JP4661333B2 - 結像光学系の評価方法および位置検出装置 - Google Patents

結像光学系の評価方法および位置検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、物体の像を形成する結像光学系の評価方法および位置検出装置に関する。
結像光学系の評価を簡易的に行う方法として、結像光学系の物体面にライン・アンド・スペース状のマークを配置して画像を取り込み、このマーク画像における信号強度の非対称性のフォーカス特性を分析する方法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。この方法では、結像光学系の視野内での偏心コマ収差に関わる分布情報を得ることができる。
特開2002−25879号公報
しかし、上記の方法では、結像光学系の光軸に平行な方向の結像位置ずれ(像面湾曲など)に関わる分布情報を得ることができない。近年、結像光学系を備えた装置(位置検出装置など)の性能を向上させるために、上記の偏心コマ収差に関わる分布情報とは別に、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報を得ることが望まれるようになってきた。
本発明の目的は、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報を簡易的に得ることができる結像光学系の評価方法および位置検出装置を提供することにある。
本発明の結像光学系の評価方法は、凸状または凹状のパターンの内マークと、前記内マークと同一面上に前記内マークに対して対称かつ異なる間隔で形成された複数の凸状または凹状の外マークとを有する基板を結像光学系の物体面に配置し、前記基板を前記マークの中心の周りに前記結像光学系の光軸に垂直な面内で反転させる前後で、該内マークと該外マークの各段差位置との位置ずれ量を計測して、前記反転前後の位置ずれ量の平均値を算出する第1工程と、前記外マークのうち前記内マークに向かって立ち上がる各段差で計測された位置ずれ量の前記平均値の前記基板面での分布状態と、前記外マークのうち前記内マークに向かって立ち下がる各段差で計測された位置ずれ量の前記平均値の前記基板面での分布状態と、に基づいて、前記結像光学系の収差情報を生成する第2工程とを備えたのである。
さらに、前記物体面にライン・アンド・スペース状に配置された複数のマークの画像を取り込み、該画像における信号強度の非対称性のフォーカス特性を計測し、該フォーカス特性の1次成分を算出する第3工程を備え、前記第2工程では、前記結像光学系の物体高ごとに前記第3工程で算出される1次成分を加味して、前記収差情報を生成することが好ましい。
また、前記物体面にライン・アンド・スペース状に配置された複数のマークの画像を取り込み、該画像における信号強度の非対称性のフォーカス特性を計測し、該フォーカス特性の1次成分を算出する第3工程と、前記物体面に同心状に配置された内側のバーマークと外側のバーマークとを前記光軸に垂直な面内で反転させ、反転前後の各々の状態で該内側のバーマークと該外側のバーマークとの位置ずれ量を計測し、反転前後の位置ずれ量の平均値を算出する第4工程とを備え、前記第2工程では、さらに、前記結像光学系の物体高ごとに前記第3工程で算出される1次成分、および大きさが異なる複数の前記外側のバーマークそれぞれに関して前記第4工程で算出される平均値に基づいて、前記収差情報を生成することが好ましい。
さらに、前記位置ずれ量の平均値を算出する基板は、前記外マークの凹凸が違い反転した形状を有する2枚の基板であることが好ましい。
また、前記2枚の基板は、前記内マークの凹凸が互いに反転した形状を有することが好ましい
発明の位置検出装置は、基板を支持するステージと、前記基板上の被検マークの像を形成する結像光学系と、前記被検マークの像に基づいて、前記被検マークの位置検出を行う処理手段とを備え、本発明の結像光学系の評価方法による評価結果に基づいて、前記結像光学系の収差分布が実質的に対称となる軸を前記結像光学系の真の軸と設定し、前記ステージは、前記真の軸と前記被検マークの中心位置とが重なるように前記基板を位置決めするものである。
本発明によれば、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報を簡易的に得ることができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
ここでは、図1の重ね合わせ測定装置10を例に説明する。
重ね合わせ測定装置10は、半導体素子や液晶表示素子などの製造工程において、基板11のレジストパターンの重ね合わせ検査を行う装置である。基板11は、半導体ウエハや液晶基板などであり、レジスト層に対する露光・現像後で、所定の材料膜に対する加工前の状態にある。基板11には重ね合わせ検査のために多数の測定点が用意され、各測定点にはレジストパターンの基準位置を示すレジストマークと下地パターンの基準位置を示す下地マークとが形成されている。重ね合わせ検査では、各マークの位置検出や、下地マークに対するレジストマークの位置ずれ量の測定が行われる。以下の説明では、レジストマークと下地マークとを総じて「重ね合わせマーク11A」という。
重ね合わせ測定装置10には、図1(a)に示す通り、基板11を支持するステージ12と、照明光学系(13〜19)と、結像光学系(19〜24)と、CCD撮像素子25と、画像処理部26と、焦点検出部(41〜48)と、ステージ制御部27とが設けられる。また、ステージ12の上面には、結像光学系(19〜24)の評価に用いられる基板28が取り付けられ、基板28上に評価用マーク31〜35(図2〜図5,図9)が形成されている。
ステージ12は、図示省略したが、基板11を水平状態に保って支持するホルダと、このホルダを水平方向(XY方向)に駆動するXY駆動部と、ホルダを鉛直方向(Z方向)に駆動するZ駆動部とで構成されている。XY駆動部とZ駆動部は、ステージ制御部27に接続される。
ステージ制御部27は、ステージ12のXY駆動部を制御し、基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28上の評価用マーク31〜35)を視野領域内に位置決めする。また、焦点検出部(41〜48)から出力されるフォーカス信号に基づいて、ステージ12のZ駆動部を制御する。このフォーカス調整により、重ね合わせマーク11A(または評価用マーク31〜35)をCCD撮像素子25の撮像面に対して合焦させることができる。このとき、重ね合わせマーク11A(または評価用マーク31〜35)は、結像光学系(19〜24)の物体面に配置される。
照明光学系(13〜19)は、光源部13と、光軸O1に沿って順に配置された照明開口絞り14とコンデンサーレンズ15と視野絞り16と照明リレーレンズ17とビームスプリッタ18と、光軸O2上に配置された第1対物レンズ19とで構成されている。ビームスプリッタ18は、反射透過面が光軸O1に対して略45°傾けられ、光軸O2上にも配置されている。照明光学系(13〜19)の光軸O1は、結像光学系(19〜24)の光軸O2に垂直である。
また、光源部13は、光源3Aとコレクタレンズ3Bと光学リレーレンズ3Cと波長切替機構3Dとライトガイドファイバ3Eとで構成される。光源3Aは、波長帯域の広い光(例えば白色光)を射出する。波長切替機構3Dには、透過特性の異なる複数の光学フィルタが設けられる。
上記の光源部13において、光源3Aから射出された広帯域波長の光は、コレクタレンズ3Bを介して波長切替機構3Dの光学フィルタ、光学リレーレンズ3C、ライトガイドファイバ3Eとを介して、照明開口絞り14に導かれる。
照明開口絞り14は、その中心が光軸O1上に位置し、光源部13から射出された光の径を特定の径に制限する。コンデンサーレンズ15は、照明開口絞り14からの光を集光する。視野絞り16は、重ね合わせ測定装置10の視野領域を制限する光学素子であり、図1(b)に示すように、矩形状の開口である1つのスリット16aを有する。照明リレーレンズ17は、視野絞り16のスリット16aからの光をコリメートする。ビームスプリッタ18は、照明リレーレンズ17からの光を下向きに反射する。
第1対物レンズ19は、ビームスプリッタ18からの照明光L1を入射して集光する。これにより、ステージ12上の基板11(または基板28)は、第1対物レンズ19を透過した所定の波長帯域の照明光L1によって垂直に照明される(落射照明)。
そして、上記した所定の波長帯域の照明光L1が照射された基板11(または基板28)の照明領域から、回折光L2が発生する。回折光L2には、0次回折光(つまり反射光)や、±1次回折光などが含まれる。基板11(または基板28)からの回折光L2は、後述の結像光学系(19〜24)に導かれる。
結像光学系(19〜24)は、光軸O2に沿って順に配置された第1対物レンズ19と第2対物レンズ20と第1結像リレーレンズ21と平行平面板22と結像開口絞り23と第2結像リレーレンズ24とで構成されている。結像光学系(19〜24)の光軸O2は、Z方向に平行である。なお、第1対物レンズ19と第2対物レンズ20との間には、照明光学系(13〜19)のビームスプリッタ18が配置され、第2対物レンズ20と第1結像リレーレンズ21との間には、焦点検出部(41〜48)のビームスプリッタ41が配置されている。ビームスプリッタ18,41は、光の振幅分離を行うハーフプリズムである。
そして、第1対物レンズ19は、基板11(または基板28)からの回折光L2をコリメートする。第1対物レンズ19でコリメートされた回折光L2は、上記のビームスプリッタ18を透過して第2対物レンズ20に入射する。第2対物レンズ20は、ビームスプリッタ18からの回折光L2を1次結像面10a上に集光する。
1次結像面10aの後段に配置された焦点検出部(41〜48)のビームスプリッタ41は、焦点検出部(41〜48)の光軸O3と結像光学系(18〜24)の光軸O2に対して、反射透過面が略45°傾けられている。そして、ビームスプリッタ41は、第2対物レンズ20からの回折光L2の一部(L3)を透過すると共に、残りの一部(L4)を反射する。ビームスプリッタ41を透過した一部の光L3は、結像光学系(18〜24)の第1結像リレーレンズ21に導かれる。第1結像リレーレンズ21は、ビームスプリッタ41からの光L3をコリメートする。
平行平面板22は、第1結像リレーレンズ21からの光を透過する。結像開口絞り23は、第1対物レンズ19の仮想瞳面19Aと共役な面に配置され、平行平面板22からの光の径を特定の径に制限する。第2結像リレーレンズ24は、結像開口絞り23からの光をCCD撮像素子25の撮像面(2次結像面)上に再結像する。
上記の結像光学系(18〜24)では、視野領域内に基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28上の評価用マーク31〜35)が位置決めされているとき、そのマークの像をCCD撮像素子25の撮像面に形成する。なお、平行平面板22を光軸O2に垂直な軸中心でチルト調整することで、結像光学系(18〜24)の調整を行える。
CCD撮像素子25は、その撮像面が結像光学系(18〜24)の像面と一致するように配置される。CCD撮像素子25は、複数の画素が2次元配列されたエリアセンサであり、基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28上の評価用マーク31〜35)の像を撮像して、画像信号を画像処理部26に出力する。画像信号は、CCD撮像素子25の撮像面における各画素ごとの輝度値に関する分布(輝度分布)を表している。
画像処理部26は、CCD撮像素子25からの画像信号に基づいて、基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28上の評価用マーク31〜35)の画像を取り込み、その画像に対して所定の画像処理を施す。ちなみに、重ね合わせマーク11Aの画像に対しては、重ね合わせ検査用の画像処理を施す。評価用マーク31〜35の画像に対しては、結像光学系(18〜24)の評価を行うために必要な画像処理を施す。なお、画像処理部26を介して、不図示のテレビモニタよる目視観察も可能である。
次に、焦点検出部(41〜48)の説明を行う。焦点検出部(41〜48)は、ステージ12上の基板11(または基板28)がCCD撮像素子25の撮像面に対して合焦状態にあるか否かを検出するものである。
焦点検出部(41〜48)は、光軸O3に沿って順に配置されたビームスプリッタ41とAF第1リレーレンズ42と平行平面板43と瞳分割ミラー44とAF第2リレーレンズ45とシリンドリカルレンズ46とからなる光学系と、AFセンサ47と、信号処理部48とで構成されている。AFセンサ47はラインセンサであり、その撮像面47aには複数の画素が1次元配列されている。
このような瞳分割方式のAF動作の詳細は、例えば特開2002-40322号公報に記載されているので説明を省く。
上記のように構成された重ね合わせ測定装置10では、重ね合わせ検査の際、基板11上の重ね合わせマーク11Aが視野領域内に位置決めされ、結像光学系(18〜24)を介してCCD撮像素子25の撮像面に重ね合わせマーク11Aの像が形成される。そして、このマーク像に関わる画像信号が画像処理部26に取り込まれ、重ね合わせ検査用の画像処理が施される。
つまり、画像処理部26では、重ね合わせマーク11Aを構成するレジストマークおよび下地マークの各々の位置検出を行い、下地マークに対するレジストマークの位置ずれ量を算出する。この位置ずれ量は、各マークの中心位置の相対的なずれ量であり、基板11上の下地パターンに対するレジストパターンの重ね合わせずれ量を表す。この重ね合わせずれ量は「重ね合わせ測定値」とも呼ばれる。
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、露光時の重ね合わせ精度を向上させる(下地パターンに対するレジストパターンの重ね合わせずれ量を小さくする)ことが望まれるようになってきた。したがって、重ね合わせ測定装置10の測定精度に対する要求仕様もさらに厳しくなっている。
ここで、結像光学系(18〜24)の収差量が像高ごとに異なる場合、重ね合わせマーク11Aの各エッジ像ごとにシフト量が異なってしまい、系統的な測定誤差(TIS:Tool Induced Shift)を生じる。そして、このような結像光学系(18〜24)を介して重ね合わせ検査を行う場合、測定領域内での重ね合わせマーク11Aの位置(測定位置)ごとに重ね合わせ測定値が変化し、再現性を悪化させてしまう。
このため、適宜のタイミングで(例えば製造時に)、結像光学系(18〜24)の性能を評価し、重ね合わせ測定装置10の測定精度を安定化させることが必要である。さらに、結像光学系(18〜24)を評価する際には、その評価を簡易的に行うことが望まれる。また、重ね合わせ測定装置10の性能を向上させるために、結像光学系(18〜24)の偏心コマ収差に関わる分布情報とは別に、光軸方向の結像位置ずれ(像面湾曲など)に関わる分布情報を得ることも望まれる。本実施形態では、一般的に低次成分と呼ばれる収差成分(結像光学系(18〜24)の波面収差を Zernike 多項式で表したときの係数Z2〜Z9)に限って説明を行う。
次に、結像光学系(18〜24)の評価方法について説明する。結像光学系(18〜24)を評価する際には、基板28上の評価用マーク31〜35(図2〜図5,図9)が視野領域内に順に位置決めされ、結像光学系(18〜24)を介してCCD撮像素子25の撮像面に評価用マーク31〜35の像が形成される。そして、各マーク像に関わる画像信号が画像処理部26に取り込まれ、評価用の画像処理が施される。
評価用マーク31〜35(図2〜図5,図9)は、シリコンウエハなどをエッチング処理することにより作成される。各マークの段差h(図2(a)参照)は、例えば83nmである。以下、評価用マーク31〜35(図2〜図5,図9)の各構成について説明すると共に、結像光学系(18〜24)の評価方法について説明する。
評価用マーク31の場合を説明する。
評価用マーク31は、図2(a),(b)に示す通り、Box in Box タイプの多重マークであり、凸状の内マーク1Aと凹状の外マーク1B,1C,1Dとが同心状に配置される。図2(a)は平面図、図2(b)は断面図である。図2では、分かりやすくするため、各マークののうち測定対象となるエッジを太線で示した。内マーク1Aのエッジはマークの中心から周辺に向けて立ち下がる形状を成す。一方、外マーク1B,1C,1Dのエッジのうち周辺に向けて立ち上がるものを測定対象とする。また、各マークの大きさは、例えば、内マーク1Aは5μm角、外マーク1B,1C,1Dは15μm,25μm,35μm角となっている。
この評価用マーク31を視野領域内に位置決めする際、結像光学系(18〜24)の光軸上(視野中心)には内マーク1Aが配置され、その周囲に外マーク1B,1C,1Dが段階的に配置される。そして、結像光学系(18〜24)を介して形成されたマーク像に基づき、評価用マーク31の画像を画像処理部26に取り込む。さらに、評価用マーク31を結像光学系(18〜24)の光軸に垂直な面内で反転させ(つまり180度回転させ)、同様の画像を画像処理部26に取り込む。
結像光学系(18〜24)に系統的な測定誤差(TIS)が存在しなければ、各画像における信号強度のプロファイルは一致する。しかし、結像光学系(18〜24)を構成する光学部品の非球面誤差や、非球面を有する光学部品の偏心誤差などに起因してTISが生じている場合には、その大きさに応じて各画像における信号強度のプロファイルは不一致となる。
画像処理部26は、反転前の画像における信号強度のプロファイルを用いて、マークを反転させる前後で内マーク1Aと、外マーク1B,1C,1Dとの位置ずれ量を各々算出する。そして、外マーク1B,1C,1Dに関わる反転前後の位置ずれ量の平均値を、系統的な測定誤差(TIS31(15),TIS31(25),TIS31(35))として算出する。
外マーク1B,1C,1Dの各エッジごとに算出されたTIS31(i)は、結像光学系(18〜24)の収差成分のうち、評価用マーク31に影響を及ぼす収差成分の物体高変化に関する情報を表している。“i”は、結像光学系(18〜24)の光軸と各エッジとの距離、すなわち物体高である。外マーク1B,1C,1Dの大きさの半分が「物体高」に相当する。なお、本実施例の全ての評価用マークでは、測定対象となるエッジの間隔を2.5μm以上とし、画像の信号強度のプロファイルにおいて不要な干渉が起きないようにしている。
評価用マーク32の場合を説明する。
評価用マーク32は、図3(a),(b)に示す通り、評価用マーク32と同様に、Box in Box タイプの多重マークであり、凸状の内マーク2Aと凹状の外マーク2B,2C,2D,2Eとが同心状に配置される。評価用マーク32においても、測定対象となるエッジはマークの中心から周辺に向けて立ち下がるエッジ部である。評価用マーク32においては、内マーク1A以外のマークの凹凸が、評価用マーク31とは逆になるように形成されているので、周辺に向けて立ち上がる各エッジの位置は、評価用マーク31の測定対象の各エッジの位置とずれる。したがって、評価用マーク31,32を併用することによって、物体高に関してより細かいピッチで収差情報を得ることができる。
上記の評価用マーク31(図2),評価用マーク32(図3)では、内マーク1A,2Aが共に凸状であって立ち下がりエッジを有し、外マーク1B〜1D,2B〜2Eが共に凹状であって立ち上がりエッジを測定対象とする。このため、これら評価用マーク31,32に影響を及ぼす収差成分は共通である。したがって、TIS31(i)とTIS32(i)は、共通の収差成分の物体高変化に関する情報を表す。
次に、評価用マーク33,34の場合を説明する。
評価用マーク33は、図4(a),(b)に示す通り、Box in Box タイプの多重マークであり、凹状の内マーク3Aと凸状の外マーク3B,3C,3Dとが同心状に配置される。評価用マーク33は評価用マーク31の凹凸を逆転させた形状である。したがって、上記の評価用マーク31,32とは異なり、内マーク3Aのエッジは中心から周辺に向けて立ち上がる形状を成す。外マーク3B,3C,3Dでは、各エッジのうち周辺に向けて立ち上がるエッジを測定対象とする。
また、評価用マーク34は、図5(a),(b)に示す通り、Box in Box タイプの多重マークであり、凹状の内マーク4Aと凸状の外マーク4B,4C,4D,4Eとが同心状に配置される。評価用マーク34は評価用マーク32の凹凸を逆転させた形状である。したがって、図4の評価用マーク33と同様、評価用マーク34でも、内マーク4Aのエッジは中心から周辺に向けて立ち上がる形状を成す。外マーク4B,4C,4D,4Eでは、各エッジのうち立ち下がる形状を測定対象とする。
評価用マーク33,34においても、評価用マーク31,32と同様に、評価用マーク33,34とで周辺に向けて立ち下がる各エッジの位置は互いにずれている。したがって、評価用マーク33,34を併用することによって物体高に関してより細かいピッチで収差情報を得ることができる。
外マーク4B,4C,4D,4Eの測定対象エッジごとに算出されたTIS34(i)は、結像光学系(18〜24)の収差成分のうち、評価用マーク34に影響を及ぼす収差成分の物体高変化に関する情報を表している。
上記の評価用マーク33(図4),評価用マーク34(図5)は、内マーク3A,4Aが共に凹状であって立ち上がりエッジを有し、外マーク3B〜3D,4B〜4Eが共に凸状であって立ち下がりエッジを測定対象とする。このため、これら評価用マーク33,34に影響を及ぼす収差成分は共通である。したがって、TIS33(i)とTIS34(i)は、共通の収差成分の物体高変化に関する情報を表す。
このように、画像処理部26では、評価用マーク31,32を用いて、評価用マーク31,32に影響を及ぼす結像光学系(18〜24)の収差成分の物体高変化に関する情報 TISA(i) を生成すると共に、評価用マーク33,34を用いて、評価用マーク33,34に影響を及ぼす結像光学系(18〜24)の収差成分の物体高変化に関する情報 TISB(i) を生成する。
ここで、TISA(i)とTISB(i)に基づいて生成される収差情報の説明を行う前に、TISA(i)とTISB(i)に含まれる収差成分の種類について説明する。
図6,図7を用いて、光軸方向の結像位置ずれとTISとの関係を説明する。図6(a),(b),図7(a)は何れもマークのエッジ部分を拡大したものであり、図6(a)は光軸方向の結像位置ずれがゼロの場合、図6(b),図7(a)は不図示の対物レンズとの距離が大きくなる方向へ結像位置ずれが発生した場合を示す。図中の光線L1〜L5は、マークの上面,エッジ,下面で回折した光線である。
図6(a)の場合、マークの上面における光線(光線L1など)は同じ位相状態となり、マークの下面における光線(光線L3など)も同じ位相状態となるが、マークのエッジにおける光線L2はそこで急激な位相変化を受ける。このため、光線L1〜L3に基づいてマークの画像を取り込むと、その画像における信号強度のプロファイルには、急激な位相変化が信号強度の低下として現れる。図6(a)のように結像位置ずれがゼロの場合には、信号強度が低下する位置とマークのエッジとが一致する。
一方、図6(b)のように、対物レンズとの距離が大きくなる方向へ結像位置ずれが発生した場合は、マークの上面における光線L4でも、その一部がマークのエッジに架かり始め、位相変化を受けることになる。このため、光線L1,L4,L3に基づいてマークの画像を取り込むと、その画像における信号強度のプロファイルでは、エッジから上面側にずれた位置で、信号強度が低下してしまう。シミュレーションによると、回折光線の約2/5がエッジに架かったところで信号強度は最小値となり、ここがエッジと認識される。
さらに、図7(a)の光線L5のように、対物レンズとの距離が大きくなる方向への結像位置ずれが増大した場合、光線の一部がマークのエッジに架かり始める位置が、図6(b)の光線L4よりエッジから遠ざかる。このため、マークの画像における信号強度のプロファイルでは、さらに上面側の奥へシフトした位置で信号強度が低下することになる。
上記の図6(a),(b)図7(a)では、図中左側から右側へ向けて立ち下がる形状のエッジを例に説明したが、逆に立ち上がる形状のエッジでも同様の説明が成り立つ。ただし、立ち上がる形状で、結像位置ずれの方向が上記と同じ場合には、信号強度の最小値が、図6(b),図7(a)とは正反対の方向(つまりマークの上面側)にシフトすることになる。
また、結像位置ずれの方向が反転し、対物レンズとの距離が小さくなるような方向となった場合には、図7(b)に示す通り、図中左側から右側へ向けて立ち下がる形状のエッジにおいて、図6(b),図7(a)とは正反対の方向(つまりマークの下面側)に信号強度の最小値がシフトすることになる。そして、図中左側から右側へ向けて立ち上がる形状のエッジでは、その反対方向(つまりマークの下面側)に信号強度の最小値がシフトすることになる。
さらに、マークの全てのエッジ位置において結像位置ずれ量が等しい場合は、信号強度の最小値のシフト量も全て等しくなり、各々のシフト量が相殺してTISはゼロとなる。しかし、図7(b)のように、マークのエッジ位置ごとに結像位置ずれ量が異なる(マークの中心に対して非対称な分布を有する像面湾曲がある)場合には、信号強度の最小値のシフト量X1〜X4が異なってしまうため、各シフト量X1〜X4を相殺することができず、TISが発生する。これが、光軸方向の結像位置ずれに起因するTIS発生のメカニズムである。
上記の説明から分かるように、[1]評価用マーク31〜34(図2〜図5)を用いて生成されたTISA(i),TISB(i) には、光軸方向の結像位置ずれ(像面湾曲など)の収差成分が含まれ、[2]凹凸形状が反転している評価用マーク31,32と評価用マーク33,34では、TISA(i),TISB(i) に含まれる光軸方向の結像位置ずれの収差成分が逆符号となる。光軸方向の結像位置ずれの収差成分は、Zernike 係数のうちZ4,Z9,Z5,Z6の複合に対応する。
また、本実施形態では、評価用マーク31,32を構成する凹状の外マーク1B〜1D,2B〜2Eと、評価用マーク33,34を構成する凸状の外マーク3B〜3D,4B〜4Eとが、一対一で同じ大きさを有する。このため、同じ大きさの外マークどうし(例えば外マーク2D,4D)ではエッジ位置における結像位置ずれ量が等しくなり、TISA(i),TISB(i) に含まれる結像位置ずれの収差成分(Z4,Z9,Z5,Z6)は、同じ“i”どうしで比較すると、同じ大きさとなる。
さらに、TISA(i),TISB(i) には、上記した光軸方向の結像位置ずれの収差成分(Z4,Z9,Z5,Z6)の他、結像光学系(18〜24)の偏心コマ収差やディストーションなどの収差成分も多少ではあるが含まれる。偏心コマ収差は、Zernike 係数のうちZ7,Z8の像高差に対応する。ディストーションは、Zernike 係数のうちZ2,Z3の像高差に対応する。
ただし、これらの収差成分(Z2,Z3,Z7,Z8など)の大きさは、同じ大きさの外マークどうし(例えば外マーク2D,4D)であれば、凹凸形状に関わらず等しくなることを、シミュレーションにより確認した。つまり、TISA(i),TISB(i) に含まれる偏心コマ収差やディストーションなどの収差成分(Z2,Z3,Z7,Z8など)は、同じ“i”どうしで比較すると、同じ大きさとなる。
TISA(i),TISB(i)に含まれる結像位置ずれの収差成分(Z4,Z9,Z5,Z6)の大きさをα(i)とし、偏心コマ収差やディストーションなどの収差成分(Z2,Z3,Z7,Z8など)の大きさをβ(i)とすると、次の式(1),(2)が成立する。
TISA(i)= α(i)+β(i) …(1)
TISB(i)=−α(i)+β(i) …(2)
したがって、評価用マーク31,32によるTISA(i)と、評価用マーク33,34によるTISB(i)とを用いて、同じ“i”ごとに、差分×(1/2) を求める(次式(3)参照)ことにより、偏心コマ収差やディストーションなどの収差成分(Z2,Z3,Z7,Z8など)の影響を差し引くことができる。
α(i)=(TISA(i)−TISB(i))/2 …(3)
その結果、TISA(i),TISB(i)から光軸方向の結像位置ずれの収差成分(Z4,Z9,Z5,Z6)のみを抽出することができ、結像光学系(18〜24)の物体高ごとの収差情報として生成することができる。生成された収差情報 α(i) は、各物体高iにおける結像位置ずれの収差成分を表している。
このように、本実施形態の重ね合わせ測定装置10では、結像光学系(18〜24)の物体面に評価用マーク31〜34を順に配置して画像を取り込み、そのマーク画像における信号強度のプロファイルを用いてTISA(i),TISB(i)を算出し、これらTISA(i),TISB(i)に基づいて結像光学系(18〜24)の物体高ごとの収差情報を生成するため、偏心コマ収差やディストーションなどに関わる分布情報 β(i) とは別に、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報 α(i) を簡易的に得ることができる。
また、評価用マーク31,32によるTISA(i)と、評価用マーク33,34によるTISB(i)とを用いて、同じ“i”ごとに、和×(1/2) を求める(次式(4)参照)ことにより、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報 α(i) とは別に、偏心コマ収差やディストーションなどに関わる分布情報 β(i) を簡易的に生成することもできる。
β(i)=(TISA(i)+TISB(i))/2 …(4)
ここで、重ね合わせ測定装置10の第1結像リレーレンズ21の表面に回転対称な6次非球面を仮定し、TISA(i),TISB(i),α(i),β(i)のシミュレーションを行った。また、このシミュレーションでは、理想的な光学配置を仮定し、評価用マーク31〜34の中心位置を物体高20μmに設定した。これは、あくまでもシミュレーション上のモデルである。実際の装置では、ここで言う物体高20μmの位置に視野中心があるものと考える。なお、理想的な光学配置を仮定する場合、光軸上に評価用マーク31〜34の中心位置があれば、回転対称な非球面によるTISは0となる。しかし、実際の製造においては偏心誤差や非球面誤差が介在するので、光軸の中心は特定できない。よって、このような評価を行うことで、非球面誤差の程度を評価できる。
シミュレーション結果を図8(a)に示す。図8(a)の横軸はマークサイズ(μm)であり、内マークと外マークの組み合わせを示している。縦軸はTIS計算値(nm)を表している。図8(a)には、評価用マーク31,32を想定したTISA(i)、評価用マーク33,34を想定したTISB(i)、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報 α(i)、偏心コマ収差やディストーションなどに関わる分布情報 β(i)、設計値収差を示す。
図8(a)から分かるように、設計値収差は、マークサイズ変化に対するTIS計算値の変化が0.6nm程度であり、物体高変化に対する収差の変動が小さい。これに対し、TISA(i),TISB(i)は、共に、マークサイズ変化に応じてTIS計算値が大きく変化している。この変化量は非球面誤差の大きさに依存し、非球面誤差が大きければTISの変化量も大きくなる。例えば、TISA(i)は、TIS計算値が4.6nmから7.6nm程度の変化を示し、マークサイズに依存して測定誤差が大きく変化するため、性能が安定しない。これは物体高に対する収差の変化が大きいからであり、非球面誤差の影響が大きく、装置の性能を低下させている。
また、TISA(i),TISB(i)から生成した光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報α(i)は、マークサイズ変化に応じて5nmから13nm程度の範囲で変化する。偏心コマ収差やディストーションなどに関わる分布情報 β(i)は、マークサイズ変化に応じて0.5nmから6nm程度の範囲で変化する。このシミュレーション結果から分かるように、TISA(i),TISB(i)の主な収差成分は光軸方向の結像位置ずれ(α(i))であり、それに比べて偏心コマ収差やディストーションなど(β(i))の割合は非常に小さい。
次に、TISA(i),TISB(i)から生成した偏心コマ収差やディストーションなどに関わる分布情報β(i)について検討する。この分布情報β(i)は、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)に関わる分布情報β78(i)、ディストーション(Z2,Z3の像高差)に関わる分布情報β23(i)、他の収差成分に関わる分布情報β0(i)の和である(次式(4)参照)。
β(i)=β78(i)+β23(i)+β0(i) …(4)
これに対して、図9(a)〜(c)に示す評価用マーク35を用いれば、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)に関わる分布情報β78(i)と、ディストーション(Z2,Z3の像高差)に関わる分布情報β23(i)との和に相当する次式(5)のTISC(i)を求めることができる。TISC(i)は、上記の分布情報β0(i)を含まない。
TISC(i)=β78(i)+β23(i) …(5)
評価用マーク35は、Bar in Bar タイプの多重マークであり、内側のバーマーク5Aと外側のバーマーク5B〜5Hとが同心状に配置される。図9(a)は全体的な平面図、図9(b)は一部を拡大した平面図、図9(c)は図9(b)に対応する断面図である。各マークは大きさが異なり、例えば、内側のバーマーク5Aは5μm角、外側のバーマーク5B〜5Hは10μm,15μm,20μm,25μm,30μm,35μm,40μm角とである。
位置ずれ量の算出手順は評価マーク31〜34に準じる。
外側のバーマーク5B〜5Hごとに算出されたTISC(i)は、結像光学系(18〜24)の収差成分のうち、評価用マーク35に影響を及ぼす収差成分の物体高変化に関する情報を表している。そして上記の式(5)に示した通り、TISC(i)は、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)に関わる分布情報β78(i)と、ディストーション(Z2,Z3の像高差)に関わる分布情報β23(i)との和に相当する。
この評価用マーク35についても、上記の評価用マーク31〜34と同様のシミュレーションを行った。その結果を図8(b)に示す。図8(b)には、評価用マーク35を想定したTISC(i)の他に、TISA(i),TISB(i)から生成した偏心コマ収差やディストーションなどに関わる分布情報β(i)も併せて示す。図8(b)から分かるように、TISC(i)とβ(i)は非常に近い値を示している。このことから、分布情報β(i)のうち式(4)の分布情報β0(i)は非常に小さいことが分かる。
上述のように、本実施形態の重ね合わせ測定装置10では、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報 α(i) を得るためのTISA(i),TISB(i)を利用して、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)とディストーション(Z2,Z3の像高差)との和に相当する分布情報(β78(i)+β23(i))も簡易的に得ることができる。
次に、偏心コマ収差とディストーションからなる分布情報 β(i) または TISC(i)において、偏心コマ収差の分布情報β78(i)とディストーションの分布情報β23(i)とを切り分ける方法について説明する。
まず、偏心コマ収差の分布情報β78(i)は、従来と同様に、次のようにして生成することができる。すなわち、結像光学系(18〜24)の物体面にライン・アンド・スペース状に配置された複数のマークの画像を取り込み、このマーク画像におけるエッジ像の信号強度の非対称性を示す測定値のフォーカス特性を計測し、フォーカス特性の曲線(以下「QZ曲線」)の1次成分を算出する。この1次成分が偏心コマ収差の大きさを表している。そして、視野内におけるQZ曲線の1次成分のバラツキを調べることで、偏心コマ収差の物体高変化(分布情報β78(i))を生成することができる。
図10,図11にシミュレーション結果を示す。図10は、回転対称な非球面誤差による Zernike 係数のZ7の物体高変化を示す。図11は、同様の非球面誤差によるQZ曲線の1次成分の物体高変化を示す。図10,図11の横軸は、シミュレーションにおける物体高を示し、物体高20μmの位置を視野中心とした。視野中心でQZ曲線の1次成分が0となるように調整した場合、視野の周辺では、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)の変化量が大きくなり、それに伴って周辺における1次成分も大きく変化する。
また、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)によるTISを考える場合は、マークの中心位置を検出するので、被検マークの左右エッジ位置に対応した収差の絶対量に差があると、TISが発生する。そこで、内マーク(マークサイズ5μm)を基準として、各サイズの外マークが係数Z7によってどの程度ずれるかをシミュレーションした。図12は、左右エッジ位置に対応した収差の絶対量(つまり|Z7|)の差の物体高変化を示す。図13は、その収差から計算したマークの位置ずれ量をTISに換算したものである。
図12,図13から分かるように、マークサイズが大きくなるにしたがい、TIS計算値も増大する。また、図13のシミュレーション結果を、上記の図8(b)のTISC(i)またはβ(i)(≒β78(i)+β23(i))と比較することにより、最大サイズ40μmのマークに関して3.5nm程度の差があることが分かる。図13のシミュレーション結果は偏心コマ収差の分布情報β78(i)に対応し、図13と図8(b)のTISC(i)またはβ(i)(≒β78(i)+β23(i))との差がディストーションの分布情報β23(i)に対応する。
したがって、本実施形態の重ね合わせ測定装置10では、上記のQZ曲線の1次成分の物体高変化に基づいて、偏心コマ収差の分布情報β78(i)を簡易的に得ることができ、さらに、偏心コマ収差とディストーションからなる分布情報 β(i) または TISC(i)と、上記の方法で生成された分布情報β78(i)とに基づいて、結像光学系(18〜24)の物体高ごとの収差情報を生成することにより、ディストーションの分布情報β23(i)を切り分けて簡易的に得ることができる。
上記のように、本実施形態では、結像光学系(18〜24)の物体高ごとの収差情報として、光軸方向の結像位置ずれ(Z4,Z9,Z5,Z6の像高差)に関わる分布情報 α(i)、偏心コマ収差(Z7,Z8の像高差)に関わる分布情報β78(i)、ディストーション(Z2,Z3の像高差)に関わる分布情報β23(i)を、簡易的に切り分けて得ることができる。
そして、これらの収差情報α(i),β78(i),β23(i)を用いることで、結像光学系(18〜24)の性能(例えば製造誤差の大きさ)を適切に評価することができる。さらに、このような結像光学系(18〜24)の評価を、適宜のタイミングで(例えば製造時に)行うことにより、結像光学系(18〜24)を備えた重ね合わせ測定装置10の測定精度を安定化させ、その性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、評価用マーク31〜35などの加工が施された基板28と、画像解析ソフトさえ用意すれば、結像光学系(18〜24)を重ね合わせ測定装置10に組み込んだ状態で、簡易的に短時間で評価を行える。一般に、上記の非球面誤差によるTISなどの測定誤差を簡易な調整で完全に取り除くことはできない。したがって、評価の結果、結像光学系(18〜24)が規定の精度に達しない場合は、より誤差の少ない部品に取り替えるなどの必要がある。この場合でも、本実施形態のように評価が簡易に短時間で行えることは、装置の製造工程上、非常に有利である。
さらに、本実施形態の評価方法では、評価用マーク31,32を構成する凹状の外マーク1B〜1D,2B〜2Eと、評価用マーク33,34を構成する凸状の外マーク3B〜3D,4B〜4Eが、一対一で同じ大きさを有するため、TISA(i),TISB(i)の同じ“i”ごとに、光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報 α(i) を計算することができ、高精度な分布情報 α(i) を得ることができる。
また、本実施形態の評価方法では、評価用マーク31〜34において、凹状の外マーク1B〜1D,2B〜2Eと同心状に配置された内マーク1A,2Aを凸状とし、凸状の外マーク3B〜3D,4B〜4Eと同心状に配置された内マーク3A,4Aを凹状としたので、それぞれのTISA(i),TISB(i)を感度よく求めることができる。その結果、結像光学系(18〜24)の正確な評価が可能となる。
さらに、本実施形態の重ね合わせ測定装置10では、評価用マーク31〜35(図2〜図5,図9)を基板28上に形成し、この基板28をステージ12の上面に取り付けるため、必要なときにステージ12を移動させるだけで、直ぐに結像光学系(18〜24)の物体高ごとの収差情報を生成し、その評価を行うことができる。
また、本実施形態の重ね合わせ測定装置10のように、光源部13の光源3Aとして広い波長帯域(例えば白色光)のものが用意され、波長切替機構3Dの光学フィルタにより短波長帯域,中間波長帯域,長波長帯域の何れかを選択可能な場合には、各波長帯域ごとの収差係数の物体高変化を評価することもできる。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、評価用マーク31〜35を有する基板28をステージ12に取り付けたが、本発明はこれに限定されない。同様の評価用マーク31〜35を有する基板をステージ12とは別に用意し、必要なときにステージ12の上面に載置する場合でも、同様の評価を行える。
また、上記した実施形態では、凹状の外マーク1B〜1D,2B〜2Eと凸状の外マーク3B〜3D,4B〜4Eとが一対一で同じ大きさを有する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。凹状の外マーク1B〜1D,2B〜2Eと凸状の外マーク3B〜3D,4B〜4Eの大きさが異なる場合には、TISA,TISBをそれぞれ外挿することにより、TISA,TISBの物体高変化の曲線(図8(a)参照)を求め、物体高の等しい値どうしで光軸方向の結像位置ずれに関わる分布情報αを計算することが好ましい。したがって、もちろん、評価用マーク31〜34は内マークに向かって立ち上がるエッジと立ち下がるエッジの2種のエッジを有しているので、それぞれのエッジ種ごとにTISA,TISBを求めれば、1つの評価用マークでも評価を行えることは言うまでもない。
さらに、上記した実施形態では、評価マーク31〜34の内マーク1A〜4Aが凹状または凸状のボックスマークである例を説明したが、本発明はこれに限定されない。内マーク1A〜4Aをバーマークにより構成しても、同様の評価を行える。
また、上記した実施形態では、重ね合わせ測定装置10に組み込まれた結像光学系(19〜24)を例にその評価方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。物体を観察するための光学装置(例えば光学顕微鏡や外観検査装置など)の結像光学系を評価する場合にも、本発明を適用できる。さらに、アライメントマークの位置検出を行う装置(例えば露光装置のアライメント系)にも、本発明を適用できる。
また、本発明によれば、重ね合わせ測定装置の結像光学系の真の光軸(収差の分布が対になる軸)を求めることができる。この真の光軸と被検マークの中心位置とが重なるように被検マークを位置決めすることによってTISを最小限に抑えた重ね合わせ測定装置を構成することができる。
重ね合わせ測定装置10の全体構成を示す図である。 評価用マーク31の構成を説明する図である。 評価用マーク32の構成を説明する図である。 評価用マーク33の構成を説明する図である。 評価用マーク34の構成を説明する図である。 光軸方向の結像位置ずれとTISとの関係を説明する図である。 光軸方向の結像位置ずれとTISとの関係を説明する図である。 TISの物体高変化を示すシミュレーション結果の図である。 評価用マーク35の構成を説明する図である。 Zernike係数のZ7の物体高変化を示すシミュレーション結果の図である。 QZ曲線の1次成分の物体高変化を示すシミュレーション結果の図である。 左右エッジ位置に対応する収差の絶対差の物体高変化を示すシミュレーション結果の図である。 図12の収差から計算したマークの位置ずれ量をTISに換算したシミュレーション結果の図である。
符号の説明
10 重ね合わせ測定装置
11,28 基板
12 ステージ
19〜24 結像光学系
25 CCD撮像素子
26 画像処理部
31〜35 評価用マーク
1A,2A 凸状の内マーク
1B〜1D,2B〜2E 凹状の外マーク
3A,4A 凹状の内マーク
3B〜3D,4B〜4E 凸状の外マーク
5A 内側のバーマーク
5B〜5H 外側のバーマーク

Claims (6)

  1. 凸状または凹状のパターンの内マークと、前記内マークと同一面上に前記内マークに対して対称かつ異なる間隔で形成された複数の凸状または凹状の外マークとを有する基板を結像光学系の物体面に配置し、前記基板を前記マークの中心の周りに前記結像光学系の光軸に垂直な面内で反転させる前後で、該内マークと該外マークの各段差位置との位置ずれ量を計測して、前記反転前後の位置ずれ量の平均値を算出する第1工程と、
    前記外マークのうち前記内マークに向かって立ち上がる各段差で計測された位置ずれ量の前記平均値の前記基板面での分布状態と、前記外マークのうち前記内マークに向かって立ち下がる各段差で計測された位置ずれ量の前記平均値の前記基板面での分布状態と、に基づいて、前記結像光学系の収差情報を生成する第2工程とを備えた
    ことを特徴とする結像光学系の評価方法。
  2. 請求項1に記載の結像光学系の評価方法において、
    前記物体面にライン・アンド・スペース状に配置された複数のマークの画像を取り込み、該画像における信号強度の非対称性のフォーカス特性を計測し、該フォーカス特性の1次成分を算出する第3工程を備え、
    前記第2工程では、前記結像光学系の物体高ごとに前記第3工程で算出される1次成分を加味して、前記収差情報を生成する
    ことを特徴とする結像光学系の評価方法。
  3. 請求項1に記載の結像光学系の評価方法において、
    前記物体面にライン・アンド・スペース状に配置された複数のマークの画像を取り込み、該画像における信号強度の非対称性のフォーカス特性を計測し、該フォーカス特性の1次成分を算出する第3工程と、
    前記物体面に同心状に配置された内側のバーマークと外側のバーマークとを前記光軸に垂直な面内で反転させ、反転前後の各々の状態で該内側のバーマークと該外側のバーマークとの位置ずれ量を計測し、反転前後の位置ずれ量の平均値を算出する第4工程とを備え、
    前記第2工程では、さらに、前記結像光学系の物体高ごとに前記第3工程で算出される1次成分、および大きさが異なる複数の前記外側のバーマークそれぞれに関して前記第4工程で算出される平均値に基づいて、前記収差情報を生成する
    ことを特徴とする結像光学系の評価方法。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の結像光学系の評価方法において、
    前記位置ずれ量の平均値を算出する基板は、前記外マークの凹凸が違い反転した形状を有する2枚の基板である
    ことを特徴とする結像光学系の評価方法。
  5. 請求項4に記載の結像光学系の評価方法において、
    前記2枚の基板は、前記内マークの凹凸が互いに反転した形状を有する
    ことを特徴とする結像光学系の評価方法。
  6. 基板を支持するステージと、
    前記基板上の被検マークの像を形成する結像光学系と、
    前記被検マークの像に基づいて、前記被検マークの位置検出を行う処理手段とを備え、
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の結像光学系の評価方法による評価結果に基づいて、前記結像光学系の収差分布が実質的に対称となる軸を前記結像光学系の真の軸と設定し、
    前記ステージは、前記真の軸と前記被検マークの中心位置とが重なるように前記基板を位置決めする
    ことを特徴とする位置検出装置。
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