JP4667284B2 - 転炉の操業方法 - Google Patents

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本発明は、例えば、溶鋼を出鋼する際の転炉の操業方法に関する。
従来から特許文献1に示すように、転炉の操業では、高炉から出銑された溶銑をスクラップ等と共に転炉に装入し、当該転炉で脱炭処理を行った後に出鋼している。
特許文献2での転炉の操業方法にあっては、転炉の出鋼口を通過するスラグをセンサで検知した後に出鋼を停止することによって、出鋼時におけるスラグの流出を最小にすると共に、転炉内に残る溶鋼量をできるだけ少なくし可及的に出鋼量を増加させている。
特開2005−89839号公報 特開平6−17110号公報
特許文献2に示すように、出鋼量を単純に増加させたとしても、出鋼量を制御しなければ出鋼時に溶鋼が取鍋からオーバーフローしてしたり、オーバーフローしないまでも取鍋を搬送中にスッロッシングが発生して溶鋼が漏れてしまったり、フリーボードに余裕がない場合には二次精錬時に溶鋼が取鍋から漏れてしまう恐れがある。
上記のような問題が起こらないように予め低い出鋼量で操業しているのが実情である。 また、低い出鋼量で操業した場合、出鋼効率が悪くなるばかりか、出鋼した際に取鍋内で溶鋼の湯面が低すぎることとなり、その結果、取鍋内に設けた耐火物の溶損を促進して取鍋の寿命が低下することがある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、操業に支障をきたすことなく出鋼量を増加させることのできる転炉の操業方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、転炉の出鋼側の同一取鍋についての操業実績に基づいてフリーボード(L)と出鋼側の取鍋に装入された溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))を予め求めておき、前記関係式(Ws(L))と当該チャージで上限として設定したフリーボード(L)とから当該チャージでの溶鋼量(Ws)を算出し、算出された溶鋼量(Ws)と式(1)とを用いて転炉からの出鋼量の上限値(A)を求めると共に、溶鋼を取鍋へ出鋼した際に浴面が取鍋に設定したスラグライン部より下にならないように、転炉からの出鋼量の下限値(A’)を求め、当該チャージでの出鋼量が前記上下限値(A,A’)の範囲に入るように、転炉から溶鋼を出鋼する点にある。
Figure 0004667284
式(1)の入力変数1項目は、フリーボード(L)と出鋼側の取鍋に装入された溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))であり、この関係式(Ws(L))と当該チャージにおけるフリーボード(L)とから当該チャージでの溶鋼量(Ws)を算出することで、出鋼後の取鍋のフリーボード(容量制約)を考慮した当該チャージの出鋼量を求めることができる。
式(1)の入力変数2項目は、出鋼側のクレーンの定格重量から出鋼側の取鍋の空重量を引くことで、出鋼クレーンの吊り上げ重量(出鋼側のクレーン制約)を考慮した当該チャージの出鋼量を求めることができる。
ゆえに、式(1)を用いることで、容量制約と出鋼側のクレーン制約とから求めた出鋼量のうち最も小さな値を操業時の出鋼量の上限とすることができる。
したがって、実際の出鋼時においては、容量制約や出鋼側のクレーンの制約をクリアしたものとなり、転炉からの出鋼をスムーズに行うことができる。また、実際の出鋼量を上限に可及的に近づけることで、出鋼増加させることができる。
本発明における課題解決のための他の技術的手段は、転炉の出鋼側の同一取鍋についての操業実績に基づいてフリーボード(L)と出鋼側の取鍋に装入された溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))を予め求めておき、前記関係式(Ws(L))と当該チャージで上限として設定したフリーボード(L)とから当該チャージでの溶鋼量(Ws)を算出し、算出された溶鋼量(Ws)と式(2)とを用いて転炉からの出鋼量の上限値(B)を求めると共に、溶鋼を取鍋へ出鋼した際に浴面が取鍋に設定したスラグライン部より下にならないように、転炉からの出鋼量の下限値(B’)を求め、当該チャージでの出鋼量が前記上下限値(B,B’)の範囲に入るように、転炉から溶鋼を出鋼する点にある。
Figure 0004667284
式(2)の入力変数1項目は、フリーボード(L)と出鋼側の取鍋に装入された溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))であり、この関係式(Ws(L))と当該チャージにおけるフリーボード(L)とから当該チャージでの溶鋼量(Ws)を算出することで、出鋼後の取鍋のフリーボード(容量制約)を考慮した当該チャージの出鋼量を求めることができる。
式(2)の入力変数2項目は、出鋼側のクレーンの定格重量から出鋼側の取鍋の空重量を引くことで、出鋼クレーンの吊り上げ重量(出鋼側のクレーン制約)を考慮した当該チャージの出鋼量を求めることができる。
式(2)の入力変数3項目は、装入側のクレーンの定格重量から装入側の取鍋の空重量を引くことで、装入クレーンの吊り上げ重量(装入側のクレーン制約)を考慮した当該チャージの出鋼量を求めることができる。
ゆえに、式(2)を用いることで、容量制約,出鋼側のクレーン制約,装入側のクレーン制約とから求めた出鋼量のうち最も小さな値を操業時の出鋼量の上限とすることができる。
したがって、実際の出鋼時においては、容量制約,出鋼側のクレーンの制約,装入側のクレーン制約をクリアしたものとなり、転炉からの出鋼をスムーズに行うことができる。また、実際の出鋼量を上限に可及的に近づけることで、出鋼増加させることができる。
前記出鋼量の下限値(A’)は、前記上限値(A)に0.9をかけたものであることが好ましい。前記出鋼量の下限値(B’)は、前記上限値(B)に0.9をかけたものであることが好ましい。
前記フリーボード(L)と溶鋼量(Ws)とを求めるにあたり、溶鋼量(Ws)をスラグを含まない溶鋼の重量としていることが好ましい。
本発明によれば、操業に支障をきたすことなく出鋼量を可及的に増加させることができる。
以下、本発明の転炉の操業方法の実施形態を、図面に基づき説明する。
高炉から出銑された溶銑は、混銑車(トピートカー)に装入されて転炉設備まで搬送され、転炉設備に配備された取鍋に払い出しされる。
図1(a)に示すように、転炉設備では溶銑が装入された取鍋2aを、装入側に配備されたクレーン4(以降、装入クレーンとする)によって転炉3まで搬送する。そして、転炉設備では、前記取鍋2a内の溶銑をスクラップ等の主原料と共に転炉3に装入して脱炭処理を行う。
図1(b)に示すように、脱炭処理が終了すると、転炉3が出鋼側に傾動し、出鋼側に配備された取鍋2bに溶鋼が払い出される。
図1(c)に示すように、溶鋼が装入された取鍋2bは台車5によって出鋼側に配備されたクレーン6(以降、出鋼クレーンとする)まで搬送される。出鋼側の取鍋2bは出鋼クレーン6によって吊り上げられ、他の台車に搭載された後、CAS装置,RH脱ガス装置,LF装置等の二次精錬設備に搬送される。
以下、説明の便宜上、溶銑が装入された取鍋2a若しくは溶銑装入のために装入側に配置された取鍋2aのことを溶銑取鍋とする。また、溶鋼が装入された取鍋2b若しくは払い出しのために出鋼側に配置された取鍋2bのことを、出鋼取鍋とする。
本発明の転炉の操業方法では、転炉3から溶鋼を出鋼する際、出鋼取鍋2bの出鋼後のフリーボード(容量制約)と、出鋼取鍋2bを吊り上げる出鋼クレーン6の吊り上げ重量(出鋼側のクレーン制約)とを考慮した上で実際の出鋼量を求めている。
言い換えれば、転炉の操業方法では、図2に示すように、前記容量制約や出鋼側のクレーン制約から出鋼量の上限Wsu(上限出鋼量)を求め、それぞれの条件から求めた上限出鋼量Wsuのうち小さい値を実際の出鋼量の上限Aとしている。また、転炉の操業方法では、出鋼した際に溶鋼の浴面が出鋼取鍋2bに設定したスラグライン部より下にならない溶鋼量を出鋼量の下限値A’としている。そして、出鋼する際は、実際の出鋼量が上下限値(A,A’)の範囲に入るようにしている。
容量制約では、まず、転炉3の操業実績から出鋼取鍋2bのフリーボードLと溶鋼量Wsとの関係式(Ws(L))を求める。そして、当該チャージにおけるフリーボードLを適宜設定し、設定したフリーボードLを前記関係式(Ws(L))に代入することで当該チャージにおける溶鋼量Wsを求める。容量制約では、フリーボードLを式(Ws(L))に代入して求めた溶鋼量Wsが前記上限出鋼量Wsuとなる。
出鋼側のクレーン制約では、出鋼クレーン6の吊り上げ可能重量(定格重量)から出鋼取鍋2bの空重量を引き、その値が上限出鋼量Wsuとなる。
そして、転炉の操業方法では、式(1)に示すように、容量制約や出鋼側のクレーン制約の各制約で求めた上限出鋼量Wsuのうち一番小さな値を出鋼量の上限Aとしている。
Figure 0004667284
以下、容量制約,出鋼側のクレーン制約について詳しく説明する。
容量制約とは、出鋼取鍋2bの搬送状態や二次精錬の精錬条件によって、チャージ毎に出鋼後のフリーボードLを決め、このフリーボードLにより出鋼取鍋2bに装入可能な溶鋼量Ws、即ち、上限出鋼量Wsuを決めることである。
例えば、出鋼取鍋2bは二次精錬設備に搬送されるが、出鋼時のフリーボードLが非常に小さければ、搬送時のスッロシングにより出鋼取鍋2b内の溶鋼が外に溢れる恐れがある。そこで、実施形態では、搬送中にスロッシングによって溶鋼が出鋼取鍋2bから溢れないように、フリーボードLは最低でも200mm以上としている。
また、出鋼した後、LF装置で二次精錬を行う場合、当該LF装置では出鋼取鍋2b内の溶鋼を強力に攪拌して精錬処理を行うため、溶鋼2の飛散によって出鋼取鍋2bの上側に地金が付着するのを低減したり、鉄ロスを防止するためフリーボードを400mm以上としている。
また、LT(Ladle Teraement)装置でも、脱流を目的として不活性ガスをインジェクションして溶鋼2を強力に攪拌して精錬処理を行うため、溶鋼2の飛散によって出鋼取鍋2bの上側に地金が付着するのを低減したり、鉄ロスを防止するためフリーボードを400mm以上としている。逆に、これを満たさなければ、地金を除去する出鋼取鍋2bの整備回数が多くなり、鍋整備設備で付着した地金を除去する回数(整備回数)が増えると地金処理の際に、出鋼取鍋2bの耐火物に衝撃が加わることにより耐火物を脱落させてしまう可能性が大となる。
CAS装置,RH脱ガス装置で二次精錬を行う場合でも、それぞれの条件により、フリーボードを適宜設定するようにしている。
このように、容量制約では、出鋼後の取鍋の搬送状態を考慮しつつ、CAS装置,RH脱ガス装置,LF装置等の向け先に応じてフリーボードを適宜決定し、当該フリーボードから溶鋼の上限出鋼量Wsuを決定している。
なお、図3に示すように、出鋼取鍋2b内には耐火物7が設けられており、耐火物7はチャージ数が増加するに伴って溶損、或いは、剥離損耗する。このように耐火物7の溶損等により、同じフリーボードの値でも出鋼取鍋2bに装入できる溶鋼量Ws(上限出鋼量Wsu)は変化することから、容量制約で上限出鋼量Wsuを求める場合は、操業実績に基づいてフリーボードLと溶鋼量Wsとの関係式(Ws(L))を求めることで、正確な上限出鋼量Wsuを求めることができるようにしている。
出鋼側のクレーン制約とは、出鋼クレーン6の設備的な制約を考慮したもので、出鋼クレーン6の吊り上げ可能な重量から出鋼取鍋2bの空重量を引くことで、出鋼時の出鋼可能な溶鋼量Ws(上限出鋼量Wsu)を求めている。
以下、転炉の操業方法を図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、容量制約によって出鋼できる上限出鋼量Wsuを求める。
同一取鍋(同じ出鋼取鍋2b)について過去数チャージ(例えば15チャージ)のフリーボードLと、溶鋼量Wsと測定して取得おき、図5に示すようにデータ化しておく(S1)。
フリーボードLはスラグ層8の浴面9(上面)から取鍋上部10までの距離とし、出鋼取鍋2bの上方に設置されたレーザ式、或いは、マイクロ波式距離計からなるレベル測定装置を用いて測定した。溶鋼量Wsは、出鋼取鍋2bの総重量を台車5に設けた車載秤量機で測定し、出鋼取鍋2bの総重量から出鋼取鍋2bの空重量を引くことで求めた。
次に、フリーボードLと溶鋼量Wsとの関係が式(3)に示す一次回帰式になると仮定して、測定したフリーボードLと、溶鋼量Wsとから式(3)の傾きaを求める(S2)。
Figure 0004667284
図5に示すように、過去15チャージでのフリーボードLと溶鋼量Wsとを一括り(データ群)として傾きaを求めてみたところ、出鋼取鍋2bの内径が約3.7mである本実施例では、多くのデータ群で式3の傾きaが数値「−13」になることが分かった。
なお、切片bはバラツキが見られたため、同一の出鋼取鍋2bにおいて、出鋼する際に適宜決定するのが良いことが分かった。また、傾きaは取鍋の形状により算出される固定値を用いても良い。
次に、1チャージ前のフリーボードL(図5のF1)と溶鋼量Ws(図5のD1)とを式(3)に代入して切片bを求める(S3)。
そして、当該チャージにおける二次精錬設備への向け先からフリーボードLを決定し、当該フリーボードLを傾きa及び切片bが決定した式(3)に代入し、上限出鋼量Wsuを算出する(S4)。
次に、出鋼側のクレーン制約から決まる上限出鋼量Wsuを求める。出鋼側のクレーン制約では、出鋼取鍋2bの空重量を測定する(S5)。前記空重量と、出鋼クレーン6の定格重量(吊り限界重量)とを式(4)に代入して、上限出鋼量Wsuを算出する(S6)。ここで、実際の出鋼量にはバラツキαが考えられるため、式(4)に示すように、出鋼量のバラツキαを考慮して上限出鋼量Wsuを求めることが好ましい。
なお、前記バラツキαとしては操業実績から0〜4トンまでの値を採用した。
Figure 0004667284
次に,容量制約,出鋼側のクレーン制約によって求めた上限出鋼量Wsuのうち最も小さい値を実際の出鋼量の上限Aとする(S7)。出鋼量の上限Aに0.9を掛けて、その値を実際の出鋼量の下限A’とする(S8)。
そして、転炉3から出鋼する際には、出鋼量が上下限値A,A’の範囲に入るように、転炉内から溶鋼を出鋼する。例えば、転炉3で脱炭処理が終了した際に、転炉3内の溶鋼量が上下限値A,A’内に入るように、転炉3に装入する溶銑やスクラップ等の主原料を調整する(S9)。或いは、転炉3で脱炭処理が終了した際に、転炉3内の溶鋼量が上下限値A,A’よりも多い場合には、出鋼する際に、当該出鋼量が上下限値A,A’内に入るように、転炉3内の溶鋼を残す(S10)。或いは、一旦出鋼した溶鋼の一部を鋳型などに捨てる(捨て湯する)。
なお、転炉3から溶鋼を上下限値A,A’の範囲で出鋼する際、出鋼取鍋2b内に装入される溶鋼量が可及的に出鋼量の上限値Aに近づくように出鋼量を調整するのが好ましい。
また、出鋼量の下限A’を出鋼量の上限Aに0.9を掛けた値にしたのは、出鋼取鍋2bに溶鋼を装入した際に溶鋼の浴面がスラグライン部より下とならない溶鋼量Wsを、操業実績から求めたところ、出鋼量の上限Aで示すと0.9を掛けた数値になっているからである。
図3に示すように、出鋼取鍋2bには、その胴部において耐火物7の厚みtを他の部分よりも大きくしている太肉部12を形成されており、当該太肉部12をスラグライン部としている。この実施の形態では、スラグライン部のレベルX(範囲X)は出鋼取鍋2bの上端略200mm〜900mmであり、フリーボードLにおいて略900mmのレベルがスラグライン部の下限(下端)となる。
ゆえに、フリーボードLが900mm以下にならない溶鋼量Wsを出鋼量の下限値A’として考えても良い。
なお、実施例では、スラグライン部に用いる耐火物7aをMgO−C煉瓦とし、スラグライン部よりも下側の耐火物7bをキャスタブルとしている。よって、出鋼取鍋2bに溶鋼を装入した際に溶鋼の浴面がMgO−C煉瓦からなる耐火物7aよりも下にならないようにしている。
上記の実施の形態では、容量制約,出鋼側のクレーン制約を考慮して出鋼量の上限を求めているが、これに加え、図4に示すように、装入側のクレーン制約を考慮して出鋼量の上限B(上限出鋼量Wsu)を求めるようにしてもよい。装入側のクレーン制約では、出鋼側のクレーン制約と同様に、装入側のクレーンが吊り上げられる重量から上限出鋼量Wsuを求めている。
図4を用いて装入側のクレーン制約を加味した転炉の操業方法について説明する。
なお,容量制約,出鋼側のクレーン制約は上述した通りであり説明を省略する。
まず、過去の操業実績に基づいて、当該チャージにおける出鋼歩留Y,溶銑配合率HMRを決定する(S11)。次に、溶銑取鍋2aの空重量を測定する(S12)。出鋼歩留Y,溶銑配合率HMR,溶銑取鍋2aの空重量,装入クレーン5の定格重量(吊り限界重量)とを式(5)に代入して、上限出鋼量Wsuを算出する(S13)。
Figure 0004667284
このように装入側のクレーン制約では、式(5)に示すように、溶銑取鍋2aの空重量から装入クレーン4の定格重量を引くことで転炉に装入可能な溶銑量を算出し、前記溶銑量を溶銑配合率で割って転炉に装入する全装入量を求め、全装入量に歩留Yをかけることで、上限出鋼量Wsuを求めている。
そして、容量制約,出鋼側のクレーン制約,装入側のクレーン制約からそれぞれの上限出鋼量Wsuを求め,式2に示すように、最も小さい値を実際の出鋼量の上限Bとする(S14)。出鋼量の下限値を、出鋼量の上限Bに0.9を掛けた値が出鋼量の下限B’としている(S15)。
Figure 0004667284
転炉3から溶鋼を出鋼する際には、出鋼量が上下限値B,B’の範囲に入るように、転炉内から溶鋼を出鋼する。例えば、転炉3で脱炭処理が終了した際に、転炉3内の溶鋼量が上下限値B,B’内に入るように、転炉3に装入する溶銑やスクラップ等の主原料を調整する(S16)。また、転炉3で脱炭処理が終了した際に、転炉3内の溶鋼量が上下限値B,B’よりも多い場合には、出鋼する際に、当該出鋼量が上下限値B,B’内に入るように、転炉3内の溶鋼を残す(S17)。或いは、一旦出鋼した溶鋼の一部を鋳型などに捨てる(捨て湯する)。
なお、転炉3から溶鋼を出鋼する際、出鋼取鍋2b内に装入される溶鋼量が可及的に出鋼量の上限値Bに近づくように出鋼量を調整するのが好ましい。
図3に示すように、上記の実施の形態では、フリーボードLをスラグ層8の浴面9(表面)から取鍋上部10までの距離としていたが、これに代え、フリーボードLをスラグ層8を含む浴面9(スラグ層8の表面)から取鍋上部10までの距離をとしてもよい。
例えば、スラグ層8の浴面9から取鍋上部10までの距離を測定すると共に、スラグ層8の厚みを測定しておき、式(6)を用いてフリーボードLを補正してもよい。
Figure 0004667284
上記の実施の形態では、出鋼取鍋2bの総重量を台車5に設けた車載秤量機で測定し、出鋼取鍋2bの総重量から出鋼取鍋2bの空重量を引くことで求めていることから、溶鋼量Wsにはスラグの重量も含まれることになるが、スラグの重量を含まないようにすることが好ましい。
例えば、溶鋼量Wsを算出する際、スラグの厚みを測定しておき、式(7),式(8)を用いて溶鋼量Wsを補正することで、溶鋼量Wsにスラグの重量を含まないようにすることができる。
Figure 0004667284
したがって、フリーボードL又は溶鋼量Wsにスラグ層やスラグの重量を含まないようにすることで、より正確な出鋼量を制御することが可能となる。
上記の実施の形態では、1チャージ前のフリーボードLと溶鋼量Wsとを式(3)に代入して切片bを求めていたが、過去数チャージで測定したフリーボードLを式(9)を用いて補正し、式(9)で補正した補正フリーボードL’と溶鋼量Wsとを用いて切片bを求めるようにしてもよい。
具体的には、図5,6に示すように、過去15チャージの出鋼取鍋2bの空重量を測定しておく(S20)。そして,nチャージ前での出鋼取鍋2bの空重量と、1チャージ前の出鋼取鍋2bの空重量と、nチャージ前のフリーボードLとを式(9)に代入して、nチャージ前のフリーボードLを補正する(S21)。
即ち、15チャージ分の空重量(E1〜E15),フリーボードL(F1〜F15)を測定しておき、この空重量(E1〜E15)とフリーボードL(F1〜F15)とを式(9)に代入し、チャージ毎のフリーボードL’n(G1〜G15)を求めることで、フリーボードを補正する。
Figure 0004667284
次に、式(9)で補正したフリーボードL’n(G1〜G15)とチャージ毎に計測しておいた溶鋼量Ws(D1〜D15)とのデータセット用いて、最小二乗法により式(3)の切片bを求める(S22)。具体的には、図5に示すn個のデータから補正フリーボードL’n(G1〜G15)の合計、出鋼量Ws(D1〜D15)の合計を求め、式(10)を用いて切片bを算出する。
Figure 0004667284
なお、式(9)では、nチャージ前の出鋼取鍋2bの空重量から1チャージ前の出鋼取鍋2bの空重量を引くことで出鋼取鍋2bに設けた耐火物7の溶損量を算出し、当該溶損量を溶鋼量Wsに変換して当該溶鋼量WsによるフリーボードLの変化量を算出することでフリーボードLを補正している。
本実施例では、内径3.7mの取鍋を用いているため、式(9)で溶損量を溶鋼量Wsに変換するための変数が数値「35」となっているが、前記変数は取鍋の内径によって変化する。よって、溶損量を溶鋼量Wsに変換するための変数は、数値「35」に限らず、取鍋の内径に応じて変化するものと考えて良い。
また、式(10)は、補正フリーボードL’nと溶鋼量Wsとの関係が、1チャージ毎に式(3)に示すものと同様に一次回帰式(L’n=a×Ws+b)になると仮定し、1チャージ毎の一次回帰式をnチャージ分(使用データn個)足した式[ΣL’n=Σa×Ws+Σb]を求め、この式を使用データの数n個で割ることで、鍋下がり平均を出すことができる式であり、式(10)で求めた切片bは各チャージにおける一次回帰式の切片bの平均と見ることができる。
また、次のように切片bを求めるようにしてもよい。
図7に示すように、S20〜S22の方法で、求めた切片bを式(3)に代入することで一次回帰式を決定し(S23)、一次回帰式で示される直線と、実際の補正フリーボードL’n及び溶鋼量Wsとを比較し、異常データのチェックを行う(S24)。例えば、縦軸を補正フリーボードL’n、横軸を出鋼量Wsとしたグラフに、データをプロットすると共に、S23で決定した一次回帰式の直線を描き、この直線から大幅に外れている(所定以上離れている[例えば50mm以上])データを除外(削除)する。若しくは、除外する除外数を予め定めておき、データの外れが大きいものから順に除外する。除外するデータ数は除外数を超えないまでとする。
次に、不良データを除外した残りの補正フリーボードL’と溶鋼量Wsとを用いて、式(10)により、切片bを再度求める(S24)。
表1は、本発明の転炉の操業方法を用いて操業を行った実施例と、本発明の転炉の操業方法を用いずに操業を行った従来例とをまとめたものである。
Figure 0004667284
実施例1〜8では、式(1)又は式(2)を用いて転炉からの出鋼量の上限値(A,B)を求め、実際の出鋼量(Wtap-act)がスラグライン部より下にならないようにするか、或いは、実際の出鋼量が前記上限値の90%を超えないように出鋼したものである。従来例1〜4では、実施例1〜8での条件を満たさないように出鋼したものである。
なお、スラグライン部の下端(最下端)での溶鋼量は、出鋼中に湯面が当該最下端に到達した時点での秤量値により求めた。スラグライン部の最下端をフリーボードに換算しておき(例えば、L=900mm)、このフリーボードLを式(3)に代入することで、スラグライン部の最下端での溶鋼量を求めることが可能である。
従来例1では、式(1)又は式(2)による出鋼量の上限値をオーバーしたため、出鋼取鍋2bからスラグや溶鋼の溢れが2ton発生する恐れがあると共に、出鋼量が多く出鋼取鍋2b一杯に溶鋼が装入されたので取鍋2の寿命を低下させてしまう恐れがある。
従来例2では、式(2)による出鋼量の上限値をオーバーしたため、その出鋼量が出鋼側のクレーンの定格重量を超えてしまうのを防止するために捨て湯が多くなり、その作業のために時間を要して生産性が著しく低下した。
従来例3,4では、式(1)又は式(2)による出鋼量の下限値よりも少なく、溶鋼2の湯面がスラグライン部より下になったので、スラグライン部よりも耐火物7の厚みtが小さく耐食性が低い部分での溶損が進行し、取鍋の寿命が低下した。また、出鋼量が非常に少ないので取鍋2の湯面レベルが非常に低くRH脱ガス装置における浸漬管が溶鋼に届かない恐れがあり溶鋼処理不能となる。
本発明1〜7では、二次精錬設備での溶鋼処理不能や取鍋内の溶鋼が少ないことによる取鍋の寿命の低下、溶鋼の漏れ等も発生する恐れがなく、出鋼量を多くしつつ順調に操業を行うことができた。これに対し、従来例1〜4では、二次精錬設備での溶鋼処理不能や取鍋の寿命の低下、溶鋼の漏れ等が発生する恐れがあり、操業に支障をきたす恐れがある。
従来例3,4では、出鋼量を低く抑え過ぎているため、生産性の低下及び熱ロスが大きくなっている。また、従来例2では、捨て湯による物流障害のため著しい生産性の低下を招いている。
本発明の転炉の操業方法を説明する説明図である。 転炉の操業方法のフローチャートである。 出鋼取鍋の断面図である。 他の転炉の操業方法のフローチャートである。 過去15チャージにおけるフリーボード,補正フリーボード,溶鋼量の関係を示す図である。 切片を求めるフローチャートである。 切片を求める他のフローチャートである。
符号の説明
2a 装入側の取鍋
2b 出鋼側の取鍋
3 転炉
4 装入側のクレーン
5 出鋼側のクレーン

Claims (5)

  1. 転炉の出鋼側の同一取鍋についての操業実績に基づいてフリーボード(L)と出鋼側の取鍋に装入された溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))を予め求めておき、
    前記関係式(Ws(L))と当該チャージで上限として設定したフリーボード(L)とから当該チャージでの溶鋼量(Ws)を算出し、算出された溶鋼量(Ws)と式(1)とを用いて転炉からの出鋼量の上限値(A)を求めると共に、溶鋼を取鍋へ出鋼した際に浴面が取鍋に設定したスラグライン部より下にならないように、転炉からの出鋼量の下限値(A’)を求め、
    当該チャージでの出鋼量が前記上下限値(A,A’)の範囲に入るように、転炉から溶鋼を出鋼することを特徴とする転炉の操業方法。
    Figure 0004667284
  2. 転炉の出鋼側の同一取鍋についての操業実績に基づいてフリーボード(L)と出鋼側の取鍋に装入された溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))を予め求めておき、
    前記関係式(Ws(L))と当該チャージで上限として設定したフリーボード(L)とから当該チャージでの溶鋼量(Ws)を算出し、算出された溶鋼量(Ws)と式(2)とを用いて転炉からの出鋼量の上限値(B)を求めると共に、溶鋼を取鍋へ出鋼した際に浴面が取鍋に設定したスラグライン部より下にならないように、転炉からの出鋼量の下限値(B’)を求め、
    当該チャージでの出鋼量が前記上下限値(B,B’)の範囲に入るように、転炉から溶鋼を出鋼することを特徴とする転炉の操業方法。
    Figure 0004667284
  3. 前記出鋼量の下限値(A’)は、前記上限値(A)に0.9をかけたものであることを特徴とする請求項1に記載の転炉の操業方法。
  4. 前記出鋼量の下限値(B’)は、前記上限値(B)に0.9をかけたものであることを特徴とする請求項2に記載の転炉の操業方法。
  5. 前記フリーボード(L)と溶鋼量(Ws)との関係式(Ws(L))を求めるにあたり、溶鋼量(Ws)をスラグを含まない溶鋼の重量としていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の転炉の操業方法。
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