JP2003170356A - ダイヤモンドコーティング切削工具 - Google Patents

ダイヤモンドコーティング切削工具

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JP2003170356A
JP2003170356A JP2002280915A JP2002280915A JP2003170356A JP 2003170356 A JP2003170356 A JP 2003170356A JP 2002280915 A JP2002280915 A JP 2002280915A JP 2002280915 A JP2002280915 A JP 2002280915A JP 2003170356 A JP2003170356 A JP 2003170356A
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cutting
diamond
substrate
area
pad
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JP2002280915A
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Ryuichi Matsuki
竜一 松木
Satoyuki Masuno
智行 益野
Keisuke Morita
啓介 森田
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Mitsubishi Materials Corp
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Mitsubishi Materials Corp
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  • Grinding-Machine Dressing And Accessory Apparatuses (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 パッドの表面の調整作用に優れ、長期間に亘
って安定であり、かつ、安価なパッドコンディショナー
を提供すること。 【解決手段】 基板10の表面11に、上面13が平坦
な凸部12を複数設ける。凸部1個当たりの上面13の
面積s1を、0.01〜1mmの範囲に設定する。複
数の凸部12の上面13の合計面積S1と、基板10の
表面11の面積S2との比S1/S2を、0.0001
〜0.01の範囲に設定する。凸部12における切刃1
4部分を含んで、基板10の表面11の全面に、気相合
成ダイヤモンド15をコーティングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔性の樹脂、ゴ
ム、ポリウレタンラバーなどからなるパッド、例えば、
半導体ウエハなどの研磨用パッドの表面を加工、調整す
るための工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体産業の進展とともに、金
属、半導体、セラミックなどの表面を高精度に仕上げる
加工方法の必要性は高まっている。とくに、半導体ウエ
ハは、集積度の向上とともにナノミクロン(1/100
0ミクロン)オーダーの表面仕上げが要求されてきてお
り、このため、多孔性のパッド(研磨布)を用いた、C
MP研磨(メカノケミカル研磨)が一般的となってい
る。
【0003】このような半導体ウエハなどの研磨に用い
られるパッドは、研磨時間が経過していくにつれ、目詰
まりや圧縮変形を生じ、その表面状態が次第に変化して
いく。すると、研磨速度の低下などの好ましくない現象
が生じるので、パッドの表面を定期的に加工、調整して
荒すことにより、パッドの表面状態を一定に保って、良
好な研磨状態を維持する工夫が行われている。また、最
近では、半導体装置の製造工程途中においても凹凸を平
坦化するために研磨加工が用いられるようになってきて
おり、このような場合には、凹部と凸部との研磨速度比
を大きくとるために、独立気泡を有するポリウレタンラ
バーからなるパッドなど、より強力な表面調整が必要と
されるパッドを使用する場合も増加している。
【0004】ところで、従来では、これらのパッドを加
工、調整するためにはパッドコンデショナーと呼ばれる
砥石が用いられるのが一般的であった。このパッドコン
デショナーとして、以下に示すようなものが知られてい
る。まず、第1には、表面に複数の溝や穴が形成された
アルミナ,マグネシア,シリカなどの焼結体治具を用い
たパッドコンディショナーがあり、これらは、図7乃至
図9に示すように、例えば、略円板状(図7,8)ある
いは略直方体状(図9)をなすパッドコンディショナー
1の表面2に、複数の穴3あるいは溝4が形成されてな
るものであり、この表面2をパッドの表面に押し当てる
とともに、略円板状のパッドコンディショナーでは、回
転運動、場合によっては並進運動をし、略直方体状のパ
ッドコンディショナーでは、並進運動をすることによっ
て、パッドの表面を加工、調整するものである。
【0005】そして、第2には、ダイヤモンド電着プレ
ートを用いたパッドコンディショナーがあり、これは、
図10,11に示すように、例えば、ステンレス鋼から
なる略円板状をなす基板5の表面6に、ダイヤモンド砥
粒8がニッケル等の金属結合相9で固着された砥粒層7
が形成されてなるものであり、この表面6をパッドの表
面に押し当てるとともに、回転運動、場合によっては並
進運動をすることによって、パッドの表面を加工、調整
するものである。
【0006】しかしながら、上述した第1のパッドコン
ディショナーにおいては、アルミナ、マグネシア、シリ
カなどの焼結体は、その硬度が十分でなく、パッドの表
面の調整作用を長期間に亘って安定して維持することは
できなかった。
【0007】さらに、上述した第2のパッドコンディシ
ョナーにおいては、硬度の大きなダイヤモンド砥粒8を
用いているため、第1のパッドコンディショナーと比較
して、バッド表面の調整作用をある程度の期間に亘って
維持することはできるものの、ダイヤモンド砥粒8が高
価であることから、パッドコンディショナー自体の価格
が高くなってしまう。加えて、金属結合相9に固着され
て表面に露出しているダイヤモンド砥粒8は、微視的に
は高さにばらつきがあり、かつ、パッドの研磨に供され
るダイヤモンド砥粒8の角も、個々の粒子によって大き
く異なり、多くの場合、図11に示すように、非常に鈍
い角度のダイヤモンド砥粒8の角でパッドの表面の研削
を行うこととなってしまい、十分に切れ味良くパッドを
研削することはできない。
【0008】実際、ダイヤモンド電着プレートを用いた
パッドコンディショナーの場合、ダイヤモンド砥粒8
が、金属結合相9中に50vol%合まれていたとして
も、研削に作用しているダイヤモンド砥粒8はその5〜
10vol%と言われており、高価なダイヤモンド砥粒
8を用いるわりには、効率的な研削加工が行われないの
が現実であった。また、研削を行うダイヤモンド砥粒8
の角の角度が鈍いため、ポリウレタンラバーからなるパ
ッドを研磨する場合のように、多くの孔を表面に出して
CMP研磨における効果性をあげたいときでも、孔がつ
ぶされてしまうこととなり、研削効率が悪いだけでな
く、パッドの表面の仕上げの点でも満足のいくものでは
なかった。
【0009】ここで、別の従来技術として、例えば、特
許文献1や特許文献2に開示されているような、気相合
成ダイヤモンドの技術を応用したパッドコンディショナ
ーがある。これらは、基板の表面に、複数の溝、穴ある
いは凸部が形成されているとともに、その表面の全面
が、気相合成ダイヤモンドでコーティングされているも
のであり、このようなパッドコンディショナーでは、基
板を構成する材料や、ダイヤモンド砥粒を固着する金属
結合相からの汚染を防止するのには効果を発揮すること
ができる。
【0010】
【特許文献1】特開平7−328937号公報
【特許文献2】特開平10−44023号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
も電着したダイヤモンド砥粒に代えて気相合成ダイヤモ
ンドを用いるものであり、十分な耐磨耗性を得ることが
できるものの、ダイヤモンド砥粒と異なって基板からの
脱落がないため、目詰まりを生じ易く、加工効率やパッ
ド表面の仕上げの点を考慮すると、十分な効果を得るこ
とができるとは言えなかった。
【0012】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、パッドの表面の調整作用に優れ、長期間に亘って安
定であり、かつ、安価である、パッド表面の加工、調整
用の工具を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決して、
このような目的を達成するために、本発明者らは鋭意開
発を続けた結果、従来のパッドコンディショナーのよう
な研削工具の概念に捕らわれず、いかに切れ味良く効率
的に加工するかを考慮して、切削加工、とくに、正面フ
ライスの概念をパッドの研磨に取り入れることにより、
基板の表面に数多くの独立した切刃を有する工具を発明
するに至ったのである。
【0014】正面フライス加工は、略円板状をなす工具
本体の先端部外周に複数の切刃が植え込まれてなるフラ
イス工具を、その軸線回りに回転させながら、横移動す
る被削材の表面に対して、所定深さの切り込み量を与え
ることにより、被削材の表面を切削加工していくもので
ある。この加工を良好に行うためには、切れ味の良い切
刃と、切削加工にともなって生じる切屑をスムースに排
出することが重要であり、このため、フライス加工に
は、被削材の種類によって切刃の材質、形状、角度など
が種々工夫され、かつ、切屑がスムースに排出されるよ
うに各切刃ごとにチップポケットが設けられて、その深
さ、形状などに工夫がなされている。
【0015】同様の概念を、本発明のパッド表面の加
工、調整用の工具にも応用した、すなわち、樹脂、ゴ
ム、ポリウレタンラバーなどからなるパッドに対して、
優れた切れ味を示す切刃と、この切刃によって生成され
る切屑をスムースに排出する適切なスペースを基板の表
面に設けることにより、高効率な加工を可能とする工具
を提供しようとするのである。この場合、通常の正面フ
ライス加工と大きく異なる点は、被削材が弾性変形をす
る材料である点が挙げられ、このため、切削抵抗が高い
と、切刃が被削材に対して切り込むことなく(いわゆる
食い付くことがなく)、パッドの表面を全く加工できな
くなってしまう。それゆえ、一つの切刃当たりの切削抵
抗を極力少なくする必要が生じ、切刃を極力小さくし、
かつ、切り込み量を少なくしなければならないが、その
ようにすると、加工効率の低下を招いてしまうので、こ
のような小さな切刃を多数、基板の表面に設ける必要が
ある。
【0016】一方、これら弾性変形をする被削材の切屑
は、通常の金属からなる被削材の切屑のように、加工硬
化により破断する(いわゆるブレーキング)することは
期待できず、連なって発生する。このため、切屑を排出
するためのスペースに余裕がないと、簡単に目詰まりし
て、加工できなくなってしまうので、切刃の大きさを適
切に設定することと、その切刃をどの程度の間隔で設け
て切屑を排出するためのスペースをいかに確保するか
が、効率的な加工を行う上での大きな問題となる。
【0017】他方、これらの切刃は小さくかつ鋭利な状
態を保つ必要があるが、余程の耐磨耗性がないと、いか
に被削材が樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーといった柔
らかいものであったとしても、すぐに切刃が磨耗して切
れ味が低下してしまう。また、切刃が小さくなるにした
がって、強度の点でも弱くなるので、この切刃に対し
て、いかに強度をもたせるかも大きな問題となる。
【0018】本発明は、これらの知見に基づいて鋭意検
討した結果になされたものであり、基板の表面に複数の
凸部が設けられ、該凸部の上面が平坦面とされるととも
に、この上面の稜線部が切刃とされ、前記凸部1個当た
りの上面の面積s1が、0.01〜1mmの範囲に設
定され、前記複数の凸部の上面の合計面積S1と、前記
基板の表面の面積S2との比S1/S2が、0.000
1〜0.01の範囲に設定され、さらに、少なくとも前
記凸部における切刃部分が、気相合成ダイヤモンドでコ
ーティングされていることを特徴とする。
【0019】このような構成のダイヤモンドコーティン
グ切削工具では、基板の表面に形成された凸部1個当た
りの平坦な上面の面積s1が、0.01〜1mmと小
さな値に設定されているので、この平坦な上面の稜線部
に形成された切刃を小さくかつ鋭利な状態に保って、切
削抵抗を低減することが可能となり、弾性変形をする材
料からなるパッドに対しても優れた切れ味を得ることが
できるとともに、切刃が小さくなりすぎることもなく、
切削効率の低下や凸部の強度低下を招いてしまうことが
ない。しかも、複数の凸部の上面の合計面積S1と、基
板の表面の面積S2との比S1/S2が、0.0001
〜0.01と小さな値に設定されているので、複数の凸
部同士の間の間隔、すなわち、切刃にて生成される切屑
を排出するためのスペースを十分に確保することが可能
となって、目詰まりを生じることがないとともに、凸部
の数が極端に少なくなることもなく、切削効率の低下を
招いてしまうことがない。さらには、少なくとも凸部に
おける切刃部分が、気相合成ダイヤモンドでコーティン
グされていることから、この小さな切刃に耐摩耗性を与
えることができるので、従来のように、高価なダイヤモ
ンド砥粒を用いなくても、長期間に亘って、切れ味を劣
化させることなく安定したパッドの調整作用を呈するこ
とが可能となる。ここで、凸部1個当たりの上面の面積
s1が、0.01mmより小さくなると、切削に供さ
れる切刃が小さくなりすぎて、切削効率の低下を招いた
り、凸部の強度が低下するおそれがあり、一方、この面
積s1が、1mmより大きくなると、切削に供される
切刃が大きくなりすぎて、切削抵抗が高くなりすぎて、
パッドの表面を加工できなくなってしまうおそれが生じ
る。また、複数の凸部の上面の合計面積S1と、基板の
表面の面積S2との比S1/S2が、0.0001より
小さくなると、凸部の数が少なくなりすぎて、切削効率
が低下するおそれがあり、一方、この面積比S1/S2
が、0.01より大きくなると、凸部の上面の合計面積
が大きくなり、切削抵抗が高くなりすぎて、パッド表面
を加工できなくなってしまうおそれがある。
【0020】また、基板の表面に形成された複数の凸部
は、そのすべてが必ずしも略等間隔に配置される必要は
ないが、これら複数の凸部同士の間の最短距離は、1m
m以上に設定されていることが好ましく、この最短距離
が、1mmより小さくなると、凸部同士の間に形成され
る、切屑を排出するためのスペースが、十分に確保でき
なくなって、目詰まりを生じやすくなるおそれがある。
【0021】また、凸部1個当たりの高さh〔mm〕
が、凸部1個当たりの上面の面積s1〔mm〕との関
係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81
・s1+0.19)の範囲に設定されていることが好ま
しく、この高さhが、(0.091・s1+0.00
9)より小さくなると、凸部の切刃に与えられる切り込
み量が大きくとれず、切削効率が低下してしまうおそれ
があり、一方、高さhが、(0.81・s1+0.1
9)より大きくなると、凸部が細長くなりすぎて、その
強度が低下するおそれがある。
【0022】また、気相合成ダイヤモンドのコーティン
グ層の層厚は、0.5〜20μmの範囲に設定されてい
ることが好ましく、この層厚が、0.5μmより小さく
なると、切刃に与えられる耐摩耗性が十分ではなく、寿
命が低下してしまうおそれがあり、一方、コーティング
層の層厚が、20μmより大きくなっても、逆にコーテ
ィング層が脆くなって、クラックを生じやすくなるおそ
れがある。
【0023】また、気相合成ダイヤモンドのコーティン
グ層は、凸部における切刃部分だけに形成されているの
でもよいが、凸部を含むように基板の表面の全面に亘っ
て形成されていることが好ましく、このような構成とし
た場合には、たとえ、溶出による汚染のおそれがある材
料から基板を構成したとしても、この基板の表面の全面
がコーティングされていることによって、溶出による汚
染を防止することができ、しかも、凸部の強度をより向
上させることが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付し
た図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態によ
るダイヤモンドコーティング切削工具の平面図、図2は
同ダイヤモンドコーティング切削工具の要部拡大平面
図、図3は同ダイヤモンドコーティング切削工具の要部
拡大断面図である。なお、これら図面においては、説明
上分かりやすくするために誇張して記載してあり、詳細
な数値等の規定に関しては、後述する通りである。
【0025】本実施形態によるダイヤモンドコーティン
グ切削工具の基板10は、略円板状をなすものであり、
その表面11における中央領域を除いた周辺領域には、
上方に突出する凸部12が複数形成されている。これら
複数の凸部12は、それぞれ同一形状の略正四角柱状を
呈しており、その上面13は、基板10の表面11と平
行な平坦面とされるとともに、この上面13の稜線部、
すなわち、上面13と4つの側面との交差稜線部に4つ
の切刃14が形成されている。
【0026】また、凸部1個当たりの上面13の面積s
1が、0.01〜1mmの範囲に設定されており、本
実施形態においては、上面13の面積s1が、例えば
0.04mm(上面13が、一辺aが0.2mmの正
方形をなす)とされている。さらに、基板10の表面に
形成されたすべての凸部12における上面13の合計面
積S1と、基板10の表面11の面積S2(平面視にお
いて、円をなす基板10の表面11の面積)との比S1
/S2が、0.0001〜0.01の範囲に設定されて
おり、本実施形態においては、面積比S1/S2が、例
えば0.00245とされている。
【0027】なお、これら複数の凸部12は、互いに同
一距離の間隔を介して略等間隔に配置され、凸部12同
士の間の最短距離dが、1mm以上に設定されており、
本実施形態においては、最短距離d(隣接する凸部12
同士の間の距離)が、例えば3mmに設定されている。
【0028】また、凸部12の形状について、凸部1個
当たりの高さh〔mm〕が、凸部1個当たりの上面13
の面積s1〔mm〕(0.01≦s1≦1)との関係
で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81・
s1+0.19)の範囲に設定されおり、本実施形態に
おいては、凸部12の高さhが、例えば0.04mmと
されている。
【0029】より具体的に言えば、図4に示すように、
X軸を凸部1個当たりの上面13の面積s1〔mm
とし、Y軸を凸部1個当たりの高さh〔mm〕としたと
きに、この凸部12の高さh〔mm〕が、4つの直線L
1(h=0.81・s1+0.19)、L2(h=0.
091・s1+0.009)、L3(s1=1)、L4
(s1=0.01)で囲まれた斜線領域内の値に設定さ
れているのである。なお、凸部12の高さh〔mm〕
は、上記の斜線領域を考慮すると、0.00991(約
0.01)〜1mmの範囲に設定されていることにな
る。
【0030】このような複数の凸部12が略等間隔に配
置された基板10は、例えば、略円板状をなす基板の平
坦な表面に対し、切削加工等によって、複数の所定幅
(隣接する凸部12同士の間の距離)の縦溝及び横溝
を、互いに直交するようにして、略等間隔に形成してい
くことによって製造される。
【0031】そして、上述したような基板10におい
て、その表面11と一体に形成された凸部12における
少なくとも切刃14部分が、気相合成ダイヤモンド15
によって、0.5〜20μmの層厚tでコーティングさ
れており、本実施形態においては、複数の凸部12を含
む基板10の表面11の全面が、気相合成ダイヤモンド
15でコーティングされ、そのコーティング層の層厚t
は、例えば10μmとされている。
【0032】このような気相合成ダイヤモンド15のコ
ーティング層は、上記のような複数の凸部12を有する
基板10に対して、例えば、マイクロ波プラズマを利用
する方法や熱フィラメントを利用する方法などの既存の
方法を用いることにより、複数の凸部12を含む表面1
1の全面に亘って形成される。
【0033】ここで、基板10を構成する材料に関して
は、気相合成ダイヤモンド15によるコーティングのし
やすさ、及び凸部12の形成しやすさ等の観点から、例
えば、以下に示すようなものが挙げられる。 4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属もしく
はシリコンの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物、4a
族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属とシリコン
との炭化物、窒化物もしくは炭窒化物、シリコン、のう
ちのいずれか1種、または、これらの複合体。 4a族、5a族、6a族のうちのいずれかの金属もし
くはシリコンの炭化物、窒化物もしくは炭窒化物のうち
の少なくとも1種と、鉄、ニッケルもしくはコバルトの
うちの少なくとも1種との複合体よりなる超硬合金。 シリコンもしくはアルミニウムの窒化物もしくは酸化
物のうちのいずれか1種、または、これらの複合体。
【0034】上記のような構成とされたダイヤモンドコ
ーティング切削工具は、その基板10の表面11を、例
えば、多孔性の樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどか
らなるパッドの表面に押し当てるとともに、回転、場合
によっては並進運動をすることによって、あたかも正面
フライス等の切削工具のごとく、複数の凸部12の上面
13の稜線部に形成された切刃14で、パッドの表面を
切削する(実際には、切刃14をコーティングしている
気相合成ダイヤモンド15が、パッドの表面を切削する
ことになる)とともに、この切刃14にて生成される切
屑が、凸部12同士の間に形成される隙間を介して排出
されていく。
【0035】このようなダイヤモンドコーティング切削
工具では、基板10の表面11に形成された凸部1個当
たりの平坦な上面13の面積s1が、0.01〜1mm
と小さな値に設定されているので、この平坦な上面1
3の稜線部に形成された切刃14を小さくかつ鋭利な状
態に保って、切削抵抗を低減することが可能となり、た
とえ、多孔性の樹脂、ゴム、ポリウレタンラバーなどの
弾性変形をする材料からなるパッドに対しても、優れた
切れ味を示して、この小さな切刃14を安定してパッド
の表面に切り込ませる(食い付かせる)ことができ、し
かも、切刃14が極端に小さくなりすぎることもないの
で、凸部12の強度低下や切削効率の低下を招いてしま
うことがない。
【0036】ここで、凸部1個当たりの上面13の面積
s1が、0.01mmより小さくなると、切削に供さ
れる切刃14が小さくなりすぎて、切削効率や凸部12
の強度低下を招いてしまい、一方、この面積s1が、1
mmより大きくなると、切削に供される切刃14が大
きくなりすぎるのにともない、切削抵抗が上昇して、パ
ッドの表面を加工できなくなってしまうおそれが生じて
しまう。なお、上述したような効果をより確実なものと
するためには、凸部12の上面13の面積s1は、0.
02〜0.5mmの範囲に設定することが好ましい。
【0037】また、複数の凸部12の上面13の合計面
積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1/
S2が、0.0001〜0.01と小さな値に設定され
ているので、複数の凸部12同士の間の間隔、すなわ
ち、切刃14にて生成される切屑を排出するためのスペ
ースを必要十分に確保することが可能となって、目詰ま
りを生じさせることがないとともに、凸部12の数が極
端に少なくなることがなく、切削効率の低下を招いてし
まうこともない。
【0038】ここで、複数の凸部12の上面13の合計
面積S1と、基板10の表面11の面積S2との比S1
/S2が、0.0001より小さくなると、凸部12の
数が少なくなりすぎて、切削効率が低下してしまい、一
方、この面積比S1/S2が、0.01より大きくなる
と、複数の凸部12の上面13の合計面積S1が大きく
なるのにともない、切削抵抗が高くなりすぎて、パッド
表面を加工できなくなってしまうおそれすら生じてしま
う。なお、上述したような効果をより確実なものとする
ためには、面積比S1/S2は、0.0005〜0.0
05の範囲に設定することが好ましい。
【0039】さらには、凸部12における切刃14部分
を含んで、基板10の表面11の全面が、気相合成ダイ
ヤモンド15によって、その層厚tが0.5〜20μm
の範囲となるようにコーティングされていることから、
この小さな切刃14に対して、十分な耐摩耗性を与える
ことができ、高価なダイヤモンド砥粒を用いなくても、
長期間に亘って、切れ味を劣化させることなく安定した
パッドの調整作用を維持していくことが可能となり、か
つ、凸部12の強度をより向上させることができる。こ
こで、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層の層
厚tが、0.5μmより小さくなると、切刃14に与え
られる耐摩耗性が十分ではなくなり、一方、コーティン
グ層の層厚tが、20μmより大きくなると、逆にコー
ティング層が脆くなって、クラックを生じやすくなって
しまう。なお、上述したような効果をより確実にするた
めには、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層の
層厚tは、2〜10μmの範囲に設定することが好まし
い。
【0040】また、基板10の表面11に形成された複
数の凸部12が、その凸部12同士の間の最短距離d
を、1mm以上となるように配置されていることから、
切刃14にて生成される切屑を排出するためのスペース
を十分に確保できることとなる。ここで、この最短距離
dが、1mmより小さくなると、凸部12同士の間に形
成される、切屑を排出するためのスペースを、十分な大
きさに確保することができなくなって、目詰まりを生じ
やすくなってしまう。なお、上述したような効果をより
確実なものとするためには、最短距離dは、1.5mm
以上に設定することが好ましい。
【0041】また、凸部1個当たりの高さhが、凸部1
個当たりの上面13の面積s1〔mm〕との関係で、
(0.091・s1+0.009)〜(0.81・s1
+0.19)の範囲に設定されていることにより、適切
な形状を有する凸部12を形成することが可能となり、
その強度を高く保つとともに、パッドの表面に対する切
り込み量を十分に確保することができる。ここで、この
高さhが、(0.091・s1+0.009)より小さ
くなると、凸部12の切刃14に与えられる切り込み量
が大きくとれず、切削効率が低下してしまい、一方、高
さhが、(0.81・s1+0.19)より大きくなる
と、凸部12が細長くなりすぎて、その強度が低下して
しまう。なお、上述したような効果をより確実なものと
するためには、高さhは、0.02mm〜0.5mmの
範囲に設定することが好ましい。
【0042】また、例えば、半導体ウエハのCMP研磨
中において、これと同時に、半導体ウエハ研磨用のパッ
ド表面を加工、調整するような場合には、ダイヤモンド
コーティング切削工具の基板10を構成する材料が溶出
することで、半導体ウエハの汚染につながるおそれがあ
るため、この基板10には、上述した基板10を構成す
る材料〜のうち、,のような、溶出による汚染
のおそれが比較的少ない材料を用いることが多い。しか
しながら、本実施形態によるダイヤモンドコーティング
切削工具では、その基板10の表面11の全面に亘っ
て、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層が形成
されていることから、たとえ、のような、溶出による
汚染のおそれがある材料を用いて基板10を構成したと
しても、そのような汚染の心配が生じることがない。
【0043】なお、本実施形態で、基板10の表面11
において、複数の凸部12のそれぞれの、基板10の回
転運動による回転方向のすぐ前方側に位置するように、
切刃14にて生成された切屑を排出するための貫通孔を
設けてもよく、このような構成とすると、切屑の排出効
果をより向上させて、目詰まり等の発生を確実に防止で
きることとなる。このとき、これら貫通孔が、基板10
の表面11から、基板10の外周側及び回転方向後方側
へ延びて、基板10の側面に開口するようにしたなら
ば、基板10の回転運動にともない、貫通孔に入り込ん
できた切屑を、遠心力によって基板10の外周側へ自動
的に排出させることも可能である。
【0044】また、本実施形態においては、略円板状を
なす基板10を用いているがこれに限定されることな
く、他の形状の基板、例えば、略直方体状の基板を用い
て、パッド表面上を並進運動させることにより、パッド
の表面の加工、調整を行ったとしても、何の遜色もな
く、上述したような効果を奏することができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の一例を実施例とし、本発明の
範囲よりも外れたものを比較例として、以下に示す試験
1〜3を行うことにより、凸部1個当たりの上面13の
面積s1を0.01〜1mmの範囲に設定した理由、
及び、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と基板
10の表面11の面積S2との比S1/S2を0.00
01〜0.01の範囲に設定した理由、及び、凸部1個
当たりの高さh〔mm〕を凸部1個当たりの上面13の
面積s1〔mm〕との関係で(0.091・s1+
0.009)〜(0.81・s1+0.19)の範囲に
設定した理由を検証した。
【0046】[試験1]シリコンからなる略円板状をな
す基板10(直径100mm、厚み3mm)の表面11
に対して、切削加工を施すことにより、複数の溝幅2m
m(凸部1同士の間の最短距離d)の縦溝及び横溝を、
互いに直交するように、略等間隔に形成して、一辺aの
正方形をなす上面13を有する略正四角柱状の凸部12
がそれぞれ略等間隔に配置された基板10を形成した。
ここで、 ・比較例1 a=0.05mm、s1=0.0025mm、S1=
2.25mm ・実施例1 a=0.1mm、s1=0.01mm、S1=6.2
5mm ・実施例2 a=0.2mm、s1=0.04mm、S1=16m
・実施例3 a=0.8mm、s1=0.64mm、S1=64m
・実施例4 a=1mm、s1=1mm、S1=64mm ・比較例2 a=1.5mm、s1=2.25mm、S1=56.
25mm であり、S2=50×50×πmmを考慮すると、こ
れら実施例1〜4及び比較例1,2について、S1/S
2は0.0001〜0.01mmの範囲に設定されて
いる。次に、このような複数の略正四角柱状の凸部12
を有する略円板状の基板10を、マイクロ波CVD装置
内に設置して、その凸部12を含む表面11の全面に亘
って、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層を、
層厚tが10μmとなるようにコーティングすることに
より、6つのダイヤモンドコーティング切削工具(実施
例1〜4、比較例1,2)を用意した。これらのダイヤ
モンドコーティング切削工具(実施例1〜4、比較例
1,2)を、研磨装置(ムサシノ電子MA−300)に
設置して、発砲ウレタン製の半導体ウエハ研磨用パッド
(IC1000)の表面を切削した結果を表1及び図5
に示す。なお、表1及び図5における切削能力〔%〕と
は、(各サンプルパッド切削量)/(凸部12の上面1
3の面積s1が0.04mmのダイヤモンドコーティ
ング切削工具のパッド切削量)×100を示しており、
また、合格判定基準は、切削能力〔%〕≧50〔%〕と
した。
【0047】
【表1】
【0048】表1及び図5に示されるように、本発明の
一例である実施例1〜4は、凸部1個当たりの上面13
の面積s1が、0.01〜1と適切な範囲に設定されて
いることにより、切削抵抗を低減して、良好な切れ味を
得ることができ、かつ、切削効率の低下を招いてしまう
こともなく、それらの切削能力がいずれも50%を超え
て、合格基準に達していたという結果が得られ、本発明
の範囲限定が妥当であることが証明された。ここで、凸
部1個当たりの上面13の面積s1が0.0025〔m
〕に設定された比較例1と、凸部1個当たりの上面
13の面積s1が0.01〔mm〕に設定された実施
例1とを比較すると、比較例1は、上面13の面積s1
が小さすぎるので、この上面13の稜線部の切刃14も
小さくなりすぎ、切削効率の低下を招いてしまって、切
削能力が20%となり、切削能力が60%の実施例1よ
りも劣っていたばかりか、合格基準50%にも達しなか
った。また、凸部1個当たりの上面13の面積s1が1
〔mm〕に設定された実施例4と、凸部1個当たりの
上面13の面積s1が2.25〔mm〕に設定された
比較例2とを比較すると、比較例2は、上面13の面積
s1が大きすぎるので、この上面13の稜線部の切刃1
4も大きくなりすぎ、切削抵抗が上昇してしまって、切
削能力も25%となり、切削能力が55%の実施例4よ
りも劣っていたばかりか、合格基準50%にも達しなか
った。
【0049】[試験2]シリコンからなる略円板状をな
す基板10(直径100mm、厚み3mm)の表面11
に対して、切削加工により、一辺aが0.2mmの正方
形をなす上面13を有する略正四角柱状の凸部12が、
複数の凸部12同士の間の最短距離dが1mm以上とな
り、かつ、複数の凸部12の上面13の合計面積S1と
基板10の表面11の面積S2との比S1/S2が0.
00005(比較例3)、0.0001(実施例5)、
0.005(実施例6)、0.01(実施例7)、0.
015(比較例4)となるように配置された基板10を
形成した。なお、一辺a=0.2mmであることを考慮
すると、これら実施例5〜7及び比較例3,4につい
て、s1は0.01〜1mmの範囲に設定されてい
る。次に、このような複数の略正四角柱状の凸部12を
有する略円板状の基板10を、マイクロ波CVD装置内
に設置して、その凸部12を含む表面11の全面に亘っ
て、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層を、層
厚tが10μmとなるようにコーティングすることによ
り、6つのダイヤモンドコーティング切削工具(実施例
5〜7、比較例3,4)を用意した。これらのダイヤモ
ンドコーティング切削工具(実施例5〜7、比較例3,
4)を、研磨装置(ムサシノ電子MA−300)に設置
して、発砲ウレタン製の半導体ウエハ研磨用パッド(I
C1000)の表面を切削した結果を表2及び図6に示
す。なお、表2及び図6における切削能力〔%〕とは、
(各サンプルパッド切削量)/(複数の凸部12の上面
13の合計面積S1と基板10の表面11の面積S2と
の比S1/S2が0.005のダイヤモンドコーティン
グ切削工具のパッド切削量)×100を示しており、ま
た、合格判定基準は、切削能力〔%〕≧50〔%〕とし
た。
【0050】
【表2】
【0051】表2及び図6に示されるように、本発明の
一例である実施例5〜7は、複数の凸部12の上面13
の合計面積S1と、基板10の表面11の面積S2との
比S1/S2が、0.0001〜0.01と適切な範囲
に設定されていることにより、切屑を排出するためのス
ペースを十分に確保できて、目詰まりを生じることな
く、切削効率を高く保つことができたので、それらの切
削能力がいずれも50%を超えて、合格基準に達してい
たという結果が得られ、本発明の範囲限定が妥当である
ことが証明された。ここで、面積比S1/S2が、0.
00005に設定された比較例3と、面積比S1/S2
が、0.0001に設定された実施例5とを比較する
と、比較例3は、面積比S1/S2が小さすぎて、凸部
12の数が小さくなりすぎ、切削効率が低下してしまっ
たので、切削能力が25%となり、切削能力が100%
の実施例5よりも劣っていたばかりか、合格基準50%
にも達しなかった。また、面積比S1/S2が、0.0
1に設定された実施例7と、面積比S1/S2が、0.
015に設定された比較例4とを比較すると、比較例4
は、面積比S1/S2が大きすぎて、切削抵抗が高くな
ったため、パッド表面を加工しづらくなり、切削能力が
20%となり、切削能力が70%の実施例7よりも劣っ
ていたばかりか、合格基準50%にも達しなかった。
【0052】[試験3]シリコンからなる略円板状をな
す基板10(直径100mm、厚み3mm)の表面11
に対して、切削加工を施すことにより、直径0.2mm
の円形をなす上面13を有する略円柱状の凸部12(凸
部1個当たりの上面13の面積s1が0.0314mm
)を、その高さh〔mm〕が0.005(比較例
5)、0.04(実施例8)、0.5(比較例6)とな
るように形成した基板10と、直径1mmの円形をなす
上面13を有する略円柱状の凸部12(凸部1個当たり
の上面13の面積s1が0.785mm)を、その高
さh〔mm〕が0.02(比較例7)、0.5(実施例
9)、1.5(比較例8)となるように形成した基板1
0とを得た。次に、このような複数の略円柱状の凸部1
2を有する略円板状の基板10を、マイクロ波CVD装
置内に設置して、その凸部12を含む表面11の全面に
亘って、気相合成ダイヤモンド15のコーティング層
を、層厚tが10μmとなるようにコーティングするこ
とにより、6つのダイヤモンドコーティング切削工具
(実施例8,9、比較例5〜8)を用意した。これらの
ダイヤモンドコーティング切削工具(実施例8,9、比
較例5〜8)を、研磨装置(ムサシノ電子MA−30
0)に設置して、発砲ウレタン製の半導体ウエハ研磨用
パッド(IC1000)の表面を切削した結果を表3に
示す。なお、表3における加工速度は、実施例2の場合
を100としたときの割合で示した。
【0053】
【表3】
【0054】表3に示されるように、本発明の一例であ
る実施例8,9は、凸部1個当たりの高さh〔mm〕
が、凸部1個当たりの上面の面積s1〔mm〕との関
係で、(0.091・s1+0.009)〜(0.81
・s1+0.19)と適切な範囲に設定されていること
により、凸部12の強度を高く保つとともに、凸部12
の切刃14に与えられる切り込み量を十分に確保でき、
その加工速度が100,70と良好であったという結果
が得られ、本発明の範囲限定が妥当であることが証明さ
れた。ここで、凸部1個当たりの上面13の高さhが、
0.005〔mm〕、0.02〔mm〕に設定されて、
(0.091・s1+0.009)より小さくなってい
た比較例5,7は、基板10の表面11がパッドに対し
て全面接触したり、凸部12のパッドへの食い込み不足
が生じたりしたので、凸部12の切刃14に与えられる
切り込み量を大きくとることができず、その加工速度も
15,20と低い値になってしまった。また、凸部1個
当たりの上面13の高さhが、0.5〔mm〕、1.5
〔mm〕に設定されて、(0.81・s1+0.19)
より大きくなっていた比較例6,8では、凸部12が細
長くなりすぎ、強度不足による座屈が生じていたため、
比較例6では切削加工すら行うことができず、比較例8
でも加工速度が35と低い値になってしまった。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるダイ
ヤモンドコーティング切削工具は、従来のパッドコンデ
ィショナーのような研削工具の概念に捕らわれず、切削
加工の概念をパッドの研磨に取り入れたことにより、基
板の表面に形成された数多くの小さく鋭利な独立した切
刃によって、切削抵抗の低減を図り、多孔性の樹脂、ゴ
ム、ポリウレタンラバーなどからなるパッドに対しても
優れた切れ味を示すとともに、切刃によって生成される
切屑を排出するためのスペースを十分に確保することが
可能となる。しかも、切刃部分が、気相合成ダイヤモン
ドでコーティングされていることにより、小さな切刃に
耐摩耗性が与えられ、従来のように、高価なダイヤモン
ド砥粒を用いなくても、長期間に亘って、切れ味を劣化
させることなく優れたパッドの調整作用を安定して呈す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態によるダイヤモンドコーティング
切削工具の平面図である。
【図2】 本実施形態によるダイヤモンドコーティング
切削工具の要部拡大平面図である。
【図3】 本実施形態によるダイヤモンドコーティング
切削工具の要部拡大断面図である。
【図4】 本実施形態によるダイヤモンドコーティング
切削工具の凸部の形状を規定するために用いる説明用の
グラフである。
【図5】 本発明の範囲限定の根拠を検証するためのデ
ータを示すグラフである。
【図6】 本発明の範囲限定の根拠を検証するためのデ
ータを示すグラフである。
【図7】 (a)は従来のパッドコンディショナーの一
例を示す平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図8】 (a)は従来のパッドコンディショナーの一
例を示す平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図9】 (a)は従来のパッドコンディショナーの一
例を示す平面図、(b)は(a)の断面図である。
【図10】 (a)は従来のパッドコンディショナーの
一例を示す平面図、(b)は(a)の側面図である。
【図11】 図9に示すパッドコンディショナーを用い
た、パッドの表面の加工の様子を示す拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
10 基板 11 表面 12 凸部 13 上面 14 切刃 s1 凸部1個当たりの上面の面積 S1 複数の凸部の上面の合計面積 S2 基板の表面の面積 d 凸部同士の間の最短距離
フロントページの続き (72)発明者 益野 智行 茨城県那珂郡那珂町向山1002−14 三菱マ テリアル株式会社総合研究所那珂研究セン ター内 (72)発明者 森田 啓介 茨城県那珂郡那珂町向山1002−14 三菱マ テリアル株式会社総合研究所那珂研究セン ター内 Fターム(参考) 3C047 EE02 EE11 EE18 3C063 AA02 AB05 BA24 BG07 CC11 EE10 EE26 FF23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面に複数の凸部が設けられ、該
    凸部の上面が平坦面とされるとともに、この上面の稜線
    部が切刃とされ、 前記凸部1個当たりの上面の面積s1が、0.01〜1
    mmの範囲に設定され、 前記複数の凸部の上面の合計面積S1と、前記基板の表
    面の面積S2との比S1/S2が、0.0001〜0.
    01の範囲に設定され、 さらに、少なくとも前記凸部における切刃部分が、気相
    合成ダイヤモンドでコーティングされていることを特徴
    とするダイヤモンドコーティング切削工具。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のダイヤモンドコーティ
    ング切削工具において、 前記複数の凸部同士の間の最短距離が、1mm以上に設
    定されていることを特徴とするダイヤモンドコーティン
    グ切削工具。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のダイヤ
    モンドコーティング切削工具において、 前記凸部1個当たりの高さh〔mm〕が、前記凸部1個
    当たりの上面の面積s1〔mm〕との関係で、(0.
    091・s1+0.009)〜(0.81・s1+0.
    19)の範囲に設定されていることを特徴とするダイヤ
    モンドコーティング切削工具。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    のダイヤモンドコーティング切削工具において、 前記気相合成ダイヤモンドのコーティング層の層厚が、
    0.5〜20μmの範囲に設定されていることを特徴と
    するダイヤモンドコーティング切削工具。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    のダイヤモンドコーティング切削工具において、 前記基板の表面の全面が、前記気相合成ダイヤモンドで
    コーティングされていることを特徴とするダイヤモンド
    コーティング切削工具。
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KR101144168B1 (ko) 2011-06-02 2012-05-10 이화다이아몬드공업 주식회사 Cmp 패드 컨디셔너 제조방법
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