JP4660979B2 - 画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、センサにより検出した信号と現実世界との違いを考慮した画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
入力画像を基に、より高解像度の画像を生成する処理の1つとして、クラス分類適応処理がある。クラス分類適応処理の例として、空間方向に、より高解像度の画像を生成する処理で使用される係数を予め生成し、生成した係数を基に、空間方向に、より高解像度の画像を生成する処理があげられる。
【0003】
図1は、SD(Standard Definition(標準精細度))画像からHD(High Definition(高精細度))画像を生成するクラス分類適応処理において使用される係数を生成する、従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
フレームメモリ11は、HD画像である入力画像を、フレーム単位で記憶する。
フレームメモリ11は、記憶しているHD画像を加重平均部12および対応画素取得部16に供給する。
【0005】
加重平均部12は、フレームメモリ11に記憶されているHD画像を4分の1加重平均して、SD画像を生成し、生成したSD画像をフレームメモリ13に供給する。
【0006】
フレームメモリ13は、加重平均部12から供給されたSD画像をフレーム単位で記憶し、記憶しているSD画像をクラス分類部14および予測タップ取得部15に供給する。
【0007】
クラス分類部14は、クラスタップ取得部21および波形分類部22で構成され、フレームメモリ13に記憶されているSD画像の、注目している画素である注目画素をクラス分類する。クラスタップ取得部21は、フレームメモリ13から、注目画素に対応するSD画像の画素である、所定の数のクラスタップを取得し、取得したクラスタップを波形分類部22に供給する。
【0008】
図2は、クラスタップ取得部21が取得するクラスタップを説明する図である。クラスタップ取得部21は、図2に示すように、所定の位置の11個のクラスタップを取得する。
【0009】
波形分類部22は、クラスタップを基に、注目画素を複数のクラスのうちの1つのクラスに分類し、分類されたクラスに対応するクラス番号を予測タップ取得部15に供給する。波形分類部22は、11個のクラスタップを基に、注目画素を、2048のクラスのうちの1つのクラスに分類する。
【0010】
予測タップ取得部15は、クラス番号を基に、フレームメモリ13から分類されたクラスに対応する、SD画像の画素である、所定の数の予測タップを取得し、取得した予測タップおよびクラス番号を対応画素取得部16に供給する。
【0011】
図3は、予測タップ取得部15が取得する予測タップを説明する図である。予測タップ取得部15は、図3に示すように、所定の位置の9個の予測タップを取得する。
【0012】
対応画素取得部16は、予測タップおよびクラス番号を基に、フレームメモリ11から、予測すべき画素値に対応するHD画像の画素を取得し、予測タップ、クラス番号、および取得した予測すべき画素値に対応するHD画像の画素を正規方程式生成部17に供給する。
【0013】
正規方程式生成部17は、予測タップ、クラス番号、および取得した予測すべき画素値を基に、各クラスに対応し、予測タップおよび予測すべき画素値の関係に対応する正規方程式を生成し、各クラスに対応する、生成した正規方程式を係数計算部18に供給する。
【0014】
係数計算部18は、正規方程式生成部17から供給された正規方程式を解いて、各クラスに対応する係数セットを計算し、クラス番号と共に、計算した係数セットを係数セットメモリ19に供給する。
【0015】
係数セットメモリ19は、クラス番号を基に、算出された係数セットをクラスに対応させて記憶する。
【0016】
図4は、クラス分類適応処理の概略を説明する図である。クラス分類適応処理において、HD画像である教師画像から、4分の1加重平均の処理により、対応するSD画像を生成する。生成されたSD画像は、生徒画像と称する。
【0017】
次に、HD画像である教師画像、および対応するSD画像である生徒画像を基に、SD画像からHD画像を生成するための係数セットが生成される。係数セットは、線形予測などにより、SD画像からHD画像を生成するための係数で構成される。
【0018】
このように生成された係数セットおよびSD画像から、線形予測などにより、4倍密画像が生成される。係数セットおよび入力画像から、より高密度な画像などを生成する処理をマッピングとも称する。
【0019】
生成された4倍密画像、および対応するHD画像を基に、SNRの比較、または目視による定性評価が行われる。
【0020】
特定の教師画像、および対応する生徒画像から生成された係数セットは、特定の教師画像、および対応する生徒画像のセルフの係数セットと称する。セルフの係数セットを使用したマッピングは、セルフマッピングと称する。複数の他の教師画像、および対応する生徒画像から生成された係数セットは、クロスの係数セットと称する。
【0021】
一方、静止している所定の背景の前で移動する前景である物体をビデオカメラで撮像して得られる画像には、物体の移動速度が比較的速い場合、動きボケが生じ、背景と前景の混ざり合いが生ずる。
【0022】
従来のクラス分類適応処理においては、図5に示すように、前景、背景、並びに前景および背景の混ざり合いが生じている部分の全てに対して、以上のような学習の処理により、1つの係数セットが生成され、この係数セットを基に、マッピングの処理が実行される。
【0023】
図6のフローチャートを参照して、SD画像からHD画像を生成する処理において使用される係数を生成する、従来の学習の処理を説明する。ステップS11において、画像処理装置は、生徒画像に未処理の画素があるか否かを判定し、生徒画像に未処理の画素があると判定された場合、ステップS12に進み、ラスタースキャン順に、生徒画像から注目画素を取得する。
【0024】
ステップS13において、クラス分類部14のクラスタップ取得部21は、フレームメモリ13に記憶されている生徒画像から、注目画素に対応するクラスタップを取得する。ステップS14において、クラス分類部14の波形分類部22は、クラスタップを基に、注目画素をクラス分類する。ステップS15において、予測タップ取得部15は、分類されたクラスを基に、フレームメモリ13に記憶されている生徒画像から、注目画素に対応する予測タップを取得する。
【0025】
ステップS16において、対応画素取得部16は、分類されたクラスを基に、フレームメモリ11に記憶されている教師画像から、予測すべき画素値に対応する画素を取得する。
【0026】
ステップS17において、正規方程式生成部17は、分類されたクラスを基に、クラス毎の行列に、予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値を足し込み、ステップS11に戻り、画像処理装置は、未処理の画素があるか否かの判定を繰り返す。予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値を足し込まれるクラス毎の行列は、クラス毎の係数を計算するための正規方程式に対応する。
【0027】
ステップS11において、生徒画像に未処理の画素がないと判定された場合、ステップS18に進み、正規方程式生成部17は、予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値が設定された、クラス毎の行列を係数計算部18に供給する。係数計算部18は、予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値が設定された、クラス毎の行列を解いて、クラス毎の係数セットを計算する。
【0028】
ステップS19において、係数計算部18は、計算されたクラス毎の係数を係数セットメモリ19に出力する。係数セットメモリ19は、クラス毎に係数セットを記憶し、処理は終了する。
【0029】
図7は、クラス分類適応処理により、SD画像からHD画像を生成する従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
フレームメモリ31は、SD画像である入力画像を、フレーム単位で記憶する。
フレームメモリ31は、記憶しているSD画像をマッピング部32に供給する。
【0031】
マッピング部32に入力されたSD画像は、クラス分類部41および予測タップ取得部42に供給される。
【0032】
クラス分類部41は、クラスタップ取得部51および波形分類部52で構成され、フレームメモリ31に記憶されているSD画像の、注目している画素である、注目画素をクラス分類する。クラスタップ取得部51は、フレームメモリ31から注目画素に対応する、所定の数のクラスタップを取得し、取得したクラスタップを波形分類部52に供給する。
【0033】
波形分類部52は、クラスタップを基に、所定の数のクラスのうちの、1つのクラスに注目画素を分類し、分類されたクラスに対応するクラス番号を予測タップ取得部42に供給する。
【0034】
予測タップ取得部42は、クラス番号を基に、フレームメモリ31に記憶されている入力画像から、分類されたクラスに対応する、所定の数の予測タップを取得し、取得した予測タップおよびクラス番号を予測演算部43に供給する。
【0035】
予測演算部43は、クラス番号を基に、係数セットメモリ33に記憶されている係数セットから、クラスに対応する係数セットを取得する。予測演算部43は、クラスに対応する係数セット、および予測タップを基に、線形予測により予測画像の画素値を予測する。予測演算部43は、予測した画素値をフレームメモリ34に供給する。
【0036】
フレームメモリ34は、予測演算部43から供給された予測された画素値を記憶し、予測された画素値が設定されたHD画像を出力する。
【0037】
図8は、入力画像の画素値、およびクラス分類適応処理により生成された出力画像の画素値を示す図である。図8に示すように、クラス分類適応処理により生成される画像は、SD画像の帯域制限で失われた波形を含む。その意味で、クラス分類適応処理による、より高解像度の画像の生成の処理は、解像度を創造していると言える。
【0038】
図9のフローチャートを参照して、クラス分類適応処理を実行する画像処理装置による、SD画像からHD画像を生成する、従来の画像の創造の処理を説明する。
【0039】
ステップS31において、画像処理装置は、入力画像に未処理の画素があるか否かを判定し、入力画像に未処理の画素があると判定された場合、ステップS32に進み、マッピング部32は、係数セットメモリ33に記憶されている係数セットを取得する。ステップS33において、画像処理装置は、ラスタースキャン順に、入力画像から注目画素を取得する。
【0040】
ステップS34において、クラス分類部41のクラスタップ取得部51は、フレームメモリ31に記憶されている入力画像から、注目画素に対応するクラスタップを取得する。ステップS35において、クラス分類部41の波形分類部52は、クラスタップを基に、注目画素を1つのクラスにクラス分類する。
【0041】
ステップS36において、予測タップ取得部42は、分類されたクラスを基に、フレームメモリ31に記憶されている入力画像から、注目画素に対応する予測タップを取得する。
【0042】
ステップS37において、予測演算部43は、分類されたクラスに対応する係数セット、および予測タップを基に、線形予測により、予測画像の画素値を予測する。
【0043】
ステップS38において、予測演算部43は、予測された画素値をフレームメモリ34に出力する。フレームメモリ34は、予測演算部43から供給された画素値を記憶する。手続きは、ステップS31に戻り、未処理の画素があるか否かの判定を繰り返す。
【0044】
ステップS31において、入力画像に未処理の画素がないと判定された場合、ステップS39に進み、フレームメモリ34は、予測値が設定された、記憶している予測画像を出力して、処理は終了する。
【0045】
また、入力画像をより解像度感を強調した画像に変換するため、エッジ強調の処理が利用される。エッジ強調の処理においても、以上で説明したクラス分類適応処理と同様に、同一の処理が画面全体に対して実行される。
【0046】
【発明が解決しようとする課題】
静止している背景の前で物体が移動するとき、移動する物体の画像自身の混ざり合いによる動きボケのみならず、背景の画像と移動する物体の画像との混ざり合いが生じる。従来、背景の画像と移動する物体の画像との混ざり合いに対応して画像を処理することは、考えられていなかった。
【0047】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、背景の画像と移動する物体の画像との混ざり合いに対応して画像を処理することができるようにすることを目的とする。
【0048】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前景オブジェクト成分からなる前景領域、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、混合領域の背景オブジェクト成分から前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、混合領域の前景オブジェクト成分から背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定手段を含み、領域特定手段は、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を背景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きい場合、その画素を前景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ前のフレームと注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をカバードバックグラウンド領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ後のフレームと注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をアンカバードバックグラウンド領域の画素と特定することを特徴とする。
【0053】
本発明の画像処理方法は、入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前景オブジェクト成分からなる前景領域、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、混合領域の背景オブジェクト成分から前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、混合領域の前景オブジェクト成分から背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップを含み、領域特定ステップでは、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を背景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きい場合、その画素を前景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ前のフレームと注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をカバードバックグラウンド領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ後のフレームと注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をアンカバードバックグラウンド領域の画素と特定することを特徴とする。
【0058】
本発明の記録媒体のプログラムは、時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理するコンピュータに、入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前景オブジェクト成分からなる前景領域、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、混合領域の背景オブジェクト成分から前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、混合領域の前景オブジェクト成分から背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップを含み、領域特定ステップでは、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を背景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きい場合、その画素を前景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ前のフレームと注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をカバードバックグラウンド領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ後のフレームと注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をアンカバードバックグラウンド領域の画素と特定する処理を実行させるためのプログラムである。
【0063】
本発明のプログラムは、時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理するコンピュータに、入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前景オブジェクト成分からなる前景領域、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、混合領域の背景オブジェクト成分から前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、混合領域の前景オブジェクト成分から背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップを含み、領域特定ステップでは、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を背景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きい場合、その画素を前景領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ前のフレームと注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をカバードバックグラウンド領域の画素と特定し、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ後のフレームと注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素をアンカバードバックグラウンド領域の画素と特定する処理を実行させるプログラムである。
【0068】
本発明の画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムにおいては、入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前景オブジェクト成分からなる前景領域、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、混合領域の背景オブジェクト成分から前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、混合領域の前景オブジェクト成分から背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域が特定され、特定結果に対応する領域特定情報が出力される。具体的には、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素が背景領域の画素と特定され、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きい場合、その画素が前景領域の画素と特定され、注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ前のフレームと注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素がカバードバックグラウンド領域の画素と特定され、注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値より大きく、注目フレームより1つ後のフレームと注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素がアンカバードバックグラウンド領域の画素と特定される。
【0069】
【発明の実施の形態】
図10は、本発明に係る画像処理装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)71は、ROM(Read Only Memory)72、または記憶部78に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)73には、CPU71が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU71、ROM72、およびRAM73は、バス74により相互に接続されている。
【0070】
CPU71にはまた、バス74を介して入出力インタフェース75が接続されている。入出力インタフェース75には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部76、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部77が接続されている。CPU71は、入力部76から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU71は、処理の結果得られた画像や音声等を出力部77に出力する。
【0071】
入出力インタフェース75に接続されている記憶部78は、例えばハードディスクなどで構成され、CPU71が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部79は、インターネット、その他のネットワークを介して外部の装置と通信する。この例の場合、通信部79はセンサの出力を取り込む取得部として働く。
【0072】
また、通信部79を介してプログラムを取得し、記憶部78に記憶してもよい。
【0073】
入出力インタフェース75に接続されているドライブ80は、磁気ディスク91、光ディスク92、光磁気ディスク93、または半導体メモリ94などが装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部78に転送され、記憶される。
【0074】
図11は、画像処理装置の機能の構成を示すブロック図である。
【0075】
なお、画像処理装置の各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、本明細書の各ブロック図は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアによる機能ブロック図と考えても良い。
【0076】
ここで、画像処理装置に入力される入力画像には、動きボケが含まれている。
動きボケとは、撮像の対象となる、現実世界におけるオブジェクトの動きと、センサの撮像の特性とにより生じる、動いているオブジェクトに対応する画像に含まれている歪みをいう。
【0077】
この明細書では、撮像の対象となる、現実世界におけるオブジェクトに対応する画像を、画像オブジェクトと称する。
【0078】
画像処理装置に供給された入力画像は、オブジェクト抽出部101、領域特定部103、および領域処理部104に供給される。
【0079】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。オブジェクト抽出部101は、例えば、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの輪郭を検出することで、前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出する。
【0080】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。オブジェクト抽出部101は、例えば、入力画像と、抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトとの差から、背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出する。
【0081】
また、例えば、オブジェクト抽出部101は、内部に設けられている背景メモリに記憶されている背景の画像と、入力画像との差から、前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクト、および背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出するようにしてもよい。
【0082】
動き検出部102は、例えば、ブロックマッチング法、勾配法、位相相関法、およびペルリカーシブ法などの手法により、粗く抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの動きベクトルを算出して、算出した動きベクトルおよび動きベクトルの位置情報(動きベクトルに対応する画素の位置を特定する情報)を領域特定部103に供給する。
【0083】
動き検出部102が出力する動きベクトルには、動き量vに対応する情報が含まれている。
【0084】
また、例えば、動き検出部102は、画像オブジェクトの画素を特定する画素位置情報と共に、画像オブジェクト毎の動きベクトルを領域特定部103に出力するようにしてもよい。
【0085】
動き量vは、動いているオブジェクトに対応する画像の位置の変化を画素間隔を単位として表す値である。例えば、前景に対応するオブジェクトの画像が、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分離れた位置に表示されるように移動しているとき、前景に対応するオブジェクトの画像の動き量vは、4とされる。
【0086】
領域特定部103は、入力された画像の画素のそれぞれを、前景領域、背景領域、または混合領域のいずれかに特定し、画素毎に前景領域、背景領域、または混合領域のいずれかに属するかを示す情報(以下、領域情報と称する)を領域処理部104に供給する。
【0087】
領域処理部104は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、前景領域、背景領域、または混合領域毎に、入力画像を分割し、分割された入力画像毎に画像処理を実行する。例えば、領域処理部104は、前景領域、背景領域、または混合領域毎に、入力画像を分割し、分割された入力画像毎に、より高解像度の画像を生成するクラス分類適応処理で使用される係数を生成する。
【0088】
例えば、領域処理部104は、前景領域、背景領域、または混合領域毎に、入力画像を分割し、分割された入力画像毎にクラス分類適応処理を適用して、より高解像度の画像を創造する。
【0089】
または、例えば、領域処理部104は、前景領域、背景領域、または混合領域毎に、入力画像を分割し、分割された入力画像毎に、それぞれ異なる係数を使用した、エッジ強調の度合いの異なるエッジ強調の処理を適用する。
【0090】
次に、図12乃至図18を参照して、画像処理装置に供給される入力画像について説明する。
【0091】
図12は、センサによる撮像を説明する図である。センサは、例えば、固体撮像素子であるCCD(Charge-Coupled Device)エリアセンサを備えたCCDビデオカメラなどで構成される。現実世界における、前景に対応するオブジェクトは、現実世界における、背景に対応するオブジェクトと、センサとの間を、例えば、図中の左側から右側に水平に移動する。
【0092】
センサは、前景に対応するオブジェクトを、背景に対応するオブジェクトと共に撮像する。センサは、撮像した画像を1フレーム単位で出力する。例えば、センサは、1秒間に30フレームから成る画像を出力する。センサの露光時間は、1/30秒とすることができる。露光時間は、センサが入力された光の電荷への変換を開始してから、入力された光の電荷への変換を終了するまでの期間である。以下、露光時間をシャッタ時間とも称する。
【0093】
図13は、画素の配置を説明する図である。図13中において、A乃至Iは、個々の画素を示す。画素は、画像に対応する平面上に配置されている。1つの画素に対応する1つの検出素子は、センサ上に配置されている。センサが画像を撮像するとき、1つの検出素子は、画像を構成する1つの画素に対応する画素値を出力する。例えば、検出素子のX方向の位置は、画像上の横方向の位置に対応し、検出素子のY方向の位置は、画像上の縦方向の位置に対応する。
【0094】
図14に示すように、例えば、CCDである検出素子は、シャッタ時間に対応する期間、入力された光を電荷に変換して、変換された電荷を蓄積する。電荷の量は、入力された光の強さと、光が入力されている時間にほぼ比例する。検出素子は、シャッタ時間に対応する期間において、入力された光から変換された電荷を、既に蓄積されている電荷に加えていく。すなわち、検出素子は、シャッタ時間に対応する期間、入力される光を積分して、積分された光に対応する量の電荷を蓄積する。検出素子は、時間に対して、積分効果があるとも言える。
【0095】
検出素子に蓄積された電荷は、図示せぬ回路により、電圧値に変換され、電圧値は更にデジタルデータなどの画素値に変換されて出力される。従って、センサから出力される個々の画素値は、前景または背景に対応するオブジェクトの空間的に広がりを有するある部分を、シャッタ時間について積分した結果である、1次元の空間に射影された値を有する。
【0096】
画像処理装置は、このようなセンサの蓄積の動作により生ずる、異なる性質を有する領域を特定し、特定された領域毎に、領域の性質に対応する処理を実行する。
【0097】
図15は、動いている前景に対応するオブジェクトと、静止している背景に対応するオブジェクトとを撮像して得られる画像を説明する図である。図15(A)は、動きを伴う前景に対応するオブジェクトと、静止している背景に対応するオブジェクトとを撮像して得られる画像を示している。図15(A)に示す例において、前景に対応するオブジェクトは、画面に対して水平に左から右に動いている。
【0098】
図15(B)は、図15(A)に示す画像の1つのラインに対応する画素値を時間方向に展開したモデル図である。図15(B)の横方向は、図15(A)の空間方向Xに対応している。
【0099】
背景領域の画素は、背景のオブジェクトに対応する画像の成分(以下、背景の成分とも称する)のみから、その画素値が構成されている。前景領域の画素は、前景のオブジェクトに対応する画像の成分(以下、前景の成分とも称する)のみから、その画素値が構成されている。
【0100】
混合領域の画素は、背景の成分、および前景の成分から、その画素値が構成されている。混合領域は、背景の成分、および前景の成分から、その画素値が構成されているので、歪み領域ともいえる。混合領域は、更に、カバードバックグラウンド領域およびアンカバードバックグラウンド領域に分類される。
【0101】
カバードバックグラウンド領域は、前景領域に対して、前景のオブジェクトの進行方向の前端部に対応する位置の混合領域であり、時間の経過に対応して背景成分が前景に覆い隠される領域をいう。
【0102】
これに対して、アンカバードバックグラウンド領域は、前景領域に対して、前景のオブジェクトの進行方向の後端部に対応する位置の混合領域であり、時間の経過に対応して背景成分が現れる領域をいう。
【0103】
このように、前景領域、背景領域、またはカバードバックグラウンド領域若しくはアンカバードバックグラウンド領域を含む画像が、オブジェクト抽出部101、領域特定部103、および領域処理部104に入力画像として入力される。
【0104】
図16は、以上のような、背景領域、前景領域、混合領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を説明する図である。図15に示す画像に対応する場合、背景領域は、静止部分であり、前景領域は、動き部分であり、混合領域のカバードバックグラウンド領域は、背景から前景に変化する部分であり、混合領域のアンカバードバックグラウンド領域は、前景から背景に変化する部分である。
【0105】
図17は、静止している前景に対応するオブジェクトおよび静止している背景に対応するオブジェクトを撮像した画像における、隣接して1列に並んでいる画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。例えば、隣接して1列に並んでいる画素として、画面の1つのライン上に並んでいる画素を選択することができる。
【0106】
図17に示すF01乃至F04の画素値は、静止している前景のオブジェクトに対応する画素の画素値である。図17に示すB01乃至B04の画素値は、静止している背景のオブジェクトに対応する画素の画素値である。
【0107】
図17における縦方向は、図中の上から下に向かって時間が経過する。図17中の矩形の上辺の位置は、センサが入力された光の電荷への変換を開始する時刻に対応し、図17中の矩形の下辺の位置は、センサが入力された光の電荷への変換を終了する時刻に対応する。すなわち、図17中の矩形の上辺から下辺までの距離は、シャッタ時間に対応する。
【0108】
以下において、シャッタ時間とフレーム間隔とが同一である場合を例に説明する。
【0109】
図17における横方向は、図15で説明した空間方向Xに対応する。より具体的には、図17に示す例において、図17中の”F01”と記載された矩形の左辺から”B04”と記載された矩形の右辺までの距離は、画素のピッチの8倍、すなわち、連続している8つの画素の間隔に対応する。
【0110】
前景のオブジェクトおよび背景のオブジェクトが静止している場合、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される光は変化しない。
【0111】
ここで、シャッタ時間に対応する期間を2つ以上の同じ長さの期間に分割する。例えば、仮想分割数を4とすると、図17に示すモデル図は、図20に示すモデルとして表すことができる。仮想分割数は、前景に対応するオブジェクトのシャッタ時間内での動き量vなどに対応して設定される。例えば、4である動き量vに対応して、仮想分割数は、4とされ、シャッタ時間に対応する期間は4つに分割される。
【0112】
図中の最も上の行は、シャッタが開いて最初の、分割された期間に対応する。
図中の上から2番目の行は、シャッタが開いて2番目の、分割された期間に対応する。図中の上から3番目の行は、シャッタが開いて3番目の、分割された期間に対応する。図中の上から4番目の行は、シャッタが開いて4番目の、分割された期間に対応する。
【0113】
以下、動き量vに対応して分割されたシャッタ時間をシャッタ時間/vとも称する。
【0114】
前景に対応するオブジェクトが静止しているとき、センサに入力される光は変化しないので、前景の成分F01/vは、画素値F01を仮想分割数で除した値に等しい。同様に、前景に対応するオブジェクトが静止しているとき、前景の成分F02/vは、画素値F02を仮想分割数で除した値に等しく、前景の成分F03/vは、画素値F03を仮想分割数で除した値に等しく、前景の成分F04/vは、画素値F04を仮想分割数で除した値に等しい。
【0115】
背景に対応するオブジェクトが静止しているとき、センサに入力される光は変化しないので、背景の成分B01/vは、画素値B01を仮想分割数で除した値に等しい。同様に、背景に対応するオブジェクトが静止しているとき、背景の成分B02/vは、画素値B02を仮想分割数で除した値に等しく、B03/vは、画素値B03を仮想分割数で除した値に等しく、B04/vは、画素値B04を仮想分割数で除した値に等しい。
【0116】
すなわち、前景に対応するオブジェクトが静止している場合、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される前景のオブジェクトに対応する光が変化しないので、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vと、シャッタが開いて2番目の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vと、シャッタが開いて3番目の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vと、シャッタが開いて4番目の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vとは、同じ値となる。F02/v乃至F04/vも、F01/vと同様の関係を有する。
【0117】
背景に対応するオブジェクトが静止している場合、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される背景のオブジェクトに対応する光は変化しないので、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vと、シャッタが開いて2番目の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vと、シャッタが開いて3番目の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vと、シャッタが開いて4番目の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vとは、同じ値となる。B02/v乃至B04/vも、同様の関係を有する。
【0118】
次に、前景に対応するオブジェクトが移動し、背景に対応するオブジェクトが静止している場合について説明する。
【0119】
図19は、前景に対応するオブジェクトが図中の右側に向かって移動する場合の、カバードバックグラウンド領域を含む、1つのライン上の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図19において、前景の動き量vは、4である。1フレームは短い時間なので、前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で移動していると仮定することができる。図19において、前景に対応するオブジェクトの画像は、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分右側に表示されるように移動する。
【0120】
図19において、最も左側の画素乃至左から4番目の画素は、前景領域に属する。図19において、左から5番目乃至左から7番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。図19において、最も右側の画素は、背景領域に属する。
【0121】
前景に対応するオブジェクトが時間の経過と共に背景に対応するオブジェクトを覆い隠すように移動しているので、カバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値に含まれる成分は、シャッタ時間に対応する期間のある時点で、背景の成分から、前景の成分に替わる。
【0122】
例えば、図19中に太線枠を付した画素値Mは、式(1)で表される。
【0123】
M=B02/v+B02/v+F07/v+F06/v (1)
【0124】
例えば、左から5番目の画素は、1つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、3つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から5番目の画素の混合比αは、1/4である。左から6番目の画素は、2つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、2つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から6番目の画素の混合比αは、1/2である。左から7番目の画素は、3つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、1つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から7番目の画素の混合比αは、3/4である。
【0125】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図19中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F07/vは、図19中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F07/vは、図19中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図19中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0126】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図19中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分F06/vは、図19中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F06/vは、図19中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図19中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0127】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図19中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分F05/vは、図19中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vのに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F05/vは、図19中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図19中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0128】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図19中の最も左側の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分F04/vは、図19中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F04/vは、図19中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図19中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0129】
動いているオブジェクトに対応する前景の領域は、このように動きボケを含むので、歪み領域とも言える。
【0130】
図20は、前景が図中の右側に向かって移動する場合の、アンカバードバックグラウンド領域を含む、1つのライン上の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図20において、前景の動き量vは、4である。1フレームは短い時間なので、前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で移動していると仮定することができる。図20において、前景に対応するオブジェクトの画像は、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分右側に移動する。
【0131】
図20において、最も左側の画素乃至左から4番目の画素は、背景領域に属する。図20において、左から5番目乃至左から7番目の画素は、アンカバードバックグラウンドである混合領域に属する。図20において、最も右側の画素は、前景領域に属する。
【0132】
背景に対応するオブジェクトを覆っていた前景に対応するオブジェクトが時間の経過と共に背景に対応するオブジェクトの前から取り除かれるように移動しているので、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値に含まれる成分は、シャッタ時間に対応する期間のある時点で、前景の成分から、背景の成分に替わる。
【0133】
例えば、図20中に太線枠を付した画素値M'は、式(2)で表される。
【0134】
M'=F02/v+F01/v+B26/v+B26/v (2)
【0135】
例えば、左から5番目の画素は、3つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、1つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から5番目の画素の混合比αは、3/4である。左から6番目の画素は、2つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、2つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から6番目の画素の混合比αは、1/2である。左から7番目の画素は、1つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、3つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から7番目の画素の混合比αは、1/4である。
【0136】
式(1)および式(2)をより一般化すると、画素値Mは、式(3)で表される。
【0137】
【数1】
ここで、αは、混合比である。Bは、背景の画素値であり、Fi/vは、前景の成分である。
【0138】
前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で動くと仮定でき、かつ、動き量vが4であるので、例えば、図20中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F01/vは、図20中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、F01/vは、図20中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図20中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0139】
前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で動くと仮定でき、かつ、仮想分割数が4であるので、例えば、図20中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F02/vは、図20中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F02/vは、図20中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。
【0140】
前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で動くと仮定でき、かつ、動き量vが4であるので、例えば、図20中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F03/vは、図20中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。
【0141】
図18乃至図20の説明において、仮想分割数は、4であるとして説明したが、仮想分割数は、動き量vに対応する。動き量vは、一般に、前景に対応するオブジェクトの移動速度に対応する。例えば、前景に対応するオブジェクトが、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分右側に表示されるように移動しているとき、動き量vは、4とされる。動き量vに対応し、仮想分割数は、4とされる。同様に、例えば、前景に対応するオブジェクトが、あるフレームを基準として次のフレームにおいて6画素分左側に表示されるように移動しているとき、動き量vは、6とされ、仮想分割数は、6とされる。
【0142】
図21および図22に、以上で説明した、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域若しくはアンカバードバックグラウンド領域から成る混合領域と、分割されたシャッタ時間に対応する前景の成分および背景の成分との関係を示す。
【0143】
図21は、静止している背景の前を移動しているオブジェクトに対応する前景を含む画像から、前景領域、背景領域、および混合領域の画素を抽出した例を示す。図21に示す例において、前景に対応するオブジェクトは、画面に対して水平に移動している。
【0144】
フレーム#n+1は、フレーム#nの次のフレームであり、フレーム#n+2は、フレーム#n+1の次のフレームである。
【0145】
フレーム#n乃至フレーム#n+2のいずれかから抽出した、前景領域、背景領域、および混合領域の画素を抽出して、動き量vを4として、抽出された画素の画素値を時間方向に展開したモデルを図22に示す。
【0146】
前景領域の画素値は、前景に対応するオブジェクトが移動するので、シャッタ時間/vの期間に対応する、4つの異なる前景の成分から構成される。例えば、図22に示す前景領域の画素のうち最も左側に位置する画素は、F01/v,F02/v,F03/v、およびF04/vから構成される。すなわち、前景領域の画素は、動きボケを含んでいる。
【0147】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される背景に対応する光は変化しない。この場合、背景領域の画素値は、動きボケを含まない。
【0148】
カバードバックグラウンド領域またはアンカバードバックグラウンド領域から成る混合領域に属する画素の画素値は、前景の成分と、背景の成分とから構成される。
【0149】
次に、オブジェクトに対応する画像が動いているとき、複数のフレームにおける、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデルについて説明する。例えば、オブジェクトに対応する画像が画面に対して水平に動いているとき、隣接して1列に並んでいる画素として、画面の1つのライン上に並んでいる画素を選択することができる。
【0150】
図23は、静止している背景に対応するオブジェクトを撮像した画像の3つのフレームの、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。フレーム#nは、フレーム#n-1の次のフレームであり、フレーム#n+1は、フレーム#nの次のフレームである。他のフレームも同様に称する。
【0151】
図23に示すB01乃至B12の画素値は、静止している背景のオブジェクトに対応する画素の画素値である。背景に対応するオブジェクトが静止しているので、フレーム#n-1乃至フレームn+1において、対応する画素の画素値は、変化しない。例えば、フレーム#n-1におけるB05の画素値を有する画素の位置に対応する、フレーム#nにおける画素、およびフレーム#n+1における画素は、それぞれ、B05の画素値を有する。
【0152】
図24は、静止している背景に対応するオブジェクトと共に図中の右側に移動する前景に対応するオブジェクトを撮像した画像の3つのフレームの、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図24に示すモデルは、カバードバックグラウンド領域を含む。
【0153】
図24において、前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、前景の動き量vは、4であり、仮想分割数は、4である。
【0154】
例えば、図24中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなり、図24中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F12/vとなる。図24中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図24中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなる。
【0155】
図24中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなり、図24中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F11/vとなる。図24中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなる。
【0156】
図24中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F10/vとなり、図24中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F10/vとなる。図24中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F09/vとなる。
【0157】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図24中のフレーム#n-1の左から2番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの背景の成分は、B01/vとなる。図24中のフレーム#n-1の左から3番目の画素の、シャッタが開いて最初および2番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B02/vとなる。図24中のフレーム#n-1の左から4番目の画素の、シャッタが開いて最初乃至3番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B03/vとなる。
【0158】
図24中のフレーム#n-1において、最も左側の画素は、前景領域に属し、左側から2番目乃至4番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0159】
図24中のフレーム#n-1の左から5番目の画素乃至12番目の画素は、背景領域に属し、その画素値は、それぞれ、B04乃至B11となる。
【0160】
図24中のフレーム#nの左から1番目の画素乃至5番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#nの前景領域における、シャッタ時間/vの前景の成分は、F05/v乃至F12/vのいずれかである。
【0161】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図24中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなり、図24中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F12/vとなる。図24中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図24中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなる。
【0162】
図24中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなり、図24中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F11/vとなる。図24中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなる。
【0163】
図24中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F10/vとなり、図24中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F10/vとなる。図24中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F09/vとなる。
【0164】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図24中のフレーム#nの左から6番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの背景の成分は、B05/vとなる。図24中のフレーム#nの左から7番目の画素の、シャッタが開いて最初および2番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B06/vとなる。図24中のフレーム#nの左から8番目の画素の、シャッタが開いて最初乃至3番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B07/vとなる。
【0165】
図24中のフレーム#nにおいて、左側から6番目乃至8番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0166】
図24中のフレーム#nの左から9番目の画素乃至12番目の画素は、背景領域に属し、画素値は、それぞれ、B08乃至B11となる。
【0167】
図24中のフレーム#n+1の左から1番目の画素乃至9番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#n+1の前景領域における、シャッタ時間/vの前景の成分は、F01/v乃至F12/vのいずれかである。
【0168】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図24中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなり、図24中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F12/vとなる。図24中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図24中の左から12番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなる。
【0169】
図24中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの期間の前景の成分は、F11/vとなり、図24中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F11/vとなる。図24中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて4番目の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなる。
【0170】
図24中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて3番目の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F10/vとなり、図24中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F10/vとなる。図24中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F09/vとなる。
【0171】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図24中のフレーム#n+1の左から10番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの背景の成分は、B09/vとなる。図24中のフレーム#n+1の左から11番目の画素の、シャッタが開いて最初および2番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B10/vとなる。図24中のフレーム#n+1の左から12番目の画素の、シャッタが開いて最初乃至3番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B11/vとなる。
【0172】
図24中のフレーム#n+1において、左側から10番目乃至12番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に対応する。
【0173】
図25は、静止している背景と共に図中の右側に移動するオブジェクトに対応する前景を撮像した画像の3つのフレームの、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図25において、アンカバードバックグラウンド領域が含まれている。
【0174】
図25において、前景に対応するオブジェクトは、剛体であり、かつ等速で移動していると仮定できる。前景に対応するオブジェクトが、次のフレームにおいて4画素分右側に表示されるように移動しているので、動き量vは、4である。
【0175】
例えば、図25中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなり、図25中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F13/vとなる。図25中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図25中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなる。
【0176】
図25中のフレーム#n-1の左から2番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F14/vとなり、図25中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F14/vとなる。図25中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F15/vとなる。
【0177】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図25中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて2番目乃至4番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B25/vとなる。図25中のフレーム#n-1の左から2番目の画素の、シャッタが開いて3番目および4番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B26/vとなる。図25中のフレーム#n-1の左から3番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B27/vとなる。
【0178】
図25中のフレーム#n-1において、最も左側の画素乃至3番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0179】
図25中のフレーム#n-1の左から4番目の画素乃至12番目の画素は、前景領域に属する。フレームの前景の成分は、F13/v乃至F24/vのいずれかである。
【0180】
図25中のフレーム#nの最も左側の画素乃至左から4番目の画素は、背景領域に属し、画素値は、それぞれ、B25乃至B28となる。
【0181】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図25中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなり、図25中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F13/vとなる。図25中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図25中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなる。
【0182】
図25中のフレーム#nの左から6番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F14/vとなり、図25中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F14/vとなる。図25中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F15/vとなる。
【0183】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図25中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて2番目乃至4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B29/vとなる。図25中のフレーム#nの左から6番目の画素の、シャッタが開いて3番目および4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B30/vとなる。図25中のフレーム#nの左から7番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B31/vとなる。
【0184】
図25中のフレーム#nにおいて、左から5番目の画素乃至7番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0185】
図25中のフレーム#nの左から8番目の画素乃至12番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#nの前景領域における、シャッタ時間/vの期間に対応する値は、F13/v乃至F20/vのいずれかである。
【0186】
図25中のフレーム#n+1の最も左側の画素乃至左から8番目の画素は、背景領域に属し、画素値は、それぞれ、B25乃至B32となる。
【0187】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図25中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなり、図25中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F13/vとなる。図25中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図25中の左から12番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなる。
【0188】
図25中のフレーム#n+1の左から10番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F14/vとなり、図25中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F14/vとなる。図25中の左から12番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F15/vとなる。
【0189】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図25中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて2番目乃至4番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B33/vとなる。図25中のフレーム#n+1の左から10番目の画素の、シャッタが開いて3番目および4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B34/vとなる。図25中のフレーム#n+1の左から11番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B35/vとなる。
【0190】
図25中のフレーム#n+1において、左から9番目の画素乃至11番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0191】
図25中のフレーム#n+1の左から12番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#n+1の前景領域における、シャッタ時間/vの前景の成分は、F13/v乃至F16/vのいずれかである。
【0192】
図26は、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域に属する画素毎に分割された画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【0193】
図26に示すように、領域特定部103は、入力画像の前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定し、領域処理部104は、特定された前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域毎に、入力画像を分割して、分割された、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域の画像の性質に対応して、入力画像を処理する。
【0194】
図27は、前景領域、背景領域、および混合領域に分割された画像の例を示す図である。領域処理部104は、領域特定部103から供給された、前景領域、背景領域、および混合領域を示す領域情報を基に、前景領域、背景領域、または混合領域毎に入力画像を分割して、分割された入力画像を処理する。
【0195】
図28は、本発明に係る画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【0196】
ステップS101において、領域特定部103は、動き検出部102から供給された動きベクトルおよびその位置情報を基に、入力画像の前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定する。領域特定の処理の詳細は、後述する。
【0197】
ステップS102において、領域処理部104は、入力画像を、特定された前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域に分割して、分割された、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域毎に、画像の処理を実行して、処理は終了する。領域処理部104が実行する画像処理の詳細は、後述する。
【0198】
このように、本発明に係る画像処理装置は、入力画像を、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域に分割し、分割された、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域毎に画像処理を実行する。
【0199】
図29は、領域特定部103の構成の一例を示すブロック図である。図29に構成を示す領域特定部103は、動きベクトルを利用しない。フレームメモリ201は、入力された画像をフレーム単位で記憶する。フレームメモリ201は、処理の対象がフレーム#nであるとき、フレーム#nの2つ前のフレームであるフレーム#n-2、フレーム#nの1つ前のフレームであるフレーム#n-1、フレーム#n、フレーム#nの1つ後のフレームであるフレーム#n+1、およびフレーム#nの2つ後のフレームであるフレーム#n+2を記憶する。
【0200】
静動判定部202−1は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+2の画素の画素値、およびフレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、読み出した画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−1は、フレーム#n+2の画素値とフレーム#n+1の画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、差の絶対値が閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−1に供給する。フレーム#n+2の画素の画素値とフレーム#n+1の画素の画素値との差の絶対値が閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−1は、静止を示す静動判定を領域判定部203−1に供給する。
【0201】
静動判定部202−2は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素の画素値、およびフレーム#nの対象となる画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−2は、フレーム#n+1の画素値とフレーム#nの画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、画素値の差の絶対値が、閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−1および領域判定部203−2に供給する。フレーム#n+1の画素の画素値とフレーム#nの画素の画素値との差の絶対値が、閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−2は、静止を示す静動判定を領域判定部203−1および領域判定部203−2に供給する。
【0202】
静動判定部202−3は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画素値、およびフレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−3は、フレーム#nの画素値とフレーム#n-1の画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、画素値の差の絶対値が、閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−2および領域判定部203−3に供給する。フレーム#nの画素の画素値とフレーム#n-1の画素の画素値との差の絶対値が、閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−3は、静止を示す静動判定を領域判定部203−2および領域判定部203−3に供給する。
【0203】
静動判定部202−4は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素の画素値、およびフレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-2の画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−4は、フレーム#n-1の画素値とフレーム#n-2の画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、画素値の差の絶対値が、閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−3に供給する。フレーム#n-1の画素の画素値とフレーム#n-2の画素の画素値との差の絶対値が、閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−4は、静止を示す静動判定を領域判定部203−3に供給する。
【0204】
領域判定部203−1は、静動判定部202−1から供給された静動判定が静止を示し、かつ、静動判定部202−2から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応するアンカバードバックグラウンド領域判定フラグに、アンカバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。
【0205】
領域判定部203−1は、静動判定部202−1から供給された静動判定が動きを示すか、または、静動判定部202−2から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がアンカバードバックグラウンド領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応するアンカバードバックグラウンド領域判定フラグに、アンカバードバックグラウンド領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0206】
領域判定部203−1は、このように”1”または”0”が設定されたアンカバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0207】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が静止を示し、かつ、静動判定部202−3から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が静止領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応する静止領域判定フラグに、静止領域に属することを示す”1”を設定する。
【0208】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が動きを示すか、または、静動判定部202−3から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が静止領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応する静止領域判定フラグに、静止領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0209】
領域判定部203−2は、このように”1”または”0”が設定された静止領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0210】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が動きを示し、かつ、静動判定部202−3から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が動き領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応する動き領域判定フラグに、動き領域に属することを示す”1”を設定する。
【0211】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が静止を示すか、または、静動判定部202−3から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が動き領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応する動き領域判定フラグに、動き領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0212】
領域判定部203−2は、このように”1”または”0”が設定された動き領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0213】
領域判定部203−3は、静動判定部202−3から供給された静動判定が動きを示し、かつ、静動判定部202−4から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応するカバードバックグラウンド領域判定フラグに、カバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。
【0214】
領域判定部203−3は、静動判定部202−3から供給された静動判定が静止を示すか、または、静動判定部202−4から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がカバードバックグラウンド領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応するカバードバックグラウンド領域判定フラグに、カバードバックグラウンド領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0215】
領域判定部203−3は、このように”1”または”0”が設定されたカバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0216】
判定フラグ格納フレームメモリ204は、領域判定部203−1から供給されたアンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、領域判定部203−2から供給された静止領域判定フラグ、領域判定部203−2から供給された動き領域判定フラグ、および領域判定部203−3から供給されたカバードバックグラウンド領域判定フラグをそれぞれ記憶する。
【0217】
判定フラグ格納フレームメモリ204は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、静止領域判定フラグ、動き領域判定フラグ、およびカバードバックグラウンド領域判定フラグを合成部205に供給する。合成部205は、判定フラグ格納フレームメモリ204から供給された、アンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、静止領域判定フラグ、動き領域判定フラグ、およびカバードバックグラウンド領域判定フラグを基に、各画素が、アンカバードバックグラウンド領域、静止領域、動き領域、およびカバードバックグラウンド領域のいずれかに属することを示す領域情報を生成し、判定フラグ格納フレームメモリ206に供給する。
【0218】
判定フラグ格納フレームメモリ206は、合成部205から供給された領域情報を記憶すると共に、記憶している領域情報を出力する。
【0219】
次に、領域特定部103の処理の例を図30乃至図34を参照して説明する。
【0220】
前景に対応するオブジェクトが移動しているとき、オブジェクトに対応する画像の画面上の位置は、フレーム毎に変化する。図30に示すように、フレーム#nにおいて、Yn(x,y)で示される位置に位置するオブジェクトに対応する画像は、次のフレームであるフレーム#n+1において、Yn+1(x,y)に位置する。
【0221】
前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向に隣接して1列に並ぶ画素の画素値を時間方向に展開したモデル図を図31に示す。例えば、前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向が画面に対して水平であるとき、図31におけるモデル図は、1つのライン上の隣接する画素の画素値を時間方向に展開したモデルを示す。
【0222】
図31において、フレーム#nにおけるラインは、フレーム#n+1におけるラインと同一である。
【0223】
フレーム#nにおいて、左から2番目の画素乃至13番目の画素に含まれているオブジェクトに対応する前景の成分は、フレーム#n+1において、左から6番目乃至17番目の画素に含まれる。
【0224】
フレーム#nにおいて、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から11番目乃至13番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から2番目乃至4番目の画素である。フレーム#n+1において、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から15番目乃至17番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から6番目乃至8番目の画素である。
【0225】
図31に示す例において、フレーム#nに含まれる前景の成分が、フレーム#n+1において4画素移動しているので、動き量vは、4である。仮想分割数は、動き量vに対応し、4である。
【0226】
次に、注目しているフレームの前後における混合領域に属する画素の画素値の変化について説明する。
【0227】
図32に示す、背景が静止し、前景の動き量vが4であるフレーム#nにおいて、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から15番目乃至17番目の画素である。動き量vが4であるので、1つ前のフレーム#n-1において、左から15番目乃至17番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。また、更に1つ前のフレーム#n-2において、左から15番目乃至17番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。
【0228】
ここで、背景に対応するオブジェクトが静止しているので、フレーム#n-1の左から15番目の画素の画素値は、フレーム#n-2の左から15番目の画素の画素値から変化しない。同様に、フレーム#n-1の左から16番目の画素の画素値は、フレーム#n-2の左から16番目の画素の画素値から変化せず、フレーム#n-1の左から17番目の画素の画素値は、フレーム#n-2の左から17番目の画素の画素値から変化しない。
【0229】
すなわち、フレーム#nにおけるカバードバックグラウンド領域に属する画素に対応する、フレーム#n-1およびフレーム#n-2の画素は、背景の成分のみから成り、画素値が変化しないので、その差の絶対値は、ほぼ0の値となる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素に対応する、フレーム#n-1およびフレーム#n-2の画素に対する静動判定は、静動判定部202−4により、静止と判定される。
【0230】
フレーム#nにおけるカバードバックグラウンド領域に属する画素は、前景の成分を含むので、フレーム#n-1における背景の成分のみから成る場合と、画素値が異なる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素、および対応するフレーム#n-1の画素に対する静動判定は、静動判定部202−3により、動きと判定される。
【0231】
このように、領域判定部203−3は、静動判定部202−3から動きを示す静動判定の結果が供給され、静動判定部202−4から静止を示す静動判定の結果が供給されたとき、対応する画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0232】
図33に示す、背景が静止し、前景の動き量vが4であるフレーム#nにおいて、アンカバードバックグラウンド領域に含まれる画素は、左から2番目乃至4番目の画素である。動き量vが4であるので、1つ後のフレーム#n+1において、左から2番目乃至4番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。また、更に1つ後のフレーム#n+2において、左から2番目乃至4番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。
【0233】
ここで、背景に対応するオブジェクトが静止しているので、フレーム#n+2の左から2番目の画素の画素値は、フレーム#n+1の左から2番目の画素の画素値から変化しない。同様に、フレーム#n+2の左から3番目の画素の画素値は、フレーム#n+1の左から3番目の画素の画素値から変化せず、フレーム#n+2の左から4番目の画素の画素値は、フレーム#n+1の左から4番目の画素の画素値から変化しない。
【0234】
すなわち、フレーム#nにおけるアンカバードバックグラウンド領域に属する画素に対応する、フレーム#n+1およびフレーム#n+2の画素は、背景の成分のみから成り、画素値が変化しないので、その差の絶対値は、ほぼ0の値となる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素に対応する、フレーム#n+1およびフレーム#n+2の画素に対する静動判定は、静動判定部202−1により、静止と判定される。
【0235】
フレーム#nにおけるアンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、前景の成分を含むので、フレーム#n+1における背景の成分のみから成る場合と、画素値が異なる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素、および対応するフレーム#n+1の画素に対する静動判定は、静動判定部202−2により、動きと判定される。
【0236】
このように、領域判定部203−1は、静動判定部202−2から動きを示す静動判定の結果が供給され、静動判定部202−1から静止を示す静動判定の結果が供給されたとき、対応する画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0237】
図34は、フレーム#nにおける領域特定部103の判定条件を示す図である。
フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-2の画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素とが静止と判定され、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素と、フレーム#nの画素とが動きと判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0238】
フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素と、フレーム#nの画素とが静止と判定され、フレーム#nの画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素とが静止と判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素が静止領域に属すると判定する。
【0239】
フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素と、フレーム#nの画素とが動きと判定され、フレーム#nの画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素とが動きと判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素が動き領域に属すると判定する。
【0240】
フレーム#nの画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素とが動きと判定され、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+2の画素とが静止と判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0241】
図35は、領域特定部103の領域の特定の結果の例を示す図である。図35(A)において、カバードバックグラウンド領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。図35(B)において、アンカバードバックグラウンド領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。
【0242】
図35(C)において、動き領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。図35(D)において、静止領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。
【0243】
図36は、判定フラグ格納フレームメモリ206が出力する領域情報の内、混合領域を示す領域情報を画像として示す図である。図36において、カバードバックグラウンド領域またはアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定された画素、すなわち混合領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。判定フラグ格納フレームメモリ206が出力する混合領域を示す領域情報は、混合領域、および前景領域内のテクスチャの無い部分に囲まれたテクスチャの有る部分を示す。
【0244】
次に、図37のフローチャートを参照して、領域特定部103の領域特定の処理を説明する。ステップS201において、フレームメモリ201は、判定の対象となるフレーム#nを含むフレーム#n-2乃至フレーム#n+2の画像を取得する。
【0245】
ステップS202において、静動判定部202−3は、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、静止か否かを判定し、静止と判定された場合、ステップS203に進み、静動判定部202−2は、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止か否かを判定する。
【0246】
ステップS203において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、ステップS204に進み、領域判定部203−2は、領域の判定される画素に対応する静止領域判定フラグに、静止領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−2は、静止領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS205に進む。
【0247】
ステップS202において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きと判定された場合、または、ステップS203において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、フレーム#nの画素が静止領域には属さないので、ステップS204の処理はスキップされ、手続きは、ステップS205に進む。
【0248】
ステップS205において、静動判定部202−3は、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きか否かを判定し、動きと判定された場合、ステップS206に進み、静動判定部202−2は、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きか否かを判定する。
【0249】
ステップS206において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、ステップS207に進み、領域判定部203−2は、領域の判定される画素に対応する動き領域判定フラグに、動き領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−2は、動き領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS208に進む。
【0250】
ステップS205において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、静止と判定された場合、または、ステップS206において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、フレーム#nの画素が動き領域には属さないので、ステップS207の処理はスキップされ、手続きは、ステップS208に進む。
【0251】
ステップS208において、静動判定部202−4は、フレーム#n-2の画素とフレーム#n-1の同一位置の画素とで、静止か否かを判定し、静止と判定された場合、ステップS209に進み、静動判定部202−3は、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きか否かを判定する。
【0252】
ステップS209において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きと判定された場合、ステップS210に進み、領域判定部203−3は、領域の判定される画素に対応するカバードバックグラウンド領域判定フラグに、カバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−3は、カバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS211に進む。
【0253】
ステップS208において、フレーム#n-2の画素とフレーム#n-1の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、または、ステップS209において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、静止と判定された場合、フレーム#nの画素がカバードバックグラウンド領域には属さないので、ステップS210の処理はスキップされ、手続きは、ステップS211に進む。
【0254】
ステップS211において、静動判定部202−2は、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きか否かを判定し、動きと判定された場合、ステップS212に進み、静動判定部202−1は、フレーム#n+1の画素とフレーム#n+2の同一位置の画素とで、静止か否かを判定する。
【0255】
ステップS212において、フレーム#n+1の画素とフレーム#n+2の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、ステップS213に進み、領域判定部203−1は、領域の判定される画素に対応するアンカバードバックグラウンド領域判定フラグに、アンカバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−1は、アンカバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS214に進む。
【0256】
ステップS211において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、または、ステップS212において、フレーム#n+1の画素とフレーム#n+2の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、フレーム#nの画素がアンカバードバックグラウンド領域には属さないので、ステップS213の処理はスキップされ、手続きは、ステップS214に進む。
【0257】
ステップS214において、領域特定部103は、フレーム#nの全ての画素について領域を特定したか否かを判定し、フレーム#nの全ての画素について領域を特定していないと判定された場合、手続きは、ステップS202に戻り、他の画素について、領域特定の処理を繰り返す。
【0258】
ステップS214において、フレーム#nの全ての画素について領域を特定したと判定された場合、ステップS215に進み、合成部205は、判定フラグ格納フレームメモリ204に記憶されているアンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、およびカバードバックグラウンド領域判定フラグを基に、混合領域を示す領域情報を生成し、更に、各画素が、アンカバードバックグラウンド領域、静止領域、動き領域、およびカバードバックグラウンド領域のいずれかに属することを示す領域情報を生成し、生成した領域情報を判定フラグ格納フレームメモリ206に設定し、処理は終了する。
【0259】
このように、領域特定部103は、フレームに含まれている画素のそれぞれについて、動き領域、静止領域、アンカバードバックグラウンド領域、またはカバードバックグラウンド領域に属することを示す領域情報を生成することができる。
【0260】
なお、領域特定部103は、アンカバードバックグラウンド領域およびカバードバックグラウンド領域に対応する領域情報に論理和を適用することにより、混合領域に対応する領域情報を生成して、フレームに含まれている画素のそれぞれについて、動き領域、静止領域、または混合領域に属することを示すフラグから成る領域情報を生成するようにしてもよい。
【0261】
前景に対応するオブジェクトがテクスチャを有す場合、領域特定部103は、より正確に動き領域を特定することができる。
【0262】
領域特定部103は、動き領域を示す領域情報を前景領域を示す領域情報として、また、静止領域を示す領域情報を背景領域を示す領域情報として出力することができる。
【0263】
なお、背景に対応するオブジェクトが静止しているとして説明したが、背景領域に対応する画像が動きを含んでいても上述した領域を特定する処理を適用することができる。例えば、背景領域に対応する画像が一様に動いているとき、領域特定部103は、この動きに対応して画像全体をシフトさせ、背景に対応するオブジェクトが静止している場合と同様に処理する。また、背景領域に対応する画像が局所毎に異なる動きを含んでいるとき、領域特定部103は、動きに対応した画素を選択して、上述の処理を実行する。
【0264】
図38は、領域特定部103の構成の他の例を示すブロック図である。図38に示す領域特定部103は、動きベクトルを使用しない。背景画像生成部301は、入力画像に対応する背景画像を生成し、生成した背景画像を2値オブジェクト画像抽出部302に供給する。背景画像生成部301は、例えば、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを抽出して、背景画像を生成する。
【0265】
前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向に隣接して1列に並ぶ画素の画素値を時間方向に展開したモデル図の例を図39に示す。例えば、前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向が画面に対して水平であるとき、図39におけるモデル図は、1つのライン上の隣接する画素の画素値を時間方向に展開したモデルを示す。
【0266】
図39において、フレーム#nにおけるラインは、フレーム#n-1およびフレーム#n+1におけるラインと同一である。
【0267】
フレーム#nにおいて、左から6番目の画素乃至17番目の画素に含まれているオブジェクトに対応する前景の成分は、フレーム#n-1において、左から2番目乃至13番目の画素に含まれ、フレーム#n+1において、左から10番目乃至21番目の画素に含まれる。
【0268】
フレーム#n-1において、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から11番目乃至13番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から2番目乃至4番目の画素である。フレーム#nにおいて、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から15番目乃至17番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から6番目乃至8番目の画素である。フレーム#n+1において、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から19番目乃至21番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から10番目乃至12番目の画素である。
【0269】
フレーム#n-1において、背景領域に属する画素は、左から1番目の画素、および左から14番目乃至21番目の画素である。フレーム#nにおいて、背景領域に属する画素は、左から1番目乃至5番目の画素、および左から18番目乃至21番目の画素である。フレーム#n+1において、背景領域に属する画素は、左から1番目乃至9番目の画素である。
【0270】
背景画像生成部301が生成する、図39の例に対応する背景画像の例を図40に示す。背景画像は、背景のオブジェクトに対応する画素から構成され、前景のオブジェクトに対応する画像の成分を含まない。
【0271】
2値オブジェクト画像抽出部302は、背景画像および入力画像の相関を基に、2値オブジェクト画像を生成し、生成した2値オブジェクト画像を時間変化検出部303に供給する。
【0272】
図41は、2値オブジェクト画像抽出部302の構成を示すブロック図である。相関値演算部321は、背景画像生成部301から供給された背景画像および入力画像の相関を演算し、相関値を生成して、生成した相関値をしきい値処理部322に供給する。
【0273】
相関値演算部321は、例えば、図42(A)に示すように、X4を中心とした3×3の背景画像の中のブロックと、図42(B)に示すように、背景画像の中のブロックに対応するY4を中心とした3×3の入力画像の中のブロックに、式(4)を適用して、Y4に対応する相関値を算出する。
【0274】
【数2】
【数3】
【数4】
【0275】
相関値演算部321は、このように各画素に対応して算出された相関値をしきい値処理部322に供給する。
【0276】
また、相関値演算部321は、例えば、図43(A)に示すように、X4を中心とした3×3の背景画像の中のブロックと、図43(B)に示すように、背景画像の中のブロックに対応するY4を中心とした3×3の入力画像の中のブロックに、式(7)を適用して、Y4に対応する差分絶対値を算出するようにしてもよい。
【0277】
【数5】
【0278】
相関値演算部321は、このように算出された差分絶対値を相関値として、しきい値処理部322に供給する。
【0279】
しきい値処理部322は、相関画像の画素値としきい値th0とを比較して、相関値がしきい値th0以下である場合、2値オブジェクト画像の画素値に1を設定し、相関値がしきい値th0より大きい場合、2値オブジェクト画像の画素値に0を設定して、0または1が画素値に設定された2値オブジェクト画像を出力する。しきい値処理部322は、しきい値th0を予め記憶するようにしてもよく、または、外部から入力されたしきい値th0を使用するようにしてもよい。
【0280】
図44は、図39に示す入力画像のモデルに対応する2値オブジェクト画像の例を示す図である。2値オブジェクト画像において、背景画像と相関の高い画素には、画素値に0が設定される。
【0281】
図45は、時間変化検出部303の構成を示すブロック図である。フレームメモリ341は、フレーム#nの画素について領域を判定するとき、2値オブジェクト画像抽出部302から供給された、フレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像を記憶する。
【0282】
領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像を基に、フレーム#nの各画素について領域を判定して、領域情報を生成し、生成した領域情報を出力する。
【0283】
図46は、領域判定部342の判定を説明する図である。フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が0であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素が背景領域に属すると判定する。
【0284】
フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が1であり、フレーム#n-1の2値オブジェクト画像の対応する画素が1であり、フレーム#n+1の2値オブジェクト画像の対応する画素が1であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素が前景領域に属すると判定する。
【0285】
フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が1であり、フレーム#n-1の2値オブジェクト画像の対応する画素が0であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0286】
フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が1であり、フレーム#n+1の2値オブジェクト画像の対応する画素が0であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0287】
図47は、図39に示す入力画像のモデルに対応する2値オブジェクト画像について、時間変化検出部303の判定した例を示す図である。時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの対応する画素が0なので、フレーム#nの左から1番目乃至5番目の画素を背景領域に属すると判定する。
【0288】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの画素が1であり、フレーム#n+1の対応する画素が0なので、左から6番目乃至9番目の画素をアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0289】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの画素が1であり、フレーム#n-1の対応する画素が1であり、フレーム#n+1の対応する画素が1なので、左から10番目乃至13番目の画素を前景領域に属すると判定する。
【0290】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの画素が1であり、フレーム#n-1の対応する画素が0なので、左から14番目乃至17番目の画素をカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0291】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの対応する画素が0なので、左から18番目乃至21番目の画素を背景領域に属すると判定する。
【0292】
次に、図48のフローチャートを参照して、領域判定部103の領域特定の処理を説明する。ステップS301において、領域判定部103の背景画像生成部301は、入力画像を基に、例えば、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを抽出して背景画像を生成し、生成した背景画像を2値オブジェクト画像抽出部302に供給する。
【0293】
ステップS302において、2値オブジェクト画像抽出部302は、例えば、図42を参照して説明した演算により、入力画像と背景画像生成部301から供給された背景画像との相関値を演算する。ステップS303において、2値オブジェクト画像抽出部302は、例えば、相関値としきい値th0とを比較することにより、相関値およびしきい値th0から2値オブジェクト画像を演算する。
【0294】
ステップS304において、時間変化検出部303は、領域判定の処理を実行して、処理は終了する。
【0295】
図49のフローチャートを参照して、ステップS304に対応する領域判定の処理の詳細を説明する。ステップS321において、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#nにおいて、注目する画素が0であるか否かを判定し、フレーム#nにおいて、注目する画素が0であると判定された場合、ステップS322に進み、フレーム#nの注目する画素が背景領域に属すると設定して、処理は終了する。
【0296】
ステップS321において、フレーム#nにおいて、注目する画素が1であると判定された場合、ステップS323に進み、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n-1において、対応する画素が0であるか否かを判定し、フレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n-1において、対応する画素が0であると判定された場合、ステップS324に進み、フレーム#nの注目する画素がカバードバックグラウンド領域に属すると設定して、処理は終了する。
【0297】
ステップS323において、フレーム#nにおいて、注目する画素が0であるか、または、フレーム#n-1において、対応する画素が1であると判定された場合、ステップS325に進み、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n+1において、対応する画素が0であるか否かを判定し、フレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n+1において、対応する画素が0であると判定された場合、ステップS326に進み、フレーム#nの注目する画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると設定して、処理は終了する。
【0298】
ステップS325において、フレーム#nにおいて、注目する画素が0であるか、または、フレーム#n+1において、対応する画素が1であると判定された場合、ステップS327に進み、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレーム#nの注目する画素を前景領域と設定して、処理は終了する。
【0299】
このように、領域特定部103は、入力された画像と対応する背景画像との相関値を基に、入力画像の画素が前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域のいずれかに属するかを特定して、特定した結果に対応する領域情報を生成することができる。
【0300】
図50は、領域特定部103の他の構成を示すブロック図である。図50に示す領域特定部103は、動き検出部102から供給される動きベクトルとその位置情報を使用する。図38に示す場合と同様の部分には、同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0301】
ロバスト化部361は、2値オブジェクト画像抽出部302から供給された、N個のフレームの2値オブジェクト画像を基に、ロバスト化された2値オブジェクト画像を生成して、時間変化検出部303に出力する。
【0302】
図51は、ロバスト化部361の構成を説明するブロック図である。動き補償部381は、動き検出部102から供給された動きベクトルとその位置情報を基に、N個のフレームの2値オブジェクト画像の動きを補償して、動きが補償された2値オブジェクト画像をスイッチ382に出力する。
【0303】
図52および図53の例を参照して、動き補償部381の動き補償について説明する。例えば、フレーム#nの領域を判定するとき、図52に例を示すフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像が入力された場合、動き補償部381は、動き検出部102から供給された動きベクトルを基に、図53に例を示すように、フレーム#n-1の2値オブジェクト画像、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像を動き補償して、動き補償された2値オブジェクト画像をスイッチ382に供給する。
【0304】
スイッチ382は、1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像をフレームメモリ383−1に出力し、2番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像をフレームメモリ383−2に出力する。同様に、スイッチ382は、3番目乃至N−1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像のそれぞれをフレームメモリ383−3乃至フレームメモリ383−(N−1)のいずれかに出力し、N番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像をフレームメモリ383−Nに出力する。
【0305】
フレームメモリ383−1は、1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像を記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−1に出力する。フレームメモリ383−2は、2番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像を記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−2に出力する。
【0306】
同様に、フレームメモリ383−3乃至フレームメモリ383−(N−1)のそれぞれは、3番目のフレーム乃至N−1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像のいずれかを記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−3乃至重み付け部384−(N−1)のいずれかに出力する。フレームメモリ383−Nは、N番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像を記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−Nに出力する。
【0307】
重み付け部384−1は、フレームメモリ383−1から供給された1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みw1を乗じて、積算部385に供給する。重み付け部384−2は、フレームメモリ383−2から供給された2番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みw2を乗じて、積算部385に供給する。
【0308】
同様に、重み付け部384−3乃至重み付け部384−(N−1)のそれぞれは、フレームメモリ383−3乃至フレームメモリ383−(N−1)のいずれかから供給された3番目乃至N−1番目のいずれかのフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みw3乃至重みw(N-1)のいずれかを乗じて、積算部385に供給する。重み付け部384−Nは、フレームメモリ383−Nから供給されたN番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みwNを乗じて、積算部385に供給する。
【0309】
積算部385は、1乃至N番目のフレームの動き補償され、それぞれ重みw1乃至wNのいずれかが乗じられた、2値オブジェクト画像の対応する画素値を積算して、積算された画素値を予め定めたしきい値th0と比較することにより2値オブジェクト画像を生成する。
【0310】
このように、ロバスト化部361は、N個の2値オブジェクト画像からロバスト化された2値オブジェト画像を生成して、時間変化検出部303に供給するので、図50に構成を示す領域特定部103は、入力画像にノイズが含まれていても、図38に示す場合に比較して、より正確に領域を特定することができる。
【0311】
次に、図50に構成を示す領域特定部103の領域特定の処理について、図54のフローチャートを参照して説明する。ステップS341乃至ステップS343の処理は、図48のフローチャートで説明したステップS301乃至ステップS303とそれぞれ同様なのでその説明は省略する。
【0312】
ステップS344において、ロバスト化部361は、ロバスト化の処理を実行する。
【0313】
ステップS345において、時間変化検出部303は、領域判定の処理を実行して、処理は終了する。ステップS345の処理の詳細は、図49のフローチャートを参照して説明した処理と同様なのでその説明は省略する。
【0314】
次に、図55のフローチャートを参照して、図54のステップS344の処理に対応する、ロバスト化の処理の詳細について説明する。ステップS361において、動き補償部381は、動き検出部102から供給される動きベクトルとその位置情報を基に、入力された2値オブジェクト画像の動き補償の処理を実行する。ステップS362において、フレームメモリ383−1乃至383−Nのいずれかは、スイッチ382を介して供給された動き補償された2値オブジェクト画像を記憶する。
【0315】
ステップS363において、ロバスト化部361は、N個の2値オブジェクト画像が記憶されたか否かを判定し、N個の2値オブジェクト画像が記憶されていないと判定された場合、ステップS361に戻り、2値オブジェクト画像の動き補償の処理および2値オブジェクト画像の記憶の処理を繰り返す。
【0316】
ステップS363において、N個の2値オブジェクト画像が記憶されたと判定された場合、ステップS364に進み、重み付け部384−1乃至384−Nのそれぞれは、N個の2値オブジェクト画像のそれぞれにw1乃至wNのいずれかの重みを乗じて、重み付けする。
【0317】
ステップS365において、積算部385は、重み付けされたN個の2値オブジェクト画像を積算する。
【0318】
ステップS366において、積算部385は、例えば、予め定められたしきい値th1との比較などにより、積算された画像から2値オブジェクト画像を生成して、処理は終了する。
【0319】
このように、図50に構成を示す領域特定部103は、ロバスト化された2値オブジェクト画像を基に、領域情報を生成することができる。
【0320】
以上のように、領域特定部103は、フレームに含まれている画素のそれぞれについて、動き領域、静止領域、アンカバードバックグラウンド領域、またはカバードバックグラウンド領域に属することを示す領域情報を生成することができる。
【0321】
図56は、空間方向に、より高解像度な画像を生成するクラス分類適応処理において使用される係数セットを生成する領域処理部104の構成を示すブロック図である。教師画像フレームメモリ501は、例えば、HD画像である入力画像を、フレーム単位で記憶する。教師画像フレームメモリ501は、記憶している入力画像を領域分割部502に供給する。
【0322】
領域分割部502は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域に教師画像を分割する。
【0323】
領域分割部502は、分割された教師画像である、教師画像の背景画像を背景領域教師画像フレームメモリ503に供給し、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504に供給し、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505に供給し、教師画像の前景画像を前景領域教師画像フレームメモリ506に供給する。
【0324】
背景領域教師画像フレームメモリ503は、領域分割部502から供給された、教師画像の背景画像を記憶する。背景領域教師画像フレームメモリ503は、記憶している教師画像の背景画像を加重平均部507−1および学習部512−1に供給する。
【0325】
アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504は、領域分割部502から供給された、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504は、記憶している教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を加重平均部507−2および学習部512−2に供給する。
【0326】
カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505は、領域分割部502から供給された、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505は、記憶している教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を加重平均部507−3および学習部512−3に供給する。
【0327】
前景領域教師画像フレームメモリ506は、領域分割部502から供給された、教師画像の前景画像を記憶する。前景領域教師画像フレームメモリ506は、記憶している教師画像の前景画像を加重平均部507−4および学習部512−4に供給する。
【0328】
加重平均部507−1は、背景領域教師画像フレームメモリ503から供給された、例えば、HD画像である教師画像の背景画像を4分の1加重平均して、生徒画像であるSD画像を生成し、生成したSD画像を背景領域生徒画像フレームメモリ508に供給する。
【0329】
例えば、加重平均部507−1は、図57に示すように、教師画像の2×2(横×縦)の4つの画素(同図において、白丸で示す部分)を1単位とし、各単位の4つの画素の画素値を加算して、加算された結果を4で除算する。加重平均部507−1は、このように、4分の1加重平均された結果を、各単位の中心に位置する生徒画像の画素(同図において、黒丸で示す部分)に設定する。
【0330】
背景領域生徒画像フレームメモリ508は、加重平均部507−1から供給された、教師画像の背景画像に対応する、生徒画像を記憶する。背景領域生徒画像フレームメモリ508は、記憶している、教師画像の背景画像に対応する生徒画像を学習部512−1に供給する。
【0331】
加重平均部507−2は、アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504から供給された、HD画像である教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を、例えば、4分の1加重平均して、生徒画像であるSD画像を生成し、生成したSD画像をアンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ509に供給する。
【0332】
アンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ509は、加重平均部507−2から供給された、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する、SD画像である生徒画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ509は、記憶している、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を学習部512−2に供給する。
【0333】
加重平均部507−3は、カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505から供給された、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を、例えば、4分の1加重平均して、生徒画像であるSD画像を生成し、生成したSD画像をカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ510に供給する。
【0334】
カバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ510は、加重平均部507−3から供給された、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する、SD画像である生徒画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ510は、記憶している、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を学習部512−3に供給する。
【0335】
加重平均部507−4は、前景領域教師画像フレームメモリ506から供給された、例えば、HD画像である教師画像の前景画像を4分の1加重平均して、生徒画像であるSD画像を生成し、生成したSD画像を前景領域生徒画像フレームメモリ511に供給する。
【0336】
前景領域生徒画像フレームメモリ511は、加重平均部507−4から供給された、教師画像の前景画像に対応する、SD画像である生徒画像を記憶する。前景領域生徒画像フレームメモリ511は、記憶している、教師画像の前景画像に対応する生徒画像を学習部512−4に供給する。
【0337】
学習部512−1は、背景領域教師画像フレームメモリ503から供給された教師画像の背景画像、および背景領域生徒画像フレームメモリ508から供給された、教師画像の背景画像に対応する生徒画像を基に、背景領域に対応する係数セットを生成し、生成した係数セットを係数セットメモリ513に供給する。
【0338】
学習部512−2は、アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504から供給された教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、およびアンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ509から供給された、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を基に、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを生成し、生成した係数セットを係数セットメモリ513に供給する。
【0339】
学習部512−3は、カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505から供給された教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、およびカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ510から供給された、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を基に、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを生成し、生成した係数セットを係数セットメモリ513に供給する。
【0340】
学習部512−4は、前景領域教師画像フレームメモリ506から供給された教師画像の前景画像、および前景領域生徒画像フレームメモリ510から供給された、教師画像の前景画像に対応する生徒画像を基に、前景領域に対応する係数セットを生成し、生成した係数セットを係数セットメモリ513に供給する。
【0341】
係数セットメモリ513は、学習部512−1から供給された背景領域に対応する係数セット、学習部512−2から供給されたアンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、学習部512−3から供給されたカバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、および学習部512−4から供給された前景領域に対応する係数セットを記憶する。
【0342】
以下、学習部512−1乃至学習部512−4を個々に区別する必要がないとき、単に学習部512と称する。
【0343】
図58は、学習部512の構成を示すブロック図である。
【0344】
クラス分類部531は、クラスタップ取得部551および波形分類部552で構成され、入力された生徒画像の、注目している画素である、注目画素をクラス分類する。クラスタップ取得部551は、注目画素に対応する、生徒画像の画素である、所定の数のクラスタップを取得し、取得したクラスタップを波形分類部552に供給する。
【0345】
例えば、図57において、上からi番目で、左からj番目の生徒画像の画素(図中、黒丸で示す部分)をXijと表すとすると、クラスタップ取得部551は、注目画素Xijの左上、上、右上、左、右、左下、下、右下に隣接する8つの画素X(i-1)(j-1),X(i-1)j,X(i-1)(j+1),Xi(j-1),Xi(j+1),X(i-1)(j-1),X(i-1)j,X(i+1)(j+1)に、自身を含め、合計9画素で構成されるクラスタップを取得する。このクラスタップは、波形分類部552に供給される。
【0346】
なお、この場合、クラスタップは、3×3画素でなる正方形状のブロックで構成されることとなるが、クラス分類用ブロックの形状は、正方形である必要はなく、その他、例えば、長方形や、十文字形、その他の任意な形とすることが可能である。また、クラスタップを構成する画素数も、3×3の9画素に限定されるものではない。
【0347】
波形分類部552は、入力信号を、その特徴に基づいていくつかのクラスに分類する、クラス分類処理を実行して、クラスタップを基に、注目画素を1つのクラスに分類する。波形分類部552は、例えば、注目画素を512のクラスのうちの1つのクラスに分類し、分類されたクラスに対応するクラス番号を予測タップ取得部532に供給する。
【0348】
ここで、クラス分類処理について簡単に説明する。
【0349】
いま、例えば、図59(A)に示すように、ある注目画素と、それに隣接する3つの画素により、2×2画素でなるクラスタップを構成し、また、各画素は、1ビットで表現される(0または1のうちのいずれかのレベルをとる)ものとする。この場合、注目画素を含む2×2の4画素のブロックは、各画素のレベル分布により、図59(B)に示すように、16(=(21)4)パターンに分類することができる。従って、いまの場合、注目画素は、16のパターンに分類することができ、このようなパターン分けが、クラス分類処理であり、クラス分類部531において行われる。
【0350】
なお、クラス分類処理は、画像(クラスタップ)のアクティビティ(画像の複雑さ)(変化の激しさ)などをも考慮して行うようにすることが可能である。
【0351】
ここで、通常、各画素には、例えば8ビット程度が割り当てられる。また、本実施の形態においては、上述したように、クラスタップは、3×3の9画素で構成される。従って、このようなクラスタップを対象にクラス分類処理を行ったのでは、(28)9という膨大な数のクラスに分類されることになる。
【0352】
そこで、本実施の形態においては、波形分類部552において、クラスタップに対して、ADRC処理が施され、これにより、クラスタップを構成する画素のビット数を小さくすることで、クラス数を削減する。
【0353】
説明を簡単にするため、図60(A)に示すように、直線上に並んだ4画素で構成されるクラスタップを考えると、ADRC処理においては、その画素値の最大値MAXと最小値MINが検出される。そして、DR=MAX−MINを、クラスタップで構成されるブロックの局所的なダイナミックレンジとし、このダイナミックレンジDRに基づいて、クラスタップのブロックを構成する画素の画素値がKビットに再量子化される。
【0354】
即ち、ブロック内の各画素値から、最小値MINを減算し、その減算値をDR/2Kで除算する。そして、その結果得られる除算値に対応するコード(ADRCコード)に変換される。具体的には、例えば、K=2とした場合、図60(B)に示すように、除算値が、ダイナミックレンジDRを4(=22)等分して得られるいずれの範囲に属するかが判定され、除算値が、最も下のレベルの範囲、下から2番目のレベルの範囲、下から3番目のレベルの範囲、または最も上のレベルの範囲に属する場合には、それぞれ、例えば、00B,01B,10B、または11Bなどの2ビットにコード化される(Bは2進数であることを表す)。
そして、復号側においては、ADRCコード00B,01B,10B、または11Bは、ダイナミックレンジDRを4等分して得られる最も下のレベルの範囲の中心値L00、下から2番目のレベルの範囲の中心値L01、下から3番目のレベルの範囲の中心値L10、または最も上のレベルの範囲の中心値L11に変換され、その値に、最小値MINが加算されることで復号が行われる。
【0355】
ここで、このようなADRC処理はノンエッジマッチングと呼ばれる。
【0356】
なお、ADRC処理については、本件出願人が先に出願した、例えば、特開平3−53778号公報などに、その詳細が開示されている。
【0357】
クラスタップを構成する画素に割り当てられているビット数より少ないビット数で再量子化を行うADRC処理を施すことにより、上述したように、クラス数を削減することができ、このようなADRC処理が、波形分類部552において行われる。
【0358】
なお、本実施の形態では、波形分類部552において、ADRCコードに基づいて、クラス分類処理が行われるが、クラス分類処理は、その他、例えば、DPCM(予測符号化)や、BTC(Block Truncation Coding)、VQ(ベクトル量子化)、DCT(離散コサイン変換)、アダマール変換などを施したデータを対象に行うようにすることも可能である。
【0359】
予測タップ取得部532は、クラス番号を基に、生徒画像の画素から、クラスに対応し、元の画像(教師画像)の予測値を計算するための単位である、予測タップを取得し、取得した予測タップおよびクラス番号を対応画素取得部533に供給する。
【0360】
例えば、図57において、生徒画像の画素Xij(図中、黒丸で示す部分)を中心とする、元の画像(教師画像)における2×2の9画素の画素値を、その最も左から右方向、かつ上から下方向に、Yij(1),Yij(2),Yij(3),Yij(4)と表すとすると、画素Yij(1)乃至Yij(4)の予測値の計算に必要な係数を算出するために、予測タップ取得部532は、例えば、生徒画像の画素Xijを中心とする3×3の9画素X(i-1)(j-1),X(i-1)j,X(i-1)(j+1),Xi(j-1),Xij,Xi(j+1),X(i+1)(j-1),X(i+1)j,X(i+1)(j+1)で構成される正方形状の予測タップを取得する。
【0361】
具体的には、例えば、図57において四角形で囲む、教師画像における画素Y33(1)乃至Y33(4)の4画素の予測値の計算に必要な係数を算出するには、画素X22,X23,X24,X32,X33,X34,X42,X43,X44により、予測タップが構成される(この場合の注目画素は、X33となる)。
【0362】
対応画素取得部533は、予測タップおよびクラス番号を基に、予測すべき画素値に対応する教師画像の画素の画素値を取得し、予測タップ、クラス番号、および取得した予測すべき画素値に対応する教師画像の画素の画素値を正規方程式生成部534に供給する。
【0363】
例えば、対応画素取得部533は、教師画像における画素Y33(1)乃至Y33(4)の4画素の予測値の計算に必要な係数を算出するとき、予測すべき画素値に対応する教師画像の画素として、画素Y33(1)乃至Y33(4)の画素値を取得する。
【0364】
正規方程式生成部534は、予測タップ、クラス番号、および取得した予測すべき画素値を基に、予測タップおよび予測すべき画素値の関係に対応する、適応処理において使用される係数セットを算出するための正規方程式を生成し、クラス番号と共に、生成した正規方程式を係数計算部535に供給する。
【0365】
係数計算部535は、正規方程式生成部534から供給された正規方程式を解いて、分類されたクラスに対応する、適応処理において使用される係数セットを計算する。係数計算部535は、クラス番号と共に、計算した係数セットを係数セットメモリ513に供給する。
【0366】
正規方程式生成部534は、このような正規方程式に対応する行列を生成し、係数計算部535は、生成された行列を基に、係数セットを計算するようにしてもよい。
【0367】
ここで、適応処理について説明する。
【0368】
例えば、いま、教師画像の画素値yの予測値E[y]を、その周辺の幾つかの画素の画素値(以下、適宜、生徒データという)x1,x2,・・・と、所定の予測係数w1,w2,・・・の線形結合により規定される線形1次結合モデルにより求めることを考える。この場合、予測値E[y]は、次式で表すことができる。
【0369】
E[y]=w1x1+w2x2+・・・ (8)
【0370】
そこで、一般化するために、予測係数wの集合でなる行列W、生徒データの集合でなる行列X、および予測値E[y]の集合でなる行列Y’を、
【数6】
で定義すると、次のような観測方程式が成立する。
【0371】
XW=Y’ (9)
【0372】
そして、この観測方程式に最小自乗法を適用して、元の画像の画素値yに近い予測値E[y]を求めることを考える。この場合、元の画像の画素値(以下、適宜、教師データという)yの集合でなる行列Y、および元の画像の画素値yに対する予測値E[y]の残差eの集合でなる行列Eを、
【数7】
で定義すると、式(9)から、次のような残差方程式が成立する。
【0373】
XW=Y+E (10)
【0374】
この場合、元の画像の画素値yに近い予測値E[y]を求めるための予測係数wiは、自乗誤差
【数8】
を最小にすることで求めることができる。
【0375】
従って、上述の自乗誤差を予測係数wiで微分したものが0になる場合、即ち、次式を満たす予測係数wiが、元の画像の画素値yに近い予測値E[y]を求めるため最適値ということになる。
【0376】
【数9】
【0377】
そこで、まず、式(10)を、予測係数wiで微分することにより、次式が成立する。
【0378】
【数10】
【0379】
式(11)および(12)より、式(13)が得られる。
【0380】
【数11】
【0381】
さらに、式(10)の残差方程式における生徒データx、予測係数w、教師データy、および残差eの関係を考慮すると、式(13)から、次のような正規方程式を得ることができる。
【0382】
【数12】
【0383】
式(14)の正規方程式は、求めるべき予測係数wの数と同じ数だけたてることができ、従って、式(14)を解くことで、最適な予測係数wを求めることができる。なお、式(14)を解くにあたっては、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを適用することが可能である。
【0384】
以上のようにして、クラスごとに最適な予測係数wを求め、さらに、その予測係数wを用い、式(8)により、教師画像の画素値yに近い予測値E[y]を求めるのが適応処理である。
【0385】
正規方程式生成部534は、クラスごとに最適な予測係数wを算出するための正規方程式を生成し、係数計算部535は、生成された正規方程式を基に、予測係数wを算出する。
【0386】
なお、適応処理は、間引かれた画像には含まれていない、元の画像に含まれる成分が再現される点で、補間処理とは異なる。即ち、適応処理は、式(8)だけを見る限りは、いわゆる補間フィルタを用いての補間処理と同一であるが、その補間フィルタのタップ係数に相当する予測係数wが、教師データyを用いての、いわば学習により求められるため、元の画像に含まれる成分を再現することができる。このことから、適応処理は、いわば画像の創造作用がある処理ということができる。
【0387】
図61は、図56に構成を示す領域処理部104が生成する係数セットを説明する図である。領域処理部104は、背景領域に対応する係数セット、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、前景領域に対応する係数セット、およびカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを個々に算出する。
【0388】
すなわち、領域分割部502は、入力画像を、背景画像、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、および前景画像に分割する。
【0389】
学習部512−1は、分割された背景画像を基に、背景領域に対応する係数セットを算出し、学習部512−2は、分割されたアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を基に、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを算出し、学習部512−3は、分割されたカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を基に、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを算出し、学習部512−4は、分割された前景画像を基に、前景領域に対応する係数セットを算出する。
【0390】
背景領域に対応する係数セットは、画素値を予測するクラス分類適応処理において、背景領域の画素値の予測に使用される。アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットは、画素値を予測するクラス分類適応処理において、アンカバードバックグラウンド領域の画素値の予測に使用される。
【0391】
カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットは、画素値を予測するクラス分類適応処理において、カバードバックグラウンド領域の画素値の予測に使用される。前景領域に対応する係数セットは、画素値を予測するクラス分類適応処理において、前景領域の画素値の予測に使用される。
【0392】
背景画像に対応する予測画像、アンカバードバックグラウンド領域に対応する予測画像、カバードバックグラウンド領域に対応する予測画像、および前景画像に対応する予測画像は、合成され、1つの予測画像とされる。
【0393】
図62のフローチャートを参照して、図56に構成を示す領域処理部104による、クラス分類適応処理による画素値の予測に使用される係数セットを生成する学習の処理を説明する。
【0394】
ステップS501において、領域分割部502は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、教師画像フレームメモリ501に記憶されている教師画像を領域分割する。すなわち、領域分割部502は、領域分割された教師画像である、教師画像の背景画像を背景領域教師画像フレームメモリ503に供給する。領域分割部502は、領域分割された教師画像である、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504に供給する。
【0395】
領域分割部502は、領域分割された教師画像である、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505に供給する。領域分割部502は、領域分割された教師画像である、教師画像の前景画像を前景領域教師画像フレームメモリ506に供給する。
【0396】
ステップS502において、加重平均部507−1乃至507−4は、背景領域、前景領域、アンカバードバックグラウンド領域、およびカバードバックグラウンド領域の生徒画像を生成する。すなわち、加重平均部507−1は、背景領域教師画像フレームメモリ503に記憶されている、教師画像の背景画像を、例えば、4分の1加重平均して、教師画像の背景画像に対応する生徒画像を生成する。加重平均部507−2は、アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504に記憶されている、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を、例えば、4分の1加重平均して、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を生成する。
【0397】
加重平均部507−3は、カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505に記憶されている、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を、例えば、4分の1加重平均して、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を生成する。加重平均部507−4は、前景領域教師画像フレームメモリ506に記憶されている、教師画像の前景画像を、例えば、4分の1加重平均して、教師画像の前景画像に対応する生徒画像を生成する。
【0398】
ステップS503において、学習部512−1は、背景領域教師画像フレームメモリ503に記憶されている教師画像の背景画像、および背景領域生徒画像フレームメモリ508に記憶されている、教師画像の背景画像に対応する生徒画像を基に、背景領域に対応する係数セットを生成する。ステップS503における係数セットの生成の処理の詳細は、図63のフローチャートを参照して後述する。
【0399】
ステップS504において、学習部512−2は、アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504に記憶されている、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、およびアンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ509に記憶されている、教師画像のアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を基に、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを生成する。
【0400】
ステップS505において、学習部512−3は、カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505に記憶されている、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、およびカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ510に記憶されている、教師画像のカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像に対応する生徒画像を基に、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを生成する。
【0401】
ステップS506において、学習部512−4は、前景領域教師画像フレームメモリ506に記憶されている教師画像の前景画像、および前景領域生徒画像フレームメモリ511に記憶されている、教師画像の前景画像に対応する生徒画像を基に、前景領域に対応する係数セットを生成する。
【0402】
ステップS507において、学習部512−1乃至512−4は、それぞれ、背景領域に対応する係数セット、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、または前景領域に対応する係数セットを係数セットメモリ513に供給する。係数セットメモリ513は、背景領域、前景領域、アンカバードバックグラウンド領域、またはカバードバックグラウンド領域のそれぞれに対応する係数セットを記憶して、処理は終了する。
【0403】
このように、図56に構成を示す領域処理部104は、背景領域に対応する係数セット、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、および前景領域に対応する係数セットを生成することができる。
【0404】
なお、ステップS503乃至ステップS506の処理を、シリアルに実行しても、パラレルに実行しても良いことは勿論である。
【0405】
次に、図63のフローチャートを参照して、ステップS503の処理に対応する、学習部512−1が実行する背景領域に対応する係数セットの生成の処理を説明する。
【0406】
ステップS521において、学習部512−1は、背景領域に対応する生徒画像に未処理の画素があるか否かを判定し、背景領域に対応する生徒画像に未処理の画素があると判定された場合、ステップS522に進み、ラスタースキャン順に、背景領域に対応する生徒画像から注目画素を取得する。
【0407】
ステップS523において、クラス分類部531のクラスタップ取得部551は、背景領域生徒画像フレームメモリ508に記憶されている生徒画像から、注目画素に対応するクラスタップを取得する。ステップS524において、クラス分類部531の波形分類部552は、クラスタップに対して、ADRC処理を適用し、これにより、クラスタップを構成する画素のビット数を小さくして、注目画素をクラス分類する。ステップS525において、予測タップ取得部532は、分類されたクラスを基に、背景領域生徒画像フレームメモリ508に記憶されている生徒画像から、注目画素に対応する予測タップを取得する。
【0408】
ステップS526において、対応画素取得部533は、分類されたクラスを基に、背景領域教師画像フレームメモリ503に記憶されている教師画像の背景画像から、予測すべき画素値に対応する画素を取得する。
【0409】
ステップS527において、正規方程式生成部534は、分類されたクラスを基に、クラス毎の行列に、予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値を足し込み、ステップS521に戻り、領域処理部104は、未処理の画素があるか否かの判定を繰り返す。予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値を足し込まれるクラス毎の行列は、クラス毎の係数セットを計算するための正規方程式に対応している。
【0410】
ステップS521において、生徒画像に未処理の画素がないと判定された場合、ステップS528に進み、正規方程式生成部534は、予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値が設定された、クラス毎の行列を係数計算部535に供給する。係数計算部535は、予測タップおよび予測すべき画素値に対応する画素の画素値が設定された、クラス毎の行列を解いて、背景領域に対応する、クラス毎の係数セットを計算する。
【0411】
なお、係数計算部535は、線形予測により画素値を予測するための係数セットに限らず、非線形予測により画素値を予測するための係数セットを計算するようにしてもよい。
【0412】
ステップS529において、係数計算部535は、背景領域に対応する、クラス毎の係数セットを係数セットメモリ513に出力し、処理は終了する。
【0413】
このように、学習部512−1は、背景領域に対応する係数セットを生成することができる。
【0414】
ステップS504に対応する、学習部512−2による、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットの生成の処理は、アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ504に記憶されているアンカバードバックグラウンド領域の画像、およびアンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ509に記憶されているアンカバードバックグラウンド領域に対応する生徒画像を使用することを除いて、図63のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0415】
ステップS505に対応する、学習部512−3による、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットの生成の処理は、カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ505に記憶されているカバードバックグラウンド領域の画像、およびアカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ510に記憶されているカバードバックグラウンド領域に対応する生徒画像を使用することを除いて、図63のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0416】
ステップS506に対応する、学習部512−4による、前景領域に対応する係数セットの生成の処理は、前景領域教師画像フレームメモリ506に記憶されている前景画像、および前景領域生徒画像フレームメモリ511に記憶されている前景画像に対応する生徒画像を使用することを除いて、図63のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0417】
このように、図56に構成を示す領域処理部104は、背景領域に対応する係数セット、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セット、および前景領域に対応する係数セットを個々に生成することができる。
【0418】
図64は、クラス分類適応処理を実行して、空間方向に、より高解像度な画像を生成する領域処理部104の構成を示すブロック図である。フレームメモリ601は、例えば、SD画像である入力画像を、フレーム単位で記憶する。フレームメモリ601は、記憶している入力画像を領域分割部602に供給する。
【0419】
領域分割部602は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域毎に入力画像を分割する。すなわち、領域分割部602は、分割された入力画像である、背景画像を背景領域フレームメモリ603に供給し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604に供給し、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域フレームメモリ605に供給し、前景画像を前景領域フレームメモリ606に供給する。
【0420】
背景領域フレームメモリ603は、領域分割部602から供給された、背景領域に属する画素からなる背景画像を記憶する。背景領域フレームメモリ603は、記憶している背景画像をマッピング部607−1に供給する。
【0421】
アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604は、領域分割部602から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をマッピング部607−2に供給する。
【0422】
カバードバックグラウンド領域フレームメモリ605は、領域分割部602から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域フレームメモリ605は、記憶しているカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をマッピング部607−3に供給する。
【0423】
前景領域フレームメモリ606は、領域分割部602から供給された、前景領域に属する画素からなる前景画像を記憶する。前景領域入力画像フレームメモリ506は、記憶している前景画像をマッピング部607−4に供給する。
【0424】
マッピング部607−1は、係数セットメモリ608に記憶されている、背景領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、背景領域フレームメモリ603に記憶されている背景画像に対応する予測画像を生成する。マッピング部607−1は、生成した予測画像を合成部609に供給する。
【0425】
マッピング部607−2は、係数セットメモリ608に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域の画像に対応する予測画像を生成する。マッピング部607−2は、生成した予測画像を合成部609に供給する。
【0426】
マッピング部607−3は、係数セットメモリ608に記憶されている、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、カバードバックグラウンド領域フレームメモリ605に記憶されている、カバードバックグラウンド領域の画像に対応する予測画像を生成する。マッピング部607−3は、生成した予測画像を合成部609に供給する。
【0427】
マッピング部607−4は、係数セットメモリ608に記憶されている、前景領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、前景領域フレームメモリ606に記憶されている前景画像に対応する予測画像を生成する。マッピング部607−4は、生成した予測画像を合成部609に供給する。
【0428】
合成部609は、マッピング部607−1から供給された背景画像に対応する予測画像、マッピング部607−2から供給されたアンカバードバックグラウンド領域の画像に対応する予測画像、マッピング部607−3から供給されたカバードバックグラウンド領域の画像に対応する予測画像、およびマッピング部607−4から供給された前景画像に対応する予測画像を合成し、合成された予測画像をフレームメモリ610に供給する。
【0429】
フレームメモリ610は、合成部609から供給された予測画像を記憶すると共に、記憶している画像を出力画像として出力する。
【0430】
以下、マッピング部607−1乃至607−4を個々に区別する必要がないとき、単にマッピング部607と称する。
【0431】
図65は、マッピング部607の構成を示すブロック図である。
【0432】
マッピング処理部631は、クラス分類処理を実行するクラス分類部641、並びに適応処理を実行する予測タップ取得部642および予測演算部643で構成されている。
【0433】
クラス分類部641は、クラスタップ取得部651および波形分類部652で構成され、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域のいずれかの領域に対応する、分割された入力画像の、注目している画素である、注目画素をクラス分類する。
【0434】
クラスタップ取得部651は、分割された入力画素に対応する、所定の数のクラスタップを取得し、取得したクラスタップを波形分類部652に供給する。例えば、クラスタップ取得部651は、9個のクラスタップを取得し、取得したクラスタップを波形分類部652に供給する。
【0435】
波形分類部652は、クラスタップに対して、ADRC処理を適用し、これにより、クラスタップを構成する画素のビット数を小さくして、注目画素を所定の数のクラスのうちの1つのクラスに分類し、分類されたクラスに対応するクラス番号を予測タップ取得部642に供給する。例えば、波形分類部652は、注目画素を512のクラスのうちの1つのクラスに分類し、分類されたクラスに対応するクラス番号を予測タップ取得部642に供給する。
【0436】
予測タップ取得部642は、クラス番号を基に、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域のいずれかの領域に対応する、分割された入力画像から、クラスに対応する、所定の数の予測タップを取得し、取得した予測タップおよびクラス番号を予測演算部643に供給する。
【0437】
予測タップ取得部642が予測タップを取得する、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域のいずれかに分割された入力画像は、クラス分類部641がクラスタップを取得する、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域のいずれかに分割された入力画像と同一である。
【0438】
予測演算部643は、クラス番号を基に、係数セットメモリ608に記憶されている背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および前景領域に対応する係数セットから、予測しようとする画素値の領域に対応し、クラスに対応する係数セットを取得する。予測演算部643は、予測しようとする画素値の領域に対応し、クラスに対応する係数セット、および予測タップを基に、線形予測により予測画像の画素値を予測する。予測演算部43は、予測した画素値をフレームメモリ632に供給する。
【0439】
なお、予測演算部643は、非線形予測により予測画像の画素値を予測するようしてもよい。
【0440】
フレームメモリ632は、マッピング処理部631から供給された、予測された画素値からなる画像を出力する。
【0441】
図66乃至図71に示す画像を参照して、図64に構成を示す領域処理部104を有する本発明の画像処理装置の処理の結果の例を説明する。
【0442】
例に示す結果を生成する処理において、本発明の画像処理装置のクラス分類適応処理におけるクラスの数の総和は、従来のクラス分類適応処理におけるクラスの数と同一である。すなわち、従来のクラス分類適応処理におけるクラスの数は、2048とし、本発明の画像処理装置の各領域のクラス分類適応処理におけるクラスの数は、512とした。
【0443】
また、従来のクラス分類適応処理における予測タップの数、および本発明の画像処理装置の各領域のクラス分類適応処理における予測タップの数は、9個とし、同一とした。
【0444】
図66乃至図68を参照して、カバードバックグラウンド領域における予測の結果を説明する。
【0445】
図66(A)は、教師画像の混合領域における画像の例を示す図である。図66(B)は、教師画像の混合領域における画像の、空間方向の位置に対応する画素値の変化を示す図である。
【0446】
図67(A)は、図66に示す教師画像に対応する、従来のクラス分類適応処理により生成された、混合領域の画像の例を示す図である。図67(B)は、図66に示す教師画像に対応する、従来のクラス分類適応処理により生成された、混合領域における画像の、空間方向の位置に対応する画素値の変化を示す図である。
【0447】
図68(A)は、図66に示す教師画像に対応する、図64に構成を示す領域処理部104により生成された、混合領域の画像の例を示す図である。図67(B)は、図66に示す教師画像に対応する、図64に構成を示す領域処理部104により生成された、混合領域における画像の、空間方向の位置に対応する画素値の変化を示す図である。
【0448】
従来のクラス分類適応処理により生成された、混合領域における画像の画素値は、教師画像に比較して、階段状に変化し、生成された実際の画像においても、段階的に変化していることが、目視により確認できる。
【0449】
これに対して、図64に構成を示す領域処理部104により生成された、混合領域における画像の画素値は、従来に比較して、より滑らかに変化し、教師画像により近い変化を示す。領域処理部104により生成された画像を目視により確認しても、従来に比較して、滑らかな画像であることが確認できる。
【0450】
図69乃至図71を参照して、画素の位置に対して画素値がほぼ直線的に変化している前景領域における予測の結果を説明する。
【0451】
図69(A)は、画素値がほぼ直線的に変化している、教師画像の前景領域における画像の例を示す図である。図69(B)は、画素値がほぼ直線的に変化している、教師画像の前景領域における画像の、空間方向の位置に対応する画素値の変化を示す図である。
【0452】
図70(A)は、従来のクラス分類適応処理により生成された、図69の画像に対応する、前景領域の画像の例を示す図である。図70(B)は、従来のクラス分類適応処理により生成された、図69の画像に対応する、前景領域における画像の、空間方向の位置に対応する画素値の変化を示す図である。
【0453】
図71(A)は、図64に構成を示す領域処理部104により生成された、図69の画像に対応する、前景領域の画像の例を示す図である。図67(B)は、図64に構成を示す領域処理部104により生成された、図69の画像に対応する、前景領域における画像の、空間方向の位置に対応する画素値の変化を示す図である。
【0454】
従来のクラス分類適応処理により生成された、前景領域における画像の画素値は、混合領域と同様に、教師画像に比較して、階段状に変化し、実際の画像においても、段階的に変化していることが、目視により確認できる。
【0455】
これに対して、図64に構成を示す領域処理部104により生成された、前景領域における画像の画素値は、従来に比較して、より滑らかに変化し、教師画像に極めて近い値となる。領域処理部104により生成された画像の目視による確認においては、教師画像との違いが認められなかった。
【0456】
また、所定の画像について、従来のクラス分類適応処理により生成された画像の各領域におけるSN比と、本発明に係る画像処理装置のクラス分類適応処理により生成された画像の各領域におけるSN比とを求めて比較した。
【0457】
従来のクラス分類適応処理により生成された画像のカバードバックグラウンド領域におけるSN比は、32.1716dBであり、アンカバードバックグラウンド領域におけるSN比は、31.8744dBであり、前景領域におけるSN比は、31.8835dBであり、背景領域におけるSN比は、31.9985dBであった。
【0458】
これに対して、本発明に係る画像処理装置により生成された画像のカバードバックグラウンド領域におけるSN比は、32.1799dBであり、アンカバードバックグラウンド領域におけるSN比は、31.8922dBであり、前景領域におけるSN比は、32.0925dBであり、背景領域におけるSN比は、32.0177dBであった。
【0459】
このように、本発明に係る画像処理装置により生成された画像のSN比は、いずれの領域においても、従来のクラス分類適応処理により生成された画像のSN比に比較して高い。
【0460】
次に、図72のフローチャートを参照して、図64に構成を示す領域処理部104の画像の創造の処理を説明する。
【0461】
ステップS601において、領域分割部602は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域に入力画像を分割する。すなわち、領域分割部602は、分割された入力画像である、背景領域に属する画素からなる背景画像を背景領域フレームメモリ603に供給し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604に供給し、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域フレームメモリ605に供給し、前景領域に属する画素からなる前景画像を前景領域フレームメモリ606に供給する。
【0462】
ステップS602において、マッピング部607−1は、係数セットメモリ608に記憶されている、背景領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、背景領域フレームメモリ603に記憶されている背景画像に対応する画像を予測する。背景画像に対応する画像の予測の処理の詳細は、図73のフローチャートを参照して後述する。
【0463】
ステップS603において、マッピング部607−2は、係数セットメモリ608に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域の画像に対応する画像を予測する。
【0464】
ステップS604において、マッピング部607−3は、係数セットメモリ608に記憶されている、カバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、カバードバックグラウンド領域フレームメモリ605に記憶されている、カバードバックグラウンド領域の画像に対応する画像を予測する。
【0465】
ステップS605において、マッピング部607−4は、係数セットメモリ608に記憶されている、前景領域に対応する係数セットを基に、クラス分類適応処理により、前景領域フレームメモリ606に記憶されている前景画像に対応する画像を予測する。
【0466】
ステップS606において、合成部609は、背景画像に対応する予測画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像に対応する予測画像、カバードバックグラウンド領域の画像に対応する予測画像、および前景領域に対応する予測画像を合成する。合成部609は、合成された画像をフレームメモリ610に供給する。フレームメモリ610は、合成部609から供給された画像を記憶する。
【0467】
ステップS607において、フレームメモリ610は、記憶している、合成された画像を出力し、処理は終了する。
【0468】
このように、図64に構成を示す領域処理部104を有する画像処理装置は、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および前景領域毎に、入力画像を分割し、分割された画像毎に予測画像を生成することができる。
【0469】
なお、ステップS602乃至ステップS605の処理を、シリアルに実行しても、パラレルに実行しても良いことは勿論である。
【0470】
図73のフローチャートを参照して、ステップS602に対応する、マッピング部607−1による背景領域に対応する画像の予測の処理を説明する。
【0471】
ステップS621において、マッピング部607−1は、背景画像に未処理の画素があるか否かを判定し、背景画像に未処理の画素があると判定された場合、ステップS622に進み、マッピング処理部631は、係数セットメモリ608に記憶されている、背景領域に対応する係数セットを取得する。ステップS623において、マッピング処理部631は、ラスタースキャン順に、背景領域フレームメモリ603に記憶されている背景画像から注目画素を取得する。
【0472】
ステップS624において、クラス分類部641のクラスタップ取得部651は、背景領域フレームメモリ603に記憶されている背景画像から、注目画素に対応するクラスタップを取得する。ステップS625において、クラス分類部641の波形分類部652は、クラスタップに対して、ADRC処理を適用し、これにより、クラスタップを構成する画素のビット数を小さくして、注目画素をクラス分類する。ステップS626において、予測タップ取得部642は、分類されたクラスを基に、背景領域フレームメモリ603に記憶されている背景画像から、注目画素に対応する予測タップを取得する。
【0473】
ステップS627において、予測演算部643は、背景領域および分類されたクラスに対応する係数セット、および予測タップを基に、線形予測により、予測画像の画素値を予測する。
【0474】
なお、予測演算部643は、線形予測に限らず、非線形予測により予測画像の画素値を予測するようにしてもよい。
【0475】
ステップS628において、予測演算部643は、予測された画素値をフレームメモリ632に出力する。フレームメモリ632は、予測演算部643から供給された画素値を記憶する。手続きは、ステップS621に戻り、未処理の画素があるか否かの判定を繰り返す。
【0476】
ステップS621において、背景画像に未処理の画素がないと判定された場合、ステップS629に進み、フレームメモリ632は、記憶されている背景領域に対応する予測画像を出力して、処理は終了する。
【0477】
このように、マッピング部607−1は、分割された入力画像の背景画像を基に、背景画像に対応する画像を予測することができる。
【0478】
ステップS603に対応する、マッピング部607−2による、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素による構成される画像に対応する予測画像の生成の処理は、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ604に記憶されているアンカバードバックグラウンド領域の画像、およびアンカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを使用することを除いて、図73のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0479】
ステップS604に対応する、マッピング部607−3による、カバードバックグラウンド領域に属する画素による構成される画像に対応する予測画像の生成の処理は、アカバードバックグラウンド領域フレームメモリ605に記憶されているカバードバックグラウンド領域の画像、およびカバードバックグラウンド領域に対応する係数セットを使用することを除いて、図73のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0480】
ステップS605に対応する、マッピング部607−4による、前景画像に対応する予測画像の生成の処理は、前景領域フレームメモリ606に記憶されている前景画像、および前景領域に対応する係数セットを使用することを除いて、図73のフローチャートを参照して説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0481】
このように、図64に構成を示す領域処理部104は、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および前景領域毎に予測画像を生成することができる。
【0482】
図74は、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域毎に、異なる効果のエッジ強調処理を適用する領域処理部104の構成を示すブロック図である。
【0483】
フレームメモリ701は、入力画像を、フレーム単位で記憶する。フレームメモリ701は、記憶している入力画像を領域分割部702に供給する。
【0484】
領域分割部702は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域に入力画像を分割する。すなわち、領域分割部702は、分割された入力画像である、背景領域に属する画素からなる背景画像を背景領域フレームメモリ703に供給し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ704に供給し、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域フレームメモリ705に供給し、前景領域に属する画素からなる前景画像を前景領域フレームメモリ706に供給する。
【0485】
背景領域フレームメモリ703は、領域分割部702から供給された、背景領域に属する画素からなる背景画像を記憶する。背景領域フレームメモリ703は、記憶している背景画像をエッジ強調部707−1に供給する。
【0486】
アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ704は、領域分割部702から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ704は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をエッジ強調部707−2に供給する。
【0487】
カバードバックグラウンド領域フレームメモリ705は、領域分割部702から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域フレームメモリ705は、記憶しているカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をエッジ強調部707−3に供給する。
【0488】
前景領域フレームメモリ706は、領域分割部702から供給された、前景領域に属する画素からなる前景画像を記憶する。前景領域入力画像フレームメモリ506は、記憶している前景画像をエッジ強調部707−4に供給する。
【0489】
エッジ強調部707−1は、背景領域フレームメモリ703に記憶されている背景画像に、背景画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した背景画像を合成部708に供給する。
【0490】
例えば、エッジ強調部707−1は、静止している画像である背景画像に、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域に比較して、エッジをより強調するエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を発生させることなく、背景画像の解像度感をより増加させることができる。
【0491】
エッジ強調部707−2は、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ704に記憶されている画像に、アンカバードバックグラウンド領域の画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部708に供給する。
【0492】
例えば、エッジ強調部707−2は、動いている前景成分を含む画像であるアンカバードバックグラウンド領域の画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、アンカバードバックグラウンド領域の画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0493】
エッジ強調部707−3は、カバードバックグラウンド領域フレームメモリ705に記憶されている画像に、カバードバックグラウンド領域の画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部708に供給する。
【0494】
例えば、エッジ強調部707−3は、動いている前景成分を含む画像であるカバードバックグラウンド領域の画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、カバードバックグラウンド領域の画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0495】
エッジ強調部707−4は、前景領域フレームメモリ706に記憶されている前景画像に、前景画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した前景画像を合成部708に供給する。
【0496】
例えば、エッジ強調部707−4は、動いている前景画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、前景画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0497】
合成部708は、エッジ強調部707−1から供給された、エッジ強調された背景画像、エッジ強調部707−2から供給された、エッジ強調されたアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、エッジ強調部707−3から供給された、エッジ強調されたカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、およびエッジ強調部707−4から供給された、エッジ強調された前景画像を合成し、合成された予測画像をフレームメモリ709に供給する。
【0498】
フレームメモリ709は、合成部708から供給された、合成された予測画像を記憶すると共に、記憶している画像を出力画像として出力する。
【0499】
このように、図74に構成を示す領域処理部104は、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域毎に、それぞれの画像の性質に対応したエッジ強調処理を適用するので、画像を不自然に劣化させることなく、画像の解像度感を増すことができる。
【0500】
以下、エッジ強調部707−1乃至707−4を個々に区別する必要がないとき、単にエッジ強調部707と称する。
【0501】
図75は、エッジ強調部707の構成を示すブロック図である。領域毎に分割された入力画像は、ハイパスフィルタ721および加算部723に入力される。
【0502】
ハイパスフィルタ721は、入力されたフィルタ係数を基に、入力画像から、画素位置に対して画素値が急激に変化している、いわゆる画像の周波数の高い成分を抽出し、画素位置に対して画素値の変化が少ない、いわゆる画像の周波数の低い成分を除去して、エッジ画像を生成する。
【0503】
例えば、ハイパスフィルタ721は、図76(A)に示す画像が入力されたとき、図76(B)に示すエッジ画像を生成する。
【0504】
入力されるフィルタ係数が変化したとき、ハイパスフィルタ721は、抽出する画像の周波数、除去する画像の周波数、および抽出する画像のゲインを変化させる。
【0505】
図77乃至図80を参照して、フィルタ係数とエッジ画像との関係を説明する。
【0506】
図77は、フィルタ係数の第1の例を示す図である。図77において、Eは、10の階乗を示す。例えば、E-04は、10-4を示し、E-02は、10-2を示す。
【0507】
例えば、ハイパスフィルタ721は、入力画像の、注目している画素である注目画素の画素値、注目画素を基準として、空間方向Yの所定の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値、および注目画素を基準として、空間方向Yの他の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値のそれぞれに、図77に示すフィルタ係数のうち、対応する係数を乗算する。ハイパスフィルタ721は、それぞれの画素の画素値に対応する係数を乗算して得られた結果の総和を算出して、算出された総和を注目画素の画素値に設定する。
【0508】
例えば、図77に示すフィルタ係数を使用するとき、ハイパスフィルタ721は、注目画素の画素値に1.2169396を乗算し、注目画素から画面の上方向に1画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.52530356を乗算し、注目画素から画面の上方向に2画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.22739914を乗算する。
【0509】
図77に示すフィルタ係数を使用するとき、ハイパスフィルタ721は、同様に、注目画素から画面の上方向に3画素乃至13画素の距離だけ離れている画素に対応する係数を乗算し、注目画素から画面の上方向に14画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.00022540586を乗算し、注目画素から画面の上方向に15画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.00039273163を乗算する。
【0510】
図77に示すフィルタ係数を使用するとき、ハイパスフィルタ721は、注目画素から画面の下方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素に同様に対応する係数を乗算する。
【0511】
ハイパスフィルタ721は、注目画素の画素値、注目画素から画面の上方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値、および注目画素から画面の下方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値のそれぞれに、対応する係数を乗算して得られた結果の総和を算出する。ハイパスフィルタ721は、算出された総和を注目画素の画素値に設定する。
【0512】
ハイパスフィルタ721は、注目画素の位置を空間方向Xに順次移動させて、上述した処理を繰り返し、画面全体の画素について、画素値を算出する。
【0513】
次に、ハイパスフィルタ721は、上述のように係数を基に画素値が算出された画像の、注目している画素である注目画素の画素値、注目画素を基準として、空間方向Xの所定の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値、および注目画素を基準として、空間方向Xの他の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値のそれぞれに、図77に示すフィルタ係数のうち、対応する係数を乗算する。ハイパスフィルタ721は、それぞれの画素の画素値に対応する係数を乗算して得られた結果の総和を算出して、算出された総和を注目画素の画素値に設定する。
【0514】
ハイパスフィルタ721は、注目画素の位置を空間方向Yに順次移動させて、上述した処理を繰り返し、画面全体の画素について、画素値を算出する。
【0515】
すなわち、この例において、ハイパスフィルタ721は、図77に示す係数を使用する、いわゆる1次元フィルタである。
【0516】
図78は、図77の係数を使用するときのハイパスフィルタ721の動作を示す図である。図78に示すように、図77の係数を使用するとき、ハイパスフィルタ721における、抽出される画像成分の最大のゲインは、1である。
【0517】
図79は、フィルタ係数の第2の例を示す図である。
【0518】
図80は、図77に示すフィルタ係数を使用した処理と同様の処理を、図79の係数を使用して実行したときのハイパスフィルタ721の動作を示す図である。図80に示すように、図79の係数を使用するとき、ハイパスフィルタ721における、抽出される画像成分の最大のゲインは、1.5である。
【0519】
このように、ハイパスフィルタ721は、供給されるフィルタ係数により、抽出する画像成分のゲインを変化させる。
【0520】
例えば、図75に構成を示すエッジ強調部707−1は、図79に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いのより強いエッジ強調処理を、背景領域の画像に適用する。図75に構成を示すエッジ強調部707−4は、図77に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いの比較的弱いエッジ強調処理を、前景領域の画像に適用する。
【0521】
ここでは例示しないが、同様に、異なるフィルタ係数が供給されたとき、ハイパスフィルタ721は、抽出する画像の周波数、および除去する画像の周波数を変化させることができる。
【0522】
図75に戻り、ハイパスフィルタ721は、生成したエッジ画像をゲイン調整部722に供給する。
【0523】
ゲイン調整部722は、入力されたゲイン調整係数を基に、ハイパスフィルタ721から供給されたエッジ画像を増幅するか、または減衰する。入力されるゲイン調整係数が変化したとき、ゲイン調整部722は、エッジ画像の増幅率(減衰率)を変化させる。例えば、ゲイン調整部722は、1以上の増幅率を指定するゲイン調整係数が入力されたとき、エッジ画像を増幅し、1未満の増幅率を指定するゲイン調整係数が入力されたとき、エッジ画像を減衰する。
【0524】
ゲイン調整部722は、ゲインが調整されたエッジ画像を加算部723に供給する。
【0525】
加算部723は、分割された入力画像と、ゲイン調整部722から供給された、ゲインが調整されたエッジ画像とを加算して、加算された画像を出力する。
【0526】
例えば、加算部723は、図76(A)に示す入力画像が入力され、図76(B)に示すエッジ画像がハイパスフィルタ721から供給されたとき、図76(A)の入力画像と図76(B)のエッジ画像とを加算して、図76(C)に示す画像を出力する。
【0527】
このように、エッジ強調部707は、分割された画像にエッジ強調の処理を適用する。
【0528】
図81は、エッジ強調部707の他の構成を示すブロック図である。図81に示す例において、エッジ強調部707は、フィルタ741から構成されている。
【0529】
フィルタ741は、入力されたフィルタ係数を基に、入力画像の、画素位置に対して画素値が急激に変化している、いわゆる画像の周波数の高い成分を増幅して、エッジ強調画像を生成する。
【0530】
例えば、フィルタ741は、図82に例を示す係数が供給されたとき、図82に例を示す係数を基に、ハイパスフィルタ721で説明した処理と同様の処理を実行する。
【0531】
図83は、図82の係数を使用するときのフィルタ741の動作を示す図である。図83に示すように、図82の係数を使用するとき、フィルタ741は、画像の周波数の高い成分を2倍に増幅し、画像の周波数の低い成分をそのまま通過させて、エッジ強調画像を生成する。
【0532】
図82の係数を使用するときのフィルタ741は、図77の係数を利用し、ゲイン調整部722のゲインが1であるときの、図75に構成を示すエッジ強調部707の出力画像と同一の出力画像を出力する。
【0533】
図84は、フィルタ741に供給されるフィルタ係数の第2の例を示す図である。
【0534】
図85は、図84の係数を使用するときのフィルタ741の動作を示す図である。図85に示すように、図84の係数を使用するとき、フィルタ741は、画像の周波数の高い成分を2.5倍に増幅し、画像の周波数の低い成分をそのまま通過させて、エッジ強調画像を生成する。
【0535】
図84の係数を使用するときのフィルタ741は、図79の係数を利用し、ゲイン調整部722のゲインが1であるときの、図75に構成を示すエッジ強調部707の出力画像と同一の出力画像を出力する。
【0536】
このように、図81に構成を示すエッジ強調部707は、入力されるフィルタ係数により、画像の高周波成分のゲインを変化させて、画像のエッジの強調の度合いを変更することができる。
【0537】
以上のように、エッジ強調部707−1乃至707−4は、例えば、異なるフィルタ係数またはゲイン調整係数を基に、分割された画像の性質に対応したエッジ強調の処理を実行する。
【0538】
例えば、図81に構成を示すエッジ強調部707−1は、図84に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いのより強いエッジ強調処理を、背景領域の画像に適用する。図81に構成を示すエッジ強調部707−4は、図82に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いの比較的弱いエッジ強調処理を、前景領域の画像に適用する。
【0539】
図86は、図74に構成を示す領域処理部104の処理を説明する図である。
【0540】
入力画像の前景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および背景領域は、領域特定部103に特定される。
【0541】
領域が特定された入力画像は、領域処理部104により、領域毎に分割される。分割された、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景領域の画像は、図74に構成を示す領域処理部104により、それぞれの画像の性質に対応して、それぞれの画像毎にエッジ強調される。
【0542】
それぞれにエッジ強調された、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景領域の画像は、合成される。
【0543】
次に、図87のフローチャートを参照して、図74に構成を示す領域処理部104のエッジ強調の処理を説明する。
【0544】
ステップS701において、領域分割部702は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域に入力画像を分割する。すなわち、領域分割部702は、分割された入力画像である、背景領域に属する画素からなる背景画像を背景領域フレームメモリ703に供給し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ704に供給し、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域フレームメモリ705に供給し、前景領域に属する画素からなる前景画像を前景領域フレームメモリ706に供給する。
【0545】
ステップS702において、エッジ強調部707−1は、背景画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、背景領域フレームメモリ703に記憶されている背景画像をエッジ強調する。
【0546】
ステップS703において、エッジ強調部707−2は、アンカバードバックグラウンド領域の画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ704に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域の画像をエッジ強調する。
【0547】
ステップS704において、エッジ強調部707−3は、カバードバックグラウンド領域の画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、カバードバックグラウンド領域フレームメモリ705に記憶されている、カバードバックグラウンド領域の画像をエッジ強調する。
【0548】
ステップS705において、エッジ強調部707−4は、前景画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、前景領域フレームメモリ706に記憶されている前景画像をエッジ強調する。
【0549】
ステップS706において、合成部708は、それぞれにエッジ強調された、背景画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景画像を合成する。合成部708は、合成された画像をフレームメモリ709に供給する。フレームメモリ709は、合成部708から供給された画像を記憶する。
【0550】
ステップS707において、フレームメモリ709は、記憶している、合成された画像を出力し、処理は終了する。
【0551】
このように、図74に構成を示す領域処理部104は、背景画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景画像毎に、それぞれの性質に対応してエッジ強調の処理を実行することができるので、動いている画像に不自然な歪みを生じさせることなく、解像度感を向上させることができる。
【0552】
なお、ステップS702乃至ステップS705の処理を、シリアルに実行しても、パラレルに実行しても良いことは勿論である。
【0553】
また、領域処理部104が実行する処理は、SD画像とHD画像とに対応する係数の生成、またはSD画像からHD画像を生成する処理に限らず、例えば、空間方向により解像度の高いの画像を生成するための係数を生成し、空間方向により解像度の高い画像を生成するようにしてもよい。さらに、領域処理部104は、時間方向に、より解像度の高い画像を生成する処理を実行するようにしてもよい。
【0554】
なお、領域処理部104は、所定の情報から係数を生成して、生成された係数を基に、クラス分類適応処理を実行するようにしてもよい。
【0555】
また、領域処理部104は、クラス分類適応処理またはエッジ強調処理に限らず、例えば、所望の大きさへの画像のサイズの変換、RGBなどの色信号の抽出、ノイズの除去、ノイズの除去、画像の圧縮、または符号化など他の処理を特定された領域毎に実行するようにしてもよい。例えば、領域処理部104に、それぞれの領域に対応する動きベクトルを基に、動きベクトルに沿った方向の圧縮率を低く、動きベクトルに直交する方向の圧縮率を高くして、各領域毎の画像を圧縮させるようにすれば、従来に比較して、画像の劣化が少ないまま、圧縮比を高くすることができる。
【0556】
以上のように、本発明の画像処理装置においては、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および前景領域に画像を分割し、分割された画像に適した処理が実行されるので、例えば、解像度のより高い画像が生成される。
【0557】
なお、前景となるオブジェクトの動きの方向は左から右として説明したが、その方向に限定されないことは勿論である。
【0558】
以上においては、3次元空間と時間軸情報を有する現実空間の画像をビデオカメラを用いて2次元空間と時間軸情報を有する時空間への射影を行った場合を例としたが、本発明は、この例に限らず、より多くの第1の次元の第1の情報を、より少ない第2の次元の第2の情報に射影した場合に適応することが可能である。
【0559】
なお、センサは、CCDに限らす、固体撮像素子である、例えば、BBD(Bucket Brigade Device)、CID(Charge Injection Device)、またはCPD(Charge Priming Device)などのセンサでもよく、また、検出素子がマトリックス状に配置されているセンサに限らず、検出素子が1列に並んでいるセンサでもよい。
【0560】
本発明の信号処理を行うプログラムを記録した記録媒体は、図10に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク91(フロッピ(登録商標)ディスクを含む)、光ディスク92(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク93(MD(Mini-Disc)(商標)を含む)、もしくは半導体メモリ94などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM72や、記憶部78に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0561】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0562】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムによれば、背景の画像と移動する物体の画像との混ざり合い対応して画像を処理することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】クラスタップを説明する図である。
【図3】予測タップを説明する図である。
【図4】クラス分類適応処理の概略を説明する図である。
【図5】従来の係数セットを説明する図である。
【図6】従来の学習の処理を説明するフローチャートである。
【図7】従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】入力画像の画素値、およびクラス分類適応処理により生成された出力画像の画素値を示す図である。
【図9】従来の画像の創造の処理を説明するフローチャートである。
【図10】本発明に係る画像処理装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図11】画像処理装置の機能の構成を示すブロック図である。
【図12】センサによる撮像を説明する図である。
【図13】画素の配置を説明する図である。
【図14】検出素子の動作を説明する図である。
【図15】動いている前景に対応するオブジェクトと、静止している背景に対応するオブジェクトとを撮像して得られる画像を説明する図である。
【図16】背景領域、前景領域、混合領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を説明する図である。
【図17】静止している前景に対応するオブジェクトおよび静止している背景に対応するオブジェクトを撮像した画像における、隣接して1列に並んでいる画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。
【図18】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図19】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図20】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図21】前景領域、背景領域、および混合領域の画素を抽出した例を示す図である。
【図22】画素と画素値を時間方向に展開したモデルとの対応を示す図である。
【図23】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図24】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図25】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図26】分割された画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【図27】分割された画像の例を示す図である。
【図28】本発明に係る画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【図29】領域特定部103の構成の一例を示すブロック図である。
【図30】前景に対応するオブジェクトが移動しているときの画像を説明する図である。
【図31】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図32】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図33】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図34】領域判定の条件を説明する図である。
【図35】領域特定部103の領域の特定の結果の例を示す図である。
【図36】領域特定部103の領域の特定の結果の例を示す図である。
【図37】領域特定の処理を説明するフローチャートである。
【図38】領域特定部103の構成の他の一例を示すブロック図である。
【図39】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図40】背景画像の例を示す図である。
【図41】2値オブジェクト画像抽出部302の構成を示すブロック図である。
【図42】相関値の算出を説明する図である。
【図43】相関値の算出を説明する図である。
【図44】2値オブジェクト画像の例を示す図である。
【図45】時間変化検出部303の構成を示すブロック図である。
【図46】領域判定部342の判定を説明する図である。
【図47】時間変化検出部303の判定の例を示す図である。
【図48】領域判定部103の領域特定の処理を説明するフローチャートである。
【図49】領域判定の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図50】領域特定部103のさらに他の構成を示すブロック図である。
【図51】ロバスト化部361の構成を説明するブロック図である。
【図52】動き補償部381の動き補償を説明する図である。
【図53】動き補償部381の動き補償を説明する図である。
【図54】領域特定の処理を説明するフローチャートである。
【図55】ロバスト化の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図56】係数セットを生成する領域処理部104の構成を示すブロック図である。
【図57】教師画像と生徒画像との関係を説明する図である。
【図58】学習部512の構成を示すブロック図である。
【図59】クラス分類処理を説明する図である。
【図60】ADRC処理を説明する図である。
【図61】図56に構成を示す領域処理部104が生成する係数セットを説明する図である。
【図62】図56に構成を示す領域処理部104による、係数セットを生成する学習の処理を説明するフローチャートである。
【図63】背景領域に対応する係数セットの生成の処理を説明するフローチャートである。
【図64】クラス分類適応処理を実行して、空間方向に、より高解像度な画像を生成する領域処理部104の構成を示すブロック図である。
【図65】マッピング部607の構成を示すブロック図である。
【図66】教師画像の混合領域における画像の例を示す図である。
【図67】従来のクラス分類適応処理により生成された、混合領域の画像の例を示す図である。
【図68】本発明に係る画像処理装置により生成された、混合領域の画像の例を示す図である。
【図69】教師画像の前景領域における画像の例を示す図である。
【図70】従来のクラス分類適応処理により生成された、前景領域の画像の例を示す図である。
【図71】本発明に係る画像処理装置により生成された、前景領域の画像の例を示す図である。
【図72】図64に構成を示す領域処理部104の画像の創造の処理を説明するフローチャートである。
【図73】背景領域に対応する画像の予測の処理を説明するフローチャートである。
【図74】領域毎に、異なる効果のエッジ強調処理を適用する領域処理部104の構成を示すブロック図である。
【図75】エッジ強調部707の構成を示すブロック図である。
【図76】エッジ強調の処理を説明する図である。
【図77】フィルタ係数を示す図である。
【図78】ハイパスフィルタ721の動作を説明する図である。
【図79】フィルタ係数を示す図である。
【図80】ハイパスフィルタ721の動作を説明する図である。
【図81】エッジ強調部707の他の構成を示すブロック図である。
【図82】フィルタ係数を示す図である。
【図83】フィルタ741の動作を説明する図である。
【図84】フィルタ係数を示す図である。
【図85】フィルタ741の動作を説明する図である。
【図86】領域処理部104の処理を説明する図である。
【図87】図74に構成を示す領域処理部104のエッジ強調の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
71 CPU, 72 ROM, 73 RAM, 76 入力部, 77 出力部,78 記憶部, 79 通信部, 91 磁気ディスク, 92 光ディスク, 93 光磁気ディスク, 94 半導体メモリ, 101 オブジェクト抽出部, 102 動き検出部, 103 領域特定部, 104 領域処理部,201 フレームメモリ, 202−1乃至202−4 静動判定部, 203−1乃至203−3 領域判定部, 204 判定フラグ格納フレームメモリ, 205 合成部, 206 判定フラグ格納フレームメモリ, 301 背景画像生成部, 302 2値オブジェクト画像抽出部, 303 時間変化検出部, 321 相関値演算部, 322 しきい値処理部, 341 フレームメモリ, 342 領域判定部, 361 ロバスト化部, 381 動き補償部, 382 スイッチ, 383−1乃至383−N フレームメモリ、 384−1乃至384−N 重み付け部, 385 積算部, 502 領域分割部, 503 背景領域教師画像フレームメモリ, 504 アンカバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ, 505 カバードバックグラウンド領域教師画像フレームメモリ, 506 前景領域教師画像フレームメモリ, 507−1乃至507−4 加重平均部, 508 背景領域生徒画像フレームメモリ, 509 アンカバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ, 510 カバードバックグラウンド領域生徒画像フレームメモリ, 511 前景領域生徒画像フレームメモリ, 512−1乃至512−4 学習部, 513 係数セットメモリ, 531 クラス分類部, 532 予測タップ取得部, 533 対応画素取得部, 534 正規方程式生成部, 535係数計算部, 551 クラスタップ取得部, 552 波形分類部, 602 領域分割部, 603 背景領域フレームメモリ, 604 アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ, 605 カバードバックグラウンド領域フレームメモリ, 606 前景領域フレームメモリ, 607−1乃至607−4 マッピング部, 608 係数セットメモリ, 609 合成部, 631 マッピング処理部, 641 クラス分類部, 642 予測タップ取得部, 643 予測演算部, 651 クラスタップ取得部, 652 波形分類部, 702 領域分割部, 703 背景領域フレームメモリ, 704 アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ, 705 カバードバックグラウンド領域フレームメモリ, 706 前景領域フレームメモリ, 707−1乃至707−4 エッジ強調部, 708 合成部, 721 ハイパスフィルタ, 722 ゲイン調整部, 723 加算部, 741 フィルタ
Claims (4)
- 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理する画像処理装置において、
前記入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域、および前記背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、前記混合領域の前記背景オブジェクト成分から前記前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、前記混合領域の前記前景オブジェクト成分から前記背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定手段
を含み、
前記領域特定手段は、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を前記背景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きい場合、その画素を前記前景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ前のフレームと前記注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記カバードバックグラウンド領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ後のフレームと前記注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記アンカバードバックグラウンド領域の画素と特定する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理する画像処理方法において、
前記入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域、および前記背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、前記混合領域の前記背景オブジェクト成分から前記前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、前記混合領域の前記前景オブジェクト成分から前記背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップ
を含み、
前記領域特定ステップでは、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を前記背景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きい場合、その画素を前記前景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ前のフレームと前記注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記カバードバックグラウンド領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ後のフレームと前記注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記アンカバードバックグラウンド領域の画素と特定する
ことを特徴とする画像処理方法。 - 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理するコンピュータに、
前記入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域、および前記背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、前記混合領域の前記背景オブジェクト成分から前記前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、前記混合領域の前記前景オブジェクト成分から前記背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップ
を含み、
前記領域特定ステップでは、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を前記背景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きい場合、その画素を前記前景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ前のフレームと前記注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記カバードバックグラウンド領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ後のフレームと前記注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記アンカバードバックグラウンド領域の画素と特定する
処理を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理するコンピュータに、
前記入力画像データの注目フレームとその前後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値に基づいて、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分、および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域、および前記背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分からなる背景領域の一方により構成される非混合領域、前記混合領域の前記背景オブジェクト成分から前記前景オブジェクト成分に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域、および、前記混合領域の前記前景オブジェクト成分から前記背景オブジェクト成分に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップ
を含み、
前記領域特定ステップでは、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が所定の閾値以下である場合、その画素を前記背景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値と、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きい場合、その画素を前記前景領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ前のフレームと前記注目フレームより2つ前のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記カバードバックグラウンド領域の画素と特定し、前記注目フレームとその1つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値より大きく、前記注目フレームより1つ後のフレームと前記注目フレームより2つ後のフレームの対応する画素どうしの画素データの差分絶対値が前記所定の閾値以下である場合、その画素を前記アンカバードバックグラウンド領域の画素と特定する
処理を実行させるプログラム。
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