JP4664866B2 - 光処理素子 - Google Patents
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このような素子は、例えば、液晶パネルや有機ELディスプレイの画素のオン・オフに利用されるほか、エリプソメトリーなどの光計測技術や、レーザー干渉計、光シャッターなど、様々な光学機器ならびに計測機器に利用されている。
特に、液晶プロジェクタなどの画像投影装置への需要が伸びている。
現在特に液晶パネルに用いられる偏光板の多くは、ポリビニルアルコールなどの基板フィルムにヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸着させ、高度に延伸・配向させることで吸収二色性を発現させるものである。
一方、1/2波長板や1/4波長板のようなリターデーションプレート(または位相シフター)は、複屈折性の光学結晶により作られ、常光線と異常光線の屈折率の違いにより偏光状態を変調するものである。
この常光線と異常光線の光路差が波長の1/2となるものが1/2波長板であり、1/4となるものが1/4波長板である。このような、複屈折性を示す材料としては、方解石や水晶が用いられる。
また、屈折率の異方性を利用する偏光制御素子においては、複屈折性を示す光学結晶材料が限定されており、使用できる波長領域に制限があるなどの課題がある。
また、光学結晶材料を貼り合わせることにより膜厚、すなわち光路差を調整し、偏光状態を制御しているので、光学結晶材料に対する依存性が強く、偏光制御性の自由度が低い。また、偏光制御素子自体を小型化、薄型化することが困難であるなどの課題がある。
この共鳴格子の構造は図17に示すように、低屈折率の基板100上に高屈折率の導波層101と格子層102が形成されている。この格子層102で回折された光の伝播定数が2次元導波路の伝播モードに一致するとき、回折波は導波層101を伝播するが、回折によってこの導波層101を伝播している光は格子によって再度回折波となり基板100上部に放射される。
この格子層102が1次元周期のとき、入射光の偏波状態によって反射光の特性が変化するため、入射光の偏光を分離することができる。
回折格子層102の作製方法としては、導波路表面にエッチングで周期溝回折格子を作製する方法や、あらかじめ凹凸の周期構造を持つ基板に高屈折率膜を成膜する方法などがある。
これに対し近年の微細加工技術の進歩により、特許文献1に開示されているように、可視波長(400〜700nm)で駆動できるワイヤグリッド構造が提案されている。
また、偏光状態を制御する波長板または位相板を二次元表面における光の相互作用により実現する方法として、非特許文献2、3に示すような、支持基板上に微小な金属パターンを形成することにより偏光状態を制御する提案が行われている。
また、非特許文献3では、平滑なSi基板上に、卍型やC型またはその鏡像対称の金属パターンを有し、パターンの端部の傾きが直角から傾いたカイラリティを有しており、この傾きの大きさに依存して、偏光方向の二成分に位相差が生じ、また、パターン端部の向きに依存して右回り、および左回り偏光の違いが生じる光学素子が提案されている。
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の光処理素子において、前記回折格子層が、平行な凸部のパターンからなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の光処理素子において、前記単位配列パターンが基板上に形成された金属層上もしくは金属板上に形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のいずれかに記載の光処理素子において、前記微小な金属構造体が、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、もしくは銅(Cu)の何れか、または、これらの組み合わせ、または、これらの合金で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、微小金属構造体間の近接場光相互作用を効率よく利用することが可能であり、任意の偏光方向を有する光を高効率に選択することができる設計自由度の高い光処理素子を実現することができる。
図1に示すように、本実施形態に係る光処理素子1では、基板の最表面に、入射波長に共鳴反射するように平行に形成された1次元周期パターンからなる回折格子層2が形成されている。さらに、その下部に高屈折率の導波層3が形成されている。回折格子層2は、平行な溝のパターンや平行な凸部のパターンなどにより構成される。
上面から入射した光は、最表面の回折格子層2で回折され、その伝播定数が下部に形成された高屈折率の2次元導波路(導波層3)の伝播モードに一致するとき、回折波は導波層3を伝播する。
この回折によって導波層3を伝播している光は最表面に形成された回折格子層2によって再度回折波となり基板上部に放射される。
回折格子層2が1次元周期の平行パターンのとき、入射光の偏波状態によって反射光の特性が変化するため、入射光の偏光を分離することができる(P偏光が反射され、S偏光が透過する)。
したがって、回折格子層2は偏光分離処理領域として機能する。図1において、符号4は導波層3に対して低屈折率の基板部位を、符号5は基板下部を示している。
ここで90度偏光が回転するように設定すれば、この光処理素子1により偏光を揃えることが可能である。表面の回折格子層2の作製方法は、導波路3の表面にエッチングで周期溝回折格子を作製する方法や、あらかじめ凹凸の周期構造を持つ基板に高屈折率膜を成膜する方法などがある。
この1次元周期パターンを形成する凹凸の形状は、その断面形状が、正方形、長方形、三角形、半球形状、楕円形状でもよい。
導波層3には、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF2、Si、ZnSe、Al2O3などの光学結晶材料などが利用できる。
このような金属微細構造パターンが形成された基板に対して光を照射すると、入射偏光に対して微小金属構造体が非対称に存在する場合、各微小金属構造体に生じる局在表面プラズモンの共鳴周波数に依存して、微小金属構造体間に生じる近接場相互作用により、各微小金属構造体間で位相差が生じる。
そのため、各微小金属構造体からの光が重畳された反射光あるいは透過光の偏光成分にも位相差が生まれ、出射光における偏光状態を変換することができる。ここでは、直線偏光8を楕円偏光9に変換する例を示している。また、ドットの共鳴効果による偏光選択性を利用して、1偏光成分を取り出すことができる。またドット間の間隔を調整することで、出射光の位相や振幅を調整することが可能である。
図3は、数値計算に使用したモデルを表しており、空気中に存在するサイズ(直径)40nmの二つのAu球における近接する端部の間隔dを0〜80nmまで変化させた場合の、反射遠方場における偏光状態の変化を調べた。Auの光学定数は、屈折率n=0.072、k=1.496を用いた。この値は、金属球が50nm以下程度に小さくなった場合に、金属球のサイズに依存した光学定数の変化を考慮した値である。
40nmのAu微小球のプラズモン共鳴波長近傍である波長544nmを用い、図3に示すxy面内においてx軸から45°の方向に電界の振動方向をもつ平面波を照射する計算を行った。
図4は振幅比との関係を示しており、dが大きな領域においては振幅比が1に近づき、偏光面(電界の振動方向)が入射光の偏光方向と一致していることがわかる。これに対し、d=0近傍に近づくにつれて、振幅比が増加し、すなわち偏光面がy方向へ傾く。
一方、図5は電界のx成分とy成分の位相差との関係を示している。dがゼロに近づくほど、位相差が大きくなり、d=0の場合に位相差が45°程度となる。
金属材料としてAg微小球を使用した場合にも、同様の計算結果が得られるが、この場合、偏光状態に変化の生じる波長領域はAg微小球のプラズモン共鳴波長近傍である波長400nm近傍であった。
aで示す直径10nmの場合の共鳴波長は420nm近傍であるが、微小金属構造体の直径をeで示す50nmとしたときには、共鳴波長は450nm近傍と長波長側に共鳴波長がシフトすることがわかる。
すなわち、微小金属構造体の大きさを変化させることで、共鳴波長を選択でき、特定の入射波長のみに偏光面の回転などの作用を及ぼすことができる。
図示しないが、実際には単位処理領域Sが基板上に複数形成されている。
本実施形態では金属粒子を円形状としているが、他の形状、例えば楕円構造や多角形状構造であっても良い。また、円形状の構造を連続して配置し、擬似的に楕円形状構造を形成するような構成でも良い。このような構造は、電子ビームリソグラフィ、DUV・EUVリソグラフィ、ナノインプリント、材料物性の変質を利用したエッチングなどの微細加工技術を利用して作製することが可能であり、各微小金属構造体7の形状は上記構造に特に限定される必要はなく、半球形状、円柱形状、半回転楕円体形状、楕円柱形状、多角柱形状、錐体形状の何れかでもよく、特に円柱形状や、半球形状などのものが作製しやすい。
このときR、d0、d1、d2ともに入射光の波長よりも十分小さいことが望ましい。また隣接した微小金属構造体間に生じる近接場相互作用を利用するため、少なくともd<Rである必要があり、d1とd2は隣接構造のパターン間の相互作用の影響を少なくするため、Rよりも大きい必要がある。
また、図10に示すように、3個もしくは複数個(3個以上)の微小金属構造体7の組み合わせでL字形状に配列されたパターンを形成してもよい。
図8に示すパターン同様に、隣接した微小金属構造体との間隔は微小金属構造体の大きさよりも十分小さく、またL字もしくはV字形状のパターンの間隔は構成する微小金属構造体の大きさよりも十分大きいほうが好ましい。
このときも入射する光の偏光方向は形成された微小金属構造体に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
このときも入射する光の偏光方向は形成された微小金属構造体に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
この場合は、図12に示す構造と対称な構造(ハーケンクロイツ状)でも同様である。ここでも図8に示す構成と同様に、隣接した微小金属構造体との間隔は微小金属構造体の大きさよりも十分小さく、また十字または卍字形状のパターン間の間隔は構成する微小金属構造体の大きさよりも十分大きいほうが好ましい。
このときも入射する光の偏光方向は形成された微小金属構造体に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
この金属膜上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層に電子線描画やX線描画などの手法により、所望の微細構造に相当するパターンを残すようにレジストパターンを形成する。その後、不要部分の金属膜を例えばRIEなどによりエッチングを行うことで、所望の微細構造金属パターン(微小金属構造体パターン)を形成することができる。
その後、金、銀、アルミニウムなどの金属材料をCVD等の化学蒸着法や物理蒸着を用いた成膜法、あるいは鍍金等の堆積法でレジストパターン上に薄膜状に形成する。その後、レジスト膜を除去することで、レジスト膜上に形成された不要部分の金属膜を除去することで、所望の微細構造金属パターンを形成することができる。
無機材料としての基板には、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF2、Si、ZnSe、Al2O3などの光学結晶材料などが利用できる。
第1の実施形態と同様に、基板の最表面に、入射波長に共鳴反射するように平行に形成された1次元周期パターンからなる回折格子層2が形成されている。さらに、その下部に高屈折率の導波層3が形成されている。
上面から入射した光は、最表面の回折格子層2で回折され、その伝播定数が下部に形成された高屈折率の2次元導波路の伝播モードに一致するとき、回折波は導波層3を伝播する。この回折によって導波層3を伝播している光は最表面に形成された回折格子層2によって再度回折波となり基板上部に放射される。
偏光が揃っている、分離されて透過した光は、さらに回折格子層2、導波層3の下部に形成された偏光回転処理領域6によって、任意の偏光方向の光に変換され、偏光回転処理領域6の下方の基板下部5の屈折率を調整することで、偏光回転処理領域6に入射した光は全反射し、偏光分離処理領域下部の高屈折率の導波層3に再結合し、導波層3を伝播する光は最表面に形成された回折格子層2によって再度回折波となり基板上部にすべて偏光の向きが揃った光として放射される(すなわち、本実施形態では基板下部5を全反射層としている)。
表面の回折格子層2の作製方法は、導波層3の表面にエッチングで周期溝回折格子を作製する方法や、あらかじめ凹凸の周期構造を持つ基板に高屈折率膜を成膜する方法などがある。
この1次元周期パターンを形成する凹凸の形状は、その断面形状が、正方形、長方形、三角形、半球形状、楕円形状でもよい。
本実施形態では、偏光分離処理領域として、基板の最表面に入射波長に共鳴反射するように交互に屈折率の異なる1次元周期パターンからなる回折格子層2’が形成されている。
回折格子層2’は一体に平面的に形成され、上面から入射した光は、屈折率が1次元的周期に変化している回折格子層2’で回折され、基板上部に放射される。
この回折格子層2’が1次元周期の平行パターンのとき、入射光の偏波状態によって反射光の特性が変化するため、入射光の偏光を分離することができる(P偏光が反射され、S偏光が透過する)。
表面の回折格子層2’の作製方法は、基板の表面にエッチングで周期溝回折格子を作製した後に異なる屈折率を有する膜を成膜し、その後表面を研磨等で平滑化する方法や、ガラス基板等にTiなどの金属を1次元周期パターン状に形成した後、温度を上昇し拡散させ異なる屈折率パターンを形成する方法、などにより形成することができる。
本実施形態では偏光分離処理領域として、基板の最表面に、入射波長に共鳴反射するように基板より高い屈折率を持つ凸状の1次元周期パターンからなる回折格子層2’’が形成されている。
上面から入射した光は、屈折率が1次元的周期に変化している回折格子層2’’で回折され、基板上部に放射される。
回折格子層2’’が1次元周期の平行パターンのとき、入射光の偏波状態によって反射光の特性が変化するため、入射光の偏光を分離することができる(すなわち、P偏光が反射され、S偏光が透過する)。
表面の回折格子層2’’は、基板に高屈折率材料を蒸着などで成膜した後、表面をパターンニングして高屈折率材料をエッチングすることにより形成することができる。
高屈折率材料としては石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF2、Si、ZnSe、Al2O3などの光学結晶材料などが利用できる。
第1の実施形態と同様に、基板の最表面に、入射波長に共鳴反射するように平行に形成された1次元周期パターンからなる回折格子層2が形成されている。さらに、その下部に高屈折率の導波層3が形成されている。
上面から入射した光は、最表面の回折格子層2で回折され、その伝播定数が下部に形成された高屈折率の2次元導波路の伝播モードに一致するとき、回折波は導波層3を伝播する。この回折によって導波層3を伝播している光は最表面に形成された回折格子層2によって再度回折波となり基板上部に放射される。
回折格子層2が1次元周期の平行パターンのとき、入射光の偏波状態によって反射光の特性が変化するため、入射光の偏光を分離することができる(P偏光が反射され、S偏光が透過する)。
表面の回折格子層2の作製方法は、導波層3の表面にエッチングで周期溝回折格子を作製する方法や、あらかじめ凹凸の周期構造を持つ基板に高屈折率膜を成膜する方法などがある。この1次元周期パターンを形成する凹凸の形状は、その断面形状が、正方形、長方形、三角形、半球形状、楕円形状でもよい。
反射領域(基板下部5)として、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)のいずれか、または、これらの組み合わせ、または、これらの合金をCVD等の化学蒸着法や物理蒸着をもちいた成膜法、あるいは鍍金等の堆積法で薄膜状に形成することができる。反射領域は金属板としてもよい。
3 導波層
7 金属構造体
P 単位配列パターン
S 単位処理領域
Claims (8)
- 表面に回折格子層、及び前記回折格子層の下部に、低屈折率の基板上に形成された高屈折率な導波層を有し、その下部に、処理すべき光の波長λに対し、最も大きい部分のサイズDが、D<λの関係となる形状の微小な金属構造体を複数個、前記微小な金属構造体間の端部の間隔d(<D)を隔して所定の配置で配列して単位配列パターンとし、この単位配列パターンを2次元的に配列させた単位処理領域が基板上に複数形成されてなることを特徴とする光処理素子。
- 請求項1に記載の光処理素子において、
前記回折格子層が、平行な溝のパターンからなることを特徴とする光処理素子。 - 請求項1に記載の光処理素子において、
前記回折格子層が、平行な凸部のパターンからなることを特徴とする光処理素子。 - 表面に周期的に屈折率の異なる1次元周期パターン層を有し、その下部に、処理すべき光の波長λに対し、最も大きい部分のサイズDが、D<λの関係となる形状の微小な金属構造体を複数個、前記微小な金属構造体間の端部の間隔d(<D)を隔して所定の配置で配列して単位配列パターンとし、この単位配列パターンを2次元的に配列させた単位処理領域が基板上に複数形成されてなることを特徴とする光処理素子。
- 表面に、凹凸構造を有し基板よりも高屈折率な平行パターン層を有し、その下部に、処理すべき光の波長λに対し、最も大きい部分のサイズDが、D<λの関係となる形状の微小な金属構造体を複数個、前記微小な金属構造体間の端部の間隔d(<D)を隔して所定の配置で配列して単位配列パターンとし、この単位配列パターンを2次元的に配列させた単位処理領域が基板上に複数形成されてなることを特徴とする光処理素子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光処理素子において、
前記単位配列パターンが基板上に形成された金属層上もしくは金属板上に形成されていることを特徴とする光処理素子。 - 請求項6に記載の光処理素子において、
前記金属層が、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)のいずれか、または、これらの組み合わせ、または、これらの合金で構成されていることを特徴とする光処理素子。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の光処理素子において、
前記微小な金属構造体が、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、クローム(Cr)、もしくは銅(Cu)の何れか、または、これらの組み合わせ、または、これらの合金で構成されていることを特徴とする光処理素子。
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