通り,水/水熱交換器91を経た後,建築物1a’の外部に排出されるようになっている。この水/水熱交換器91には,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷媒が通される熱交換器87,88との間で冷媒を循環させる,ポンプ92を備えた循環配管93が接続される。
水槽89から配水管90を通って外部に排出される雨水,地下水,排水等は常温である。このため,水/水熱交換器91において,排水と熱交換させることによって循環配管93内の冷媒はほぼ常温に冷却される。そして,このようにほぼ常温に冷却された冷媒が,循環配管93を通って,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷媒が通る熱交換器87,88に供給されている。
以上のように構成された空調システムを備える建築物1a’において主として夏季に行われる冷房運転を説明すると,先ず空調空間aでは,圧縮膨張方式の空調装置10による冷房が行われる。ここで,圧縮膨張方式の空調装置10において,室外機20で凝縮液化された冷媒は,配管21を通って室内機11に供給されるが,その途中で,熱交換器87において循環配管93を通る冷媒と熱交換される。これにより,空調装置10において室外機20から室内機11に送られる冷媒は,減圧膨張前にほぼ常温まで冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置10の冷房能力が向上することになる。なお,圧縮膨張方式の空調装置10の冷媒と熱交換した後,熱交換器87から循環配管93を経て水/水側熱交換器91に戻された冷媒は,水/水熱交換器91において再び排水等によってほぼ常温まで冷却される。
また,空調空間bにおいても同様に,圧縮膨張方式の空調装置15による冷房が行われる。この場合も,圧縮膨張方式の空調装置15において,室外機40で凝縮液化された冷媒は,配管41を通って室内機16に供給されるが,その途中で,熱交換器88において循環配管93を通る冷媒と熱交換されて過冷却の状態とされ,空調装置15の冷房能力も同様に向上する。
この図3に示した形態によれば,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水を利用することにより,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷房能力を向上させることができ,建築物1全体の省エネルギー性を高めることができ,都市のヒートアイランド現象も抑制できる。更に,室外機へ散水するシステムと違って,室外機廻りの水仕舞いの問題を発生させずに冷房能力を向上できる。
次に,図4は,本発明の実施の形態にかかる空調システムを適用した建築物1b’の説明図である。この実施の形態の空調システムは,圧縮膨張方式の空調装置10,15において室外機20,40から室内機11,16に送られる冷媒と,建築物1b’に設けられた給湯設備95に供給される給水とを熱交換させる熱交換器96,97を有している。
この実施の形態にかかる建築物1b’の内部には,2つに分割された空調空間a,bと,地下空間dが形成されている。空調空間aには,圧縮膨張方式の空調装置10の室内機11が設置され,空調空間bには,圧縮膨張方式の空調装置15の室内機16が設置されている。この実施の形態にかかる圧縮膨張方式の空調装置10,15も,共通の室外機から複数の室内機に冷媒を循環供給させるビル用マルチの空調装置として構成されている。その他の点は,圧縮膨張方式の空調装置10,15は,先に図1で説明した実施の形態と同様の構成であり,詳細な説明は省略する。
この実施の形態にかかる建築物1b’の地下空間dには,建築物1b’内に給湯をするための中央式の給湯設備の給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95が設置されている。この実施の形態では,不図示の補給水管により外部から供給された補給水(市水)が,膨張タンク98に入った後,給水管99を通って熱交換器96.97を経た後,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95に給水されるようになっている。なお,補給水は,膨張タンク98への給水管と並列関係に別に供給されるように設けられていても良い。また,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95から膨張タンク98へは,膨張配管99’が接続される。
以上のように構成された空調システムを備える建築物1b’において主として夏季に行われる冷房運転を説明すると,先ず空調空間aでは,圧縮膨張方式の空調装置10による冷房が行われる。ここで,圧縮膨張方式の空調装置10において,室外機20で凝縮液化された冷媒は,配管21を通って室内機11に供給されるが,その途中で,熱交換器96において給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95に給水される補給水と熱交換される。これにより,空調装置10において室外機20から室内機11に送られる冷媒は,減圧膨張前にほぼ常温まで冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置10の冷房能力が向上することになる。なお,圧縮膨張方式の空調装置10の冷媒と熱交換した後,熱交換器96から給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95に給水される補給水は,前に昇温されるので,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95の省エネルギ化がはかられる。
また,空調空間bにおいても同様に,圧縮膨張方式の空調装置15による冷房が行われる。この場合も,圧縮膨張方式の空調装置15において,室外機40で凝縮液化された冷媒は,配管41を通って室内機16に供給されるが,その途中で,熱交換器97において給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95に給水される補給水と熱交換されて過冷却の状態とされ,空調装置15の冷房能力も同様に向上する。また,補給水の昇温により,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95の省エネルギ化がはかられる。
この図4に示した実施の形態によれば,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラ95への補給水を利用することにより,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷房能力を向上させることができ,建築物1全体の省エネルギー性を高めることができ,都市のヒートアイランド現象も抑制できる。更に,室外機へ散水するシステムと違って,室外機廻りの水仕舞いの問題を発生させずに冷房能力を向上できる。
次に,図5は,本発明の別の実施の形態にかかる空調システムを適用した建築物1c’の説明図である。この実施の形態の空調システムは,圧縮膨張方式の空調装置10,15において室外機20,40から室内機11,16に送られる冷媒と,建築物1c’に設けられた貯湯槽150に溜められた貯湯水とを熱交換させる熱交換器106,107を有している。
この実施の形態にかかる建築物1c’の内部には,2つに分割された空調空間a,bが形成されている。空調空間aには,圧縮膨張方式の空調装置10の室内機11とが設置され,空調空間bには,圧縮膨張方式の空調装置15の室内機16が設置されている。この実施の形態にかかる圧縮膨張方式の空調装置10,15も,共通の室外機から複数の室内機に冷媒を循環供給させるビル用マルチの空調装置として構成されている。その他の点は,圧縮膨張方式の空調装置10,15は,先に図1で説明した実施の形態と同様の構成であり,詳細な説明は省略する。
この実施の形態にかかる建築物1c’の屋上には,建築物1c’内に給湯をするための中央式給湯の貯湯槽150が設置されている。貯湯槽150の内部には,貯湯水が溜められている。また,貯湯槽150には,貯湯槽150から抜き出した貯湯水を,熱交換器106,107を経由させた後,貯湯槽150に戻す循環配管108が接続される。
以上のように構成された空調システムを備える建築物1c’において主として夏季に行われる冷房運転を説明すると,先ず空調空間aでは,圧縮膨張方式の空調装置10による冷房が行われる。ここで,圧縮膨張方式の空調装置10において,室外機20で凝縮液化された冷媒は,配管21を通って室内機11に供給される。建築物1c’の給湯時間帯が夕方以降である場合,昼間の冷房運転時は,室内機11に供給される冷媒は,熱交換器106において加熱前の貯湯水と熱交換される。これにより,空調装置10において室外機20から室内機11に送られる冷媒は,減圧膨張前に冷却されて過冷却の状態となるので,空調装置10の冷房能力が向上することになる。一方,貯湯水は,給湯時間の少し前から加熱され始めるが,圧縮膨張方式の空調装置10で予熱されているため,給湯設備の省エネルギ化がはかられる。
また,空調空間bにおいても同様に,圧縮膨張方式の空調装置15による冷房が行われる。この場合も,圧縮膨張方式の空調装置15において,室外機40で凝縮液化された冷媒は,配管41を通って室内機16に供給される。建築物1c’の給湯時間帯が夕方以降である場合,昼間の冷房運転時は,室内機16に供給される冷媒は,熱交換器107において加熱前の貯湯水と熱交換される。その結果,過冷却の状態となるので,空調装置15の冷房能力も同様に向上する。また,貯湯水の昇温により,給湯設備の省エネルギ化がはかられる。なお,このような空調システムが適用される建築物1c’としては,ホテルや集合住宅などが例示され,その入浴時等に備えて給湯が開始される。
この図5に示した実施の形態によれば,給湯設備の貯湯槽150に溜められた貯湯水を利用することにより,圧縮膨張方式の空調装置10,15の冷房能力を向上させることができ,建築物1全体の省エネルギー性を高めることができ,都市のヒートアイランド現象も抑制できる。更に,室外機へ散水するシステムと違って,室外機廻りの水仕舞いの問題を発生させずに冷房能力を向上できる。
以上,本発明の好ましい実施の形態を説明したが,本発明は以上に例示した形態に限定されない。図1,3〜5では,建築物1の内部に2つの空調空間a,bを示し,図2では,建築物1’の内部に3つの空調空間a,b,cを示したが,建築物の内部に形成された空調空間は一つでも良いし,任意の複数に分割されていても良い。建築物の階数も任意であり,単層の建物でも,複数階の建物で良い。
また,各空調空間に設けられる圧縮膨張方式の空調装置は任意であり,すべての空調空間に圧縮膨張方式の空調装置をそれぞれ設けても良いし,図2に示したように,一部の空調空間に圧縮膨張方式の空調装置を設けても良い。また,圧縮膨張方式の空調装置は,図3〜5に示したような一つの室外機から複数の室内機に冷媒を送るマルチ方式でも良い。また,圧縮膨張方式の空調装置は冷房運転のみを行うものでなくても良く,暖房運転も可能な冷暖房装置でも良いことはもちろんである。
図6は,実施例に用いた圧縮膨張方式の空調装置100の説明図である。圧縮膨張方式の空調装置100を構成する室外機101と室内機102を備えている。なお,実施例に用いたものは,一つの共通の室外機101から2つの室内機102に冷媒を循環供給させるビル用マルチの空調装置100(6馬力)として構成されている。この空調装置100において,室外機101から室内機102に冷媒を送る配管105に熱交換器106を設け,この熱交換器106に冷却水を循環(20L/min)させて,冷媒を冷却した。冷却水温度(冷水温度)を変化させ,種々の冷却水温度における冷房能力の試験結果を得て,その実現可能性(効果)を評価した。熱交換器106に供給される冷却水の温度と,冷房能力の関係を調べた結果,図7,8を得た。図7は,外気温度が35℃の定格の運転条件での試験結果,図8は,外気温度が43℃の高外気温度の運転条件での試験結果である。なお,外気温度43℃は,室外機を同一場所(屋上やベランダ等)に設置した場合の,吐出し空気と吸込み空気のショートサーキットによって,実際の外気温度よりも室外機の吸込み空気温度が高くなる場合を想定したものである。冷房能力は,「過冷却なし」(冷水を供給していない場合)の冷房能力を基準にした冷房能力の割合で示した。即ち,冷却水温度がT℃の場合;冷房能力比=(冷却水温度がT℃の冷房能力)/(「過冷却なし」の冷房能力)である。なお,冷房能力は,圧縮機出入り口および過冷却後の冷媒のエンタルピー・冷媒流量・過冷却熱交換量より求めたものである。
約10℃程度の冷却水であれば,定格の運転条件で約30%,高外気温度の運転条件で約50%の大幅な冷房能力の向上が確認できた。30℃程度の冷却水の場合でも,定格の運転条件で約20%,高外気温度の運転条件で約35%の冷房能力の向上が確認できた。
この性能試験のように大幅に冷房能力が向上する理由を,以下に示す。実施例で行ったビル用マルチの試験装置のように,凝縮器(室外機101)で冷媒蒸気を凝縮・液化した後,その凝縮冷媒を熱交換器106で冷却して,膨張弁(室内機102)で冷媒液を膨張,蒸発器で蒸発(冷熱製造,冷房)させてから,さらに冷媒蒸気を圧縮する冷凍サイクルは,一般には「過冷却サイクル」と言われており,凝縮器出口で冷媒が完全に凝縮・液化して,その後,冷媒液を凝縮温度以下に冷却(過冷却)する場合には,上記の試験結果のような大幅な冷房能力の向上は期待できない。しかし,通常のビル用マルチでは,室外機(凝縮器)のコンパクト化・低コスト化,また室外機内制御弁などの圧力損失のため,室外機から室内機に送られる冷媒は,完全に液単相にならない。
ここで,図9,10に,種々の冷却水の温度における,試験装置の運転状態をモリエル線図上に示す。図9は,外気温度が35℃の定格の運転条件,図10は,外気温度が43℃で高外気温度の運転条件での試験結果である。
何れの場合も,「過冷却なし」の通常のビル用マルチの場合,室外機から室内機に送られる冷媒は気液二相であること(完全な液単相ではないこと)がわかる。一方,40℃〜5℃の各冷却水温度で冷媒を冷却した場合は,サブクールユニット(熱交換器)での冷熱は,凝縮温度以下までの過冷却だけでなく,気液二相中の蒸気冷媒の凝縮に使われていることがわかる。このように,熱交換器での大きな交換熱量が,大幅な冷房能力のアップをもたらすことになることが確認できた。実際のビル用マルチを用いた試験結果から,30℃程度の冷却水の場合でも,約20%〜35%の冷房能力の向上が確認できた。その結果,ビル用マルチの「冷媒」と「冷却水」とを熱交換される熱交換器を設けたシステムでも,実現性が十分あることが確認できた。これにより,上記実施の形態で説明した,冷却塔の冷却水,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水,給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラの補給水,貯湯槽を有する給湯設備の加熱前の貯湯水などを利用して,圧縮膨張方式の空調装置の冷房能力を向上できることが分った。
本発明は,事務所ビル,商業ビル,電算センター等の業務用ビルに適用できる。また,病院,食品工場,ホテル,老人ホーム,集合住宅等,中央式で給湯や蒸気供給を行う建築物にも適用できる。
空調システムを適用した建築物の説明図である。 圧縮膨張方式の空調装置の他にセントラル方式の空調装置を備えた,空調システムを適用した建築物の説明図である。 圧縮膨張方式の空調装置の冷媒と,雨水,地下水または前記建築物の空調衛生設備から排出される排水とを熱交換させる熱交換器を備えた,空調システムを適用した建築物の説明図である。 圧縮膨張方式の空調装置の冷媒と,建築物に設けられた給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラに供給される給水とを熱交換させる熱交換器を備えた,本発明の実施の形態にかかる空調システムを適用した建築物の説明図である。 圧縮膨張方式の空調装置の冷媒と,建築物に設けられた貯湯槽に溜められた貯湯水とを熱交換させる熱交換器を備えた,本発明の実施の形態にかかる空調システムを適用した建築物の説明図である。 実施例に用いた圧縮膨張方式の空調装置の説明図である。 外気温度が35℃の定格の運転条件での試験結果を示すグラフである。 外気温度が43℃の高外気温度の運転条件での試験結果を示すグラフである。 外気温度が35℃の定格の運転条件での,種々の冷却水の温度における,試験装置の運転状態を示すモリエル線図である。 外気温度が43℃で高外気温度の運転条件での,種々の冷却水の温度における,試験装置の運転状態を示すモリエル線図である。
符号の説明
1,1’ 建築物
a,b,c 空調空間
d 地下空間
10,15 圧縮膨張方式の空調装置
11,16 室内機
12 セントラル方式の空調装置
13,17 ファンコイルユニット
20,40 室外機
32,52 熱交換器
60 蓄熱槽
61 冷水
63 冷凍機
70,70’ 冷却塔

Claims (1)

  1. 室外機と室内機の間で冷媒を循環させ,冷凍サイクルを行うことにより建築物内の空調空間を冷房する圧縮膨張方式の空調装置を有する建築物の空調システムであって,
    前記圧縮膨張方式の空調装置の室外機から室内機に送られる凝縮液化された冷媒と,前記建築物に設けられた給湯用ボイラまたは蒸気用ボイラに供給される給水とを熱交換させて,前記冷媒を冷却し,前記給水を昇温させる熱交換器と,給水を溜める膨張タンクを設け,
    前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラから前記膨張タンクへ膨張配管が接続され,前記膨張タンクから前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラへ給水管が接続され,前記給水管に,前記熱交換器が設けられることにより,前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラ,前記膨張タンク,前記熱交換器,前記給湯用ボイラまたは前記蒸気用ボイラの循環経路が形成されたことを特徴とする,空調システム。
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