JP4664736B2 - プーリの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プーリの製造方法に関し、特に底部外周に外側に突出した環状突部を形成する有底筒状の素材から良好な肉流れを確保し、底部に成形するフランジ部分にバリ等が生じることのないプーリの製造方法に関するものである。
従来、プーリの製造方法としては、図4(a)に示すような底部WB外周に外側に突出した環状突部WCを形成する有底筒状の素材Wを、図5に示す工程で製造するようにしている。この製造方法は、クランプ31、32で素材Wを図5(a)に示すように挟持した状態で回転させる。そして、まず平ローラRを図5(b)の位置まで押し付けるとともに、クランプ31を図例右側に、つまり、クランプ31の側面31’と素材Wとの底面の隙間bがb’となる位置まで押圧し、素材開口端WTにフランジ部分Fを成形し、底部外周に略コ字状の曲げ部分を成形する。ついで、クランプ31の側面31’と素材Wの底面との隙間が無くなるように、クランプ31をさらにクランプ32側に押し当て、底部外周に成形した略コ字状の曲げ部分を圧縮して当接させフランジ部分となるようにするものである(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、この場合、一旦略コ字状となった図6(a)の状態から、底部外周に対して、さらに押圧力を加えると、コ字状の側面(Z部分)の肉が、平ローラの側面R’とクランプ32の側面32’との隙間に流れる場合があり、図6(b)に示すようにバリXが発生するといった問題が生じる。
特公平7−112589号公報
本発明は、上記従来のプーリの製造方法の有する問題点に鑑み、素材の底部外周に成形するフランジ部分に不要な肉流れによるバリが生じることのないプーリの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のプーリの製造方法は、有底筒状の素材を、該素材の内面と所定の隙間をあけた円筒部と、素材の開口端に当接する傾斜部とからなるマンドレルに装着し、ついで、前記素材の外周端部相当箇所にフランジポケットを形成した心押台を素材に当接し、素材を、マンドレルと心押台で挟持した状態で回転させ、素材周面の底部近傍に平ローラを押し当てつつ、心押台を弾性部材によって心押台に向けて付勢される前記平ローラと共に、マンドレル側に押圧、移動させ、素材の底部近傍において、素材周面を折り曲げて、心押台のフランジポケットの位置で素材の底部の外周に外側に向けて突出した形状に形成された環状突部の側面に当接させるとともに、素材の開口端を平ローラ側面と前記マンドレルの傾斜部とで挟み込むようにして外周側に折り曲げることを特徴とする。
この場合において、有底筒状の素材に、予め素材の底部の外周に外側に向けて突出した形状の環状突部を形成した素材を用いることができる。
本発明のプーリの製造方法によれば、平ローラと素材底面に当接する心押台によって底部に成形されるフランジ部と、素材開口端に成形するフランジ部を同時に成形するから、底部に成形するフランジ部分の形状に不要な肉流れが生じることのないプーリの製造方法を提供することができる。
以下、本発明のプーリの製造方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1に、本発明のプーリの製造方法の第1実施例を示す。
このプーリの製造方法は、図4(a)に示す、底部外周に外側に突出した環状突部WCを形成する有底筒状の素材Wを用いるもので、例えば、マンドレル2、心押台3、平ローラRを主要構成要素とするスピニングマシン1を用いて行うものである。
まず、素材Wの底部WB外周に外側に突出した環状突部WCを形成する有底筒状の素材Wを、該素材Wの内面Sと所定の隙間をあけた円筒部21と、素材Wの開口端WTに当接する傾斜部22とからなるマンドレル2に取り付ける。マンドレル2は、駆動モータ等によって回転する回転主軸(図示省略)と同軸に配設され、中心に、素材Wの底部WB中心に開口した穴Hに挿入し、素材Wの位置決めを行う位置決め軸23を回転主軸から延設する。
そして、位置決め軸23に、底部WB中心に開口した穴Hを通し、マンドレル2に素材Wを取り付けた後、前記底部WBの形状に倣った心押台3を素材Wに当接し、素材Wの取り付けを完了する。
ついで、素材Wを、マンドレル2と心押台3で挟持した状態で、回転主軸(図示省略)を回転させることによって回転させ、素材周面WSの底部WB近傍に平ローラRを押し当てつつ、心押台3をマンドレル2側に押圧し、素材の底部WB近傍において、素材周面WSを折り曲げて環状突部WCの側面に当接させるとともに、素材Wの開口端WTを平ローラRの側面R’と前記マンドレル2の傾斜部22とで挟み込むようにして外側に押し倒し、プーリの両フランジ部分を成形する。
この際、平ローラRによる押圧力と心押台3による押圧力とが素材に作用し始めると、図1(c)に示すP部分が成形され始め、心押台3の左側への押圧力は、P部分を介して平ローラRを右側面R’から押圧するが、平ローラRは、スプリングSP等の弾性部材が撓むことによって図例左側に移動する。
その後、図3に示す、櫛歯状の成形ロールR1を、周面WSに押し当ててベルト掛け部分を成形し、プーリを完成させるようにしている。
図2に、本発明のプーリの製造方法の第2実施例を示す。
このプーリの製造方法は、図4(b)に示す、底部外周に外側に突出した環状突部WCを有しない、有底筒状の素材W’を用いるもので、取り付けの際に、図2(c)に示すように心押台3には、素材W’の底部WB外周と所定隙間を設けるようにフランジポケットQを形成したことに特徴を有し、該フランジポケットQに、素材W’の底部WBの外周WB−1が、平ローラRの軸方向と直角方向の押圧力と、心押台3の軸方向の押圧力との合力作用によって変形されて入り込み、以後、実施例1と同様の工程でプーリのフランジ部分を成形するものである。その他の構成作用は、実施例1と同様である。
以上、本発明のプーリの製造方法について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明のプーリの製造方法は、有底筒状の素材からプーリを製造するに際し、フランジ部分となる素材の底部外周の成形を良好に行うことができるという特性を有していることから、プーリのみならず、バイク用ホイールなど、有底筒状の素材からその底部外周をフランジ形状に成形するスピニングマシンに用いることができる。
本発明のプーリの製造方法の第1実施例の説明図で、(a)は、取り付け状態を、(b)は、加工後の状態を、(c)は、加工途中の素材底外周形状を示す断面図である。 本発明のプーリの製造方法の第2実施例の説明図で、(a)は、取り付け状態を、(b)は、加工後の状態を、(c)は、心押台のフランジポケットを示す断面図である。 本発明のプーリの製造方法の最終工程を示す断面図である。 本発明のプーリの製造方法に使用される素材で、(a)は、第1実施例に使用される有底筒状素材を、(b)は、第1実施例に使用される有底筒状素材をそれぞれ示す。 従来のプーリの製造方法の概略説明図で、(a)は、取り付け状態を、(b)は、第1工程の状態を、(c)は、最終工程の状態を示す断面図である。 従来のプーリの製造方法によって生じることのある不具合を示す説明図である。
1 スピニングマシン
2 マンドレル
21 円筒部
22 傾斜部
3 心押台
W 素材
WS 素材周面
WT 素材開口端
WB 素材底部
WC 環状突部

Claims (2)

  1. 有底筒状の素材を、該素材の内面と所定の隙間をあけた円筒部と、素材の開口端に当接する傾斜部とからなるマンドレルに装着し、ついで、前記素材の外周端部相当箇所にフランジポケットを形成した心押台を素材に当接し、素材を、マンドレルと心押台で挟持した状態で回転させ、素材周面の底部近傍に平ローラを押し当てつつ、心押台を弾性部材によって心押台に向けて付勢される前記平ローラと共に、マンドレル側に押圧、移動させ、素材の底部近傍において、素材周面を折り曲げて、心押台のフランジポケットの位置で素材の底部の外周に外側に向けて突出した形状に形成された環状突部の側面に当接させるとともに、素材の開口端を平ローラ側面と前記マンドレルの傾斜部とで挟み込むようにして外周側に折り曲げることを特徴とするプーリの製造方法。
  2. 有底筒状の素材に、予め素材の底部の外周に外側に向けて突出した形状の環状突部を形成した素材を用いることを特徴とする請求項1記載のプーリの製造方法。
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