JP4668471B2 - 縦型炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造装置に関し、さらに詳しくは、半導体装置の製造における成膜や熱処理などに用いられる縦型炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体装置の製造工程において、半導体ウェーハに成膜や熱処理などを行う縦型CVD炉や縦型拡散炉などの縦型炉が使用されている。この縦型炉においては、反応炉内に収納されたボートに複数の半導体ウェーハを板厚方向に互いに隔てて保持し、反応炉内に各種のガスを供給し、加熱を行うことにより、バッチ方式(複数の半導体ウェーハを同時に処理する方式)によって各種の処理を行うことができる。
【0003】
図4は従来の縦型炉の構造例を示す概略断面図である。従来の縦型炉は、例えば、図4に示すように、内管106bと外管106aとからなる反応炉106を備え、この反応炉106を開閉する蓋体110がローディング機構である昇降回転機構により昇降回転可能に設けられている。この蓋体110上には蓋体110に固定手段により連結されたボート102が設けられている。反応炉106の周囲にはヒータ108が配置され、反応炉106内を所定の温度に加熱制御することができる。
【0004】
また、ガス導入配管116が反応炉106に接続され、所定の処理ガスが炉内に供給される。さらに、反応炉106にはガス排出管114が接続され、反応炉106内のガス圧力を所定の圧力に設定することができる。
そして、まず、ボート102に複数の半導体ウェーハが搬送されて配置される。その後、半導体ウェーハ104が保持されたボート102が反応炉106の中に収納され、蓋体110がフランジ部材115と密着することで反応炉106が密閉される。次いで、ガス導入管116から所定の処理ガスを供給し、所定のガス圧力及び温度になるように調整することにより、半導体ウェーハ104上にシリコン絶縁膜やシリコン層などを成膜したり、半導体ウェーハ104を熱処理したりすることができる。
【0005】
半導体ウェーハ104への所定の処理が終了した後、蓋体110が開き、蓋体110に連結されたボート102が反応炉106の下方に移動し、ボート102に保持された半導体ウェーハ104がボート102から搬出される。
このように、従来の縦型炉においては、ボート102自体が反応炉106の外部に移動して半導体ウェーハ104の搬入や搬出を行い、複数枚(50〜200枚程度)の半導体ウェーハ104を一括してバッチ処理をしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の拡散炉はバッチ式の半導体製造装置であるので、1ロットを構成する半導体ウェーハの枚数が多いメモリ品種のような半導体装置を大量生産するためには非常に効率がよく、そのスループットを高くすることができるが、1ロットを構成する半導体ウェーハの枚数が少なく、その枚数がロットによって変動するロジック品種のような半導体装置の生産においては、その製造効率が大幅に低下してしまうおそれがある。
【0007】
すなわち、例えば1バッチ150枚のウェーハを一括処理できるバッチ方式の縦型炉を用いて、1ロットを構成する半導体ウェーハが少ないロットを処理する場合、バッチ内又はバッチ間の複数の半導体ウェーハの間で成膜などの均一性を得るために、製品ロットの半導体ウェーハが配置されるボートのスロット以外のスロットにもダミーウェーハを配置する必要がある。
【0008】
つまり、たとえ、少数枚の半導体ウェーハで構成される製品ロットを処理する場合においても、縦型炉のボートをいわゆるフルバッチにして処理する必要がある。しかも、縦型炉は一般的に反応炉内の温度を700℃程度以上の高温に設定して各種処理を行うものであって、半導体ウェーハの熱ストレスの緩和や酸化防止のため反応炉を600℃程度に降温した窒素雰囲気にしてボートを反応炉から外部に出して半導体ウェーハの搬入及び搬出を行う必要がある。このように、従来の縦型炉は半導体ウェーハの搬送に係る時間ばかりではなく、温度の昇降に係る時間も比較的長く設定される。
【0009】
従って、従来の縦型炉を用いてロジック品種のような1ロットを構成する半導体ウェーハが少ないロットを処理する場合において、処理すべく半導体ウェーハの枚数が少ないにもかかわらず、例えば150枚バッチの縦型炉であれば150枚の半導体ウェーハを処理する時間と同等の処理時間を要することになり、非常に効率が悪いという問題がある。
【0010】
また、近年においては、製品開発の短TAT(Turn Around Time)化が強く進められており、少枚数の半導体ウェーハで構成されるロットにおいても効率よく処理できる縦型炉が切望されている。
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、少数枚の半導体ウェーハでロットを構成して製造されるロジック品種などの半導体装置の生産効率を向上させることができる縦型炉を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は縦型炉に係り、半導体ウェーハに対して所定の処理を行う縦型の反応炉と、前記反応炉内に固定されて収納され、複数枚の半導体ウェーハを板厚方向に互いに隔てて保持するボートと、前記反応炉の下部に配置され、前記反応炉を開閉する蓋体と、前記ボートが前記反応炉に固定された状態で、前記蓋体の開閉に対応して移動することで前記半導体ウェーハを前記ボートに搬入又は前記ボートから搬出するようにした半導体ウェーハ搬送手段とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、縦型炉において、少数枚の半導体ウェーハでロットを構成して製造されるロジック品種などの半導体装置の生産効率を向上させるために工夫されたものであって、半導体ウェーハを保持するボートが反応炉に固定された状態で、反応炉の下部に配置された蓋体が開閉し、半導体ウェーハが搬送手段により搬送されていわゆるロード(搬入)、アンロード(搬出)が行われる。
【0013】
このとき、例えば、一連の複数のロットの各ロットを構成する半導体ウェーハの枚数の範囲を予測するなどしておき、ボートの製品ロットの半導体ウェーハが配置されないスロットに予めダミーウェーハを配置しておく。
このような状態で、製品ロットのウェーハ収納器から半導体ウェーハが搬送手段により取り出され、次いで、半導体ウェーハが搬送手段により反応炉に固定されたボートに移載される。製品ロットの半導体ウェーハの枚数がロットごとに異なる場合は、半導体ウェーハが配置されないボートの空スロットにダミーウェーハを補充配置したり、余分なダミーウェーハを排出してそのスロットに半導体ウェーハを配置したりしてボートをフルバッチとすればよい。
【0014】
このようにすることにより、製品ロットの半導体ウェーハが配置されないボートのスロットに製品ロットを処理するごとにダミーウェーハをロード及びアンロードする必要がなくなるので、バッチ方式の縦型炉を用いても、小数枚の半導体ウェーハで構成されるロットの処理効率を向上させることができる。さらには、1ロットにおける搬送アームに接触する半導体ウェーハの枚数を減らすことができるので、ダミーウェーハをロットごとに搬送手段によりロード及びアンロードする場合に比べて、搬送手段と半導体ウェーハとの接触に起因するパーティクルの発生を抑制することができるようになる。
【0015】
上記した縦型炉において、前記半導体ウェーハ搬送手段には、該半導体ウェーハ搬送手段上に載置される前記半導体ウェーハに不活性ガスを供給する複数のガス供給口が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、半導体ウェーハ搬送手段としての搬送アーム上に載置された半導体ウェーハが、搬送アームのガス供給口から供給される不活性ガスにより押圧されて、搬送アームの載置面から浮き上がった状態でロード及びアンロードされる。これにより、搬送アームと半導体ウェーハとはほとんど接触しない状態とすることができるので、半導体ウェーハと搬送アームとの接触に起因するパーティクルの発生をさらに防止することができるようになる。さらには、半導体ウェーハが搬送アームにより搬送される際に窒素ガスにより冷却されるので、半導体ウェーハを搬出する際に反応炉内の温度を所定の温度まで下げる必要がなくなり、縦型炉のスループットを向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態の縦型炉を示す概略断面図である。
本実施形態の縦型炉20は、減圧下でのCVD処理や熱処理に適するように構成された縦型炉であって、図1に示すように、半導体ウェーハに所定の処理を行う反応管16とこの反応管16の周囲に配置され、反応炉16内を加熱するヒータ18とが設けられている。反応管16は内管16bと外管16aとからなる二重構造になっており、内管16bは上端及び下端が開放され、一方、外管16aは上端が閉塞され、下端が開放されている。
【0017】
この反応管16の中には、横方向から半導体ウェーハ13を脱着できるように開放され、複数の半導体ウェーハ13をその板厚方向に互いに隔てて保持するボート12が反応管16に取り外し可能な状態で固定手段12aにより固定されて収納されている。このボート12は必要なときに反応管16から取り外して洗浄することができるようになっている。このボート12として、SiC(シリコンカーバイド)部材や石英部材又はSiC部材や石英部材の上に多結晶シリコン層が形成されたものを用いることができる。これらの中でSiC部材上に多結晶シリコン層が形成されたものが最もパーティクルの発生を抑制することができるので好ましい。ヒータ18は、断熱部材の内周に発熱抵抗線(図示せず)が配設されたものであって、300〜1000℃程度に反応管16の中に配置された半導体ウェーハ13を加熱制御することができる。
【0018】
反応管16の下部には所定のガスを導入するガス導入管17とガスを排出するガス排出管14とを有する筒状のマニホールド(図示せず)が設けられている。反応管16内に導入された処理ガスはガス排出管17に接続された真空ポンプにより排気され、反応管16内を減圧排気することにより所定の処理圧力に制御可能になっている。
【0019】
反応管16の下方には、昇降回転手段22に保持され、反応管16を開閉する例えばステンレス鋼製の蓋体10が、フランジ部材11を介してこのフランジ部材に密着した状態で設けられている。この蓋体10が昇降及び回転することで反応炉16が開閉されるようになっている。
反応管16及びヒータ18の下方には、ローディング制御手段26に接続されたローディング機構26aに連結された平面C字状の搬送アーム24が配置されている。このローディング制御手段26とローディング機構26aと搬送アーム24とが半導体ウェーハ搬送手段を構成している。この搬送アーム24は処理する製品ロットのウェーハ収納器25内に配置された半導体ウェーハ13aを反応炉16内のボート12に移載するものであって、ローディング機構26aに連結されることで三次元的に移動することができる。
【0020】
この搬送アーム24の個数は、製品ロットを構成する半導体ウェーハの枚数や縦型炉のスループットなどを考慮して適宜調整すればよい。例えば、1ロットを構成する半導体ウェーハの枚数が25枚以下の場合、搬送アームを1〜5個程度備えたものとすればよい。さらに説明すると、1ロットを構成する半導体ウェーハの枚数が10枚で、搬送アームを5個備えている場合、製品ロットのウェーハ収納器25からボート12への移載を2回行うことにより半導体ウェーハのボート12への移載が完了することになる。
【0021】
このように、本実施形態の縦型炉20は、バッチ処理方式の縦型炉において、ボート12を反応炉14に固定させた状態で、搬送アーム24を移動させることに基づいて、製品ロットの半導体ウェーハ13aをボート12にロート及びアンロードできるように工夫したものである。従って、製品ロットを構成する半導体ウェーハ13aの枚数に対応させて、ボート12にダミーウェーハを予め配置しておくことにより、バッチ処理方式の装置でありながら枚葉方式的な処理を行うことができるようになる。これについては後の「処理方法」の項で詳しく説明する。
【0022】
次に、本実施形態の縦型炉20に係る搬送アーム24について詳しく説明する。
図2(a)は本実施形態の縦型炉の係る搬送アームを示す概略平面図、図2(b)は図2(a)のI−Iに沿った概略断面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態の縦型炉の係る搬送アーム24はその面24a上に半導体ウェーハ13aが載置され、該半導体ウェーハ13aに窒素ガスなどの不活性ガスを供給するための複数のガス供給口28が形成されている。搬送アーム24の内部には空洞32が形成され、不活性ガスをこのガス供給口28に供給することができる。
【0023】
搬送アーム24の周辺部には半導体ウェーハ13の移動を規制するための例えば3つの凸状のガイド30が形成されている。本実施形態の搬送アーム24はこのような構成になっており、搬送アーム24の面24a上に半導体ウェーハ13aが載置されると同時に、不活性ガス例えば窒素ガスがガス供給口28を介して半導体ウェーハ13aに供給される。
【0024】
これにより、半導体ウェーハ13aは窒素ガスにより上方に押圧されることで所定の寸法だけ搬送アーム24に接触せずに浮き上がることになる。このとき、搬送アーム24から浮き上がった半導体ウェーハ13aは3つのガイド30により支えられるので位置ずれせずに搬送される。
このようにすることにより、半導体ウェーハ13aと搬送アーム24との接触や摩擦に起因するパーティクルの発生を防止することができるようになり、縦型炉での各処理に係る歩留りを向上させることができる。
【0025】
(実施形態の縦型炉を用いた半導体ウェーハの処理方法)
図3(a)及び(b)は本実施形態の縦型炉に係るボートにウェーハが配置された様子を模式的に示した図である。
次に、前述した本実施形態の縦型炉を用いて、ロジック品種などの半導体装置を製造するための多品種、小数枚ロット(以下、製品ロットという)を効率よく処理する方法を図1及び図3を参照しながら説明する。なお、縦型炉を用いる半導体製造工程として、半導体ウェーハ上にシリコン窒化膜を成膜する工程を例示して説明する。
【0026】
まず、縦型炉を用いて成膜処理を行う前の段階として、一連の複数の製品ロットを構成するそれぞれの半導体ウェーハの枚数の最大値を見積もり、図3(a)に示すように、製品ロットを処理する際にボート12に空きスロットが発生しないようにボート12の両端からダミーウェーハ23を配置しておく。例えば、縦型炉のフルバッチ枚数が150枚で、製品ロットの1ロット当たりの最大枚数が25枚と想定する場合、ボート12の上端及び下端から合計で125枚になるように振り分けてダミーウェーハ23を予め配置しておく。このダミーウェーハ23が配置されていないスロットが、後で製品ロットの半導体ウェーハが配置されるための空きスロットとなる。
【0027】
ダミーウェーハ23として、ボート12の材料と同じ材料、すなわちSiC基板や石製基板、又はSiC基板や石英基板の上に多結晶シリコン層が形成されたものを使用することが好ましい。また、ダミーウェーハ23として、半導体ウェーハを使用してもよいことはもちろんである。
なお、一連の複数の製品ロットを構成するそれぞれの半導体ウェーハの枚数の最大値ではなく、これらの各ロットを構成する半導体ウェーハの枚数の平均値などを想定して、これに基づいてダミーウェーハをボート12に配置してもよい。上記した所定枚数のダミーウェーハのボート12への配置は、製品ロットごとに行われるのではなく、ある一連の複数の製品ロット全体にわたって行われるものである。
【0028】
次に、製品ロットのウェーハ収納器25内の半導体ウェーハ13aをボート12に移載するため、図1の反応管16を密閉している蓋体20を降下させてさらに回転させることにより、反応管16を開放する。
次いで、半導体ウェーハ13aが例えば5個の搬送アーム24により製品ロットのウェーハ収納器25から個別に又は一括して取りだされる。
【0029】
次いで、搬送アーム24がローディング制御手段に接続されたローディング機構により反応管16内の所定の位置に移動し、図3(b)に示すように、複数の半導体ウェーハ13aをボート12の空きスロットに個別又は一括して移載する。例えば、製品ロットの半導体ウェーハ13aの枚数が15枚で、搬送アーム24を5個備えている場合、ボート12への移載を3回繰り返すことにより移載が完了することになる。このとき、極めて短い時間で製品ロットの半導体ウェーハ13aがボート12に搬入され、しかもボート12がフルバッチの状態(図3(b))となる。
【0030】
ここで、一連の複数の製品ロットにおいては、ロットごとにロットを構成する半導体ウェーハ13aの枚数が異なることが想定され、半導体ウェーハ13aを全て移載してもボート12に空きスロットが発生したり、処理すべき半導体ウェーハを配置するスロットにダミーウェーハ23が配置されていたりする場合が想定される。このため、縦型炉の製品ロットのウェーハ収納器25が配置される近傍にダミーウェーハ23が収納されたダミーウェーハ収納器及びダミーウェーハ23を回収するダミーウェーハ回収器を設置しておくことが好ましい。
【0031】
これにより、半導体ウェーハ13aを配置してもボート12に空きスロットが発生する場合、このダミーウェーハ収納器の中から必要な枚数のダミーウェーハ23を再度搬送アーム24によりボート12の空きスロットに移載してフルバッチとすればよい。一方、ボート12に処理すべき半導体ウェーハ13aを配置するスロットがない場合、所定枚数のダミーウェーハ23を搬送アーム24によりボート12からアンロードしてダミーウェーハ回収器に回収し、続いて、空いたボートのスロットに処理すべき半導体ウェーハ13aを搬送アームにより移載してフルバッチとすればよい。
【0032】
次いで、搬送アーム24が反応管16から下方の基準位置に戻り、蓋体20が回転及び上昇することにより、図1のように反応管24が蓋体20により密閉される。
次いで、ガス排出管14に接続された真空ポンプにより反応炉16内を真空置換するとともに、ガス導入管17から不活性ガス例えば窒素ガスを導入して反応管16内を窒素ガスで置換する。
【0033】
次いで、ヒータ18により所定の処理温度例えば760℃程度に昇温させた後、ガス導入管17から例えばSiH2Cl2とNH3とを含む処理ガスを導入し、ガス排出管14に接続された真空ポンプにより排気して反応管16内の圧力が20〜30Pa程度になるようにする。この条件下で所定の時間処理することにより、半導体ウェーハ13a上に所定の膜厚のシリコン窒化膜が成膜される。なお、本実施形態の縦型炉20は、シリコン窒化膜の他に、シリコン酸化膜、多結晶シリコン膜又は非晶質シリコン膜などの成膜や各種熱処理工程に適用することができる。
【0034】
次いで、処理ガスを排気し、反応炉内を窒素ガスで置換するとともに、蓋体10を開けて反応炉16を開放し、半導体ウェーハ13aを搬送アーム24により製品ロットのウェーハ収納器25にアンロードして一連の処理が完了する。このとき、図3(a)のボート12の状態と同様に、ダミーウェーハ23がボート12の中にそのまま残された状態となり、次の製品ロットが処理されることになる。
【0035】
ここで、本実施形態の縦型炉20での半導体ウェーハ13aの搬送は、前述したように、搬送アーム24に形成された複数の孔から窒素ガスを流して半導体ウェーハ13aを浮かしながら行なわれるので、加熱された半導体ウェーハ13aを搬送アーム24から供給される窒素ガスにより搬送中に冷却することができる。このような搬送アーム24を使用しない場合、半導体ウェーハ13aの熱ストレスの緩和や酸化防止のために、反応炉を温度が600℃程度に降温した窒素雰囲気にした後に半導体ウェーハ13aをアンロードする必要があり、この降温に係る時間に基づいて縦型炉のスループットが低下することになる。
【0036】
しかしながら、本実施形態の縦型炉20は、半導体ウェーハ13aを搬送アーム24でアンロードする間に、半導体ウェーハ13aを窒素ガスにより冷却することができるので、反応炉16内の温度を処理温度から所定の温度まで下げる必要がなくなり、半導体ウェーハの冷却に係る時間を短縮することができるようになる。本実施形態の縦型炉20の搬送アームは、その搬送スピードをローディング制御手段26により適宜調整することができるようになっている。つまり、半導体ウェーハ13aをより低い温度に下げてから製品ロットのウェーハ収納器25にアンロードしたい場合は、その搬送スピードを遅く設定すればよい。
【0037】
このように、本実施形態の縦型炉20は、小数枚の半導体ウェーハで構成されるロットを処理する際に、ロットごとに多数枚のダミーウェーハをボートにロード及びアンロードする必要がなくなるので、バッチ方式の縦型炉を用いて小数枚の半導体ウェーハで構成されるロットを効率よく処理することができ、製品開発の短TATにも対応できるようになる。
【0038】
なお、メモリ品種などの半導体装置を大量生産する場合においては、ボートにダミーウェーハを配置しない形態とし、搬送アームを例えば10個以上設け、半導体ウェーハを複数枚一括移載するような形態とすればよい。
このようにして、本実施形態の縦型炉を用いて前述した半導体ウェーハへの成膜処理を所定のロット数行うと、ボート12上、ダミーウェーハ23上及び反応管16内側にもシリコン窒化膜などが成膜されることになる。従来の縦型炉においては、例えばボート12に5〜7μmのシリコン窒化膜などが成膜されると、このシリコン窒化膜が剥がれるなどして、パーティクルが発生するようになる。
【0039】
このため、所定のバッチ数の処理が終了すると、縦型炉を停止し、反応炉16を開放して反応炉16の内側を洗浄したり、ボート12を新しいボートに組み合えたりして縦型炉を再度立ち上げる必要がある。この反応炉16の洗浄やボート12の交換作業は煩雑で時間がかかるものであって、当然ながら、この作業中は縦型炉が稼働できないことになるので、縦型炉の稼働率が低下し、生産効率が低下することになる。さらには、ボート12の薬液洗浄においても煩雑で手間がかかる作業である。
【0040】
しかしながら、本実施形態の縦型炉は、ボート12が例えばSiC部材上に多結晶シリコン層がコーティングされたものからなり、この上に成膜されたシリコン窒化膜などをガス導入管16からHFガスや有機性フロン系ガスなどを供給することにより、いわゆるドライクリーニングを行うことができる構造となっている。
【0041】
このドライクリーニングにおいては、縦型炉を分解する必要がなく、極めて短時間でボート12上に成膜されたシリコン窒化膜などを除去することができ、パーティクルの発生を防止することができる。ドライクリーニングの頻度は、例えばトータルの成膜膜厚が所定の膜厚になったときなどと決めて定期的におこなえばよい。
【0042】
このようにすることにより、縦型炉を停止及び分解して反応炉やボートなどを薬液洗浄する頻度を大幅に減らすことができるので、縦型炉の稼働率が向上し、その処理能力を向上させることができる。
以上、実施の形態により、この発明の詳細を説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明を逸脱しない要旨の範囲における上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0043】
例えば、本実施形態では、縦型炉のボートの全てのスロットにウェーハを配置してフルバッチの状態で成膜処理などを行う形態を例示したが、ところどころにウェーハが配置されていないスロットがあってもよい。また、ボートの中心部のスロットに製品ロットの半導体ウェーハを配置する形態を例示したが、処理すべく半導体ウェーハとダミーウェーハとがボート内でランダムに配置されるようにしてもよい。
【0044】
(付記1) 半導体ウェーハに対して所定の処理を行う縦型の反応炉と、
前記反応炉中に固定されて収納され、複数枚の半導体ウェーハを板厚方向に互いに隔てて保持するボートと、
前記反応炉の下部に配置され、前記反応炉を開閉する蓋体と、
前記ボートが前記反応炉に固定された状態で、前記蓋体の開閉に対応して移動することで前記半導体ウェーハを前記ボートに搬入又は前記ボートから搬出するようにした半導体ウェーハ搬送手段とを有することを特徴とする縦型炉。
【0045】
(付記2) 前記ボートの所定のスロットには、ダミーウェーハが配置されていることを特徴とする付記1に記載の縦型炉。
(付記3) 前記半導体ウェーハ搬送手段が、前記半導体ウェーハを1枚単位、もしくは複数枚を一括して前記ボートに搬入又は前記ボートから搬出する搬送アームを有することを特徴とする付記1又は2に記載の縦型炉。
【0046】
(付記4) 前記搬送アームには、該搬送アーム上に載置される前記半導体ウェーハに不活性ガスを供給する複数のガス供給口が形成されていることを特徴とする付記3に記載の縦型炉。
(付記5) 前記ボートが、シリコンカーバイド部材の上にシリコン層が形成されたものであることを特徴とする付記1乃至4のいずれか一項に記載の縦型炉。
【0047】
(付記6) 前記半導体ウェーハは、前記ガス供給口から供給される前記不活性ガスにより、前記搬送アームから浮上した状態で搬送されることを特徴とする付記4に記載の縦型炉。
(付記7) 半導体ウェーハに対して所定の処理を行う縦型の反応炉と、
前記反応炉の中に収納され、複数枚の半導体ウェーハを板厚方向に互いに隔てて保持するボートと、
前記反応炉の下部に配置され、前記反応炉を開閉する蓋体と、
前記複数の半導体ウェーハを搬送する搬送アームとを有する縦型炉を用いた半導体ウェーハの処理方法あって、
前記ボートの所定のスロットには予めダミーウェーハが配置されており、前記半導体ウェーハを、前記蓋体の開閉に対応した前記搬送アームの移動により、前記ボートの前記ダミーウェーハが配置されていないスロットに配置し、所定の条件下で前記半導体ウェーハに処理を行うことを特徴とする半導体ウェーハの処理方法。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、バッチ処理方式の縦型炉において、ボートを反応炉に固定した状態で、搬送アームが移動することで製品ロットの半導体ウェーハをボートに搬入又はボートから搬出させる。しかも、ボートの製品ロットの半導体ウェーハが配置されないスロットには予めダミーウェーハが配置されている。
【0049】
このようにすることにより、製品ロットごとにボートの空スロットにダミーウェーハをロード及びアンロードする必要がなくなるので、バッチ方式の縦型炉においても、小数枚の半導体ウェーハで構成される製品ロットの処理効率を向上させることができる。さらには、1ロットにおける搬送アームと接触する半導体ウェーハの枚数を減らすことができるので、搬送アームと半導体ウェーハとの接触や摩擦に起因するパーティクルの発生を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施形態の縦型炉を示す部分概略断面図である。
【図2】図2(a)は本発明の実施形態の縦型炉に係る搬送アームを示す概略平面図、図2(b)は図2(a)のI−Iに沿った断面図である。
【図3】図3(a)及び(b)は本実施形態の縦型炉に係るボートにウェーハが配置された様子を模式的に示した図である。
【図4】図4は従来の縦型炉を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10:蓋体
12:ボート
12a:固定手段
13,13a:半導体ウェーハ
14:ガス排気管
16a:外管
16b:内管
16:反応管
17:ガス導入管
18:ヒータ
20:縦型炉
22:昇降回転手段
23:ダミーウェーハ
24:搬送アーム
26:ローディング制御手段
26a:ローディング機構
28:ガス供給口
30:ガイド
32:空洞

Claims (5)

  1. 半導体ウェーハに対して所定の処理を行う縦型の反応炉と、
    前記反応炉内に固定されて収納され、複数枚の半導体ウェーハを板厚方向に互いに隔てて保持するボートと、
    前記反応炉の下部に配置され、前記反応炉を開閉する蓋体と、
    前記ボートが前記反応炉に固定された状態で、前記蓋体の開閉に対応して移動することで前記半導体ウェーハを前記ボートに搬入又は前記ボートから搬出するようにした半導体ウェーハ搬送手段とを有することを特徴とする縦型炉。
  2. 前記ボートの所定のスロットには、ダミーウェーハが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の縦型炉。
  3. 前記半導体ウェーハ搬送手段が、前記半導体ウェーハを1枚単位、もしくは複数枚を一括して前記ボートに搬入又は前記ボートから搬出する搬送アームを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の縦型炉。
  4. 前記搬送アームには、該搬送アーム上に載置される前記半導体ウェーハに不活性ガスを供給する複数のガス供給口が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の縦型炉。
  5. 前記ボートが、シリコンカーバイド部材の上にシリコン層が形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の縦型炉。
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