JP4661098B2 - 軟質材加工用切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔性の樹脂・ゴム・ポリウレタンラバーなどからなるパッド、例えば、半導体ウエハなどの研磨用パッドの表面を加工・調整するための工具に関するものである。
近年、半導体産業の進展とともに、金属、半導体、セラミックスなどの表面を高精度に仕上げる加工方法の必要性は高まっている。とくに、半導体ウエハは、集積度の向上とともにナノメーター(1/1000ミクロン)オーダーの表面仕上げが要求されてきており、このため、多孔性のパッド(研磨布)を用いたCMP研磨(ケミカルメカニカルポリッシュ)が一般的となっている。
半導体ウエハなどの研磨に用いられるパッドは、研磨時間が経過していくにつれ、目詰まりや圧縮変形を生じ、その表面状態が次第に変化していく。すると、研磨速度の低下や不均一研磨などの好ましくない現象が生じるので、パッドの表面を定期的に加工・調整して荒すことにより、パッドの表面状態を一定に保って、良好な研磨状態を維持する工夫が行われている。
このパッドを加工・調整するために用いられるパッドコンディショナーの一例として、特許文献1に開示されているように、基材の表面に、上方に突出する複数の凸部が形成されたものがある。
このようなパッドコンディショナーは、その基材の表面を、軸線回りに回転させられているパッドの表面に対して一定の荷重で押し当てることにより、この基材がパッドの回転運動にともなって回転運動を行い、パッドの表面に圧入されている凸部によってパッドの表面を切削して加工・調整していくものである。
特開平10−44023号公報(第9図)
ところで、例えば特許文献1の第9図に示されるようなパッドコンディショナーにおいては、パッドの表面を切削するための凸部の形状及び寸法が1種類のみであり、すべての凸部が同等の加工能力でパッドの表面を切削する。そのため、上記パッドコンディショナーを用いたパッド表面の加工・調整では、上記凸部による切削で新たに生じたパッド表面を加工・調整することができなくなっており、このようなパッドによってウエハ研磨を行った場合、研磨後のウエハに所望の面粗さ及び平坦度が得られず、製品としての歩留まりが低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、新たに生じるパッド表面までも確実に加工・調整して、効率的に精度良くパッド表面の加工・調整を行うことができる軟質材加工用切削工具を提供することを目的としている。
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の軟質材加工用切削工具は、基材の表面に、複数の主台座が上方に突出して形成されているとともに、これら主台座のそれぞれの上面における周辺領域すべてを除いた中央領域に、主切刃稜線を有する1つの主切刃凸部が上方に突出して形成されることにより、前記主台座と該主台座よりも外径の小さな前記主切刃凸部とが同軸に接続された複数の主二段突起が形成され、前記基材の表面に、複数の補助台座が上方に突出して形成されているとともに、これら補助台座のそれぞれの上面における周辺領域すべてを除いた中央領域に、前記主切刃稜線よりも低い高さの補助切刃稜線を有する1つの補助切刃凸部が上方に突出して形成されることにより、前記補助台座と該補助台座よりも外径の小さな前記補助切刃凸部とが同軸に接続された複数の補助二段突起が形成されていることを特徴とする。
本発明の軟質材加工用切削工具では、主切刃稜線を有する主切刃凸部によって、被削材としてのパッド表面の主たる切削を行うとともに、この主切刃稜線よりも低い高さの補助切刃稜線を有する補助切刃凸部によって、上記主切刃稜線による切削で生じた新たなパッド表面の切削を行うことができるようになっている。
したがって、主切刃稜線による主たる切削で生じた新たなパッド表面までも補助切刃稜線によって確実に加工・調整して、効率的に精度良くパッド表面の加工・調整を行うことができるため、このようなパッドによって研磨されるウエハに対して所望の面粗さ及び平坦度を付与して、製品としての歩留まりを向上させることができる。
また、本発明においては、前記基材の表面に、主台座が上方に突出して形成されているとともにこの主台座の上面に前記主切刃凸部が上方に突出して形成され、前記基材の表面に、補助台座が上方に突出して形成されているとともにこの補助台座の上面に前記補助切刃凸部が上方に突出して形成されている。
このような構成であるため、被削材としてのパッドの表面に対して、主切刃凸部や補助切刃凸部が接地して圧入したときに、主切刃凸部や補助切刃凸部の圧入によって生じた凹部状の変形領域の周囲を押さえつけて拘束することになるので、これら主切刃凸部及び補助切刃凸部の圧入によってパッド表面に生じた凹部状の変形領域の周囲すべてを、主台座の上面における周縁領域及び補助台座の上面における周縁領域によって押さえつけて拘束することができるので、主切刃凸部の主切刃稜線や補助切刃凸部の補助切刃稜線をパッド表面に対して効率的に作用させることができる。
ここで、上記主切刃稜線よりも低い高さの補助切刃稜線を、新たに生じたパッド表面に対して確実に切刃として作用させるためには、前記主切刃稜線の高さが、0.20mm〜0.50mmの範囲に設定され、前記補助切刃稜線の高さの前記主切刃稜線の高さに対する割合が、60%〜95%の範囲に設定されていることが好ましい。
さらに、上記補助切刃稜線による新たに生じたパッド表面の加工・調整作用を十分に得るためには、前記主切刃凸部の個数の前記補助切刃凸部の個数に対する割合が、0.125〜1.0の範囲に設定されていることが好ましい。
また、本発明においては、少なくとも前記主切刃稜線部分が、例えばビッカース硬さ13GPa以上の硬さを有する耐摩耗性材料で構成されていることが好ましく、このような構成とすると、主切刃稜線に対して耐摩耗性を与えることができるので、長期間に亘って切れ味を劣化させることなく安定したパッド加工能力を維持することができる。
ここで、少なくとも主切刃稜線部分を耐摩耗性材料で構成するために、例えば、少なくとも前記主切刃稜線部分が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされているようにしてもよい。
このとき、気相合成ダイヤモンドのコーティング層の層厚は、0.5μm〜50μmの範囲に設定されていることが好ましく、この層厚が0.5μmより小さくなると、主切刃稜線に与えられる耐摩耗性が十分ではなく、寿命が低下してしまうおそれがあり、一方、コーティング層の層厚が50μmより大きくなると、コーティング層と下地との熱膨張係数差によりクラックが生じやすくなって脆くなるおそれがある。
さらに、このとき、気相合成ダイヤモンドのコーティング層は、主切刃稜線部分だけに形成されているのでもよいが、主切刃凸部や補助切刃凸部を含むように基材の表面の全面に亘って形成されていることが好ましく、このような構成とした場合には、たとえ溶出による汚染のおそれがある材料から基材を構成したとしても、この基材の表面の全面がコーティングされていることによって、溶出による汚染を防止することができ、しかも、主切刃凸部や補助切刃凸部の強度をより向上させることが可能となる。
ここで、少なくとも主切刃稜線部分を耐摩耗性材料で構成するため、例えば、少なくとも前記主切刃稜線部分が、セラミックスで構成されているようにしてもよい。
このとき、上記のセラミックスは、主切刃稜線部分だけを構成しているのでもよいが、主切刃凸部や補助切刃凸部を含むように基材における少なくとも表面の全面を構成していることが好ましく、このような場合には、基材の溶出による汚染を防止することができ、しかも、主切刃凸部や補助切刃凸部の強度をより向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態による軟質材加工用工具の平面図、図2は図1におけるA−A線断面図である。
本第1実施形態による軟質材加工用切削工具の基材10は、軸線Oを中心として、軸線O回りに回転(回転方向T)される略円板状をなすものである。
基材10の表面11における中央領域を除いた径方向外周側の周縁領域には、上方に向けて突出する少なくとも1つの主台座20が形成されており、本第1実施形態では、上方に向けて突出する複数の主台座20が、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成されている。
これら複数の主台座20は、それぞれ同一形状の略正四角柱状を呈しており、略正四角形面状をなす上面21の全面が、基材10の表面11と略平行な平坦面とされるとともに、基材10の表面11からの高さH1が例えば0.25mmに設定されている。
また、複数の主台座20のそれぞれの上面21(平坦面)において、その周縁領域(主台座20における上面21と周面(側面)とが交差してできる略正四角形状の交差稜線22を含むような周縁領域)のうちの少なくとも回転方向T前方側(略円板状をなす基材10の軸線Oから径方向外周側へ向かって延びる直線よりも前方側)及び後方側(略円板状をなす基材10の軸線Oから径方向外周側へ向かって延びる直線よりも後方側)の領域を除いた領域に、上方に突出する少なくとも1つの主切刃凸部23が形成されており、本第1実施形態では、複数の主台座20のそれぞれの上面21において、その周縁領域のうちの回転方向T前方側及び後方側だけでなく、周縁領域のうちの(基材10の)径方向内周側及び外周側の領域などを含む周縁領域すべてを除いた中央領域に、上方に突出する1つの主切刃凸部23が形成されている。
なお、これら複数の主切刃凸部23も、主台座20と同様にそれぞれ同一形状の略正四角柱状を呈しているため、略正四角形面状をなす主台座20の上面21は、実際には、その周縁領域のみから構成された略正四角リング面状をなしている。
このように、1つの主台座20のそれぞれに対して、その上面21の中央領域に1つの主切刃凸部23が上方に突出して形成されているため、これら主台座20及び主切刃凸部23は、外径の大きな略正四角柱状をなす主台座20と外径の小さな略正四角柱状をなす主切刃凸部23とが同軸に接続されたような二段突起となっており、基材10の表面11には、複数の主台座20と同じ数だけ、複数の主切刃凸部23が存在することになる。
また、主切刃凸部23の略正四角形面状をなす上面24の全面が、基材10の表面11と略平行な平坦面とされるとともに、基材10の表面11からの高さHが0.20mm〜0.50mmの範囲に設定されており、本第1実施形態では、主切刃凸部23の上面24の高さHが例えば0.30mmに設定されている(主台座20の上面21からの高さH2が例えば0.05mmに設定されている)。
さらに、主切刃凸部23における上面24(平坦面)と周面(側面)とが交差してできる略正四角形状の交差稜線が、この主切刃凸部23の有する主切刃稜線25となっている。
つまり、この主切刃凸部23の主切刃稜線25の高さHが0.20mm〜050mmの範囲に設定されているのであり、本第1実施形態では、主切刃凸部23の主切刃稜線25の高さHが例えば0.30mmに設定されている(主台座20の上面21からの高さH2が例えば0.05mmに設定されている)。
同じく、基材10の表面11における中央領域を除いた径方向外周側の周縁領域には、上方に向けて突出する少なくとも1つの補助台座30が形成されており、本第1実施形態では、上方に向けて突出する複数の補助台座30が、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するとともに、上記複数の主台座20のそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されている。
これら複数の補助台座30は、それぞれ同一形状の略正四角柱状を呈しており、略正四角形面状をなす上面31の全面が、基材10の表面11と略平行な平坦面とされるとともに、基材10の表面11からの高さh1が例えば0.20mmに設定されている。
また、複数の補助台座30のそれぞれの上面31(平坦面)において、その周縁領域(補助台座30における上面31と周面(側面)とが交差してできる略正四角形状の交差稜線32を含むような周縁領域)のうちの少なくとも回転方向T前方側(略円板状をなす基材10の軸線Oから径方向外周側へ向かって延びる直線よりも前方側)及び後方側(略円板状をなす基材10の軸線Oから径方向外周側へ向かって延びる直線よりも後方側)の領域を除いた領域に、上方に突出する少なくとも1つの補助切刃凸部33が形成されており、本第1実施形態では、複数の補助台座30のそれぞれの上面31において、その周縁領域のうちの回転方向T前方側及び後方側だけでなく、周縁領域のうちの(基材10の)径方向内周側及び外周側の領域などを含む周縁領域すべてを除いた中央領域に、上方に突出する1つの補助切刃凸部33が形成されている。
なお、これら複数の補助切刃凸部33も、補助台座30と同様にそれぞれ同一形状の略正四角柱状を呈しているため、略正四角形面状をなす補助台座30の上面31は、実際には、その周縁領域のみから構成された略正四角リング面状をなしている。
このように、1つの補助台座30のそれぞれに対して、その上面31の中央領域に1つの補助切刃凸部33が上方に突出して形成されているため、これら補助台座30及び補助切刃凸部33は、外径の大きな略正四角柱状をなす補助台座30と外径の小さな略正四角柱状をなす補助切刃凸部33とが同軸に接続されたような二段突起となっており、基材10の表面11には、複数の補助台座30と同じ数だけ、複数の補助切刃凸部33が存在することになる。
また、補助切刃凸部33の略正四角形面状をなす上面34の全面が、基材10の表面11と略平行な平坦面とされるとともに、基材10の表面11からの高さhが主切刃凸部23の上面24の高さH(基材10の表面11からの高さH)に対して60%〜95%の範囲に設定されており、本第1実施形態では、補助切刃凸部33の上面34の高さhが例えば0.25mmに設定されている(補助台座30の上面31からの高さh2が例えば0.05mmに設定されている)。
さらに、補助切刃凸部33における上面34(平坦面)と周面(側面)とが交差してできる略正四角形状の交差稜線が、この補助切刃凸部33の有する補助切刃稜線35となっている。
つまり、この補助切刃凸部33の補助切刃稜線35の高さhが主切刃凸部23の主切刃稜線25の高さHに対して60%〜95%の範囲に設定されているのであり、本第1実施形態では、補助切刃凸部33の補助切刃稜線35の高さhが例えば0.25mm(=主切刃凸部23の主切刃稜線25の高さHに対して80%)に設定されている(補助台座30の上面31からの高さh2が例えば0.05mmに設定されている)。
ここで、主切刃凸部23の個数の補助切刃凸部33の個数に対する割合は0.125〜1.0の範囲に設定されており、本第1実施形態においては、上述したように補助台座30及び補助切刃凸部33からなる複数の補助二段突起のそれぞれが主台座20及び主切刃凸部23からなる複数の主二段突起のそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されているため、主切刃凸部23の個数の補助切刃凸部33の個数に対する割合が1.0に設定されている。
このような複数の主台座20及び複数の主切刃凸部23と複数の補助台座30及び複数の補助切刃凸部33とが表面11に配置された基材10は、例えば、略円板状をなす基材の平坦な表面に対して切削加工等を施すことによって製造され、基材10の表面11に、この表面11と一体となった複数の主台座20及び複数の主切刃凸部23と複数の補助台座30及び複数の補助切刃凸部33とが形成されるのである。
そして、上述したような基材10において、その表面11と一体に形成された少なくとも主切刃凸部23における主切刃稜線25部分が、気相合成ダイヤモンド12によって、0.5〜50μmの層厚tでコーティングされており、本第1実施形態においては、複数の主切刃凸部23及び複数の主台座20と複数の補助切刃凸部33及び複数の補助台座30とを含む基材10の表面11の全面が、気相合成ダイヤモンド12でコーティングされ、そのコーティング層の層厚tは、例えば10μmとされている。
これにより、少なくとも主切刃凸部23における主切刃稜線25部分が、ビッカース硬さ13GPa以上の硬さを有する耐摩耗性材料で構成されることとなる。
このような気相合成ダイヤモンド12のコーティング層は、上記のような複数の主台座20及び複数の主切刃凸部23と複数の補助台座30及び複数の補助切刃凸部33とを有する基材10に対して、例えば、マイクロ波プラズマを利用する方法や熱フィラメントを利用する方法などの既存の方法を用いることにより、複数の主台座20及び複数の主切刃凸部23と複数の補助台座30及び複数の補助切刃凸部33とを含む表面11の全面に亘って形成される。
ここで、基材10を構成する材料に関しては、気相合成ダイヤモンド12によるコーティングのしやすさ、主台座20及び主切刃凸部23や補助台座30及び補助切刃凸部33の形成しやすさ、及び、実用に耐えるための機械的特性等の観点から、例えば、以下に示すようなものが挙げられる。
(1)
4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属もしくはシリコンの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物、
4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属とシリコンとの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物、
シリコン、
のうちのいずれか1種、または、これらの複合体。
(2)
4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属もしくはシリコンの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物のうちの少なくとも1種と、
鉄、ニッケルもしくはコバルトのうちの少なくとも1種との複合体よりなる超硬合金。
(3)
シリコンもしくはアルミニウムの窒化物もしくは酸化物のうちのいずれか1種、
または、これらの複合体。
上記のような構成とされた軟質材加工用切削工具は、基材10の裏面にSUSや樹脂等からなる板材が貼り付けられたり、基材10がSUS等の板材に形成された凹みに焼き嵌めされたりして組み付けられてから、実際の加工に用いられることになる。
そして、組み付けられた状態の軟質材加工用工具は、その基材10の表面11を、軸線回りに回転させられている多孔性の樹脂・ゴム・(独立気泡を有する)ポリウレタンラバーなどからなるパッドの表面に対して一定の荷重で押し当てることにより、基材10がパッドの回転運動にともなって軸線O回りの回転運動(回転方向T)を行う。
これにより、パッド表面に接地して圧入している複数の主切刃凸部23に形成された主切刃稜線25で、被削材としてのパッド表面を切削する(実際には、主切刃稜線25をコーティングしている気相合成ダイヤモンド12が、パッド表面を切削することになる)とともに、同じくパッド表面に接地して圧入している複数の補助切刃凸部33に形成された補助切刃凸部35が、被削材としてのパッド表面を切削する(実際には、補助切刃稜線35をコーティングしている気相合成ダイヤモンド12が、パッド表面を切削することになる)。
なお、主切刃稜線25及び補助切刃稜線35にて生成される切屑は、主切刃凸部23及び補助切刃凸部33同士の間に位置する隙間や主台座20及び補助台座30同士の間に位置する隙間などを介して排出される。
このとき、本第1実施形態では、主切刃稜線25を有する主切刃凸部23によって、パッド表面の主たる切削を行うとともに、この主切刃稜線25よりも低い高さの補助切刃稜線35を有する補助切刃凸部33によって、主切刃稜線25による切削で生じた新たなパッド表面の切削を行うようになっている。
そのため、主切刃稜線25による主たる切削で生じたパッド表面までも補助切刃稜線35によって確実に加工・調整して、効率的に精度良くパッド表面の加工・調整を行うことができることになり、このようなパッドによって研磨された後のウエハに対して所望の面粗さ及び平坦度を付与して、製品としての歩留まりを向上させることができる。
なお、本第1実施形態では、新たに生じたパッド表面を切削するための複数の補助切刃稜線35の高さhがすべて同一の1種類となっているが、これに限定されることはなく、複数の補助切刃稜線35の高さhが複数種類となっていてもよい(後述する高さhの範囲を満たしていることが好ましい)。
しかしながら、あまり数多くの種類の高さhの補助切刃稜線35が存在していたとしても、それによって得られる上述の効果が必ず向上するわけではないため、補助切刃稜線35の高さhは例えば1種類〜2種類程度にしておくのが適当である。
また、主切刃稜線25の高さHが0.20mm〜0.50mmの範囲に設定されているとともに、補助切刃稜線35の高さhの主切刃稜線25の高さHに対する割合が60%〜95%の範囲に設定されているため、主切刃稜線25の切刃としての作用を維持しつつ、この主切刃稜線25よりも低い高さの補助切刃稜線35を、主切刃稜線25による切削で新たに生じたパッド表面に対して確実に切刃として作用させることができている。
ここで、主切刃稜線25の高さHが0.20mmよりも小さくなったり、補助切刃稜線35の高さhの主切刃稜線25の高さHに対する割合が60%よりも小さくなったりすると、主切刃凸部23や補助切刃凸部33のパッド表面への十分な圧入深さが得られなくなって、主切刃稜線25や補助切刃稜線35の切刃としての作用が損なわれてしまうおそれがある。
一方、主切刃稜線25の高さHが0.50mmよりも大きくなると、この主切刃稜線25の強度が損なわれてしまうおそれがあり、また、補助切刃稜線35の高さhが主切刃稜線25の高さHに対する割合が95%よりも大きくなると、主切刃稜線25による切削で新たに生じたパッド表面を補助切刃稜線35によって加工・調整することができなくなってしまうおそれがある。
なお、主切刃稜線25の高さHは0.25mm〜0.40mmの範囲に設定されていることがより好ましく、補助切刃稜線35の高さhの主切刃稜線25の高さHに対する割合は75%〜95%の範囲に設定されていることがより好ましい。
また、主切刃凸部23の個数の補助切刃凸部33の個数に対する割合が0.125〜1.0の範囲に設定されているため、補助切刃稜線35による新たに生じたパッド表面の加工・調整作用を十分に得ることができている。
ここで、この個数割合が0.125よりも小さくなると、補助切刃凸部33の個数が必要以上に多くなりすぎるおそれがあり、逆に、この個数割合が1.0よりも大きくなると、補助切刃凸部33の個数が少なくなりすぎて、新たに生じたパッド表面の加工・調整を十分に行うことができなくなってしまうおそれがある。
なお、主切刃凸部23の個数の補助切刃凸部33の個数に対する割合は0.2〜1.0の範囲に設定されていることがより好ましい。
また、本第1実施形態では、主切刃凸部23が主台座20の上面21から突出形成されているとともに、主台座20が基材10の表面11から突出形成されていて、これら主切刃凸部23及び主台座20が二段突起となっている。さらに、本第1実施形態では、補助切刃凸部33が補助台座30の上面31から突出形成されているとともに、補助台座30が基材10の表面11から突出形成されていて、これら補助切刃凸部33及び補助台座30も二段突起となっている。
そのため、パッドの表面に対して主切刃凸部23及び補助切刃凸部33が接地して圧入したときには、これら主切刃凸部23及び補助切刃凸部33の圧入によってパッド表面に生じた凹部状の変形領域の周囲すべてを、主台座20の上面21における周縁領域及び補助台座30の上面31における周縁領域によって押さえつけて拘束することができるので、主切刃凸部23の主切刃稜線25及び補助切刃凸部33の補助切刃稜線35をパッド表面に対して効率的に作用させることが可能となっている。
さらに、主切刃凸部23における主切刃稜線25部分と補助切刃凸部33における補助切刃稜線35部分とを含んで、基材10の表面11の全面が、気相合成ダイヤモンド12によって、その層厚tが0.5μm〜50μmの範囲となるようにコーティングされていることから、これら主切刃稜線25及び補助切刃稜線35に対して、十分な耐摩耗性を与えることができる。これにより、長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定したパッド加工能力を維持していくことが可能となり、かつ、主切刃凸部23及び補助切刃凸部33の強度をより向上させることができる。
ここで、この層厚tが、0.5μmより小さくなると、主切刃稜線25及び補助切刃稜線35に与えられる耐摩耗性が十分ではなくなり、一方、層厚tが、50μmより大きくなると、コーティング層と下地との熱膨張係数差によりクラックが生じやすくなって脆くなるおそれがある。
なお、この層厚tは、5μm〜30μmの範囲に設定されていることがより好ましい。
また、例えば、半導体ウエハのCMP研磨中において、これと同時に、半導体ウエハ研磨用のパッド表面を加工、調整するような場合には、軟質材加工用工具の基材10を構成する材料が溶出することで、半導体ウエハの汚染につながるおそれがあるため、この基材10には、上述した基材10を構成する材料(1)〜(3)のうち、(1),(3)のような、溶出による汚染のおそれが比較的少ない材料を用いることが多い。
しかしながら、本第1実施形態による軟質材加工用工具では、その基材10の表面11の全面に亘って、気相合成ダイヤモンド12のコーティング層が形成されていることから、たとえ、(2)のような、溶出による汚染のおそれがある材料を用いて基材10を構成したとしても、そのような汚染の心配が生じることがない。
なお、本第1実施形態においては、少なくとも主切刃凸部23における主切刃稜線25部分を気相合成ダイヤモンド12でコーティングすることによって、少なくとも主切刃稜線25部分が、ビッカース硬さ13GPa以上の硬さを有する材料で構成されるようになっているが、これに限定されることはない。例えば、少なくとも主切刃凸部23における主切刃稜線25部分をセラミックスで構成する(好ましくは、複数の主切刃凸部23と複数の補助切刃凸部33とが形成された基材10の表面11の全面を含んだ基材10全体をセラミックスで構成する)ことによって、少なくとも主切刃稜線25部分が、ビッカース硬さ13GPa以上の硬さを有する耐摩耗性材料で構成されるようになっていてもよい。
このような場合であっても、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。ここで、基材10を構成する材料であるセラミックスに関しては、主台座20及び主切刃凸部23や補助台座30及び補助切刃凸部33の形成しやすさ、実用に耐えるための機械的特性、寿命(耐摩耗性)や化学的安定性等の観点から、例えば、SiC、SiNやアルミナなどが挙げられる。
また、本第1実施形態では、基材10の表面11における中央領域を除いた径方向外周側の周縁領域に、それぞれ主台座20及び主切刃凸部23からなる複数の二段突起(以下、主二段突起23Aとする)が、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、それぞれ補助台座30及び補助切刃凸部33からなる複数の二段突起(以下、補助二段突起33Aとする)が、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するとともに、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されているが、このような主二段突起23A及び補助二段突起33Aの配置だけに限定されることはない。
例えば、具体例として、以下に示す本発明の第2〜第11実施形態のようなものであってもよい(上述した第1実施形態と同様の部分については説明を省略する)。
図3に示す本発明の第2実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23A(分かりやすくするために図面上では○印で示している。以下の実施形態でも同様。)が、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33A(分かりやすくするために図面上では□印で示している。以下の実施形態でも同様。)が、周方向で略等間隔に配置された2列を構成するとともに、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されている。
図4に示す本発明の第3実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aと複数の補助二段突起33Aとが、周方向で略等間隔かつ交互に配置された2列を構成するように形成されている。
図5に示す本発明の第4実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aと複数の補助二段突起33Aとが、周方向で略等間隔かつ交互に配置された3列を構成するように形成されている。
図6に示す本発明の第5実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aが、周方向で略等間隔に配置された2列を構成するとともに、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれに対応する径方向内周側及び外周側の位置から周方向にずれて位置するように形成されている。
図7に示す本発明の第6実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aが、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれの周囲を例えば6つずつで囲むように形成されている。
図8に示す本発明の第7実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aが、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するとともに、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33B(補助二段突起33Aの補助切刃稜線35よりも低い高さhの補助切刃稜線35を有する補助切刃凸部33及び補助台座30からなる二段突起。分かりやすくするために図面上では△印で示している。以下の実施形態でも同様)が、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するとともに、上記複数の補助二段突起33Aのそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されている。
図9に示す本発明の第8実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aと複数の補助二段突起33Bとが、周方向で略等間隔かつ交互に配列された1列を構成するとともに、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されている。
図10に示す本発明の第9実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、周方向で略等間隔に配置された1列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aと複数の補助二段突起33Bとが、周方向で略等間隔かつ交互に配列された2列を構成するとともに、上記複数の主二段突起23Aのそれぞれに対応する径方向内周側に位置するように形成されている。
図11に示す本発明の第10実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、所定の一方向に配列された複数列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aが、上記一方向に配列された複数列を構成するように形成されていて、さらに、これら主二段突起23Aがなす複数列と補助二段突起33Aがなす複数列とが交互に配置されている。
図12に示す本発明の第11実施形態では、基材10の表面11における周縁領域に、複数の主二段突起23Aが、所定の一方向に配列された複数列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Aが、上記一方向に配列された複数列を構成するように形成され、かつ、複数の補助二段突起33Bが、上記一方向に配列された複数列を構成するように形成されていて、さらに、これら主二段突起23Aがなす複数列と補助二段突起33Aがなす複数列と補助二段突起33Bがなす複数列とが交互に配置されている。
以上説明したような第2〜第11実施形態であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、基材10の表面11に、主切刃稜線25を有する切刃凸部23と、この主切刃凸部23の主切刃稜線25よりも低い高さhの補助切刃稜線35を有する補助切刃凸部35とが形成されていれば、たとえランダムに主切刃凸部23及び補助切刃凸部33が配置されていた場合でも、上述した第1実施形態と同様の効果を何の遜色もなく奏することができるのである。
なお、各実施形態においては、主台座20の上面21及び主切刃凸部23の上面24や補助台座30の上面31及び補助切刃凸部33の上面34の全面が平坦面とされているが、これに限定されることはなく、主台座20の上面21及び主切刃凸部23の上面24や補助台座30の上面31及び補助切刃凸部33の上面34には平坦面が存在してさえいればよい。例えば、主台座20の上面21及び主切刃凸部23の上面24や補助台座30の上面31及び補助切刃凸部33の上面34が、基材10の表面11側へ凹まされてなる凹部を備えた平坦面を有するものであってもよいし、あるいは、その稜線部に面取りが施されてなる平坦面を有するものであってもよい(主切刃凸部23及び補助切刃凸部33については、それらの上面24及び上面34に存在する平坦面の稜線部だけが切刃として作用するのではなく、面取りによって形成された面同士の交差稜線なども切刃として作用することがある)。
また、各実施形態においては、主台座20の上面21及び主切刃凸部23の上面24や補助台座30の上面31及び補助切刃凸部33の上面34に存在する平坦面が、基材10の表面11と略平行なものとなっているが、基材10の表面11に対して多少の傾斜を有するようなものであってもよい。
また、各実施形態では、正四角柱状の主台座20及び正四角柱状の主切刃凸部23と同じく正四角柱状の補助台座30及び正四角柱状の補助切刃凸部33とを基板10の表面11に形成しているが、これに限定されることはなく、例えば主台座20及び主切刃凸部23や補助台座30及び補助切刃凸部33に対して多角柱状あるいは円柱状の形状を適用しても構わない。
さらに、各実施形態では、主切刃凸部23及び主台座20からなる二段突起や補助切刃凸部33及び補助台座30からなる二段突起が、基材10の表面11から突出形成されているが、これに限定されることはなく、例えば主切刃凸部23及び補助切刃凸部33のうちの少なくとも一方が、直接、基材10の表面11から突出形成されていても構わない。
加えて、各実施形態においては、略円板状をなす基材10を用いているが、これに限定されることなく、他の形状の基材、例えば、平坦な表面を有する略直方体状の基材を用いたり、あるいは、凸状に湾曲した表面を有する基材(断面円弧状の外周面(表面)を有する略円柱状の基材)を用いて、パッド表面の加工・調整を行ったとしても、何の遜色もなく、上述したような効果を奏することができる。
以下、本発明の一例を用いて比較試験を行うことにより、本発明の有効性を検証した。
〈試験1〉
試験工具として、基材10の表面11に主二段突起(主切刃凸部23及び主台座20)が120個形成され、表面11の全面が気相合成ダイヤモンド12でコーティングされた軟質材加工用切削工具(比較例)と、基材10の表面11に主二段突起と補助二段突起(補助切刃凸部33及び補助台座30)あるいは補助一段突起(補助切刃凸部33)とがそれぞれ120個ずつ形成され、表面11の全面が気相合成ダイヤモンド12でコーティングされた軟質材加工用切削工具(実施例1〜5)とを用意した。
比較例及び実施例に共通して、略円板状をなす基材10の直径を4インチとし、主二段突起、補助二段突起、補助一段突起の形状及び寸法(単位mm)を以下の表1に示すようにした。
Figure 0004661098
これらの軟質材加工用切削工具を用いてパッド(IC1000)を加工・調整した後、加工・調整されたパッドによって、研磨スラリー:SS12、研磨荷重:4kgfで、ウエハ(酸化膜付きSi)を研磨した。そして、ウエハの研磨レート、1.00μm以下の欠陥数(KLA−Tencor社製SP1によって検出)、膜厚分布を比較した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 0004661098
表2に示されるように、まず研磨レートについては、実施例1〜5で比較例に対する研磨レートの低下が生じており、とくに補助切刃稜線35の高さhが主切刃稜線25の高さHの60%〜95%の範囲に設定された実施例1,3,4で実施例2,5よりも研磨レートの低下が若干大きく生じている。これは、実施例1〜5で補助切刃稜線35がパッド表面に有効に作用し(実施例1,3,4でとくに有効に作用し)、主切刃稜線25による加工で生じたパッド表面の荒れが調整されたことによるレート低下であるが、実用上、支障のない範囲である。
次に、1.00μm以下の欠陥数については、実施例1〜5で検出された欠陥数が比較例よりも減少しており、とくに実施例1,3,4では欠陥数が比較例の1/2程度まで大幅に減少している。これは、補助切刃稜線35による作用でパッド屑、研磨屑やスラリー残渣が除去されたこと、またパッド表面の平滑性が向上することによりパッド表面に残留するそれら加工屑が減少すること、等に起因した効果である。
次に、膜厚分布についても、欠陥数の傾向と同様に、実施例1〜5で効果が見られ、とくに実施例1,3,4で優れた効果が見られた。これは、補助切刃稜線35によるパッド表面の調整でこのパッド表面の平坦性が改善されたことに起因した効果である。
以上の結果から、本発明の一例である実施例1〜5(とくに補助切刃稜線35の高さhが主切刃稜線25の高さHの60%〜95%の範囲に設定された実施例1,3,4)において、補助切刃稜線35によるパッド表面の調整効果で研磨レートの低下が生じるが実用上問題なく、研磨屑、スラリー残渣の除去とパッド表面の平滑性向上による欠陥の抑制、パッド表面の平坦性の改善による膜厚分布の抑制などの効果を得ることができるのが分かる。
〈試験2〉
試験工具として、基材10の表面11に主二段突起が120個形成され、表面11の全面が気相合成ダイヤモンド12でコーティングされた軟質材加工用切削工具(比較例)と、基材10の表面11に主二段突起と少なくとも1種類の高さhの補助切刃稜線35を有する補助二段突起あるいは補助一段突起とがそれぞれ120個ずつ形成され、表面11の全面が気相合成ダイヤモンド12でコーティングされた軟質材加工用切削工具(実施例1〜8)とを用意した。
比較例及び実施例に共通して、略円板状をなす基材10の直径を4インチとし、主二段突起、補助二段突起、補助一段突起の形状及び寸法(単位mm)を以下の表3に示すようにした。
Figure 0004661098
これらの軟質材加工用切削工具を用いてパッド(IC1000)を加工・調整した後、加工・調整されたパッドによって、研磨スラリー:SS12、研磨荷重:4kgfで、ウエハ(酸化膜付きSi)を研磨した。そして、ウエハの外周部分及び中心部分での研磨レート比を比較した。その結果を以下の表4に示す。
Figure 0004661098
表4に示されるように、補助切刃稜線35を有する実施例1〜8で加工・調整した後のパッド表面の平坦度が増していたために、ウエハの外周部分でのダレが改善されて、このウエハの研磨レート比を向上することができていたのが分かる。なお、実施例2と実施例3との比較、実施例4と実施例5との比較、実施例7と実施例8との比較で分かるように、2種類の高さhの補助切刃稜線35を有する場合と、3種類の高さhの補助切刃稜線35を有する場合とでは、研磨レート比を向上する効果の違いは見られない。
本発明の第1実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 図1におけるA−A線断面図である。 本発明の第2実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第3実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第4実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第5実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第6実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第7実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第8実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第9実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第10実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。 本発明の第11実施形態による軟質材加工用工具の平面図である。
符号の説明
10 基材
11 基材の表面
20 主台座
23 主切刃凸部
25 主切刃稜線
30 補助台座
33 補助切刃凸部
35 補助切刃稜線

Claims (9)

  1. 基材の表面に、複数の主台座が上方に突出して形成されているとともに、これら主台座のそれぞれの上面における周辺領域すべてを除いた中央領域に、主切刃稜線を有する1つの主切刃凸部が上方に突出して形成されることにより、前記主台座と該主台座よりも外径の小さな前記主切刃凸部とが同軸に接続された複数の主二段突起が形成され、
    前記基材の表面に、複数の補助台座が上方に突出して形成されているとともに、これら補助台座のそれぞれの上面における周辺領域すべてを除いた中央領域に、前記主切刃稜線よりも低い高さの補助切刃稜線を有する1つの補助切刃凸部が上方に突出して形成されることにより、前記補助台座と該補助台座よりも外径の小さな前記補助切刃凸部とが同軸に接続された複数の補助二段突起が形成されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  2. 請求項1に記載の軟質材加工用切削工具であって、
    前記主切刃稜線の高さが、0.20mm〜0.50mmの範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  3. 請求項1または請求項2に記載の軟質材加工用切削工具であって、
    前記補助切刃稜線の高さの前記主切刃稜線の高さに対する割合が、60%〜95%の範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軟質材加工用切削工具であって、
    前記主切刃凸部の個数の前記補助切刃凸部の個数に対する割合が、0.125〜1.0の範囲に設定されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  5. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の軟質材加工用切削工具であって、
    少なくとも前記主切刃稜線部分が、耐摩耗性材料で構成されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  6. 請求項に記載の軟質材加工用切削工具であって、
    少なくとも前記主切刃稜線部分が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  7. 請求項に記載の軟質材加工用切削工具であって、
    前記基材の表面の全面が、前記気相合成ダイヤモンドでコーティングされていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  8. 請求項に記載の軟質材加工用切削工具であって、
    少なくとも前記主切刃稜線部分が、セラミックスで構成されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
  9. 請求項に記載の軟質材加工用切削工具であって、
    前記基材の少なくとも表面の全面が、前記セラミックスで構成されていることを特徴とする軟質材加工用切削工具。
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