JP4670445B2 - 車両のロール抑制システム - Google Patents

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Description

本発明は、車両の操舵時に発生するローリングを抑制するロール抑制システムに関するものであり、特に、ロール剛性を変更可能なサスペンション装置を制御装置により制御することによって、ローリングを抑制するロール抑制システムの改良に関するものである。
この種のサスペンション装置と制御装置とを含むロール抑制システムは、例えば、下記特許文献1により既に知られている。この特許文献1には、従来技術として、操舵ハンドルが中立状態から所定の操舵角範囲にあるときには操舵ハンドルの操舵とは無関係にロール剛性をソフトに維持し、上記所定の操舵角範囲を超えたとき操舵ハンドルの操舵に応じて車両のロール剛性をハード側に制御するロール抑制システムが記載されている。このロール抑制システムにおいては、操舵ハンドルがほぼ中立位置に維持されているときに車両のロール剛性が頻繁に切り換えられることを回避することができる。
上記特許文献1にはさらに、出願発明として、操舵ハンドルの操舵速度が大きいときにショックアブソーバの減衰力をハード側に切り換えることと、操舵ハンドルの戻し操舵時には操舵ハンドルが所定操舵角戻されるまで減衰力の切換制御を禁止することとが記載されている。このようにすれば、操舵ハンドルの操舵速度が大きい場合にはロール剛性が大きくされ、しかも、操舵速度が大きくなりがちな戻し操舵時に無駄なロール剛性の切換えが行われないようにすることができる。
特開平8−175144号公報
本発明は、ロール剛性を変更可能なサスペンション装置と、そのサスペンション装置を制御する制御装置とを含むロール抑制システムの改良に関するものである点においては、上記特許文献1記載の発明と共通しているが、操舵装置が車両のロール共振周波数以上の周波数で正逆両方向に繰返操舵された場合に、無用なロール剛性の変更が行われることを回避することと、ロール抑制システムの制御が不適切に行われることによりローリングがかえって大きくなってしまうことを回避することとの少なくとも一方を課題としてなされたものである。
車両において、操舵装置が車両のロール共振周波数以上の周波数で正逆両方向に繰り返して操舵されることがある。このような繰返操舵が行われることは稀であるが、万一行われた場合に、その車両がロール抑制装置を備えたものであれば、十分なロール抑制効果が得られないのに無用なロール剛性の変更が行われ、あるいは、不適切なロール剛性の変更によりかえってローリングが大きくなって、運転者にロール抑制システムが異常をきたしたのではないかとの不安を与えるおそれがある。操舵装置が車両のロール共振周波数以上の周波数で繰返操舵された場合には、サスペンション装置のロール剛性を変更するアクチュエータの作動遅れが大きくなり、ロール抑制が適切に行われないからである。アクチュエータを十分に応答性の高いものとすれば、この問題を解消することができるが、サスペンション装置が大型で重量が大きくコストが高いものとなってしまい、好ましくない。そこで、本発明は、繰返操舵時における運転者の上記不安と、サスペンション装置の大型化,重量化および高コスト化との両方を良好に回避し得るようにすることを課題としてなされたものである。
本発明は、上記課題を解決するために、上記サスペンション装置と制御装置とを含むロール抑制システムの制御装置を、(a)操舵装置の操作状態に応じてサスペンション装置を制御することにより車両のローリングを抑制するロール抑制部と、(b)操舵装置が車両のロール共振周波数以上の周波数で正逆両方向に繰返操舵されたことを検出する繰返操舵検出部と、(c)その繰返操舵検出部による繰返操舵の検出に応じてロール抑制部の作動を抑制するロール抑制作動抑制部と、(d)そのロール抑制作動抑制部がロール抑制部のロール抑制作動を抑制している状態において、操舵装置の繰返操舵が終了したことを検出する繰返操舵終了検出部と、(e)その繰返操舵終了検出部による繰返操舵終了検出に応じて、ロール抑制作動抑制部によるロール抑制作動抑制を解除する抑制解除部とを含むものとするとともに、繰返操舵検出部を、第二設定時間内に、操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が設定偏差を超えた回数が0ではない第三設定回数以上であるという繰返操舵検出条件が成立した場合に、繰返操舵を検出する操舵量変化状態依拠繰返操舵検出部を備えたものとし、かつ、繰返操舵終了検出部を、第八設定時間内に、操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第三設定偏差を超えた回数が第三設定回数より2以上小さい第四設定回数以下であるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、繰返操舵終了を検出する操舵量変化状態依拠終了検出部を備えたものとしたことを特徴とする。
本発明に係るロール抑制システムにおいては、繰返操舵検出部が、操舵量変化状態依拠繰返操舵検出部を備えるため、確実に繰返操舵の発生を検出することができる。相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第一設定偏差を超えた回数が第三設定回数以上であるということは、所定以上の振幅で繰返操舵が行われたことを意味し、この事実によれば、操舵装置の中立位置から外れた位置において繰返操舵が行われた場合にも検出することができるのである。そして、繰返操舵検出部が繰返操舵を検出した場合には、ロール抑制部の作動がロール抑制作動抑制部により抑制される。それによって、効果のない無用なロール抑制部の作動が回避され、あるいは遅れの大きいロール抑制制御によりかえってローリングが大きくなってしまうという事態の発生が回避される。しかも、サスペンション装置のロール剛性を変更するアクチュエータを応答性の大きいものとするわけではないので、大型化,重量化および高コスト化の問題も生じない。
また、本発明に係るロール抑制システムにおいては、繰返操舵終了検出部が、操舵量変化状態依拠終了検出部を備えるため、確実に繰返操舵の終了を検出することができる。相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第三設定偏差を超えた回数は、所定以上の振幅で繰返操舵が行われた回数を意味し、この事実によれば、操舵装置の中立位置から外れた位置において繰返操舵が行われる場合にも繰返操舵の終了を検出することができるのである。そして、繰返操舵終了検出部が繰返操舵を検出した場合には、ロール抑制作動抑制部によるロール抑制部の作動の抑制が抑制解除部により解除される。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項に(2)項の一部,(4)項,(11)項,(12)項の一部,(13)項および(15)項に記載の事項を追加したものが請求項1に相当し、その請求項1に(9)項に記載の事項を追加したものが請求項に相当する。
(1)車両のロール剛性を変更可能なサスペンション装置と、そのサスペンション装置を制御する制御装置とを含むロール抑制システムであって、
操舵装置の操作状態に応じて前記サスペンション装置を制御することにより車両のローリングを抑制するロール抑制部と、
前記操舵装置が前記車両のロール共振周波数以上の周波数で正逆両方向に繰返操舵されたことを検出する繰返操舵検出部と、
その繰返操舵検出部による繰返操舵の検出に応じて前記ロール抑制部の作動を抑制するロール抑制作動抑制部と
を含むことを特徴とするロール抑制システム。
(2)前記繰返操舵検出部が、前記操舵装置の操舵速度の変化状態に基づいて前記繰返操舵を検出する操舵速度変化状態依拠検出部と、前記操舵装置の操舵量の変化状態に基づいて前記繰返操舵を検出する操舵量変化状態依拠検出部との少なくとも一方を備えた(1)項に記載のロール抑制システム。
繰返操舵は、操舵装置の操舵速度の変化状態に基づいて検出することも、操舵量の変化状態に基づいて検出することも可能である。繰返操舵が、ほぼ一定の周期、一定の振幅の操舵量で行われる場合には、操舵速度の変化状態に基づいて検出する方が操舵量の変化状態に基づく場合に比較して早期に検出し得る利点がある他は、いずれに基づいて検出しても大差はない。すなわち、いずれか一方を設ければよいのである。しかし、例えば、周期と振幅との少なくとも一方が一定ではない不規則な繰返操舵が行われる場合には、操舵速度と操舵量との一方に基づいては繰返操舵が検出されるが、他方に基づいては検出されないという事態が生じ得る。したがって、操舵速度変化状態依拠検出部と操舵量変化状態依拠検出部との両方を設け、両者の検出結果に基づいて最終的な検出が行われることが望ましい。
(3)前記操舵速度変化状態依拠検出部が、第一設定時間内に、前記操舵装置の操舵速度の極大値が正しきい値を超えた回数と、極小値が負しきい値を下回った回数とのいずれか一方が第一設定回数以上であり他方が第二設定回数以上であるという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出するものである(2)項に記載のロール抑制システム。
第一設定時間は、繰返操舵が車両のロール共振周波数以上の周波数で行われた場合には、その時間内に第一,第二回数以上の極大値および極小値が生じるが、ロール共振周波数より小さい周波数で繰返操舵が行われた場合には、その時間内に第一,第二回数以上の極大値および極小値は生じない長さに設定される。
第一設定回数と第二設定回数とは同じとすることも、互いに異なる回数とすることも可能である。後者の場合、例えば、第一設定時間以内に、極大値が正しきい値を超えた回数と極小値が負しきい値を下回った回数とのいずれか一方が2回以上で、他方が1回以上であれば、繰返操舵が行われたとするのである。
(4)前記操舵量変化状態依拠検出部が、第二設定時間内に、前記操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第一設定偏差を超えた回数が第三設定回数以上であるという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出するものである(2)項または(3)項に記載のロール抑制システム。
相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第一設定偏差を超えた回数が第三設定回数以上であるということは、所定以上の振幅で繰返操舵が行われたことを意味し、本項の特徴によれば、操舵装置の中立位置から外れた位置において繰返操舵が行われた場合にも検出することができる。
ただし、中立位置を中心として繰返操舵が行われる場合は、操舵量変化状態依拠検出部を、「第二設定時間内に、操舵装置の操舵量の極大値が正しきい値を超えた回数と、極小値が負しきい値を下回った回数とのいずれか一方が第三設定回数以上であり他方が第四設定回数以上であるという繰返操舵検出条件が成立した場合に、繰返操舵を検出するもの」としても、繰返操舵を検出し得る。
なお、第二設定時間は第一設定時間と同じとすることも、互いに異なる時間とすることも可能である。また、第三設定回数と第四設定回数とを同じとすることも、互いに異なる回数とすることも可能である。さらに、第一設定回数と第三設定回数、第二設定回数と第四設定回数とを同じとすることも、異なる回数とすることも可能である。極端な場合には、第一,第二,第三および第四設定回数をすべて同じにすることも可能である。
以下の設定回数や設定時間についても異なる名称を付すが、これは互いに異ならせることが可能であることを示すためであって、名称が異なる量同士を互いに同じとすることも可能である。
(5)前記操舵速度変化状態依拠検出部が、前記操舵装置の操舵速度の極大値が正しきい値を超えることと、極小値が負しきい値を下回ることとが、交互に第五設定回数以上発生するという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出するものである(2)項ないし(4)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
第五設定回数を比較的大きい回数に設定する場合は、設定時間以内に繰返操舵検出条件が成立する旨の条件を省略することも可能である。それに対して、第五設定回数を比較的小さい回数に設定する場合には、「設定時間以内に」の条件を付けることが望ましい。
(6)前記操舵量変化状態依拠検出部が、前記操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第二設定偏差を連続して第六設定回数以上超えるという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出するものである(2)項ないし(5)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
相前後する極大値と極小値との差の絶対値が設定偏差を連続して設定回数以上超えるということは、所定以上の振幅で繰返操舵が行われたことを意味し、本項の特徴によれば、操舵装置の中立位置から外れた位置において繰返操舵が行われた場合にも検出することができる。連続して第六設定回数以上超えるのが「設定時間以内に」である旨の条件を付加することが、不可欠ではないが、望ましい。
ただし、中立位置を中心として繰返操舵が行われる場合は、操舵量変化状態依拠検出部を、「操舵装置の操舵量の極大値が正しきい値を超えることと、極小値が負しきい値を下回ることとが、交互に第六設定回数以上発生するという繰返操舵検出条件が成立した場合に、繰返操舵を検出するもの」とすることもできる。この場合も、「設定時間以内に」である旨の条件を付加することが望ましい。
(7)前記操舵速度変化状態依拠検出部が、前記操舵装置の操舵速度の正しきい値を超える極大値と、負しきい値を下回る極小値とであって、互いに隣接するものの間の経過時間である操舵半周期が第三設定時間以下である現象が第四設定時間以上継続するという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出するものである(2)項ないし(6)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
操舵半周期の比較的短い操舵が比較的長い時間継続して行われた場合に、繰返操舵が行われたとすることは妥当なことである。次項に関しても同様である。第三設定時間は、ロール共振周波数における半周期に基づいて設定される。例えば、ロール共振周波数における半周期に1より大きく2より小さい値を掛けた長さとされる。
(8)前記操舵量変化状態依拠検出部が、前記操舵装置の操舵量の極大値と極小値とであって、互いに隣接するものの間の経過時間である操舵半周期が第五設定時間以下である現象が第六設定時間以上継続するという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出するものである(2)項ないし(7)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
繰返操舵を一定以上の振幅で行われたものに限定するために、「極大値が正しきい値を超えるものであり、かつ、極小値が負しきい値を下回るものである」という条件、あるいは「極大値と極小値とが、相前後するそれらの差の絶対値が設定差以上であるものである」という条件が付加されることが望ましい。
(9)前記繰返操舵検出部が、
前記操舵装置が繰返操舵されたと暫定的に検出する繰返操舵暫定検出条件を互いに異にする複数種類の繰返操舵暫定検出部と、
それら複数種類の繰返操舵暫定検出部の検出結果に基づいて最終的に前記繰返操舵を検出する繰返操舵最終検出部と
を含む(1)項ないし(8)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
1つの繰返操舵検出条件に基づいて繰返操舵が検出されるようにするより、本項におけるように、複数種類の繰返操舵暫定検出部の検出結果に基づいて繰返操舵が検出されるようにする方が、信頼性を高くできる場合が多い。繰返操舵最終検出部は、複数種類の繰返操舵暫定検出部がすべて、あるいは設定個数以上の繰返操舵暫定検出部が繰返操舵を検出した場合に、最終的に繰返操舵が行われたとするものとすることも、複数種類の繰返操舵暫定検出部の1つでも繰返操舵を検出した場合に、最終的に繰返操舵が行われたとするものとすることも可能である。後者の場合は、前者の場合に比較して、繰返操舵暫定検出部の繰返操舵検出条件が厳しくされることが望ましい。
(10)前記ロール抑制作動抑制部が、前記ロール抑制部の作動を禁止するロール抑制作動禁止部を含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
ロール抑制作動抑制部によるロール抑制作動の抑制は、例えば、ロール抑制作動が開始され難くしたり、ロール抑制の程度が緩くされるようにしたりすることによっても、行うことができる。しかし、ロール抑制部の作動を禁止すれば、簡単な制御で明瞭な効果を得ることができる。
ロール抑制部の作動を禁止するためには、制御装置を、サスペンション装置に対して操舵装置の操舵状態に応じた制御指令を出さない状態としてもよく、ロール剛性を変更する装置を一定の状態に固定する状態としたり、ロールを抑制しない状態としたりしてもよい。
(11)さらに、
前記ロール抑制作動抑制部が前記ロール抑制部のロール抑制作動を抑制している状態において、前記操舵装置の前記繰返操舵が終了したことを検出する繰返操舵終了検出部と、
その繰返操舵終了検出部による繰返操舵終了検出に応じて、前記ロール抑制作動抑制部による前記ロール抑制作動抑制を解除する抑制解除部と
を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
繰返操舵終了検出部により繰返操舵終了が検出されれば、ロール抑制作動抑制部によるロール抑制作動の抑制が解除される。
(12)繰返操舵終了検出部が、前記操舵装置の操舵速度の変化状態に基づいて前記繰返操舵終了を検出する操舵速度変化状態依拠終了検出部と、前記操舵装置の操舵量の変化状態に基づいて前記繰返操舵の終了を検出する操舵量変化状態依拠終了検出部との少なくとも一方を備えた(11)項に記載のロール抑制システム。
繰返操舵終了の検出も、前記繰返操舵の検出と同様に、操舵装置の操舵速度の変化状態と操舵量の変化状態とのいずれに基づいても行うことができる。両方に基づいて検出されるようにする方が信頼性を高め得ることも同様である。
(13)前記繰返操舵検出部が前記繰返操舵を検出する前記操舵装置の操舵状態と、前記繰返操舵終了検出部が繰返操舵の終了を検出する操舵状態との間に不感帯が設けられた(12)項に記載のロール抑制システム。
不感帯を設ければ、ロール抑制部の作動が許容される状態と抑制される状態との間で頻繁に切換えが行われることを回避することができる。
以下、不感帯のいくつかの例を示すが、これらはいずれも、(14)項と(3)項、(15)項と(4)項、(16)項と(5)項、(17)項と(6)項、(18)項と(7)項、(19)項と(8)項というように、繰返操舵検出部が繰返操舵を検出する操舵装置の操舵状態と、繰返操舵終了検出部が繰返操舵の終了を検出する操舵状態とが互いに同じである場合の例であって、不感帯はこれらに限られるわけではない。上記以外の組合わせの採用も可能なのである。繰返操舵検出部が繰返操舵を検出する操舵装置の操舵状態と、繰返操舵終了検出部が繰返操舵の終了を検出する操舵状態とが互いに異なる場合であっても、繰返操舵検出部が繰返操舵を検出しなくなれば直ちに繰返操舵終了検出部が繰返操舵終了を検出するという関係になく、繰返操舵検出部が繰返操舵を検出しなくなった後、さらに操舵装置の操舵状態が繰返操舵から遠い操舵状態になってはじめて繰返操舵終了が検出される関係にあるもの同士であれば、組み合わせて採用することも可能なのである。
(14)前記操舵速度変化状態依拠終了検出部が、第七設定時間内に、前記操舵装置の操舵速度の極大値が正しきい値を超える回数と、極小値が負しきい値を下回る回数とが共に、前記第一設定回数と前記第二設定回数とのそれぞれ対応するものより小さくなるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵の終了を検出するものであり、その繰返操舵終了検出条件と前記繰返操舵検出条件との間の領域が前記不感帯である(13)項に記載のロール抑制システム。
上記第七設定時間は前記 (3)項の第一設定時間以上の長さに設定されることが望ましい。
(15)前記操舵量変化状態依拠終了検出部が、第八設定時間内に、前記操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第三設定偏差を超えた回数が前記第三設定回数より2以上小さい第四設定回数以下であるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵終了を検出するものであり、その繰返操舵終了検出条件と前記繰返操舵検出条件との間の領域が前記不感帯である(13)項または(14)項に記載のロール抑制システム。
上記第八設定時間が前記(4)項の第二設定時間以上の長さに設定されることと、上記第三設定偏差が前記(4)項の第一設定偏差以下の大きさとされることとの少なくとも一方により、繰返操舵終了検出条件と繰返操舵検出条件との間に不感帯が設定されることが望ましい。
相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第三設定偏差を超えた回数は、所定以上の振幅で繰返操舵が行われた回数を意味し、本項の特徴によれば、操舵装置の中立位置から外れた位置において繰返操舵が行われる場合にも繰返操舵の終了を検出することができる。
ただし、中立位置を中心として繰返操舵が行われる場合は、操舵量変化状態依拠終了検出部を、「第八設定時間内に、前記操舵装置の操舵量の極大値が正しきい値を超えた回数と、極小値が負しきい値を下回った回数とが共に、前記第三設定回数と前記第四設定回数とのそれぞれ対応するものより小さくなるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰操舵の終了を検出するもの」とすることができる。
(16)前記操舵速度変化状態依拠終了検出部が、前記操舵装置の操舵速度の極大値が正しきい値を超えることと、極小値が負しきい値を下回ることとが、交互に発生する回数が前記第五設定回数より2以上小さい第七設定回数以下となるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰操舵の終了を検出するものであり、その繰返操舵終了検出条件と前記繰返操舵検出条件との間の領域が前記不感帯である(13)項ないし(15)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
(17)前記操舵量変化状態依拠終了検出部が、前記操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第四設定偏差を連続して第八設定回数以上超えないという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵の終了を検出するものであり、その繰返操舵終了検出条件と前記繰返操舵検出条件との間の領域が前記不感帯である(13)項ないし(16)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
上記第四設定偏差が前記 (6)項の第二設定偏差以下であることが望ましく、上記第八設定回数が前記 (6)項の第六設定回数より2以上小さい回数であることが望ましい。
相前後する極大値と極小値との差の絶対値が設定偏差を連続して設定回数以上超えないということは、所定以上の振幅で繰返操舵が行われないことを意味し、本項の特徴によれば、操舵装置の中立位置から外れた位置において繰返操舵が行われる場合にもそれの終了を検出することができる。
ただし、中立位置を中心として繰返操舵が行われる場合は、操舵量変化状態依拠終了検出部を、「操舵装置の操舵量の極大値が正しきい値を超えることと、極小値が負しきい値を下回ることとが、交互に発生する回数が前記第六設定回数より2以上小さい第八設定回数以下となるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰操舵の終了を検出するもの」とすることもできる。上記「交互に発生する回数」が「設定時間以内の回数」である旨の条件を付加することが、不可欠ではないが、望ましい。
(18)前記操舵速度変化状態依拠終了検出部が、前記操舵装置の操舵速度の正しきい値を超える極大値と、負しきい値を下回る極小値とであって、互いに隣接するものの間の経過時間である操舵半周期が第九設定時間以下である現象が第十設定時間以上発生しなくなるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰操舵の終了を検出するものであり、その繰返操舵終了検出条件と前記繰返操舵検出条件との間の領域が前記不感帯である(13)項ないし(17)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
第九設定時間が第三設定時間より長くされることと、第十設定時間が第四設定時間より長くされることとの少なくとも一方により、繰返操舵終了検出条件と繰返操舵検出条件との間に不感帯が設定されることが望ましい。
(19)前記操舵量変化状態依拠終了検出部が、前記操舵装置の操舵量の極大値と極小値とであって、互いに隣接するものの間の経過時間である操舵半周期が第十一設定時間以下である現象が第十二設定時間以上発生しなくなるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰操舵の終了を検出するものであり、その繰返操舵終了検出条件と前記繰返操舵検出条件との間が前記不感帯である(13)項ないし(18)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
第十一設定時間が第五設定時間より長くされることと、第十二設定時間が第六設定時間より長くされることとの少なくとも一方により、繰返操舵終了検出条件と繰返操舵検出条件との間に不感帯が設定されることが望ましい。
繰返操舵を一定以上の振幅で行われたものに限定するために、「極大値が正しきい値を超えるものであり、かつ、極小値が負しきい値を下回るものである」という条件、あるいは「極大値と極小値とが、相前後するそれらの差の絶対値が設定差以上である」という条件が付加されることが望ましい。
(20)前記繰返操舵終了検出部が、
前記操舵装置の繰返操舵が終了したと暫定的に検出する繰返操舵終了暫定検出条件を互いに異にする複数種類の繰返操舵終了暫定検出部と、
それら複数種類の繰返操舵終了暫定検出部の検出結果に基づいて最終的に前記繰返操舵終了を検出する繰返操舵終了最終検出部と
を含む(11)項ないし(19)項のいずれかに記載のロール抑制システム。
前記 (9)項に関する説明が本項についても当てはまる。
以下、請求可能発明の一実施例を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、一実施例としてのロール抑制システムを含むサスペンションシステムの一部を概念的に示す。本サスペンションシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設され、それぞれがロール抑制装置として機能する2つのスタビライザ装置14,14′(後輪側の構成要素の符号に′を付けることとする)を含んでいる。スタビライザ装置14,14′はそれぞれ、両端部において左,右の前輪16および後輪16′を保持する車輪保持部材(図2参照)に連結されたスタビライザバー20,20′を備えている。それらスタビライザバー20、20′は、中央部で分割されており、一対のスタビライザ部材、すなわち左スタビライザ部材22,22′と右スタビライザ部材24,24′とを含んでいる。それら一対のスタビライザ部材22,22′および24,24′がアクチュエータ30,30′を介して相対回転可能に接続されており、スタビライザ装置14、14′は、アクチュエータ30,30′が、左,右のスタビライザ部材22,22′と24,24′とを相対回転させることによって(図の矢印を参照)、スタビライザバー20,20′全体の弾性力を変化させ、車体のロール抑制を行うものである。
図2には、前輪側のスタビライザ装置14の車幅方向の中央から左側の車輪16にかけての部分が概略的に示されている。本サスペンションシステム10は、それぞれが4つの車輪16,16′の各々に対して設けられた4つの独立懸架式の主サスペンション部34を含んでいる。図示の主サスペンション部34は、一般によく知られたダブルウィシュボーン式のものであり、一端部が車体に回動可能に連結され、他端部が車輪16に連結された車輪保持部材としてのアッパアーム42およびロアアーム44を備えている。それらアッパアーム42およびロアアーム44は、車輪16と車体との接近離間(相対的な上下動)に伴い、上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体に対して上下させられる。また、主サスペンション部34は、ショックアブソーバ46と、サスペンションスプリング48(本装置では「エアばね」である)とを備えている。それらショックアブソーバ46およびサスペンションスプリング48は、それぞれが、車体側の部材と車輪側の部材とに連結されている。このような構造により、主サスペンション部34は、車輪16に車体を弾性的に支持させるとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させる機能を果たす。また、この主サスペンション部34と前記スタビライザ装置14,14′とによってサスペンション装置36,36′が構成されている。
スタビライザ装置14,14′は、先に説明した一対のスタビライザ部材である左スタビライザ部材22,22′と右スタビライザ部材24,24′とをそれぞれ備える。各スタビライザ部材22,22′,24,24′は、それぞれ、略車幅方向に延びるトーションバー部60と、そのトーションバー部60と一体化されて概ね車両前方あるいは後方に延びるアーム部62とに区分することができる。各スタビライザ部材22,22′,24,24′のトーションバー部60は、アーム部62に近い箇所においてそれぞれ支持部材66に回転可能に支持され、それら支持部材66は車体の一部であるスタビライザ装置配設部64に固定的に設けられている。それらトーションバー部60の端部(車幅方向における中央側の端部)の間には、前述のアクチュエータ30,30′が配設されており、後に詳しく説明するように、各トーションバー部60の端部は、それぞれ、そのアクチュエータ30,30′に接続されている。一方、アーム部62の端部(トーションバー部60側とは反対側の端部)は、上述のロアアーム44に設けられたスタビライザバー連結部68に、それと相対回転可能に連結されている。
アクチュエータ30,30′は、図3に模式的に示すように、電動モータ70と、電動モータ70の回転を減速する減速装置72とを含んでいる。これら電動モータ70および減速装置72は、アクチュエータ30,30′のハウジング74内に収容されている。ハウジング74は、ハウジング保持部材76によって回転可能かつ軸方向(車幅方向)に移動不能に保持され、ハウジング保持部材76はスタビライザ装置配設部64に固定的に配設されている。図2から解るように、ハウジング74の両端部の各々から、2つの出力軸80,82の各々が延び出させられている。それら出力軸80,82のハウジング74から延び出した突出端部が、それぞれ、各スタビライザ部材22,22′,24,24′の端部と、セレーション嵌合によって相対回転不能に接続されている。また、図3から解るように、一方の出力軸80は、ハウジング74の端部に固定されており、他方の出力軸82は、ハウジング74内に延び入る状態で配設されるとともに、ハウジング74に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。その出力軸82のハウジング74内に位置する端部が、後に詳しく説明するように、減速装置72に接続されている。
電動モータ70は、ハウジング74の内周壁に沿って一円周上に固定して配置された複数のステータコイル84と、ハウジング74に回転可能に保持された中空状のモータ軸86と、モータ軸86の外周においてステータコイル84と向き合うようにして一円周上に固定して配設された永久磁石88とを含んでいる。電動モータ70は、ステータコイル84がステータとして機能し、永久磁石88がロータとして機能するDCブラシレスモータである。
減速装置72は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)90,フレキシブルギヤ(フレクススプライン)92およびリングギヤ(サーキュラスプライン)94を備え、波動歯車装置(ハーモニックドライブ機構(登録商標),ハーモニックギヤ機構,ストレイン・ウェーブ・ギヤリング機構等とも呼ばれる)として構成されている。波動発生器90は、楕円状カムの外周にボール・ベアリングが嵌められたものであり、モータ軸86の一端部の外周に固定されている。フレキシブルギヤ92は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状を成すものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯が形成されている。このフレキシブルギヤ92は、先に説明した出力軸82に支持されている。さらに詳しくは、出力軸82は、モータ軸86を貫通しており、それから延び出た端部にフレキシブルギヤ92の底部が固着されることで、フレキシブルギヤ92と出力軸82とが接続されているのである。リングギヤ94は、概してリング状をなし、その内周に複数(フレキシブルギヤの歯数よりやや多い数、例えば2つ多い数)の歯が形成されており、ハウジング74に固定されている。フレキシブルギヤ92は、その周壁部が波動発生器90に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ94と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。波動発生器90が1回転(360度)すると、フレキシブルギヤ92とリングギヤ94とが、それらの歯数の差分だけ相対回転させられる。
以上の構成から、電動モータ70が回転させられる場合、つまり、アクチュエータ30,30′が作動する場合に、左スタビライザ部材22,22′と右スタビライザ部材24,24′との各トーションバー部60が相対回転させられ、左スタビライザ部材22,22′と右スタビライザ部材24,24′とによって構成されて1つのスタビライザバー20,20′と観念できるものが捩じられることになる。このねじりにより生じる力は、左右の各々の車輪16と車体とを接近あるいは離間させる力として作用することになる。つまり、本スタビライザ装置14,14′では、アクチュエータ30,30′の作動によって、スタビライザバー20,20′の弾性力を変化させ、前輪側およ後輪側のロール剛性を個別に制御し得るようにされているのである。
以上説明した前輪側のスタビライザ装置14(サスペンション装置36)は、前スタビライザECU(電子制御装置)100によって制御され、また、後輪側のスタビライザ装置14′(サスペンション装置36′)は、後スタビライザECU100′によって相互に独立して制御される。したがって、図1および図4に示すように、前輪側のアクチュエータ(前アクチュエータ)30は前スタビライザECU100に接続され、後輪側のアクチュエータ(後アクチュエータ)30′は後スタビライザECU100′に接続されている。また、前スタビライザECU100と後スタビライザECU100′とは、通信手段によって相互に情報のやり取りが可能である。
前スタビライザECU100と後スタビライザECU100′とはそれぞれ基本的に同じ構造を有するものであり、コンピュータを主体とし、コンピュータはCPU104,ROM106,RAM108および入出力部110を備えている。入出力部110には、車速検出装置としての車速センサ112、操舵部材としての操舵ハンドルの操舵量を検出する操舵量検出装置たる操舵角センサ114、車両の横方向の加速度を検出する横加速度センサ116等が接続されている。入出力部110にはさらに、図示を省略する駆動回路を介して前記前(あるいは後)アクチュエータ30,(30′)が接続されている。各アクチュエータ30,30′には、エンコーダ126,126′がそれぞれ設けられており、駆動回路は目標回転角に基づいて決定されるコンピュータからの駆動指令値たる回転角指令値(永久磁石88とステータコイル84との相対回転角の指令値)と、エンコーダ126,126′による検出回転角とが等しくなるように、アクチュエータ30,30′を制御する。
前スタビライザECU100および後スタビライザECU100′の各ROM106には、目標回転角決定ルーチン等種々のプログラムがそれぞれ格納されている。前スタビライザECU100と後スタビライザECU100′とで共通の目標回転角決定ルーチンがそれぞれ実行されることにより、上記車速センサ112,操舵角センサ114,横加速度センサ116等によって検出される車速,操舵角,横加速度等に基づいて、前輪側と後輪側とでそれぞれ互いに独立してアクチュエータ30,30′の目標回転角が決定される。
このように、アクチュエータ30,30′の目標回転角が操舵角に基づいて決定されるため、操舵ハンドルが、素速く正逆両方向に、繰り返して操舵されると(繰返操舵されると)、ロール抑制制御が適切に行われない場合がある。繰返操舵が車両のロール共振周波数以上の周波数で行われると、アクチュエータ30,30′の応答速度が不足し、ロール抑制制御が適切に行われなくなるのであり、結果として効果のない無用なロール剛性の変更が行われたことになる。
この無用な、あるいは不適切なロール抑制制御が行われることを回避するために、上記ROM106の各々には、上記目標回転角決定ルーチン等と共に、図5のフローチャートで表される繰返操舵検出ルーチンが格納されている。このルーチンは、少なくとも車両の走行中、一定微小時間毎に繰り返し実行される。また、図示しない初期設定ルーチンの実行により、下記メモリがクリアされ、下記ブレーキモードフラグがOFFにされる。
まず、ステップ1(S1と略記する。他のステップについても同様とする)において、操舵角センサ114により検出された操舵角が読み込まれる。そして、S2で今回の操舵角から前回の操舵角が差し引かれて操舵角速度が演算される。演算された操舵角速度は、S3において、設定時間T分移動的に記憶される。設定時間Tに相当する数の操舵角速度が順次メモリに記憶され、新しい操舵角速度が1つ記憶される度に最も古い操舵角速度が消去されるのである。
S4においては、上記設定時間T分の操舵角速度のデータに基づいて、操舵角速度の極大値および極小値が求められるとともに、それら極大値のうち正しきい値を超えるものの数と、極小値のうち負しきい値を下回るものの数とがカウントされる。そして、S5において、正しきい値を超える極大値の数と、負しきい値を下回る極小値の数とのうちのいずれか一方が2以上であり、他方が1以上であるか否かが判定される。例えば、図6(a)の一番左に示す設定時間Tの範囲におけるように、操舵角速度ωを表す曲線の正しきい値を超える極大値の数が2、負しきい値を下回る極小値の数が1となれば、S5の判定結果がYESとなり、S6においてブレーキモードが設定される。図6(b)に示すようにブレーキモードフラグがONにされるのであり、このブレーキモードが設定されれば、スタビライザECU100,100′が電動モータ70のステータコイル84を短絡させて、電動モータ70に大きな制動トルクを発生させ、あたかもアクチュエータ30,30′にブレーキを掛けたかのような状態にする。ブレーキモードが設定されるということは、ロール抑制部の作動が禁止されるということなのである。
S5の判定結果がNOであった場合には、S7において、正しきい値を超える極大値の数と、負しきい値を下回る極小値の数とが共に0であるか否かが判定される。この判定は、文字通り、正しきい値を超える極大値も、負しきい値を下回る極小値もないか否かの判定であると解することも可能である。しかし、上記「0」は、繰返操舵の判定に使用された前記「2」および「1」より小さい値であり、設定時間T内に、操舵角速度の極大値が正しきい値を超える回数と、極小値が負しきい値を下回る回数とが共に、第一設定回数たる「2」と第二設定回数たる「1」とよりそれぞれ小さい値「0」以下となるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、繰返操舵の終了が検出される実施例であると解することも可能である。
S7の判定結果がYESの場合は、S8においてブレーキモードが解除され、通常制御モードが設定される。S7の判定結果がNOであれば、モードの変更は行われない。ブレーキモードが設定されていれば、ブレーキモードが維持され、通常制御モードが設定されていれば、通常制御モードが維持されるのである。
さらに説明すれば、図6(a)において中央に示す設定時間Tにおいては、正しきい値を超える極大値と、負しきい値を下回る極小値とが共に1となって、繰返操舵の判定に使用される「正しきい値を超える極大値と負しきい値を下回る極小値とのいずれか一方が2以上で、他方が1以上である」との条件を満たさなくなる。しかし、この場合に直ちに繰返操舵が終了したと判定されるわけではなく、図6(a)の右側に示す設定時間Tにおけるように、正しきい値を超える極大値と、負しきい値を下回る極小値とが共に0になったときはじめて繰返操舵終了の判定が行われるのである。したがって、図6(b)に示すように、左側の設定時間Tにおいて繰返操舵が検出された場合に、ブレーキモードがONにされ、右側の設定時間Tにおいて繰返操舵終了が検出された場合に、ブレーキモードがOFFにされるのであって、図6(a)の中央に示す設定時間Tにおいて繰返操舵の検出条件が満たされなくなる操舵状態と、右側に示す繰返操舵終了の検出条件が満たされる操舵状態の間が不感帯とされていることになる。
このように、繰返操舵が検出された場合には、スタビライザECU100,100′の目標回転角決定ルーチン等を実行してロール抑制制御を行う部分と、スタビライザ装置14,14′とにより構成されているロール抑制部の作動が禁止されて、無用なロール剛性変更が回避され、かつ、不適切なロール抑制制御が実行されることにより、かえってローリングが大きくなることが回避される。本実施例においては、スタビライザECU100,100′の、図5におけるS1〜S5を実行する部分により繰返操舵検出部の一例である操舵速度変化状態依拠繰返操舵検出部が構成され、S6を実行する部分によりロール抑制作動抑制部が構成されているのである。また、S7を実行する部分により繰返操舵終了検出部が構成されている。
別の実施例における繰返操舵検出ルーチンを図7に示す。本ルーチンは、操舵速度としての操舵角速度と、操舵量としての操舵角との両方に基づいて、繰返操舵および繰返操舵終了の検出を行うものである。
S11,S14〜S18は前記実施例におけるS1〜S6と同じである。S12も記憶されるものが操舵角である点以外はS3と同じである。S12における設定時間とS15における設定時間とは互いに異ならせることも可能であるが、本実施例においては同じにされている。
S13においては、操舵角の複数ずつの極大値と極小値とのうち、相前後するもの同士の差の絶対値が設定偏差以上となる回数がカウントされる。そして、S19において、その回数が設定回数以上であるか否かが判定され、判定結果がYESであれば、S18においてブレーキモードが設定される。
S19の判定結果がNOの場合には、S20において、S13でカウントされた相前後する極大値と極小値との差の絶対値が設定偏差以上となる回数と、S16でカウントされた極大値が正しきい値を超えた回数および極小値が不しきい値を下回った回数との少なくとも一方が0であるか否かが判定される。判定結果がYESであれば、通常制御モードが設定されるが、NOであればモードの変更は行われない。
本実施例のロール抑制システムは、スタビライザECU100,100′のS11〜S13,S19を実行する部分によって構成されている操舵角変化状態依拠繰返操舵検出部と、S11,S14〜S17を実行する部分によって構成されている操舵角速度変化状態依拠繰返操舵検出部との両方を備えており、両検出部のいずれか一方により繰返操舵が検出された場合に、繰返操舵が行われた判定する。操舵角変化状態依拠繰返操舵検出部および操舵角速度変化状態依拠繰返操舵検出部によりそれぞれ繰返操舵暫定検出部が構成されており、S17とS19とのいずれか一方の判定結果がYESの場合にS18が実行されるようになっている部分により、複数種類の繰返操舵暫定検出部の検出結果に基づいて最終的に繰返操舵を検出する繰返操舵最終検出部が構成されている。
図8に、操舵ハンドルの中立位置を中心として繰返操舵が行われ、かつ、操舵角θに基づく場合も操舵角速度ωに基づく場合と同じ方法で繰返操舵が検出されると仮定した場合の比較を示す。この場合は、操舵角速度に基づく方が繰返操舵のほぼ1/4周期分早く繰返操舵を検出し得ることが解る。また、操舵角速度に基づく場合は、繰返操舵の中心が操舵ハンドルの中立位置であるか否かによって、大きな影響は受けないが、操舵角に基づく場合には、大きな影響を受ける。操舵角を示す曲線全体が、上方あるいは下方へ移動して、極大値が正しきい値を超えた回数および極小値が不しきい値を下回った回数のいずれか一方が2以上であり、他方が1以上であるという繰返操舵検出の条件を満たさなくなることもあり得るのである。
したがって、一般的には操舵角速度に基づいて繰返操舵を検出する方が有利である。しかし、操舵角に基づく繰返操舵の検出条件を、例えば本実施例におけるように、「相前後する極大値と極小値との差の絶対値が設定偏差以上となる回数が設定回数以上」とすれば、繰返操舵が操舵ハンドルの中立位置から外れた位置で行われた場合にも支障なくそれを検出することができる。
また、「操舵角速度による方が有利」といっても、例えば、繰返操舵が行われたと判定されるべき操舵が行われたが、一部において操舵角速度がやや小さかったために、極大値が正しきい値を超えず、あるいは極小値が不しきい値を下回らず、操舵角速度に基づく繰返操舵の検出が行われない場合もあり得る。その場合でも、操舵角に基づく繰返操舵の検出は可能である場合が多いため、本実施例においては、操舵角変化状態依拠繰返操舵検出部と操舵角速度変化状態依拠繰返操舵検出部との両方が設けられているのである。
なお。逆に、操舵角に基づいては繰返操舵が検出されないが、操舵角速度に基づけば検出されるという場合もあり、本実施例はこの場合にも有効である。
上記実施例は、スタビライザ装置の制御によりロール剛性を変更可能なサスペンションシステムに請求可能発明を適用したものであるが、ショックアブソーバや、エアばね等サスペンションスプリングの制御によりロール剛性を変更可能なサスペンションシステム等、他の形式のサスペンションシステムにも適用することが可能である。
以上、2つの実施例を説明したが、これは文字通り例示であり、請求可能発明は、この他にも、前記段落〔0009〕に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
請求可能発明の一実施例であるロール抑制システムを含むサスペンションシステムを概略的に示す図である。 上記サスペンションシステムの一部を示す平面図である。 上記サスペンションシステムのスタビライザ装置の構成要素であるアクチュエータの正面断面図である。 上記サスペンションシステムの制御装置を示すブロック図である。 上記制御装置におけるスタビライザECUにおいて実行される繰返操舵検出ルーチンを表すフローチャートである。 上記繰返操舵検出ルーチンによる検出を説明するためのグラフである。 別の繰返操舵検出ルーチンを表すフローチャートである。 上記別の繰返操舵検出ルーチンの利点を説明するためのグラフである。
符号の説明
10:サスペンションシステム 14,14′:スタビライザ装置 30,30′:アクチュエータ 34:主サスペンション部 36,36′:サスペンション装置 70:電動モータ 72:減速装置 100:前スタビライザECU 100′:後スタビライザECU

Claims (2)

  1. 車両のロール剛性を変更可能なサスペンション装置と、そのサスペンション装置を制御する制御装置とを含むロール抑制システムであって、前記制御装置が、
    操舵装置の操作状態に応じて前記サスペンション装置を制御することにより車両のローリングを抑制するロール抑制部と、
    前記操舵装置が前記車両のロール共振周波数以上の周波数で正逆両方向に繰返操舵されたことを検出する繰返操舵検出部と、
    その繰返操舵検出部による繰返操舵の検出に応じて前記ロール抑制部の作動を抑制するロール抑制作動抑制部と、
    そのロール抑制作動抑制部が前記ロール抑制部のロール抑制作動を抑制している状態において、前記操舵装置の前記繰返操舵が終了したことを検出する繰返操舵終了検出部と、
    その繰返操舵終了検出部による繰返操舵終了検出に応じて、前記ロール抑制作動抑制部による前記ロール抑制作動抑制を解除する抑制解除部と
    を含み、かつ、前記繰返操舵検出部が、第二設定時間内に、前記操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第一設定偏差を超えた回数が0ではない第三設定回数以上であるという繰返操舵検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵を検出する操舵量変化状態依拠繰返操舵検出部を備え、前記繰返操舵終了検出部が、第八設定時間内に、前記操舵装置の操舵量の相前後する極大値と極小値との差の絶対値が第三設定偏差を超えた回数が前記第三設定回数より2以上小さい第四設定回数以下であるという繰返操舵終了検出条件が成立した場合に、前記繰返操舵終了を検出する操舵量変化状態依拠終了検出部を備えたことを特徴とするロール抑制システム。
  2. 前記繰返操舵検出部が、
    前記操舵装置が繰返操舵されたと暫定的に検出する繰返操舵暫定検出条件を互いに異にする複数種類の繰返操舵暫定検出部と、
    それら複数種類の繰返操舵暫定検出部の検出結果に基づいて最終的に前記繰返操舵を検出する繰返操舵最終検出部と
    を含む請求項1に記載のロール抑制システム。
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