JP2008304618A - 偏光変換素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ナノ構造体の対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、入射光の直交する二つの偏光成分の一方のみを他方へ変換することが可能になり、また、2次元平面内における磁性材料の微細構造で偏光変換機能を実現したことにより、光学素子数の低減や光学装置の小型化が可能となる。
【選択図】図1
Description
偏光選択素子は、直交する二つの向きに対し、伝搬特性および吸収特性に異方性をもたせることにより、入射光の偏光向きの1成分のみを透過させる偏光板や、入射角度に対して二つの偏光成分の反射率、透過率の違いを利用して、各偏光成分の出射角度を分離する機能を有する素子であり、偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)などが挙げられる。
しかし、結晶の複屈折率を利用したプリズム型偏光子に比べると、分離性能が低い(十数dB)という欠点があった。また、屈折率の異方性を利用する位相シフタは、複屈折性を示す光学結晶材料を利用しており、通常、ルチルや方解石などの高価な異方性結晶をくさび形あるいはプリズム型に精密な研磨加工することで実現されている。このような素子は、極めて高価であり、また、小形化が困難であり、使用できる波長領域に制限があるなどの課題があった。
また、光学結晶材料膜を貼り合わせることにより膜厚、すなわち光路差を調整し、偏光状態を制御しているため、光学結晶材料に対する依存性が強く、偏光制御性の自由度が低いという問題があった。
尚、特許文献1〜9の説明における符号と、本願の発明の最良の実施の形態の説明における符号とは無関係である。
その解決手段は、図27(a)〜(c)に示すように、ワイヤグリッド偏光子は基板1210上で支持される複数の細長い素子1240を有し、基板の屈折率よりも低い屈折率を有する領域1250が素子と基板との間に配置され、共鳴が発生する最も長い波長を低減することである。
このようなワイヤグリッド偏光子は、透明基材の片面に、アルミニウムの薄膜を形成し、これをパターンエッチングすることで、可視の波長程度の微小グリッド構造を構成することができる。このとき、微小グリッドの細線向きについて、偏光面がこれに直交する光は透過し、偏光面が平行な光は反射する。これにより、入射角依存性が比較的小さく、円錐光線群に対して比較的良好な偏光分離機能を提供している。
特許文献2における課題は、フォトニック結晶偏光子を利用して偏光分離素子を作ることである。その解決手段は、図28に示すように、くさび状に形成したガラス基板10の斜面に、屈折率の異なる波状透明薄膜11を交互に積層して偏光子13を形成することである。
尚、図28は無機材料偏光制御素子の説明図である(従来技術2)。
同図において、くさび角をθとし、偏光子を形成していない側から光を入射すると、偏光子に対する入射角はθとなり、TM偏波は、偏光子を透過するが、そのとき屈折してφ1の向きに出て行く。空気の屈折率をn0、基板の屈折率をnとすると、φ1=sin-1(n sinθ/n0)−θとなる。
特許文献3における課題は、光源効率の高い、すなわち輝度の高い、あるいは消費電力の少ない映像表示を実現することである。図29は偏光分離素子の構成を示す図である(従来技術3)。
特許文献4の目的は、耐熱性および耐光性に優れ、光の透過率または反射率の高い偏光制御素子を提供するとともに、設計自由度の高い偏光制御素子を提供することにある。
図30(a)〜(d)は従来の偏光制御素子の説明図である(従来技術4)。
その解決手段は、図30(a)に示すように、入射光の波長以下の領域に配置され、かつ周期的に配列されている二つ以上の金属微小構造体で構成された金属複合構造体6を、支持基板上に形成し、近接場光による相互作用が働くような構成により、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子とすることができる。
偏光制御素子の目的は、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することにある。
その解決手段は、図30(b)に示すように、透明なガラス基板1の平坦な面に、入射する光の波長よりも微小な金属構造(金属粒子2)を、入射する光の波長よりも小さい距離で2次元に配置することにより、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子10とするものである。平坦な基板の他、レンズまたはマイクロレンズ上に金属構造を設ける構成もある。
偏光制御素子および光学素子の目的は、位相差を発生させる波長板を実現すると共に、耐熱性に優れた偏光制御素子を提供することにある。
その解決手段は、図30(c)に示すように、ガラス基板などの透明な誘電体基板1上に、二種類以上の金属または合金からなる金属粒子(第1の金属粒子2、第2の金属粒子3)のパターンを連続的に形成することで、透過光または反射光の偏光成分に位相差を発生させる波長板を実現すると共に耐熱性に優れかつ偏光状態の設計自由度の高い偏光制御素子10を提供することができる。
偏光制御素子の目的は、金属微小構造体が配列されている支持基板をサブ波長構造とし、基板表層に強いエバネッセント光を発生させる構成し、近接場光とエバネッセント光が結合することにより、光放射および光吸収をより強く生じさせ、光特性の制御性能の向上を図ることにある。
その目的は、図30(d)に示すように、入射光の波長以下の領域に配置され、かつ周期的に配列されている金属微小構造体6で構成された金属複合構造体を、ガラス基板1上に形成した偏光制御素子10であって、ガラス基板1の表面に、高さが周期的に変調されてなる周期構造を有し、周期構造が、前記入射光の波長より小さい周期で構成されている。
また、本願発明に関連する磁性材料を利用した構成の偏光制御素子として、以下の技術が挙げられる。
磁気光学素子の目的は、大旋光角を有する高速応答性に優れた空間変調素子として、画像が明るく、コントラストが高く、かつカラー画像や動画などに対応することが可能な磁気光学素子を提供することにある。
図31は磁気光学素子の断面図である(従来技術5)。
その解決手段は、図31に示すように、透明非磁性単結晶基板11と、その表面上に形成された層表面に垂直な磁気異方性を有する単結晶透明磁性体層12との積層体の上下は、単結晶透明磁性体層12と屈折率の異なる2層構造の誘電体膜を1ペアとして、この2層構造の誘電体膜が1ペア又は複数ペアに積層された第1及び第2の誘電体多層膜13a、13bによって上下対称に挟まれるようにする。この第2の誘電体多層膜13b/透明非磁性単結晶基板11/単結晶透明磁性体層12/第1の誘電体多層膜13aからなるデバイスの上下には、偏光軸を相互に回転させた1対の偏光子をなす第1及び第2の偏光子14a、14bが対向して設けられている。
図32は他の磁気光学素子の断面図である。図32に示すように、透明な基板1に溝構造を形成し、その側壁面2に強磁性体による膜を形成することにより、偏光層と磁性層を兼ね備えた磁気光学素子を実現する。本磁気光学素子は、透明性に優れ、磁気ヘッドによって記録、読み出し(記録の再生)、記録の消去が繰り返し行なうことができ、また偏光子としても使用でき、さらに磁場と光を与えることによって画像を可視化できるディスプレイなどへの応用にも適している。また、空間光変調素子や磁界センサーなどへの応用にも適している。
本発明の第1の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1〜9を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる偏光変換素子の機能を示す説明図である。
図1において、1は入射偏光状態(ランダム偏向)を示し、2は本発明に係る偏光変換素子の一例を示し、3は出射偏光状態(直線偏光)を示す。
本発明に係る偏光変換素子2は、入射するランダム偏光に対し、素子内部に含む入射光の波長以下のサイズをもつ磁性構造体と光との相互作用により、y軸向きの偏光成分をx軸向きへ変換することにより、入射光の大部分をx軸向きに偏光面をもつ直線偏光に変換するものである。
図2(a)は本発明に係る偏光変換素子の断面図であり、図2(b)は図2(a)の平面図である。
図2(a)に示すように、本偏光変換素子は、支持体となる支持基板201上に、入射光の波長以下のサイズ(入射光に垂直な向きの大きさ)を有する磁性体材料からなる円板形状の磁性ナノ構造体202を配した構成を有し、図2(b)に示すように、ギャップ間距離gだけ離れた磁性ナノ構造体の対を一つのユニット(磁性構造体の対203)とし、本ユニット203が2次元的に配置された構成を有している。
偏光変換素子はさらに、後述するように、2個の磁性ナノ構造体が、中心点間を結ぶ直線に対して平行で相反する向きに主たる成分が磁化されている。
図3(a)〜(e)は、磁性ナノ構造体の様々な形状を説明するための平面図である。
上方から見た2次元的な形状に対して、磁性ナノ構造体と同面積を有する円の直径をdとし(図3(a))、空間的に非対称な形状を有する磁性ナノ構造体の場合、磁性ナノ構造体と同面積を有する楕円の長径d1および短径d2を磁性ナノ構造体のサイズと定義する(図3(b))。この際、楕円の長径d1を入射光の波長よりも小さく設定する。図3(c)に示すように磁性ナノ構造体の平面形状が三角形の場合、サイズを同面積の円の直径dとし、図3(d)に示すように磁性ナノ構造体の平面形状が長方形の場合は同面積の楕円の長径d1、短径d2とし、図3(e)に示すように構造体の平面形状が変形楕円形状の場合は同面積の楕円の長径d1、短径d2とする。
また、図2(a)、(b)では、支持基板201を用いた例を示したが、磁性構造体表面の保護や、周囲屈折率の調整による動作波長の選択、基板界面の反射による効率の低下を避けるために、表面を支持膜で被覆した構成であってもよい。支持膜を構成する材料も、支持基板201の材料と同様の透明な誘電体材料が適している。
図4は本発明に係る偏光変換素子の第1の実施の形態の構成を説明するための断面図である。
支持膜401は、誘電体多層膜による全反射コーティングを施したものであってもよい。また、支持基板201自体をパターニングすることにより、支持基板201の内部に磁性構造体を埋め込んだ構成であってもよい。
本偏光変換素子は、磁性ナノ構造体202が特定の磁化ベクトルの向きをもっている必要がある。そのためには、室温で強磁性を示す材料である必要があり、Fe、Co、Niなどが利用できる。また、一般的な磁性材料である、γ‐Fe2O3,Fe3O4,FeNx ,Baフェライト,Coフェライト等のフェライト、希土類鉄ガーネット等のガーネット、PtCo,FeTb、FePtCu等の複合材料であってもよい。
例えば、波長以下の磁性ナノ構造体の作製手法として、ジブロックコポリマーを用いた自己組織化配列による手法が知られている(例えば、参考文献1参照)。
参考文献1:東芝レビューVol.57,No.12(2002)
自己組織的な構造を用いる他にも、一般的な微細加工プロセスである、電子ビームリソグラフィ技術を用いた直接描画や、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法、ナノインプリント加工技術などにより、人工的な微細パターン作製技術を利用しても、同様の磁性ナノ構造体を形成することが可能である。
図6(a)、(b)は磁性ナノ構造体の対における磁化ベクトルの向きの説明図である。
上述のように自己組織的に作製した磁性ナノ構造体は、一般にランダムな磁化ベクトルの向きを有しているので、磁気記録ヘッドを用いて特定の向きの磁場を局所的に印加することにより、磁性ナノ構造体の対が互いに相反する向きに磁化ベクトルを有するように配向させることができる。
個々のユニットは、ユニット内の磁性ナノ構造体の間隔よりも十分に離れている必要がある。図7〜図12は、支持基板上に配された磁性ナノ構造およびそのユニットの2次元配列の例を示す説明図である。図7は正方格子配列の格子点上に各ユニットを配列した一例を示す平面図であり、図8は直方格子配列の格子点上に各ユニットを配列した一例を示す平面図であり、図9は六方格子配列の格子点上に各ユニットを配列した一例を示す平面図である。
図13(a)は、数値シミュレーションのモデルを説明する断面図であり、図13(b)は図13(a)の平面図である。図中に示すように円板形状の磁性ナノ構造体の直径を100nm、高さを70nmに設定し、2つの磁性ナノ構造体間のギャップ距離を20nmに設定した。
また、磁性材料の光学定数の値は良く知られていないため、磁性材料として、Auの光学定数(波長500nmで、屈折率n=0.976、消衰係数k=1.855)と同程度の材料と仮定し、物質中の電子の振る舞いを記述するDrudeモデルから誘電テンソルの値を算出して、以下のε1、ε2のように与えた。
(偏光変換度) = Ixy/(Ixx + Ixy) (x偏光入射の場合) …(1)
(偏光変換度) = Iyx/(Iyy + Iyx) (y偏光入射の場合) …(2)
したがって、偏光変換度は、入射直線偏光に対して直交する偏光成分の透過光に占める割合を表している。
磁性ナノ構造体の相反する磁化の向きにより、入射電場の偏光と磁化との間に働くローレンツ力が、2個の磁性ナノ構造体に対して逆向きの力を及ぼし、磁性体内の電荷を移動させる。この電荷の偏りが、磁性ナノ構造体の対が近接していることにより相互作用し、磁性ナノ構造体の配列する向き、すなわち入射光の偏光向きと直交する向きに2次的な電場振動を生じさせる。ローレンツ力はy偏光入射の場合に最大に働くため、磁性ナノ構造体が配列するx軸の向きに電界を生じ、直交する偏光成分の光が誘起される。
本偏光変換素子は、磁性ナノ構造体のサイズや高さ、材料を最適に選択することにより、さらに動作波長域を選択できるとともに、偏光変換効率の向上も可能である。
本発明の偏光変換素子に係る第2の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1、図6(a)、(b)、図7〜図12、図15〜図17を参照して説明する。
本発明の第2の実施の形態にかかる偏光変換素子は、図1に示したように、入射するランダム偏光を直線偏光に揃えて放出する素子であり、第1の実施の形態とは異なる構成を有するものである。
本発明の偏光変換素子の構成を、図15(a)、(b)を用いて説明する。
図15(a)は本発明の偏光変換素子に係る第2の実施の形態の断面図であり、図15(b)は図15(a)の平面図である。
図15(a)に示すように、本偏光変換素子は、基本的な構成は第1の実施の形態と同様であるが、磁性ナノ構造体202の底部に接する形で平坦な導電性膜1501を配していることが特徴であり、導電性部材を介して磁性ナノ構造体202と入射光とが相互作用することにより、偏光変換効率を高めることができる。
磁性ナノ構造体を構成する磁性材料は、室温で強磁性を示す材料が良く、Fe、Co、Ni、γ‐Fe2O3,Fe3O4,FeNx ,Baフェライト,Coフェライト等のフェライト、希土類鉄ガーネット等のガーネット、PtCo,FeTb、FePtCu等が利用できる。また、磁性ナノ構造体のサイズが、20nm以下となれば、磁性体は単磁区構造をとるようになり、この場合、単位面積当たりの磁化ベクトルの大きさが増大することから、磁気光学効果が顕著となり一層有利である。
本導電性膜は、膜内を電荷が移動することにより、偏光状態を変化させるために配置される。したがって、導電率の高い材料が好ましく、Al、Au、Cu,Agなどの金属材料であるか、または電極として使用されるITO、TiO2、ZnOなどの透明導電材料が適している。金属材料を用いる場合には、光を透過する必要から金属中に光がしみ込む表皮深さよりも薄い膜である必要があり、10nm以下の薄膜が適している。また、高透過率を得る必要がある場合には、透明導電材料による膜が適している。また、本素子は反射型の構成であっても良い。その場合、表皮深さよりも厚い金属膜が適している。この場合、金属膜が支持体を兼ねる構成であっても良い。偏光変換素子の動作を確認するために、第1の実施の形態と同様にFDTD法による数値シミュレーションを行った。数値シミュレーションは、導電性部材としてAuの光学定数(波長500nmで、屈折率n=0.976、消衰係数k=1.855)を用いた。また、磁性ナノ構造体は、第1の実施の形態で説明した誘電テンソルを使用した。
第2の実施の形態と第1の実施の形態との違いは、直径100nm、高さを70nmの円板形状の磁性ナノ構造体に接して、膜厚20nmのAu層を配したことである。また、2つの磁性ナノ構造体202a間のギャップ距離を20nmに設定した。
図17の結果から、波長385nm近傍において、x偏光入射の場合の透過光強度と、y偏光入射の場合の透過光強度との比は26倍程度であることが分かり、偏光変換機能が生じていること、および、導電性部材のない場合に対して、偏光変換度が向上していることが確認できた。
本偏光変換素子は、磁性ナノ構造体のサイズや高さ、材料のほか、導電性部材の膜厚、材料を最適に選択することにより、動作波長域を選択できるとともに、さらなる偏光変換効率の向上が可能である。
本発明の第2の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1、図6(a)、(b)、図7〜図12、図18(a)、(b)を参照して説明する。
図18(a)は本発明に係る偏光変換素子の第3の実施の形態の構成を説明するための断面図であり、図18(b)は図18(a)の平面図である。
本偏光変換素子は、図1に示したように、入射するランダム偏光を直線偏光に揃えて放出する素子であり、第1の実施の形態とは異なる構成を有するものである。本発明の偏光変換素子の構成を、図18(a)、(b)を用いて説明する。
ここで、本偏光変換素子の透過光または反射光に空間的な強度分布が生じないように、導電性パターン1801を含めたユニット1802のサイズが、入射光の波長以下の大きさを有する必要がある。
また、磁性ナノ構造体の対と導電性材料による微細なパターンで構成されるユニットの配列方法は、図7〜図12に示したように、正方格子、直方格子、六方格子、ライン配列、ランダム配列など、多様な構成が取れる。
以上のように、本偏光変換素子は、直交する二つの偏光成分のうち、一方の成分を他方の成分へ非一様に変換する機構を有しているために、複数の光学素子を組み合わせることなく偏光変換機能を実現しており、光学素子数の低減や、光学装置の小型化、低価格化を実現することが可能となる。
本発明の第4の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1、図19(a)、(b)を参照して説明する。
本発明の第4の実施の形態にかかる偏光変換素子は、図1に示したように、入射するランダム偏光を直線偏光に揃えて放出する素子であり、第1〜3の実施の形態とは異なる構成を有するものである。
図19(a)は本発明に係る偏光変換素子の第4の実施の形態を示す断面図であり、図19(b)は図19(a)の平面図である。
図19(b)に示すように、本偏光変換素子は、支持体となる支持基板上に、金属材料によるライン状のパターンを有しており、そのラインパターン上に磁性体材料からなる複数の磁性ナノ構造体を配した構成となっている。
このような金属材料のラインパターン1901は、ワイヤグリッド偏光子として知られるように、入射する偏光成分のラインパターンに垂直な成分のみを透過し、ラインパターンに平行な成分を反射する。そのため、ラインパターンに平行な偏光成分が、透過面にしみださないように、金属の表皮深さ以上のパターンの高さが必要である。
以上のように、本偏光変換素子は、直交する二つの偏光成分のうち、一方の成分を他方の成分へ非一様に変換する機構を有しているために、複数の光学素子を組み合わせることなく偏光変換機能を実現しており、光学素子数の低減や、光学装置の小型化、低価格化を実現することが可能となる。
本発明の第5の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1、図20(a)、(b)、図21(a)、(b)を参照して説明する。
本発明の第5の実施の形態にかかる偏光変換素子は、図1に示したように、入射するランダム偏光を直線偏光に揃えて放出する素子であり、第1〜4の実施の形態とは異なる構成を有するものである。本発明の偏光変換素子の構成を、図20(a)、(b)を用いて説明する。
本偏光変換素子は、支持体となる支持基板上に、磁性構造体202−1として磁性体材料によるラインパターンの対を配列した構成を有している。この磁性ラインパターンは、入射する光の波長以下の幅であり、波長以下の間隔で近接した対により構成されている。
このような偏光変換素子の構造は、第1の実施の形態の説明と同様に、パターン化基板を用いたブロックコポリマーの自己組織化による微細周期構造の転写や、電子ビームリソグラフィ技術を用いた直接描画や、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法、ナノインプリント加工技術などにより作製することができる。
以上のように、本偏光変換素子は、直交する二つの偏光成分のうち、一方の成分を他方の成分へ非一様に変換する機構を有しているために、複数の光学素子を組み合わせることなく偏光変換機能を実現しており、光学素子数の低減や、光学装置の小型化、低価格化を実現することが可能となる。
本発明の第6の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1、図21(a)、(b)、図22(a)、(b)を参照して説明する。
本発明の第6の実施の形態にかかる偏光変換素子は、図1に示したように、入射するランダム偏光を直線偏光に揃えて放出する素子であり、第1〜5の実施の形態とは異なる構成を有するものである。本発明の偏光変換素子の構成を、図22(a)、(b)を用いて説明する。
第6の実施の形態と第5の実施の形態との違いは、支持体となる支持基板201上に、導電性の膜2201を配していることであり、この膜2201に接するように配置された磁性体材料によるラインパターンの対203−1を配列した構成を有している。この磁性ラインパターンは、入射する光の波長以下の幅であり、波長以下の間隔で近接した対により構成されている。
以上のように、本偏光変換素子は、直交する二つの偏光成分のうち、一方の成分を他方の成分へ非一様に変換する機構を有しているために、複数の光学素子を組み合わせることなく偏光変換機能を実現しており、光学素子数の低減や、光学装置の小型化、低価格化を実現することが可能となる。また、本偏光変換素子は偏光変換効率の向上を図ることができる。
本発明の第7の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図1、図23(a)、(b)〜図25(a)、(b)を参照して説明する。
本発明の第7の実施の形態にかかる偏光変換素子は、図1に示したように、入射するランダム偏光を直線偏光に揃えて放出する素子であり、第1〜6の実施の形態とは異なる構成を有するものである。
本発明の偏光変換素子の構成を、図23(a)、(b)を用いて説明する。
図23(a)は本発明に係る偏光変換素子の第7の実施の形態を示す断面図であり、図23(b)は図23(a)の平面図である。
図24は本発明に係る第7の実施の形態の偏光制御素子の異なる構成を説明するための平面図である。
本発明の第8の実施の形態にかかる偏光変換素子に関して、図26を参照して説明する。本発明の第8の実施の形態にかかる偏光変換素子は、第1〜7の実施の形態における偏光変換素子の偏光変換効率を向上させるための構成を提示するものである。
図26は本発明に係る第7の実施の形態の偏光変換素子の断面図であり、支持体となる支持基板上または支持体内部に、第1〜7の実施の形態で説明した、磁性構造体もしくは磁性構造体と導電性部材からなる偏光変換素子構造を配し、本偏光変換素子構造の上方と下方の少なくともいずれかに、反射特性を制御する多重反射構造を設けた構成を有している。
このような多重反射構造を第1〜7の実施の形態で説明した偏光変換素子に備えることにより、本偏光変換素子内で光の多重反射が生じ、偏光変換に寄与する磁性構造体と光との相互作用の頻度を増大させることができる。
以上のように、本偏光変換素子は、直交する二つの偏光成分のうち、一方の成分を他方の成分へ非一様に変換する機構を、多重回経由する構成を偏光変換素子内部に含むことにより、偏光変換効率を向上させることが可能となっている。また、偏光選択性を付加することが可能となっている。
(請求項1,2)
本偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ナノ構造体の対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、入射光の直交する二つの偏光成分の一方のみを他方へ変換することが可能になり、また、2次元平面内における磁性材料の微細構造のみで偏光変換機能を実現したことにより、光学素子数の低減や光学装置の小型化か可能となるという効果を奏する。
本偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ナノ構造体の対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、偏光変換機能を実現するとともに、磁性ナノ構造体の対に接して導電性の膜を配置したことにより、偏光変換効率の向上が可能となるという効果を奏する。
本偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ナノ構造体の対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、偏光変換機能を実現するとともに、磁性ナノ構造体の対に接して導電性材料による微細パターンを配置したことにより、偏光変換効率の向上が可能となるという効果を奏する。
本偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ナノ構造体の対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、偏光変換機能を実現するとともに、磁性ナノ構造体の対に接して導電性材料によるラインパターンを配置したことにより、偏光変換効率の向上が可能となるという効果を奏する。また、偏光選択性を有する偏光変換素子が実現できるという効果を奏する。
本偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ラインパターンの対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、入射光の直交する二つの偏光成分の一方のみを他方へ変換することが可能になり、また、2次元平面内における磁性材料の構成のみで偏光変換機能を実現したことにより、光学素子数の低減や光学装置の小型化か可能となるという効果を奏する。
本偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが互いに相反した磁性ラインパターンの対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、偏光変換機能を実現するとともに、磁性材料によるラインパターンの対に接して導電性の膜を配置したことにより、偏光変換効率の向上が可能となるという効果を奏する。また、偏光選択性を有する偏光変換素子が実現できるという効果を奏する。
偏光変換素子は、磁化ベクトルの主たる成分の向きが相反した磁性ラインパターンの対を支持体上または支持体内部に配置したことにより、偏光変換機能を実現するとともに、磁性ラインパターンの対に接して導電性材料によるラインパターンを配置したことにより、偏光変換効率の向上が可能となり、また、偏光選択性を有する偏光変換素子が実現できるという効果を奏する。
本偏光制御素子は、磁性構造体または磁性構造体と導電性部材からなる偏光変換素子構造の少なくとも一方の端部に、多重反射構造を設けることにより、入射光と磁性構造体および導電部材との相互作用の頻度を増大することが可能となり、偏光変換効率の向上が可能となるという効果を奏する。
本偏光制御素子は、偏光変換素子を構成する磁性構造体として単磁区構造となるサイズの磁性構造体を用いることにより、入射光と磁性構造体との相互作用の強さを増大させることが可能となり、偏光変換効率の向上が可能となるという効果を奏する。
2 偏光変換素子
3 出射偏光状態(直線偏光)
201 支持基板
202 磁性ナノ構造体
203 磁性構造体の対(ユニット)
Claims (9)
- 支持体上または支持体内部に、磁性構造体の対を2次元的に配した構造を少なくとも有し、該磁性構造体の対は、入射する光の波長以下の間隔で隣接し、且つ該磁性構造体の中心点間を結ぶ直線に対して平行で互いに相反する向きに主たる磁化成分を有することを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1記載の偏光変換素子であって、前記磁性構造体の幅及び奥行きの長さを入射する光の波長以下としたことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1記載の偏光変換素子であって、前記磁性構造体を、入射する光の波長以下の幅を有する磁性材料によるラインパターンで構成したことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1から3のいずれか1項記載の偏光変換素子であって、前記支持体上に、前記磁性構造体の対に接するように導電性部材を配したことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項4記載の偏光変換素子であって、前記導電性部材を平坦な膜で構成したことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項4記載の偏光変換素子であって、前記導電性部材を入射する光の波長以下のサイズを有する2次元パターンで構成したことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項4記載の偏光変換素子であって、前記導電性部材を入射する光の波長以下の幅を有するラインパターンで構成したことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1から7のいずれか1項記載の偏光変換素子であって、前記磁性構造体の対および前記導電性部材の、上方または下方の少なくとも一方に、多重反射構造を配したことを特徴とする偏光変換素子。
- 請求項1,2,4から8のいずれか1項記載の偏光変換素子であって、前記磁性構造体が単磁区構造を有することを特徴とする偏光変換素子。
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