JP4774817B2 - 位置検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板上の被検マークの位置検出を行う位置検出装置に関する。
基板上の被検マークを結像光学系の視野内に位置決めし、結像光学系を介して形成される被検マークの像に基づいて位置検出を行う装置が知られている。この位置検出装置では、結像光学系の収差状態を評価するために、例えば干渉計を用いて対物レンズの透過波面収差を測定している(例えば特許文献1を参照)。
特開2002−202449号公報
しかし、位置検出装置の結像光学系は、物体面から最終像面までの光路上に対物レンズ以外にも多数の光学要素を含む。このため、結像光学系全体の収差状態を装置に組み込んだ状態で評価することが望まれている。さらに、その収差状態を複数の波長帯域で評価することも望まれている。このような収差状態の評価を干渉計によって実現しようとすると、波長帯域ごとに最適な干渉計が必要となり、これらの干渉計を装置に取り付けるスペースやメカ機構も必要となり、コスト高を避けられない。
本発明の目的は、結像光学系全体の収差状態を装置に組み込んだ状態で波長帯域ごとに簡易に評価することができる位置検出装置を提供することにある。
本発明の位置検出装置は、基板を支持するステージと、前記基板上の被検マークの像を形成する結像光学系と、前記被検マークの像に基づいて、前記被検マークの位置検出を行う処理手段と、前記ステージに取り付けられ、前記結像光学系の評価時に、前記結像光学系の視野内に位置決めされる複数のピンホールが設けられた光学部材と、前記ピンホールを複数の波長帯域の光によって順に照明する照明手段と、前記ピンホールで回折した光により前記結像光学系を介して形成されるピンホール像に基づいて、評価用の画像を前記波長帯域ごとに取り込む画像取込手段と、複数の前記波長帯域の各々で前記画像取込手段が取り込んだ前記画像に基づいて、前記結像光学系の波面収差を前記波長帯域ごとに算出する算出手段とを備え、前記ピンホールは、複数の前記波長帯域の各々に対応して径の異なるピンホールを含むものである。
また、前記ピンホールの直径φは、対応する前記波長帯域の中心波長λと、前記結像光学系の開口数NAとを用いて、次の条件式を満足することが好ましい。
1/4×1.22×(λ/NA) ≦ φ ≦ 1/3×1.22×(λ/NA)
また、前記ピンホール像のフォーカス状態を変更する変更手段と、複数の前記フォーカス状態の各々で前記画像取込手段が取り込んだ前記画像に基づいて、前記結像光学系の波面収差を前記波長帯域ごとに算出する算出手段とを、さらに備えることが好ましい。
さらに、前記結像光学系の一部の光学要素は、前記結像光学系の光軸に垂直な方向にシフト可能あるいは前記光軸に対してティルト可能であり、前記算出手段によって算出された前記波面収差に基づいて、前記光学要素をシフト調整あるいはティルト調整する調整手段をさらに備えることが好ましい。
また、前記照明手段は、前記処理手段が前記被検マークの位置検出を行うとき、前記ピンホールの照明を中止することが好ましい。
さらに、前記処理手段が前記被検マークの位置検出を行うとき、前記ピンホールで回折した光を遮光する遮光手段を備えることが好ましい。
本発明の位置検出装置によれば、結像光学系全体の収差状態を装置に組み込んだ状態で波長帯域ごとに簡易に評価することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
ここでは、図1の重ね合わせ測定装置10を例に説明する。
重ね合わせ測定装置10は、半導体素子や液晶表示素子などの製造工程において、基板11のレジストパターンの重ね合わせ検査を行う装置である。基板11は、半導体ウエハや液晶基板などであり、レジスト層に対する露光・現像後で、所定の材料膜に対する加工前の状態にある。基板11には重ね合わせ検査のために多数の測定点が用意され、各測定点にはレジストパターンの基準位置を示すレジストマークと下地パターンの基準位置を示す下地マークとが形成されている。重ね合わせ検査では、各マークの位置検出や、下地マークに対するレジストマークの位置ずれ量の測定が行われる。以下の説明では、レジストマークと下地マークとを総じて「重ね合わせマーク11A」という。
重ね合わせ測定装置10には、図1(a)に示す通り、基板11を支持するステージ12と、照明光学系(13〜19)と、結像光学系(18〜24,40)と、CCD撮像素子25と、画像処理部26と、焦点検出部(40〜48)と、ステージ制御部27とが設けられる。また、ステージ12の上面には、結像光学系(18〜24,40)の評価に用いられる基板28が取り付けられ、この基板28のエリア31〜33(図2(a))の各々には多数のピンホール30(図2(b))が形成されている。
ステージ12は、図示省略したが、基板11を水平状態に保って支持するホルダと、このホルダを水平方向(XY方向)に駆動するXY駆動部と、ホルダを鉛直方向(Z方向)に駆動するZ駆動部とで構成されている。XY駆動部とZ駆動部は、ステージ制御部27に接続される。
ステージ制御部27は、ステージ12のXY駆動部を制御し、基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28のピンホール30)を視野内に位置決めする。また、焦点検出部(40〜48)から出力されるフォーカス信号に基づいて、ステージ12のZ駆動部を制御する。このフォーカス調整により、重ね合わせマーク11A(またはピンホール30)をCCD撮像素子25の撮像面に対して合焦させることができる。このとき、重ね合わせマーク11A(またはピンホール30)は、結像光学系(18〜24,40)の物体面に配置される。
照明光学系(13〜19)は、光源部13と、光軸O1に沿って順に配置された照明開口絞り14とコンデンサーレンズ15と視野絞り16と照明リレーレンズ17とビームスプリッタ18と、光軸O2上に配置された第1対物レンズ19とで構成されている。ビームスプリッタ18は、反射透過面が光軸O1に対して略45°傾けられ、光軸O2上にも配置されている。照明光学系(13〜19)の光軸O1は、結像光学系(18〜24,40)の光軸O2に垂直である。
また、光源部13は、光源3Aとコレクタレンズ3Bと光学リレーレンズ3Cと波長選択部3D,3Eとライトガイドファイバ3Fとで構成される。光源3Aは、波長帯域の広い光(例えば白色光)を射出する。波長選択部3D,3Eは、それぞれ、透過特性の異なる3枚の光学フィルタを有し、コレクタレンズ3Bと光学リレーレンズ3Cとの間の光路上に必要に応じて挿入可能である。
一方の波長選択部3Dは、重ね合わせ検査用である。この波長選択部3Dの3枚の光学フィルタは、短波長帯域・中間波長帯域・長波長帯域の光束を選択的に透過させるような特性を有する。各々の中心波長は例えば570nm,650nm,750nmである。重ね合わせ検査の際には、波長選択部3Dの何れかの光学フィルタが光路上に挿入され、または、全ての光学フィルタが光路外に配置される。このとき、他方の波長選択部3Eの全ての光学フィルタは使用しない。
他方の波長選択部3Eは、結像光学系(18〜24,40)の評価用である。この波長選択部3Eの3枚の光学フィルタは、上記の波長選択部3Dの光学フィルタと比較して透過特性の波長幅が狭く、例えば半値全幅3nm程度のバンドパスフィルタである。また、各光学フィルタの中心波長は上記の波長選択部3Dと略一致し、例えば570nm,650nm,750nmである。結像光学系(18〜24,40)の評価の際には、波長選択部3Eの何れかの光学フィルタが光路上に挿入される。このとき、上記の波長選択部3Dの全ての光学フィルタは使用しない。
上記の光源部13において、光源3Aから射出された広帯域波長の光は、コレクタレンズ3Bを介して波長選択部3D,3Eの何れか1枚の光学フィルタに入射し、その透過特性に応じた波長帯域の光となる。その後、光学リレーレンズ3Cを介してライトガイドファイバ3Fに入射する。あるいは、波長選択部3D,3Eの光学フィルタを透過せずに、広帯域波長の光としてライトガイドファイバ3Fに入射する。
ライトガイドファイバ3Fは、2分岐型であり、2つの光出射端OUT1,OUT2を有する。一方の光出射端OUT1は、ステージ12の下部に取り付けられ、ステージ12の内部の貫通穴12Aに照明光を導く。貫通穴12Aには不図示のリレーレンズが配置され、その上方に基板28(図2)が取り付けられている。このため、光出射端OUT1からの照明光は、リレーレンズを介した後、基板28のエリア31〜33を全体的に照明する。他方の光出射端OUT2は、上記の光軸O1上に配置され、照明開口絞り14に照明光を導く。
照明開口絞り14は、その中心が光軸O1上に位置し、光源部13から射出された光の径を特定の径に制限する。コンデンサーレンズ15は、照明開口絞り14からの光を集光する。視野絞り16は、重ね合わせ測定装置10の視野領域を制限する光学素子であり、図1(b)に示すように、矩形状の開口である1つのスリット16aを有する。照明リレーレンズ17は、視野絞り16のスリット16aからの光をコリメートする。ビームスプリッタ18は、照明リレーレンズ17からの光を下向きに反射する。
第1対物レンズ19は、ビームスプリッタ18からの照明光L1を入射して集光する。これにより、ステージ12上の基板11は、第1対物レンズ19を透過した所定の波長帯域の照明光L1によって垂直に照明される(落射照明)。そして、照明光L1が照射された基板11の照明領域から、回折光L2が発生する。回折光L2には、0次回折光(つまり反射光)や、±1次回折光などが含まれる。基板11からの回折光L2は、後述の結像光学系(18〜24,40)に導かれる。
結像光学系(18〜24,40)は、光軸O2に沿って順に配置された第1対物レンズ19と第2対物レンズ20と第1結像リレーレンズ21と平行平面板22と結像開口絞り23と第2結像リレーレンズ24とで構成されている。結像光学系(18〜24,40)の光軸O2は、Z方向に平行である。なお、第1対物レンズ19と第2対物レンズ20との間には、上記のビームスプリッタ18が配置され、第2対物レンズ20と第1結像リレーレンズ21との間には、焦点検出部(40〜48)のビームスプリッタ40が配置されている。ビームスプリッタ18,40は、光の振幅分離を行うハーフプリズムである。
そして、第1対物レンズ19は、基板11からの回折光L2をコリメートする。第1対物レンズ19でコリメートされた回折光L2は、上記のビームスプリッタ18を透過して第2対物レンズ20に入射する。第2対物レンズ20は、所定のパワーを有するダブレットのレンズ2Aとアフォーカル系のレンズ2Bとの2群構成であり、ビームスプリッタ18からの回折光L2を集光する。なお、アフォーカル系のレンズ2Bは、光軸O2に垂直な方向にシフト可能あるいは光軸O2に対してティルト可能である。レンズ2Bのシフト調整およびティルト調整により、結像光学系(18〜24,40)の偏心コマ収差の調整を行うことができる。
第2対物レンズ20の後段に配置されたビームスプリッタ40は、焦点検出部(40〜48)の光軸O3と結像光学系(19〜23)の光軸O2に対して、反射透過面が略45°傾けられている。そして、ビームスプリッタ40は、第2対物レンズ20からの回折光L2の一部(L3)を透過すると共に、残りの一部(L4)を反射する。
ビームスプリッタ40を透過した一部の光L3は、1次結像面10aに集光された後、結像光学系(18〜24,40)の第1結像リレーレンズ21に導かれる。第1結像リレーレンズ21は、ビームスプリッタ40からの光L3をコリメートする。平行平面板22は、第1結像リレーレンズ21からの光を透過する。結像開口絞り23は、平行平面板22からの光の径を特定の径に制限する。第2結像リレーレンズ24は、結像開口絞り23からの光をCCD撮像素子25の撮像面(2次結像面)上に再結像する。
上記の結像光学系(18〜24,40)では、視野内に基板11上の重ね合わせマーク11Aが位置決めされているとき、そのマークの像をCCD撮像素子25の撮像面に形成する。また、基板28のピンホール30が視野内に位置決めされているとき、CCD撮像素子25の撮像面にピンホール像を形成する。
CCD撮像素子25は、その撮像面が結像光学系(18〜24,40)の像面と一致するように配置される。CCD撮像素子25は、複数の画素が2次元配列されたエリアセンサであり、基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28のピンホール30)の像を撮像して、画像信号を画像処理部26に出力する。画像信号は、CCD撮像素子25の撮像面における各画素ごとの輝度値に関する分布(輝度分布)を表している。
画像処理部26は、CCD撮像素子25からの画像信号に基づいて、基板11上の重ね合わせマーク11A(または基板28のピンホール30)の画像を取り込み、その画像に対して所定の画像処理を施す。ちなみに、重ね合わせマーク11Aの画像に対しては、重ね合わせ検査用の画像処理を施す。ピンホール30の画像に対しては、結像光学系(18〜24,40)の評価を行うために必要な画像処理を施す。なお、画像処理部26を介して、不図示のテレビモニタよる目視観察も可能である。
焦点検出部(40〜48)は、ステージ12上の基板11(または基板28)がCCD撮像素子25の撮像面に対して合焦状態にあるか否かを検出するものである。焦点検出部(40〜48)は、ビームスプリッタ40の他、光軸O3に沿って順に配置されたAF視野絞り41とAF第1リレーレンズ42と平行平面板43と瞳分割ミラー44とAF第2リレーレンズ45とシリンドリカルレンズ46とからなる光学系、AFセンサ47、および、信号処理部48により構成される。AFセンサ47はラインセンサであり、その撮像面47aには複数の画素が1次元配列されている。このような瞳分割方式のAF動作の詳細は、例えば特開2002-40322号公報に記載されているので、ここでの説明を省略する。
上記のように構成された重ね合わせ測定装置10では、重ね合わせ検査の際、基板11上の重ね合わせマーク11Aが視野領域内に位置決めされ、結像光学系(18〜24,40)を介してCCD撮像素子25の撮像面に重ね合わせマーク11Aの像が形成される。そして、このマーク像に関わる画像信号が画像処理部26に取り込まれ、重ね合わせ検査用の画像処理が施される。
つまり、画像処理部26では、重ね合わせマーク11Aを構成するレジストマークおよび下地マークの各々の位置検出を行い、下地マークに対するレジストマークの位置ずれ量を算出する。この位置ずれ量は、各マークの中心位置の相対的なずれ量であり、基板11上の下地パターンに対するレジストパターンの重ね合わせずれ量を表す。この重ね合わせずれ量は、重ね合わせ測定値とも呼ばれる。
なお、上記の重ね合わせ検査の際には、ステージ12上の基板28に不図示のカバーマスクなどを取り付け、ピンホール30で回折した光を遮光することが好ましい。または、ライトガイドファイバ3Fの光出射端OUT1をステージ12から取り外し、ピンホール30の照明を中止してもよい。何れかの方法を用いることで、結像光学系(18〜24,40)における迷光を低減することができ、重ね合わせ検査を良好に行うことができる。
さらに、重ね合わせ検査の際には、照明光学系(13〜19)の光源部13の波長選択部3D,3Eのうち、結像光学系(18〜24,40)の評価用の波長選択部3Eの各光学フィルタは光路外に配置され、重ね合わせ検査用の波長選択部3Dの何れかの光学フィルタが光路上に挿入され、または、全ての光学フィルタが光路外に配置される。波長選択部3Dの光学フィルタを切り替えることで、短波長帯域,中間波長帯域,長波長帯域,広波長帯域の何れかを選択して重ね合わせ検査を行うことができる。
近年、半導体デバイスの微細化に伴い、露光時の重ね合わせ精度を向上させる(下地パターンに対するレジストパターンの重ね合わせずれ量を小さくする)ことが望まれるようになってきた。したがって、重ね合わせ測定装置10の測定精度に対する要求仕様もさらに厳しくなっている。
ここで、結像光学系(18〜24,40)の収差量が像高ごとに異なる場合、重ね合わせマーク11Aの各エッジ像ごとにシフト量が異なってしまい、系統的な測定誤差(TIS:Tool Induced Shift)を生じる。また、このような結像光学系(18〜24,40)を介して重ね合わせ検査を行う場合、測定領域内での重ね合わせマーク11Aの位置(測定位置)ごとに重ね合わせ測定値が変化し、再現性を悪化させてしまう。
このため、適宜のタイミングで(例えば製造時に)、結像光学系(18〜24,40)の収差状態を評価して、重ね合わせ測定装置10の測定精度を安定化させることが必要である。さらに、結像光学系(18〜24,40)を評価する際には、結像光学系(18〜24,40)の全体の収差状態を装置に組み込んだ状態で波長帯域ごとに評価し、かつ、その評価を簡易的に行うことが望まれる。
次に、結像光学系(18〜24,40)の評価方法について説明する。結像光学系(18〜24,40)を評価する際には、視野内に基板28のピンホール30(図2)が位置決めされ、ライトガイドファイバ3Fの光出射端OUT1からの照明光によってピンホール30が照明され、このとき、ピンホール30で回折した光により結像光学系(18〜24,40)を介してCCD撮像素子25の撮像面にピンホール30の像が形成される。そして、各ピンホール像に関わる画像信号が画像処理部26に取り込まれ、評価用の画像処理が施される。
また、照明光学系(13〜19)の光源部13の波長選択部3D,3Eのうち、重ね合わせ検査用の波長選択部3Dの各光学フィルタは光路外に配置され、結像光学系(18〜24,40)の評価用の波長選択部3Eの何れかの光学フィルタが光路上に挿入される。波長選択部3Eの光学フィルタを切り替えることで、短波長帯域,中間波長帯域,長波長帯域の照明光によって順に基板28のピンホール30を照明することができる。波長選択部3Eの光学フィルタは例えば半値全幅3nm程度のバンドパスフィルタであり、評価時の照明光は略単色光と考えることができる。
基板28は、石英やガラスなどの板にクロムなどの金属薄膜を形成し、この金属薄膜をエッチング処理などによって部分的に除去したものである。金属薄膜を除去してガラス板を露出させた部分がピンホール30となる。基板28のピンホール30以外の領域は、遮光領域であり、その透過率を1/100000以下とすることが好ましい。この透過率であれば、完全遮光と考えることができる。
基板28のピンホール30は、図2(a)に示すエリア31〜33ごとに図2(b)のように配列されている。つまり、各エリアの中心に1つのピンホール30が配置され、その周囲の小さな矩形(D1=10μm)に沿って8つ、大きな矩形(D2=20μm)に沿って8つのピンホール30が、それぞれ配置されている。本実施形態では、基板28のエリア31〜33の全てのピンホール30が、ライトガイドファイバ3Fの光出射端OUT1からの照明光によって全体的に照明される。光出射端OUT1からの照明光は例えば2mmφの範囲で略均一と考えられる。
ただし、エリア31のピンホール30は、短波長帯域(例えば中心波長570nm)の照明光を用いて結像光学系(18〜24,40)の評価を行うために設けたものであり、エリア32,33のピンホール30は、それぞれ、中間波長帯域(例えば中心波長650nm),長波長帯域(例えば中心波長750nm)の照明光を用いて結像光学系(18〜24,40)の評価を行うために設けたものである。
そして、エリア31〜33のピンホール30の径は、各エリアごとに異なり、結像光学系(18〜24,40)の評価に用いる照明光の波長帯域に対応して決められている。具体的には、ピンホール30の直径φは、対応する波長帯域の中心波長λと、結像光学系(18〜24,40)の開口数NAとを用いて、次の条件式(1)を満足するように決めることが好ましい。
1/4×1.22×(λ/NA) ≦ φ ≦ 1/3×1.22×(λ/NA) …(1)
条件式(1)は実験的に求めたものであり、これを満足するようなピンホール30の場合、これを略点光源と考えることができ、かつ、ピンホール30で回折した光として結像光学系(18〜24,40)の評価に必要となる強度を確保することもできる。
例えば、ピンホール30の直径φ=1/3×(λ/NA)とする場合、短波長帯域(例えば中心波長570nm)での評価に用いられるエリア31のピンホール30は、直径φ=0.37μmとなる。また、中間波長帯域(例えば中心波長650nm),長波長帯域(例えば中心波長750nm)での評価に用いられるエリア32,33のピンホール30は、それぞれ、直径φ=0.43μm,0.5μmとなる。
結像光学系(18〜24,40)の評価は、次の手順[1]〜[3]にしたがって行われる。この評価時には、ライトガイドファイバ3Fの光出射端OUT2から照明開口絞り14に入射する照明光を不図示のシャッターなどで遮断することが好ましい。また、照明光の遮断は、照明開口絞り14からビームスプリッタ18までの任意の位置で行っても構わない。つまり、光出射端OUT2からの照明光がビームスプリッタ18に入射しないようにすればよい。
手順[1]では、波長選択部3Eの光学フィルタとして短波長帯域(例えば中心波長570nm)のものを選択して光路上に配置し、基板28のエリア31を視野内の中心付近に位置決めする。このとき、エリア31の中心のピンホール30を結像光学系(18〜24,40)の光軸O2上に位置決めすることが好ましい。
この状態で、短波長帯域(例えば中心波長570nm)の照明光は、基板28のエリア31の各ピンホール30で回折し、結像光学系(18〜24,40)を介してCCD撮像素子25の撮像面に入射する。このとき撮像面には各ピンホール30の像が形成される。各ピンホール30の像は、結像光学系(18〜24,40)の像高ごとの収差状態の影響を受けて変形している。画像処理部26には、各ピンホール像に基づいて評価用の画像が取り込まれる。
さらに、ステージ12をZ方向に動かしてCCD撮像素子25の撮像面における各ピンホール像のフォーカス状態を変更し、変更するごとに、同様の評価用の画像の取り込みを行う。例えば、結像光学系(18〜24,40)の物体面に対して±2μmの範囲でステージ12を0.1μm間隔で動かしながら、評価用の画像の取り込みを繰り返す。その結果、画像処理部26には、複数のフォーカス状態の各々における評価用の画像が取り込まれたことになる。
画像処理部26では、複数の評価用の画像から各ピンホール像の強度分布を求め、同じ像高でフォーカス状態の異なるピンホール像の強度分布を計算処理することで、結像光学系(18〜24,40)を透過した短波長帯域(例えば中心波長570nm)の光の位相情報を回復させ、結像光学系(18〜24,40)の波面収差を算出する。このような計算方法の詳細は、例えば特開平10-284368号公報に記載されているので、ここでの説明を省略する。
手順[2]では、波長選択部3Eの光学フィルタとして中間波長帯域(例えば中心波長650nm)のものを選択して光路上に配置し、基板28のエリア32を視野内の中心付近に位置決めする。このとき、エリア32の中心のピンホール30を結像光学系(18〜24,40)の光軸O2上に位置決めすることが好ましい。そして、手順[1]と同様、複数のフォーカス状態の各々において各ピンホール像の評価用の画像を取り込み、中間波長帯域(例えば中心波長650nm)での波面収差を算出する。
手順[3]では、波長選択部3Eの光学フィルタとして長波長帯域(例えば中心波長750nm)のものを選択して光路上に配置し、基板28のエリア33を視野内の中心付近に位置決めする。このとき、エリア33の中心のピンホール30を結像光学系(18〜24,40)の光軸O2上に位置決めすることが好ましい。そして、手順[1]と同様、複数のフォーカス状態の各々において各ピンホール像の評価用の画像を取り込み、長波長帯域(例えば中心波長750nm)での波面収差を算出する。
このように、本実施形態では、ステージ12にピンホール30を取り付け、結像光学系(18〜24,40)を介して形成されるピンホール30の像に基づいて評価用の画像を波長帯域ごとに取り込むため、結像光学系(18〜24,40)の全体の収差状態を装置に組み込んだ状態で波長帯域ごとに簡易に評価することができる。重ね合わせ測定装置10のようにマークの位置検出を行う場合は、マーク像の色付きに起因して測定誤差を生じるため、収差状態を波長帯域ごとに直接評価できることは、非常に有益である。
さらに、本実施形態では、結像光学系(18〜24,40)の波面収差を波長帯域ごとに算出するので、結像光学系(18〜24,40)の収差状態を数値化することができる。
また、本実施形態では、波長帯域ごとに径の異なるピンホール30(つまりエリア31〜33)を用い、ピンホール30の径を波長帯域に対応して決めるため、異なる波長帯域であってもピンホール30における回折の条件を同一にすることができる。この場合、波長帯域ごとの評価を良好に行える。
さらに、本実施形態では、ピンホール30の直径φが条件式(1)を満足するので、ピンホール30を略点光源と考えることができ、かつ、ピンホール30で回折した光の強度を十分に確保することもできる。また、波面収差を算出する場合には、位相回復の計算の誤差を小さくして波面収差を精度よく算出することができる。
また、本実施形態では、基板28のエリア31〜33ごとに複数のピンホール30を設けたので、ある波長帯域での収差状態の評価を行うときに、あるエリアの中心のピンホール30を結像光学系(18〜24,40)の光軸O2上に位置決めするだけで、像高ごとの収差状態を評価(例えば波面収差を算出)することができる。
さらに、本実施形態では、このような結像光学系(18〜24,40)の評価を適宜のタイミングで(例えば製造時に)行い、結像光学系(18〜24,40)の一部の光学要素をシフト調整およびティルト調整することによって、結像光学系(18〜24,40)を備えた重ね合わせ測定装置10の測定精度を安定化させ、その性能を向上させることができる。
例えば、算出された波面収差に基づいて、結像光学系(18〜24,40)の第2対物レンズ20のアフォーカル系のレンズ2Bをシフト調整することが考えられる。このレンズ2Bが結像光学系(18〜24,40)の製造時にX方向へ所定量だけシフトした場合、視野面内でX軸上の各々の像高において、コマ収差が同一の変化量を示す。本実施形態におけるような結像光学系(18〜24,40)を製造した場合、各光学要素の偏心誤差や、研磨面の非球面誤差により、偏心コマ収差が発生する。そして、この偏心コマ収差は、レンズ2Bをシフト調整することにより補正することができる。
重ね合わせ測定装置10では、視野中心に対して非対称にコマ収差が分布した場合、重ね合わせマーク11Aの左右のエッジ位置がずれて計測されるので、重ね合わせマーク11Aを構成するレジストマークや下地マークの中心位置がずれてしまい、測定誤差(TIS)が発生する。そこで、視野中心に対してコマ収差が対称となるように、アフォーカル系のレンズ2Bをシフト調整する。このシフト調整は、算出された波面収差から Zernike係数のZ7,Z8を抽出し、これを指標に行えばよい。視野中心に対してコマ収差が対称とは、例えば像高aと像高−aとの各々で求めた Zernike係数のZ7 の平均値が0となったときである。
さらに、本実施形態では、波長帯域ごとに結像光学系(18〜24,40)の波面収差を求めるだけでなく、その波長帯域の中心波長が、重ね合わせ検査の際の照明光の波長帯域の中心波長と略一致している。このため、アフォーカル系のレンズ2Bの最適なシフト調整量を波長帯域ごとに求めておき、重ね合わせ検査の際の照明光の波長帯域(つまり波長選択部3Dの光学フィルタ)に応じてレンズ2Bを自動的にシフト調整した後、重ね合わせ検査を行うことで、より測定誤差を低減することができる。
(第2実施形態)
ここでは、基板28のピンホール30を別の方法で照明する場合を説明する。
図3に示す通り、ステージ12の貫通穴12Aには白色LED51とリレーレンズ52,53とが配置される。また、リレーレンズ52,53の間の光路上には、波長選択部54の光学フィルタを必要に応じて挿入可能となっている。波長選択部54の光学フィルタは、上記した波長選択部3E(図1)の光学フィルタと同様である。
このような構成とした場合でも、結像光学系(18〜24,40)の評価の際には、波長選択部54の何れかの光学フィルタが光路上に挿入され、白色LED51からの照明光が何れか1枚の光学フィルタとリレーレンズ52,53とを介して基板28に入射する。このため、第1実施形態と同様、結像光学系(18〜24,40)の全体の収差状態を装置に組み込んだ状態で波長帯域ごとに簡易に評価することができる。
また、第2実施形態では、ピンホール30の照明部(51〜54)がステージ12に固定されているため、ライトガイドファイバ3Fの取り付け作業を省くことができ、定期的な収差変動の管理などに適している。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、ピンホール30の画像から波面収差を算出する場合の例で説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば画像処理部26に接続された不図示のテレビモニタにピンホール30の画像を表示させ、各ピンホール像の崩れ具合を観察する(好ましくは拡大して観察する)ことにより、結像光学系(18〜24,40)の収差状態を評価してもよい。
また、上記した実施形態では、複数のピンホール30をステージ12に取り付けたが、その数は1個でもよい。この場合、結像光学系(18〜24,40)の像高ごとの収差状態を評価するためには、1個のピンホール30を物体面に沿って動かしながら、ピンホール像に基づく評価用の画像の取り込みを繰り返せばよい。
さらに、上記した実施形態では、結像光学系(18〜24,40)の波面収差に基づいて第2対物レンズ20のアフォーカル系のレンズ2Bをシフト調整したが、本発明はこれに限定されない。アフォーカル系に限らず、所定のパワーを有するレンズ(例えばレンズ2A)をシフト調整およびティスト調整しても構わない。
また、上記した実施形態では、CCD撮像素子25の撮像面におけるピンホール像のフォーカス状態を変更するときにステージ12をZ方向に動かしたが、その代わりにCCD撮像素子25をZ方向に動かしてもよい。
さらに、上記した実施形態では、重ね合わせ測定装置10に組み込まれた位置検出装置の結像光学系(18〜24,40)を例にその評価方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。アライメントマークの位置検出を行う装置(例えば露光装置のアライメント系)にも、本発明を適用できる。
第1実施形態の重ね合わせ測定装置10の全体構成を示す図である。 結像光学系(18〜24,40)の評価用の基板28とピンホール30を説明する模式図である。 第2実施形態の基板28の照明方法を説明する図である。
符号の説明
10 重ね合わせ測定装置 ; 11,28 基板 ; 11A 重ね合わせマーク ;12 ステージ ; 13〜19 照明光学系 ; 19〜24 結像光学系 ;
25 CCD撮像素子 ; 26 画像処理部 ; 30 ピンホール

Claims (6)

  1. 基板を支持するステージと、
    前記基板上の被検マークの像を形成する結像光学系と、
    前記被検マークの像に基づいて、前記被検マークの位置検出を行う処理手段と、
    前記ステージに取り付けられ、前記結像光学系の評価時に、前記結像光学系の視野内に位置決めされる複数のピンホールが設けられた光学部材と、
    前記ピンホールを複数の波長帯域の光によって順に照明する照明手段と、
    前記ピンホールで回折した光により前記結像光学系を介して形成されるピンホール像に基づいて、評価用の画像を前記波長帯域ごとに取り込む画像取込手段と、
    複数の前記波長帯域の各々で前記画像取込手段が取り込んだ前記画像に基づいて、前記結像光学系の波面収差を前記波長帯域ごとに算出する算出手段とを備え
    前記ピンホールは、複数の前記波長帯域の各々に対応して径の異なるピンホールを含む
    ことを特徴とする位置検出装置。
  2. 請求項1に記載の位置検出装置において、
    前記ピンホールの直径φは、対応する前記波長帯域の中心波長λと、前記結像光学系の開口数NAとを用いて、次の条件式を満足する
    1/4×1.22×(λ/NA) ≦ φ ≦ 1/3×1.22×(λ/NA)
    ことを特徴とする位置検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の位置検出装置において、
    前記ピンホール像のフォーカス状態を変更する変更手段と、
    複数の前記フォーカス状態の各々で前記画像取込手段が取り込んだ前記画像に基づいて、前記結像光学系の波面収差を前記波長帯域ごとに算出する算出手段とを備えた
    ことを特徴とする位置検出装置。
  4. 請求項3に記載の位置検出装置において、
    前記結像光学系の一部の光学要素は、前記結像光学系の光軸に垂直な方向にシフト可能あるいは前記光軸に対してティルト可能であり、
    前記算出手段によって算出された前記波面収差に基づいて、前記光学要素をシフト調整あるいはティルト調整する調整手段をさらに備えた
    ことを特徴とする位置検出装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の位置検出装置において、
    前記照明手段は、前記処理手段が前記被検マークの位置検出を行うとき、前記ピンホールの照明を中止する
    ことを特徴とする位置検出装置。
  6. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の位置検出装置において、
    前記処理手段が前記被検マークの位置検出を行うとき、前記ピンホールで回折した光を遮光する遮光手段を備えた
    ことを特徴とする位置検出装置。
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