以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態における無線通信システムを有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1と子機61との外観構成を示した斜視図である。
MFP1は、無線通信200,300,400(図2参照)を介してデータ通信や通話を行うための装置であり、親機であるMFP1、または、電話回線網100(図2参照)を介して接続される外部装置(図示しない)との間で通話を行うためのデジタルコードレス式の子機61を有している。また、MFP1は、無線通信200を介してLAN500(図2参照)へ接続するための無線LAN機能や、無線通信300を介して子機61との間で通話を行うコードレス通話機能や、無線通信400を介してBluetooth機器(以下、「BT機器」と称する)71との間でデータ通信を行うBluetooth通信機能(以下、「BT通信機能」と称す)などの各種の機能を有している。
例えば、無線LAN機能や、コードレス通話機能や、BT通信機能が実行されると、各機能の通信方式に従った無線通信200,300,400が行われる。それぞれの無線通信200,300,400には、所定の周波数帯域(2.4GHz〜2.48GHz)のうちの一部の周波数帯域幅(例えば、約20MHz幅や約1MHz幅など)が使用されるが、それぞれの無線通信200,300,400で使用される周波数帯域幅が重複すると、無線通信(電波)が干渉し合い正常に無線通信を行うことができなくなる。このMFP1は、それぞれの無線通信200,300,400によって起こりうる無線通信の干渉を簡単に避けることができる装置である。
MFP1の上面前方には、横長形状の操作パネル6が設けられており、操作キー15、LCD16とを具備する。操作キー15は、MFP1を操作するための操作入力キーにより構成されている。ユーザは、操作入力キーの押下により、無線通信300を開始して子機61との間で通話を開始したり、電話番号の入力により電話回線網100を介して外部装置と接続することができる。LCD16には、操作手順や実行中の処理の状態が表示されると共に、操作キー15の押下に対応する情報が表示される。
MFP1の側部には、送受話器23が設けられている。送受話器23は、通話を行うための装置であり、マイクロフォンとスピーカとを有している。マイクロフォンは、入力された音声をアナログ音声信号(電気信号)に変換するものであり、また、スピーカは、アナログ音声信号を音声に変換して出力するものである。
MFP1の筐体内部には、無線通信200を行うための無線LAN通信制御回路17、無線通信300を行うためのデジタルコードレス電話通信制御回路(以下、「DCL通信制御回路」と称す)19、および、Bluetooth通信制御回路(以下、「BT通信制御回路」と称す)21が内蔵されている。よって、ユーザは、各無線通信200,300,400を行うための通信装置を個別に用意しなくても良く、使い勝手が良い。
次に、図2を参照して、MFP1と、アクセスポイント51と、子機61と、BT機器71との電気的構成について説明する。図2は、MFP1と、アクセスポイント51と、子機61と、BT機器71との電気的構成を示すブロック図である。
MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、操作キー15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、BT通信制御回路21、送受話器23、音声処理LSI24、NCU25とを主に有している。
CPU11、ROM12、RAM13は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、BT通信制御回路21、送受話器23、音声処理LSI24、NCU25、バスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
CPU11は、ROM12やRAM13に記憶される固定値やプログラム或いは、無線LAN通信制御回路17、DCL通信制御回路19、BT通信制御回路21またはNCU25を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御するものである。
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。図4のフローチャートに示すメイン処理、図5のフローチャートに示すDCLチャンネル設定処理、図6のフローチャートに示すBTチャンネル設定処理、図7のフローチャートに示すパターン修正処理、図9のフローチャートに示すDCL通信処理、図10のフローチャートに示すBT通信処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。
また、ROM12には、子機61との間の無線通信300に使用する(後述する)ホッピングチャンネルDが格納されているDCLホッピングテーブル12aと、BT機器71との間の無線通信400に使用する(後述する)ホッピングチャンネルB1が格納されているBTホッピングテーブル12bとが格納されている。
ここで、図3を参照して、DCLホッピングテーブル12aおよびBTホッピングテーブル12bについて説明する。
図3(a)は、DCLホッピングテーブル12aの内容の一例を示すイメージ図であり、(b)は、BTホッピングテーブル12bの内容の一例を示すイメージ図である。DCLホッピングテーブル12aは、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されている周波数帯域幅を避けて、MFP1と子機61との間で無線通信300を行うために設けられているテーブルである。
DCLホッピングテーブル12aは、無線LANチャンネル番号と、ホッピングパターン番号と、ホッピングチャンネルDとにより構成されており、一のホッピングパターン番号毎に、一の無線LANチャンネル番号と一のホッピングチャンネルDとが関連づけられている。無線LANチャンネル番号は、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されるチャンネル番号である。
ホッピングパターン番号は、DCLホッピングテーブル12aに複数設けられているホッピングチャンネルDを個別に識別するための番号である。ホッピングチャンネルDとは、MFP1と子機31との間で無線通信300を行う場合に、所定間隔(例えば、1/100秒)毎にホッピングするチャンネル番号のことであり、ホッピングの順番に並べられた複数のチャンネル番号によって構成されている。
なお、各ホッピングパターン番号に関連づけられている無線LANチャンネル番号およびホッピングチャンネルDは、それぞれのチャンネル番号が無線通信200,300で使用されても周波数帯域幅が重複しないように関連付けられている。
次に、一例として、ホッピングパターン番号「1」に関連づけられている無線LANチャンネル番号およびホッピングチャンネルDついて説明する。その他のホッピングパターン番号については、内容が重複するためその説明を省略する。例えば、ホッピングパターン番号「1」には、無線LANチャンネル番号「1」と、ホッピングチャンネルD「27,87,56,73,・・・」とが関連付けられている。上述したように、このホッピングチャンネルDは、無線LANチャンネル番号「1」で使用される周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号「26〜89」によって構成されている。
例えば、ホッピングパターン番号「1」のホッピングチャンネルDに従って、MFP1と子機61との間で無線通信300が行われると、1/100秒毎に「27」→「87」→「56」→「73」・・・という順番でチャンネル番号がホッピングされながら無線通信300が行われる。なお、ホッピングチャンネルDが、n個のチャンネル番号で構成されている場合、n個目のチャンネル番号までホッピングが行われると、次は、1個目のチャンネル番号にホッピングされ、繰り返しホッピングが行われる。
次に、BTホッピングテーブル12bについて説明する。
図3(b)は、BTホッピングテーブル12bの内容の一例を示すイメージ図である。BTホッピングテーブル12bは、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されている周波数帯域幅を避けて、MFP1とBT機器71との間で無線通信400を行うために設けられているテーブルである。
BTホッピングテーブル12bは、無線LANチャンネル番号と、ホッピングパターン番号と、ホッピングチャンネルB1とにより構成されており、一のホッピングパターン番号毎に、一の無線LANチャンネル番号と一のホッピングチャンネルB1とが関連づけられている。無線LANチャンネル番号は、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されるチャンネル番号である。
ホッピングパターン番号は、BTホッピングテーブル12bに複数設けられているホッピングチャンネルB1を個別に識別するための番号である。ホッピングチャンネルB1とは、MFP1とBT機器71との間で無線通信400を行う場合に、所定間隔(例えば、1/1600秒)毎にホッピングするチャンネル番号のことであり、ホッピングの順番に並べられた複数のチャンネル番号によって構成されている。
なお、一のホッピングパターン番号に関連づけられている無線LANチャンネル番号およびホッピングチャンネルB1は、それぞれのチャンネル番号が無線通信200,400で使用されても周波数帯域幅が重複しないように関連付けられている。
次に、一例として、ホッピングパターン番号「6」に関連づけられている無線LANチャンネル番号およびホッピングチャンネルB1ついて説明する。その他のホッピングパターン番号については、内容が重複するためその説明を省略する。例えば、ホッピングパターン番号「6」には、無線LANチャンネル番号「2」と、ホッピングチャンネルB1「31,69,33,4,・・・」とが関連付けられている。上述したように、このホッピングチャンネルB1は、無線LANチャンネル番号「2」で使用される周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号「1〜5,31〜89」によって構成されている。
例えば、ホッピングパターン番号「6」のホッピングチャンネルB1に従って、MFP1とBT機器71との間で無線通信400が行われると、1/1600秒毎に「31」→「69」→「33」→「4」・・・という順番でチャンネル番号がホッピングされながら無線通信400が行われる。なお、ホッピングチャンネルB1が、m個のチャンネル番号で構成されている場合、m個目のチャンネル番号までホッピングが行われると、次は、1個目のチャンネル番号にホッピングされ、繰り返しホッピングが行われる。また、ホッピングチャンネルB1を構成するチャンネル番号の個数mは、ホッピングチャンネルDを構成するチャンネル番号の個数nの16倍の数で構成されている。すなわち、ホッピングチャンネルDの各チャンネル番号毎に、ホッピングチャンネルB1の中の16個のチャンネル番号がそれぞれ対応する。
ここで、図2の説明に戻る。RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。RAM13には、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200に使用されている無線LANチャンネル番号が記憶される無線LANチャンネルメモリ13aと、MFP1と子機61との間の無線通信300に使用されるホッピングチャンネルDが記憶されるDCLチャンネルメモリ13bと、MFP1とBT機器71との間の無線通信400に使用されるホッピングチャンネルB1が記憶されるBTチャンネルメモリ13cと、MFP1およびBT機器71が無線通信400により接続されているか否かを示すBTフラグが記憶されるBTフラグメモリ13dとが設けられている。
無線LANチャンネルメモリ13aは、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200に使用されている無線LANチャンネル番号が記憶されるメモリである。例えば、無線LANチャンネル番号「3」が使用されて無線通信200が行われている場合は、「3」と記憶される。また、使用中の無線LANチャンネル番号が別の無線LANチャンネル番号に変更された場合は、その変更された無線LANチャンネル番号が記憶される。なお、無線通信200が行われていない場合や終了した場合は、「0」と記憶される。
DCLチャンネルメモリ13bは、MFP1と子機61との間の無線通信300に使用されるホッピングチャンネルDが記憶されるメモリである。MFP1および子機61は、DCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDに従ってホッピングを行いながら無線通信300を行う。なお、ホッピングチャンネルDは、ROM12のDCLホッピングテーブル12aの中から一つ選択されて記憶される。また、無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネル番号が記憶されている場合は、その無線LANチャンネル番号の無線通信200で使用される周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号で構成されるホッピングチャンネルDが選択されて記憶される。
BTチャンネルメモリ13cは、MFP1とBT機器71との間の無線通信400に使用されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2が記憶されるメモリである。ホッピングチャンネルB2について詳細は後述するが、無線通信300および無線通信400が干渉しないように、ホッピングチャンネルB1の各チャンネル番号を修正したものである。
MFP1およびBT機器71は、BTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2に従ってホッピングを行いながら無線通信400を行う。なお、ホッピングチャンネルB1は、ROM12のBTホッピングテーブル12bの中から一つ選択されて記憶される。また、無線LANチャンネルメモリ13aに無線LANチャンネル番号が記憶されている場合は、その無線LANチャンネル番号の無線通信200で使用される周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号で構成されるホッピングチャンネルB1が選択されて記憶される。
BTフラグメモリ13dは、MFP1およびBT機器71が無線通信400により接続されているか否かを示すBTフラグが記憶されるメモリである。例えば、MFP1およびBT機器71が無線通信400により接続された場合に、「オン」(例えば、「1」)と設定され、無線通信400による接続が切断された場合や初期化された場合に、「オフ」(例えば、「0」)と設定される。
無線LAN通信制御回路17は、無線LAN用アンテナ18を有しており、アクセスポイント51との間で無線通信200を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。無線LAN通信制御回路17は、アクセスポイント51から指示された無線LANチャンネル番号を使用してアクセスポイント51と無線通信200を行う。また、アクセスポイント51から無線LANチャンネル番号が指示された場合は、その番号を、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに記憶する。
DCL通信制御回路19は、DCL用アンテナ20を有しており、子機61のDCL通信制御回路61aとの間で無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号を送受信する回路である。DCL通信制御回路19は、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDに従ってホッピングを行いながら子機61と無線通信300を行う。
BT通信制御回路21は、BT用アンテナ22を有しており、BT機器71のBT通信制御回路71aとの間で無線通信400を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。BT通信制御回路21は、RAM13のBTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2に従ってホッピングを行いながらBT機器71と無線通信400を行う。
音声処理LSI24は、アナログ音声信号をデジタル信号へ、デジタル信号をアナログ音声信号へ変換するためのLSIであり、送受話器23に音声が入力された時に出力されるアナログ音声信号や、NCU25によって受信されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換して、DCL通信制御回路19へ出力する。なお、DCL通信制御回路19へ入力されたデジタル信号は、無線通信300を介して子機61へ送信される。また、子機61から送信されDCL通信制御回路19により受信されたデジタル信号をアナログ音声信号に変換して、送受話器23やNCU25へ出力する。
NCU25は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などの制御を行うものである。
次に、アクセスポイント51の電気的構成について説明する。アクセスポイント51は、LAN500と接続されており、無線通信200を介して接続される端末装置(アクセスポイント51に接続される各通信装置のこと)を、LAN500へ接続するための既知の回路を有した中継器である。アクセスポイント51は、無線LAN用アンテナ51aを有しており、MFP1の無線LAN通信制御回路17と無線通信200可能に構成されている。アクセスポイント51には、MFP1を始め、複数の端末装置が同時に接続可能であり、アクセスポイント51と接続された各端末装置は、それぞれLAN500へと接続される。
次に、子機61の電気的構成について説明する。子機61は、MFP1との間で行われる無線通信300を介して、MFP1や電話回線網100を介して接続される外部装置との間で通話を行うための装置である。子機31は、DCL通信制御回路61aと、DCL用アンテナ61bとを有している。
DCL通信制御回路61aは、DCL用アンテナ61bを用いて、親機であるMFP1のDCL通信制御回路19との間で無線通信300を行いながら、通話の音声を構成するデジタル信号を送受信する回路である。DCL通信制御回路61aは、MFP1から送信されるRAM13のDCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDに従って、ホッピングを行いながらMFP1と無線通信300を行う。
次に、BT機器71の電気的構成について説明する。BT機器71は、MFP1との間で行われる無線通信400を介して、データ通信を行うための装置である。BT機器71は、BT通信制御回路71aと、BT用アンテナ71bとを有している。
BT通信制御回路71aは、BT用アンテナ71bを用いて、MFP1のBT通信制御回路21との間で無線通信400を行いながら、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する回路である。BT通信制御回路71aは、MFP1から送信されるRAM13のBTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2に従って、ホッピングを行いながらMFP1と無線通信400を行う。
次に、図4を参照して、MFP1のCPU11により実行されるメイン処理について説明する。図4は、MFP1のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されている無線LANチャンネル番号を監視するための処理であり、MFP1の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで繰り返し実行される処理である。
メイン処理では、まず、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13a、DCLチャンネルメモリ13b、BTチャンネルメモリ13cおよびBTフラグメモリ13dの初期化などの初期設定を行う(S1)。
そして、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されている無線LANチャンネル番号の使用状況が変更したかを判定し(S2)、無線LANチャンネル番号の使用状況が変化していない場合は(S2:No)、変化があるまで待機する。一方、無線LANチャンネル番号の使用状況が変化した場合は(S2:Yes)、使用状況の変化後の無線通信200で使用されている無線LANチャンネル番号をRAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに記憶する(S3)。なお、無線LANチャンネル番号が使用されていない場合や、無線通信200が終了した場合は、「0」と記憶される。次に、DCLチャンネル設定処理を実行し(S4)、S2の処理に戻り、上述したS2〜S4の各処理を繰り返す。
この図4のフローチャートに示すメイン処理により、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用されている無線LANチャンネル番号を監視し、無線LANチャンネル番号の使用状況が変化した場合に、DCLチャンネル設定処理を実行することができる。
次に、図5を参照して、MFP1のCPU11により実行されるDCLチャンネル設定処理(S4)について説明する。図5は、MFP1のDCLチャンネル設定処理(S4)を示すフローチャートである。このDCLチャンネル設定処理(S4)は、MFP1と子機61との間の無線通信300に使用するホッピングチャンネルDを決定するための処理である。
DCLチャンネル設定処理(S4)では、まず、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに記憶される無線LANチャンネル番号を読み取る(S11)。そして、読み取った無線LANチャンネル番号に基づいて、子機61との間の無線通信300に使用するホッピングパターン番号を決定する(S12)。具体的には、ROM12に格納されているDCLホッピングテーブル12aの中から、読み取った無線LANチャンネル番号が関連づけられていないホッピングパターン番号を一つ決定する。
次に、決定したホッピングパターン番号に関連づけられているホッピングチャンネルDを取得して、DCLチャンネルメモリ13bに記憶し(S13)、DCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDの内容を、子機61へ送信する(S14)。そして、BTチャンネル設定処理を実行し(S15)、このDCLチャンネル設定処理を終了する。
この図5のフローチャートに示すDCLチャンネル設定処理により、無線通信200で使用される無線LANチャンネル番号の周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号で構成されるホッピングチャンネルDを決定することができる。よって、無線通信200と、無線通信300との干渉を簡単に避けることができる。
次に、図6を参照して、MFP1のCPU11により実行されるBTチャンネル設定処理(S15)について説明する。図6は、MFP1のBTチャンネル設定処理(S15)を示すフローチャートである。
このBTチャンネル設定処理(S15)は、MFP1とBT機器71との間の無線通信400に使用するホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2を決定するための処理である。
BTチャンネル設定処理(S15)では、まず、RAM13の無線LANチャンネルメモリ13aに記憶される無線LANチャンネル番号を読み取る(S21)。そして、読み取った無線LANチャンネル番号に基づいて、BT機器71との間の無線通信400に使用するホッピングパターン番号を決定する(S22)。具体的には、ROM12に格納されているBTホッピングテーブル12bの中から、読み取った無線LANチャンネル番号が関連づけられていないホッピングパターン番号を一つ決定する。
次に、決定したホッピングパターン番号に関連づけられているホッピングチャンネルB1を取得して、BTチャンネルメモリ13cに記憶し(S23)、パターン修正処理を実行する(S24)。
ここで、図7および図8を参照して、MFP1のCPU11により実行されるパターン修正処理(S24)について説明する。図7は、MFP1のパターン修正処理(S24)を示すフローチャートである。図8(a)は、無線通信400(BTの通信方式)のホッピングチャンネルB1の一例を説明するための概略図である。図8(b)は、無線通信300,400に使用するチャンネル番号の重複の一例を説明するための概略図である。図8(c)は、無線通信400のホッピングチャンネルB1の修正の一例を説明するための概略図である。なお、図8(a)〜(c)は、概略を説明するための図であるので、本実施形態のホッピングチャンネルD,B1の周期やチャンネル番号の個数とは一致しない。
パターン修正処理(S24)は、MFP1と子機61との間の無線通信300と、MFP1とBT機器71との間の無線通信400とが干渉しないように、無線通信400に使用するホッピングチャンネルB1をホッピングチャンネルB2へと修正するための処理である。
パターン修正処理(S24)では、まず、変数iを0と設定する(S31)。この変数iは、子機61との間の無線通信300に使用されるホッピングチャンネルDの中で、i回目のホッピング時に使用する一のチャンネル番号を示すための変数である。例えば、ホッピングチャンネルD[i=0]であれば、ホッピングチャンネルDの先頭のチャンネル番号を示す。
次に、子機61との間の無線通信300に使用するホッピングチャンネルD、すなわち、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDから、i回目のホッピング時に使用するホッピングチャンネルD[i](一つのチャンネル番号)を抽出する(S32)。
そして、無線通信300でホッピングチャンネルD[i]を使用する時に、BT機器71との間の無線通信400に使用する16個の各チャンネル番号を、RAM13のBTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1から抽出する(S33)。
例えば、図8(a)に示すように、MFP1とBT機器71との間の無線通信400では、所定の周期(t1秒とする)毎にチャンネル番号がホッピングされている。同様に、MFP1と子機61との間の無線通信300でも、所定の周期(t2秒とする)毎にチャンネル番号がホッピングされている。ところが、図8(b)に示すように、無線通信300,400で使用されるチャンネル番号が重複すると、無線通信300,400が干渉してしまい、正常に無線通信を行うことができない。
ここで、図7のフローチャートの説明に戻る。そこで、抽出した16個の各チャンネル番号の中で、ホッピングチャンネルD[i]以上のチャンネル番号(重複するもの、および、重複するチャンネル番号を超えるもの)があるかを判定し(S34)、抽出した16個の各チャンネル番号の中で、ホッピングチャンネルD[i]以上のチャンネル番号がある場合は(S34:Yes)、そのホッピングチャンネルD[i]以上である各チャンネル番号に「1」を加算して修正する。但し、チャンネル番号が「89」を超える場合は、「1」と修正する(S35)。
すなわち、図8(c)に示すように、無線通信300,400で使用されるチャンネル番号が重複する場合は、重複するチャンネル番号が無線通信300で使用される周期(t2秒)毎に、無線通信400で使用されるチャンネル番号が修正される。具体的には、上述した処理により、重複するチャンネル番号に加え、重複するチャンネル番号を超える各チャンネル番号もそれぞれ修正(上昇)されるので、それぞれの無線通信300,400を中断することなく無線通信300,400の干渉を簡単に避けることができる。また、無線通信400で使用されるホッピングチャンネルB1が、離散的にチャンネル番号をホッピングするように構成されていれば、その離散性が損なわれることが抑制された修正を行うことができる。
また、例えば、無線通信400よりもホッピングの周期の長い無線通信300で使用される各チャンネル番号を修正したとすると、その変更したチャンネル番号が、無線通信300よりもホッピングの周期の短い無線通信400で使用される各チャンネル番号と重複することがあるので、その重複を避けるための処理が必要となり処理が煩雑となる。
本実施形態では、無線通信300よりもホッピングの周期の短い無線通信400で使用される各チャンネル番号を修正しているので、修正されたチャンネル番号は、無線通信300で使用される各チャンネル番号と重複することがないので、簡単に確実に無線通信300,400の干渉を簡単に避けることができる。
次に、図8(d)を用いて、ホッピングチャンネルB1の修正の一例を説明する。なお、無線通信300には、DCLホッピングテーブル12aのホッピングパターン番号「1」のホッピングチャンネルDが使用され、無線通信400には、BTホッピングテーブル12bのホッピングパターン番号「1」のホッピングチャンネルB1が使用されるとする。また、ホッピングチャンネルB1を修正したものを、ホッピングチャンネルB2と称する。
図8(d)に示すように、無線通信300では、1/100秒毎に、「27」→「87」→「56」→・・・という順番でチャンネル番号がホッピングされていくホッピングチャンネルDが使用されており、また、無線通信400では、1/1600秒毎に、「26」→「64」→「28」→・・・という順番でチャンネル番号がホッピングされていくホッピングチャンネルB1が使用される。なお、本実施形態では、無線通信300が一のチャンネル番号を使用する周期毎に、無線通信400は16個のチャンネル番号を順番にホッピングして使用する。
例えば、無線通信300でチャンネル番号「27」が使用される周期では、無線通信400において「26」→「64」→「28」→・・・「87」という順番でチャンネル番号がホッピングされて、計16個のチャンネル番号が使用される。この16個のチャンネル番号の中で、無線通信300で使用されるチャンネル番号「27」以上であるものに、それぞれ「1」が加算される。すなわち、チャンネル番号「64」、「28」、「87」は、それぞれチャンネル番号「65」、「29」、「88」と修正される。
また、無線通信300でチャンネル番号「87」が使用される周期では、無線通信400において「47」→「59」→「38」→・・・「51」という順番でチャンネル番号がホッピングされて、計16個のチャンネル番号が使用される。この16個のチャンネル番号の中には、無線通信300で使用されるチャンネル番号「87」以上であるものがないので、修正は行われない。以下、その他の周期についても同様に処理が行われるので、その説明を省略する。
ここで、図7のフローチャートの説明に戻る。そして、S35の処理で修正した各チャンネル番号の変更内容を、RAM13のBTチャンネルメモリ13cに記憶して(S36)、変数iに「1」を加算する(S37)。次に、変数iが変数n(ホッピングチャンネルDを構成する各チャンネル番号の合計個数)未満であるかを判定し(S38)、変数iが変数n未満である場合は(S38:Yes)、S32の処理に戻り、上述したS32〜S38の各処理を繰り返し、重複するチャンネル番号を修正する。
一方、変数iが変数n以上の場合は(S38:No)、ホッピングチャンネルDおよびホッピングチャンネルB1において、重複するチャンネル番号は全て修正されているので、このパターン修正処理(S24)を終了する。
この図7のフローチャートに示すパターン修正処理(S24)により、MFP1と子機61との間の無線通信300と、MFP1とBT機器71との間の無線通信400とが干渉しないように、無線通信400に使用するホッピングチャンネルB1をホッピングチャンネルB2へと修正することができる。よって、無線通信300と、無線通信400との干渉を避けることができる。
ここで、図6のフローチャートの説明に戻る。S24の処理が終了すると、次に、RAM13のBTフラグメモリ13dに記憶されるBTフラグを読み取り、BTフラグが「オン」であるかを判定する(S25)。BTフラグが「オン」である場合、すなわち、MFP1およびBT機器71が無線通信400により接続されている場合は(S25:Yes)、BTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1の内容を、接続されているBT機器71へ送信する(S26)し、このBTチャンネル設定処理(S15)を終了する。
S25の処理において、BTフラグが「オフ」である場合、すなわち、MFP1およびBT機器71が無線通信400により接続されていない場合は(S25:No)、S26の処理をスキップし、このBTチャンネル設定処理(S25)を終了する。
この図6のフローチャートに示すBTチャンネル設定処理により、無線通信200で使用される無線LANチャンネル番号の周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号で構成されるホッピングチャンネルB1を決定することができる。よって、無線通信200と、無線通信400との干渉を簡単に避けることができる。
また、無線通信300と、無線通信400とが干渉しないように、無線通信400に使用するホッピングチャンネルB1をホッピングチャンネルB2へと修正することができる。よって、無線通信300と、無線通信400との干渉を簡単に避けることができる。
次に、図9を参照して、MFP1のCPU11により実行されるDCL通信処理について説明する。図9は、MFP1のDCL通信処理を示すフローチャートである。このDCL通信処理は、MFP1と子機61との間で無線通信300を行うための処理であり、MFP1と子機61との間で無線通信300が開始される場合に実行される処理である。
DCL通信処理では、まず、RAM13のDCLチャンネルメモリ13bにホッピングチャンネルDが記憶されているかを判定し(S41)、ホッピングチャンネルDが記憶されている場合は(S41:Yes)、S42の処理に移行する。一方、ホッピングチャンネルDが記憶されていない場合は(S41:No)、DCLチャンネル設定処理(S4)を実行し、MFP1と子機61との間の無線通信300に使用するホッピングチャンネルDを決定する。
次に、DCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDに従って、子機61と無線通信300を行う(S42)。この無線通信300では、例えば、通話の音声を構成するデジタル信号が送受信される。
そして、無線通信300により接続されている子機61との接続が切断されたかを判定し(S43)、子機61と接続されている場合は(S43:No)、S42の処理に戻り、上述したS42〜S43の各処理を繰り返す。一方、子機61との接続が切断された場合は(S43:No)、このDCL通信処理を終了する。
この図9のフローチャートに示すDCL通信処理により、MFP1と子機61との間で、DCLチャンネルメモリ13bに記憶されるホッピングチャンネルDに従って、無線通信300を行うことができる。
次に、図10を参照して、MFP1のCPU11により実行されるBT通信処理について説明する。図10は、MFP1のBT通信処理を示すフローチャートである。このBT通信処理は、MFP1とBT機器71との間で無線通信400を行うための処理であり、MFP1とBT機器71との間で無線通信400が開始される場合に実行される処理である。
BT通信処理では、まず、RAM13のBTフラグメモリ13dに記憶されるBTフラグを「オン」に設定する(S51)。そして、RAM13のBTチャンネルメモリ13cにホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2が記憶されているかを判定し(S52)、ホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2が記憶されている場合は(S52:Yes)、S53の処理に移行する。一方、ホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2が記憶されていない場合は(S52:No)、BTチャンネル設定処理(S15)を実行し、MFP1とBT機器71との間の無線通信400に使用するホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2を決定する。
次に、BTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2に従って、BT機器71と無線通信400を行う(S53)。この無線通信400では、例えば、各種のデータを構成するデジタル信号が送受信される。そして、無線通信400により接続されているBT機器71との接続が切断されたかを判定し(S54)、BT機器71と接続されている場合は(S54:No)、S53の処理に戻り、上述したS53〜S54の各処理を繰り返す。一方、BT機器71との接続が切断された場合は(S54:No)、BTフラグメモリ13dに記憶されるBTフラグを「オフ」に設定し(S55)、このBT通信処理を終了する。
この図10のフローチャートに示すBT通信処理により、MFP1とBT機器71との間で、BTチャンネルメモリ13cに記憶されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2に従って、無線通信300を行うことができる。
上述したように、本実施形態では、MFP1と子機61との間の無線通信300には、MFP1とアクセスポイント51との間の無線通信200で使用される無線LANチャンネル番号の周波数帯域幅と重複しないチャンネルで番号構成されるホッピングチャンネルDが使用されるので、無線通信200と、無線通信300との干渉を避けることができる。また、MFP1とBT機器71との間の無線通信400には、無線通信200で使用される無線LANチャンネル番号の周波数帯域幅と重複しないチャンネル番号で構成されるホッピングチャンネルB1、または、ホッピングチャンネルB2が使用されるので、無線通信200と、無線通信400との干渉を避けることができる。
さらに、無線通信300と、無線通信400とが干渉しないように、無線通信400に使用するホッピングチャンネルB1がホッピングチャンネルB2へと修正されるので、無線通信300と、無線通信400との干渉を簡単に避けることができる。よって、無線通信200と、無線通信300と、無線通信400との干渉をそれぞれ簡単に避けることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、ホッピング方式を使用する通信方式として、DCL(デジタルコードレス電話)およびBT(Bluetooth)の通信方式を使用した場合の実施例を記載しているが、本発明は、DCLおよびBTの通信方式を使用する場合に限定するものでなく、ホッピング方式を使用する各種の通信方式を複数使用する場合に適用することができる。
また、上記実施形態では、無線通信300と、無線通信400とが干渉しないように、重複するチャンネル番号が無線通信300で使用される周期毎に、無線通信400に使用されるホッピングチャンネルB1の中の重複するチャンネル番号と、その重複するチャンネル番号を超える各チャンネル番号とをそれぞれ「1」上昇させているが、重複するチャンネル番号と、その重複するチャンネル番号を超える各チャンネル番号とをそれぞれ所定数上昇させても良いし、重複するチャンネル番号と、その重複するチャンネル番号未満の各チャンネル番号とをそれぞれ所定数下降させても良い。そうすることで、無線通信400で使用されるホッピングチャンネルB1が、離散的にチャンネル番号をホッピングするように構成されていれば、その離散性が損なわれることが抑制された修正を行うことができる。
また、重複するチャンネル番号と、その重複するチャンネル番号よりも所定数大きい各チャンネル番号とを、重複するチャンネル番号よりも所定数以上上昇させても良いし、または、重複するチャンネル番号と、その重複するチャンネル番号よりも所定数小さい各チャンネル番号とを、重複するチャンネル番号よりも所定数以上下降させても良い。そうすることで、無線通信300および無線通信400で重複するチャンネル番号が、所定数以上離れるので、より確実に干渉を避けることができる。
また、重複するチャンネル番号とのチャンネル番号の差が所定数以内である各チャンネル番号を、重複するチャンネル番号から所定数以上離しても良い。そうすることで、無線通信300および無線通信400で重複するチャンネル番号が、重複するチャンネル番号から所定数以上離れるので、より確実に干渉を避けることができる。
また、上記実施形態では、無線通信300が一のチャンネル番号を使用する周期毎に、無線通信400は16個のチャンネル番号を順番にホッピングして使用している。すなわち、無線通信300で一のチャンネル番号が使用開始される時には、その一のチャンネル番号に対応して無線通信400で使用される16個の各チャンネル番号の中の最初のチャンネル番号が使用開始されるが、そのタイミングが前に(または、後に)所定時間ずれる場合でも、タイミングがずれる場合に重複する各チャンネル番号について、本発明を適用して重複を避ければ、無線通信300と、無線通信400との干渉を簡単に避けることができる。
また、上記実施形態では、上述したようにMFP1と子機61との間で無線通信300が行われるので、MFP1と子機61との間、または、電話回線網100を介して接続される外部装置と子機61の間で通話が可能となる。また、上述したBT機器71としては、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)などが該当し、例えば、MFP1が画像データや文字データなどを記録媒体に記録するプリンタを備えていれば、MFP1と携帯電話(または、PDA)との間で行われる無線通信400を利用して、携帯電話(または、PDA)が有する画像データや文字データなどをMFP1へ送信させ、MFP1のプリンタによりその画像データや文字データを記録させても良い。