JP4661462B2 - ポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤および樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤および該硬化剤を含む樹脂組成物に関する。
ポリウレタン樹脂は、イソシアネートと活性水素を有する化合物(硬化剤)との反応によって得られるもので、同じイソシアネートを用いても硬化剤の種類によって種々異なるものが得られる。
例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物とポリメルカプト化合物とを反応させて得られるポリチオウレタン樹脂は、屈折率が高くアッベ数も大きいので、プラスチック製レンズ、特に眼鏡レンズとして、広く利用されるようになってきている。
しかしながら、このポリチオウレタン樹脂からなるプラスチックレンズは、耐湿性が充分でないため、長期間の使用で、吸水によりレンズの白濁や変形が生じたり、ガラス転移温度が低下して耐熱性が低下したりする。この長期間の使用による耐熱性の低下は、眼鏡レンズにとって次のような欠点をもたらす。すなわち、眼鏡レンズにおいては、有機硬化膜上に真空蒸着により反射防止膜を施すことが多いが、前記ポリチオウレタン樹脂からなるプラスチックレンズでは、長期間の使用でポリチオウレタン樹脂の耐熱性が低下し、レンズが加熱された時に反射防止膜にクラックが生じ易くなるという欠点がある。
一方、エポキシ樹脂硬化剤として、従来から、酸無水物やアミン類等が広く用いられてきたが、アミン系硬化剤では実質的に硬化が困難な0℃以下の低温環境下でも硬化可能で、高速硬化性を有するメルカプト系エポキシ樹脂硬化剤が徐々に実用化されてきている。
例えば、1分子中に2個以上のメルカプト基を含む化合物からなる硬化剤は、メルカプト基が、エポキシ基、イソシアネート基等と容易に反応して三次元架橋構造を形成し、樹脂化することから、従来より、土木・建築分野では、コンクリート構造物の鋼板接着などの接着材、耐震補強用FRPまたはコンクリートと耐震補強用鋼板とのバインダーとして用いられる結合材、コンクリート補修材やコンクリート用止水材や防食コーティング材として用いられるコーティング材もしくはシーリング材等の用途、電気・電子分野では、プリント基板における積層板、レジスト材、接着材、半導体封止材、電気絶縁材等の用途、光学分野では、高透明・高屈折率を必要とする接着材、コーティング材、半導体封止材等の用途が知られている。
従来より、低温硬化性、高速硬化性の特性を有するメルカプト系エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、(a)トリメチロールプロパン等の多価アルコールのポリメルカプトカルボン酸エステル(特許文献1参照)、(b)トリメチロールプロパンのオキシアルキレンエーテルのジ又はトリグリシジルエーテルから誘導されるポリメルカプタン(特許文献2参照)、(c)ジアミンテトラグリシジル化物から誘導される4官能ポリメルカプタン(特許文献3、特許文献4参照)が知られている。
しかしながら、(a)は、分子中のエステル基により硬化物の耐薬品性、特に耐アルカリ性が劣るという問題点があり、(b)および(c)は、得られる樹脂硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性等の物性が不十分であるという問題点があるため、物性の点からメルカプト系硬化剤の使用は未だ制限があるという状況である。また、これらのメルカプト系硬化剤は不快な臭気を有するため、使用し難いものである。
特開昭61−162517号公報 特公昭47−48279号公報 米国特許第4879414号明細書 米国特許第4927902号明細書
本発明の課題は、低臭気、且つ、優れた低温硬化性、高速硬化性および作業性を保ちつつ、硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性等の特性に優れたポリメルカプタン系のポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤、並びに、この硬化剤を用いた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、優れた低温硬化性、高速硬化性と作業性を保ちつつ、硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性を改善する低臭気ポリメルカプタン系硬化剤を得るべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記に示すとおりのポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤および樹脂組成物を提供するものである。
項1. 多価アミン化合物とメルカプトカルボン酸化合物とを反応させて得られるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物からなるポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤。
項2. ポリメルカプトカルボン酸アミド化合物が、一般式(1);
1−(NHCOR2SH) (1)
(式中、R1は、炭素数2〜18の直鎖状、分岐状もしくは環状のn価の炭化水素基、またはn価の複素環基を示し、R2は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。nは、2〜8の整数である。)で表される化合物である項1に記載の硬化剤。
項3. R2が、炭素数1または2のアルキレン基を示す項2に記載の硬化剤。
項4. nが、2〜4の整数である項2または3に記載の硬化剤。
項5. エポキシ樹脂および項1〜4のいずれかに記載の硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
項6. イソシアネート基含有化合物および項1〜4のいずれかに記載の硬化剤を含有してなるポリウレタン樹脂組成物。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤は、多価アミン化合物とメルカプトカルボン酸化合物とを反応させて得られる、上記一般式(1)で表されるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物からなる。
多価アミン化合物の価数(n)は、2〜8であり、2〜4であるのが好ましい。多価アミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐状脂肪族アルキレンジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン、メンセンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;ベンゼントリアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン等のトリアミン;2,4,5,6−テトラアミノピリミジン等のテトラアミンを挙げることができる。
メルカプトカルボン酸化合物の炭化水素基(上記一般式(1)におけるR2に対応)は、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1または2の2価の炭化水素基である。メルカプトカルボン酸化合物の具体例としては、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、o−メルカプト安息香酸等を挙げることができる。
上記ポリメルカプトカルボン酸アミド化合物を製造する方法としては、例えば、一般的なアミド合成法である既知の直接加熱脱水法を用いることができる。
この方法において、原料仕込み比率としては、多価アミン化合物(価数n)1モルに対して、メルカプトカルボン酸化合物n〜5nモルであるのが好ましい。反応温度は、100〜200℃であるのが好ましい。反応時間は、5〜20時間であるのが好ましい。
また、この反応は脱水反応であり、反応の際に水が生成してくるので、脱水剤としてモレキュラーシーブを加えて加熱脱水するか、生成する水を溶媒との共沸によって除去する。共沸する溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
反応終了後、常法により、中和、酸性化、ろ過等を行い、上記ポリメルカプトカルボン酸アミド化合物を単離することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂および上記硬化剤を含有する。本発明のエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂および硬化剤の配合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシの1モル当量に対し、硬化剤中のチオールのモル当量が0.5〜2モル当量が好ましく、0.8〜1.2モル当量がより好ましい。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、イソシアネート基含有化合物および上記硬化剤を含有する。本発明のポリウレタン樹脂組成物におけるイソシアネート基含有化合物および硬化剤の配合割合は、イソシアネート基含有化合物中のイソシアネートの1モル当量に対し、硬化剤中のチオールのモル当量が0.5〜2モル当量が好ましく、0.8〜1.2モル当量がより好ましい。イソシアネート基含有化合物は、イソシアネート基を重合性反応基として含むプレポリマーであってもよい。また、他の重合単位が含まれていてもよい。
上記一般式(1)で表されるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物を硬化剤として用いると、ポリウレタン樹脂硬化物およびエポキシ樹脂硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性等の物性が良好である。この理由は、次のように推定される。
従来より知られているエステル基やエーテル基を含むメルカプト系硬化剤に比べて、アミド基を含む上記一般式(1)で表されるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物は、アミド基が安定なため、化合物自体が耐薬品性、耐水性等に優れている。従って、ポリメルカプトカルボン酸アミド化合物を硬化剤として用いると、その化合物自体の特性により、ポリウレタン樹脂硬化物およびエポキシ樹脂硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性等の物性も良好となる。また、ポリメルカプトカルボン酸アミド化合物は、不快な臭気が少なく、使用し易いものである。
なお、多価アルコールであるポリグリセリン等のグリシジルエーテルから誘導される5個以上のメルカプト基を有するポリメルカプタン硬化剤を用いて、3次元ネットワーク構造の硬化樹脂中における架橋点を多くし、緻密な架橋構造を形成させ、エポキシ樹脂硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性等の物性を向上させる方法が知られている(特開平11−209459号公報)。しかしながら、上記一般式(1)で表されるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物は、化合物自体が耐薬品性、耐水性等に優れているため、メルカプト基を5個以上にして硬化物の架橋密度を向上させなくても、メルカプト基が2個以上存在すれば、得られる樹脂硬化物の機械的強度、耐薬品性、耐水性等の物性は良好となる。
本発明のポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤は、低臭気、且つ、優れた低温硬化性、高速硬化性および作業性を有し、耐薬品性、耐水性等に優れている。また、該硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物およびポリウレタン樹脂組成物の硬化物は、機械的強度、耐薬品性、耐水性等の特性に優れている。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
(上記一般式(1)において、RおよびRがエチレン基で、nが2であるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物;メルカプタン化合物I)
Figure 0004661462
3−メルカプトプロピオン酸700.00g(6.60モル)、エチレンジアミン99.17g(1.65モル)およびトルエン340.00gを、撹拌機、窒素吹き込み管、上部に還流冷却器を付けた水分離器および温度計を取り付けた3L四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、内温を107〜112℃まで上昇させ、留出する水を捕集した。加熱開始から5時間で加熱を停止し、室温まで冷却し、上層のトルエン層をデカントにより取り除いた。水260gを加えた後に、11%炭酸ナトリウム水溶液によりpH8に調整した。三日昼夜室温にて撹拌した後に、ろ過により白色固体を得た。次いで、得られた白色固体および水1300gを2L四つ口フラスコに仕込んだ後に、20%HClによりpH3に調整し、ろ過、真空乾燥して、標題化合物45.2gを白色固体として得た(収率11.6%)。
元素分析
計算値:C40.65%,H6.82%,N11.85%,S27.13%
実測値:C40.54%,H6.80%,N11.93%,S26.91%
SH含有量(ヨード法)
計算値:27.99%
実測値:27.5%。
製造例2
(上記一般式(1)において、Rがメタキシリデン基で、Rがエチレン基で、nが2であるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物;メルカプタン化合物II)
Figure 0004661462
3−メルカプトプロピオン酸700.00g(6.60モル)、メタキシリデンジアミン224.71g(1.65モル)およびトルエン340.00gを、撹拌機、窒素吹き込み管、上部に還流冷却器を付けた水分離器および温度計を取り付けた3L四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、内温を110〜112℃まで上昇させ、留出する水を捕集した。加熱開始から8時間で加熱を停止し、室温まで冷却し、上層のトルエン層をデカントにより取り除いた。水260gを加えた後に、11%炭酸ナトリウム水溶液によりpH8に調整した。三日昼夜室温にて撹拌した後に、ろ過により白色固体を得た。次いで、得られた白色固体および水1300gを2L四つ口フラスコに仕込んだ後に、20%HClによりpH3に調整し、ろ過、真空乾燥して、標題化合物102.1gを白色固体として得た(収率19.8%)。
元素分析
計算値:C53.82%,H6.45%,N8.97%,S20.53%
実測値:C53.88%,H6.71%,N8.82%,S20.34%
SH含有量(ヨード法)
計算値:21.17%
実測値:20.6%。
製造例3
(上記一般式(1)において、RがC基で、Rがエチレン基で、nが3であるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物;メルカプタン化合物III)
Figure 0004661462
3−メルカプトプロピオン酸700.00g(6.60モル)、ベンゼン−1,2,4−トリアミン135.5g(1.10モル)およびトルエン340.00gを、撹拌機、窒素吹き込み管、上部に還流冷却器を付けた水分離器および温度計を取り付けた3L四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、内温を95〜112℃まで上昇させ、留出する水を捕集した。加熱開始から8時間で加熱を停止し、室温まで冷却し、上層のトルエン層をデカントにより取り除いた。水260gを加えた後に、11%炭酸ナトリウム水溶液によりpH8に調整した。三日昼夜室温にて撹拌した後に、ろ過により白色固体を得た。次いで、得られた白色固体および水1300gを2L四つ口フラスコに仕込んだ後に、20%HClによりpH3に調整し、ろ過、真空乾燥して、標題化合物19.8gを白色固体として得た(収率4.6%)。
元素分析
計算値:C46.49%,H5.46%,N10.84%,S24.82%
実測値:C46.89%,H5.95%,N10.57%,S24.49%
SH含有量(ヨード法)
計算値:25.59%
実測値:24.93%。
製造例4
(上記一般式(1)において、Rがトリアジン基で、Rがエチレン基で、nが3であるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物;メルカプタン化合物IV)
Figure 0004661462
3−メルカプトプロピオン酸700.00g(6.60モル)、メラミン138.7g(1.10モル)およびトルエン340.00gを、撹拌機、窒素吹き込み管、上部に還流冷却器を付けた水分離器および温度計を取り付けた3L四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下、内温を95〜112℃まで上昇させ、留出する水を捕集した。加熱開始から8時間で加熱を停止し、室温まで冷却し、上層のトルエン層をデカントにより取り除いた。水260gを加えた後に、11%炭酸ナトリウム水溶液によりpH8に調整した。三日昼夜室温にて撹拌した後に、ろ過により白色固体を得た。次いで、得られた白色固体および水1300gを2L四つ口フラスコに仕込んだ後に、20%HClによりpH3に調整し、ろ過、真空乾燥して、標題化合物22.8gを白色固体として得た(収率5.3%)。
元素分析
計算値:C36.91%,H4.65%,N21.52%,S24.63%
実測値:C36.89%,H6.05%,N21.97%,S23.99%
SH含有量(ヨード法)
計算値:25.40%
実測値:24.62%。
実施例1〜4および比較例1
実施例1〜4として、製造例1〜4で得られたポリメルカプトカルボン酸アミド化合物(メルカプタン化合物I〜IV)について、化合物自体の耐加水分解性を下記評価方法により評価した。また、比較例1として、トリメチロールプロパントリスチオグリコール酸エステル(メルカプタン化合物V)について、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[耐加水分解性]
メルカプタン化合物I〜Vの各々10gに、0.1NのKOHエタノール溶液95質量部+イオン交換水5質量部の混合液300gを加え、室温にて7日間撹拌し、その酸価の増加を測定した。酸価の増加量より、次式で加水分解率を求めた。
加水分解率(%)=[(7日後の酸価−評価前の酸価)/メルカプタン化合物の100%加水分解時の酸価]×100
Figure 0004661462
表1の説明:
メルカプタン化合物V(トリメチロールプロパントリスチオグリコール酸エステル)
Figure 0004661462
実施例5〜9および比較例2〜4
実施例5〜9として、製造例1〜4で得られたポリメルカプトカルボン酸アミド化合物(メルカプタン化合物I〜IV)の各々を、ビスフェノールAエポキシ樹脂(BisAE、大日本インキ化学工業株式会社製「エピクロン850」)および硬化促進剤(イソホロンジアミン、和光純薬工業株式会社製)(実施例5〜8)、または、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、和光純薬工業株式会社製)および硬化促進剤(ブチルアシッドホスフェイト、堺化学工業株式会社製)(実施例9)と、表2に示す組成(質量部)で混合し、混合物から得られる硬化物の機械的強度、耐水性、耐薬品性を下記評価方法により評価した。
比較例2は、メルカプタン化合物としてトリメチロールプロパントリスチオグリコール酸エステル(メルカプタン化合物V)を用い、エポキシ樹脂としてビスフェノールAエポキシ樹脂(BisAE)を用いて同様の評価を行った。
比較例3は、メルカプタン化合物としてトリメチロールプロパンのオキシアルキレンエーテルのジグリシジルエーテルから誘導されるポリメルカプタン(メルカプタン化合物VI)を用い、エポキシ樹脂としてビスフェノールAエポキシ樹脂(BisAE)を用いて同様の評価を行った。
比較例4は、メルカプタン化合物としてトリメチロールプロパントリスチオグリコール酸エステル(メルカプタン化合物V)を用い、イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を用いて同様の評価を行った。
これらの評価結果を表2に示す。
[機械的強度]
JIS K−7113に準拠し、上記混合物を80℃で4時間硬化させた後の引張強度を室温にて測定した。
[耐水性]
JIS K−7113に準拠し、上記混合物を80℃で4時間硬化させた後、恒温恒湿槽で85℃、85%RHで7日間養生させた後の引張強度を室温にて測定した。
[耐薬品性]
上記混合物を直径10mm、厚み2mmの円盤状に注型し、80℃で4時間硬化させて得られた硬化物を、表2に記載の各試験水溶液に各々室温で7日間浸漬し、その質量変化を測定した。質量変化(%)は、特に示さない限り質量増を表す。
Figure 0004661462
表2の説明:
メルカプタン化合物VI(トリメチロールプロパンのオキシアルキレンエーテルのジグリシジルエーテルから誘導されるポリメルカプタン)
Figure 0004661462
エポキシ樹脂BisAE(ビスフェノールAエポキシ樹脂)
Figure 0004661462
イソシアネートHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)
Figure 0004661462

Claims (6)

  1. 多価アミン化合物とメルカプトカルボン酸化合物とを反応させて得られるポリメルカプトカルボン酸アミド化合物からなるポリウレタンまたはエポキシ樹脂硬化剤。
  2. ポリメルカプトカルボン酸アミド化合物が、一般式(1);
    1−(NHCOR2SH) (1)
    (式中、R1は、炭素数2〜18の直鎖状、分岐状もしくは環状のn価の炭化水素基、またはn価の複素環基を示し、R2は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。nは、2〜8の整数である。)で表される化合物である請求項1に記載の硬化剤。
  3. 2が、炭素数1または2のアルキレン基を示す請求項2に記載の硬化剤。
  4. nが、2〜4の整数である請求項2または3に記載の硬化剤。
  5. エポキシ樹脂および請求項1〜4のいずれかに記載の硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
  6. イソシアネート基含有化合物および請求項1〜4のいずれかに記載の硬化剤を含有してなるポリウレタン樹脂組成物。
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