JP2009223123A - 偏光制御素子、偏光制御装置 - Google Patents

偏光制御素子、偏光制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】偏光制御効率を向上させ、偏光特性の調整が可能であり、動作波長帯域の調整が可能であり、外的な損傷に強い偏光制御素子を提供すること。
【解決手段】支持体上または支持体内部に、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長より小さなサイズの複数個の開口部を有する金属膜を少なくとも有し、金属膜の開口部と、2個以上の金属構造体からなるユニットを、2次元的に配置するとともに、該ユニットに含まれる2個以上の金属構造体は、同一形状ならびに同一の大きさであり、該金属構造体の大きさよりも近接して配置することを特徴とする偏光制御素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、高効率、高耐熱性、高耐光性を有する偏光制御素子および偏光制御装置に関するものであり、本発明にかかる偏光制御素子および偏光制御装置は、液晶プロジェクタ等の画像投影装置や、表示装置に利用できる。
従来の偏光板や波長板などの偏光制御素子は、直交する二つの偏光成分における、材料に依存した伝搬速度または吸収特性の違いを利用し、一方の偏光成分のみを透過させたり、2つの偏光成分の間に位相差を生じさせ、直線偏光から円偏光のように、偏光状態を変化させたりする光学素子である。このような素子は、例えば、液晶パネルや有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、液晶プロジェクタなどの画像投影装置の画素のオン・オフの切り替えに利用されている。また、エリプソメトリー(偏光解析)などの光計測技術や、レーザー干渉計、光シャッターなど、様々な光学機器ならびに計測機器にも広く利用されている。
偏光板は、入射光の直交する偏光成分の一方のみを透過させ、他方を吸収または反射(散乱)させる素子であり、自然偏光を直線偏光に変換する。液晶パネル等に利用されている偏光板の多くは、ポリビニルアルコールなどの基板フィルムにヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸着させ、高度に延伸・配向させることで吸収二色性を発現させている。
一方、1/2波長板や1/4波長板のようなリターデーションプレート(または位相シフタ)には、複屈折性の光学結晶が用いられ、常光線と異常光線の屈折率の違いにより偏光状態を変調するものである。常光線と異常光線の光路差が波長の1/2となるものが1/2波長板(half-wave plate)、1/4となるものが1/4波長板(quarter-wave plate)であり、光学結晶の光の伝播方向に対する厚さにより光路差を制御する。このような、複屈折性を示す材料としては、方解石や水晶が広く利用されている。
ところで、上記の偏光板のように、吸収を利用した偏光制御素子は、熱による影響を受けやすく、透明度の低下、焦げる、といった問題があり、照射光量を大きくすることができない。また、使用温度条件が厳しく、高輝度の液晶プロジェクタなどで使用する場合には、冷却機構が必要となり、装置の小型化が困難、埃の付着による画質の劣化が生じるなど、従来から解決すべき課題があった。また、上記の波長板のように、光学結晶の屈折率異方性を利用する偏光制御素子においては、光学結晶材料が限定され、高価である他、波長分散性があり、使用できる波長帯域に制限があるなどの課題があった。また、光学結晶の厚さで光路差を調整し、偏光状態を制御しているので、偏光制御素子を小型化、薄型化することは困難であった。
上記の課題に対し、無機材料である金属材料を利用した偏光制御素子として、以下に示すような従来技術が提示されている。また、金属材料は一般的に、光を透過させない特性を有するが、金属材料表面に微細な構造を設けることにより、透過率を向上させる素子構成が、以下に示す従来技術として提示されている。
特許文献1(特開平11−52129号公報)における課題は、消光比が高く、基板からの剥離の心配が不要で、さらに挿入損失の低い、信頼性且つ特性の非常に優れた偏光子及びその製造方法を提供することであり、図25に示すように、透光性を有する基板2の少なくとも一主面上に、誘電体中に形状異方性を有する多数の金属粒子4aが分散された誘電体層5を1層以上積層させた偏光子1であって、同一の誘電体層中に存在し隣合う金属粒子同士の間隔のばらつきが200nm以下であり、かつ同一の誘電体層中に存在する金属粒子の個数密度が3〜37個/μmであることを特徴とする。
また、特許文献2(特開2000−171631号公報)も類似の技術を利用したものである。
特許文献3(特許第3906856号公報)における課題は、孔開き導電性フィルムを通して強い光伝送がなされる素子を提供することであり、図26に示すように、第1および第2の表面を有する金属材料またはドープ処理をした半導体材料から構成される導電性フィルムと、導電性フィルムに設けられ第1の表面から第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と、第1および第2の誘電体層とを有し、第1の誘電体層は実質的に導電性フィルムの第1の表面に隣接して設けられており、また、第2の誘電体層は実質的に導電性フィルムの第2の表面に隣接して設けられ、導電性フィルムの1つの表面に入射する光が導電性フィルムの少なくとも1つの表面上の表面プラズモンモードと相互作用し、導電性フィルムの少なくとも1つの開口を通ずる光伝送を強化することを特徴としている。本素子は、単一の開口、あるいは、複数の周期的に整えられた開口を有するものでもよく、導電性フィルム表面は、さらに伝送を強化するため、周期的な表面形状が設けられていてもいなくてもよい。本素子を利用することにより、波長選択光学素子、空間光学フィルタ、集光装置、走査型近接場光学顕微鏡装置、写真平版印刷用マスクが提供される。
また、特許文献4(特許第386219号公報)も類似の技術を利用したものである。
特許文献5(特表2006−514751号公報)における課題は、広帯域偏光ビームの合成および分離を行なう偏光素子を提供することであり、図27に示すように、基板14と、基板に伝達可能に結合された少なくとも1つの反射防止コーティング層32と、少なくとも1つの反射防止コーティング層に伝達可能に結合された少なくとも2つのナノ構造22と、少なくとも2つの溝付きの層20とを含み、少なくとも2つの溝付きの層のそれぞれが少なくとも2つのナノ構造のうちの対応する1つに貫入されることを特徴とする。これにより、2つの溝付きの層に垂直な偏光を、約250nmからほぼマイクロ波の波長未満までの範囲の波長を透過させることができる。
特許文献6(特開2007−114232号公報)の課題は、直線偏光の光を出射する光源を用いる場合に適した近接場の光増強が可能な光学素子及びそれを備えた近接場発生装置並びに露光装置を提供することであり、図28に示すように、直線偏光光源10から照射される直線偏光によって、金属遮光膜12に形成された微小開口13a・13b・13cにて近接場を発生し、金属遮光膜12には、微小開口13a・13b・13cから直線偏光の偏光方向に微小構造物14が設けられていることを特徴とする。
特許文献7(WO2005/029164号公報)、特許文献8(特開2004−288240号公報)は、入射光のエネルギーを局所的に集中して、効率よく透過させる構成を提供するものである。特許文献7は、図29に示すように、第1および第2の表面20a及び20bを有し、第1の表面から第2の表面に連通する少なくとも一つの開口30が設けられた導電性薄膜20の、第1及び第2の表面の少なくとも一方に、周期長の異なる第1および第2の周期的表面形状40a及び40bを形成し、第2の周期的表面形状の周期長P2を、第1の周期的表面形状の周期長P1の1/2の奇数倍に実質的に等しくすることを特徴とする。これにより、前記第1の周期的表面形状によって励起される表面プラズモン・ポラリトンが、前記第2の周期的表面形状によって奇数次ブラッグ反射され、第1の表面に入射し開口を通じて第2の表面側へ伝送される光の強度が高効率で増強される。
特許文献8の課題は、波長以下の開口を介した光の伝送において、得られる透過光の入射光に対する利用効率を向上させることであり、図30に示すように、第1および第2の表面を有し、第1の表面から第2の表面に連通する複数の開口が周期的に設けられた導電性フィルムの、第1の表面に入射し開口を通じて伝送される光の強度が、開口が周期的ではない場合に比べて増強される光学素子であって、開口における第1の表面の側の開口径が、第2の表面の側の開口径より大きいことを特徴とする。
特許文献9(特開2004−117703号公報)の課題は、構造が簡単で、特に、比較的大きい透過面積を要する用途においても製造と支持が容易な位相差板を提供することであり、図31に示すように、金属板と、該金属板の面域を貫通する1個以上の開口とから成り、金属板の厚みが、開口を透過する光の波長の0.3〜2.0倍の範囲として、開口が、正多角形若しくは円形であり、開口の寸法が波長の0.3〜2.0倍の範囲にあり、多数の開口が、金属板の面域に、周期的に形成されることを特徴とする。本位相板は、金属板に対する入射電磁波の入射角が、1〜30°の範囲として、電磁波、特にギガヘルツ波から可視光領域までを対象にしている。
金属微細構造を用いて入射光の偏光状態を制御する技術として、以下に示す我々提案の技術がある。
特許文献10(特開2006−330105号公報)には、耐熱性および耐光性に優れ、光の透過率または反射率の高い偏光制御素子を提供するとともに、設計自由度の高い偏光制御素子を提供することを目的とし、図32(a)に示すように、入射光の波長以下の領域に配置され、かつ周期的に配列されている二つ以上の金属微小構造体で構成された金属複合構造体6を、支持基板上に形成し、近接場光による相互作用が働くような構成により光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子とすることが記載されている。
また、特許文献11(特開2006−330106号公報)には、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することを目的とし、図32(b)に示すように、透明なガラス基板1の平坦な面に、入射する光の波長よりも微小な金属構造(金属粒子2)を、入射する光の波長よりも小さい距離で2次元に配置することにより、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子10とする。平坦な基板の他、レンズまたはマイクロレンズ上に金属構造を設ける構成もあると記載されている。
また、特許文献12(特開2006−330107号公報)には、位相差を発生させる波長板を実現すると共に、耐熱性に優れた偏光制御素子を提供することを目的とし、図32(c)に示すように、ガラス基板などの透明な誘電体基板1上に、二種類以上の金属または合金からなる金属粒子(第1の金属粒子2、第2の金属粒子3)のパターンを連続的に形成することで、透過光または反射光の偏光成分に位相差を発生させる波長板を実現すると共に耐熱性に優れかつ偏光状態の設計自由度の高い偏光制御素子10を提供することが記載されている。
また、特許文献13(特開2006−330108号公報)には、金属微小構造体が配列されている支持基板をサブ波長構造とし、基板表層に強いエバネッセント光を発生させる構成し、近接場光とエバネッセント光が結合することにより、光放射および光吸収をより強く生じさせ、光特性の制御性能の向上を図ることを目的とし、図32(d)に示すように、入射光の波長以下の領域に配置され、かつ周期的に配列されている金属微小構造体6で構成された金属複合構造体を、ガラス基板1上に形成した偏光制御素子10であって、ガラス基板1の表面に、高さが周期的に変調されてなる周期構造を有し、周期構造が、前記入射光の波長より小さい周期で構成されていることが記載されている。
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、以下に示すような問題点があった。
特許文献1、2および5は、本発明の偏光制御素子と同様に、金属微細構造を有するものであるが、金属微細構造の形状の異方性を利用して、2つの直交する偏光成分のうちの一方を選択的に透過するものあり、偏光素子の一要素である位相シフト効果を実現したものではない。また、偏光成分の50%は反射光として損失してしまうため、光利用効率が低い。
特許文献3、4、7、8は、金属膜に設けた開口部分に入射光のエネルギーを強く集中させるとともに、効率よく透過させる構成を示すものであるが、本構成だけでは偏光制御機能は有していない。これらは、本発明の偏光制御素子の構成の一部に、光を開口内に集中させる機能を利用しているために参照した。
特許文献6は、微小な金属開口内に微小金属構造体の配列構造を設けることにより、特定の偏光成分を効率よく取り出す構成を示したものであるが、これは局所的に偏光状態の定まった電場を生じさせる光源を提供するものであり、一般的に使用される偏光板、位相板のような大面積の偏光制御素子としては機能していない。また、偏光制御機能の一要素である位相シフト効果は有していない。
特許文献9は、金属開口の配列による異方性を利用して、偏光異方性を発現しているが、十分に大きな位相シフト効果を得るには、ある程度大きな金属領域が必要であり、十分に透過率の高い偏光制御素子は実現できていない。
上記のような従来技術に対して、我々の提案に係る技術(特許文献10〜13)は、2個以上の金属微小構造体を用い、共鳴現象を利用することにより、特定の波長において、2つの直交する偏光成分に対して高効率に位相差または透過率の異方性を生じさせているが、本素子により得られる位相差は十分に大きいとは言えず、偏光制御効率が低い。金属微小構造体を2次元的に配した構造を多段に設けることにより位相差を増大させることも可能であるが、作製工程が複雑になり、また、偏光制御素子自体も厚くなるため、小型化、薄型化に対しては不利となる。偏光制御効率が低くなる原因は、金属微小構造体が離散的に配されているために、金属微小構造体と相互作用せずに直接と透過してくる光の影響が大きいためである。
特開平11−52129号公報 特開2000−171631号公報 特許第3906856号公報 特許第386219号公報 特表2006−514751号公報 特開2007−114232号公報 WO2005/029164号公報 特開2004−288240号公報 特開2004−117703号公報 特開2006−330105号公報 特開2006−330106号公報 特開2006−330107号公報 特開2006−330108号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、以下を発明の目的とする。
請求項1、2の目的は、偏光制御効率を向上させるための、偏光制御素子の構成を提供することにある。
また、請求項3、4、5の目的は、本発明の偏光制御素子における金属膜の開口部の具体的な形状を提供することにある。
また、請求項6の目的は、外的な損傷に強い偏光制御素子を実現するとともに、動作波長帯域の調整が可能である偏光制御素子の構成を提供することにある。また、偏光特性の調整が可能である偏光制御素子の構成を提供することにある。
また、請求項7の目的は、本発明の偏光制御素子を反射型素子として利用するための、具体的な構成を提供することにある。
また、請求項8の目的は、本発明の偏光制御素子の具体的な構成を提供することにある。
また、請求項9、10の目的は、本発明の偏光制御素子を能動素子として機能させるための、偏光制御素子および偏光制御装置の構成を提供することにある。
さらに請求項11の目的は、本偏光制御素子の具体的な構成を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「支持体上または支持体内部に、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長より小さなサイズの複数個の開口部を有する金属膜を少なくとも有し、金属膜の開口部と、2個以上の金属構造体からなるユニットを、2次元的に配置するとともに、該ユニットに含まれる2個以上の金属構造体は、同一形状ならびに同一の大きさであり、該金属構造体の大きさよりも近接して配置することを特徴とする偏光制御素子」、
(2)「前記金属膜の開口部および/または開口部近傍の金属膜が、入射光のエネルギーを開口部に集中する構造を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の偏光制御素子」、
(3)「前記金属膜の開口部近傍の形状が、対向する金属先鋭構造を有していることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の偏光制御素子」、
(4)「前記金属膜の開口部近傍の形状が、開口部中心から同心円状の凹凸構造を有していることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の偏光制御素子」、
(5)「前記金属膜の開口部の開口面積が、入射光の進行方向に対して変化していることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の偏光制御素子」、
(6)「前記支持体が、2種類以上の誘電体材料からなる膜であることを特徴とする前記第(1)項に記載の偏光制御素子」、
(7)「前記支持体の一方の端面に、反射層を設けることを特徴とする前記第(1)項に記載の偏光制御素子」、
(8)「金属構造体を2次元的に配置した層および/または開口部を有する金属膜を複数段有することを特徴とする前記第(1)項に記載の偏光制御素子」、
(9)「前記金属構造体を被覆、または前記金属構造体に接し、外部制御手段により光学特性を変化させる機能性膜を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の偏光制御素子」、
(10)「前記第(9)項に記載の偏光制御素子と、電気的、光学的、形状変化により、前記機能性膜の光学特性を変化させる外部制御手段を備えることを特徴とする偏光制御装置」、
(11)「前記ユニットの2次元配置に周期性をもたせたことを特徴とする前記第(1)項に記載の偏光制御素子」。
本発明の請求項1にかかる偏光制御素子は、支持体上または支持体内部に、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長より小さなサイズの複数個の開口部を有する金属膜を配し、金属膜の開口部と2個以上の金属構造体からなるユニットを2次元的に配置するとともに、ユニットに含まれる2個以上の金属構造体を、同一形状ならびに同一の大きさとし、金属構造体の大きさよりも近接して配置したことにより、金属構造体近傍に強く集中した電場を介して効率よく偏光制御が行われ、透過率を向上するとともに、高い偏光制御効率を有する偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
ここで、「金属膜の開口部と、2個以上の金属構造体からなるユニットを、2次元的に配置する」とは、典型的には例えば、後述の具体例から理解されるように、該開口部を金属膜に周期的に設け、かつ、それぞれの開口部に対して、2個以上の金属構造体からなるユニット群を、2次元的に配置して開口部と2個以上の金属構造体との組合せを構成することを意味する。
また、本発明の請求項1〜3にかかる偏光制御素子は、金属構造体に隣接する金属膜の開口部に、金属先鋭構造を設けたことにより、金属構造体近傍に強く集中した電場を介して効率よく偏光制御が行われ、透過率を向上するとともに、且つ、高い偏光制御効率を有する偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1,2,4にかかる偏光制御素子は、金属構造体に隣接する金属膜の開口部近傍に、開口部中心から同心円状の凹凸構造を設けたことにより、金属構造体近傍に強く集中した電場を介して効率よく偏光制御が行われ、透過率を向上するとともに、高い偏光制御効率を有する偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜4にかかる偏光制御素子は、金属構造体に隣接する金属膜の開口部を、開口面積が入射光の進行方向に対して変化する構造としたことにより、入射光のエネルギーを透過面側に効率よく伝達することができ、透過率を向上するとともに、高い偏光制御効率を有する偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜5にかかる偏光制御素子は、金属構造体に隣接する金属膜の開口部を、開口面積が入射光の進行方向に対して変化する構造としたことにより、入射光のエネルギーを透過面側に効率よく伝達することができ、透過率を向上するとともに、高い偏光制御効率を有する偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜6にかかる偏光制御素子は、金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体として、2種類以上の誘電体材料を用いることにより、偏光異方性および動作波長の調整が可能な偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。また、金属構造体または/および開口部を有する金属膜を誘電体材料で被覆することにより、外部損傷に強い偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜7にかかる偏光制御素子は、支持体上または支持体内部に金属構造体および開口部を有する金属膜を配するともに、支持体の一方の端面に反射層を設けることにより、反射型の偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜8にかかる偏光制御素子は、支持体上または支持体内部に金属構造体および開口部を有する金属膜を複数段配置することにより、高い偏光制御効率を有する偏光を有する偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜10にかかる偏光制御素子は、支持体上または支持体内部に金属構造体および開口部を有する金属膜を配置するとともに、外部制御手段により変調が可能な機能性膜を設けることより、偏光状態を能動的に変化させることのできる偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。また、偏光制御装置を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の請求項1〜11にかかる偏光制御素子は、金属膜の開口部と2個以上の金属構造体からなるユニットの2次元配置に周期性をもたせることにより、回折現象による効果を乗じた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
以下に図面を参照して、この発明にかかる偏光制御素子および偏光制御装置の偏光制御方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態にかかる偏光制御素子に関して、図1〜15を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を説明する、入射光の進行方向に対して平行および垂直な方向の断面図である。本偏光制御素子は、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長よりも小さなサイズの複数個の開口部を有する金属膜により構成され、図1の入射光と平行な方向の断面図(図1中の左側断面図)に示すように、2個以上の金属構造体からなるグループと、金属膜の各開口部との組合せを一つの金属構造体ユニットとして、金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有する。図1の実施例では、金属構造体が支持体表面に形成され、開口部を有する金属膜が支持体内部に形成されているが、図2、図3の断面図にそれぞれ示すように、金属構造体が支持体内部に配置され、開口部を有する金属膜が支持体表面に配置された構成、金属構造体と開口部を有する金属膜がともに支持体内部に配置された構成であっても構わない。また、図4に示すように、金属構造体と開口部を有する金属膜の積層順序は、本偏光制御素子の入射側および出射側のいずれの側に配置しても構わない。ここで、金属膜の開口部は、透過する光を開口部に強く集中させる役割を担っている。また、金属構造体は、図1の実施例では、金属構造体ユニットに2個の金属構造体を有する構成を示しているが、この場合、金属構造体の配置に平行な方向(図1では右側下図の横軸方向(X軸方向))と垂直な方向(同縦軸方向(Y軸方向))で異方性を有することにより、偏光状態を変化させる役割を担っている。これは、例えば、λ/4板、つまり直線偏光−円偏光変換板として好適に用いることができる。
次に、本偏光制御素子を構成する支持体について説明する。支持体として使用する材料は、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料が好ましく、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。
次に、本偏光制御素子を構成する金属構造体について説明する。
図1では、円柱形状の金属構造体を示したが、円柱形状のほか、球形状、半球形状、三角柱・四角柱形状、円錐形状、楕円柱形状などであっても構わない。各金属構造体のサイズは、出射する光を遠方で観測した際に、光強度の空間的な分布が現れないように、入射光の波長よりも小さくする必要がある。金属構造体のサイズは、形状が非対称になると一意に決めることができないため、その決め方を図5により説明する。
図5は、金属構造体の上面図であり、上方から見た2次元的な形状に対して、金属構造体と同面積を有する円の直径d、または空間的に非対称な形状を有する金属構造体の場合、金属構造体と同面積を有する楕円の長径d1および短径d2を、金属構造体のサイズとする。紙面に垂直な方向の大きさ(金属構造体の厚さ)に対しては、入射光の偏光方向が紙面に平行な面内にあると仮定すると、すなわち紙面に垂直に光が入射するものと仮定すると、近接場光を介した相互作用の距離に金属構造体の紙面に垂直な方向の大きさは影響しないため、特に大きさを規定する必要はない。ここで、近接場光とは、金属構造体近傍に生じる電磁場を意味する。金属構造体を構成する材料は、近接場光を強く発生する材料がよく、これは表面プラズモンまたは局在表面プラズモンを励起できる材料である。表面プラズモンとは、金属と誘電体の界面領域の金属側に励起される電子の集団運動であり、局在表面プラズモンとは、金属による構造が微小になった場合に、金属材料全体に渡って励起される電子の集団運動である。以下では表面プラズモン、局在表面プラズモンを、ともにプラズモンと表記する。プラズモンを励起できる金属材料としては、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。金属構造体ユニットに含まれる金属構造体は、複数個隣接して配置することにより、偏光異方性が発現する。この偏光異方性は、2個の金属構造体により構成されている場合には、配置に平行な方向と垂直な方向において、異なる電場振幅および位相差をもつことに起因して生じる。金属構造体ユニットには、3個以上の金属構造体が含まれていても構わない。
図6は、3個の金属構造体に構成された金属構造体ユニットを説明する図である。図6(a)は、L字型に金属構造体を配置した例であり、金属構造体間の距離LxおよびLyを調整することにより、偏光制御特性を調整することができる。また、図6(b)は、同様に、3個の金属構造体による構成であるが、金属構造体の配列する軸が、互いに角度θで交差している。この角度を調整することにより、位相シフト量に加え、旋光性を発現させている。また、図6(c)は、(b)と鏡面対象な関係にあり、楕円偏光が右回りおよび左回りと異なる構成である。金属構造体4個以上による構成も同様であり、より複雑な偏光状態の制御が実現できる。
次に、本偏光制御素子を構成する金属膜および開口部の形状について説明する。開口部のサイズについても、金属構造体と同様に入射光の波長以下とする。好ましくは、金属構造体ユニットに含まれる複数個の金属構造体と入射光のエネルギーを効率良く結合させるために、金属構造体の配列の長手方向(例えば、図1の右側下図における横軸(X軸)方向)のサイズ以下とするのが良い。金属膜の開口部は、金属構造体に光を強く集中させる働きをもち、金属構造体の上部または下部に近接して開口部が位置するように配置する。
図7は、金属構造体ユニットと金属開口構造の開口部との位置関係を示した図である。通常は、図7(a)に示すように、複数個(図7では2個)の金属構造体の重心位置に開口部の中心が重なるように金属開口は配置するが、図7(b)に示すように、金属構造体の重心位置からずれた位置に開口部を有していても、同様の効果が得られる。図7(b)は水平軸上にずれがある場合を示しているが、同時に垂直軸方向へのずれがあっても良い。このずれの量は、隣り合う金属構造体ユニットの間隔より小さくとる必要がある。開口部を有する金属膜の材料は、金属構造体と同様に、プラズモンを励起できる材料であり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。また、開口部の形状は、開口を通して金属構造体に光を導入する、または金属構造体と相互作用した光を開口を通して効率よく取り出す必要から、開口近傍に入出射光のエネルギーを集中できるものであれば、いかなる形状であっても構わない。
図8により、代表的な開口部の形状を示す。図8(a)は円形開口であり、金属構造体の配列に平行および垂直な方向の2つの偏光成分を金属構造体に等量照射できる。これに対し、図8(b)の楕円形開口では、楕円の長軸および短軸の向きに異なる強さで金属構造体を励振する。図8(c)の正方形開口、図8(d)の長方形開口も、円形、楕円形開口と同様の効果を示すが、エッヂ形状の差異により近接する金属構造体との相互作用の特性が変化する。金属膜の厚さは、金属構造体にのみ入射光のエネルギーが照射され、金属構造体の存在しない領域に光が染み出さないように、金属中に電磁波が染み込む深さである表皮深さよりも厚くする。金属の表皮深さは、一般的な金属の場合、20nm程度である。また、本偏光制御素子の垂直方向の金属開口形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。
図9右図は、金属開口の側面を垂直に形成した構成であるが、図9左図に示すように、開口部の面積が入射光の進行方向に対して、徐々に小さくなる傾斜構造をもつ場合、傾斜角度に依存してプラズモンと入射光との結合効率を向上させることができ、下方に位置する金属構造体をより強く励振することが可能となる。
金属構造体ユニットの2次元配置の仕方は多様であるが、代表的は配列の例を図10に挙げて説明する。図10では、金属膜による開口部は省いている。図10−1は正方格子上の格子点に金属構造体ユニットを配列した場合、図10−2は長方格子上の格子点に金属構造体ユニットを配列した場合、図10−3は六方格子上の格子点に金属構造体ユニットを配列した場合、図10−4はライン上にラインに垂直な向きに配列した金属構造体ユニットを配列した場合、図10−5はライン上にラインに平行な向きに配列した金属構造体ユニットを配列した場合、図10−6は2次元面内にランダムに金属構造体ユニットを配列した場合の構成を示す上面図である。金属膜の開口部は、金属構造体に近接して配するため、その2次元配列パターンは金属構造体と同様である。金属構造体ユニットの2次元配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができるため、偏光制御素子の使用目的に応じて、対称性や周期、ピッチなどを調整する必要がある。また、ランダムに配列した場合であっても、全ての金属構造体ユニットの配向が揃ってさえいれば、偏光制御特性が出現する。
次に、本偏光制御素子における金属構造体および金属膜の開口部の作製方法について説明する。本偏光制御素子は、図11に示す工程により作製する。まず、基板上にレジストを塗布し、電子ビームリソグラフィによりレジストを露光し、反応性ドライエッチングによりガラス表面に凹凸パターンを形成する(工程1)。続いて、Auなどの金属材料をスパッタリングまたは蒸着により成膜し(工程2)、その後、レジストの除去にともなうリフトオフによって、金属開口構造を作製する(工程3)。続いて、SiO2をスパッタリングなどにより順に成膜し、レジストを塗布し、電子ビームリソグラフィによりレジストを露光してリンスすることにより凹凸形状を作製する(工程4)。続いて、金属材料をスパッタリングまたは蒸着により成膜し(工程5)、レジストの除去にともなうリフトオフにより、金属構造体を残すことにより、所望する構成を有する偏光制御素子が作製できる(工程6)。以上は、作製工程の一例であるが、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法もある。
次に、本偏光制御素子の動作原理と、本偏光制御素子の構成により偏光制御効率を向上することができる原理を説明するために実施した数値シミュレーションについて説明する。数値シミュレーションには、電磁界の運動を記述するマクスウェル方程式を時空間の差分方程式に近似して解く、有限時間領域差分法(FDTD法)を利用した。本シミュレーションにおいて、時間幅の十分に狭いパルスを入射することにより、その時間応答(インパルス応答)を取得し、これをフーリエ変換することによりスペクトル特性を計算した。インパルス応答を計算する場合、金属材料の波長分散を考慮する必要があるが、金属材料はAuを仮定し、孤立した電子の運動方程式から導出されるDrudeモデルとLorentzモデルとを足し合わせた誘電関数を用いることにより、波長分散を導入した。
なお、FDTDシミュレーションは、マクスウェル方程式を時間領域と空間領域に差分化して近似的に計算する数値計算の手法で、近接場光のシミュレーション等で頻繁に利用される。マクスウェル方程式は誘電率εを式中に含むが、金属を用いる場合は、入射する波長によって誘電率の値が変わる。その変化の仕方(誘電関数)を、Drudeモデルや、Lorentzモデルの関数で置くことにより、数値シミュレーション中で、光の波長に応じた誘電率を扱えるようになる。Auの場合は、誘電関数が複雑なプロファイルを持つので単独のモデルではうまく表現できないため、DrudeモデルとLorentzモデルを足し合わせた関数で、誘電率の実測(文献)値に合うように近似している。
また、スペクトルの計算方法であるが、FDTDシミュレーションは時間領域のシミュレーションのため、周波数(スペクトル)へ変換する必要がある。通常、パルス状の光を入れると、これは全周波数成分を含んでいるために、フーリエ変換によりスペクトルに変換することができる。
図12は数値シミュレーションのモデルを説明する図である。金属膜の開口部には、開口直径128nm、厚さ40nmの円形開口を用い、SiOの内部に埋め込まれた構造を有している。厚さを40nmとしたのは、Auの表皮深さの約2倍に設定したものである。金属構造体は、直径96nm、高さ20nmのAuの円柱構造とし、SiO界面に2個の金属構造体を金属構造体ユニットに含む構成とした。ここで、金属構造体間のギャップ距離は、金属開口の直径と同じく128nmに設定した。入射光の方向に垂直な面内の計算領域は600nm×600nmとし、周期境界条件を適用したことから、金属構造体ユニットが600nmピッチで正方格子上に配列した偏光制御素子の計算を行なったものに対応している。入射光は、開口部を有する金属膜の側から波長600nmを中心波長とし、金属構造体の配置方向から45度回転した方向に振動面をもつ、直線偏光の平面波のパルスを入射し、偏光状態の評価はSiO界面から入射光の波長以上に離れた面における電場を空間平均し、時間応答からスペクトル特性を算出した。空間平均処理は、入射光と同じ方向に出射される光の遠方における電場を計算したことに相当している。
図13は、本シミュレーションにより得られた透過スペクトル強度をプロットした図である。金属構造体と開口部を有する金属膜との間隔hをh=20nm〜120nmまで、複数個を取り、FDTD計算を行なった。また、開口部のみを有する場合の透過スペクトル強度についてもプロットした。金属構造体が開口部近傍に存在する場合に、波長650nm近傍において透過強度が著しく増加することが確認でき、金属膜の開口部と金属構造体の近傍に入射光のエネルギーが集中し、透過することが確認できた。金属構造体と金属膜の開口部との間隔hには、透過強度を最大にする最適値が存在する。
次に、本偏光制御素子による出射光(透過光)における偏光状態を調べるために、金属構造体の配列に水平な方向と垂直な方向の電場の位相差を計算し、図14にプロットした。参照のため、開口部を有する金属膜を設けていない、金属構造体のみの場合(金属構造体間のギャップ距離120nmの結果)についても図14上にプロットした。金属膜のない構成では、最大位相差は波長650nm近傍で40°程度であるが、開口部を有する金属膜を設けた場合には、位相差が−80°から+165°まで大きく変化することが確認できた。また、金属構造体と金属膜の開口部との間隔が狭いほど、位相差は大きく変化することが分かった。
以上の結果から、金属構造体の上部に開口部を有する金属膜を設けることにより、位相差を大きくシフトすることができ、且つ、透過率の向上も実現できることが確かめられた。
次に、金属膜の開口面積が、入射光の進行方向に対して変化する場合の偏光特性について、図15に数値シミュレーションの結果を示した。本シミュレーションでは、金属構造体側の開口サイズを128nmとし、入射光側の開口サイズを192nmに設定し、計算を行なった。図15に示すように、位相差が−147°から+158°まで変化し、また、金属構造体と開口部を有する金属膜との間隔を広げた場合(h=40nm)においても、大きな位相差が得られることが確認できることから、開口面積が変化した構造を有する金属膜において、偏光制御効率が向上されることが確かめられた。また、開口部と金属構造体の相対位置のずれの効果についても、数値シミュレーションを行い、開口部のサイズと同等の128nm程度のずれが生じた場合にも、同程度の位相差が確保できることを確認した。また、金属構造体が支持体であるSiOの内部に位置し、開口部を有する金属膜が支持体表面に配置された構成についても同様の計算を行なったところ、波長750nm〜800nmにおいて、位相差が大きく変化することが確かめられた。これは金属構造体の周囲がSiOで覆われることにより、プラズモンの共鳴波長が長波長側にシフトするためである。以上の数値シミュレーションは、金属開口構造のピッチを600nmに固定して計算を行なった結果であるが、金属開口構造のピッチを金属表面に励起されるプラズモンの波長と整合させて設計することによりさらに、高効率に光を取り出すことができる。
以上の結果から、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置することにより、透過率および偏光制御効率の高い偏光制御素子を提供することができる。また、本偏光制御素子は、金属および誘電体材料からなる無機材料で構成されており、耐熱性・対抗性に優れた偏光制御素子を実現することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態にかかる偏光制御素子に関して、図1〜4、6、9、10、16を参照して説明する。本偏光制御素子は、第1の実施例を説明した図1〜4と同様に、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長より小さなサイズの開口部を有する金属膜により構成され、2個以上の近接した金属構造体と金属膜の開口部からなる金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有している。金属構造体および開口部を有する金属膜は、光の入射側、出射側のいずれの側に配置されていても構わない。また、金属構造体ユニットは、2個以上の金属構造体の配置に異方性があればよく、図1に示す2個の金属構造体による対のほか、図6に示すように3個の金属構造体による構成や、4個以上の複数個の金属構造体を用いた構成であっても構わない。
第1の実施例との違いは、金属構造体ユニットに含まれる金属膜の開口部に、入射光のエネルギーが集中されるように、対向する金属先端構造を設けた点である。図16は、本偏光制御素子の金属膜の開口部形状を説明する上面図である。図16(a)は、2つの三角形の開口を結合させた形状であり、金属膜部分が先鋭構造をなし、2つの金属先鋭構造が対向した形状となっている。図16(b)は、同様な金属先鋭構造が対向した形状を有しているが、開口部を矩形構造とすることにより、作製が容易になっている。2つの金属先鋭構造が対向する場合、金属先鋭部に強く近接場光が励起されることが知られており、この強い近接場光を介して、金属構造体ユニットに含まれる金属構造体に光を導入することが可能となっている。本実施の偏光制御素子の金属膜の開口部形状は、2つの対向する金属先鋭構造を有していれば、図16(a)および(b)に示す形状以外であっても構わない。
金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。また、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の材料は、第1の実施例と同様であり、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料である、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
以上のように、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置し、2つの対向する金属先鋭構造を金属膜の開口部に設けることにより、透過率および偏光制御効率の高い偏光制御素子を提供することができる。また、本偏光制御素子は、金属および誘電体材料からなる無機材料で構成されており、耐熱性・対抗性に優れた偏光制御素子を実現することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態にかかる偏光制御素子に関して、図1〜4、6、9、10、17を参照して説明する。本偏光制御素子は、第1の実施例を説明した図1〜4と同様に、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長より小さなサイズの開口部を有する金属膜により構成され、2個以上の近接した金属構造体と金属膜の開口部からなる金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有している。金属構造体および開口部を有する金属膜は、光の入射側、出射側のいずれの側に配置されていても構わない。また、金属構造体ユニットは、2個以上の金属構造体の配置に異方性があればよく、図1に示す2個の金属構造体による対のほか、図6に示すように3個の金属構造体による構成や、4個以上の複数個の金属構造体を用いた構成であっても構わない。
第1および第2の実施例との違いは、入射光のエネルギーを効率よく金属構造体に結合させるために、開口部近傍の金属膜に集光機能を有する構造を設ける点である。図17は、本偏光制御素子の構成および開口部近傍の金属膜の構造を説明する図である。本偏光制御素子に入射光を照射すると、金属膜の開口部を中心に、プラズモンの波が励振される。ここで、開口部近傍の金属膜の上面または下面に開口部を中心とする同心円状の凹凸構造を、金属膜上に励振されるプラズモンの波長に一致するように設けることにより、開口部に近接場光を強く集中することができる。図17の(断面1)では、同心円状の凹凸構造が、隣接する凹凸構造と交わらないように構成したが、凹凸形状が重なっていても構わない。
金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。また、金属膜の開口部近傍に設ける凹凸形状のサイズも、幅、高さともに表皮深さ以上である必要がある。第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。また、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の材料は、第1の実施例と同様であり、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料である、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
以上のように、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置し、金属膜の開口部近傍に同心円状の凹凸構造を設けることにより、透過率および偏光制御効率の高い偏光制御素子を提供することができる。また、本偏光制御素子は、金属および誘電体材料からなる無機材料で構成されており、耐熱性・対抗性に優れた偏光制御素子を実現することができる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態にかかる偏光制御素子に関して、図1、6、9、10、18を参照して説明する。図18は、本発明の第4の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を説明する、入射光の進行方向に平行な方向の断面図である。本偏光制御素子は、複数個の入射光の波長より小さなサイズの金属構造体と、複数個の入射光の波長よりも小さなサイズの開口部を有する金属膜により構成され、金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体として、2種類以上の誘電体膜を有している。また、2個以上の金属構造体と金属膜の開口部を一つの金属構造体ユニットとし、金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有する。開口部を有する金属膜の位置は、金属構造体の上部または下部のいずれであっても構わない。
2種類以上の誘電体膜と、金属構造体、開口部を有する金属膜の積層順序は多様にある。図18は、2種類の誘電体膜の構成例を示した図であり、図18(a)のように、金属構造体と開口部を有する金属膜の間に支持体とは異なる材料の誘電体膜を有する構成、図18(b)のように、偏光制御素子表面の金属構造体を被覆する誘電体膜を有する構成、図18(c)のように、金属構造体を被覆するとともに、開口部を有する金属膜の支持体として誘電体膜を配した構成などが利用できる。このような構成の偏光制御素子において、誘電体膜は、支持体としての役割に加え、金属構造体または開口部を有する金属膜を被覆するか、金属構造体または開口部を有する金属膜に接して配置することにより、本偏光制御素子の動作波長を調整する機能をもつ。また、本偏光制御素子の端面に誘電体膜を配置することにより、金属構造体ないしは開口部を有する金属膜が空気中に剥き出しになることを防ぐ保護層として働く。したがって、支持体として2種類以上の誘電体膜を構成することにより、本偏光制御素子の偏光制御特性の調整と、外的な損傷に対する耐性の向上が図れる。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の第1の材料は、第1の実施例で支持体として使用した、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料であり、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。また、金属構造体や開口部を有する金属膜を被覆またはこれらに接して配置する第2の支持体の材料は、第1の材料と同様に、吸収の少ない、光学素子のコーティング材料として一般的に使用される、石英ガラス、BK7、パイレックス(登録商標)、ZnS−SiOなどの硼珪酸ガラスや、CaF、Si、ZnSe、Al、ZnOなどの材料が利用できる。
金属構造体ユニットに含まれる2個以上の金属構造体は、第1の実施例で説明したように、配置に異方性があればよく、図1に示す2個の金属構造体による対のほか、図6に示すように3個の金属構造体による構成や、4個以上の複数個の金属構造体を用いた構成であっても構わない。また、実施形態例2、3で説明したように、金属膜の開口部近傍に入射光を集中する金属先鋭構造や、同心円状の凹凸構造を設けることにより、偏光制御効率の向上が図れる。また、第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。ここで、工程3と工程4の間に誘電体膜をスパッタリングにより堆積することにより、図18(a)の構成の偏光制御素子を作製する。また、工程6の後に、誘電体膜をスパッタリングにより堆積することにより、図18(b)の構成の偏光制御素子を作製する。また、図18(c)の構成では、金属構造体部分を工程1〜3で作製するが、金属構造体が極めて微小であるために、工程1でSiO基板をエッチングして金属構造体を基板表面に埋め込まなくても、工程3の後にスパッタリングにより誘電体膜を堆積することにより、平滑な表面が形成され、その上に開口部を有する金属膜を、リフトオフ法を用いて作製することにより、作製工程を少なくすることができる。このような微細加工には、電子ビームリソグラフィによる方法のほか、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
以上のように、2種類以上の誘電体膜により支持体を構成し、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置することにより、透過率および偏光制御効率の高く、偏光制御特性の調整が可能であり、外的損傷に強い偏光制御素子を提供することができる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態にかかる偏光制御素子に関して、図1、6、9、10、19〜21を参照して説明する。図19は、本発明の第5の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を説明する、入射光の進行方向に平行および垂直な方向の断面図である。本偏光制御素子は、第1〜4の実施の形態の偏光制御素子を、反射型の偏光制御素子として利用するための構成を提供するものである。図19の入射光に平行な方向の断面図に示すように、本偏光制御素子は、支持体上または支持体内部に複数個の入射光の波長より小さなサイズの金属構造体と、複数個の入射光の波長よりも小さなサイズの開口部を有する金属膜を配し、支持体の一方の端面に反射層を設けた構成を有している。また、2個以上の金属構造体と金属膜の開口部を一つの金属構造体ユニットとし、金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有している。
本偏光制御素子における反射層は、金属膜の開口部を透過し、金属構造体と相互作用した光を、再び入射側に戻す役割をするものであり、AlやAuなどの金属膜コーティングを表皮深さ以上の膜厚で施したものが利用できる。また、誘電体多層膜による全反射コーティングを施したものであってもよい。反射型の構成とする場合、開口部を有する金属膜で反射し、入射光の偏光状態を保持する成分も少なからず含まれるが、開口部が入射光のエネルギーを集中させる効果をもつことにより、開口部を有する金属膜を設けない場合に対して、金属構造体の偏光異方性を反映した反射成分をより強く取り出すことができる。
金属構造体ユニットに含まれる2個以上の金属構造体は、第1の実施例で説明したように、配置に異方性があればよく、図1に示す2個の金属構造体による対のほか、図6に示すように3個の金属構造体による構成や、4個以上の複数個の金属構造体を用いた構成であっても構わない。また、実施形態例2、3で説明したように、金属膜の開口部近傍に入射光を集中する金属先鋭構造や、同心円状の凹凸構造を設けることにより、偏光制御効率の向上が図れる。また、第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の材料は、第1の実施例と同様であり、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料である、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。また、第4の実施例で説明したように、金属構造体や開口部を有する金属膜を被覆またはこれらに接して誘電体膜を配してもよく、誘電体膜として用いる第2の材料として、石英ガラス、BK7、パイレックス(登録商標)、ZnS−SiOなどの硼珪酸ガラスや、CaF、Si、ZnSe、Al、ZnOなど、光学素子のコーティング材料として一般的に使用される材料が利用できる。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。また、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
次に、反射型の構成をもつ本偏光制御素子の動作確認を、数値シミュレーションにより行なった結果を説明する。数値シミュレーションには、第1の実施例で説明したFDTD法を用い、反射側の観測面におけるインパルス応答を、フーリエ変換することによりスペクトル特性を計算した。図20は、数値シミュレーションに用いた偏光制御素子のモデルを示した図である。本シミュレーションでは、金属構造体、開口部を有する金属膜は、Au膜を仮定した。また、反射層も単純な金属膜を仮定し、Auを用いた。反射層としたAu膜は、数値計算領域の端部に接するように配置した。計算領域の端部は、反射を生じず、電磁界を全て吸収するPML吸収境界を設定しており、擬似的に無限の膜厚を有するAu膜を想定したものとなっている。金属膜の開口部は、開口直径128nm、厚さ40nmの円形開口を用い、SiOの内部に埋め込まれた構造を有している。金属構造体は、直径96nm、高さ20nmのAuの円柱構造とし、SiO界面に2個の金属構造体を金属構造体ユニットに含む構成とした。ここで、金属構造体間のギャップ距離は、金属開口の直径と同じく128nmに設定した。入射光の方向に垂直な面内の計算領域は600nm×600nmとし、周期境界条件を適用したことから、金属構造体ユニットが600nmピッチで正方格子上に配列した偏光制御素子の計算を行なったものに対応している。入射光は、金属構造体の側から波長600nmを中心波長とし、金属構造体の配置方向から45度回転した方向に振動面をもつ、直線偏光の平面波のパルスを入射し、偏光状態の評価はSiO界面から入射光の波長以上に離れた光源面の背面における電場、すなわち反射成分のみの電場を空間平均し、時間応答からスペクトル特性を算出した。
図21は、本シミュレーションにより得られた反射光における、金属構造体の配置に平行な方向と垂直な方向の電場成分の位相差をプロットした図である。金属構造体と開口部を有する金属膜との間隔hをh=20nm〜120nmまで、複数個を取り、FDTD計算を行なった。金属構造体と開口部を有する金属膜の間隔がh=60nmの場合に、波長667nm程度の位置にもっとも大きな位相差が観測された。位相差は最大124°程度が得られた。開口部を有する金属がない場合には数10°程度の位相差しか得られておらず、金属膜の開口部があることにより、金属構造体の近傍に入射光のエネルギーが集中し、偏光状態が大きく変化することが確認できた。また、金属構造体と金属膜の開口部との間隔hには、透過強度を最大にする最適値が存在する。本偏光制御素子により90°以上の位相差が得られていることから、所望する波長で90°の位相差をもつように金属構造体位置や支持体の厚さを設計すると、これは反射型の1/4波長板が実現できる。
以上の結果から、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置し、支持体の一方の端面に反射層を設けることにより、反射型の偏光制御素子として機能し、透過率および偏光制御効率の高い偏光制御素子を提供することができる。また、本偏光制御素子は、金属および誘電体材料からなる無機材料で構成されており、耐熱性・対抗性に優れた偏光制御素子を実現することができる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態にかかる偏光制御素子に関して、図9〜11、22を参照して説明する。図22は、本発明の第6の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を説明する、入射光の進行方向に平行な方向の断面図である。本偏光制御素子は、第1〜5の実施の形態の偏光制御素子と同様に、支持体上または支持体内部に複数個の入射光の波長より小さなサイズの金属構造体と、複数個の入射光の波長よりも小さなサイズの開口部を有する金属膜を有し、金属膜の開口部および開口部近傍に位置する複数の金属構造体を一つの金属構造体ユニットとし、金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有している。また、金属構造体および開口部を有する金属膜を被覆またはこれらに接する誘電体膜を配した構成であってもよい。本発明の偏光制御素子では、金属構造体を含む層または/および開口部を有する金属膜が複数段積層することを特徴としている。図22(a)は、金属膜の開口部の上部および下部に第1および第2の金属構造体の層がある構成であり、金属構造体が偏光異方性をもたらすことから、偏光制御効率が向上する。図22(b)および(c)は、開口部を有する金属構造体の入射側または出射側の一方に、第1および第2の金属構造体が積層された構成であり、同様に、偏光制御効率が向上する。さらに、開口部を有する金属膜を複数段積層する構成も利用できる。
金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。また、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の材料は、第1の実施例と同様であり、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料である、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
以上のように、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置し、さらに金属構造体および開口部を有する金属膜を複数段に設けることにより、透過率および偏光制御効率の高い偏光制御素子を提供することができる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態にかかる偏光制御素子ならびに偏光制御装置に関して、図9〜11、23を参照して説明する。図23は、本発明の第7の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を説明する、入射光の進行方向に平行な方向の断面図である。本偏光制御素子は、第1〜6の実施の形態の偏光制御素子と同様に、支持体上または支持体内部に複数個の入射光の波長より小さなサイズの金属構造体と、複数個の入射光の波長よりも小さなサイズの開口部を有する金属膜を有し、金属膜の開口部および開口部近傍に位置する複数の金属構造体を一つの金属構造体ユニットとし、金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有している。また、金属構造体および開口部を有する金属膜を被覆またはこれらに接する誘電体膜を配した構成であってもよい。さらに、本発明の偏光制御素子は、金属構造体を被覆し、または金属構造体に接する形態で非線形光学材料からなる膜を配した構成を有する。非線形光学材料からなる膜は、金属構造体間の近接場光を介した相互作用を変調する役割を担う。したがって、本偏光制御素子は、図23に示すように、偏光制御素子とともに、本偏光制御素子を駆動させる外部制御用光源を備える偏光制御装置の形態で利用する。
非線形光学材料からなる膜には、入射する光の強度に対して二次または三次の非線形定数を有する材料が利用できる。高効率で屈折率を変化させるためには大きな非線形定数を有する材料が適しており、二次の非線形光学効果を利用する場合は、二次の非線形定数が0.01pm/V以上、より好ましくは二次の非線形定数が1pm/V以上であるとよい。または、三次の非線形光学効果を利用する場合には、三次の非線形光学定数が0.01×10−22/V以上であり、より好ましくは三次の非線形定数が1×10−22/V以上の材料であるとよい。このような材料には、3元素の結晶であるBBO、LBO、BIBO結晶、4元素の結晶であるKTP、KDP結晶などの無機結晶がある。また、半導体量子井戸構造を用いることにより大きな非線形定数を得ることができる。
このような材料としては、Ga、In、Al、As、P、N、Sb、Zn、SeによるIII−V族、II−VI族半導体混晶が利用できる。非線形光学材料の加工および製膜は、研磨による方法や、スパッタ法を用いた堆積、CVDやエビタキシャル成長法といった結晶成長技術を用いた方法により行なう。
金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。また、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の材料は、第1の実施例と同様であり、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料である、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
次に、本発明の偏光制御素子および偏光制御装置の動作について説明する。外部制御用光源から制御光を入射しない場合、本偏光制御素子は、第1〜6の実施例と同様の、偏光制御素子として動作する。この場合、偏光制御素子の動作波長は、非線形光学材料からなる膜の屈折率を反映したものとなる。制御光を入射した場合、この非線形光学材料からなる膜の屈折率が、制御光の強度に依存して変化する。その結果、励振されるプラズモンの共鳴波長が変化するとともに、金属構造体および開口部を有する金属膜の光学距離が変化する。ここで、光学距離とは、実際の距離に周囲材料の屈折率を乗じたものである。制御光入射時と制御光非入射時における偏光状態の違いを利用することにより、光変調デバイスや、光スイッチデバイスが実現できる。
以上のように、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置し、さらに非線形光学材料からなる膜を、金属構造体を被覆して、または金属構造体に接して配置することにより、光学的に変調可能な能動型の偏光制御素子を提供することができる。また、本偏光制御素子に外部制御用光源を備えることにより、偏光制御装置を提供することができる。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態にかかる偏光制御素子ならびに偏光制御装置に関して、図9〜11、24を参照して説明する。図24は、本発明の第8の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を説明する、入射光の進行方向に平行な方向の断面図である。本偏光制御素子は、第1〜7の実施の形態の偏光制御素子と同様に、支持体上または支持体内部に複数個の入射光の波長より小さなサイズの金属構造体と、複数個の入射光の波長よりも小さなサイズの開口部を有する金属膜を有し、金属膜の開口部および開口部近傍に位置する複数の金属構造体を一つの金属構造体ユニットとし、金属構造体ユニットを2次元的に配置した構成を有している。また、金属構造体および開口部を有する金属膜を被覆またはこれらに接する誘電体膜を配した構成であってもよい。さらに、本発明の偏光制御素子は、金属構造体を被覆し、または金属構造体に接する形態で、電気的に光学特性の制御が可能である機能性膜を配した構成を有する。機能性膜は、金属構造体間の近接場光を介した相互作用を変調する役割を担う。したがって、本偏光制御素子は、図24に示すように、偏光制御素子とともに、本偏光制御素子を駆動させる電圧制御手段を備える偏光制御装置の形態で利用する。
機能性膜には、具体的には、電気光学効果を示す材料や、電気的に形状が変化する電歪材料を用いる。電気光学効果を示す材料は、強誘電体材料であり、BBO、LiTaO、KTB、LiNb、KTB、KTP、KTNなどの無機結晶、PZT、PLZTなどのセラミックス、アゾ系色素、スチルベンゼン系色素などの有機分子または有機結晶などがある。電気光学効果を示す材料の製膜方法としては、エピタキシャル成長を用いる方法や、エアロゾルデポジッション法と呼ばれる常温衝撃固化現象が利用できる。また、電気光学結晶を研磨して、接着して利用する方法もある。また、電歪材料を用いる場合、電歪材料は低電力で変形を生じる材料が適しており、水晶、ZnO、LiNbO、LiTaO、Li、AlNなどの無機結晶が利用できる。また、チタン酸ジルコン酸鉛などのセラミックス材料や、ロッシェル塩、トルマリン(電気石)などの有機結晶が利用できる。電歪材料の加工および製膜は、研磨による方法や、スパッタ法を用いた堆積、CVDやエビタキシャル成長法といった結晶成長技術を用いた方法により行なう。電気光学効果または電歪効果を生じさせるには、本機能性膜に電圧を印加する必要があり、電極を構成する必要がある。図24では、透過型の偏光制御素子として利用するため、透明電極材料を機能性膜の上端および下端に配置した構成例を示した。透明電極材料は、ITO(Indium Tin Oxide;インジウムスズ酸化物)などが利用できる。また、反射型の偏光制御素子として利用することも可能であり、この場合には一般的な金属材料でよい。
金属構造体および開口部を有する金属膜に使用する材料は、プラズモンを励起できる材料である必要があり、Au、Ag、Al、Ni、Cuのいずれか、これらの組み合わせ、あるいは、これらを主成分とする合金材料・混合材料が利用できる。開口部を有する金属膜の厚さは、表皮深さよりも厚く、Auの場合20nm以上とする。第1の実施例で図9を用いて説明したように、本偏光制御素子の垂直方向の形状を制御することにより、入射光を効率よく金属構造体へ導くこともできる。
本偏光制御素子の作製方法は、第1の実施例で図11を用いて説明した方法と同様でよく、電子ビームリソグラフィを用いたリフトオフ法を用いて行なう。また、DUV(遠紫外線)・EUV(深紫外線)リソグラフィ技術による一括露光を行なう方法や、モールドと呼ばれる型を用い、熱をかけて押し付けるナノインプリント加工技術などを利用して作製する方法も利用できる。
金属構造体および開口部を有する金属膜を支持する支持体の材料は、第1の実施例と同様であり、可視領域の波長において吸収の低い透明な誘電体材料である、石英ガラスや、BK7、パイレックス(登録商標)などの硼珪酸ガラス、CaF、Si、ZnSe、Alなどの光学結晶材料などを利用する。
金属構造体ユニットの2次元的な配置方法は、第1の実施例と同様であり、図10に示したように、正方格子配列、長方格子配列、六方格子配列、ライン配列などの、周期性を有する配列方法を用いることができる。金属構造体ユニットの配置を周期構造とすることにより、偏光制御素子の角度依存性や波長依存性を設計することができる。また、金属構造体ユニットを、各ユニットの配向が揃ったランダム配置としても、同様の偏光制御機能が実現できる。
次に、本発明の偏光制御素子および偏光制御装置の動作について説明する。電圧制御手段により電圧が印加されていない場合、本偏光制御素子は、第1〜6の実施例と同様の、偏光制御素子として動作する。この場合、偏光制御素子の動作波長は、電気光学効果を示す材料または電歪材料からなる膜の屈折率を反映したものとなる。電圧を機能性膜に印加した場合、電気光学効果を示す材料では、膜の屈折率が印加する電圧の大きさに依存して変化する。その結果、励振されるプラズモンの共鳴波長が変化するとともに、金属構造体および開口部を有する金属膜の光学距離が変化する。また、電歪材料の場合には、金属構造体ユニットに含まれる複数個の金属構造体と開口部を有する金属膜の相対的な位置が変化し、近接場光を介した相互作用の強さが変化する。これらの効果により、電圧印加時と電圧非印加時における偏光状態に際が生じるため、本偏光制御素子および偏光制御装置を利用して、光変調デバイスや、光スイッチデバイスが実現できる。
以上のように、複数個の金属構造体と金属膜の開口部による金属構造体ユニットを支持体上または支持体内に2次元的に配置し、さらに電気的に変調が可能な機能性膜を、金属構造体を被覆して、または金属構造体に接して配置することにより、電気的に変調可能な能動型の偏光制御素子を提供することができる。また、本偏光制御素子に電圧制御手段を備えることにより、偏光制御装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 金属構造体と開口部を有する金属膜の配置関係を説明する断面図である。 金属構造体と開口部を有する金属膜の、図2とは異なる配置関係を説明する断面図である。 金属構造体と開口部を有する金属膜の、図2ないし図3とは異なる配置関係を説明する断面図である。 金属構造体のサイズの定義を説明する図である。 金属構造体の配置を説明する図である。 金属構造体と金属膜の開口部の位置関係を説明する図である。 金属膜の開口部の形状を説明する図である。 金属膜の開口部における側面形状を説明する図である。 金属構造体ユニットの2次元配置の方法を説明する図である。 本発明の偏光制御素子の作製工程を説明する図である。 数値シミュレーションにおけるモデルを説明する図である。 数値シミュレーションにより得られた透過スペクトル強度を示すグラフである。 数値シミュレーションにより得られた透過光の位相差を示すグラフである。 数値シミュレーションにより得られた、開口面積の変化する金属膜を用いた場合の、透過光の位相差を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態にかかる偏光制御素子における、開口部の対向する金属先鋭構造を説明する図である。 本発明の第3の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 数値シミュレーションにおけるモデルを説明する図である。 数値シミュレーションにより得られた反射光の位相差を示すグラフである。 本発明の第6の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 本発明の第7の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 本発明の第8の実施の形態にかかる偏光制御素子の構成を示す断面図である。 特許文献1を説明する図である。 特許文献3を説明する図である。 特許文献5を説明する図である。 特許文献6を説明する図である。 特許文献7を説明する図である。 特許文献8を説明する図である。 特許文献9を説明する図である。 特許文献10〜13を説明する図である。
符号の説明
(図25について)
1 偏光子
2 基板
3 偏光層
4 金属粒子層
4a 金属粒子
5 誘電体層
L1 入射光
L2 出射光
(図26について)
10 金属フィルム
10a 第1の表面
10b 第2の表面
12 開口
d 開口の直径
P 周期
(図27について)
14 基板
16 反射防止コーティング層
20 溝
22 ナノ構造
24a ナノ構造、機能層
24b ナノ構造、機能層
26 オーバーコート/保護層
34 エッチストップ層
40 エッチストップ層
(図28について)
1 近接場発生装置
2 光学素子
10 直線偏光光源(光学系)
11 集光機構
12 金属遮光膜(金属膜)
13a 微小開口(光学的開口、第1の光学的開口)
13b 微小開口(光学的開口、第2の光学的開口)
13c 微小開口(光学的開口)
15 光ビーム(直線偏光)
16 編光方向
17 集光スポット
(図29について)
10 光学素子
20 導電性薄膜
20a 第1の表面
20b 第2の表面
30 開口
40a 第1の周期的表面形状
40b 第2の周期的表面形状
P1 第1の周期的表面形状の周期長
P2 第2の周期的表面形状の周期長
d 直径
(図30について)
10 光学素子
20 導電性フィルム
20a 第1の表面
20b 第2の表面
30 開口
da 第1の表面の開口の直径
db 第2の表面の開口の直径
P 周期
(図31について)
1 金属板
2 開口
3 直径
4 近接する開口の中心間の距離
10 位相差板
20 円形開口
(図32aについて)
1 支持基板
2 金属微小構造体
4 入射光
5a 透過光
5b 反射光
6 金属複合構造体
(図32bについて)
1 ガラス基板
2 金属粒子
4 直線編光
5 楕円編光
10 編光制御素子
(図32cについて)
1 誘電体層
2 第1の金属粒子
3 第2の金属粒子
10 編光制御素子
(図32dについて)
1 ガラス基板
2 金属微小構造
4 直線編光
5 楕円編光
6 金属微小構造体
10 編光制御素子

Claims (11)

  1. 支持体上または支持体内部に、入射光の波長より小さなサイズの複数個の金属構造体と、入射光の波長より小さなサイズの複数個の開口部を有する金属膜を少なくとも有し、金属膜の開口部と、2個以上の金属構造体からなるユニットを、2次元的に配置するとともに、該ユニットに含まれる2個以上の金属構造体は、同一形状ならびに同一の大きさであり、該金属構造体の大きさよりも近接して配置することを特徴とする偏光制御素子。
  2. 前記金属膜の開口部および/または開口部近傍の金属膜が、入射光のエネルギーを開口部に集中する構造を有することを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  3. 前記金属膜の開口部近傍の形状が、対向する金属先鋭構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光制御素子。
  4. 前記金属膜の開口部近傍の形状が、開口部中心から同心円状の凹凸構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光制御素子。
  5. 前記金属膜の開口部の開口面積が、入射光の進行方向に対して変化していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の偏光制御素子。
  6. 前記支持体が、2種類以上の誘電体材料からなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  7. 前記支持体の一方の端面に、反射層を設けることを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  8. 金属構造体を2次元的に配置した層および/または開口部を有する金属膜を複数段有することを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  9. 前記金属構造体を被覆、または前記金属構造体に接し、外部制御手段により光学特性を変化させる機能性膜を有することを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  10. 請求項9に記載の偏光制御素子と、電気的、光学的、形状変化により、前記機能性膜の光学特性を変化させる外部制御手段を備えることを特徴とする偏光制御装置。
  11. 前記ユニットの2次元配置に周期性をもたせたことを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
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