JP4664545B2 - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材から得られるセルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様成形品の表層部に、樹脂製の弾性部材が一体的に設けられた樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
近年、住宅の内装部品としての周り縁や幅木、階段手摺、階段踏板、窓枠、障子枠、家具、テーブル・カウンター等に各種の木質様成形品が使用されている。このような木質様成形品は、例えば、特開平10−305470号公報に記載されている製造方法によって製造されている。
この技術では、原料としての木材から粒径状のセルロース系微粉粒を製造し、その後、セルロース系微粉粒に、樹脂や無機顔料等の添加剤を加えて、これらを混練・溶融し混合材料とする。そして、この混合材料を押出成形することによって、一旦ペレットを製造する。次いで、ペレットを溶融して所望の形状に押出成形または射出成形することにより、木質様成形品を製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記木質様成形品が、例えば、建物躯体の開口部に取りつけられる窓枠や、この窓枠に取りつけられて窓ガラスが嵌めこまれる障子枠等に使用される場合、この障子枠には、通常、該障子枠に嵌めこまれる窓ガラスの側周部を押さえ込む押縁が設けられており、この押縁も木質様成形品からなっている。そして、この押縁には、該押縁と窓ガラスとの間の隙間をなくすために樹脂製のパッキング材(弾性部材)が設けられている。
しかし、パッキング材(弾性部材)は、押縁に窓ガラスを嵌めこんだ後に、随時、押縁と窓ガラスとの間に設けているために、施工工程数が多くなり、その施工が面倒であった。
そこで、パッキング材(弾性部材)と押縁とを一体的に形成して、施工を簡略化することが望まれるが、押縁は、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む木質様成形品から形成されており、パッキング材(弾性部材)は、シリコーン樹脂やプロピレンゴム等の樹脂製であるので、これらセルロース系微粉粒と樹脂とを含む混合材料と、シリコーン樹脂やプロピレンゴム等の樹脂とを金型に充填するとともに、これら混合材料とパッキング材(弾性部材)の原料である樹脂とを同時に押出成形することは困難であった。
つまり、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む混合材料と、パッキング材(弾性部材)の原料である樹脂とを押出成形しようとすると、前記混合材料にはセルロース系微粉粒が含まれているので、前記混合材料とパッキング材(弾性部材)の原料である樹脂との付着が悪く、その成形性も良くなかった。
したがって、障子枠の押縁(木質様成形品)と樹脂製のパッキング材(弾性部材)とを一体的に形成することは困難であるとされていた。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、セルロース系微粉粒と樹脂とを含む混合材料からなる木質様成形品と、樹脂製の弾性部材とを、容易に一体的に形成し、また、施工作業の簡略化を図ることのできる樹脂成形品の製造方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、例えば、図1に示すように、木材から得られるセルロース系微粉粒105と樹脂111とを含む混合材料112からなる木質様成形品の表層部に、樹脂製113の弾性部材が一体的に設けられ、前記木質様成形品の表層部のうち、前記弾性部材を設ける部分には、他の部分より前記樹脂111が多く含まれている樹脂成形品115を製造する樹脂成形品115の製造方法であって、
セルロース系微粉粒105と樹脂111とを混練・溶融して混合材料112とする混練工程Eと、
前記混合材料112と前記弾性部材の原料となる樹脂113を、押出成形機114に投入し、成形すべき樹脂成形品115の断面形状と同形状の成形部を備えた金型に充填して押出成形する成形工程Fとを備え、
前記金型は、前記木質様成形品と同形状をなした木質様成形品成形部と、前記弾性部材と同形状の弾性部材成形部とを有しており、
前記成形工程Fにおいて、前記混合材料112を前記木質様成形品成形部に充填し、前記弾性部材の原料となる樹脂113を前記弾性部材成形部に充填するとともに、これら前記混合材料112と前記弾性部材の原料となる樹脂113とを同時に押出成形し、
前記木質様成形品成形部の表層部に充填する混合材料112には、他の部分より前記樹脂111を多く含ませることを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、前記混練工程Eと、成形工程Fとを備え、前記木質様成形品成形部の表層部に充填する混合材料112には、他の部分より前記樹脂111を多く含ませるので、前記成形工程Fにおいて、前記混合材料112と弾性部材の原料となる樹脂113とを同時に押出成形することによって、木質様成形品成形部の表層部に充填された樹脂111と、弾性部材成形部に充填された樹脂113とが、付着しやすく、成形性が良好となる。
したがって、木質様成形品と弾性部材とが一体的に形成された樹脂成形品115を容易に製造することができる。
【0007】
前記セルロース系微粉粒105とは、例えば、木材の粗粉砕物、バカスの粗粉砕物、稲藁の粗粉砕物や、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材や家具を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される木材の端材、おが屑等を周知の粉砕装置によって微粉状に粉砕したものである。
前記樹脂111としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
前記弾性部材としては、例えば、シリコーン樹脂からなる合成ゴムや、プロピレンゴム等が挙げられる。
【0008】
請求項2の発明は、例えば、図1に示すように、請求項1記載の樹脂成形品115の製造方法において、
前記木材は、不純物を含む木質廃材101であり、
前記樹脂111は、不純物を含む樹脂廃材110から得られることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、前記木材は、不純物を含む木質廃材101であり、前記樹脂111は、不純物を含む樹脂廃材110から得られるので、木質廃材101や樹脂廃材110を利用することによって、資源の有効利用や環境保護の観点からも優れる。
【0010】
前記木質廃材101としては、例えば、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材や家具を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される木材の端材、おが屑等が挙げられる。
前記樹脂廃材110としては、例えば、飲料物を含む食品の容器や包装、トレイ等が挙げられる。
【0011】
請求項3の発明は、例えば、図1に示すように、請求項1または2記載の樹脂成形品115の製造方法において、
前記木質様成形品の表面のうちの前記弾性部材が設けられていない表層部の表面は、サンディング処理によって粗されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、前記木質様成形品の表面のうちの前記弾性部材が設けられていない表層部の表面は、サンディング処理によって粗されているので、前記表面に毛羽立ち感をあらわすことができ、より一層外観品質の向上を図ることができる。
【0013】
請求項4の発明は、例えば、図2〜図4に示すように、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形品115の製造方法において、
前記木質様成形品が障子枠5の材料であり、
前記弾性部材が、障子枠5に嵌めこまれるガラス板(例えば、窓部材4)に弾性的に当接するフィン部材36,37であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、前記木質様成形品が障子枠5の材料で、前記弾性部材が、障子枠5に嵌めこまれるガラス板4に弾性的に当接するフィン部材36,37であるので、従来のように、障子枠とガラス板との間に随時、パッキング材を設ける必要がなく、同時に障子枠5とフィン部材36,37とが一体的に形成される。したがって、フィン部材36,37が一体的に形成された障子枠5に、ガラス板4を嵌めこむことによって、容易に施工でき、施工作業の簡略化を図ることができる。
【0017】
請求項5の発明は、例えば、図1に示すように、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂成形品115の製造方法において、
前記混練工程Eの前に、木材から金属類を取り除く分別工程Bと、
前記分別工程Bを経た木材を微粉砕することによって、前記セルロース系微粉粒105を得る粉砕工程C,Dとを備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明によれば、前記分別工程Bによって前記木材から金属類を取り除くので、金属類が含まれていない木材とすることができ、よって分別工程Bの後に行う粉砕工程C,Dにおいて、木材を容易に微粉砕することができる。
また、分別工程Bによって木材から金属類が取り除かれるので、成形工程Fにおいて、金属類が含まれていない木材を容易に押出成形することができ、成形性が良好となる。
【0019】
前記分別工程Bとは、例えば、強力磁石103によって磁石につく金属類を選別したり、渦電流選別機103によって導電性はあるが磁石につかない金属類を選別したり、比重選別機103によって金属類を選別したりすることである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1および第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すためのもので、樹脂成形品を製造する製造工程の概念図である。
本発明の第1の実施の形態の樹脂成形品115は、図1に示すように、木材から得られるセルロース系微粉粒105と樹脂111とを含む混合材料112からなる木質様成形品の表層部に、樹脂製113の弾性部材が一体的に設けられているものである。
【0021】
前記木材は、不純物を含む木質廃材101であり、この木質廃材101は、例えば、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材や家具を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される木材の端材、おが屑等の不純物を含む木質廃材101である。
前記樹脂111は、不純物を含む樹脂廃材110から得られ、この樹脂廃材110は、例えば、食品等の包装に用いられた後回収されたトレー、食品コンテナ等の包装部材等の不純物を含む樹脂廃材110である。
【0022】
前記木質様成形品の表層部のうち、弾性部材が設けられる部分には、他の部分より樹脂が多く含まれている。
また、木質様成形品の表面のうちの弾性部材が設けられていない表層部の表面は、サンディング処理によって粗されている。
【0023】
次に、前記樹脂成形品115の製造方法について説明する。
まず、図1に示すように、大きさ4〜5センチメートル程度の前記木質廃材101を数ミリメートルの大きさに粉砕する(一次粉砕工程A)。
【0024】
この一次粉砕工程Aにおいて使用される粉砕装置102は、一つの塊の大きさが数ミリメートル程度のものからなる大塊状にすることができる粉砕機能を有するものであって、具体的には、二個の対向するローラーの表面に多数の突起を形成し、このローラー間を加圧させながらローラーを回転させることにより、この間を通過するものを破砕するような粉砕装置102である。もちろん、粉砕装置102は、これに限定されるものではなく、同様の機能を有するものであれば他の粗粉砕用の粉砕装置を使用しても良い。例えば、上向きV型に開いたジョーと振動アゴの間に原料を入れ、加圧することにより原料を粉砕するジョークラッシャや、固定破砕面の中を可動破砕面が旋回し、連続的に破砕するジャイレントリクラッシャ等の他の粗粉砕装置を使用しても良いものである。
【0025】
その後、この粉砕した木質廃材101を強力磁石103で磁石につく金属を選別し、さらに、渦電流選別機103で導電性はあるが磁石につかない金属を選別する。また、この磁力選別に残った金属類や石等を比重選別機103によって選別する(分別工程B)。
【0026】
次に、二次粉砕工程Cにおいて、一次粉砕工程Aを終えた一次粉砕材料に対して細粉状に粉砕を施す。この二次粉砕工程Cに使用される粉砕装置104は、大塊状のものを1ミリメートル程度にまで、細粉状に粉砕することができるものであって、具体的には、高速回転するハンマチップで材料を打ち砕き、ハンマチップの外周にあるスクリーンの丸穴を通過するまで打砕作用を繰り返すハンマミルを使用するものである。もちろん、使用する粉砕装置104は、上述したハンマミルに限定されるものではなく、同様の機能を有するものであれば他の粉砕装置でも良いものである。例えば、カッターにより細断するカッターミルや、ローラーにより圧砕するロールミル等を使用しても良い。
【0027】
次に、三次粉砕工程Dにおいて、二次粉砕工程Cを終えた二次粉砕材料に対して微粉状に粉砕を施すことによってセルロース系微粉粒105とする。この三次粉砕工程Dに使用される粉砕装置106は、二次粉砕工程Cにより得られた材料を更に細かい微粉状に粉砕することができるものである。
具体的には、いわゆるピンミルであって、円盤に取り付けられたピンによって、衝撃、反発の相互作用を受けて微粉砕を施すことができるものである。更に具体的には、このピンミルは、垂直方向に多数のピンを有する円盤状の回転ディスクと、この回転ディスクに向かい合う面に多数のピンを有する固定ディスクとを備え、二次粉砕工程Cにより得られた材料を回転ディスクの中心部へ投入すると、遠心力によって回転ディスクと固定ディスクに取り付けられたピンの間隙に入り込み、ピンによる衝撃や反発の相互作用を受けて微粉状に粉砕することができるものである。この三次粉砕工程Dでは、上述したピンミルにより、約500ミクロンメートル程度の大きさの粒に粉砕される。もちろん、粉砕装置106は、上述したピンミルに限定されるものではなく、同様の機能を有する他の細粉砕装置、例えば、ボールミルや石臼等でも良いものである。
上述したような粉砕工程A,C,Dにおいて、回収した木質廃材101を三段階に分けて、粉砕が段階的に効率的に行われる。
【0028】
このようにして粉砕工程A,C,Dを行ったセルロース系微粉粒105を500ミクロンメートルの網目で平均粒径300ミクロンメートルに選別する。すなわち、セルロース系微粉粒105をふるい107にかけ、500ミクロンメートル以上のものは前記粉砕装置106に戻されて再粉砕される。
そして、平均粒径300ミクロンメートルのセルロース系微粉粒105と、数ミクロンメートルの無機顔料とをロードセル式の自動計量器によって適宜量計量し、予めオイル温調装置により加熱された混合ミキサ108の中に投入して、自己発熱(摩擦熱)により発熱させて175℃で攪拌する。この際に、混合ミキサ108に無機顔料投入部109から無機顔料を投入することにより、セルロース系微粉粒105のまわりに無機顔料がまぶされる。
【0029】
一方、前記樹脂廃材110をハンマーミル等の粉砕装置116を用いて粗粉砕して樹脂111を得る。
そして、得られた樹脂111を、セルロース系微粉粒105と無機顔料とが混合されている混合ミキサ108内に投入し、さらに185℃で攪拌する。攪拌は、高速回転後、低速状態で練りこむことによって混合材料112とする(混練工程E)。
【0030】
次いで、前記混合材料112と、弾性部材の原料となる樹脂113を押出成形機114に投入し、スクリューにより金型に充填して押出成形する(成形工程F)。
前記金型は、成形すべき樹脂成形品115の断面形状と同形状の成形部を備えており、この成形部は、前記木質様成形品と同形状をなした木質様成形品成形部と、前記弾性部材と同形状の弾性部材成形部とを備えている。
そして、前記混合材料112を木質様成形品成形部に充填し、前記樹脂113を弾性部材成形部に充填するとともに、これら混合材料112と樹脂113とを同時に押し出して所要形状に成形する。
【0031】
なお、前記木質様成形品成形部の表層部に充填する混合材料112には、他の部分より樹脂111を多く含ませるように調整しておく。
また、成形温度は180〜220℃に設定し、この成形温度で成形する。ここで、成形温度を180〜220℃に設定したのは、180℃未満では樹脂111の軟化が不十分でセルロース系微粉粒105と均等に混練し難く、また220℃以上ではセルロース系微粉粒105が熱で炭化等の変化を起こすためである。
【0032】
このように、混合材料112と樹脂113とを同時に押出成形することによって、木質様成形品の表層部に、樹脂製113の弾性部材が一体的に設けられた樹脂成形品115が形成される。
【0033】
次いで、上述したようにして形成された木質様成形品の表面のうちの弾性部材が設けられていない表層部の表面に、サンディング処理を施す(表面処理工程G)。すなわち、木質様成形品の表層部の表面をサンディングペーパーにより粗すことによって、多数の筋状の模様を形成する。
【0034】
本発明の第1の実施の形態の樹脂成形品115によれば、前記木質様成形品の表層部のうち、少なくとも弾性部材を設ける部分には、他の部分より樹脂111が多く含まれているので、前記混合材料112と、弾性部材の原料である樹脂113とを容易に押出成形することができ、よって、樹脂111が多く含まれている木質様成形品の表層部に、弾性部材を一体的に形成することができる。
したがって、木質様成形品を製造した後に、随時、木質様成形品の表層部に弾性部材を設ける必要がなく、同時に木質様成形品と弾性部材とが一体的に形成されるので、その施工に手間がかからずに施工作業の簡略化を図ることができる。
【0035】
また、木質廃材101や樹脂廃材110を利用することによって、資源の有効利用や環境保護の観点からも優れる。
【0036】
前記木質様成形品の表面のうちの弾性部材が設けられていない表層部の表面は、サンディング処理によって粗されているので、表面に毛羽立ち感をあらわすことができ、より一層外観品質の向上を図ることができる。
【0037】
本発明の第1の実施の形態の樹脂成形品115の製造方法によれば、前記混練工程Eと、成形工程Fとを備え、木質様成形品成形部の表層部に充填する混合材料112には、他の部分より樹脂111を多く含ませるので、成形工程Fにおいて、混合材料112と弾性部材の原料である樹脂113とを同時に押出成形することによって、木質様成形品成形部の表層部に充填された樹脂111と、弾性部材成形部に充填された樹脂113とが、付着しやすく、成形性が良好となる。
したがって、木質様成形品と弾性部材とが一体的に形成された樹脂成形品115を容易に製造することができる。
【0038】
前記分別工程Bによって、金属類が含まれていない木質廃材101とすることができ、分別工程Bの後に行う粉砕工程C,Dにおいて、木質廃材101を容易に微粉砕することができる。
また、成形工程Fにおいて、押出成形する場合に、その成形性が良好となる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本発明の第2の実施の形態では、上述した樹脂成形品115が、建物の開口部に取りつけられる障子枠に使用された場合である。すなわち、前記樹脂成形品115を構成する木質様成形品は、建物の開口部に取りつけられる障子枠の材料であり、前記弾性部材が、障子枠に嵌めこまれるガラス板からなる窓部材に、弾性的に当接するフィン部材である。
図2は、本発明の第2の実施の形態を示すためのもので、建物の開口部に窓枠と障子枠と窓部材とが設置された構造の側断面図、図3は、図2の平断面図、図4は、障子枠が召し合せ状に重なった構造の平断面図である。
【0040】
図2〜図4に示すように、建物の開口部1には窓枠2が取りつけられており、該窓枠2には障子3が設置されている。
前記障子3は、窓部材4と、該窓部材4が嵌めこまれる障子枠5とを備えている。また、この障子3は、開口部1の室外側と室内側とに2つ設けられており、室外側の障子3aと室内側の障子3bとは引き違い戸である。
【0041】
前記窓枠2は、建物の開口部1を形成する内周面6を覆う外枠7と、この外枠7の室内側を向く面に設置される内枠8とを備えている。
前記外枠7と内枠8とは、木材から得られるセルロース系微粉粒と樹脂とを含む混合材料からなる木質様成形品である。
また、前記外枠7は、内周面6の左右側面に固定される縦外枠材9(図3参照)と、内周面6の上下面に固定される横外枠材10(図2参照)とを備えている。
そして、前記外枠7は、縦外枠材9と横外枠材10とが縦横に組みつけてなるものである。
【0042】
前記内枠8は、前記縦外枠材9に嵌めこまれて設置される縦内枠材11(図3参照)と、前記横外枠材10に嵌めこまれて設置される横内枠材12(図2参照)とを備えている。
そして、前記内枠8は、縦内枠材11と横内枠材12とのうち、一方の側端部を他方の側端部にそれぞれ縦横に突きつけてなるものである。
【0043】
前記縦外枠材9と縦内枠材11とには、互いに係合する窓枠係合部13が形成されている。また、前記横外枠材10と横内枠材12とにも、互いに係合する窓枠係合部13が形成されている。
そして、縦外枠材9と縦内枠材11、横外枠材10と横内枠材12の窓枠係合部13がそれぞれが係合することによって、外枠7と内枠8とが開口部1の内周面6に固定されている。
【0044】
縦外枠材9および横外枠材10には、レール部14がそれぞれ設けられており、このレール部14に後述する障子枠5が設置されるようになっている。
また、横外枠材10のうち内周面6の下面に取りつけられた横外枠材10のレール部14の上端には、アルミニウム製のレール材40が押入されており、このレール材40によって、比較的重い障子枠5を支持することができるようになっている。
前記横外枠材10のレール部14周辺には排水が流れる排水孔15が形成されている。
【0045】
次に、前記障子枠5について説明する。
図2および図3に示すように、障子枠5は、窓部材4が嵌めこまれて該窓部材4を支持する構造枠16と、該構造枠16の表面に設けられた化粧枠17とを備えている。
前記構造枠16と化粧枠17とは、木材から得られるセルロース系微粉粒105と樹脂111とを含む混合材料112からなる前記木質様成形品である(図1参照)。
前記構造枠16の原料となる木材は、不純物を含む前記木質廃材101であり、樹脂111は、不純物を含む前記樹脂廃材110から得られる。
前記化粧枠17の原料となる木材は、構造枠16とは異なり、天然の木材、稲藁、バカス等である。
【0046】
また、前記構造枠16および化粧枠17の表層部のうち、少なくとも後述するフィン部材36,37が設けられる部分には、他の部分より前記樹脂111が多く含まれている。
さらに、この構造枠16および化粧枠17の表面のうちの前記フィン部材36,37が設けられていない表層部の表面は、サンディング処理によって粗されており、これによって多数の筋状の模様(図示しない)が形成されている。
【0047】
また、前記構造枠16は、前記縦外枠材9のレール部14に嵌めこまれる縦構造枠材18(図3参照)と、前記横外枠材10のレール部14に嵌めこまれる横構造枠材19(図2参照)とを備えている。
そして、前記構造枠16は、縦構造枠材18と横構造枠材19とを縦横に組みつけてなるものである。
【0048】
前記縦構造枠材18および横構造枠材19は、それぞれの横断面形状が同一となっている。
前記縦構造枠材18および横構造枠材19は、前記レール部14に設置されて該レール部14をスライドするスライド部20と、前記窓部材4が嵌めこまれる嵌合部21とを備えている。そして、スライド部20とレール部14との間には、気密材22が設けられている。
【0049】
前記嵌合部21のうちの室外側を向く面には、この嵌合部21に嵌めこまれた窓部材4の側周部を押さえ込む押縁23が設けられている。
この押縁23は、断面視略矩形状をなしており、押縁23と窓部材4との間には、窓部材4のガラス板に弾性的に当接するフィン部材36が設けられている。
前記フィン部材36は、樹脂製113の弾性部材であって、押縁23の表層部に一体的に形成されている。
また、前記嵌合部21のうちの室内側を向く面には、後述する化粧枠17の縦化粧枠材24および横化粧枠材25が係合する構造枠係合部26が上下に2つ形成されている。この構造枠係合部26は、断面視略矩形状である。
なお、前記横構造枠材19のうち内周面6の下面に取りつけられる横構造枠材19には、排水が流れる排水孔41が形成されている。
【0050】
前記化粧枠17は、前記縦構造枠材18に嵌めこまれて設置される縦化粧枠材24(図3参照)と、前記横構造枠材19に嵌めこまれて設置される横化粧枠材25(図2参照)とを備えている。
前記化粧枠17は、縦化粧枠材24と横化粧枠材25とのうち、一方の側端部を他方の側端部にそれぞれ縦横に突きつけてなるものである。
そして、縦構造枠材18の構造枠係合部26に、縦化粧枠材24の化粧枠係合部29(後述する)を係合させた後に、両縦化粧枠材24の間でかつ横構造枠材19の構造枠係合部26に、横化粧枠材25の化粧枠係合部29(後述する)が係合されており、縦勝ち納まりとなっている。
【0051】
ここで、前記縦化粧枠材24と横化粧枠材25について詳細に説明する。
前記縦化粧枠材24は、図3および図4に示すように、室外側の障子3aと室内側の障子3bを閉じた際に、前記レール部14に嵌めこまれる戸当たり枠材27(図3参照)と、召し合せ状に重なる召し合せ枠材28(図4参照)とを備えている。
【0052】
前記戸当たり枠材27と横化粧枠材25とは、図2および図3に示すように、それぞれの断面形状が同一となっており、召し合せ枠材28はこれら戸当たり枠材27と横化粧枠材25とは異なる断面形状である。
前記戸当たり枠材27と横化粧枠材25とは、縦構造枠材18および横構造枠材19に形成された構造枠係合部26の位置に対応するように、化粧枠係合部29がそれぞれ形成されている。
前記化粧枠係合部29は、断面視略矩形状である。
【0053】
前記戸当たり枠材27と縦構造枠材18との間には、それぞれに形成された化粧枠係合部29と構造枠係合部26どうしを圧接させるとともに、縦外枠材9のレール部14に密接する、弾性を有する気密材30が設けられている。
また、横化粧枠材25と横構造枠材19との間には、それぞれに形成された化粧枠係合部29と構造枠係合部26どうしを圧接させるとともに、横外枠材10のレール部14に密接する、弾性を有する気密材30が設けられている。
さらに、これら戸当たり枠材27と横化粧枠材25とは、前記構造枠16に嵌めこまれた窓部材4の側周部を押さえ込む押縁31がそれぞれ設けられている。
この押縁31は、断面視略矩形状をなしており、押縁31と窓部材4との間には、窓部材4のガラス板に弾性的に当接するフィン部材37が設けられている。
前記フィン部材37は、樹脂製113の弾性部材であって、押縁31の表層部に一体的に形成されている。
【0054】
前記召し合せ枠材28は、図4に示すように、前記縦構造枠材18に形成された構造枠係合部26の位置に対応するように、化粧枠係合部29が形成されている。この化粧枠係合部29は、断面視略矩形状である。
また、召し合せ枠材28は、構造枠16に嵌めこまれた窓部材4の側周部を押さえ込む押縁31が設けられている。
この押縁31は、断面視略矩形状をなしており、押縁31と窓部材4との間には、窓部材4のガラス板に弾性的に当接するフィン部材37が設けられている。
前記フィン部材37は、樹脂製113の弾性部材であって、押縁31の表層部に一体的に形成されている。
【0055】
また、障子3a,3bが閉じられた際に、召し合せ枠材28のうちの開口部1の内周面6に当接する部分には、当接部材42が設けられている。この当接部材42は、前記フィン部材37と同様に、樹脂製113の弾性部材であって、召し合せ枠材28の表層部に一体的に形成されている。
さらに、召し合せ枠材28は、室外側の障子3aと室内側の障子3bとが閉められて、召し合せ状に重なった際に、室外側の障子3aの召し合せ枠材28と室内側の障子3bの召し合せ枠材28とがそれぞれ係合する係合片32を備えている。
【0056】
前記室外側の障子3aの召し合せ枠材28の係合片32の先端には、気密材33が設けられており、この気密材33によって障子3a,3bが閉じられた際に、これら召し合せ枠材28が開口部1の内周面6側に跳ね返って開くことを防止している。
また、室外側の障子3aの召し合せ枠材28の押縁31と、室内側の障子3bの召し合せ枠材28の係合片32との間にも、気密材38が設けられている。そして、この気密材38によって室外側の障子3aと室内側の障子3bとの間の隙間がふさがれて、気密性が確保されている。
【0057】
また、前記気密材38が設けられた室内側の障子3bの召し合せ枠材28の係合片32には、この召し合せ枠材28と縦構造枠材18とを連結するピン39が差しこまれている。
このピン39は、縦構造枠材18の構造枠係合部26に、召し合せ枠材28の化粧枠係合部29を係合させる際に、予め、召し合せ枠材28の係合片32から、縦構造枠材18に向けて差しこんで、縦構造枠材18と召し合せ枠材28との位置決めをしておくものである。
【0058】
なお、弾性部材であるフィン部材36が、木質様成形品からなる構造枠16に一体的に設けられた障子枠5の製造方法については、上述した樹脂成形品115の製造方法と同様の方法で製造されるので、その説明は省略する。
【0059】
また、弾性部材であるフィン部材37が、木質様成形品からなる化粧枠17に一体的に設けられた障子枠5の製造方法についても、上述した樹脂成形品115の製造方法とほぼ同様であるが、前記化粧枠17に使用される原料が異なっている。
つまり、前記化粧枠17の原料となる木材は、木質廃材101ではなく、天然の木材、稲藁、バカス等であり、その他の点については上述したものと同様のため、その説明を省略する。
【0060】
さらに、前記化粧枠17のうちの召し合せ枠材28に、一体的に形成された樹脂製の当接部材42も、上述した樹脂成形品115の製造方法によって製造されるので、その説明を省略する。
【0061】
本発明の第2の実施の形態によれば、前記木質様成形品が障子枠5の材料で、前記弾性部材が、障子枠5に嵌めこまれるガラス板4に弾性的に当接するフィン部材36,37であるので、従来のように、障子枠とガラス板との間に随時、パッキン部材を設ける必要がなく、同時に障子枠5とフィン部材36,37とが一体的に形成される。したがって、フィン部材36,37が一体的に形成された障子枠5にガラス板4を嵌めこむことによって、容易に施工でき、施工作業の簡略化を図ることができる。
【0062】
請求項1の発明によれば、前記成形工程において、前記混合材料と弾性部材の原料となる樹脂とを同時に押出成形することによって、木質様成形品成形部の表層部に充填された樹脂と、弾性部材成形部に充填された樹脂とが、付着しやすく、成形性が良好となる。
したがって、木質様成形品と弾性部材とが一体的に形成された樹脂成形品を容易に製造することができる。
【0063】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、木質廃材や樹脂廃材を利用することによって、資源の有効利用や環境保護の観点からも優れる。
【0064】
請求項3の発明によれば、請求項1または2と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記木質様成形品の表面のうちの前記弾性部材が設けられていない表層部の表面に、毛羽立ち感をあらわすことができ、より一層外観品質の向上を図ることができる。
【0065】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれかと同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、同時にサッシ枠とフィン部材とが一体的に形成されることによって、施工作業の簡略化を図ることができる。
【0067】
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれかと同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、前記分別工程によって、金属類が含まれていない木材とすることができ、よって分別工程の後に行う粉砕工程において、木材を容易に微粉砕することができる。
また、金属類が含まれていない木材を、成形工程において押出成形する場合に、その成形性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すためのもので、樹脂成形品を製造する製造工程を示す概念図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すためのもので、開口部に窓枠と障子枠と窓部材とが設置された構造を示す側断面図である。
【図3】同、開口部に窓枠と障子枠と窓部材とが設置された構造を示す平断面図である。
【図4】同、障子枠が召し合せ状に重なった構造を示す平断面図である。
【符号の説明】
5 障子枠
4 ガラス板
36、37 フィン部材
101 木質廃材
105 セルロース系微粉粒
110 樹脂廃材
111、113 樹脂
112 混合材料
115 樹脂成形品
B 分別工程
C、D 粉砕工程
E 混練工程
F 成形工程
Claims (5)
- 木材から得られるセルロース系微粉粒と樹脂とを含む混合材料からなる木質様成形品の表層部に、樹脂製の弾性部材が一体的に設けられ、前記木質様成形品の表層部のうち、前記弾性部材を設ける部分には、他の部分より前記樹脂が多く含まれている樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
セルロース系微粉粒と樹脂とを混練・溶融して混合材料とする混練工程と、
前記混合材料と前記弾性部材の原料となる樹脂を、押出成形機に投入し、成形すべき樹脂成形品の断面形状と同形状の成形部を備えた金型に充填して押出成形する成形工程とを備え、
前記金型は、前記木質様成形品と同形状をなした木質様成形品成形部と、前記弾性部材と同形状の弾性部材成形部とを有しており、
前記成形工程において、前記混合材料を前記木質様成形品成形部に充填し、前記弾性部材の原料となる樹脂を前記弾性部材成形部に充填するとともに、これら前記混合材料と前記樹脂とを同時に押出成形し、
前記木質様成形品成形部の表層部に充填する混合材料には、他の部分より前記樹脂を多く含ませることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 請求項1記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記木材は、不純物を含む木質廃材であり、
前記樹脂は、不純物を含む樹脂廃材から得られることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 請求項1または2記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記木質様成形品の表面のうちの前記弾性部材が設けられていない表層部の表面は、サンディング処理によって粗されていることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記木質様成形品が障子枠の材料であり、
前記弾性部材が障子枠に嵌めこまれるガラス板に弾性的に当接するフィン部材であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法において、
前記混練工程の前に、木材から金属類を取り除く分別工程と、
前記分別工程を経た木材を微粉砕することによって、前記セルロース系微粉粒を得る粉砕工程とを備えていることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
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