JP4680677B2 - 偏光制御素子 - Google Patents

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本発明は、集光、分岐、回折、ホログラムの機能を有する光学素子、光通信、光情報処理等に用いられる薄型光学素子、これらを利用したレーザ記録装置、表示装置、画像形成装置に利用可能な偏光制御素子に関するものである。
偏光とは、光の電気振動(あるいは、これと直交する磁気振動)の振動方向がランダムな状態である自然光に対し、振動の方向がある特定の方向にそろっている光のことである。従来、広く使われている液晶パネルは偏光を利用することにより、画像を表示している。現在この液晶パネルには、ヨウ素や有機染料などを含ませた高分子のフィルムを特定方向に延伸し、一定方向の直線偏光の光だけを通過させ、これと直交する偏光の光を吸収するフィルム型の偏光板が広く実用化され用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
高分子フィルムとしてはポリビニルアルコールやポリカーボネートの透明樹脂フィルムを、一定方向に延伸させて位相差を形成し、これを所定のリターダンス(屈折率異方性)が得られるように積層させたものが一般的である。このような樹脂フィルムは紫外線に対する耐光性に問題があり、長期使用時に特性が劣化する、透明度が低下する、焦げる、と言った信頼性の課題がある。また、使用温度条件が厳しく、液晶プロジェクタなどで使用する場合、使用環境の温度上昇を防止するため多くの風量を送る冷却機能が必要、冷却すると埃が付着し画質欠陥を生じる、照射光量をあまり大きくできないといった課題がある。
同様の偏光機能をもつ光学素子として、プリズム型の偏光分離素子がある。これは、2つの三角プリズムを貼り合わせて立方体形状にし、その片側のプリズムの接合面に偏光分離多層膜を、蒸着やスパッタリング工法により形成する。そうすることで、たとえば、ランダムな偏光をもつ光を無リズムに入射させると、偏光分離多層膜を通過するときに光が透過するP偏光と、多層膜を反射するS偏光に分離することができる。ここで、P偏光とは、入射光の光軸と、偏光分離多層膜の法線を含む平面を定義し、電界の振動面がこの平面と平行である偏光成分を示す。また、S偏光とは、電界の振動面がこの平面と直交する偏光成分である。このような誘電体多層膜を用いたプリズム型の偏光分離素子では、1個のプリズムで波長がおよそ430〜650nmの可視帯域の光について、良好な偏光分離特性を実現することが困難である。
すなわち、作用する波長について広帯域化が難しく、短波長側や長波長側で、偏光分離特性が低下し、良好なS偏光反射、良好なP偏光透過が得られなくなるという課題がある。また、誘電体多層膜の偏光分離特性は、入射角依存が大きいという課題がある。すなわち素子に入射する光のうち傾斜角の大きい光は、良好な偏光分離特性が得られにくいという課題がある。さらに、プリズム型の偏光分離素子は、これを構成する光学硝材とその温度条件に依って、その内部歪みが複屈折作用を持ち、偏光制御された所定の偏光状態が、部分的に乱されるという課題がある。これは、投写型表示装置に用いた場合、コントラストの部分むらや、色むらとなるなどの大きな課題がある。このため、プリズム内の熱歪みが大きくならないように、使用できる光量条件に制約を生じる。また、光弾性定数の極めて小さい特殊な材料を使う必要があり、これはコストと量産性の面で問題を生じる。また、光弾性定数の小さい硝材は、多くの鉛を含む場合があり、商品に採用した後、廃棄物の環境保護の面で、有害物質となり得るので問題がある。また、従来から偏光素子として広く知られたものに電気石などがあるが、高価であり、光学装置に部品として組み込むには不適当である。
また、光の波長よりも小さい周期構造による透過光の位相変調の技術が知られている(たとえば非特許文献1)。
近年屈折率の異なる2つの媒質(たとえば一方が空気で、もう一方が等方性媒質)が光の波長よりも小さい周期構造を持つような構造(SWS=Subwavelength Structure;サブ波長構造)を利用した光学素子が広く開発されている。これら構造は従来の波長以上の構造体による回折光学素子とは原理的に大きく異なる特性を示し、特に周期が波長程度よりも短い回折格子はサブ波長格子と呼ばれている.その中でもさらに周期が短く透過、反射ともに0次回折光しか存在しない周期をもつ格子を0次格子と呼ばれる。これら0次回折素子は高次の回折光が存在しないことから、高次回折光によるエネルギー損失を生じない、光利用効率の高い素子の実現が可能であると考えられる。
上記非特許文献1では、これらサブ波長構造を透過した0次回折光は、格子構造に起因する屈折率変化により位相変調を起こすことが知られている.たとえば、構造周期を一定とし、単位周期あたりの凹部と凸部の面積比を変調(フィルファクター変調)することで、透過光の波面を制御し、透過光を集光する素子が実現されている。
また、同様に周期構造のデューティを変調し、かつ構造体の領域を分割することで空間的に位相を変調した回折光学素子を実現している(たとえば特許文献2参照)。また、円柱状のサブ波長構造体を用い、同様に単位面積あたりの円柱構造体が占める面積を変調することにより位相変調光学素子を実現している(たとえば特許文献3参照)。
特開2002−122733号公報 特開2001−318217公報 特開2004−61905公報 「Rigorous concept for the design of diffractive microlenses with high numerical apertures」Journal of the Optical Society of America A、 Vol14(4)、pp901-906 (1997))
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、金属微粒子を用いた光学素子は、長期使用時の材料劣化がなく、温度変動による光学特性の変化が少ない、といった特徴を有するが、未だ十分な偏光制御性能を得られるような素子構造が実現されていなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、金属微小構造体が配列されている支持基板をサブ波長構造とし、基板表層に強いエバネッセント光を発生させる構成し、近接場光とエバネッセント光が結合することにより、光放射および光吸収をより強く生じさせ、光特性の制御性能の向上を図ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、複数の金属微小構造体で構成された金属複合構造体を、支持基板上に形成した偏光制御素子であって、前記支持基板の表面に、高さが周期的に変調されてなる周期構造を有し、前記周期構造が、前記入射光の波長より小さい周期で構成され、前記金属複合構造体は、周期的かつ一定の間隔をなして配列された金属微小構造体の群により構成され、前記金属複合構造体の群は、前記支持基板上のx,yの領域で、前記金属微小構造体の直径R、x方向に最隣接した金属微小構造体との中心間隔d、2つの隣接した金属複合構造体の組み合わせをAとし、Aとx方向に最隣接する金属複合構造体の組み合わせをBとし、A−B間の距離をd1、y方向に隣接している金属複合構造体をCとしたときの、A−C間の距離をd2とし、R、d1、d2ともに入射光の波長以下で、かつd<Rの関係で配置されていることを特徴とする。
この請求項1の発明によれば、支持基板が、高さが周期的に変調されてなる周期構造を表面に有し、この周期構造が、入射光の波長より小さい周期で構成されていることにより、基板表層に生じるエバネッセント光と金属微小構造群の近接場光との結合による強い光放射および光吸収を発生させる偏光特性の制御性能の高い光学素子を得ることが可能になる。また、金属複合構造体を、周期的かつ一定の間隔をなして配列された金属微小構造体による構成とすることにより、近接場光の効率的に誘起させ、偏光特性の制御性能の高い光学素子を得ることが可能になる。
請求項2にかかる発明は、前記金属複合構造体は、非対称に配列された金属微小構造体の群により構成されていることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1において、金属複合構造体を、異方性をもつパターン状に配列された金属微小構造体の群で構成することにより、入射光の偏光特性を光軸に垂直な面内の、互いに直交する2軸において独立に制御することが可能になる光学素子を得ることが可能になる。
請求項3にかかる発明は、前記支持基板の周期構造における単位周期あたりの凹部と凸部の面積比が、表面全域または一部にて変調されてなる構造を有することを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1または2において、支持基板を、サブ波長格子による位相変調構造とすることにより、透過光の波面制御および偏光制御の双方が可能な光学素子を得ることが可能になる。
請求項4にかかる発明は、前記金属微小構造体は、前記支持基板の周期構造における凸部上に配置されていることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1、2または3において、金属微小構造体を、支持基板の周期構造における凸部に配置することにより、偏光面の回転方向を任意に制御することが可能な光学素子を得ることが可能になる。
請求項5にかかる発明は、前記金属微小構造体は、前記支持基板の周期構造における凹部上に配置されていることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1〜のいずれか一つにおいて、金属微小構造体を、支持基板の周期構造における凹部に配置することにより、偏光面の回転方向を任意に制御することが可能な光学素子を得ることが可能になる。
本発明(請求項1)にかかる偏光制御素子は、支持基板が、高さが周期的に変調されてなる周期構造を表面に有し、この周期構造が、入射光の波長より小さい周期で構成されていることにより、基板表層に生じるエバネッセント光と金属微小構造群の近接場光との結合による強い光放射および光吸収を発生させる偏光特性の制御性能の高い光学素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1において、金属複合構造体を、異方性をもつパターン状に配列された金属微小構造体の群で構成することにより、入射光の偏光特性を光軸に垂直な面内の、互いに直交する2軸において独立に制御することが可能になる光学素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1または2において、支持基板を、サブ波長格子による位相変調構造とすることにより、透過光の波面制御および偏光制御の双方が可能な光学素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1、2または3において、金属微小構造体を、支持基板の周期構造における凸部に配置することにより、偏光面の回転方向を任意に制御することが可能な光学素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1〜のいずれか一つにおいて、金属微小構造体を、支持基板の周期構造における凹部に配置することにより、偏光面の回転方向を任意に制御することが可能な光学素子を提供することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる偏光制御素子の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
本発明は、入射光の波長以下の領域に複数の金属微小構造体を配置した構成とすることで、複数の金属微小構造体の間で近接場光による相互作用を生じさせ、その光放射及び光吸収により、素子を透過、反射する光特性を制御するものである。特に、金属微小構造体が配列されている支持基板をサブ波長構造とし、基板表層に強いエバネッセント光を発生させる構成し、近接場光とエバネッセント光が結合することにより、光放射および光吸収をより強く生じさせ、光特性の制御性能の向上を図るものである。以下、具体的に説明する。
以下に本発明の偏光制御素子について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子の機能を示す説明図である。この図1に示すように、光学的に平坦なガラス基板1上に金属の微小構造の集合である金属微小構造2の群が形成されている。このような金属微小構造2の群が形成された基板に対して光を照射すると、入射偏光に対して金属微小構造2の群が非対称に存在する(X,Y方向に異方性を有する)場合、各金属微小構造2に生じ局在表面プラズモンの共鳴周波数に依存して、金属微小構造2間に生じる近接場光相互作用により、各金属微小構造2間で位相差が生じる。そのため、各金属微小構造2からの光が重畳された反射光あるいは透過光の偏光成分にも位相差が生まれ、出射光における偏光状態が変換される。
すなわち、図1に示すようにガラス基板1上に金属微小構造2を形成したものに対して、たとえばY軸方向に対して45度傾いた直線偏光4を入射すると、このガラス基板1を透過した光は楕円偏光5となる。金属粒子を円形状としているが、他の形状、たとえば楕円構造や多角形状構造であっても良い。また、円形状の構造を連続して配置し、擬似的に楕円形状構造を形成するような構成でも良い。また入射する光の偏光方向は形成された金属微小構造2に対して非対称な偏光成分を有するように入射することで、各金属微小構造2間で位相差が生じる。
また、これら金属粒子の材料は、使用する光源波長でプラズモンが発生し、出射光に所望の位相差を与えるように選択すればよく、たとえばAu、Ag、Al、Pt、Ni、Cr、Cuなどが使用可能であり、これら金属の合金でもよく、特に、Au、Ag、Alが好ましい。ここで図2に示すように金属微小構造2の大きさ(直径)をR、x方向にもっとも隣接した金属微小構造2との中心間隔をd、2つの隣接した金属微小構造体6の組み合わせをAとし、Aとx方向にもっとも隣接する金属微小構造体6の組み合わせをBとしたとき、A−B間の距離をd1、y方向に隣接している金属微小構造体6をCとしたときの、A−C間の距離をd2とする。このときR、d1、d2ともに入射光の波長よりも十分小さいことが望ましい。また隣接した金属微小構造体6間に生じる近接場相互作用を利用するため、少なくともd<Rである必要があり、d1とd2は隣接構造の組み合わせ間の相互作用の影響を少なくするため、Rよりも大きい必要がある。
図3に示すように3個もしくは複数個の金属微小構造2の組み合わせでL字形状に配列された構造を形成してもよい。図2に示す構成同様に、隣接した金属微小構造2との間隔は金属微小構造2の大きさよりも十分小さく、またL字形状の金属微小構造2の間隔は構成する金属微小構造2の大きさよりも十分大きいほうが好ましい。このときも入射する光の偏光方向は形成された金属微小構造に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
上記の偏光制御素子10は以下のようにして製造することができる。まず無機材料として光学ガラスをガラス基板1とし、その平坦な面に金、銀、アルミニウムなどの金属材料をCVD(Chemical Vapor Deposition)などの化学蒸着法や物理蒸着をもちいた成膜法、あるいは鍍金等の堆積法で薄膜状に形成する。この金属膜上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層に電子線描画やX線描画などの手法により、所望の微小構造に相当するパターンを残すようにレジストパターンを形成する。その後、不要部分の金属膜をたとえばRIE(反応性ドライエッチング)などによりエッチングを行うことで、所望の微小構造金属のパターンを形成することができる。
また、無機材料として光学ガラスを基板とし、その平坦な面にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層に電子線描画やX線描画などの手法により、所望の金属微小構造体6に相当するパターン以外を残すようにレジストパターンを形成する。その後、金、銀、アルミニウムなどの金属材料をCVD等の化学蒸着法や物理蒸着をもちいた成膜法、あるいは鍍金等の堆積法でレジストjパターン上に薄膜状に形成する。その後、レジスト膜を除去することで、レジスト膜上に形成された不要部分の金属膜を除去することで、所望の微小構造金属パターンを形成することができる。
無機材料としての基板には、石英ガラスや、BK7、パイレックスなどの硼珪酸ガラス、CaF2、Si、ZnSe、Al23などの光学結晶材料などが利用できる。また、反射光を利用する場合には、反射率の高い材料が好ましく、上記の光学ガラス、光学結晶材料に、AlやAuなどの金属膜を蒸着したものや、シリコン基板などを用いることが好ましい。また、部分反射膜としてCrコーティングなどを利用することで、透過光と反射光の両方を利用するハーフミラーとして使用することもできる。
つぎに、上記例とは異なる他の偏光制御素子の構成について図4を参照し説明する。先に述べた金属微小構造体6を、高さが、入射光の波長より小さい周期で変調されている周期(格子)構造を表面に有しているガラス基板1上に配置したものである.この構成により、光を入射した際に高次の回折光が発生せず、ガラス基板1の表層にエバネッセント光が発生する.発生したエバネッセント光(evanescent light)は、ガラス基板1の格子ベクトルの方向に基板表面上を伝播し、各金属微小構造2近傍の局在表面プラズモンと強くカップリングし、各金属微小構造2にて発生する光放射および光吸収をより強く生じさせることができる。なお、エバネッセント光は、一般的には、境界面近傍で限定された領域における励起のために用いられる特殊な光として知られている。
先に述べた例の場合、ガラス基板1からの反射光あるいは透過光に対して、金属微小構造2からの近接場光放射の成分の光強度が比較的低いため、前者の光成分に後者の光成分が「埋もれて」しまうことが多かった.金属微小構造2による偏光制御効果を抽出するためには、たとえば反射率の低いガラス基板1に配置した金属微小構造2からの反射光を取り出す場合などに限られていた。エバネッセント光にて局在表面プラズモンを増強し、より強い光放射及び光吸収を発生させることにより、高いコントラストの偏光制御信号光を得ることができ、先の「埋もれて」しまう問題を回避することができる。
なお、上記の例では、微細周期構造の基板はエバネッセント光を発生させることにのみ利用するものであったが、従来の微細周期構造基板のもつ光制御機能を発現させ、金属微小構造からの近接場光放射による偏光制御機能と併せて利用することも可能である。
たとえば、図5に示すようなサブ波長構造基板において、構造周期を一定とし、単位周期あたりの凹部と凸部の面積比を変調(フィルファクター変調)することで、透過光の波面を制御し、透過光を集光、偏向、が可能な素子が実現できる。この機能と先に述べた金属微小構造による偏光制御機能を併せて、波面制御機能と偏光制御機能とを独立に制御できる素子が実現できる。
つぎに、簡単に上記の位相変調の原理について説明する。サブ波長領域での材料の屈折率は多くの場合、以下の式に示す有効屈折率法によって近似されることが知られている。
Figure 0004680677
ここでnExは、図6において電場が構造に平行に振動する垂直な偏光成分に対する屈折率、nEyは電場が構造に垂直な方向に振動する成分に対する屈折率を示す。fは構造の幅wと周期pとの比であるフィルファクターを示す。
図8にはn=1、n2=1.5とした場合のフィルファクターによる有効屈折率を示す。このようにTE、TM波ともn1からn2までデューティによって制御可能であることが分かる。このとき偏光の異なる入射光での有効屈折率は偏光成分により、このTE、TM波による有効屈折率の線形結合した値となる。なお、TEはtransverse electricの略であり、電界ベクトルは波の進行方向に垂直になる。また、MEはtransverse magneticの略であり、磁界ベクトルは波の進行方向に垂直になることを意味する。
このとき透過0次光の位相変調はこの有効屈折率nを用いて入射光波長をλ、透過光路長をdとすると、位相変調量φは、
φ=2πnd/λπ
で与えられる。
また、上記のような構造を、屈折光学素子、たとえばレンズ、の表面上に構成することにより、上記の波面制御機能と偏光制御機能および、レンズによる屈折力制御機能を併せ持ち、独立に制御可能な素子を実現できる。これにより、たとえば、従来は波長板およびレンズといった2つの光学部品により構成されていた光学機能が、本発明では単一素子に集約できることになり、省スペース化が図れると共に、複雑な光学調整などの簡便化も可能となる。
これまでの実施の形態では、図4、図5に示したように、金属微小構造体6がガラス基板1の凸部に配置されている例を示したが、凸部、凹部のどちらに配置するかを選択することで、偏光特性を制御することができる。たとえば、図8に示すようなL字のパターン状に配列している金属微小構造群を基板の凹部に配置した場合と、先の図4の場合とで、x,y方向それぞれの偏光成分が均一な45°の直線偏光の金属微小構造群からの反射光の旋光特性をジョーンズベクトルで比較すると、図9に示すように互いに逆方向の旋光効果を得ることができる。この図9において、符号4は直線偏光(入射光)、符号8は図4におけるガラス基板1からの反射光、符号9は図8におけるガラス基板1からの反射光をそれぞれ示すものである。なお、ジョーンズベクトルは光波の偏光状態を1×2の行列で表すベクトルである。
また、このような構成からなる光学素子の表面で発生している局在表面プラズモンは近接場光とも呼ばれ、波長サイズ以下の領域に局在している。そのため、近接場光素子として用いることで回折限界以下の分解能で計測・分析を行ったり、光リソグラフィーに応用することで従来よりも微細なパターニングを行うことも可能である。特に後者に関しては、近接場光の非断熱過程による作用のため、レジストと反応しないような可視光源でも感光させることができ、波長光源やそれに対応した光学素子が不要になるので装置の省コスト化が可能になるなどの効果もある。
以上のように、本発明にかかる偏光制御素子は、集光、分岐、回折、ホログラムの機能を有する光学素子、光通信、光情報処理等に等に用いられる薄型光学素子、これらを利用したレーザ記録装置、表示装置、画像形成装置有用であり、特に、液晶プロジェクタ等の画像投影装置に適している。
本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子の機能を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子を構成する金属微小構造の大きさ、距離関係などを示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる金属微小構造を複数個でL字形状に配置した例を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる金属微小構造体を、高さが入射光の波長より小さい周期で変調されている周期構造を表面に有している基板上に配置した例を示す説明図である。 図4とは異なるサブ波長構造基板の例を示す説明図である。 金属微小構造の部分におけるファイルファクターにかかわる符号条件を示す説明図である。 ファイルファクターと有効屈折率との関係を示すグラフである。 金属微小構造をL字のパターン状に配置したサブ波長構造基板の例を示す説明図である。 図4および図8の基板からの反射光をジョーンズベクトルで示すグラフである。
符号の説明
1 ガラス基板
2 金属微小構造
4 直線偏光
5 楕円偏光
6 金属微小構造体
7 サブ波長格子基板
10 偏光制御素子

Claims (5)

  1. 複数の金属微小構造体で構成された金属複合構造体を、支持基板上に形成した偏光制御素子であって、
    前記支持基板の表面に、高さが周期的に変調されてなる周期構造を有し、前記周期構造が、前記入射光の波長より小さい周期で構成され、
    前記金属複合構造体は、周期的かつ一定の間隔をなして配列された金属微小構造体の群により構成され、
    前記金属複合構造体の群は、前記支持基板上のx,yの領域で、前記金属微小構造体の直径R、x方向に最隣接した金属微小構造体との中心間隔d、2つの隣接した金属複合構造体の組み合わせをAとし、Aとx方向に最隣接する金属複合構造体の組み合わせをBとし、A−B間の距離をd1、y方向に隣接している金属複合構造体をCとしたときの、A−C間の距離をd2とし、R、d1、d2ともに入射光の波長以下で、かつd<Rの関係で配置されていることを特徴とする偏光制御素子。
  2. 前記金属複合構造体は、非対称に配列された金属微小構造体の群により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  3. 前記支持基板の周期構造における単位周期あたりの凹部と凸部の面積比が、表面全域または一部にて変調されてなる構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の偏光制御素子。
  4. 前記金属微小構造体は、前記支持基板の周期構造における凸部上に配置されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の偏光制御素子。
  5. 前記金属微小構造体は、前記支持基板の周期構造における凹部上に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の偏光制御素子。
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