JP2013539061A - 双方向円柱対称の偏光変換器およびデカルト−円柱偏光変換方法 - Google Patents

双方向円柱対称の偏光変換器およびデカルト−円柱偏光変換方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、偏光状態の空間分布を変換するための双方向デカルト−円柱変換器(7)に関し、当該変換器は、直線偏光された、空間的に一様な偏光分布ビームを受け取り、それを、対称軸に関する偏光状態のラジアルまたはアジマス分布を有するビームに変換するラジアル偏光変換器(3)、および前記ラジアル偏光変換器(3)によって引き起こされた位相シフトを補償するための光学手段(6)であって、前記ラジアル偏光変換器(3)によって導入された位相シフトを補償するように空間的に一様な位相シフトを導入することが可能な光学補償手段(6)を備えている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、光学偏光変換器システムに関する。より詳細に述べれば、本発明は、伝播の第1の向きにおいて、空間的に一様な偏光のビームを光軸に関して円柱対称の偏光状態分布を有するビームに変換するための双方向光学システムであって、前記第1の向きとは反対の伝播の向きにおいて、光軸に関して一般化された円柱対称の偏光状態分布を有するビームを空間的に一様な偏光ビームに変換することが可能な双方向光学システムに関する。本発明のデカルト−円柱偏光変換器は、好ましくは無彩色である。
偏光計、楕円偏光計等々といった非常に多くの光学測定デバイスは、光−物質の相互作用において偏光される光の比特性を使用している。科学的計装は、特にレーザ・ソースによって発射される偏光された光、より多くの場合には直線偏光された光を使用する。結像テクニックもまた、偏光された光の特性を使用して画像のコントラストを向上させている。したがって、位相コントラスト顕微鏡または干渉コントラスト顕微鏡は、複屈折エレメントを組み込み、配景の寄与を差し引いて画像のコントラストが向上するように、それぞれが互いに垂直となる偏光状態を有する2つのビームに光ビームを分割し、かつそれらを再結合している。
より多くの場合、空間的に均質な偏光の光ビームが使用され、この偏光されたビームは、光源によって直接生成されるか(たとえば、レーザ)、または偏光されない光源と1つまたはいくつかの光学構成要素(偏光器、波長板、偏光回転子・・・)の組み合わせによって生成される。その場合の空間的に均質な偏光状態分布を有するビームについての偏光状態は、ビームの光軸に対して垂直な波平面内におけるデカルト系の2つの直交軸(x,y)を定義するベクトル基底で、それの座標によって記述することが可能である(図1B参照)。
しかしながら、はるかに多くの応用においては、空間的に不均質な偏光された光を使用することが望ましい。この場合においては、ビームの偏光状態が、より多くの場合には回転対称性(たとえばラジアルまたはアジマス偏光)を伴う不均質な偏光状態分布であり、それに対しては、極座標基底(r,φ)の方がより適合する(図1B)。実際、ラジアル偏光ビームの焦点設定が、非偏光ビームの焦点設定の限界直径より低いビーム・サイズへの到達を可能にすることが実証されており、このことは、たとえばマイクロ・リソグラフィにおける主要な進歩を構成する。
ラジアルまたはアジマス偏光状態分布を有するビームについての関心は、均質な偏光状態分布から不均質な偏光状態分布への変換を可能にする構成要素についての要求を随伴している。
空間的に一様な直線偏光のビームからラジアルまたはアジマスいずれかの偏光分布を有するビームへの変換を行なう多様な構成要素が開発された。利用可能な構成要素は多様な次のようなテクノロジを基礎としている。
− 第1のカテゴリは、入射ビームの偏光を局所的に修正するように軸が角度的に分配された扇形の波長板のアッセンブリから形成された構成要素を備えている。たとえば、特許文献1は、8つの明確に区別される角度のある扇形領域を備えている構成要素について述べている。しかしながら、このタイプの構成要素では、連続的な空間偏光状態分布を得ることが可能にならない。
− 第2のカテゴリは、特許文献2または非特許文献1の発表内容の中で述べられているような回折格子パターンの組み合わせに基づく光学構成要素を含む。
− 最後は、液晶に基づいた構成要素が挙げられる。非特許文献2の発表内容は、液晶セルに基づいたラジアルおよびアジマス偏光変換器を述べており、これは、直線偏光された空間的に一様な光ビームを、入射直線偏光の向きが液晶セルの整列の軸と平行であるか、または垂直であるかに従ってラジアルまたはアジマス偏光いずれかの光ビームに変換することを可能にする。非特許文献3の発表内容は、それと同じ特性を有する構成要素を述べている。
ストールダー(Stalder)およびシャット(Schadt)(非特許文献2)の発表内容は、特に、2つの主要な液晶層を備えている液晶セルについて述べており、それにおいて第1の層の液晶は互いに対して平行に整列されるように向き付けされ、第2の層の液晶は同心円内に配置される(図1A参照)。それらの両端の層の間に位置する中間の液晶が、それら2つの最終状態の間を漸進的に回転する(図1B参照)。コ(Ko)ほか(非特許文献3)の発表内容においては、第2の液晶の層が放射状に向けられている。
液晶構成要素は、どちらかというと容易に、多様な構成でそれらを作ることが可能であるという利点を提供する。概して言えば、光学液晶構成要素は、「ラビング」およびフォト−アライメント・テクニックによって作られる。
しかしながら、多様な既存の偏光変換器が、入射ビームが直線偏光されており、変換器の固有軸に対して平行または垂直のいずれかに整列されているという特定の条件についての偏光変換を実行することにここで注意することが重要である。変換器の2つの固有軸のいずれか1つに対して平行な直線偏光状態は、実際、極基底への変換の後に、ラジアルまたはアジマスいずれかの偏光分布を与える。
空間的に不均質な、特に円柱対称性に従って空間的に分布された偏光状態分布を有するビームの使用は、偏光されたビームが、光学特性が回転対称である光学システム(たとえば光学レンズ、顕微鏡の対物鏡、または光ファイバ)に結合されたときに特に興味深い。実際、均質(たとえば、直線)偏光された光の平面波ビームが理想的なレンズ4を、それの光軸10に従って照明するというケースでは、結像焦平面内に形成される像点を、幾何学的光学系において、入射角θを伴う光線および入射平面のアジマスφのセットによって記述することが可能である(図2参照)。しかしながら、光軸10に関するレンズ4の回転対称性から、ビームの偏光状態分布が、レンズ4の通過および標本5における反射の両方によって変更され、その結果、入射および反射ビームの偏光状態が、レンズ4の通過の瞬間から入射平面に依存するようになる。これに対し、焦点レンズ4の光軸10上に中心設定されているラジアルまたはアジマスいずれかの偏光分布を有するビームは、それの偏光ベクトル分布を、焦点レンズ4への結合によって擾乱させない。円柱幾何学において、各アジマス平面は、レンズを通過する間にわたってまったく等しい。レンズ4を通過した後の偏光状態分布は、それぞれ、ラジアル偏光分布のまま、またはアジマス偏光分布のまま残る。ラジアルまたはアジマスいずれかの偏光状態分布は、したがって、焦点レンズ4による影響を受けないという利点を有する。
しかしながら、これまでに示した偏光変換器システムは、特定の空間偏光分布のみの獲得を可能にし、特定の使用条件においてのみ動作し、変換器の軸に従って向けられた一様な直線偏光ビームからラジアルまたはアジマスいずれかの偏光分布を獲得することが可能である。
これに対し、空間分布が一様な楕円偏光状態を有するビームから、先行技術によるラジアル偏光変換器は、概して、円柱対称偏光状態分布を有するビームを生成するが、その偏光状態はすでに初期の楕円状態にない。それに加えて、出力から得られる円柱対称偏光状態は、波長への大きな依存も有する。デカルト座標から極座標への、あるいはその逆を行なう全体的な偏光状態基底、基底変更、または全単射のための操作を可能にする構成要素はまったく存在しない。
非一様分布の偏光ビームの技術分野においては、特に、円柱対称タイプの偏光状態分布を有する偏光ビーム(円柱ベクトル・ビームまたはCVビーム)についてここでは論じる。ラジアルまたはアジマス偏光ビームは、いずれも円柱対称ビームの特定のケースであり、それにおいては、偏光状態が線形となり、かつ偏光軸が、ビームの光軸に対してラジアル方向またはアジマス方向のいずれかに分布される。円柱対称の偏光状態分布を有するビームは、そのほかにも存在する。第1には、偏光軸が局所的なラジアル軸に対して一定の角度を有する直線偏光ビームがある。その種のビームは、たとえば、2つの成分pおよびsの間における、位相シフトを伴うことのない線形の組み合わせによって獲得される。円柱対称楕円偏光ビームもまたそれに含まれ、偏光分布が空間的に一様な楕円度の偏光状態を包含し、その楕円軸は、局所的なラジアル角度に対して一定の角度で傾斜される。
一般化された円柱対称偏光ビームは、ラジアル偏光ないしアジマス偏光のいずれにも限定されない円柱対称偏光状態分布を有するビームである。
一様な偏光状態分布を有するビームから、一般化された円柱対称性を伴う何らかの偏光状態の分布(CVビーム)を生成する能力のある偏光変換器はまったく存在しない。逆を言えば、一般化された円柱対称偏光のビームの受け取りおよびそれの空間的に一様な偏光のビームへの変換が可能な偏光変換器はまったく存在しない。
米国特許出願公開第2007/0115551号明細書 米国特許第7,570,427B1号明細書
M.ラーマン(M.Lerman)およびU.レビィ(U.Levy)著「ジェネレーション・オブ・ア・ラディアリィ・ポーラライズド・ライト・ビーム・ユージング・スペース−バリアント・サブウェーブレングス・グレーティングズ・アット・1064 nm(Generation of a radially polarized light beam using space−variant subwavelength gratings at 1064 nm)」オプティクス・レターズ33(Optics Letters 33)、第23号、pp2783−2784、2008年 M.ストールダー(M.Stalder)およびM.シャット(M.Schadt)著「リニアリィ・ポーラライズド・ライト・ウィズ・アキシャル・シンメトリィ・ジェネレーテッド・バイ・リキッド−クリスタル・ポーラリゼーション・コンバーターズ(Linearly polarized light with axial symmetry generated by liquid−crystal polarization converters)」オプティクス・レターズ(Optics Letters)、第21巻、第23号、pp1948−1950、1996年 S−Wコ(S−W Ko)、C.ティング(C.Ting)、A.フー(A.Fuh)およびT.リン(T.Lin)著「ポーラリゼーション・コンバーターズ・ベースド・オン・アキシャリィ・シンメトリック・ツイステッド・ネマティック・リキッド・クリスタル(Polarization converters based on axially symmetric twisted nematic liquid crystal)」オプティクス・エクスプレス(Optics express)18、p3601、2010年
本発明は、これらの欠点を改善することをねらいとし、より詳細に述べれば、双方向デカルト−円柱空間偏光状態分布変換器に関し、前記デカルト−円柱変換器は、伝播の第1の向きにおいて、一様な空間偏光状態分布を有するビームを一般化された円柱対称空間偏光状態分布を有するビームに変換する能力を有し、かつ伝播の第2の向きにおいて、一般化された円柱対称空間偏光状態分布を有するビームを一様な空間偏光状態分布を有するビームに変換する能力を有する。
本発明によれば、デカルト−円柱変換器が、
− 対称軸を有するラジアルおよびアジマス偏光変換器であって、空間的に一様な偏光分布の直線偏光ビームを受け取り、それを、ラジアルまたはアジマス対称の偏光分布を有するビームに変換することが可能なラジアルおよびアジマス偏光変換器と、
− 前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器によって引き起こされた位相差を補償するための光学手段であって、前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器によって導入された位相シフトχの大きさを補償するように、−χに等しい大きさの空間的に一様な位相シフトを導入することが可能な光学補償手段と、を備えている。
本発明の好ましい実施態様によれば、
− ラジアルおよびアジマス偏光変換器が、第1のデカルト対称面および第2の円柱対称面を備え、偏光の固有軸を有する前記光学補償手段が、ラジアルおよびアジマス偏光変換器の前記デカルト面の側に配され、光学補償手段の固有軸が前記デカルト面の固有軸について整列され、
− ラジアルおよびアジマス偏光変換器が、液晶のレクティリニア整列を伴う第1の面および同心円での液晶の整列を伴う第2の面を有する液晶変換器を備え、
− 光学補償手段が、2つの固有軸を伴う複屈折板を備え、前記複屈折板が、それの固有軸に従って向き付けされた直線偏光の間の位相差を導入することが可能であり、前記複屈折板が、前記ラジアルおよびアジマス変換器の第1のデカルト面の側に配される。
本発明の実施態様の多様な側面によれば、
− 複屈折板が、波長範囲にわたってこのデカルト−円柱偏光変換器を無彩色とするように、前記波長範囲にわたってラジアルおよびアジマス偏光変換器の位相差を補償することが可能な厚さを有し、
− 光学補償手段が液晶セルを備えている。
本発明は、本発明の実施態様に従ったデカルト−円柱偏光変換器を備えている光学システムにも関し、本発明の多様な態様によれば、さらに、
− 少なくとも1つの偏光ビーム分割フィルタを備え、
− ラジアル偏光変換器の対称軸上に中心設定される少なくとも1つの光学レンズであって、ラジアル変換器の円柱面の側に配されるレンズを備えている。
また本発明は、先行する実施態様の1つに従ったデカルト−円柱偏光変換器および顕微鏡上において固定されるべく適合された機械的な取り付け具を備えているデカルト−円柱偏光状態変換器顕微鏡対物鏡にも関する。
最後に、本発明は、ラジアルおよびアジマス偏光変換器、および前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器によって引き起こされたラジアルとアジマスの偏光の間における位相差を補償するための光学手段であって、前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器によって導入された位相シフトχの大きさを補償するように、−χに等しい大きさの空間的に一様な位相シフトを導入することが可能な光学補償手段を使用して、伝播の第1の向きにおいて、一様な空間偏光状態分布を有するビームを、同じ偏光状態の一般化された円柱対称の空間分布を有するビームに変換するか、かつ/または伝播の第2の向きにおいて、一般化された円柱対称の空間偏光状態分布を有するビームを同じ偏光状態を伴う一様な空間分布を有するビームに変換する、デカルト−円柱偏光変換の方法にも関する。
本発明は、空間分解楕円偏光法、マイクロ楕円偏光法、楕円偏光コントラスト顕微鏡法、視野コントラスト顕微鏡法、または偏光顕微鏡法の分野において特に有利な応用を見出すことになろう。
本発明はまた、以下の説明によって明らかにされる特徴にも関係し、それらは単独で、または技術的に可能なそれらの任意の組み合わせのいずれにおいても考慮されることになる。
この説明は、非限定的な例として与えられ、以下に挙げる添付図面の参照とともに、どのようにすれば本発明を実装することが可能であるかについてのより良好な理解を可能にする。
先行技術によるラジアルおよびアジマス変換器の分解斜視図である。 デカルトおよび円柱システムにおける偏光状態基底の表現を示した説明図である。 対物鏡の二重通過および標本上における反射後の偏光ビームの伝播の原理の概要を略図的に示した斜視図である。 多様な偏光状態に対するラジアルおよびアジマス偏光変換器の効果を略図的に示した平面図である。 多様な偏光状態に対する本発明による偏光変換器の効果を略図的に示した平面図である。 本発明の実施態様による光学偏光変換器システムを略図的に示した斜視図である。 本発明の実施態様による偏光変換器システムを統合した顕微鏡の対物鏡を略図的に示した断面図である。 ラジアルおよびアジマス変換器によって導入される位相シフトを示した測定値のグラフおよび複屈折補償板の位相シフトのグラフである。 残留位相シフトを波長の関数として示したグラフである。
たとえば、ストールダー(Stalder)およびシャット(Schadt)によって述べられた原理に従った、図1Aに略図的に示されているラジアルおよびアジマス偏光変換器の動作について最初に分析する。その種のラジアル偏光変換器3は、液晶が光軸に対して横行する軸に従って整列されている面3aおよび液晶が光軸上に中心設定される中心Oの同心円に従って整列されている面3bを有する液晶の層を伴うセルを使用する。しかしながらラジアル変換器3の液晶セルは、変換器の固有軸(通常屈折軸nおよび異常屈折軸n)に従って整列された2つの偏光の間に光路差を導入することによって複屈折を生み出す。この光路差の値は、位相差とも呼ばれており、差Δn=n−nと通過液晶の層の厚さdの積である。この光路差が、変換器の固有軸に従って整列された2つの偏光の間に位相シフトχを導入し、それ自体は波長λに依存する。位相シフトχは、次の型どおりの公式によって与えられる。
Figure 2013539061
図1Bは、デカルトおよび円柱システムにおける偏光状態基底の表現を示している。これは、このシステムにおける2つの両端の層の間の結晶の配向の、それらの分布に従った表現を示す。ラジアル偏光変換器3を通過する効果は、ストールダー(Stalder)およびシャット(Schadt)の発表の中で述べられているような構成要素を通じ、ジョーンズ伝達行列の形で表現することができる。初期偏光状態および最終偏光状態を基底(x,y)において表現することによって、このジョーンズ行列は、次のように書くことができる。
Figure 2013539061
初期偏光状態を基底(x,y)において表現し、かつ最終偏光状態を円柱基底において表現することによって、このジョーンズ行列は、次のように書くことができる。
Figure 2013539061
したがって、構成要素の通過に起因する位相シフトχが現われる。
図3は、「デカルト」面3aから「円柱」面3bへ向かう伝播の向きにおける多様な偏光状態に対するラジアルおよびアジマス偏光変換器の効果を略図的に示している。
図3Aは、ラジアル変換器を通過する効果を、直線偏光され、かつ入力面3aの固有軸と平行に整列された入射ビームについて示しており、この入射ビームは、一様な空間偏光状態分布を有する(垂直の矢印によって変換器の左側に図式的に表現されている)。「円柱」面側となるラジアル変換器3の出力においては、図3Zの、直線偏光され、かつ空間偏光状態分布がラジアル状のビーム(変換器の右側に図式的に表現されている)が得られる。
図3Bは、直線偏光され、かつ入力面3aの固有軸に対して垂直に整列された入射ビームの変換を示しており、この入射ビームは、一様な空間偏光状態分布を有する(水平の矢印によって変換器の左側に図式的に表現されている)。「円柱」面側となるラジアル変換器3の出力においては、図3Yの、直線偏光され、かつ空間偏光状態分布がアジマス方向となるビームが得られる。
図3Cは、直線偏光され、かつラジアル変換器の入力面3aの固有軸に対して傾斜された入射ビームの変換を図式的に示している(すなわち、平行(図3A)および垂直(図3B)偏光の線形結合)。「円柱」面側となるラジアル変換器3の出力においては、図3Xの、直線偏光ではなく、楕円偏光されたビーム(ラジアル変換器3によって引き起こされる位相シフトに起因する)が得られる。図3Cのビームの、ラジアル変換器の出力における分布は、回転対称性を有している。したがってそれは、円柱回転対称性を伴う偏光ビーム(CVビーム)である。
図3Dは、円偏光入射ビームの変換を図式的に示している。「円柱」面側となるラジアル変換器3の出力においては、図3Wの、円偏光ではなく、ラジアル変換器3によって引き起こされる位相シフトに起因する楕円偏光されたビームが得られる。
本発明における最初の観察は、ラジアルおよびアジマス変換器が、ラジアル変換器3の固有軸に対して平行または垂直のいずれかとなる直線偏光状態についてのみ、偏光状態を維持するということである。
本発明は、デカルト系における偏光状態から極座標系における同一の偏光状態への切り換えが、入射ビームの偏光状態がどのようであっても完全に動作することを可能にする光学システムを提案する。
第1の実施態様によれば、本発明の光学偏光変換器システム7が、補償手段と結合されたラジアル偏光変換器3を備え、補償手段は、前記ラジアル偏光変換器3によって導入される位相シフトχとは実質的に反対の位相シフトχ’を導入し、言い換えると、χ+χ’≒0である。
初期偏光状態および最終偏光状態を基底(x,y)において表現することによって、本発明に従った変換器のジョーンズ行列は次のとおりに記述される。
Figure 2013539061
初期偏光状態を基底(x,y)において表現し、かつ最終偏光状態を円柱基底において表現することによって、このジョーンズ行列は、次のように書くことができる。
Figure 2013539061
図5は、本発明の好ましい実施態様に従った偏光変換器システムを示している。光学偏光変換器システム7は、位相シフトを補償するための手段および、光軸10上に中心設定されたラジアル偏光変換器3を備えている。位相シフト補償手段は、一様な偏光ビーム8の側であり、かつラジアルおよびアジマス変換器3の「デカルト」面3aの側のラジアル偏光変換器3の正面に配置される波長板6を備えている。波長板6は、固定波長板とするか、または偏光変換のために必要な材料および厚さの選択によって位相差Δn×dが適切に計算されたいわゆる多次波長板としてもよく、あるいはそれを、ラジアル偏光変換器3とまったく等しい液晶の層であって、直線的に向けられた2つの面の間に波長板の液晶が配される液晶の層からなるとしてもよい。波長板6の液晶の層の向きは、その場合に、ラジアル変換器3の面3aのそれと垂直となるように選択され、それ自体のための液晶は互いに平行である(図5参照)。この方法においては、液晶セルの異常および通常固有軸が、それに続く液晶セルの中で入れ替えられる。
周知のラジアルおよびアジマス液晶変換器には、この変換器の半分を覆う波長板が備えられることがある。この補償板は、ユーザによって選択された動作波長をλとするとき、それの値をλ/2に固定することが可能となるように調整可能な位相差を一般に有する。その種の波長板は、偏光状態の向きを、それの方向を変更することなく変更する機能を示す。確かに、出力において生み出されるラジアルまたはアジマス偏光状態の放射は、成分の各半分にわたって一定であるが、それらの半分のそれぞれの間は角度πだけ異なる位相状態を有することが観察される。その種の「半円柱対称」位相分布は、特定の応用において有害なものとなり得る。円柱対称の位相分布を獲得するために、λ/2の位相差を有する補償波長板を追加することが知られている。その種の補償板(λ/2板と呼ばれている)は、同一のポイント内においてそれを通過する偏光の多様な成分の間において、ラジアル変換器によって導入される位相差を補償する効果を決して示さない。ここで、一方では、その介挿において介入する波長板がラジアルおよびアジマス変換器の半分ではなく全表面を覆うこと、および他方では、ここで述べている例においてそれが、λ/2よりはるかに高い(さらには、5λ/2さえも超える)位相差を有していることを強調したい。
それどころか本発明によれば、板6によって導入される位相差は、該板の遅相軸とそれの進相軸の間において、ラジアルおよびアジマス変換器によって追加される位相差Δn×dに等しい光路差を導入するように選択される。それに加えて、板6の向きは、それの遅相軸がラジアルおよびアジマス変換器の進相軸と一致するように選択され、その結果、波長板6およびラジアルおよびアジマス変換器3を通過する光線について、偏光の間の光路差が互いを補償することになる。このように、波長板6の通過が、波長のそれぞれについて、ラジアル偏光変換器によって導入される位相シフトを補償する位相シフトを導入する。
図4は、デカルト系から円柱系に向かって伝播する向きにおける多様な偏光状態に対する本発明による偏光変換器の効果を略図的に示している。
図4Aは、本発明の変換器7を通過する効果を、直線偏光され、かつ変換器7の入力デカルト面の固有軸と平行に整列された入射ビームについて示しており、この入射ビームは、一様な空間偏光状態分布を有する(垂直の矢印によって変換器の左側に図式的に表現されている)。円柱系側となる変換器7の出力においては、図4Zの、直線偏光され、かつ空間偏光状態分布がラジアル状のビーム(変換器の右側に図式的に表現されている)が得られる。
図4Bは、直線偏光され、かつ変換器7の入力デカルト面の固有軸に対して垂直に整列された入射ビームの変換を示しており、この入射ビームは、一様な空間偏光状態分布を有する(水平の矢印によって変換器の左側に図式的に表現されている)。円柱系側となる変換器7の出力においては、図4Yの、直線偏光され、かつ空間偏光状態分布がアジマス方向となるビームが得られる。
図4Cは、直線偏光され、かつ変換器7の入力デカルト面の固有軸に対して45度に傾斜された入射ビームの変換を図式的に示している(すなわち、平行(図4A)および垂直(図4B)偏光の線形結合)。「円柱」系側となる変換器3の出力においては、図4Xの、直線偏光状態を伴うビームが得られ、その偏光状態分布は、局所的なラジアル軸に対して45度に傾斜された直線偏光である。図4Cのビームの、変換器7の出力における空間偏光状態分布は、回転対称性を有している。これは実際に、円柱回転対称性を伴う偏光ビーム(CVビーム)である。
図4Dは、円偏光入射ビーム(すなわち、平行直線偏光状態と垂直直線偏光状態の間における位相シフトによる線形結合)の変換を図式的に示している。円柱系側となる変換器7の出力においては、図4Wの、円偏光され、かつ回転対称性を有するビームが得られる。したがって、これは実際に、円柱回転対称性を伴う偏光ビーム(CVビーム)である。
図4Eは、楕円の主軸が変換器7の入力デカルト面の固有軸に従って整列された楕円偏光状態を有する入射ビームの変換を図式的に示している。円柱系側となる変換器7の出力においては、図4Vの楕円偏光ビームが得られる。この偏光状態の空間分布は、楕円の主軸がラジアル方向に従って局所的に整列されたものとなる。変換器7の通過が位相シフトを引き起こさないことから、楕円偏光状態が変更されず、空間分布のみ、すなわち楕円の向きのみが変更される。これにおいても再び、光軸に関して円柱対称の偏光状態分布を有する図4Vのビーム(CVビーム)が得られる。
図4Fは、楕円の主軸が変換器7の入力デカルト面の固有軸に対して横向きの楕円偏光状態を有する入射ビームの変換を図式的に示している。円柱系側となる変換器7の出力においては、図4Uの楕円偏光ビームが得られる。この偏光状態の空間分布は、楕円の主軸がアジマス方向に従って局所的に整列されたものとなる。変換器7の通過が位相シフトを引き起こさないことから、楕円偏光状態が変更されず、空間分布のみ、すなわち楕円の向きのみが変更される。これもまた光軸に関して円柱対称の偏光状態分布を有する図4Uのビーム(CVビーム)が得られる。
最後の図4Gは、楕円の主軸が変換器7の入力デカルト面の固有軸に対して45度に傾斜された楕円偏光状態を有する入射ビームの変換を図式的に示している。円柱系側となる変換器7の出力においては、図4Tの楕円偏光ビームが得られる。この偏光状態の空間分布は、楕円の主軸がラジアル方向に対して局所的に45度に傾斜されたものとなる。変換器7の通過が位相シフトを引き起こさないことから、楕円偏光状態が変更されず、空間分布のみ、すなわち楕円の向きのみが変更される。これもまた光軸に関して円柱対称の偏光状態分布を有する図4Tのビーム(CVビーム)が得られる。
このように、本発明に従った変換器が、直線、円、または楕円偏光状態についてのビームの偏光状態を、それが変換器7のデカルト面の固有軸に対してどのように傾斜されている場合であっても維持することが観察される。また、本発明の変換器システムが、入射ビームの偏光状態がどのようなものであっても、円柱対称の空間偏光状態分布を伴うビームの生成を可能にすることも観察される。
より一般的に言えば、この偏光変換器は、何らかの一様な偏光状態を有するビームから、光軸10に関して円柱対称の偏光状態分布を伴うビームへの切り換えを可能にする。
好都合なことには、波長板6が、互いに平行であるがラジアル偏光変換器の第1の層に対して垂直に向けられた液晶の層からなり、この波長板がラジアルおよびアジマス変換器のデカルト面の側に配され、そのことが、位相シフトの完全に無彩色な補正を得ることを可能にする。
図5は、デカルト−円柱変換器の双方向動作を示している。伝播の第1の向きにおいては、空間的に一様な偏光状態分布を有するビーム8が波長板6上に指向され、その後、ラジアル変換器3のデカルト面3a上に指向される。ビーム8は、ラジアル偏光変換器3を通過した後、光軸10に関して円柱対称の偏光状態を有するビームの形式で出て行く。それとは反対の伝播の向きにおいては、光軸10に関して円柱対称の偏光状態分布を有するビーム9がラジアル変換器3の回転対称面3b上に指向される。ビーム9は、ラジアル偏光変換器3および波長板6を通過した後、ラジアル変換器3によって導入された位相シフトを波長板6が正確に補償することから、空間的に一様な偏光状態を有するビームの形式で出て行く。
相互性によって、本発明の偏光変換器7は、光軸10に関して円柱対称の偏光状態分布を有するビーム(または、一般化されたCVビーム)から一様な偏光状態分布を有するビームへの変換を可能にする。それに加えて、ビームの偏光状態が、偏光変換器7を通過する間にわたって維持され、それの空間分布だけが変更される。
本発明の偏光変換器システムは、したがって、空間偏光状態分布の全単射変換器である。伝播の1つの向きにおいて、変換器7は、一様な空間分布を有する偏光状態から、同一の偏光状態の円柱対称な空間分布への切り換えを可能にする。それとは反対の伝播の向きにおいて、変換器7は、空間分布が円柱対称である偏光状態を有するビームから、同一の偏光状態の空間的に一様な分布を有するビームへの切り換えを可能にする。
本発明のシステムは、このように、入射ビームの偏光状態とは独立して、偏光状態の空間分布を変更することを可能にする。
本発明のシステムは、何らかの偏光状態を有し、かつ一様な偏光状態分布のビームから、同じ偏光状態の円柱対称の分布を伴うビームへの変換を可能にする。
本発明の偏光変換器システムは、デカルト座標において一様な偏光分布を有するビームから円柱対称偏光状態分布を有するビームへの変換のための伝播の向きのみにおいて動作するわけではない。
本発明のシステムは、他方の光の伝播の向きにおいて、円柱対称偏光状態分布を有するビームから、その円柱対称の空間分布の入射ビームの偏光状態がどのようなものであっても、それと同じ偏光状態の、デカルト系において一様な分布を有するビームへの変換をも可能にするという利点を提供する。
したがって、同一の変換器7を、伝播の2つの向きにおいて使用することが可能である。
本発明の偏光変換器システムは、このように、直線偏光状態のラジアル分布またはアジマス分布に限定されない偏光状態分布を有するビームを生成することを可能にする。それどころかこのシステムは、非ゼロのラジアル成分および非ゼロのアジマス成分を包含する偏光状態の任意の線形組み合わせを生成することを可能にする。ラジアル成分とアジマス成分の間における遅れがゼロであるとき、結果として得られる偏光状態は直線偏光状態のままとどまり、それの空間分布は円柱対称とすることができ、偏光軸の向きは、ラジアルでもなく、また正放線でもないが、ビーム内の局所的な位置によらずラジアル方向に対して一定の角度で傾斜されている。ラジアル成分とアジマス成分の間における遅れがπ/2に等しいとき、結果として得られる偏光状態は円偏光状態になる(それの空間分布は、一様および円柱対称の両方である)。ラジアル成分とアジマス成分の間における遅れがゼロより高く、かつπ/2より低いとき、結果として得られる偏光状態は楕円偏光状態となり、それの空間分布は円柱対称であり、楕円軸は、ビーム内の局所的な位置によらず、局所的なラジアル方向に対して一定の角度で傾斜されている。
何らかの偏光状態について伝播の2つの向きにおいて動作できるという本発明のシステムの能力は、非常に興味深い応用を可能にする。
たとえば、反射型(または透過型)顕微鏡法の応用においては、復路が、極座標からデカルト座標への逆変換を行なうことを可能にする。したがって、その種の応用においては、このシステムの二重通過が、往路および復路の両方においてラジアル変換器のみによって導入される位相シフトを補償すること、およびシステムを無彩色とすることを可能にする。
本発明のシステムは、したがって、対物鏡の全開口率N.A.を通じて円柱対称の良好にコントロールされた偏光状態を有する一方、1.22λ/N.A.のラテラル分解能を維持する撮像デバイス(たとえば、顕微鏡)を作ることを可能にする。
最後に、この新しい構成要素7を通過する光ビームの偏光状態がどのようなものであっても、偏光状態分布のデカルト基底と偏光状態分布の極基底の間において総合的な変換または全単射が生み出される。
ねらいとする応用では、好ましくは、変換の特徴記述が可能となるように、空間的に均質な偏光された光が使用される。
上で述べたとおり、空間的に不均質であり、かつ円柱対称の偏光された光のビームを、特性が回転対称性を有する光学システム(レンズ、顕微鏡の対物鏡)内において使用することが、いくつかの応用にとって重要であることを強調した。したがって、視野絞りまたは開口絞り、より一般的には空間またはスペクトル・フィルタを伴って、または伴わずにその種の光学システムに結合される上で述べたような構成要素が企図されていることは自然である。
図6は、本発明の別の有利な実施態様を示している。より詳細に述べれば、図6は、本発明に従った偏光変換器システム7が組み込まれるように修正された顕微鏡の対物鏡を示している。この対物鏡は、レンズ光学システム4および、標準的な顕微鏡の対物鏡に代えてそれの取り付けが可能となるように機械的な取り付け具を備えている。
より一般的に述べれば、焦点偏光変換器システムが、光学レンズと結合されるデカルト−円柱偏光変換器7を備え、レンズは、当該偏光変換器の前または後、すなわち変換器7の円柱系側に配置される。この光学システムは、デカルト基底における偏光状態分布と極基底における(より一般的な場合においては、空間的に均質でない)偏光状態分布の間の全単射を操作することを可能にする。
次に、特定の実施態様に従ったデカルト−円柱変換器の詳細な例を説明する。この特定の実施態様の例は、エーアールシーオプティクス・カンパニー(Arcoptix Company)によって提供されているラジアルおよびアジマス偏光変換器構成要素3の使用に基づいており、それの原理は、ストールダー(Stalder)およびシャット(Schadt)の発表の中で述べられているものである。ラジアル偏光に変換される波とアジマス偏光に変換される波の間における光路差は、3285nmに近いことが明らかになっている。この光路差は、構成要素全体にわたって一様である。クオーツ複屈折板6が、ラジアルおよびアジマス変換器全体の正面に配置されている。クオーツ板の厚さDは、それの位相差もまた3285nmとなるように選択される。クオーツの通常屈折率と異常屈折率の間における差Δnは、一般にΔn=0.00925であり、Dは、D×Δn=3285nmとなるように選択され、それによりD=355nmが与えられる。この波長板が、ラジアル変換器のデカルト面の側に配置され、波長板の遅相軸がラジアル/アジマス変換器のデカルト面の進相軸と一致するように向けられる。したがって、2つの成分の位相差が互いに補償される。
図7に示されている実線の曲線は、エーアールシーオプティクス(Arcoptix)の構成要素によってラジアル偏光に変換される波とアジマス偏光に変換される波の間における位相シフトχの測定値に対応し、波長λの関数として示されている。表わされている量は、cosχである。位相差δは、次の公式の適用によって3285nmとして評価される。
χ=2×π×δ/π
図7はまた、波長の関数として示した、厚さ355μmのクオーツ板6の複屈折に起因する位相シフトχ’に関連付けられた曲線、cos(2×π×D×Δn/λ)に対応する破線の曲線も示している。
図8は、量χ−2×π×D×Δn/λを波長の関数として示している。この曲線は、ここで呈示した本発明の特定の実施態様に従って組み立てることによって、ラジアル偏光に変換される波とアジマス偏光に変換される波の間における位相シフトに関連付けされる。ラジアンで表わされたこの角度が広いスペクトル範囲にわたって低くとどまることが観察され、このことは、ラジアル偏光に変換される波とアジマス偏光に変換される波の間における位相シフトが実用上ゼロであることを明らかにしている。続いてこの特性から、本発明のこの実施態様に従った偏光変換器7が、何らかの偏光状態の空間分布を変更して、空間的に一様な分布から円柱対称の分布に切り換えること、およびその逆を行なうことを、ビームの偏光状態の変更を伴わずに可能にするということが樹立され得る。
企図されている応用は、偏光の完全なコントロールが困難な回転対称性を有する特性を必要とする光学システムに関係する。光ファイバと結合される本発明のデカルト−円柱偏光変換器システムの使用は、ファイバの入力における偏光状態を維持することを可能にし、偏光維持光ファイバの使用を回避する。
顕微鏡法におけるデカルト−円柱偏光変換器の使用は、したがって、以下のことを可能にする。
− 干渉コントラスト顕微鏡において画像コントラストの改善を得ること。
− ブリュースター角における観察をより利用しやすくすること。実際、既存のブリュースター角顕微鏡は、物理的に分離された照明アームおよび集光アームを有している。この種の構成要素の使用は、よりコンパクトな設計、より良好な画像(視野深度問題がない)、およびより高い視感度を可能にすることになる。
− 対物鏡の出力において、たとえば投射の環または角度を選択すること。
本発明の円柱偏光変換器は、デカルト基底で表わされた偏光状態の分布と極基底で表わされた回転対称性を伴う偏光状態の分布の間において全単射を操作することを可能にする。
より詳細に述べれば、本発明の偏光変換器は、何らかの偏光状態の空間分布を変更して、空間的に一様な分布から円柱対称の分布に切り換えること、およびその逆を行なうことを、ビームの偏光状態の変更を伴わずに可能にする。したがって、ビームの偏光状態がどのようなものであっても、すなわち、直線、円、または楕円であっても、また、この偏光状態の横断する向きが変換器の固有軸に関してどのように向いていても、双方向で動作する偏光状態の保存を伴う空間偏光状態分布変換器が得られる。
本発明は、円柱対称性を有する光学媒体内において偏光ビームの使用が望まれるあらゆる分野に応用を見出す。特に、本発明は、偏光顕微鏡法、マイクロ楕円偏光法、顕微鏡的分解能楕円偏光法、マイクロ楕円偏光法像形成等々の応用に照準される。
本発明はまた、そのほかの分野、たとえば対称性が円柱タイプである光ファイバにも適用され、たとえば、一般化された円柱対称性の偏光状態分布を伴う偏光された光ビームを光ファイバに結合する。
3 ラジアル偏光変換器、ラジアル変換器、ラジアルおよびアジマス変換器、ラジアルおよびアジマス偏光変換器構成要素
3a 面、入力面、デカルト面
3b 面、回転対称面
4 レンズ、焦点レンズ、レンズ光学システム
5 標本
6 波長板、板、クオーツ複屈折板、クオーツ板
7 光学偏光変換器システム、変換器、偏光変換器、偏光変換器システム、デカルト−円柱偏光変換器
8 一様な偏光ビーム、ビーム
9 ビーム
10 光軸

Claims (10)

  1. 伝播の第1の向きにおいて、一様な空間偏光状態分布を有するビームを一般化された円柱対称の空間偏光状態分布を有するビームに変換することが可能な双方向デカルト−円柱空間偏光状態分布変換器(7)であって、前記デカルト−円柱変換器(7)は、伝播の第2の向きにおいて、一般化された円柱対称の空間偏光状態分布を有するビームを一様な空間偏光状態分布を有するビームに変換することが可能であり、前記デカルト−円柱変換器(7)が、
    − 対称軸(10)を有するラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)であって、空間的に一様な偏光分布の直線偏光ビームを受け取り、それを、ラジアルまたはアジマス対称の偏光分布を有するビームに変換することが可能なラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)と、
    − 前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)によって引き起こされた位相差を補償するための光学手段(6)であって、前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)によって導入された位相シフトχの大きさを補償するように、−χに等しい大きさの空間的に一様な位相シフトを導入することが可能な光学補償手段(6)と、
    を備えている、デカルト−円柱空間偏光状態分布変換器(7)。
  2. 前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)が、第1のデカルト対称面(3a)および第2の円柱対称面(3b)を備えていること、および偏光の固有軸を有する前記光学補償手段(6)が、前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)の前記デカルト面(3a)の側に配され、前記光学補償手段(6)の前記固有軸が前記デカルト面(3a)の固有軸について整列されることを特徴とする、請求項1に記載のデカルト−円柱空間偏光状態分布変換器(7)。
  3. 前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)が、液晶のレクティリニア整列を伴う第1の面(3a)および同心円での液晶の整列を伴う第2の面(3b)を有する液晶変換器を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載のデカルト−円柱偏光変換器(7)。
  4. 前記光学補償手段(6)が、2つの固有軸を伴う複屈折板を備え、前記複屈折板が、それの固有軸に従って向き付けされた直線偏光の間の位相差を導入することが可能であり、前記複屈折板が、前記ラジアルおよびアジマス変換器(3)の前記第1のデカルト面(3a)の側に配されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のデカルト−円柱偏光変換器(7)。
  5. 前記複屈折板が、波長範囲にわたってこのデカルト−円柱偏光変換器を無彩色とするように、前記波長範囲にわたって前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器の前記位相差を補償することが可能な厚さを有することを特徴とする、請求項4に記載のデカルト−円柱偏光変換器(7)。
  6. 前記光学補償手段(6)が液晶セルを備えていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載のデカルト−円柱偏光変換器(7)。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のデカルト−円柱偏光変換器(7)を備えている光学システムであって、少なくとも1つの偏光ビーム分割フィルタを備えていることを特徴とする、光学システム。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載のデカルト−円柱偏光変換器(7)を備えている光学システムであって、前記ラジアル偏光変換器(3)の前記対称軸(10)上に中心設定される少なくとも1つの光学レンズ(4)を備え、前記レンズ(4)が前記ラジアル変換器(3)の前記円柱面(3b)の側に配されることを特徴とする、光学システム。
  9. 請求項1乃至6のいずれかに記載のデカルト−円柱偏光変換器および顕微鏡上において固定されるべく適合された機械的な取り付け具を備えているデカルト−円柱偏光状態変換器顕微鏡対物鏡。
  10. ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)、および前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)によって引き起こされたラジアルとアジマスの偏光の間における位相差を補償するための光学手段(6)であって、前記ラジアルおよびアジマス偏光変換器(3)によって導入された位相シフトχの大きさを補償するように、−χに等しい大きさの空間的に一様な位相シフトを導入することが可能な光学補償手段(6)を使用して、伝播の第1の向きにおいて、一様な空間偏光状態分布を有するビームを、同じ偏光状態の円柱対称の空間分布を有するビームに変換するか、かつ/または伝播の第2の向きにおいて、一般化された円柱対称の空間偏光状態分布を有するビームを同じ偏光状態を伴う一様な空間分布を有するビームに変換する、デカルト−円柱偏光変換の方法。
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