JP4670694B2 - ホーニング加工装置及びホーニング加工装置の制御方法 - Google Patents
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Description
このホーニング加工において、加工面(穴の内壁面)に発生する切粉が、砥石面の気孔に詰まったり溶着したりすることによって、該砥石面の目詰まりが発生する。砥石面に目詰まりが発生すれば、砥石の研削能率が低下して加工に要する時間が長くなり、サイクルタイムがばらつくという不具合が発生するため、砥石の目詰まりの防止、目詰まりの解消が課題となっている。
そこで、目詰まりが発生したときに、砥石面を外側へ瞬間的に押し出して加工面に圧接させることにより、加工面と砥石面との間に自浄作用を起こさせて目詰まりを解消させる方法が採用されている。
また、砥石の自浄動作において、加工サイクルの初期にホーンの加工面に対する拡張圧を一次的に高圧に切り換えて砥石の目詰まりを解消し、同じ加工サイクル中に拡張圧を低圧に戻すので、加工精度の低下を回避することができる。
図1は本発明の実施例に係るホーニング加工装置の全体的な構成図、図2は図1におけるホーンのY矢視断面図、図3は取代を説明する図、図4はホーニング加工装置の制御ブロック図である。
図5は加工数と加工時間との関係を示す図、図6は取代と加工時間との関係を示す図、図7は取代と加工数の積と加工時間との相関図である。
図8は本発明の実施例1に係る自浄動作制御の流れを示す図、図9は自浄動作付随ホーニング加工におけるホーンの拡張圧の変化を説明する図である。
図10は本発明の実施例2に係る自浄動作制御の流れを示す図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施例に係るホーニング加工装置10は、大概して、被加工物に研削加工を施す研削工具としてのホーン5と、該ホーン5の駆動手段としての油圧シリンダ20と、該油圧シリンダ20を制御する制御手段としての制御装置25等で構成される。
前記保持体4の切欠9には、シュー6と、砥石台7aに保持された砥石7とが、該保持体4の軸心側から順に嵌設され、砥石7がホーン5の外周面に表れる。
本実施例においては、コーン8は保持体4の軸方向に2つ連接され、後側のコーン8には、後述するシリンダロッド21が連結される。
つまり、シリンダロッド21は、ホーン5の軸方向に伸縮駆動されるとともに、ホーン5の軸心を中心として回転駆動される。これらの油圧シリンダ20及び回転駆動体19の動力を受けて、ホーン5は、被加工物に形成された穴の内壁面(加工面)に砥石7を押し付けながら回転と同時に軸方向に運動して、被加工物にホーニング加工を施す。
この目詰まりを解消するためには、油圧シリンダ20のシリンダロッド21を伸長させて、コーン8をホーン5の先端側へ移動させる。すると、コーン8の傾斜面13が、シュー6の傾斜面14に面で接して該シュー6を外周側へ押し出すことにより、砥石台7aに保持された砥石7も外周側へ押し出されて、砥石7が加工面を押圧する圧力(拡張圧)が高まる。砥石7の加工面に対する拡張圧が高くなれば、砥石7が加工面に圧接されることによって、砥石7の砥石面に付着又は溶着している切粉が剥がれ落ち、目詰まりが解消される。
このホーン5の目詰まりを解消するための動作を、以下、『自浄動作』と記載する。ホーニング加工装置10は、上述の自浄動作を伴うホーニング加工と、自浄動作を伴わない通常のホーニング加工とを、制御装置25の制御により切り替えて、被加工物に施すことが可能である。
図4に示すように、前記制御装置25には、油圧シリンダ20への作動油の供給を制御する電磁式制御弁22を動作させる制御弁回路24、エアゲージ41、カウンタ42、タイマ43等が電気的に接続される。そして、ホーニング加工装置10では、エアゲージ41、カウンタ42、タイマ43等からの検出信号を受けた制御装置25にて、制御弁回路24の動作が制御される。
前記記憶部63には、自浄動作を伴わない通常のホーニング加工を行う通常加工プログラム、自浄動作を伴うホーニング加工を行う自浄動作付随加工プログラム、ホーニング加工装置10の自浄動作を制御する自浄動作制御プログラム等の、プログラムが格納される。このプログラムが前記演算部62にて実行されることによって、制御装置25によるホーニング加工装置10の自浄動作の制御が行われる。
また、前記油圧シリンダ20へ作動油を供給するための油圧ポンプ23には、調整弁26が具備される。
なお、前記『取代φ』とは、図3に示すように、ホーニング加工にて研削されることにより、ホーニング加工前の穴3bから加工後の穴3aまでの拡大径を指すものとする。予めホーン5を挿入するために被加工物に形成された穴3bの径は被加工物ごとにばらつくため、略同一径の穴を複数の被加工物に形成するにあたって、個々の被加工物において取代φは微量に異なることとなる。この取代φは被加工物に加工される穴3の仕上がり状態の目安となる数値である。
また、前記タイマ43は、一つの被加工物の加工時間(加工時間t)を計測するために、ホーニング加工装置10に備えられた加工時間tの計測手段であって、該タイマ43の検出信号は制御装置25に伝達される。
加工時間tと加工数nとの関係は、一次直線でおおよそ近似することができ、また、加工時間tと取代φとの関係も、一次直線でおおよそ近似することができる。つまり、加工数nが増大するほど、また、取代φが増大するほど、加工時間tが長くなることが分かる。
これらの関係は、次の式でおおよそ近似することができる。
[加工時間t=α×取代φ×加工数n+β ;(α、βは定数)]
また、自浄動作の制御のために、制御装置25に『自浄準備加工時間Tk』が加工時間tの閾値の一つとして予め設定される。この自浄準備加工時間Tkとして、前記加工時間上限Tzよりも小さな任意の値を設定することができる。但し、砥石7の自浄動作を行うことが必要となる程度の加工時間(サイクルタイム)を、自浄準備加工時間tkの値として採用するものとする。
なお、以下において、自浄動作を伴わない通常のホーニング加工を『通常ホーニング加工』と、自浄動作を伴うホーニング加工を『自浄動作付随ホーニング加工』とそれぞれ記載して区別することとする。
そして、制御装置25では、通常加工プログラムが実行され、ホーン5にて加工数n回目の通常ホーニング加工が被加工物に施される(S2)。通常ホーニング加工が開始されるとともに、タイマ43による時間計測が開始され(S3)、通常ホーニング加工が終了すると(S4)、タイマ43による時間計測が終了される(S5)。
加工時間tnが自浄準備加工時間Tkよりも小さいとき、すなわち、加工時間tnが通常領域にあるときには、カウンタ42の加工数を一つ増やして加工数n=n+1として(S15)、ステップS2に戻って、加工数n+1回目の通常ホーニング加工が行われる。このS2〜S8までのステップは、加工時間tが自浄準備加工時間Tk以上となるまで繰り返される。
予測取代φn+1は、加工数n回目までの取代φの平均値としたり、予め試験的に求めて設定された値としたりすることができる。
予測加工時間tn+1が加工時間上限Tzよりも小さいとき、すなわち、予測加工時間tn+1が自浄準備領域にあるときには、カウンタ42の加工数を一つ増やして加工数n
=n+1として(S15)、ステップS2に戻って、加工数n+1回目の通常ホーニング加工が行われる。
なお、『低圧』とは、通常加工の際の拡張圧であり、『高圧』とは、砥石7の砥石面に固着又は溶着した切粉を落脱させるために十分な拡張圧とする。これらの高圧・低圧の拡張圧は、予め実験的に求められ、制御装置25に設定される。
この実施例2に係るホーニング加工装置10では、取代φと加工数nの積と、加工時間tとの関係を予め試験的に求めて作成した相関マップ(図7)に基づいて、加工時間tが自浄準備領域に入ってから何回目の加工で異常領域に達するかを試験的に求めて予め設定し、自浄動作のタイミングを決定する点で、上記実施例1に記載のものと異なる。
なお、ホーニング加工装置10の機械的構成は、上記実施例1に記載のものと同様であるので、説明は省略する。
なお、以下において、自浄動作を伴わない通常のホーニング加工を『通常ホーニング加工』と、自浄動作を伴うホーニング加工を『自浄動作付随ホーニング加工』とそれぞれ記載して区別することとする。
そして、制御装置25では、通常加工プログラムが実行され、ホーン5にて加工数n回目の通常ホーニング加工が被加工物に施される(S32)。
上述のようにタイマ43にて計測された加工数n回目の加工時間tnは、制御装置25に取得され(S36)、記憶部63に格納される。さらに、エアゲージ41にて計測された取代φも制御装置25に取得され(S37)、記憶部63に格納される。
加工時間tnが自浄準備加工時間Tkよりも小さいとき、すなわち、加工時間tnが通常領域にあるときには、カウンタ42の加工数を一つ増やして加工数n=n+1として(S45)、ステップS32に戻って、加工数n+1回目の通常ホーニング加工が行われる。このS32〜S38までのステップは、加工時間tが自浄準備加工時間Tk以上となるまで繰り返される。
このステップを設けることにより、砥石7の目詰まり以外の原因で加工時間が自浄準備加工時間を超えたが、次回の加工には加工時間が通常領域に復帰したような場合の、自浄動作タイミング決定ミスを防止することができる。
加工時間tが自浄準備加工時間Tkを越えて自浄準備領域に入ってから異常領域に達するまでの加工数αが、予め試験的に求められ、制御装置25に設定される。そして、初めて加工時間tが自浄準備領域に入ったときの加工数nkに、α回の加工数を加えた加工数(nk+α)回目において、自浄動作付随ホーニング加工を行うように決定される。
このように、自浄動作付随ホーニング加工のタイミングが決定されたうえで、カウンタ42の加工数を一つ増やして加工数n=n+1として(S45)、ステップS32に戻って、加工数n+1回目の通常ホーニング加工が行われる。
なお、『低圧』とは、通常ホーニング加工の際の拡張圧に略等しい拡張圧であり、『高圧』とは、砥石7の砥石面に固着又は溶着した切粉を落脱させるために十分な拡張圧とする。これらの高圧・低圧の拡張圧は、予め実験的に求められ、制御装置25に設定される。
6 シュー
7 砥石
8 コーン
10 ホーニング加工装置
20 油圧シリンダ
22 電磁式制御弁
24 制御弁回路
25 制御装置
41 エアゲージ
Claims (6)
- 砥石を備えたホーンと、該ホーンの駆動手段と、該駆動手段の制御手段と、被加工物における取代の計測手段と、加工数の計測手段とを備え、前記ホーンの砥石の目詰まりを解消するために該砥石を加工面に圧接させる自浄動作を伴うホーニング加工と、前記自浄動作を伴わないホーニング加工とを被加工物に施すことが可能であるホーニング加工装置において、
前記制御手段は、
取代と加工数の積と、加工時間と、の相関関係を予め試験的に求めた相関マップとして作成し、計測された前記取代及び加工数、及び、前記相関マップに基づいて、次回の加工時間を予測し、
予測した次回の加工時間が、加工時間上限として予め設定された閾値よりも大きい値となれば、次回の加工において自浄動作を伴うホーニング加工を行うように前記駆動手段を制御することを特徴とする、
ホーニング加工装置。 - 砥石を備えたホーンと、該ホーンの駆動手段と、該駆動手段の制御手段と、被加工物における取代の計測手段と、加工数の計測手段と、加工時間の計測手段とを備え、ホーンの砥石の目詰まりを解消するために該砥石を加工面に圧接させる自浄動作を伴うホーニング加工と、前記自浄動作を伴わないホーニング加工とを被加工物に施すことが可能であるホーニング加工装置において、
前記制御手段は、
計測された加工時間が或第一の閾値を越えたときの加工数に、
取代と加工数の積と、加工時間と、の相関関係を予め試験的に求めた相関マップとして作成し、前記相関マップに基づいて予め試験的に求めて設定された、加工時間が或第一の閾値を越えてから加工時間上限としての或第二の閾値を越えるまでの加工数を、加えた加工数のときに、
自浄動作を伴うホーニング加工を行うように前記駆動手段を制御することを特徴とする、
ホーニング加工装置。 - 前記自浄動作を伴うホーニング加工において、
前記制御手段は、
加工面に対するホーンの拡張圧を一サイクルの加工のうちに変化させて、
砥石の目詰まりを解消する程度に高圧としたのち、加工面の仕上げ段階では、自浄動作を伴わないホーニング加工における加工面に対するホーンの拡張圧に略等しい低圧とするように、前記駆動手段を制御することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載のホーニング加工装置。 - 砥石を備えたホーンと、該ホーンの駆動手段と、該駆動手段の制御手段と、被加工物における取代の計測手段と、加工数の計測手段とを備え、前記ホーンの砥石の目詰まりを解消するために該砥石を加工面に圧接させる自浄動作を伴うホーニング加工と、前記自浄動作を伴わないホーニング加工とを被加工物に施すことが可能であるホーニング加工装置の制御方法において、
前記制御手段により、
取代と加工数の積と、加工時間と、の相関関係を予め試験的に求めた相関マップとして作成し、計測された前記取代及び加工数、及び、前記相関マップに基づいて、次回の加工時間を予測し、
次回の加工時間が、加工時間上限として予め設定された閾値よりも大きい値となれば、次回の加工において自浄動作を伴うホーニング加工を行うことを特徴とする、
ホーニング加工装置の制御方法。 - 砥石を備えたホーンと、該ホーンの駆動手段と、該駆動手段の制御手段と、被加工物における取代の計測手段と、加工数の計測手段と、加工時間の計測手段とを備え、ホーンの砥石の目詰まりを解消するために該砥石を加工面に圧接させる自浄動作を伴うホーニング加工と、前記自浄動作を伴わないホーニング加工とを被加工物に施すことが可能であるホーニング加工装置の制御方法において、
前記制御手段により、
計測された加工時間が或第一の閾値を越えたときの加工数に、
取代と加工数の積と、加工時間と、の相関関係を予め試験的に求めた相関マップとして作成し、前記相関マップに基づいて予め試験的に求めて設定された、加工時間が或第一の閾値を越えてから加工時間上限としての或第二の閾値を越えるまでの加工数を、
加えた加工数のときに、自浄動作を伴うホーニング加工を行うことを特徴とする、
ホーニング加工装置の制御方法。 - 前記自浄動作を伴うホーニング加工において、
加工面に対するホーンの拡張圧を一サイクルの加工のうちに変化させて、
砥石の目詰まりを解消する程度に高圧としたのち、加工面の仕上げ段階では、自浄動作を伴わないホーニング加工における加工面に対するホーンの拡張圧に略等しい低圧とすることを特徴とする、
請求項4又は請求項5に記載のホーニング加工装置の制御方法。
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