JP4669096B2 - ガンダイオード発振器及びその発振周波数の調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波やミリ波用のガンダイオードを用いた発振器に係り、特に歩留まりが高く低コスト化でき、さらに発振周波数の調整が容易となった表面実装型のガンダイオード発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図18に従来のメサ型構造のガリウム砒素(GaAs)ガンダイオード100の断面図を示す。高濃度n型GaAsからなる半導体基板101上に、MOCVD法により、高濃度n型GaAsからなる第1のコンタクト層102、低濃度n型GaAsからなる活性層103、高濃度n型GaAsからなる第2のコンタクト層104が順次積層され、電子の走行空間の面積を小さくするため、メサ型構造となっている。105はカソード電極、106はアノード電極である。
【0003】
このように形成されたガンダイオード100は、図19に示すようなピル型パッケージ110内に組み立てられる。このピル型パッケージ110は、放熱基台電極111と、ガンダイオード100を取り囲む外囲器となるガラス或いはセラミックスからなる円筒112とを有し、この円筒112は放熱基台電極111に硬ロウ付けされた構造となっている。ガンダイオード100は、図示しないサファイア材等のボンデングツールにて静電吸着され、放熱基台電極111に接着される。さらに、金リボン113によりガンダイオード100と円筒112の先端に設けられた金属層とが熱圧着等により接続される。金リボン113の接続を行った後、円筒112上に蓋状の金属デイスク114をロウ付けし、ピル型パッケージ110に組み立てられる。
【0004】
ピル型パッケージ110に組み立てられたガンダイオードのマイクロストリップ線路120への実装構造の一例を図20に示す。ピル型パッケージ110の両電極111,114の一方は、アルミナ等からなる平板基板121に形成された孔に貫入してその平板基板121の裏面に形成された接地電極122と電気的に接続され、他方は、金リボン123によって平板基板121上にマイクロストリップ線路として形成された信号線路124に接続される。
【0005】
このような構成において、一方の信号電極124を所定の線路長に設定してオープンにすると、その信号電極124の線路長の共振器で発振周波数が決定されるガンダイオード発振器となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガンダイオード100をピル型パッケージ110に組み立てる際には、放熱基台電極111にガンダイオード100を接着する時、前記ボンデイングツールが視野を遮り、放熱基台電極111を直接視認することが困難となり、組立作業効率が非常に悪いという問題があった。
【0007】
また、ガンダイオード100を組み込んだピル型パッケージ110を平板基板121上に構成したマイクロストリップ線路120に実装する際に、金リボン123によって接続するので、寄生インダクタンスが発生し、特性がばらつくという実装上の問題点があった。
【0008】
さらに、電圧制御発振器(VCO)として構成するためには、バラクタダイオードのアノード電極又はカソード電極を所定の線路長で片側オープンのマイクロストリップ線路共振器の一端に接続搭載することになるが、すべての素子が実装された電圧制御発振器では、事後的に中心周波数の調整ができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記組み立てや実装が容易で歩留まりが高く、また発振周波数や中心周波数の調整も容易となったガンダイオード発振器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため請求項1にかかる発明は、半絶縁性の平面基板の表面に、第1のバイアス電極に連続する信号電極と該信号電極に連続する第1のオープンスタブと該第1のオープンスタブの近傍で前記信号電極をまたぐように配置される2個の表面接地電極を各々形成し、裏面全面に裏面接地電極を形成し、前記2個の表面接地電極を個々のヴィアホールにより前記裏面接地電極と接続したマイクロストリップ線路と、底面の中央にアノード又はカソードの一方の電極が形成され、前記底面の両側に他方の電極が各々形成されたフリップチップ型のガンダイオードとを具備し、前記ガンダイオードの前記一方の電極を前記マイクロストリップ線路の信号電極に接着すると共に他方の各電極を前記マイクロストリップ線路の前記各表面接地電極に接着し、前記2個のヴィアホールの間隔を前記信号電極の幅を超える長さで、且つ23λ/40以下に設定した(λ:目的発振周波数の波長)ことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のガンダイオード発振器において、前記マイクロストリップ線路を、半絶縁性の平面基板の表面に信号電極が形成され該信号電極の両側に接地電極が形成されたコプレーナ線路に代え、前記各表面接地電極を前記コプレーナ線路の前記接地電極に代え、前記2個のヴィアホールの間隔の代わりに前記ガンダイオードが搭載される部分の前記接地電極の間隔を前記信号電極の幅を超える長さで、且つ23λ/40以下に設定した(λ:目的発振周波数の波長)ことを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のガンダイオード発振器において、前記第1のオープンスタブを第1の発振器電極として、該第1の発振器電極の近傍に第2のバイアス電極に連続する第2のオープンスタブを形成し、バラクタダイオードのカソードとアノードの一方の電極を前記第2のオープンスタブに接続し、他方の電極を前記第1の発振器電極に接続したことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、半絶縁性の平面基板の表面に、第3のバイアス電極に連続する信号電極と該信号電極に連続する第3のオープンスタブと該第3のオープンスタブの近傍で前記信号電極の一方の側に位置する1個の表面接地電極と前記第3のオープンスタブの近傍で前記信号電極の他方の側に位置する表面電極とを各々形成し、裏面全面に裏面接地電極を形成し、前記表面接地電極をヴィアホールにより前記裏面接地電極と接続したマイクロストリップ線路と、底面の中央にアノード又はカソードの一方の電極が形成され、前記底面の両側に他方の電極が各々形成されたフリップチップ型のガンダイオードとを具備し、前記ガンダイオードの前記一方の電極を前記マイクロストリップ線路の信号電極に接着し、他方の電極の1つを前記マイクロストリップ線路の前記表面接地電極に接着し、他方の電極の他の1つを前記マイクロストリップ線路の前記表面電極に接着したことを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載のガンダイオード発振器において、前記第3のオープンスタブの一端が前記ガンダイオードの中央の前記一方の電極が接続された箇所から第1線路長で開放し、前記表面電極の一端が前記ガンダイオードの前記他方の電極の他の1つが接続された箇所から第2線路長で開放し、前記第3のオープンスタブと前記表面電極を2つの共振器として働かせ、前記第1線路長と前記第2線路長の設定により発振周波数を決定するようにしたことを特徴とする。
請求項6にかかる発明は、請求項4又は5に記載のガンダイオード発振器において、前記マイクロストリップ線路を、半絶縁性の平面基板の表面に信号電極と表面電極が形成され前記信号電極の両側に接地電極が形成されたコプレーナ線路に代え、前記表面接地電極を前記コプレーナ線路の接地電極に代えたことを特徴とする。
請求項7にかかる発明は、請求項4乃至6のいずれか1つに記載のガンダイオード発振器において、前記第3のオープンスタブを第2の発振器電極として、該第2の発振器電極の近傍に第4のバイアス電極に連続する第4のオープンスタブを形成し、バラクタダイオードのカソードとアノードの一方の電極を前記第4のオープンスタブに接続し、他方の電極を前記2の発振器電極に接続したことを特徴とする。
請求項8にかかる発明のガンダイオード発振器の周波数調整方法は、請求項4乃至7のいずれか1つに記載のガンダイオード発振器の周波数調整方法において、前記表面電極の前記ガンダイオード接続側と反対側の先端部を部分的に削除し第2線路長を短くすることにより所定の発振周波数に調整することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施形態のガンダイオード発振器を示す斜視図、図2は図1の基板の一部を断面にした斜視図である。10は底面中央にアノード電極バンプ11が、底面両側にカソード電極バンプ12、13が各々突出形成されたフリップチップ型のガンダイオードであり、マイクロストリップ線路20に実装して発振器が構成されている。
【0021】
このガンダイオード10は、ガリウム砒素やインジウム燐等からなる半導体積層部のアノード電極バンプ11に対応する中央部分にガンダイオード機能部を形成し、同一の底面にアノード電極バンプ11とカソード電極バンプ12、13を形成したもの(例えば、特願平10−259006号)である。
【0022】
マイクロストリップ線路20は、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ダイアモンド等のように比抵抗が106Ω・cm以上、熱電導率が140W/mK以上で良好な半絶縁性の平板基板21の表面に信号電極22を、また裏面全面に接地電極23を形成したものである。24、25はタングステンを充填したヴィアホール(図2参照)であり、裏面の接地電極23と表面に形成した表面接地電極26、27を接続している。ガンダイオード10は、そのアノード電極バンプ11が信号電極22に接着され、カソード電極バンプ12、13が接地電極26,27に接着されることにより搭載されている。22Aはガンダイオード10に電源電圧を供給するバイアス電極、22Bはガンダイオード10を含むマイクロストリップ線路による共振器を構成するオープンスタブ、22Cはマイクロストリップ線路による発振出力部を構成する電極である。
【0023】
本実施形態のガンダイオード発振器では、ガンダイオード10をフェースダウン姿勢にしてバンプ11〜13を電極22、26,27に直接接続し、金リボンを使用しないので、その金リボンによる接続に起因し発生していた寄生インダクタンスの発生がなくなり、特性のばらつきの少ない発振器を実現することが可能になる。
【0024】
また、ガンダイオード10に発生する熱がバンプ11〜13を介してヒートシンクとしても機能する基板21に放散されるので、放熱効果も高くなる。さらに、このようなガンダイオード10の実装状態では、アノード電極バンプ11の両側にカソード電極バンプ12、13が位置するので、アノード電極に過度の加重が加わることが防止される。
【0025】
図3は本実施形態のガンダイオード発振器の等価回路の回路図である。ここで、ガンダイオード10の素子容量をCd、負性コンダクタンスをGdとする。Z1はオープンスタブ22Bのインピーダンス、Z2はガンダイオード10と接地電極26,27を経てヴィアホール24,25を経由し裏面接地電極23までのインピーダンス、Z3は信号電極22のインピーダンスである。
【0026】
ここで、L1をオープンスタブ22Bの長さ(線路長)、L2をヴィアホール24,25の間隔、Zaをオープンスタブ22Bの特性インピーダンス、Zbを両接地電極26、27間のガンダイオード10を経由する経路の特性インピーダンス、βを2π/λ(λは発振波長)とすると、
Z1=−j・Za・cot(β・L1) (1)
である。
【0027】
また、表面接地電極26,27はガンダイオード10の中心から対称であるので、ガンダイオード10と接地電極23間のインピーダンスZ2は、ガンダイオード10と一方の接地電極26又は27を経由しヴィアホール24又は25を経由し裏面接地電極23まで至るインピーダンスの1/2となり、
Z2=j・(Zb/2)・tan(β・L2/2) (2)
であり、ガンダイオード10のアドミッタンスYdは、
Yd=−Gd+j・Bd (3)
となる。Bdはガンダイオード10のサセプタンスである。
【0028】
一方、発振回路のアドミッタンスYoは、
Yo=Go+j・Bo (4)
となる。Goは発振回路のコンダクタンス、Boはサセプタンスである。
【0029】
以上において、
Gd=Go (5)
Yo+Bo=0 (6)
の条件が満足されるときに、発振が起こる。
【0030】
図4はオープンスタブ22Bの長さL1を420μmとし、ヴィアホール24,25間隔L2を変化させたときの発振周波数のシミュレーション結果を示す特性図である。発振周波数は間隔L2に反比例していることが分かる。
【0031】
図5はヴィアホール24,25の間隔L2を、2λ/5,λ/2,11λ/20,23λ/40,3λ/5とした各場合に、オープンスタブ22Bの長さ(L1/λで正規化している)を変化させたときの発振周波数のシミュレーション結果を示す特性図である。ここでは、目的発振周波数を76GHz(波長λ=1.475mm)としてシミュレーションした。
【0032】
図5において、オープンスタブ22Bの長さL1を変化させてみると、L2=23λ/40より長い場合に76GHzで飽和しそれ以上の周波数が得られていない。一方、L2が23λ/40以下の場合では、オープンスタブ長L1を短くするに従って発振周波数が増大し、目的周波数76GHzの前後の周波数が容易に得られている。
【0033】
図6は、同様な場合について、目的発振波長を60GHz(λ=1.891mm)としてシミュレーションした結果を示す特性図である。この特性図においても、L2=23λ/40より長い場合に60GHzで飽和しそれ以上の周波数が得られていないが、L2を23λ/40以下とした場合では、オープンスタブ長L1を短くするに従って発振周波数が比例的に高くなり、目的周波数60GHzの前後の周波数が容易に得られている。
【0034】
以上の図5,図6の特性から明らかなように、ヴィアホール24,25の間隔L2を信号電極22の幅より大きく、且つ23λ/40よりも小さな値に設定することにより、一旦作成したオープンスタブ22Bの長さL1をレーザトリミング装置等を用い事後的に調整する(先端部分の部分的削除)ことによって、正確に波長λの周波数を発振させることができ、その前後の周波数についてもオープンスタブ22Bの長さL1の調整により、広い範囲で調整することが可能になることが分かる。
【0035】
[第2の実施形態]
図7は第2の実施形態の電圧制御発振器の構成を示す図である。ここでは、図1,2に示した構成の平板基板21に対し、さらにバイアス電極28Aとオープンスタブ28Bを連続形成すると共に、バラクタダイオード30をオープンスタブ22B、28B間に搭載したものである。すなわち、このバラクタダイオード30は、その裏面のカソード電極バンプ31とアノード電極バンプ32が、オープンスタブ22Bとオープンスタブ28Bに接着している。他は図1,図2と同様である。なお、この第2の実施例では、第1の実施例との連続性を考慮してオープンスタブ22Bをそのまま同じ表示で使用したが、実際にはもはやオープンなスタブとはなっていなので、特許請求の範囲ではそのオープンスタブ22Bを発振器電極と表示した。
【0036】
本実施形態では、バイアス電極28Aに印加する電圧によって、バラクタダイオード30のアノード・カソード間の容量を変化させて、発振周波数を調整することができる。
【0037】
図8はこの電圧制御発振器の等価回路である。図3に示した等価回路とは、インピーダンスZ1に直列にバラクタダイオード30の素子容量Cvとオープンスタブ28BのインピーダンスZ4が接続された点が異なり、他は同じである。オープンスタブ28BのインピーダンスZ4は、
Z4=−j・Zc・cot(β・L3) (7)
となる。Zcはオープンスタブ28Bの特性インピーダンス、L3はオープンスタブ28Bの長さ(線路長)である。他は、前記式(1)〜(4)と同じである。よって、前記式(5)、(6)が満足されるとき、発振が起きる。
【0038】
[第3の実施形態]
図9は第3の実施形態のガンダイオード発振器を示す斜視図、図10は図9の基板の一部を断面した斜視図である。本実施形態は、図1,図2に示した第1の実施形態において、一方の表面接地電極26とその表面接地電極26を裏面接地電極23に接続するヴィアホール24を除去し、表面接地電極26を形成していた部分に長さ(線路長)L4の表面電極29を設け、ここにガンダイオード10の一方のカソード電極バンプ12を接着したものである。他は第1の実施形態で説明したものと同じである。
【0039】
図11は本実施形態のガンダイオード発振器の等価回路の回路図である。Z2’は表面接地電極27のインピーダンス、Z5は表面電極29のインピーダンスであり、これらは並列接続となる。L2’はヴィアホール25とオープンスタブ22Bの中心部との間の距離である。他は第1の実施形態と同じである。
【0040】
ここでは、Zb’を接地電極27の特性インピーダンス、Zdを表面電極29の特性インピーダンスとすると、オープンスタブ22BのインピーダンスZ1は前記の式(1)で、表面接地電極27のインピーダンスZ2’は次の式(8)で、表面電極29のインピーダンスZ5は次に式(9)でそれぞれ表される。
Z2’=−j・Zb’・tan(β・L2’) (8)
Z5=j・Zd・tan(β・L4) (9)
また、ガンダイオード10のアドミッタンスYdは前記の式(3)で、発振回路のアドミッタンスYoは前記の式(4)で表されるので、前記式(5)、(6)を満足すると、発振が起こる。
【0041】
図12は表面電極29の長さL4を500μmとし、オープンスタブ22Bの長さL1をレーザトリミング装置等を用い変化させた(先端を部分的に削除)ときの発振周波数のシミュレーション結果を示す特性図である。発振周波数はスタブ長L1に反比例していることが分かる。
【0042】
図13は図12と逆に、オープンスタブ22Bの長さL1を420μmとし、表面電極29の長さL4をレーザトリミング装置等を用い変化させた(先端を部分的に削除)ときの発振周波数のシミュレーション結果を示す特性図である。ここでは発振周波数はスタブ長L4に反比例していることが分かる。
【0043】
以上から、オープンスタブ22Bの長さL1、表面電極29の長さL4の2つのパラメータを独立して調整して、発振周波数を調整することができることが分かる。
【0044】
[第4の実施形態]
図14は第4の実施形態の電圧制御発振器の構成を示す図である。ここでは、図9,10に示した構成の平板基板21に対し、第2の実施形態(図7)と同様に、バイアス電極28Aとオープンスタブ28Bを連続形成すると共に、バラクタダイオード30を搭載したものである。なお、この第4の実施例では、第3の実施例との連続性を考慮してオープンスタブ22Bをそのまま同じ表示で使用したが、実際にはもはやオープンなスタブとはなっていなので、第2の実施例と同様に、特許請求の範囲ではそのオープンスタブ22Bを発振器電極と表示した。
【0045】
本実施形態では、バイアス電極28Aに印加する電圧によって、バラクタダイオード30のアノード・カソード間の容量を変化させて、発振周波数を調整することができる。また、このように構成することで、ガンダイオード10とバラクタダイオード30を発振回路が構成された平板基板上に実装した後であっても、レーザトリミング装置等を用いることで、表面電極29の長さL4を精度良く調整することで、電圧制御発振器の中心周波数を可変することができる。
【0046】
図15はこの電圧制御発振器の等価回路である。図11に示した等価回路とは、インピーダンスZ1に直列にバラクタダイオード30の素子容量Cvとオープンスタブ28BのインピーダンスZ4が接続された点が異なり、他は同じである。オープンスタブ28BのインピーダンスZ4は、前記の式(7)で表されるので、前記式(5)、(6)が満足されるとき、発振が起こる。
【0047】
[その他の実施形態]
図16、図17は前記した各実施形態のマイクロストリップ線路20をコプレーナ線路40に置換した場合の各実施形態を示す平面図である。
【0048】
まず、図16(a)は第1の実施形態(図1)のガンダイオード発振器に対応するもので、41はコプレーナ線路40の信号電極、41Aは発振出力電極、41Bは長さL1のオープンスタブ、42は信号電極41の両側に形成された接地電極、43はバイアス電極、51は金線又は金リボンである。ここでは、ガンダイオード10のアノード電極バンプ11は信号電極41に、カソード電極バンプ12,13は両側の接地電極42に接着される。距離L2はガンダイオード10の下面においてオープンスタブ41Bをまたぐ接地電極42の離間距離となる。
【0049】
図16(b)は第2の実施形態(図7)の電圧制御発振器に対応するもので、44はバイアス電極、45はこのバイアス電極44と金線又は金リボン52で接続した長さL3のオープンスタブであり、バラクタダイオード30のカソード電極バンプ31、アノード電極バンプ32はオープンスタブ41B、4に接着されている。
【0050】
図17(a)は第3の実施形態(図9)のガンダイオード発振器に対応するもので、46は長さL4の表面電極である。また、図17(b)は第4の実施形態(図14)の電圧制御発振器に対応するものある。L2’はガンダイオード10が搭載される部分の一方の接地電極とオープンスタブ41Bの中心との距離である。
【0051】
なお、以上説明した各実施形態において、ガンダイオード10のアノード電極バンプとカソード電極バンプはバイアス電圧の極性によって逆になる場合もある。バラクタダイオード30のカソード電極バンプとアノード電極バンプについても同じである。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のガンダイオード発振器によれば、基板上にガンダイオードやバラクタダイオードをフェースダウンの姿勢で搭載するので、組み立てや実装が容易で歩留まりが高くなる。またガンダイオードの中央の電極が接着されるオープンスタブの線路長やガンダイオードの端部の電極が接着される表面電極の線路長を調整することで発振周波数を調整することができるので、実装した後の周波数調整が容易となる。さらに、電圧制御発振器についても、実装の後に発振周波数の中心周波数を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のガンダイオード発振器の斜視図である。
【図2】 図1の基板の一部を断面にした斜視図である。
【図3】 第1の実施形態のガンダイオード発振器の等価回路図である。
【図4】 第1の実施形態のガンダイオード発振器の発振周波数のシミュレーション結果を示す特性図図である。
【図5】 第1の実施形態のガンダイオード発振器の発振周波数の別のシミュレーション結果を示す特性図図である。
【図6】 第1の実施形態のガンダイオード発振器の発振周波数の別のシミュレーション結果を示す特性図図である。
【図7】 第2の実施形態の電圧制御発振器の斜視図である。
【図8】 第2の実施形態の電圧制御発振器の等価回路図である。
【図9】 第3の実施形態のガンダイオード発振器の斜視図である。
【図10】 図3の基板の一部を断面にした斜視図である。
【図11】 第3の実施形態のガンダイオード発振器の等価回路図である。
【図12】 第3の実施形態のガンダイオード発振器の発振周波数のシミュレーション結果を示す特性図図である。
【図13】 第3の実施形態のガンダイオード発振器の発振周波数の別のシミュレーション結果を示す特性図図である。
【図14】 第4の実施形態の電圧制御発振器の斜視図である。
【図15】 第4の実施形態の電圧制御発振器の等価回路図である。
【図16】 (a)は第1の実施形態のマイクロストリップ線路をコプレーナ線路に置換した場合の平面図、(b)は第2の実施形態のマイクロストリップ線路をコプレーナ線路に置換した場合の平面図である。
【図17】 (a)は第3の実施形態のマイクロストリップ線路をコプレーナ線路に置換した場合の平面図、(b)は第4の実施形態のマイクロストリップ線路をコプレーナ線路に置換した場合の平面図である。
【図18】 従来のメサ型構造のガンダイオードの断面図である。
【図19】 従来のガンダイオードをピル型パッケージに組み込んだ断面図である。
【図20】 ピル型パッケージをマイクロストリップ線路に搭載した説明図である。
【符号の説明】
10:ガンダイオード、11:アノード電極バンプ、12,13:カソード電極バンプ
20:マイクロストリップ線路、21:平面基板、22:信号電極、22A:バイアス電極、22B:オープンスタブ、22C:出力電極、23:裏面接地電極、24,25:ヴィアホール、27,28:表面接地電極、29:表面電極
30:バラクタダイオード、31:アノード電極、32:カソード電極
40:コプレーナ線路、41:信号電極、41A:発振出力電極、41B:オープンスタブ、42:接地電極、43:バイアス電極、44:バイアス電極、45:オープンスタブ、46:表面電極、51、52:金線又は金リボン
100:従来のガンダイオード、101:半導体基板、102:第1コンタクト層、103:活性層、104:第2のコンタクト層、105:カソード電極、106:アノード電極
110:ピル型パッケージ、111:放熱基台電極、112:円筒、113:金リボン、114:金属ディスク
120:マイクロストリップ線路、121:平面基板、122:接地電極、123:金リボン、124:信号線路
Claims (8)
- 半絶縁性の平面基板の表面に、第1のバイアス電極に連続する信号電極と該信号電極に連続する第1のオープンスタブと該第1のオープンスタブの近傍で前記信号電極をまたぐように配置される2個の表面接地電極を各々形成し、裏面全面に裏面接地電極を形成し、前記2個の表面接地電極を個々のヴィアホールにより前記裏面接地電極と接続したマイクロストリップ線路と、
底面の中央にアノード又はカソードの一方の電極が形成され、前記底面の両側に他方の電極が各々形成されたフリップチップ型のガンダイオードとを具備し、
前記ガンダイオードの前記一方の電極を前記マイクロストリップ線路の信号電極に接着すると共に他方の各電極を前記マイクロストリップ線路の前記各表面接地電極に接着し、
前記2個のヴィアホールの間隔を前記信号電極の幅を超える長さで、且つ23λ/40以下に設定した(λ:目的発振周波数の波長)ことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 請求項1に記載のガンダイオード発振器において、
前記マイクロストリップ線路を、半絶縁性の平面基板の表面に信号電極が形成され該信号電極の両側に接地電極が形成されたコプレーナ線路に代え、前記各表面接地電極を前記コプレーナ線路の前記接地電極に代え、
前記2個のヴィアホールの間隔の代わりに前記ガンダイオードが搭載される部分の前記接地電極の間隔を前記信号電極の幅を超える長さで、且つ23λ/40以下に設定した(λ:目的発振周波数の波長)ことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 請求項1又は2に記載のガンダイオード発振器において、
前記第1のオープンスタブを第1の発振器電極として、該第1の発振器電極の近傍に第2のバイアス電極に連続する第2のオープンスタブを形成し、バラクタダイオードのカソードとアノードの一方の電極を前記第2のオープンスタブに接続し、他方の電極を前記第1の発振器電極に接続したことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 半絶縁性の平面基板の表面に、第3のバイアス電極に連続する信号電極と該信号電極に連続する第3のオープンスタブと該第3のオープンスタブの近傍で前記信号電極の一方の側に位置する1個の表面接地電極と前記第3のオープンスタブの近傍で前記信号電極の他方の側に位置する表面電極とを各々形成し、裏面全面に裏面接地電極を形成し、前記表面接地電極をヴィアホールにより前記裏面接地電極と接続したマイクロストリップ線路と、
底面の中央にアノード又はカソードの一方の電極が形成され、前記底面の両側に他方の電極が各々形成されたフリップチップ型のガンダイオードとを具備し、
前記ガンダイオードの前記一方の電極を前記マイクロストリップ線路の信号電極に接着し、他方の電極の1つを前記マイクロストリップ線路の前記表面接地電極に接着し、他方の電極の他の1つを前記マイクロストリップ線路の前記表面電極に接着したことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 請求項4に記載のガンダイオード発振器において、
前記第3のオープンスタブの一端が前記ガンダイオードの中央の前記一方の電極が接続された箇所から第1線路長で開放し、前記表面電極の一端が前記ガンダイオードの前記他方の電極の他の1つが接続された箇所から第2線路長で開放し、前記第3のオープンスタブと前記表面電極を2つの共振器として働かせ、前記第1線路長と前記第2線路長の設定により発振周波数を決定するようにしたことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 請求項4又は5に記載のガンダイオード発振器において、
前記マイクロストリップ線路を、半絶縁性の平面基板の表面に信号電極と表面電極が形成され前記信号電極の両側に接地電極が形成されたコプレーナ線路に代え、前記表面接地電極を前記コプレーナ線路の接地電極に代えたことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 請求項4乃至6のいずれか1つに記載のガンダイオード発振器において、
前記第3のオープンスタブを第2の発振器電極として、該第2の発振器電極の近傍に第4のバイアス電極に連続する第4のオープンスタブを形成し、バラクタダイオードのカソードとアノードの一方の電極を前記第4のオープンスタブに接続し、他方の電極を前記2の発振器電極に接続したことを特徴とするガンダイオード発振器。 - 請求項4乃至7のいずれか1つに記載のガンダイオード発振器の周波数調整方法において、
前記表面電極の前記ガンダイオード接続側と反対側の先端部を部分的に削除し第2線路長を短くすることにより所定の発振周波数に調整することを特徴とするガンダイオード発振器の周波数調整方法。
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