JP2003267768A - 建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材 - Google Patents

建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材

Info

Publication number
JP2003267768A
JP2003267768A JP2002071376A JP2002071376A JP2003267768A JP 2003267768 A JP2003267768 A JP 2003267768A JP 2002071376 A JP2002071376 A JP 2002071376A JP 2002071376 A JP2002071376 A JP 2002071376A JP 2003267768 A JP2003267768 A JP 2003267768A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
papermaking
strength
wall
building
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002071376A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinori Hitomi
祥徳 人見
Kiyoshi Takizawa
清 滝沢
Mitsuo Mayahara
光郎 馬屋原
Yoshihiro Iwasaki
嘉宏 岩崎
Toshihiro Hamada
敏裕 浜田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2002071376A priority Critical patent/JP2003267768A/ja
Publication of JP2003267768A publication Critical patent/JP2003267768A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Panels For Use In Building Construction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高靭性水硬性材料抄造成形体からなる壁材を使
用することにより、建造物の外装壁、内装壁、天井など
の壁面に高強度・高靭性を付与し、クラック、ひび割
れ、剥落等の損害を低減させる。 【解決手段】繊度6〜30dtex、繊維長6〜20m
m、強力70cN以上、伸度5〜10%のポリビニルア
ルコール系合成繊維を1〜7重量%/抄造板含有する水
硬性材料抄造板を用いて建造物の壁材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、既設新設を問わず、建
造物の外装壁、内装壁、天井などの補強材に用いる建造
物壁材用水硬性抄造板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水硬性抄造成形体からなる建造物
用壁材は、石綿板が使用されていたが、近年、石綿によ
る公害が問題となっていた。石綿板の代替として、ポリ
ビニルアルコール繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチ
レン繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、パルプ繊維等で
補強した無石綿の壁材が使用されつつある。しかし、上
記ポリビニルアルコール繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リエチレン繊維、パルプ繊維等で補強した無石綿壁材は
繊維添加により曲げ強度、衝撃性能はある程度向上する
ものの、未だ性能が不十分である。一方、カーボン繊維
で補強した壁材は曲げ強度は向上するものの衝撃強度が
劣るなどの欠点があった。また、ポリプロピレン繊維を
添加した壁材は衝撃強度は優れるものの、曲げ強度が劣
り、さらにはポリプロピレン繊維の比重が0.9と軽い
ため、例えばハチェックによる抄造工程では、繊維がス
ラリー上に浮きやすく、均一な抄造板が製造しにくいな
どの問題があった。したがって施工時において、衝撃に
より壁材に角欠けや破損が生じたり、また施工後におい
ても、繰り返し受ける風圧や、地震などの強い衝撃によ
り壁材が破損したり、あるいは壁材を釘、ネジ、ボルト
等で固定した部分にクラックが発生し、壁材の剥落、落
下等が生じるといった問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の補強
短繊維を特定量混入する抄造方式により得られる高靭性
繊維補強水硬性硬化体材料を建造物壁材用水硬性抄造板
として使用することにより、表面ひび割れなどがなく、
かつ靭性に優れる壁材を提供するものである。具体的に
は、本発明は、上記水硬性硬化体材料を住宅、工場の倉
庫、立体駐車場、体育館等の建造物の外装壁、内装壁、
天井などに積層して使用することで、壁材に施工固定部
のクラック防止、表面ひび割れの防止、衝撃による亀裂
防止および剥離防止などの耐久性を付与する方法を提供
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、建造
物の外装壁、内装壁、天井などの壁面に積層するように
用いられ、かつ下記1)〜3)の条件を満足する補強繊
維を1〜7重量%/抄造板含有する、厚さ4〜15mmの
建造物壁材用水硬性抄造板である。 1)該補強繊維がポリビニルアルコール系合成繊維であ
ること、 2)該補強繊維の繊度が6〜30dtex、繊維長が6
〜20mmであること、 3)該補強繊維の強力が70cN以上、伸度が5〜10
%であること、 また、本発明は好ましくは、繊維配向方向の曲げ強度が
30MPa以上かつ繊維配向方向と垂直方向の曲げ強度
が20MPa以上であり、かつ繊維配向方向の引張強度
が10MPa以上、引張伸度が0.5%以上、および繊
維配向方向のシャルピー衝撃強度が3KJ/m2以上か
つ繊維配向方向と垂直方向のシャルピー衝撃強度が2K
J/m2以上である上記の建造物壁材用水硬性抄造板で
あり、さらに好ましくは抄造助剤として、繊度0.1〜
0.5dtex、繊維長さ2〜4mmのポリビニルアルコ
ール系極細繊維を0.5〜1.5重量%併用してなる上
記の建造物壁材用水硬性抄造板であり、そして上記の建
造物壁材用水硬性抄造板を建造物の外装壁、内装壁、天
井などの壁面に使用し、積層した建造物用壁材である。
【0005】本発明の高靭性繊維補強水硬性硬化体材料
からなる建造物用壁材を構成する補強繊維はポリビニル
アルコール(以下、PVAと略称す)系合成繊維が使用
される。本発明に使用されるPVA系合成繊維は、特定
のディメンジョン、強度、伸度を有する繊維でなければ
ならない。すなわち本発明に使用されるPVA系合成繊
維の繊度は6〜30dtex、繊維長6〜20mm、強力
70cN以上、伸度5〜10%であることが必要であ
る。用いるPVA系合成繊維の繊度が6dtexよりも
細くなると、繊維含有量を通常よりも多く確保しなけれ
ばならず、そのため抄造スラリー中にファイバーボール
が発生しやすくなり、急速に抄造性を悪化させる。逆に
30dtexを超えると濾水が多くなり、セメント粒子
の定着が不良となる。好ましくは7〜15dtexの範
囲である。
【0006】繊維長は繊度と強力、強度と密接且つ複雑
に関連するが、6〜20mmの範囲が抄造性と硬化体の補
強性から採用される。繊維長が6mmより短い場合、硬化
体の破壊時に繊維の素抜けが多くなり、曲げ強度や引張
強度が低下する。逆に20mmより長い場合には、抄造中
に繊維どうしが絡まりやすく、フロックを生じ、抄造性
を悪化させる。好ましくは6〜12mmである。なお繊度
との関係は繊度が太くなるにしたがって繊維長を大きく
することが好ましい。
【0007】繊維の強力(繊維1本あたりの有する引張
破断強力)は70cN以上が必要である。これは硬化体
の破壊過程で、繊維とマトリックスとの摩擦力が繊維に
対する引張力として働くが、繊維が容易に破断すること
なく引張力に抗してスリップするために必要な強力であ
る。特に本発明のPVA系合成繊維はセメントとの接着
性が良いためにスリップする際に次第に摩擦力が増大す
る特徴を有するが、そのために高強力であることが要求
される。強力が70cN未満であると繊維は破断しやす
くなり靭性に欠けた硬化体となる。好ましくは100c
N以上である。繊度との関係で見ると、例えば6dte
xにおいて強力70cN以上とするには強度約12cN
/dtex以上、10dtexにおいては7cN/dt
ex以上、30dtexにおいては約2.3cN/dt
ex以上が必要である。
【0008】繊維の伸度は上記したようなスリップを容
易にするために、5%以上10%以下の範囲である必要
がある。伸度が5%よりも小さい場合繊維は破断しやす
くなり、逆に伸度が10%よりも大きいと繊維の弾性率
が低下し、硬化体の破断強度が低下する。好ましくは6
〜9%である。
【0009】本発明で用いられるPVA系合成繊維を製
造する場合には、製造工程性、コスト等の点から湿式紡
糸または乾湿式紡糸により繊維を製造するのが好まし
く、具体的には、特開2000−053455号に記載
のPVA系合成繊維の製造方法を用いることが好まし
い。
【0010】上記補強繊維として用いるPVA系合成繊
維の条件は、抄造セメント板で砂を含有しない独特な組
成と養生前に高圧プレスを行う加工方式の結果得られる
マトリックス成分に対応したものである。すなわちマト
リックスと補強繊維との相互作用(摩擦抵抗、引抜き抵
抗)は、補強繊維の条件が上記した範囲で維持されると
き、最大の補強効果をもたらす。本発明のPVA系合成
繊維の含有量は1〜7重量%/抄造板の範囲である。該
繊維の含有量が1重量%/抄造板未満であると靭性が不
十分であり、逆に7重量%/抄造板を超えると繊維の分
散性が極めて悪くなり、抄造性が悪化するとともに不燃
性能を示さなくなる。好ましくは2.5〜5重量%/抄
造板である。
【0011】本発明のPVA系合成繊維を使用した抄造
板を建造物の外装壁材、内装壁材、天井材として使用す
る際の抄造板の厚さは4〜15mmである。厚さが4mmよ
りも薄い場合は使用に際して十分な衝撃強度、曲げ強度
が得られず、耐久性を保つために固定部の下地材を密に
する対策が必要となり、工事に煩雑さをもたらす。逆に
厚さが15mmよりも厚い場合はコスト高になり、また抄
造板の重量が増加することにより施工に不都合が生じる
場合がある。好ましくは6〜12mmである。
【0012】本発明の抄造板は靭性が高く、例えば従来
の無石綿板からなる壁材では地震や継続的な振動により
クラックが生じ、その後クラック幅が次第に増大し応力
集中により破壊に至るが、本発明のPVA系合成繊維を
使用した抄造板からなる壁材の場合は、壁材に極めて細
かいミクロなひび割れが多数発生することで大きなひび
割れの発生を防ぎ、衝撃による破損、剥落を防止させる
ことが可能となる。
【0013】また抄造板においては繊維が配向しやす
く、繊維配向方向において高い曲げ強度を示すが、建造
物の壁材として使用されるためには、繊維配向方向と垂
直方向の曲げ強度もある程度必要となる。本発明の建造
物の壁材において、抄造板の繊維配向方向の曲げ強度は
30MPa以上が好ましく、より好ましくは35MPa
以上である。一方、繊維配向方向と垂直方向の曲げ強度
は相対的に小さくなるが、20MPa以上が好ましく、
より好ましくは25MPa以上である。20MPaを下
回る場合、靭性補強効果が少なくなる傾向があり好まし
くない。
【0014】上記したPVA系合成繊維を使用した抄造
板は繊維配向方向において、従来の材料にない高伸度を
示すが、このことが構造体本体を地震などの破壊エネル
ギーから保護する効果をもたらす。具体的にこの効果が
十分に得られるのは繊維配向方向の引張強度が好ましく
は10MPa以上、より好ましくは12MPa以上であ
り、伸度が好ましくは0.5%以上、より好ましくは
1.0%以上である。また、本発明のPVA系合成繊維
を使用した抄造板は繊維配向方向において高い衝撃強度
を示すが、建造物の壁材として使用されるためには繊維
配向方向と垂直方向の衝撃強度もある程度必要である。
具体的には繊維配向方向のシャルピー衝撃強度が好まし
くは3KJ/m2以上、より好ましくは3.5KJ/m2
以上であり、繊維配向方向と垂直方向のシャルピー衝撃
強度が好ましくは2KJ/m2以上、より好ましくは
2.5KJ/m2以上である。シャルピー衝撃強度が上
記範囲を満足することにより、施工固定部のクラック防
止、表面ひび割れの防止、衝撃による亀裂防止および剥
離防止などの耐久性を付与することができる。
【0015】本発明の建造物の壁材には抄造方式による
成形板を使用する。抄造とは、セメント粒子などを水媒
体に縣濁させた粥状のものをメッシュに濾し取り、成形
するものである。その過程で薄い膜状としたものを順次
積層して所望の厚みの成形板とする丸網方式(ハチェッ
ク法)や長網方式、濃厚縣濁液を用いて1回ないし数回
で、ある程度の厚みを確保するフローオン方式等があ
る。抄造方式は機械的に連続式、バッチ式で量産される
もので、均一で安定した性能が得られる利点があり、ま
た2〜30mm、より一般的には4〜20mmの比較的板厚
の薄い材料を製造することができる。このような薄板の
製造は抄造以外の通常のモルタル流し込みでは極めて困
難である。
【0016】抄造板は上記したように丸網、長網、フロ
ーオンなどの方式によって製造されるが、その材料構成
は水硬性材料、補強用繊維、その他添加剤などである。
スラリーの調製方法は特に限定されないが、固体成分が
均一に分散されたスラリーを得る点からは水を張った攪
拌機にパルプを投入して攪拌し、次いで補強用繊維、水
硬性材料、他の添加剤(無機物質等)を順次添加するの
が好ましい。本発明において、水硬性材料としてはポル
トランドセメントが好適に使用される。補強用繊維は前
述したように本発明のPVA系合成繊維が使用される。
その他添加剤としては高炉スラグやフライアッシュ、炭
酸カルシウム、シリカヒューム、セピオライト、アタパ
ルジャイト、マイカ、ワラストナイトなどの無機物質等
が好適に使用される。これらは硬化体の物性を向上させ
る効果、例えば耐凍結融解性の向上、腐食性物質(塩
素、炭酸ガス、硫酸イオンなどの各種有機酸)の侵入抑
制、補強繊維とマトリックスとの接着性の改善、縣濁液
の粘性を適度に調節して抄造効率を上げる効果や、抄造
体の乾燥収縮制御を行う効果、硬化体の強度向上効果が
発現する。特にシリカヒューム、セピオライト、アタパ
ルジャイトなどは縣濁液の粘性を適度に調節して抄造効
率を上げる効果をもたらす材料なので、本発明において
好適である。
【0017】本発明ではその他に抄造助剤としての有機
質繊維である叩解パルプを使用するのが好ましい。叩解
パルプは叩解度がCSF値で70〜130mlが好まし
い。これらパルプの使用量は2〜6重量%が好適であ
り、3〜4重量%がより好ましい。使用量が2重量%未
満であると特に丸網(ハチェック)方式において、縣濁
液におけるセメント粒子の捕捉が不十分となり、セメン
ト粒子が濾し取られ難くなって抄造効率が悪くなると同
時に抄造物中のセメント混合率が低下し、硬化体の強度
性能が低下する。一方パルプの使用量が6重量%を超え
ると硬化体の耐水性や腐食性物質(塩素、炭酸ガス、硫
酸イオンなどの各種有機酸)の侵入抑制効果が損なわれ
る。
【0018】建造物の外装壁、内装壁、天井等の部材に
は、不燃性が重要な場合が多く、また耐凍結融解性が必
要な場合が多い。不燃性を確保するためには、有機物を
少なくすることは一般的に知られていることであるが、
本発明においては抄造板中に占める補強繊維であるPV
A系合成繊維と抄造助剤である叩解パルプの合計、すな
わち有機物繊維の配合量が好ましくは7重量%以下、よ
り好ましくは5重量%以下とする。さらには、本発明の
本来の目的である高靭性を損なわず、十分な不燃性と耐
凍結融解性を得るためには、補強繊維の添加量を極力低
下させずに抄造助剤である叩解パルプの添加量を減らす
ことが不燃性を向上させる有効な手段である。叩解パル
プの添加量を少なくして抄造性を確保するためには、抄
造性を向上させる働きをもつセピオライト、アタパルジ
ャイト等の無機増粘剤を増加することも有効である。
【0019】また、叩解パルプの代替として極細の有機
繊維、例えば通常の湿式紡糸法により製造される繊度
0.1〜0.5dtex、繊維長さ2〜4mmのPVA系
極細繊維を抄造助剤として使用すれば、該PVA系極細
繊維の添加量が0.5〜1.5重量%、好ましくは0.
8〜1.2重量%の範囲にて抄造が可能である。さらに
前記のPVA系極細繊維を使用した場合には、補強繊維
である本発明のPVA系合成繊維の添加量を補強効果を
損なわずに低減させることが可能となる。このように抄
造助剤である叩解パルプの添加量を減らしたり、叩解パ
ルプの代替としてPVA系極細繊維を使用することによ
っても、本発明の本来の目的である高靭性を損なわずに
十分な不燃性や、さらには低吸水率化による耐凍結融解
性能を有する建造物の壁材を得ることが可能となる。
【0020】本発明のPVA系合成繊維を使用した抄造
板からなる建造物の壁材は、強度および靭性に優れたも
のとなる。例えば、曲げ標準試験法における最大強度を
P(MPa)、そのときの撓みをδ(cm)とするとき、
従来のアスベスト補強抄造板や従来のPVA系合成繊維
を1.5重量%/抄造板程度使用した、いわゆるノンア
スベスト抄造板はP×δが10程度であり、さらに従来
よりも高強力であるが、強力が70cN未満のPVA系
合成繊維を2重量%/抄造板を用いた高強度抄造板であ
ってもP×δが25程度が限度であり、その場合も撓み
が1cm未満であるのに対し、本発明のPVA系合成繊維
では容易にP×δが30を超え、かつ撓みも1cmを超え
る、靭性に優れた抄造板が得られる。また一軸引張標準
試験法においては破断強度が10〜15MPa、伸度が
0.5%以上を示す。従来品の伸度は0.01%程度で
ある。
【0021】本発明の建造物壁材用水硬性抄造板は、建
造物の外装壁、内装壁、天井等の壁面に積層する壁材と
して使用することにより、建造物の壁面部分の強度の向
上に寄与することができる。さらに本発明の壁材は優れ
た靭性を有するので、壁材の施工固定部のクラック防
止、表面ひび割れの防止、衝撃による亀裂防止および剥
離防止などの耐久性を向上させることができる。さらに
は十分な不燃性や、低吸水率化による、耐凍結融解性能
を有する建造物の壁材を得ることが可能となる。本発明
の建造物壁材用水硬性抄造板は、住宅の壁面、工場の倉
庫の内外壁、立体駐車場の壁面、体育館の天井材等とし
て特に好適に使用できる。
【0022】
【実施例】以下実施例によって、本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお本発明において繊維繊度、繊維強力、繊維強
度、繊維伸度、叩解パルプの濾水度、成形体の最大曲げ
強度(P1)、最小曲げ強度(P2)、最大曲げ強度P
1を示す撓み(δ)、引張強度、引張伸度、衝撃強度、
不燃性、凍結融解性能は以下の測定方法により測定され
たものを意味する。
【0023】[繊度 dtex]得られた繊維状物の一
定試長の重量を測定して見掛け繊度をn=5以上で測定
し、平均値を求めた。なお、一定糸長の重量測定により
繊度が測定できないものはバイブロスコープにより測定
した。
【0024】[繊維強力 cN、強度 cN/dte
x、伸度 %]予め温度20℃、相対湿度65%の雰囲
気下で24時間繊維を放置して調湿した後、単繊維を試
長10cm、引張速度5cm/分としてインストロン試験機
「島津製作所製オートグラフ」にて繊維強力を測定し、
該強力を繊度で除して強度を求めた。伸度は、単繊維破
断(cm)/把持長(cm)×100により算出した。なお
繊維長が10cmよりも短い場合は、そのサンプルの可能
な範囲での最大長さを把持長として測定することとす
る。
【0025】[濾水度(CSF) ml]JIS P8
121−1976「パルプの濾水度試験方法」のカナダ
標準型に準じて測定し、スラリー濃度0.4重量%、温
度20℃に補正した平均値をCSF(ml)として評価
した。
【0026】[最大曲げ強度P1、最小曲げ強度P2
MPa、最大曲げ強度P1を示す撓み(δ) cm]以下
の条件で3等分点曲げ試験による曲げ試験を行い、繊維
配向方向の最大荷重発生時の曲げ応力を最大曲げ強度P
1、繊維配向方向と垂直方向の最大荷重発生時の曲げ応
力を最小曲げ強度P2、荷重−撓み曲線において該最大
曲げ強度P1を示す撓みをδとして評価した。 曲げ試験: 装置 島津オートグラフAG5000−B 試料 幅45mm、長さ220mmの大きさに、抄造方向を
長さ方向として切り出したもの 試験速度(載荷ヘッドスピード) 2mm/分 3等分点曲げスパン 18cm
【0027】[標準引張試験法] 引張試験: 装置 インストロン5566(島津製作所製) 試料 幅40mm、長さ330mmの大きさに、抄造方向を
長さ方向として切り出したもの 把持長 200mm 試験速度 0.5mm/分
【0028】[衝撃強度試験法]シャルピー衝撃試験方
法JIS K7111 1号に準拠してシャルピー衝撃
強度を測定した。
【0029】[寸法変化率試験法]JIS A5430
−2001「繊維補強セメント板 吸水による長さ変化
率測定方法」に準拠し、試料を20℃、飽和湿度環境下
にて調湿した後の寸法を測定し、次いで試料を水中に2
4時間浸漬し、浸漬後の試料の寸法を測定した。そして
水中浸漬前後の寸法から寸法変化率を測定した。
【0030】[不燃試験方法]JIS A1321−1
994「建築物の内装材料および工法の難燃試験方法」
に準拠し、不燃性能を評価した。
【0031】[凍結融解試験方法]凍結融解試験方法A
STM C666−97「Standard Test for Resistan
ceof Concrete to Rapid Freezing and Thawing」で定
める「Procedure A」に準拠した水中凍結水中融解法に
て、凍結時−20℃、融解時10℃の300サイクル試
験を実施した。300サイクル試験後の繊維配向方向の
曲げ強度が、試験前の繊維配向方向の曲げ強度の90%
以上を保持する場合を良好として評価した。
【0032】[実施例1〜5、比較例1〜2]予備攪拌
機に水500リットルを投入して攪拌機を攪拌させ、針
葉樹パルプ(CSF 100ml)0.5〜1.5Kg
(固形分中で1〜3重量%)を添加し、次いでセメント
87〜89重量%、シリカヒューム5重量%、セピオラ
イト1〜2重量%を順次添加し、最後に補強繊維として
表1に記載の条件のPVA系合成繊維〜を2〜4重
量%添加し、攪拌した後に得られた濃度10重量%のス
ラリーをチェストに移送した。次いでフィードタンクか
ら丸網部にスラリーを供給し、希釈水(白水)によって
濃度5重量%とし、ミニハチェックマシンを用いて抄造
を行った。なお、実施例5では抄造助剤として針葉樹パ
ルプおよび表1に記載のPVA系極細繊維を併用し、各
々1重量%添加した。次いで得られたシート15〜17
枚をメーキングローラに巻取り、5MPaの圧力でプレ
ス搾液し、ポリエチレンシートに包み50℃、飽和湿度
条件下で24時間養生し、さらに20℃、飽和湿度条件
の環境下に開放状態で調湿した。得られた成形体は厚さ
6.8〜7.2mm、密度1.62〜1.68g/cm
スレート板であった。かかる成形体を建造物用壁材と
し、性能を評価した。これらの性能を表2に示す。なお
普通セメントは「秩父小野田製 普通ポルトランドセメ
ント」、シリカヒュームはエルケム社製「エルケム94
0U」、セピオライトは昭和鉱業社製「ミルコンSS」
を用いた。補強繊維の種別と量およびその他の材料につ
いて表2に、成形体の物性とともに一覧として示した。
また表2の比較例1には従来の石綿板の配合と補強性を
示した。なお比較例1の石綿板の場合、濾水量がPVA
系合成繊維に比べて少なく生産性が悪くなるため、パル
プは未叩解パルプ(CSF710ml)を用い、シリカ
ヒュームおよびセピオライトは用いなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表2に示すように、実施例1〜5の壁材は
比較例1の従来の石綿板や比較例2の従来のPVA系合
成繊維を使用した壁材よりも優れた強度や靭性を示し
た。さらに耐衝撃性においても、比較例1の従来の石綿
板や比較例2の従来のPVA系合成繊維を使用した壁材
よりも優れた性能を示した。また不燃性能や凍結融解性
能においても良好な結果が得られた。
【0036】
【発明の効果】本発明のPVA系合成繊維を補強繊維と
して含有した建造物壁材用水硬性抄造板は、従来のPV
A系合成繊維を補強繊維として用いた建造物壁材用水硬
性抄造板に比べて曲げ強度、曲げ靭性(曲げ撓み)、引
張強度、引張伸度に優れる。さらに本発明の水硬性抄造
板を建造物の外装壁、内装壁、天井などの壁面と積層し
て一体化させた場合、衝撃強度、寸法変化率、耐凍結融
解性においても極めて良好な性能を示し、従来より問題
となっていた石綿板、無石綿板の脆さが改善される。し
たがって本発明の建造物壁材用水硬性抄造板は建造物本
体の強化、特に靭性向上に寄与し、剥落、ひび割れによ
る破損を低減することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 嘉宏 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 浜田 敏裕 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 Fターム(参考) 2E162 CA01 FD06 4G012 PA24 PC12 PC14 PE04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建造物の外装壁、内装壁、天井などの壁
    面に積層するように用いられ、かつ下記1)〜3)の条
    件を満足する補強繊維を1〜7重量%/抄造板含有す
    る、厚さ4〜15mmの建造物壁材用水硬性抄造板。 1)該補強繊維がポリビニルアルコール系合成繊維であ
    ること、 2)該補強繊維の繊度が6〜30dtex、繊維長が6
    〜20mmであること、 3)該補強繊維の強力が70cN以上、伸度が5〜10
    %であること、
  2. 【請求項2】 繊維配向方向の曲げ強度が30MPa以
    上かつ繊維配向方向と垂直方向の曲げ強度が20MPa
    以上であり、かつ繊維配向方向の引張強度が10MPa
    以上、引張伸度が0.5%以上、および繊維配向方向の
    シャルピー衝撃強度が3KJ/m2以上かつ繊維配向方
    向と垂直方向のシャルピー衝撃強度が2KJ/m2以上
    である請求項1の建造物壁材用水硬性抄造板。
  3. 【請求項3】 抄造助剤として、繊度0.1〜0.5d
    tex、繊維長さ2〜4mmのポリビニルアルコール系極
    細繊維を0.5〜1.5重量%併用してなる請求項1ま
    たは請求項2に記載の建造物壁材用水硬性抄造板。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の建
    造物壁材用水硬性抄造板を建造物の外装壁、内装壁、天
    井などの壁面に使用し、積層した建造物用壁材。
JP2002071376A 2002-03-15 2002-03-15 建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材 Pending JP2003267768A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002071376A JP2003267768A (ja) 2002-03-15 2002-03-15 建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002071376A JP2003267768A (ja) 2002-03-15 2002-03-15 建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003267768A true JP2003267768A (ja) 2003-09-25

Family

ID=29201671

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002071376A Pending JP2003267768A (ja) 2002-03-15 2002-03-15 建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003267768A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006016565A1 (ja) * 2004-08-11 2006-02-16 Kuraray Co., Ltd. ノンアスベスト水硬性抄造板
JP2006076874A (ja) * 2004-08-11 2006-03-23 Kuraray Co Ltd ノンアスベスト水硬性抄造板

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006016565A1 (ja) * 2004-08-11 2006-02-16 Kuraray Co., Ltd. ノンアスベスト水硬性抄造板
JP2006076874A (ja) * 2004-08-11 2006-03-23 Kuraray Co Ltd ノンアスベスト水硬性抄造板
JP4667998B2 (ja) * 2004-08-11 2011-04-13 株式会社クラレ ノンアスベスト水硬性抄造板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2256099B1 (en) Fiber cement board with modified fiber
US10538457B2 (en) Blended fibers in an engineered cementitious composite
JP5069911B2 (ja) 耐力面材及びその製造方法
JP5581997B2 (ja) セメント系無機質板
JP2003267768A (ja) 建造物壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた建造物壁材
JP2003252668A (ja) 貯水槽壁材用水硬性抄造板およびそれを用いた貯水槽壁材
JPS6126544A (ja) 水硬性無機質抄造製品とその製造方法
JPH0580425B2 (ja)
JPH0549619B2 (ja)
JP3887220B2 (ja) 床材用水硬性抄造板およびそれを用いた床材
JP4667998B2 (ja) ノンアスベスト水硬性抄造板
JP2006112038A (ja) 繊維強化外断熱工法材料
JPS6021836A (ja) 水硬性無機質抄造板及びその製造方法
EP0225932A1 (en) Asbestos-free, hydraulic inorganic material-based sheet products and process for their production
JPH0717427B2 (ja) 水硬性無機質抄造製品及びその製造方法
JP3302959B2 (ja) 複合硬化体および複合建築材料
JP2003105910A (ja) 永久型枠
JPS60161362A (ja) 繊維強化水硬性無機質抄造製品及びその製造方法
JP2002293602A (ja) 水硬性材料の抄造方法
JPS5934673B2 (ja) 繊維強化セメント材料
JP2001181007A (ja) 水硬性材料抄造成形体
JP2004352556A (ja) 水硬性成形体
JP2003003592A (ja) ツーバイフォー木造建築物、及びそれに用いられる構造用面材
NZ616518B2 (en) 3-mode blended fibers in an engineered cementitious composite
JP2001159202A (ja) 構造用面材及びそれを用いた耐力壁

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060801

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061128