JP4666862B2 - 雌豚の授精用の雄豚カート - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、雌豚の授精時に、雌豚を入れている一続きの囲いに近づける雄豚の輸送に使用するための、雄豚カートに関する。
【0002】
豚を高い運動強度の下で飼育するため、分娩後の雌豚は、ある区画に移され、該区画において、適切な発情期に受精を待つために設けた単独の囲いの中で飼育される。この雌豚は、分割された狭い通路の一方または両方に並んだ単独の囲いの中で飼育されており、これにより農夫は、受精や他の様々な目的で雌豚に接近するため、前後の雌豚の列に沿って移動することができる。
【0003】
列間の通路の幅は、ほとんどの場合、18インチから36インチまでの範囲で変化し、また、更に広くなる場合もある。該通路は列間に限定され、もちろん、列端においては、通路は直角に向きを変えている。これにより、列の一端に沿って通行した後、列の次の組の間に戻ることができるが、ここでは、もう一度、直角に向きを変える必要がある。
【0004】
雄豚との緊密な肉体的接触により雌豚を刺激するためと、その雌豚が発情期にあるかどうかを決めるためには、雄豚を雌豚まで連れてくることが望ましいことが、人工授精において、よく知られている。この雄豚の存在によって人工授精の実効性がより向上することが知られているが、これは、農夫が雌豚の発情をより正確に決定でき、加えて雌豚を受精のためにより受け入れやすい状態にできるためである。
【0005】
発情期にあると分かった雌豚に受精させるために農夫が必要な行動をとっている間は、慣例通りに雌豚に肉体的接触や接近を行うよう、雄豚を豚舎の前に沿って引いていく。これには、複数人に増員された農夫達が、非常に力のある動物である豚を手で取り扱うことが要求される。
【0006】
そこで、先行技術には、農夫が受精に必要な行動をとっている間に囲いの中の雌豚の列の前を通路沿いに雄豚が移動されるか運ばれることを可能とする、遠隔制御のカートに関する種々のデザインが開示されている。
【0007】
本発明の目的の一つは、移動に関する改良制御を可能とする優れた雄豚カートを提供することである。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、受精時に雌豚との相互作用のため、雌豚受精区域の通路沿いに雄豚を運ぶため、以下のような雄豚カートが提供される。
【0009】
即ち、該雄豚カートは、雄豚が立つための檻床面、雄豚を組立檻の縦方向で飼育できるよう雄豚の動きを制限するために前後方向中心線の各側に設けた二つの檻側面、および前後方向への雄豚の動きを制限するために設けた檻前面・檻後面とを含む、雄豚を入れるための組立檻よりなる。
【0010】
該組立檻には、該組立檻からの雄豚の出入りを可能とする少なくとも一枚のドアを設けている。
【0011】
該組立檻は、該組立檻の中に入れて雄豚を運ぶための通路に沿って通常は長手方向に移動する接地輪上に据え付けられている。
【0012】
該組立檻には、雄豚の前足と前部位を支えるための前部と、雄豚の後ろ足と後ろ部位を支えるための後部とが設けられている。
【0013】
該前部は、該組立檻がある通路から別の通路へのコーナーを回って移動できるように、垂直回動軸を中心に旋回可能に該後部と連結されている。
【0014】
該旋回のため、略前記中心線に垂直回動軸を配置した回動継手が備えられており、これにより、該組立檻は、雄豚が組立檻に入ったままで通路の左右のコーナーを移動するように、前方直進連結姿勢から左右両方向に関節状に曲折可能となっている。
【0015】
好ましくは、該組立檻は、前記檻床面と平行にトップ部材を側壁上部に設けており、前記回動軸継手は、該檻床面に配した第1軸受部材と、該トップ部材に配した第2支持部材とを有している。
【0016】
好ましくは、前記前部は前記檻床面の前部分を含み、前記後部は、該檻床面の後部分を含んでおり、前記檻床面の前部分と後部分とは、前方直進姿勢で重なるように配置されている。
【0017】
好ましくは、左右方向へ関節状に曲折する間に側壁同士の間隔が変化するように、該前部の側壁は該後部の側壁と切り離されており、これにより、該両部が関節状に曲折する間、一側の側壁同士は接近し、他側の側壁同士は離間される。更に、前記間隔の変化に適応するように配置された側壁同士の間には、変形可能な規制部材が設けられている。
【0018】
好ましくは、それぞれ略前記中心線上に位置し、前後方向にて離間した2本の平行軸を中心として関節状の曲折を可能とする第2回動継手が設けられている。
【0019】
好ましくは、該回動継手は、前方直進連結姿勢で該前部と該後部を固定するための固定具を含む。
【0020】
好ましくは、該組立檻は、通路沿いに該組立檻を駆動する少なくとも1個の駆動輪と、通路沿いに組立檻を案内する少なくとも1個の操向輪とを含む。
【0021】
好ましくは、該檻前面と該檻後面の少なくとも一つは外に向かって弓形に曲げられており、これにより、雄豚近辺の高さが該檻床面よりも外方に突出し、該組立檻の全長に関係する該檻床面の長さを減少させて、コーナー移動を助ける。
【0022】
本発明の第2の観点によれば、受精時に雌豚との相互作用のため、雌豚受精区域の通路沿いに雄豚を運ぶため、以下のような雄豚カートが提供される。
【0023】
即ち、該雄豚カートは、雄豚が立つための檻床面、雄豚を組立檻の縦方向で飼育できるよう雄豚の動きを制限するために前後方向中心線の各側に設けた二つの檻側面、および前後方向への雄豚の動きを制限するために設けた檻前面・檻後面とを含む、雄豚を入れるための組立檻よりなっている。
【0024】
該組立檻には、該組立檻からの雄豚の出入りを可能とする少なくとも一枚のドアを設けている。
【0025】
該組立檻は、該組立檻の中に入れて雄豚を運ぶための通路に沿って通常は長手方向に移動する接地輪上に据え付けられている。
【0026】
該組立檻には、雄豚の前足と前部位を支えるための前部と、雄豚の後ろ足と後ろ部位を支えるための後部とが設けられている。
【0027】
該前部は、該組立檻がある通路から別の通路へのコーナーを回って移動できるように、垂直回動軸を中心に旋回可能に該後部と連結されている。
【0028】
前記前部は、前記檻床面の前部分を含み、前記後部は、該檻床面の後部分を含んでおり、前記檻床面の前部分と後部分とは、前方直進姿勢で重なるように配置されている。
【0029】
本発明の第3の観点によれば、受精時に雌豚との相互作用のため、雌豚受精区域の通路沿いに雄豚を運ぶため、以下のような雄豚カートが提供される。
【0030】
即ち、該雄豚カートは、雄豚が立つための檻床面、雄豚を組立檻の縦方向で飼育できるよう雄豚の動きを制限するために前後方向中心線の各側に設けた二つの檻側面、および前後方向への雄豚の動きを制限するために設けた檻前面・檻後面とを含む、雄豚を入れるための組立檻よりなっている。
【0031】
該組立檻には、該組立檻からの雄豚の出入りを可能とする少なくとも一枚のドアを設けている。
【0032】
該組立檻は、該組立檻の中に入れて雄豚を運ぶための通路に沿って通常は長手方向に移動する接地輪上に据え付けられている。
【0033】
該組立檻には、雄豚の前足と前部位を支えるための前部と、雄豚の後ろ足と後ろ部位を支えるための後部とが設けられている。
【0034】
該前部と該後部とは、該組立檻が通路のコーナーを移動すべく関節状に曲折可能とするように、回動継手を介して関節状に曲折可能に相互に連結されている。
【0035】
該檻全面と該檻後面のうち少なくとも一つは、その雄豚近辺の高さが該檻床面よりも外方に突出し、該組立檻の全長に関係する該檻床面の長さを減少させて、コーナー移動を助けるように、外に向かって弓形に曲げられている。
【0036】
本発明の第4の観点によれば、受精時に、通路の少なくとも一側を通って、雌豚との相互作用のため、雌豚受精区域の通路沿いに雄豚を運ぶための、以下のような方法が提供される。
【0037】
通路の各側に設けた囲いにて、2列の雌豚を配置している。
【0038】
雄豚が立つための檻床面、雄豚を組立檻の縦方向で飼育できるよう雄豚の動きを制限するために前後方向中心線の各側に設けた二つの檻側面、および前後方向への雄豚の動きを制限するために設けた檻前面・檻後面から成る組立檻の中に、雄豚を配置する。
【0039】
該組立檻には、雄豚の出入りを可能とする少なくとも一枚のドアを設けている。
【0040】
該組立檻の中に入れて雄豚を運ぶための通路に沿って、通常は長手方向に移動する接地輪上に、該組立檻を据え付ける。
【0041】
該組立檻を通路に沿って導くため、通路内の少なくとも1部品と協調するように配設されたガイド装置を、該組立檻に設ける。
【0042】
該ガイド部材を操作して通路の一側を選択し、該組立檻を該通路の一側に近づけ、他側からは離間するように導く。
【0043】
引き続き、該ガイド部材を操作して該通路の他側を選択し、該組立檻を該通路の他側に近づけ該一側からは離間するように導く。ことを特徴とする雄豚の搬送方法。
【0044】
本発明の第5の観点によれば、受精時に、通路の少なくとも一側を通って、雌豚との相互作用のため、雌豚受精区域の通路沿いに雄豚を運ぶための、以下のような方法が提供される。
【0045】
通路の各側に設けた囲いにて、2列の雌豚を配置している。
【0046】
雄豚が立つための檻床面、雄豚を組立檻の縦方向で飼育できるよう雄豚の動きを制限するために前後方向中心線の各側に設けた二つの檻側面、および前後方向への雄豚の動きを制限するために設けた檻前面・檻後面から成る組立檻の中に、雄豚を配置する。
【0047】
該組立檻には、雄豚の出入りを可能とする少なくとも一枚のドアを設けている。
【0048】
該組立檻の中に入れて雄豚を運ぶための通路に沿って、通常は長手方向に移動する接地輪上に、該組立檻を据え付ける。
【0049】
該組立檻を通路に沿って導くため、通路内の少なくとも1部品と協調するように配設されたガイド装置を、該組立檻に設ける。
【0050】
該接地輪を、該組立檻が通路の選択した一側に向き、他側からは離間しやすいように配置する。
【0051】
続いて、該接地輪を、該組立檻が該通路の選択した該他側に向き、該一側からは離間しやすいように配置する。
【0052】
該組立檻が向かう一側に沿って移動する間、該組立檻を導くため、該組立檻を配置する。
【0053】
発明の実施例は、以下の添付図面を参照して記述される。
【0054】
図1は、前方直進姿勢にあるカートを示す、本発明に係るカートの第1実施例の平面図である。
【0055】
図2は、右コーナーに移動するため、一側に向かう姿勢にある、図1に示すカートの底面図である。
【0056】
図3は、図1のカートの側面図である。
【0057】
図4は、前ステアリング・前キャスタ輪を更に詳細に示す、図2と同じ底面図である。
【0058】
図5は、本発明に関する第2実施例を示す、図2と同じ底面図である。
【0059】
図6は、本発明に関する別の実施例を示す、図1と同じ平面図である。
【0060】
雄豚カートは10で示され、後部セクション11と前部セクション12とから構成される。該後部セクション11と前部セクション12は、垂直回動軸13にて関節状につなげられ、該垂直回動軸13により、図1に示す前方直進連結姿勢から、図2に一例を示すような左旋回姿勢か右旋回姿勢へと、前部を動かすことができる。
【0061】
前記回動軸13は、カートの上パネル16と重なる上軸受14と、カートの下パネル17と重なる下軸受15とにより規制されている。
【0062】
前記の前部と後部とは、図に示すように、前方直進姿勢と、好ましくは、左右旋回姿勢において、ピン留めシステム18により固定される。該ピン留めシステム18はアーム19を有し、該アーム19は、抜きピン20に向かって後部の上を後方に延出する前部に接続され、該抜きピン20は、離間位置にある3個の孔21の一つに嵌合するようにしている。該抜きピン20は、固定位置にバネ付勢されており、必要に応じて、手動で解除位置に移動されるようにしている。
【0063】
後部セクション11は、車軸23により支持される一組の駆動輪22上に、据え付けられている。該駆動輪の一方又は両方はモータ24により駆動され、該モータ24は、床17に、又は床17の下に設けられた駆動チェーン25を介して駆動輪に接続されている。該駆動輪22は、後部セクション11の主要な縦レール26の各側方に設けられ、各駆動輪22は、各縦レール26の外方位置においてフェンダ27によって覆われている。該フェンダ27は、溝型枠部材28と29の間に橋設され、該溝型枠部材28と29は、前記縦レール26からそれぞれ外方に向かって延出されている。そして、縦レール26の間には、動物の後ろ部位と後足が立てる床が設けられている。
【0064】
前部セクション12は平面の床パネル17を含み、該床パネル17はレール32・33により支持され、該レール32・33は、床パネルの前端34から後方へ延出すると共に、軸受15のある床パネルの後部域から離れるように外方へ分岐している。該床パネルは、前記カート後部の床17の前長方形状セクションを覆うようにして配置されている。前部セクションの床パネル17の後端は半円後部外周線17Aを形成し、該半円後部外周線17Aにより軸受15と軸13を取り囲んでいる。そして、床パネル17の後部が、後床パネル上面を摺動し、車輪22の正面やフェンダ27の正面に移動する。
【0065】
前部12には、前端34にある横ブレース37の下面に支持される一組のキャスタ輪35・36を備えている。従って、前記カートの移動方向は、以下に説明するように、キャスタ輪により制御される。
【0066】
後部セクション11の後溝型部材28は、緩衝又はガイドするローラ39を支持し、該緩衝ローラ39は、ガイドローラが垂直装着ピン41の周りを回動できるように、ブラケット40に支持されている。同様に、ブレース37のブラケット42は、垂直ピン44周りを回動する前緩衝ローラ43を支持している。従って、前記緩衝ローラ39・43は、前後部に共通高さで据え付けられると共に、そこからわずかに外側部で外方に、しかも、床パネルの前端と後端のそれぞれから前方と後方の位置に、突出している。
【0067】
緩衝ローラ39・43の高さは、通路側辺の囲いに設けた適切なレールの高さと一致しており、該通路側辺に向かって、又は通路側辺に隣接して、前記カートは走行する予定である。
【0068】
前記回動軸13は、図1に示すような直線姿勢にあるカートの中心線45の上に、又は中心線45に近接して存在するように、配設されている。前記回動軸13の配設位置は、前部の前端34と後部の後端の間の略中央位置でもある。従って、前記回動動作によって、前部中心線の角度が後部中心線に対して略45度となる位置まで、前部と後部の関節での連結が可能となるのである。もちろん、このことは、回動軸が中心線上にあるということから考え、左右両方向において対称的である。
【0069】
前記カートは、2枚の側壁50・51、前壁52、及び後壁53により形成される。これらの各壁は、後面、前面、及び側面において、カートの全範囲に渡って、カート内の動物への視覚的かつ直接物理的接近が可能なように、格子から形成されている。前記側壁は2セクションに分割され、これにより、後部11には専用の側壁セクション50A・51Aを有し、前部には専用の側壁50B・51Bを有している。前記側壁51Aは前支柱54で終端となり、前記側壁51Bは後支柱55で終端となり、該支柱は、回動軸13の前後各方向に離間している。前記支柱54・55の間には直接的に固定した連結部がないため、軸13周りの旋回動作により、カートが一側に関節でつながる場合は支柱54・55が互いに接近し、カートが他側に関節で連結される場合は支柱54・55が互いに更に離間する。しかしながら、支柱54・55は緩く柔軟なチェーン56により連結され、該チェーン56は、各支柱に繋止するための各端部を有する。そして、該チェーン56は、支柱間の空間に橋設する緩い結合体として垂下されると共に、支柱間からの動物の逃亡防止を保証するための、支柱間の領域にいる動物の境界線として機能するのである。
【0070】
主据え付け支柱を含む前記側壁は、床の最外端に近接して上方に立設するように、床に固着されており、特に、後側壁は、部分28・29の外端から上方に立設している。側辺のレールの上端は横断バー60により連結され、該横断バー60は、固定立て向き姿勢で側壁を支持すると共に、動物を飼うにあたり幌又は屋根構造を備え、動物が上方に跳躍し側壁を越えて逃亡を試みるのを防いでいる。前記上軸受14は、重なり状態にあるパネル16A・16Bに接続され、該パネル16A・16Bの各々は、前部の後レール60Aと後部の前レール60Bによって支持されている。組立檻は、必要に応じて、補強のために前記バーを覆うか、前記バーと交換する平坦な閉塞パネルを含めるようにしてもよい。
【0071】
前壁52、後壁53のいずれも、それぞれ、前部セクションの前支柱61、後部セクションの後支柱62に取り付けられた分離旋回要素として形成されている。従って、前記前壁52は、支柱61の各1本にピン留めされ前壁を原位置に固定しておける2本の側支柱63を含む。同様に、前記後壁53も、支柱64にピン留めされ後壁を原位置に固定しておける2本の側支柱64を含む。前壁と後壁のうちの一方または両方は、単にピンを除くだけで取り外すことができ、これにより、壁を全て取り外すか、あるいは、壁を一方の側で取り外したり、各支柱から分離させることができる。そして、動物の出入りのために近づけるように、壁は他方の支柱から離れるように回動される。好ましくは、動物が後ろから入り前から出れるようにするため、前壁、後壁ともに、前記方式で除去するため回動可能とする。
【0072】
更に、前壁と後壁は、それぞれ、水平に横切って延出して前記支柱間を相互に連結する、上下のレール64・65を含む。更に、前壁と後壁は、通常、上レール64から下レール65まで下方垂直に延出する規制バー66を含んでいる。これらのバー66は、それぞれ前記レール64・65を含む主要平面から外方に弓形に曲げられ、床からは上方に間隔が空けられており、床上方にあるバーの中央部は、カート内の領域を増加させるため、該壁の平面よりも外方に突出するようにしている。そして、前記カートは、該カートの高さの略半分の高さにある動物の鼻と臀部の高さにおいて、動物に接近できるようにしている。前後の扉の弓形により、カート全長の短縮が可能となり、該短縮は、前部セクションの前端と後部セクションの後端との間の距離を縮小させ、緩衝ローラ39・43間の距離を縮小させる。これにより、バー66の最外地点間に収容可能な動物の長さは、動物の大きさに依存する必要長と等しくて変わらない一方、カートの全長は、著しく短縮されるのである。
【0073】
図1に示すように、雄豚は概略的にはカートの中にいる。この使用される雄豚の大きさはもちろん変化するが、カートは使用される最大タイプの雄豚を効果的に使用できるように設計されている。そして、この雄豚は、カートを完全に満たし、これにより、雄豚の側面が側壁に接触し、雄豚の臀部が後部セクションの後端にあるバー66で外方に弓形に曲がった部分に到達し、雄豚の鼻が、前部セクション前端にあるバー66を通り抜けて突出するか、やっと到達するようにしている。従って、動物は、全体がカートに含まれて移動が制限されており、該カートは、動物そのものの大きさよりも著しく大きな寸法を有するようにしている。
【0074】
更に、図4にキャスタ輪35・36の詳細を示している。キャスタ輪の通常の前方向が、カートの中心線に平行な縦方向に対して僅かな角度偏るように、キャスタ輪が横ブレース37の下面に取り付けられていることに、まず気づくであろう。従って、右側のキャスタ輪35は、通常、72で示す前方外側方向へ僅かに傾斜しており、キャスタ輪36は、同様に、73で示す前方外側方向へ僅かに傾斜している。
【0075】
各キャスタ輪は、市販可能なタイプのロックピン74により、通常の前方向に固定することができ、これにより、キャスタ輪35・36は、前方向72・73に固定可能とするか、又は、ロックピン74の位置に応じて必要となる単純なキャスタ輪とすることができる。
【0076】
運転中、キャスタ輪36に近接したサイドレール75に沿ってカートを保持することが要求される場合には、キャスタ輪36は固定され、キャスタ輪35はフリー状態に解放される。これにより、両キャスタ輪とも、方向73に沿って移動するのに役立ち、さらに、通路76の一側にあるレール75に向かって前進する時にカートを押し進めるのに役立つような、位置を占めている。
【0077】
従って、雌豚が通路76の両側にいるような状況では、農夫は通路の一側を選択することができ、該一側にあるキャスタ輪を固定し、他側にあるキャスタ輪をフリー状態にすることにより、前記一側に向かってカートが移動するようにしている。よって、カートが前進する時は、前記一側にある緩衝ローラがレール75に沿って走行するように、カートが一側に向かって押し進むようにしている。
【0078】
実際のカートがレール間にきっちりあてはまり、各レールから等間隔で通路に沿って移動するように、通路が比較的狭い場合がある。この場合には、両輪とも、キャスタとして設けてもよい。
【0079】
しかしながら、他の装置においては通路が著しく広く、それゆえ、農夫に飼われている雌豚に近接した側に、カートを保持することが望まれている。そこで、この簡単な操向装置は、遠隔制御操向の必要性を回避すると共に、カートを通路の必要な側に近接したままにしておくことを、簡単に保証するものである。緩衝ローラは、カートを必要な位置に保持し、カートが通路に沿って移動する間、該カートを優しく導く。そして、カートの動きは非常にゆっくりしており、その間、カートは、しばしばある時間、静止状態に維持され、その後、次の近接した雌豚のいる囲いに向かって歩み出す。
【0080】
かわって図5においては、前部セクション12Aが、2本の回動軸13A・13Bにより後部セクション11Aと連係し関節でつながっていることを除いて、 図1乃至図4と本質的には同一の装置が示されている。これは、中間セクション80の装着によって達成され、該中間セクション80は、床パネル81と、上部構造85に連結する垂直の支柱82・83により規定されている。従って、前記軸13A・13Bは、床パネル81と上部パネル85にある上下軸継手によっても規定される。
【0081】
従って、図5の二重関節装置により、関節状の接続部位における前部セクションと後部セクションとの間の角度を増加させることができ、特には、前部セクションの中心線45Aが、後部セクションの中心線45Bに対して90度位置に配置することも可能である。もちろん、これは、前後部のセクション間でのより大きな曲げ角への適応を動物に要求するが、通路が非常に狭い、特に直角コーナー周りを、カートがより効率良く移動することを可能とするものである。
【0082】
そのため、前記装置には、カートが通路に沿って移動して、次に隣接する通路上のコーナーを回る間、動物をその間中ずっとカート内に保持することができるという利点があり、動物がどんなに抵抗しようがこれを元の位置にわざわざ戻すために降ろすという必要がない。よって、動物は常に動きが制限されるため、農夫が従来の方式で雌豚の世話をしている間も、一人の農夫が、遠隔操作により、動物を扱うことができる。
【0083】
図示せぬ別形態の装置では、回動継手を中心線から外しているが、この装置は、一定のあるいは全てのコーナーを移動するカートから、雄豚を取り除くことが必要かもしれないという点では、それほど有利ではない。
【0084】
かわって図6においては、上平面図に、通路の一側に設けた第1列の囲い91と、通路の他側に設けた第2列の囲い92とを有する通路90が示されている。該通路の幅はカートの幅よりも広く、これにより、一側93を囲い91に近接し、他側94を囲い92から離間した状態で走行するように、カートを調節できるのであり、そして、位置が逆の場合もまた同様である。
【0085】
選択された各側部に沿ってカートの移動を導くための各種装置には図4中で既に示した装置を含めることができる。しかしながら、図6に示す別形態の装置は一組のガイド軌道95・96を含み、該ガイド軌道95・96は、適切な位置で通路内に、好ましくは、囲いの各列に近接して設けられている。前記軌道95・96は、高くしたレールにより提供され、該レールは、通路のコンクリート内に打ち込まれ又はコンクリートに取り付けられている。あるいは、軌道95・96はコンクリート内の別のねじ山やねじ溝により提供されており、該コンクリートは、選択された各側部に近接し、予め決められた線に沿ってカートを保つため、コンクリート沿いに、連続した線や軌道を形成している。
【0086】
示された実施例では、軌道95・96は一組のローラ97に従われ、該ローラ97は、カートにブラケット98上で取り付けられ、該ブラケット98は、カートを軌道95・96のうちで選択した一つに沿ってカートを導くために、左手位置から、図示する右手位置98Aまで移動することができる。
【0087】
さらに、図6には操向装置が示され、該操向装置は、コーナー周りのカートを操縦するため、通路と通路終端の間のコーナーにおいて、カートの背後を人が歩く際に使用する。従って、レバー装置100は後部カートセクションの上部に、例えば図示するように、垂直回動軸101を中心に旋回するハンドルの形で設けられている。該レバーは前部カートセクションの各側に2つの直接延出するケーブル102によって接続され、そして、カートがゆっくり前進する際に、コーナー周りの旋回を効率良く行うため、前部カートセクションを必要な操向方向に牽引するように動作する。これにより、一人のオペレータが、カート内の雄豚を動かしたり邪魔したりすることなく、しかも、著しい肉体的努力を伴うことなく、背後から操作することができる。前記の単純なケーブルは、ケーブルとプーリからなる装置や、回動軸13に集中するスプロケットを駆動するチェーンのような、より複雑なリンク機構と取り替えることができる。該ハンドルは、他のレバー装置や、手動又はモータ駆動のウインチと取り替えることができ、該ウインチにより、ケーブルやチェーンが牽引される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 前方直進姿勢にあるカートを示す、本発明に係るカートの第1実施例の平面図である。
【図2】 右コーナーに移動するため、一側に向かう姿勢にある、図1に示すカートの底面図である。
【図3】 図1のカートの側面図である。
【図4】 前ステアリング・前キャスタ輪を更に詳細に示す、図2と同じ底面図である。
【図5】 本発明に関する第2実施例を示す、図2と同じ底面図である。
【図6】 本発明に関わる別実施例を示す、図1と同じ平面図である。

Claims (9)

  1. 受精時に雌豚との相互作用のため、雌豚受精区域の通路沿いに雄豚を運ぶための雄豚カートであって、
    雄豚が立つための檻床面、雄豚を組立檻の縦方向で飼育できるよう雄豚の動きを制限するために前後方向の中心線の各側に設けた二つの檻側面、および前後方向への雄豚の動きを制限するために設けた檻前面・檻後面とを含む、雄豚を入れるための組立檻よりなっており、
    該組立檻には、雄豚の出入りを可能とする少なくとも一枚のドアが具備されており、
    該組立檻は、該組立檻の中に入れて雄豚を運ぶための通路に沿って、通常は長手方向に移動する接地輪上に据え付けられており、
    該組立檻には、雄豚の前足と前部位を支えるための前部と、雄豚の後ろ足と後ろ部位を支えるための後部とが備えられており、
    該組立檻が、ある通路から別の通路へのコーナーを回って移動できるよう、該組立檻の前部は、垂直回転軸を中心として旋回可能に該組立檻の後部に連結されており、
    該旋回をなすべく、略該中心線上に該垂直回動軸を設置する回動継手を備えており、これにより、該組立檻は、雄豚が該組立檻に入ったままで通路の左右のコーナーを移動するよう、前方直進連結姿勢から左右両方へと関節状に曲折可能となっていることを特徴とする雄豚カート。
  2. 前記組立檻は、前記檻床面に平行で側壁上端に配置されるトップ部材を有しており、前記回動継手は、該檻床面に配置される第1軸受部材と該トップ部材に配置される第2軸受部材とを有していることを特徴とする請求項1記載の雄豚カート。
  3. 前記前部は前記檻床面の前部分を含み、前記後部は該檻床面の後部分を含むものであり、該檻床面の前部分と後部分とは、前記前方直進姿勢で重なるように配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の雄豚カート。
  4. 左右方向へ関節状に曲折する間に側壁同士の間隔が変化するように、前記前部の側壁は、前記後部の側壁と切り離されており、これにより、該両部が関節状に曲折する間、一側では側壁同士が接近し、他側では側壁同士が離間されるものとしており、前記間隔の変化に適応するように配置された該側壁同士の間には、変形可能な規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項に記載の雄豚カート。
  5. 略前記中心線上にそれぞれ配置されて前後方向に離間する2本の平行軸を中心として、関節状の曲折を可能とする第2回動継手が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちのいずれか1項に記載の雄豚カート。
  6. 前記回動継手は、前方直進連結姿勢で前記前部と前記後部とを固定するための固定具を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載の雄豚カート。
  7. 前記組立檻は、通路沿いに該組立檻を駆動する少なくとも1個の駆動輪と、通路沿いに該組立檻を案内する少なくとも1個の操向輪とを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちのいずれか1項に記載の雄豚カート。
  8. 前記檻前面と檻後面の少なくとも一つは外に向かって弓形に曲げられており、これにより、雄豚近辺の高さが檻床面よりも外方に突出し、該組立檻の全長に関係する檻床面の長さを減少させて、コーナー移動を助けることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちのいずれか1項に記載の雄豚カート。
  9. コーナーを移動するために前記前部の操向動作を効率良く操作可能とすべく、前記後部の後方に立つ人により操作されるよう、該後部に手動操作操向装置を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちのいずれか1項に記載の雄豚カート。
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