JP4667998B2 - ノンアスベスト水硬性抄造板 - Google Patents
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Description
抄造板の分野において、従来補強繊維として使用されていたアスベストが環境上或いは健康上問題があることから、有機繊維への移行が世界的に進んでいる。補強繊維に用いる有機繊維としては、一般的にポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)系繊維が、繊維強度、耐アルカリ性そしてセメントとの親和性の高さから最も優れていると考えられている。
PVA系繊維の添加量が全固形分1.0質量%より少ない場合には充分な補強性が得られず、また全固形分2.0質量%より多い場合にはセメントスラリー中での繊維分散が困難となり、不均一で欠点の多い抄造板となってしまう。また、ユーカリパルプの濾水度が500mlより高い、あるいはユーカリパルプの添加量が全固形分2.5質量%より少ない場合にはセメント歩留が低下し、層間密着強度が低下する。ユーカリパルプの濾水度は100mlより低くても構わないが、必要以上のパルプ叩解はコストアップに繋がる。また、ユーカリパルプの添加量が全固形分4.0質量%より多い場合には抄造板の吸水率が増加し、その結果寸法変化率が増大する問題が生じる。
得られた繊維状物の一定試長の質量を測定して見掛け繊度をn=10以上で測定し、平均値を求めた。なお、一定試長の質量測定により繊度が測定できない繊維(細デニール繊維)はVIBROMAT M[Textechno社製]により測定した。
予め温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で5日間繊維を放置して調湿したのち、単繊維を試長60mmとし、引張速度60mm/分としてFAFEGRAPH M[Textechno社製]にて繊維強力を測定し、該強力を繊度で除して強度をn=10以上で測定し、平均値を求めた。
伸度は、単繊維破断長(mm)/把持長(mm)×100により算出し、n=10以上の平均値を求めた。本発明では、試長60mmの値を用いている。
ヤングモジュラスは、伸度0.1%における強度をT1(cN/dtex)、伸度0.4%における強度をT2(cN/dtex)として、{(T2−T1)/(0.4−0.1)}×100により算出し、n=10以上の平均値により求めた。本発明では、試長60mmの値を用いている。
尚、繊維長が60mmより短い場合は、そのサンプルの可能な範囲での最大長さを把持長として測定することとする。
走査型電子顕微鏡[(株)日立製作所製]にて繊維の断面形状を測定し、繊維の断面積をS1、その繊維を取り囲む最小円の面積をS2とし、以下の式により算出し、n=10以上の平均値を求めた。
断面充実度(%)=(S1/S2)×100
なお、二種以上の繊維が混在する場合は、繊維種の数をn種類、各種繊維の断面充実度をYk(%)、各種繊維の混合比率をZk(%)として以下の式により求める。
n
断面充実度(%)=Σ(Yk×Zk/100)
k=1
パルプの濾水度試験方法JIS P8121−1976のカナダ標準型に準じて測定し、スラリー濃度0.4質量%、温度20℃に補正した平均値をCSFとして評価した。
下記の標準抄造法により標準抄造板を製造し、ポリエチレンシートに包んで50℃、飽和湿度条件下で24時間予備養生し、次いで20℃、飽和湿度条件下で13日養生した材齢14日後の試験体から、40mm×40mmのサイズでサンプルを採取し、JIS A 5426「耐はく離性試験」の様な鋼製冶具で40mm×40mmのものをエポキシ系樹脂接着剤を用いてサンプルの表裏に接着し、接着強度が充分得られた後、105℃で24時間乾燥する。乾燥後、島津オートグラフAG5000−Bを用いて0.5mm/分の速度で接着面に直角に引っ張り、そのときの最大引張荷重を読み取る。測定はn=4以上行い、最大荷重をサンプルの面積で除した値の平均値を層間密着強度として評価した。
標準抄造法:
ハチェックによる円網抄造法により成形し、養生、調湿後の厚みが6.5mm±0.5mmとなるように抄造シート14枚をメーキングローラーに巻き取った後に、セメントシートを所定の大きさに切断するか、若しくは最大7.5MPaの圧力でプレス搾液後、セメントシートを所定の大きさに切断する。
前述の標準抄造法により標準抄造板を製造し、ポリエチレンシートに包んで50℃、飽和湿度条件下で24時間予備養生し、次いで20℃、飽和湿度条件下で13日養生した材齢14日後の試験体から、170mm×50mmのサイズでサンプルを採取し、JIS A 5430「吸水による長さ変化率試験」に準じてn=3以上測定を行い、その平均値を寸法変化率として評価した。
予備攪拌機に水375リットルを投入して攪拌機を攪拌させ、パルプを所定量添加し、次いで普通ポルトランドセメントおよび無機微粒子を添加し、最後に特公昭62−32144号公報に示された方法により製造した表1に記載のPVA系繊維を添加し、攪拌した後に得られた濃度16質量%のスラリーをチェストに移送した。次いでフィードタンクから円網部にスラリーを供給し、希釈水(白水)によって濃度4質量%とし、ミニハチェックマシンを用いて抄造を行った。次いで得られたシート14枚をメーキングローラーに巻き取り、2MPaの圧力でプレス搾液し、ポリエチレンシートに包み50℃、飽和湿度条件下で24時間養生し、さらに20℃、飽和湿度条件下の環境下に開放状態で調湿した。得られた抄造板は厚さ6.5±0.5mm、密度1.37〜1.43g/cm3であった。かかる抄造板の組成および性能を表2に示す。
なお、セメントは太平洋セメント(株)製の普通ポルトランドセメント、炭酸カルシウムは太平洋マテリアル(株)製のブレーン値4000cm2/gのもの、フライアッシュは関電化工(株)製の第2種フライアッシュ、針葉樹未晒しパルプ(NUKP)はカナダ産のもの、ユーカリパルプはブラジル産の晒し品、またポリアクリルアミド系セメント凝集剤は日本技建(株)製のアイケイフロックを用いた。
分中2.0質量%添加し、濾水度150mlであるユーカリパルプを使用しても、ユーカリパルプ添加量が全固形分中4.5質量%と不適正である比較例4では寸法変化率が0.30%となり、一方ユーカリパルプ添加量が全固形分中3.5質量%で適正である実施例1の寸法変化率は0.21%で比較例4より3割小さい値である。また実施例7のように、断面充実度が80%と34%のPVA系繊維をそれぞれ全固形分中1.0質量%ずつ含む場合でも(平均の断面充実度:57%)、濾水度が210mlであるユーカリパルプを全固形分中3.0質量%使用することで層間密着強度が3.0N/mm2、寸法変化率が0.21%と優れた物性を示す抄造板が得られる。さらに実施例4〜6のように、炭酸カルシウム、フライアッシュなどの無機粒子を含む抄造板においても、PVA系繊維の断面充実度が60〜70%である場合にはこれを全固形分中1.0〜2.0質量%、濾水度が100〜300mlであるユーカリパルプを全固形分中2.5〜4.0質量%添加するか、またPVA系繊維の断面充実度が40〜60%である場合にはこれを全固形分中1.0〜2.0質量%、濾水度が200〜500mlであるユーカリパルプを全固形分中2.0
〜3.5質量%添加することにより、優れた層間密着強度と寸法安定性が得られる。
Claims (3)
- 断面充実度が40〜70%であるポリビニルアルコール系繊維を全固形分中1.0〜2.0質量%、濾水度100〜500mlであるユーカリパルプを全固形分中2.5〜4.0質量%各々含有してなり、層間密着強度が2.0N/mm2以上で、かつ寸法変化率が0.25%以下であることを特徴とするノンアスベスト水硬性抄造板。
- ポリビニルアルコール系繊維の断面充実度が40〜60%であり、ユーカリパルプの濾水度が200〜500mlであり、ユーカリパルプの含有量が全固形分中2.5〜3.5質量%である請求項1記載のノンアスベスト水硬性抄造板。
- ポリビニルアルコール系繊維の繊度が0.1〜20dtex、繊維長が2〜20mmである請求項1記載のノンアスベスト水硬性抄造板。
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