JP4666354B2 - 交流交流電力変換器の制御装置 - Google Patents
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Description
以下、従来技術として、マトリクスコンバータを用いて電動機を駆動するシステムにつき説明する。
図10において、51は三相交流電源、52はコンタクタ、60はマトリクスコンバータ、70はエレベータ駆動用の交流電動機、81は巻上機、82は釣り合い錘、83は乗りかごである。また、53は交流電源51の停電を検出する停電検出器、54は荷重検出器、55は停電検出器53及び荷重検出器54の出力信号に基づいてマトリクスコンバータ60の交流スイッチをスイッチングするための制御装置、56は停電検出器53及び蓄電池90の電圧に基づいて半導体スイッチ58に対する制御信号を出力する制御回路、57は回生エネルギー消費用の抵抗、59はコンタクタである。
そこで、停電検出器53により停電を検出した際に、コンタクタ52を開放して交流電源51を切り離し、その後、コンタクタ59を投入して蓄電池90をマトリクスコンバータ60の入力側に接続し、制御装置55により停電時の非常運転を行っている。
このため、上記従来技術では、蓄電池90の電圧を検出して制御回路56に入力し、その電圧が所定の閾値を超えた場合には制御回路56により半導体スイッチ58をオンさせて回生エネルギーを抵抗57により消費している。
上記動作により、回生運転時の蓄電池90や交流スイッチの破損を防止することが可能である。
前記電動機の電流を検出する手段と、
この手段による電流検出値を、電動機磁束に平行なd軸電流及びこれに直交するq軸電流に変換する座標変換手段と、
前記d軸電流及びq軸電流が、d軸電流指令及びq軸電流指令にそれぞれ一致するように前記電力変換器の出力電圧を調節する電流調節手段と、
前記非常運転時に発生する非常運転判定信号により前記d軸電流指令の上下限範囲を制御し、電動機電流を増加させて前記電力変換器への回生エネルギーを前記電動機によって消費させるためのd軸電流指令調節手段と、を備えたものである。
電動機磁束に平行なd軸電流指令及びこれに直交するq軸電流指令に基づいて前記電力変換器の出力電圧を制御する手段と、
前記非常運転時に発生する非常運転判定信号により前記d軸電流指令の上下限範囲を制御し、電動機電流を増加させて前記電力変換器への回生エネルギーを前記電動機によって消費させるためのd軸電流指令調節手段と、を備えたものである。
更に、本発明は、請求項5に記載するように、電解コンデンサ等の大形のエネルギーバッファを持たずに交流電源電圧を直接、交流電圧に変換するマトリクスコンバータ等の直接変換器に適用可能である。
また、請求項2の発明によれば、電流調節手段を持たない制御装置において、d軸電流指令を制御することにより請求項1と同様に回生エネルギーを電動機の一次巻線にて消費し、外部のエネルギー処理回路を不要にしたり、処理エネルギーを低減させることができる。
更に、本発明は、同期電動機、誘導電動機の何れを駆動する場合にも適用可能であり、非常運転時以外の通常運転時に損失が増大することもなく、制御の切替などもスムーズに実現可能である。
まず、図1は本発明の第1実施形態を示すブロック図であり、交流交流電力変換器としてのマトリクスコンバータにより同期電動機を駆動する場合のものである。
図1において、1は三相交流電源、2は切替スイッチ、3は非常用蓄電池であり、図示されていない停電検出器によって電源1の停電を検出した際に、切替スイッチ2の動作により三相交流電源1から非常用蓄電池3に電源を切り替えるように構成されている。
この実施形態では、同期電動機8の電流をその回転磁束と平行な軸(d軸)成分とこれに直交する軸(q軸)成分とに分離し、トルクを高精度に制御するベクトル制御を行っている。なお、ベクトル制御の内容については公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
出力電圧指令vd *,vq *が入力される座標変換手段63は、出力電圧指令vd *,vq *をd,q回転座標上から静止座標上の交流成分に変換して三相各相の出力電圧指令vu *,vv *,vw *を生成し、マトリクスコンバータパルス演算手段65に出力する。
マトリクスコンバータパルス演算手段65は、出力電圧指令vu *,vv *,vw *に応じて、マトリクスコンバータ5を構成する交流スイッチのパルスパターンを生成し、このパターンに基づき合計18個の半導体スイッチング素子に対する駆動パルス(PWMパルス)を生成してマトリクスコンバータ5をスイッチングする。これにより、マトリクスコンバータ5によって同期電動機8が駆動されることになる。
まず、図3は、同期電動機(例えば永久磁石型同期電動機)の等価回路、図4はd,q回転座標上の電圧、電流のベクトル図を示しており、これらの図において、eはマトリクスコンバータ等の電力変換器の端子電圧、iは電動機電流、R1は一次巻線の抵抗、L1は同じくインダクタンス、emは速度起電力、ωは電力変換器の一次角周波数、Ψは電動機の鎖交磁束である。
このとき、同期電動機8の二次側で発生するエネルギーPは、鉄損を無視すると数式1によって表される。
[数1]
P=emiq
[数2]
Ploss=√{(ωL1)2+(R1)2}×i2=Zmi2
なお、Zmは一次巻線のインピーダンスである。
[数3]
Pin=P−Ploss
[数4]
i=√(id 2+iq 2)
このため、d軸電流idを積極的に流して電流iを増加させれば、数式2により損失Plossが増加し、数式3によって非常用蓄電池3に回生されるエネルギーPinは減少することとなる。
例えば、d軸電流idをq軸電流iqと同じ量だけ流した場合の電流iは、数式4から、d軸電流idがゼロの場合の√2倍となり、電動機8の一次巻線で発生する損失Plossは、数式2により2倍になるので、その分だけ回生エネルギーPinを減少させることができる。
図5において、演算手段611は、q軸電流iq、角周波数ω、電動機パラメータ(一次巻線抵抗R1及びインダクタンスL1)を用いて数式6の右辺を演算し、これをd軸電流指令id *の上限値として出力する。この上限値または通常運転時のd軸電流指令“0”は、停電による非常運転時に演算手段611側に切り替わる切替スイッチ612を介してローパスフィルタ613に入力され、その出力が上限値としてリミッタ614に設定されている。なお、このリミッタ614の下限値は上述したように−idmaxに設定されている。
上記ローパスフィルタ613は、非常運転時の切替の際にd軸電流指令id *(id **)が跳躍するのを防止するために挿入されているものである。
図6はこれら一連の動作を示すフローチャートであり、通常運転時は前述の如く切替スイッチ612に“0”がセットされ(ステップS3)、非常運転時には、ステップS1,S2,S4を経てd軸電流指令id *が上限値及び下限値の範囲内に制御され(S5〜S8)、id **として出力される。
このように、本実施形態では非常運転時にd軸電流指令が自動的に制御されて電動機8の電流を増加させるため、回生エネルギー処理回路を用いなくても適切に回生エネルギーを処理することが可能である。
更に、d軸電流指令id **の演算方法は種々存在するが、非常運転時に回生エネルギーを電動機によって処理するために電動機電流を増加させるような演算方法、演算手段であれば、全て本発明に包含されるものである。
図8は、図7におけるマトリクスコンバータ制御手段9の構成を示すブロック図である。この実施形態では、上述のごとく電流検出手段を持たないため、出力電圧演算手段92がq軸電流指令iq *及びd軸電流指令id **から電動機パラメータを用いて出力電圧指令vd *,vq *を演算する。なお、vd *,vq *の演算方法については種々知られているため、説明を省略する。
以下では、本実施形態の主要部であるd軸電流指令調節手段91の構成及び作用を、図9を参照しつつ説明する。なお、図8において、d軸電流指令調節手段91にはq軸電流指令iq *がd軸電流指令id *と共に入力されている。
なお、数式8に示した下限値は、負荷が同期電動機である場合と同様に演算して簡易的に求めたものである。すなわち、誘導電動機の場合には、d軸電流を調節すると電動機磁束が変化するが、d軸電流を定格値以上流すと電動機磁束が飽和して電動機の二次側の発生エネルギーは変化しないと仮定した上で求めた値である。
つまり、d軸電流指令id **は数式9の範囲で制御されることになる。
更に本発明は、大形のエネルギーバッファを有しないマトリクスコンバータ等の交流交流電力変換器のみならず、従来のエネルギーバッファを有するインバータ装置にも適用可能である。
2:切替スイッチ
3:非常用蓄電池
4:入力フィルタ
5:マトリクスコンバータ
6,9:マトリクスコンバータ制御手段
7:電流検出手段
8:同期電動機
10:誘導電動機
61:d軸電流指令調節手段
62:電流調節手段
63,64:座標変換手段
65:マトリクスコンバータパルス演算手段
611:演算手段
612:切替スイッチ
613:ローパスフィルタ
614:リミッタ
91:d軸電流指令調節手段
92:出力電圧演算手段
93:座標変換手段
94:マトリクスコンバータパルス演算手段
911:演算手段
912:切替スイッチ
913:ローパスフィルタ
914:リミッタ
Claims (5)
- 交流電源電圧を任意の大きさ及び周波数の交流電圧に変換して電動機に供給し、かつ、交流電源電圧の低下時には非常用電源による非常運転が可能な交流交流電力変換器の制御装置において、
前記電動機の電流を検出する手段と、
この手段による電流検出値を、電動機磁束に平行なd軸電流及びこれに直交するq軸電流に変換する座標変換手段と、
前記d軸電流及びq軸電流が、d軸電流指令及びq軸電流指令にそれぞれ一致するように前記電力変換器の出力電圧を調節する電流調節手段と、
前記非常運転時に発生する非常運転判定信号により前記d軸電流指令の上下限範囲を制御し、電動機電流を増加させて前記電力変換器への回生エネルギーを前記電動機によって消費させるためのd軸電流指令調節手段と、
を備えたことを特徴とする交流交流電力変換器の制御装置。 - 交流電源電圧を任意の大きさ及び周波数の交流電圧に変換して電動機に供給し、かつ、交流電源電圧の低下時には非常用電源による非常運転が可能な交流交流電力変換器の制御装置において、
電動機磁束に平行なd軸電流指令及びこれに直交するq軸電流指令に基づいて前記電力変換器の出力電圧を制御する手段と、
前記非常運転時に発生する非常運転判定信号により前記d軸電流指令の上下限範囲を制御し、電動機電流を増加させて前記電力変換器への回生エネルギーを前記電動機によって消費させるためのd軸電流指令調節手段と、
を備えたことを特徴とする交流交流電力変換器の制御装置。 - 請求項1または2に記載した交流交流電力変換器の制御装置において、
前記電動機が同期電動機であることを特徴とする交流交流電力変換器の制御装置。 - 請求項1または2に記載した交流交流電力変換器の制御装置において、
前記電動機が誘導電動機であることを特徴とする交流交流電力変換器の制御装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した交流交流電力変換器の制御装置において、
前記交流交流電力変換器は、エネルギーバッファを持たずに交流電源電圧を直接、交流電圧に変換する直接変換器であることを特徴とする交流交流電力変換器の制御装置。
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