JP4596214B2 - 画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、センサにより検出した信号と現実世界との違いを考慮した画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
画像のエッジ強調の処理は、画像の解像度感を上げる処理として、広く利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エッジ強調の処理を動きボケを含む画像に適用すると、不自然な画像となることがあった。また、このような不自然な画像とならないように、エッジ強調の度合いを低く設定すると、画像の解像度感が十分に上がらなかった。
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、動きボケを含む画像を、不自然な画像とすることなく、解像度感を十分に上げることができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、入力画像データの注目フレームの画像データにおける注目する画素を注目画素として、注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、混合領域を特定すると共に、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、注目画素が、背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前景領域および背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定手段と、領域特定情報に対応して、背景領域の画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前景領域の画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、入力画像データのエッジを強調するエッジ強調手段とを含むことを特徴とする。
【0006】
領域特定情報および前景オブジェクト成分と背景オブジェクト成分との混合の割合を示す混合比を基に、入力画像データのアンカバードバックグラウンド領域から、前景の成分と背景の成分を分離して、分離された前景の成分より構成されるアンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像および分離された背景の成分より構成されるアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像を出力すると共に、入力画像データのカバードバックグラウンド領域から、前景の成分と背景の成分を分離して、分離された前景の成分より構成されるカバードバックグラウンド領域の前景成分画像および分離された背景の成分より構成されるカバードバックグラウンド領域の背景成分画像を出力する分離手段をさらに備えるようにすることができる。
【0007】
本発明の画像処理方法は、入力画像データの注目フレームの画像データにおける注目する画素を注目画素として、注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、混合領域を特定すると共に、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、注目画素が、背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前景領域および背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップと、領域特定情報に対応して、背景領域の画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前景領域の画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、入力画像データのエッジを強調するエッジ強調ステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の記録媒体のプログラムは、入力画像データの注目フレームの画像データにおける注目する画素を注目画素として、注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、混合領域を特定すると共に、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、注目画素が、背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前景領域および背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップと、領域特定情報に対応して、背景領域の画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前景領域の画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、入力画像データのエッジを強調するエッジ強調ステップとを実行させることを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、入力画像データの注目フレームの画像データにおける注目する画素を注目画素として、注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、混合領域を特定すると共に、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、注目画素が、背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前景領域および背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップと、領域特定情報に対応して、背景領域の画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前景領域の画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、入力画像データのエッジを強調するエッジ強調ステップとを実行させることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムにおいては、入力画像データの注目フレームの画像データにおける注目する画素を注目画素として、注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、混合領域が特定される共に、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、注目画素が、前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、1つ後のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、1つ前のフレームの注目画素と同じ位置の画素と注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、注目画素が、背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前景領域および背景領域の一方により構成される非混合領域が特定され、特定結果に対応する領域特定情報が出力され、領域特定情報に対応して、背景領域の画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前景領域の画像に対しては背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、入力画像データのエッジが強調される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)71は、ROM(Read Only Memory)72、または記憶部78に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)73には、CPU71が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU71、ROM72、およびRAM73は、バス74により相互に接続されている。
【0015】
CPU71にはまた、バス74を介して入出力インタフェース75が接続されている。入出力インタフェース75には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部76、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部77が接続されている。CPU71は、入力部76から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU71は、処理の結果得られた画像や音声等を出力部77に出力する。
【0016】
入出力インタフェース75に接続されている記憶部78は、例えばハードディスクなどで構成され、CPU71が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部79は、インターネット、その他のネットワークを介して外部の装置と通信する。この例の場合、通信部79はセンサの出力を取り込む取得部として働く。
【0017】
また、通信部79を介してプログラムを取得し、記憶部78に記憶してもよい。
【0018】
入出力インタフェース75に接続されているドライブ80は、磁気ディスク91、光ディスク92、光磁気ディスク93、または半導体メモリ94などが装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部78に転送され、記憶される。
【0019】
図2は、本発明に係る画像処理装置の機能の構成を示すブロック図である。
【0020】
なお、画像処理装置の各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、本明細書の各ブロック図は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアによる機能ブロック図と考えても良い。
【0021】
ここで、動きボケとは、撮像の対象となる、現実世界におけるオブジェクトの動きと、センサの撮像の特性とにより生じる、動いているオブジェクトに対応する画像に含まれている歪みをいう。
【0022】
この明細書では、撮像の対象となる、現実世界におけるオブジェクトに対応する画像を、画像オブジェクトと称する。
【0023】
画像処理装置に供給された入力画像は、オブジェクト抽出部101、領域特定部103、混合比算出部104、および前景背景分離部105に供給される。
【0024】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。オブジェクト抽出部101は、例えば、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの輪郭を検出することで、前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出する。
【0025】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。オブジェクト抽出部101は、例えば、入力画像と、抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトとの差から、背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出する。
【0026】
また、例えば、オブジェクト抽出部101は、内部に設けられている背景メモリに記憶されている背景の画像と、入力画像との差から、前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクト、および背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出するようにしてもよい。
【0027】
動き検出部102は、例えば、ブロックマッチング法、勾配法、位相相関法、およびペルリカーシブ法などの手法により、粗く抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの動きベクトルを算出して、算出した動きベクトルおよび動きベクトルの位置情報(動きベクトルに対応する画素の位置を特定する情報)を領域特定部103および動きボケ抽出部106に供給する。
【0028】
動き検出部102が出力する動きベクトルには、動き量vに対応する情報が含まれている。
【0029】
また、例えば、動き検出部102は、画像オブジェクトに画素を特定する画素位置情報と共に、画像オブジェクト毎の動きベクトルを動きボケ除去部106に出力するようにしてもよい。
【0030】
動き量vは、動いているオブジェクトに対応する画像の位置の変化を画素間隔を単位として表す値である。例えば、前景に対応するオブジェクトの画像が、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分離れた位置に表示されるように移動しているとき、前景に対応するオブジェクトの画像の動き量vは、4とされる。
【0031】
領域特定部103は、入力された画像の画素のそれぞれを、前景領域、背景領域、または混合領域のいずれかに特定し、画素毎に前景領域、背景領域、または混合領域のいずれかに属するかを示す情報(以下、領域情報と称する)を混合比算出部104、前景背景分離部105、および動きボケ除去部106に供給する。
【0032】
混合比算出部104は、入力画像、および領域特定部103から供給された領域情報を基に、混合領域63に含まれる画素に対応する混合比(以下、混合比αと称する)を算出して、算出した混合比を前景背景分離部105に供給する。
【0033】
混合比αは、後述する式(3)に示されるように、画素値における、背景のオブジェクトに対応する画像の成分(以下、背景の成分とも称する)の割合を示す値である。
【0034】
前景背景分離部105は、領域特定部103から供給された領域情報、および混合比算出部104から供給された混合比αを基に、前景のオブジェクトに対応する画像の成分(以下、前景の成分とも称する)のみから成る前景成分画像と、背景の成分のみから成る背景成分画像とに入力画像を分離して、前景成分画像を動きボケ除去部106に供給し、背景成分画像を補正部107に供給する。
【0035】
動きボケ除去部106は、動きベクトルからわかる動き量vおよび領域情報を基に、前景成分画像に含まれる1以上の画素を示す処理単位を決定する。処理単位は、動きボケの量の調整の処理の対象となる1群の画素を指定するデータである。
【0036】
動きボケ除去部106は、前景背景分離部105から供給された前景成分画像、動き検出部102から供給された動きベクトルおよびその位置情報、並びに処理単位を基に、前景成分画像に含まれる動きボケを除去して、動きボケを除去した前景成分画像を動きボケ除去画像処理部108に出力する。
【0037】
補正部107は、背景成分画像における、混合領域に対応する画素の画素値を補正する。背景成分画像の混合領域に対応する画素の画素値は、分離される前の混合領域の画素の画素値から、前景の成分が除去されることにより、算出される。従って、背景成分画像の混合領域に対応する画素の画素値は、隣接する背景領域の画素の画素値に比較し、混合比αに対応して、減少している。
【0038】
補正部107は、このような、背景成分画像における、混合領域に対応する画素の画素値の混合比αに対応するゲインの低下を補正し、補正した背景成分画像を動きボケ除去画像処理部108に供給する。
【0039】
動きボケ除去画像処理部108は、動きボケが除去された前景成分画像、および補正された背景成分画像毎に、エッジ強調の度合いの異なるエッジ強調の処理を適用する。
【0040】
次に、図3乃至図18を参照して、画像処理装置に供給される入力画像について説明する。
【0041】
図3は、センサによる撮像を説明する図である。センサは、例えば、固体撮像素子であるCCD(Charge-Coupled Device)エリアセンサを備えたCCDビデオカメラなどで構成される。現実世界における、前景に対応するオブジェクトは、現実世界における、背景に対応するオブジェクトと、センサとの間を、例えば、図中の左側から右側に水平に移動する。
【0042】
センサは、前景に対応するオブジェクトを、背景に対応するオブジェクトと共に撮像する。センサは、撮像した画像を1フレーム単位で出力する。例えば、センサは、1秒間に30フレームから成る画像を出力する。センサの露光時間は、1/30秒とすることができる。露光時間は、センサが入力された光の電荷への変換を開始してから、入力された光の電荷への変換を終了するまでの期間である。以下、露光時間をシャッタ時間とも称する。
【0043】
図4は、画素の配置を説明する図である。図4中において、A乃至Iは、個々の画素を示す。画素は、画像に対応する平面上に配置されている。1つの画素に対応する1つの検出素子は、センサ上に配置されている。センサが画像を撮像するとき、1つの検出素子は、画像を構成する1つの画素に対応する画素値を出力する。例えば、検出素子のX方向の位置は、画像上の横方向の位置に対応し、検出素子のY方向の位置は、画像上の縦方向の位置に対応する。
【0044】
図5に示すように、例えば、CCDである検出素子は、シャッタ時間に対応する期間、入力された光を電荷に変換して、変換された電荷を蓄積する。電荷の量は、入力された光の強さと、光が入力されている時間にほぼ比例する。検出素子は、シャッタ時間に対応する期間において、入力された光から変換された電荷を、既に蓄積されている電荷に加えていく。すなわち、検出素子は、シャッタ時間に対応する期間、入力される光を積分して、積分された光に対応する量の電荷を蓄積する。検出素子は、時間に対して、積分効果があるとも言える。
【0045】
検出素子に蓄積された電荷は、図示せぬ回路により、電圧値に変換され、電圧値は更にデジタルデータなどの画素値に変換されて出力される。従って、センサから出力される個々の画素値は、前景または背景に対応するオブジェクトの空間的に広がりを有するある部分を、シャッタ時間について積分した結果である、1次元の空間に射影された値を有する。
【0046】
画像処理装置は、このようなセンサの蓄積の動作により、出力信号に埋もれてしまった有意な情報、例えば、混合比αを抽出する。
【0047】
図6は、動いている前景に対応するオブジェクトと、静止している背景に対応するオブジェクトとを撮像して得られる画像を説明する図である。図6(A)は、動きを伴う前景に対応するオブジェクトと、静止している背景に対応するオブジェクトとを撮像して得られる画像を示している。図6(A)に示す例において、前景に対応するオブジェクトは、画面に対して水平に左から右に動いている。
【0048】
図6(B)は、図6(A)に示す画像の1つのラインに対応する画素値を時間方向に展開したモデル図である。図6(B)の横方向は、図6(A)の空間方向Xに対応している。
【0049】
背景領域の画素は、背景の成分、すなわち、背景のオブジェクトに対応する画像の成分のみから、その画素値が構成されている。前景領域の画素は、前景の成分、すなわち、前景のオブジェクトに対応する画像の成分のみから、その画素値が構成されている。
【0050】
混合領域の画素は、背景の成分、および前景の成分から、その画素値が構成されている。混合領域は、背景の成分、および前景の成分から、その画素値が構成されているので、歪み領域ともいえる。混合領域は、更に、カバードバックグラウンド領域およびアンカバードバックグラウンド領域に分類される。
【0051】
カバードバックグラウンド領域は、前景領域に対して、前景のオブジェクトの進行方向の前端部に対応する位置の混合領域であり、時間の経過に対応して背景成分が前景に覆い隠される領域をいう。
【0052】
これに対して、アンカバードバックグラウンド領域は、前景領域に対して、前景のオブジェクトの進行方向の後端部に対応する位置の混合領域であり、時間の経過に対応して背景成分が現れる領域をいう。
【0053】
このように、前景領域、背景領域、またはカバードバックグラウンド領域若しくはアンカバードバックグラウンド領域を含む画像が、領域特定部103、混合比算出部104、および前景背景分離部105に入力画像として入力される。
【0054】
図7は、以上のような、背景領域、前景領域、混合領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を説明する図である。図6に示す画像に対応する場合、背景領域は、静止部分であり、前景領域は、動き部分であり、混合領域のカバードバックグラウンド領域は、背景から前景に変化する部分であり、混合領域のアンカバードバックグラウンド領域は、前景から背景に変化する部分である。
【0055】
図8は、静止している前景に対応するオブジェクトおよび静止している背景に対応するオブジェクトを撮像した画像における、隣接して1列に並んでいる画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。例えば、隣接して1列に並んでいる画素として、画面の1つのライン上に並んでいる画素を選択することができる。
【0056】
図8に示すF01乃至F04の画素値は、静止している前景のオブジェクトに対応する画素の画素値である。図8に示すB01乃至B04の画素値は、静止している背景のオブジェクトに対応する画素の画素値である。
【0057】
図8における縦方向は、図中の上から下に向かって時間が経過する。図8中の矩形の上辺の位置は、センサが入力された光の電荷への変換を開始する時刻に対応し、図8中の矩形の下辺の位置は、センサが入力された光の電荷への変換を終了する時刻に対応する。すなわち、図8中の矩形の上辺から下辺までの距離は、シャッタ時間に対応する。
【0058】
以下において、シャッタ時間とフレーム間隔とが同一である場合を例に説明する。
【0059】
図8における横方向は、図6で説明した空間方向Xに対応する。より具体的には、図8に示す例において、図8中の”F01”と記載された矩形の左辺から”B04”と記載された矩形の右辺までの距離は、画素のピッチの8倍、すなわち、連続している8つの画素の間隔に対応する。
【0060】
前景のオブジェクトおよび背景のオブジェクトが静止している場合、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される光は変化しない。
【0061】
ここで、シャッタ時間に対応する期間を2つ以上の同じ長さの期間に分割する。例えば、仮想分割数を4とすると、図8に示すモデル図は、図18に示すモデルとして表すことができる。仮想分割数は、前景に対応するオブジェクトのシャッタ時間内での動き量vなどに対応して設定される。例えば、4である動き量vに対応して、仮想分割数は、4とされ、シャッタ時間に対応する期間は4つに分割される。
【0062】
図中の最も上の行は、シャッタが開いて最初の、分割された期間に対応する。図中の上から2番目の行は、シャッタが開いて2番目の、分割された期間に対応する。図中の上から3番目の行は、シャッタが開いて3番目の、分割された期間に対応する。図中の上から4番目の行は、シャッタが開いて4番目の、分割された期間に対応する。
【0063】
以下、動き量vに対応して分割されたシャッタ時間をシャッタ時間/vとも称する。
【0064】
前景に対応するオブジェクトが静止しているとき、センサに入力される光は変化しないので、前景の成分F01/vは、画素値F01を仮想分割数で除した値に等しい。同様に、前景に対応するオブジェクトが静止しているとき、前景の成分F02/vは、画素値F02を仮想分割数で除した値に等しく、前景の成分F03/vは、画素値F03を仮想分割数で除した値に等しく、前景の成分F04/vは、画素値F04を仮想分割数で除した値に等しい。
【0065】
背景に対応するオブジェクトが静止しているとき、センサに入力される光は変化しないので、背景の成分B01/vは、画素値B01を仮想分割数で除した値に等しい。同様に、背景に対応するオブジェクトが静止しているとき、背景の成分B02/vは、画素値B02を仮想分割数で除した値に等しく、B03/vは、画素値B03を仮想分割数で除した値に等しく、B04/vは、画素値B04を仮想分割数で除した値に等しい。
【0066】
すなわち、前景に対応するオブジェクトが静止している場合、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される前景のオブジェクトに対応する光が変化しないので、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vと、シャッタが開いて2番目の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vと、シャッタが開いて3番目の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vと、シャッタが開いて4番目の、シャッタ時間/vに対応する前景の成分F01/vとは、同じ値となる。F02/v乃至F04/vも、F01/vと同様の関係を有する。
【0067】
背景に対応するオブジェクトが静止している場合、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される背景のオブジェクトに対応する光は変化しないので、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vと、シャッタが開いて2番目の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vと、シャッタが開いて3番目の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vと、シャッタが開いて4番目の、シャッタ時間/vに対応する背景の成分B01/vとは、同じ値となる。B02/v乃至B04/vも、同様の関係を有する。
【0068】
次に、前景に対応するオブジェクトが移動し、背景に対応するオブジェクトが静止している場合について説明する。
【0069】
図10は、前景に対応するオブジェクトが図中の右側に向かって移動する場合の、カバードバックグラウンド領域を含む、1つのライン上の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図10において、前景の動き量vは、4である。1フレームは短い時間なので、前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で移動していると仮定することができる。図10において、前景に対応するオブジェクトの画像は、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分右側に表示されるように移動する。
【0070】
図10において、最も左側の画素乃至左から4番目の画素は、前景領域に属する。図10において、左から5番目乃至左から7番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。図10において、最も右側の画素は、背景領域に属する。
【0071】
前景に対応するオブジェクトが時間の経過と共に背景に対応するオブジェクトを覆い隠すように移動しているので、カバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値に含まれる成分は、シャッタ時間に対応する期間のある時点で、背景の成分から、前景の成分に替わる。
【0072】
例えば、図10中に太線枠を付した画素値Mは、式(1)で表される。
【0073】
M=B02/v+B02/v+F07/v+F06/v (1)
【0074】
例えば、左から5番目の画素は、1つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、3つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から5番目の画素の混合比αは、1/4である。左から6番目の画素は、2つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、2つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から6番目の画素の混合比αは、1/2である。左から7番目の画素は、3つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、1つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から7番目の画素の混合比αは、3/4である。
【0075】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図10中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F07/vは、図10中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F07/vは、図10中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図10中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0076】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図10中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分F06/vは、図10中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F06/vは、図10中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図10中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0077】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図10中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分F05/vは、図10中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vのに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F05/vは、図10中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図10中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0078】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように等速で移動すると仮定できるので、例えば、図10中の最も左側の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分F04/vは、図10中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F04/vは、図10中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図10中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0079】
動いているオブジェクトに対応する前景の領域は、このように動きボケを含むので、歪み領域とも言える。
【0080】
図11は、前景が図中の右側に向かって移動する場合の、アンカバードバックグラウンド領域を含む、1つのライン上の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図11において、前景の動き量vは、4である。1フレームは短い時間なので、前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で移動していると仮定することができる。図11において、前景に対応するオブジェクトの画像は、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分右側に移動する。
【0081】
図11において、最も左側の画素乃至左から4番目の画素は、背景領域に属する。図11において、左から5番目乃至左から7番目の画素は、アンカバードバックグラウンドである混合領域に属する。図11において、最も右側の画素は、前景領域に属する。
【0082】
背景に対応するオブジェクトを覆っていた前景に対応するオブジェクトが時間の経過と共に背景に対応するオブジェクトの前から取り除かれるように移動しているので、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値に含まれる成分は、シャッタ時間に対応する期間のある時点で、前景の成分から、背景の成分に替わる。
【0083】
例えば、図11中に太線枠を付した画素値M'は、式(2)で表される。
【0084】
M'=F02/v+F01/v+B26/v+B26/v (2)
【0085】
例えば、左から5番目の画素は、3つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、1つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から5番目の画素の混合比αは、3/4である。左から6番目の画素は、2つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、2つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から6番目の画素の混合比αは、1/2である。左から7番目の画素は、1つのシャッタ時間/vに対応する背景の成分を含み、3つのシャッタ時間/vに対応する前景の成分を含むので、左から7番目の画素の混合比αは、1/4である。
【0086】
式(1)および式(2)をより一般化すると、画素値Mは、式(3)で表される。
【0087】
【数1】
ここで、αは、混合比である。Bは、背景の画素値であり、Fi/vは、前景の成分である。
【0088】
前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で動くと仮定でき、かつ、動き量vが4であるので、例えば、図11中の左から5番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F01/vは、図11中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、F01/vは、図11中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分と、図11中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分とに、それぞれ等しい。
【0089】
前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で動くと仮定でき、かつ、仮想分割数が4であるので、例えば、図11中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F02/vは、図11中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。同様に、前景の成分F02/vは、図11中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。
【0090】
前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で動くと仮定でき、かつ、動き量vが4であるので、例えば、図11中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分F03/vは、図11中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vに対応する前景の成分に等しい。
【0091】
図9乃至図11の説明において、仮想分割数は、4であるとして説明したが、仮想分割数は、動き量vに対応する。動き量vは、一般に、前景に対応するオブジェクトの移動速度に対応する。例えば、前景に対応するオブジェクトが、あるフレームを基準として次のフレームにおいて4画素分右側に表示されるように移動しているとき、動き量vは、4とされる。動き量vに対応し、仮想分割数は、4とされる。同様に、例えば、前景に対応するオブジェクトが、あるフレームを基準として次のフレームにおいて6画素分左側に表示されるように移動しているとき、動き量vは、6とされ、仮想分割数は、6とされる。
【0092】
図12および図13に、以上で説明した、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域若しくはアンカバードバックグラウンド領域から成る混合領域と、分割されたシャッタ時間に対応する前景の成分および背景の成分との関係を示す。
【0093】
図12は、静止している背景の前を移動しているオブジェクトに対応する前景を含む画像から、前景領域、背景領域、および混合領域の画素を抽出した例を示す。図12に示す例において、前景に対応するオブジェクトは、画面に対して水平に移動している。
【0094】
フレーム#n+1は、フレーム#nの次のフレームであり、フレーム#n+2は、フレーム#n+1の次のフレームである。
【0095】
フレーム#n乃至フレーム#n+2のいずれかから抽出した、前景領域、背景領域、および混合領域の画素を抽出して、動き量vを4として、抽出された画素の画素値を時間方向に展開したモデルを図13に示す。
【0096】
前景領域の画素値は、前景に対応するオブジェクトが移動するので、シャッタ時間/vの期間に対応する、4つの異なる前景の成分から構成される。例えば、図13に示す前景領域の画素のうち最も左側に位置する画素は、F01/v,F02/v,F03/v、およびF04/vから構成される。すなわち、前景領域の画素は、動きボケを含んでいる。
【0097】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、シャッタ時間に対応する期間において、センサに入力される背景に対応する光は変化しない。この場合、背景領域の画素値は、動きボケを含まない。
【0098】
カバードバックグラウンド領域若しくはアンカバードバックグラウンド領域から成る混合領域に属する画素の画素値は、前景の成分と、背景の成分とから構成される。
【0099】
次に、オブジェクトに対応する画像が動いているとき、複数のフレームにおける、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデルについて説明する。例えば、オブジェクトに対応する画像が画面に対して水平に動いているとき、隣接して1列に並んでいる画素として、画面の1つのライン上に並んでいる画素を選択することができる。
【0100】
図14は、静止している背景に対応するオブジェクトを撮像した画像の3つのフレームの、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。フレーム#nは、フレーム#n-1の次のフレームであり、フレーム#n+1は、フレーム#nの次のフレームである。他のフレームも同様に称する。
【0101】
図14に示すB01乃至B12の画素値は、静止している背景のオブジェクトに対応する画素の画素値である。背景に対応するオブジェクトが静止しているので、フレーム#n-1乃至フレームn+1において、対応する画素の画素値は、変化しない。例えば、フレーム#n-1におけるB05の画素値を有する画素の位置に対応する、フレーム#nにおける画素、およびフレーム#n+1における画素は、それぞれ、B05の画素値を有する。
【0102】
図15は、静止している背景に対応するオブジェクトと共に図中の右側に移動する前景に対応するオブジェクトを撮像した画像の3つのフレームの、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図15に示すモデルは、カバードバックグラウンド領域を含む。
【0103】
図15において、前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、前景の動き量vは、4であり、仮想分割数は、4である。
【0104】
例えば、図15中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなり、図15中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F12/vとなる。図15中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図15中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなる。
【0105】
図15中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなり、図15中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F11/vとなる。図15中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなる。
【0106】
図15中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F10/vとなり、図15中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F10/vとなる。図15中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F09/vとなる。
【0107】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図15中のフレーム#n-1の左から2番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの背景の成分は、B01/vとなる。図15中のフレーム#n-1の左から3番目の画素の、シャッタが開いて最初および2番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B02/vとなる。図15中のフレーム#n-1の左から4番目の画素の、シャッタが開いて最初乃至3番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B03/vとなる。
【0108】
図15中のフレーム#n-1において、最も左側の画素は、前景領域に属し、左側から2番目乃至4番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0109】
図15中のフレーム#n-1の左から5番目の画素乃至12番目の画素は、背景領域に属し、その画素値は、それぞれ、B04乃至B11となる。
【0110】
図15中のフレーム#nの左から1番目の画素乃至5番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#nの前景領域における、シャッタ時間/vの前景の成分は、F05/v乃至F12/vのいずれかである。
【0111】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図15中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなり、図15中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F12/vとなる。図15中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図15中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなる。
【0112】
図15中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなり、図15中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F11/vとなる。図15中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなる。
【0113】
図15中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F10/vとなり、図15中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F10/vとなる。図15中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F09/vとなる。
【0114】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図15中のフレーム#nの左から6番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの背景の成分は、B05/vとなる。図15中のフレーム#nの左から7番目の画素の、シャッタが開いて最初および2番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B06/vとなる。図15中のフレーム#nの左から8番目の画素の、シャッタが開いて最初乃至3番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B07/vとなる。
【0115】
図15中のフレーム#nにおいて、左側から6番目乃至8番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0116】
図15中のフレーム#nの左から9番目の画素乃至12番目の画素は、背景領域に属し、画素値は、それぞれ、B08乃至B11となる。
【0117】
図15中のフレーム#n+1の左から1番目の画素乃至9番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#n+1の前景領域における、シャッタ時間/vの前景の成分は、F01/v乃至F12/vのいずれかである。
【0118】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図15中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなり、図15中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F12/vとなる。図15中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図15中の左から12番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F12/vとなる。
【0119】
図15中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの期間の前景の成分は、F11/vとなり、図15中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F11/vとなる。図15中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて4番目の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F11/vとなる。
【0120】
図15中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて3番目の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F10/vとなり、図15中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F10/vとなる。図15中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F09/vとなる。
【0121】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図15中のフレーム#n+1の左から10番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの背景の成分は、B09/vとなる。図15中のフレーム#n+1の左から11番目の画素の、シャッタが開いて最初および2番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B10/vとなる。図15中のフレーム#n+1の左から12番目の画素の、シャッタが開いて最初乃至3番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B11/vとなる。
【0122】
図15中のフレーム#n+1において、左側から10番目乃至12番目の画素は、カバードバックグラウンド領域である混合領域に対応する。
【0123】
図16は、図15に示す画素値から前景の成分を抽出した画像のモデル図である。
【0124】
図17は、静止している背景と共に図中の右側に移動するオブジェクトに対応する前景を撮像した画像の3つのフレームの、隣接して1列に並んでいる画素であって、フレーム上で同一の位置の画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。図17において、アンカバードバックグラウンド領域が含まれている。
【0125】
図17において、前景に対応するオブジェクトは、剛体であり、かつ等速で移動していると仮定できる。前景に対応するオブジェクトが、次のフレームにおいて4画素分右側に表示されるように移動しているので、動き量vは、4である。
【0126】
例えば、図17中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなり、図17中の左から2番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F13/vとなる。図17中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図17中の左から4番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなる。
【0127】
図17中のフレーム#n-1の左から2番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F14/vとなり、図17中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F14/vとなる。図17中の左から3番目の画素の、シャッタが開いて最初の、シャッタ時間/vの前景の成分は、F15/vとなる。
【0128】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図17中のフレーム#n-1の最も左側の画素の、シャッタが開いて2番目乃至4番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B25/vとなる。図17中のフレーム#n-1の左から2番目の画素の、シャッタが開いて3番目および4番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B26/vとなる。図17中のフレーム#n-1の左から3番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B27/vとなる。
【0129】
図17中のフレーム#n-1において、最も左側の画素乃至3番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0130】
図17中のフレーム#n-1の左から4番目の画素乃至12番目の画素は、前景領域に属する。フレームの前景の成分は、F13/v乃至F24/vのいずれかである。
【0131】
図17中のフレーム#nの最も左側の画素乃至左から4番目の画素は、背景領域に属し、画素値は、それぞれ、B25乃至B28となる。
【0132】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図17中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなり、図17中の左から6番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F13/vとなる。図17中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図17中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなる。
【0133】
図17中のフレーム#nの左から6番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F14/vとなり、図17中の左から7番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F14/vとなる。図17中の左から8番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F15/vとなる。
【0134】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図17中のフレーム#nの左から5番目の画素の、シャッタが開いて2番目乃至4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B29/vとなる。図17中のフレーム#nの左から6番目の画素の、シャッタが開いて3番目および4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B30/vとなる。図17中のフレーム#nの左から7番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B31/vとなる。
【0135】
図17中のフレーム#nにおいて、左から5番目の画素乃至7番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0136】
図17中のフレーム#nの左から8番目の画素乃至12番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#nの前景領域における、シャッタ時間/vの期間に対応する値は、F13/v乃至F20/vのいずれかである。
【0137】
図17中のフレーム#n+1の最も左側の画素乃至左から8番目の画素は、背景領域に属し、画素値は、それぞれ、B25乃至B32となる。
【0138】
前景に対応するオブジェクトが、剛体であり、等速で移動すると仮定でき、前景の画像が次のフレームにおいて4画素右側に表示されるように移動するので、図17中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなり、図17中の左から10番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F13/vとなる。図17中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて3番目のシャッタ時間/vの前景の成分、および図17中の左から12番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの前景の成分は、F13/vとなる。
【0139】
図17中のフレーム#n+1の左から10番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F14/vとなり、図17中の左から11番目の画素の、シャッタが開いて2番目のシャッタ時間/vの前景の成分も、F14/vとなる。図17中の左から12番目の画素の、シャッタが開いて最初のシャッタ時間/vの前景の成分は、F15/vとなる。
【0140】
背景に対応するオブジェクトが静止しているので、図17中のフレーム#n+1の左から9番目の画素の、シャッタが開いて2番目乃至4番目の、シャッタ時間/vの背景の成分は、B33/vとなる。図17中のフレーム#n+1の左から10番目の画素の、シャッタが開いて3番目および4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B34/vとなる。図17中のフレーム#n+1の左から11番目の画素の、シャッタが開いて4番目のシャッタ時間/vの背景の成分は、B35/vとなる。
【0141】
図17中のフレーム#n+1において、左から9番目の画素乃至11番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域である混合領域に属する。
【0142】
図17中のフレーム#n+1の左から12番目の画素は、前景領域に属する。フレーム#n+1の前景領域における、シャッタ時間/vの前景の成分は、F13/v乃至F16/vのいずれかである。
【0143】
図18は、図17に示す画素値から前景の成分を抽出した画像のモデル図である。
【0144】
図19は、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域に属する画素毎に分割された画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【0145】
図19に示すように、領域特定部103は、入力画像の前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定する。
【0146】
図20は、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景の成分、アンカバードバックグラウンド領域の前景の成分、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景の成分に分離された入力画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【0147】
図20に示すように、入力画像は、領域特定部103により、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定される。入力画像は、前景背景分離部105により、特定された前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域、および混合比算出部104により検出された混合比αを基に、前景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景の成分、およびアンカバードバックグラウンド領域の前景の成分、並びに背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の背景の成分、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景の成分に分離される。
【0148】
図21は、前景領域、背景領域、および混合領域に分割された画像の例を示す図である。領域特定部103は、入力画像の、前景領域、背景領域、および混合領域を特定する。画像処理装置は、前景領域、背景領域、および混合領域を示す領域情報を基に、入力画像を、前景領域の画像、背景領域の画像、および混合領域の画像に分割することができる。
【0149】
図22に示すように、前景背景分離部105は、領域特定部103から供給された領域情報、および混合比算出部104から供給された混合比αを基に、混合領域の画像を、混合領域の前景成分画像および混合領域の背景成分画像に分離する。
【0150】
図23に示すように、背景成分画像は、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の背景の成分、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景の成分により合成される。前景成分画像は、前景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景の成分、およびアンカバードバックグラウンド領域の前景の成分により合成される。背景成分画像は、混合領域の画素値が補正され、分離された前景成分画像は、動きボケが除去される。
【0151】
図24に示すように、入力画像は、領域に分割され、前景の成分と背景の成分とに分離される。分離された入力画像は、前景成分画像および背景成分画像に合成される。
【0152】
前景成分画像に含まれる動きボケは、除去される。背景成分画像は、混合領域に対応する画素値が補正される。
【0153】
動きボケが除去された前景成分画像、および補正された背景成分画像は、個々に処理される。
【0154】
図25は、本発明に係る画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【0155】
ステップS101において、領域特定部103は、動き検出部102から供給された動きベクトルおよびその位置情報、並びに入力画像を基に、入力画像の前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定する。領域特定の処理の詳細は、後述する。
【0156】
ステップS102において、混合比算出部104は、領域特定部103から供給された領域情報および入力画像を基に、混合比αを算出する。混合比算出部104の混合比αを算出する処理の詳細は、後述する。
【0157】
ステップS103において、前景背景分離部105は、領域特定部103から供給された領域情報、および混合比算出部104から供給された混合比αを基に、入力画像を、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に分離する。前景背景分離部105の画像の分離の処理の詳細は、後述する。
【0158】
ステップS104において、動きボケ除去部106は、動き検出部102から供給された動きベクトルおよびその位置情報、並びに領域特定部103から供給された領域情報を基に、前景背景分離部105から供給された前景成分画像の動きボケを除去する。
【0159】
ステップS105において、補正部107は、前景背景分離部105から供給された背景成分画像の混合領域に対応する画素値を補正する。
【0160】
ステップS106において、動きボケ除去画像処理部108は、動きボケが除去された前景成分画像、および補正された背景成分画像毎に、エッジ強調の処理を実行して、処理は終了する。動きボケ除去画像処理部108が実行する画像処理の詳細は、後述する。
【0161】
このように、本発明に係る画像処理装置は、入力画像を、前景成分画像および背景成分画像に分離し、前景成分画像から動きボケを除去して、動きボケが除去された前景成分画像、および背景成分画像毎に画像処理を実行する。
【0162】
以下、領域特定部103、混合比算出部104、前景背景分離部105、および動きボケ除去部106のそれぞれの構成について説明する。
【0163】
図26は、領域特定部103の構成の一例を示すブロック図である。図26に構成を示す領域特定部103は、動きベクトルを利用しない。フレームメモリ201は、入力された画像をフレーム単位で記憶する。フレームメモリ201は、処理の対象がフレーム#nであるとき、フレーム#nの2つ前のフレームであるフレーム#n-2、フレーム#nの1つ前のフレームであるフレーム#n-1、フレーム#n、フレーム#nの1つ後のフレームであるフレーム#n+1、およびフレーム#nの2つ後のフレームであるフレーム#n+2を記憶する。
【0164】
静動判定部202−1は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+2の画素の画素値、およびフレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、読み出した画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−1は、フレーム#n+2の画素値とフレーム#n+1の画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、差の絶対値が閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−1に供給する。フレーム#n+2の画素の画素値とフレーム#n+1の画素の画素値との差の絶対値が閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−1は、静止を示す静動判定を領域判定部203−1に供給する。
【0165】
静動判定部202−2は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素の画素値、およびフレーム#nの対象となる画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−2は、フレーム#n+1の画素値とフレーム#nの画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、画素値の差の絶対値が、閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−1および領域判定部203−2に供給する。フレーム#n+1の画素の画素値とフレーム#nの画素の画素値との差の絶対値が、閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−2は、静止を示す静動判定を領域判定部203−1および領域判定部203−2に供給する。
【0166】
静動判定部202−3は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画素値、およびフレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−3は、フレーム#nの画素値とフレーム#n-1の画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、画素値の差の絶対値が、閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−2および領域判定部203−3に供給する。フレーム#nの画素の画素値とフレーム#n-1の画素の画素値との差の絶対値が、閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−3は、静止を示す静動判定を領域判定部203−2および領域判定部203−3に供給する。
【0167】
静動判定部202−4は、フレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素の画素値、およびフレーム#nの領域特定の対象である画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-2の画素の画素値をフレームメモリ201から読み出して、画素値の差の絶対値を算出する。静動判定部202−4は、フレーム#n-1の画素値とフレーム#n-2の画素値との差の絶対値が、予め設定している閾値Thより大きいか否かを判定し、画素値の差の絶対値が、閾値Thより大きいと判定された場合、動きを示す静動判定を領域判定部203−3に供給する。フレーム#n-1の画素の画素値とフレーム#n-2の画素の画素値との差の絶対値が、閾値Th以下であると判定された場合、静動判定部202−4は、静止を示す静動判定を領域判定部203−3に供給する。
【0168】
領域判定部203−1は、静動判定部202−1から供給された静動判定が静止を示し、かつ、静動判定部202−2から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応するアンカバードバックグラウンド領域判定フラグに、アンカバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。
【0169】
領域判定部203−1は、静動判定部202−1から供給された静動判定が動きを示すか、または、静動判定部202−2から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がアンカバードバックグラウンド領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応するアンカバードバックグラウンド領域判定フラグに、アンカバードバックグラウンド領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0170】
領域判定部203−1は、このように”1”または”0”が設定されたアンカバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0171】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が静止を示し、かつ、静動判定部202−3から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が静止領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応する静止領域判定フラグに、静止領域に属することを示す”1”を設定する。
【0172】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が動きを示すか、または、静動判定部202−3から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が静止領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応する静止領域判定フラグに、静止領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0173】
領域判定部203−2は、このように”1”または”0”が設定された静止領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0174】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が動きを示し、かつ、静動判定部202−3から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が動き領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応する動き領域判定フラグに、動き領域に属することを示す”1”を設定する。
【0175】
領域判定部203−2は、静動判定部202−2から供給された静動判定が静止を示すか、または、静動判定部202−3から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素が動き領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応する動き領域判定フラグに、動き領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0176】
領域判定部203−2は、このように”1”または”0”が設定された動き領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0177】
領域判定部203−3は、静動判定部202−3から供給された静動判定が動きを示し、かつ、静動判定部202−4から供給された静動判定が静止を示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定し、領域の判定される画素に対応するカバードバックグラウンド領域判定フラグに、カバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。
【0178】
領域判定部203−3は、静動判定部202−3から供給された静動判定が静止を示すか、または、静動判定部202−4から供給された静動判定が動きを示しているとき、フレーム#nにおける領域特定の対象である画素がカバードバックグラウンド領域に属しないと判定し、領域の判定される画素に対応するカバードバックグラウンド領域判定フラグに、カバードバックグラウンド領域に属しないことを示す”0”を設定する。
【0179】
領域判定部203−3は、このように”1”または”0”が設定されたカバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給する。
【0180】
判定フラグ格納フレームメモリ204は、領域判定部203−1から供給されたアンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、領域判定部203−2から供給された静止領域判定フラグ、領域判定部203−2から供給された動き領域判定フラグ、および領域判定部203−3から供給されたカバードバックグラウンド領域判定フラグをそれぞれ記憶する。
【0181】
判定フラグ格納フレームメモリ204は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、静止領域判定フラグ、動き領域判定フラグ、およびカバードバックグラウンド領域判定フラグを合成部205に供給する。合成部205は、判定フラグ格納フレームメモリ204から供給された、アンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、静止領域判定フラグ、動き領域判定フラグ、およびカバードバックグラウンド領域判定フラグを基に、各画素が、アンカバードバックグラウンド領域、静止領域、動き領域、およびカバードバックグラウンド領域のいずれかに属することを示す領域情報を生成し、判定フラグ格納フレームメモリ206に供給する。
【0182】
判定フラグ格納フレームメモリ206は、合成部205から供給された領域情報を記憶すると共に、記憶している領域情報を出力する。
【0183】
次に、領域特定部103の処理の例を図27乃至図31を参照して説明する。
【0184】
前景に対応するオブジェクトが移動しているとき、オブジェクトに対応する画像の画面上の位置は、フレーム毎に変化する。図27に示すように、フレーム#nにおいて、Yn(x,y)で示される位置に位置するオブジェクトに対応する画像は、次のフレームであるフレーム#n+1において、Yn+1(x,y)に位置する。
【0185】
前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向に隣接して1列に並ぶ画素の画素値を時間方向に展開したモデル図を図28に示す。例えば、前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向が画面に対して水平であるとき、図28におけるモデル図は、1つのライン上の隣接する画素の画素値を時間方向に展開したモデルを示す。
【0186】
図28において、フレーム#nにおけるラインは、フレーム#n+1におけるラインと同一である。
【0187】
フレーム#nにおいて、左から2番目の画素乃至13番目の画素に含まれているオブジェクトに対応する前景の成分は、フレーム#n+1において、左から6番目乃至17番目の画素に含まれる。
【0188】
フレーム#nにおいて、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から11番目乃至13番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から2番目乃至4番目の画素である。フレーム#n+1において、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から15番目乃至17番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から6番目乃至8番目の画素である。
【0189】
図28に示す例において、フレーム#nに含まれる前景の成分が、フレーム#n+1において4画素移動しているので、動き量vは、4である。仮想分割数は、動き量vに対応し、4である。
【0190】
次に、注目しているフレームの前後における混合領域に属する画素の画素値の変化について説明する。
【0191】
図29に示す、背景が静止し、前景の動き量vが4であるフレーム#nにおいて、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から15番目乃至17番目の画素である。動き量vが4であるので、1つ前のフレーム#n-1において、左から15番目乃至17番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。
また、更に1つ前のフレーム#n-2において、左から15番目乃至17番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。
【0192】
ここで、背景に対応するオブジェクトが静止しているので、フレーム#n-1の左から15番目の画素の画素値は、フレーム#n-2の左から15番目の画素の画素値から変化しない。同様に、フレーム#n-1の左から16番目の画素の画素値は、フレーム#n-2の左から16番目の画素の画素値から変化せず、フレーム#n-1の左から17番目の画素の画素値は、フレーム#n-2の左から17番目の画素の画素値から変化しない。
【0193】
すなわち、フレーム#nにおけるカバードバックグラウンド領域に属する画素に対応する、フレーム#n-1およびフレーム#n-2の画素は、背景の成分のみから成り、画素値が変化しないので、その差の絶対値は、ほぼ0の値となる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素に対応する、フレーム#n-1およびフレーム#n-2の画素に対する静動判定は、静動判定部202−4により、静止と判定される。
【0194】
フレーム#nにおけるカバードバックグラウンド領域に属する画素は、前景の成分を含むので、フレーム#n-1における背景の成分のみから成る場合と、画素値が異なる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素、および対応するフレーム#n-1の画素に対する静動判定は、静動判定部202−3により、動きと判定される。
【0195】
このように、領域判定部203−3は、静動判定部202−3から動きを示す静動判定の結果が供給され、静動判定部202−4から静止を示す静動判定の結果が供給されたとき、対応する画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0196】
図30に示す、背景が静止し、前景の動き量vが4であるフレーム#nにおいて、アンカバードバックグラウンド領域に含まれる画素は、左から2番目乃至4番目の画素である。動き量vが4であるので、1つ後のフレーム#n+1において、左から2番目乃至4番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。また、更に1つ後のフレーム#n+2において、左から2番目乃至4番目の画素は、背景の成分のみを含み、背景領域に属する。
【0197】
ここで、背景に対応するオブジェクトが静止しているので、フレーム#n+2の左から2番目の画素の画素値は、フレーム#n+1の左から2番目の画素の画素値から変化しない。同様に、フレーム#n+2の左から3番目の画素の画素値は、フレーム#n+1の左から3番目の画素の画素値から変化せず、フレーム#n+2の左から4番目の画素の画素値は、フレーム#n+1の左から4番目の画素の画素値から変化しない。
【0198】
すなわち、フレーム#nにおけるアンカバードバックグラウンド領域に属する画素に対応する、フレーム#n+1およびフレーム#n+2の画素は、背景の成分のみから成り、画素値が変化しないので、その差の絶対値は、ほぼ0の値となる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素に対応する、フレーム#n+1およびフレーム#n+2の画素に対する静動判定は、静動判定部202−1により、静止と判定される。
【0199】
フレーム#nにおけるアンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、前景の成分を含むので、フレーム#n+1における背景の成分のみから成る場合と、画素値が異なる。従って、フレーム#nにおける混合領域に属する画素、および対応するフレーム#n+1の画素に対する静動判定は、静動判定部202−2により、動きと判定される。
【0200】
このように、領域判定部203−1は、静動判定部202−2から動きを示す静動判定の結果が供給され、静動判定部202−1から静止を示す静動判定の結果が供給されたとき、対応する画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0201】
図31は、フレーム#nにおける領域特定部103の判定条件を示す図である。
フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-2の画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素とが静止と判定され、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素と、フレーム#nの画素とが動きと判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0202】
フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素と、フレーム#nの画素とが静止と判定され、フレーム#nの画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素とが静止と判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素が静止領域に属すると判定する。
【0203】
フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n-1の画素と、フレーム#nの画素とが動きと判定され、フレーム#nの画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素とが動きと判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素が動き領域に属すると判定する。
【0204】
フレーム#nの画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素とが動きと判定され、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+1の画素と、フレーム#nの判定の対象となる画素の画像上の位置と同一の位置にあるフレーム#n+2の画素とが静止と判定されたとき、領域特定部103は、フレーム#nの判定の対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0205】
図32は、領域特定部103の領域の特定の結果の例を示す図である。図32(A)において、カバードバックグラウンド領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。図32(B)において、アンカバードバックグラウンド領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。
【0206】
図32(C)において、動き領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。図32(D)において、静止領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。
【0207】
図33は、判定フラグ格納フレームメモリ206が出力する領域情報の内、混合領域を示す領域情報を画像として示す図である。図33において、カバードバックグラウンド領域またはアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定された画素、すなわち混合領域に属すると判定された画素は、白で表示されている。判定フラグ格納フレームメモリ206が出力する混合領域を示す領域情報は、混合領域、および前景領域内のテクスチャの無い部分に囲まれたテクスチャの有る部分を示す。
【0208】
次に、図34のフローチャートを参照して、領域特定部103の領域特定の処理を説明する。ステップS201において、フレームメモリ201は、判定の対象となるフレーム#nを含むフレーム#n-2乃至フレーム#n+2の画像を取得する。
【0209】
ステップS202において、静動判定部202−3は、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、静止か否かを判定し、静止と判定された場合、ステップS203に進み、静動判定部202−2は、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止か否かを判定する。
【0210】
ステップS203において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、ステップS204に進み、領域判定部203−2は、領域の判定される画素に対応する静止領域判定フラグに、静止領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−2は、静止領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS205に進む。
【0211】
ステップS202において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きと判定された場合、または、ステップS203において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、フレーム#nの画素が静止領域には属さないので、ステップS204の処理はスキップされ、手続きは、ステップS205に進む。
【0212】
ステップS205において、静動判定部202−3は、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きか否かを判定し、動きと判定された場合、ステップS206に進み、静動判定部202−2は、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きか否かを判定する。
【0213】
ステップS206において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、ステップS207に進み、領域判定部203−2は、領域の判定される画素に対応する動き領域判定フラグに、動き領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−2は、動き領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS208に進む。
【0214】
ステップS205において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、静止と判定された場合、または、ステップS206において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、フレーム#nの画素が動き領域には属さないので、ステップS207の処理はスキップされ、手続きは、ステップS208に進む。
【0215】
ステップS208において、静動判定部202−4は、フレーム#n-2の画素とフレーム#n-1の同一位置の画素とで、静止か否かを判定し、静止と判定された場合、ステップS209に進み、静動判定部202−3は、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きか否かを判定する。
【0216】
ステップS209において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、動きと判定された場合、ステップS210に進み、領域判定部203−3は、領域の判定される画素に対応するカバードバックグラウンド領域判定フラグに、カバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−3は、カバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS211に進む。
【0217】
ステップS208において、フレーム#n-2の画素とフレーム#n-1の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、または、ステップS209において、フレーム#n-1の画素とフレーム#nの同一位置の画素とで、静止と判定された場合、フレーム#nの画素がカバードバックグラウンド領域には属さないので、ステップS210の処理はスキップされ、手続きは、ステップS211に進む。
【0218】
ステップS211において、静動判定部202−2は、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、動きか否かを判定し、動きと判定された場合、ステップS212に進み、静動判定部202−1は、フレーム#n+1の画素とフレーム#n+2の同一位置の画素とで、静止か否かを判定する。
【0219】
ステップS212において、フレーム#n+1の画素とフレーム#n+2の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、ステップS213に進み、領域判定部203−1は、領域の判定される画素に対応するアンカバードバックグラウンド領域判定フラグに、アンカバードバックグラウンド領域に属することを示す”1”を設定する。領域判定部203−1は、アンカバードバックグラウンド領域判定フラグを判定フラグ格納フレームメモリ204に供給し、手続きは、ステップS214に進む。
【0220】
ステップS211において、フレーム#nの画素とフレーム#n+1の同一位置の画素とで、静止と判定された場合、または、ステップS212において、フレーム#n+1の画素とフレーム#n+2の同一位置の画素とで、動きと判定された場合、フレーム#nの画素がアンカバードバックグラウンド領域には属さないので、ステップS213の処理はスキップされ、手続きは、ステップS214に進む。
【0221】
ステップS214において、領域特定部103は、フレーム#nの全ての画素について領域を特定したか否かを判定し、フレーム#nの全ての画素について領域を特定していないと判定された場合、手続きは、ステップS202に戻り、他の画素について、領域特定の処理を繰り返す。
【0222】
ステップS214において、フレーム#nの全ての画素について領域を特定したと判定された場合、ステップS215に進み、合成部205は、判定フラグ格納フレームメモリ204に記憶されているアンカバードバックグラウンド領域判定フラグ、およびカバードバックグラウンド領域判定フラグを基に、混合領域を示す領域情報を生成し、更に、各画素が、アンカバードバックグラウンド領域、静止領域、動き領域、およびカバードバックグラウンド領域のいずれかに属することを示す領域情報を生成し、生成した領域情報を判定フラグ格納フレームメモリ206に設定し、処理は終了する。
【0223】
このように、領域特定部103は、フレームに含まれている画素のそれぞれについて、動き領域、静止領域、アンカバードバックグラウンド領域、またはカバードバックグラウンド領域に属することを示す領域情報を生成することができる。
【0224】
なお、領域特定部103は、アンカバードバックグラウンド領域およびカバードバックグラウンド領域に対応する領域情報に論理和を適用することにより、混合領域に対応する領域情報を生成して、フレームに含まれている画素のそれぞれについて、動き領域、静止領域、または混合領域に属することを示すフラグから成る領域情報を生成するようにしてもよい。
【0225】
前景に対応するオブジェクトがテクスチャを有す場合、領域特定部103は、より正確に動き領域を特定することができる。
【0226】
領域特定部103は、動き領域を示す領域情報を前景領域を示す領域情報として、また、静止領域を示す領域情報を背景領域を示す領域情報として出力することができる。
【0227】
なお、背景に対応するオブジェクトが静止しているとして説明したが、背景領域に対応する画像が動きを含んでいても上述した領域を特定する処理を適用することができる。例えば、背景領域に対応する画像が一様に動いているとき、領域特定部103は、この動きに対応して画像全体をシフトさせ、背景に対応するオブジェクトが静止している場合と同様に処理する。また、背景領域に対応する画像が局所毎に異なる動きを含んでいるとき、領域特定部103は、動きに対応した画素を選択して、上述の処理を実行する。
【0228】
図35は、領域特定部103の構成の他の例を示すブロック図である。図35に示す領域特定部103は、動きベクトルを使用しない。背景画像生成部301は、入力画像に対応する背景画像を生成し、生成した背景画像を2値オブジェクト画像抽出部302に供給する。背景画像生成部301は、例えば、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを抽出して、背景画像を生成する。
【0229】
前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向に隣接して1列に並ぶ画素の画素値を時間方向に展開したモデル図の例を図36に示す。例えば、前景のオブジェクトに対応する画像の動き方向が画面に対して水平であるとき、図36におけるモデル図は、1つのライン上の隣接する画素の画素値を時間方向に展開したモデルを示す。
【0230】
図36において、フレーム#nにおけるラインは、フレーム#n-1およびフレーム#n+1におけるラインと同一である。
【0231】
フレーム#nにおいて、左から6番目の画素乃至17番目の画素に含まれているオブジェクトに対応する前景の成分は、フレーム#n-1において、左から2番目乃至13番目の画素に含まれ、フレーム#n+1において、左から10番目乃至21番目の画素に含まれる。
【0232】
フレーム#n-1において、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から11番目乃至13番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から2番目乃至4番目の画素である。フレーム#nにおいて、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から15番目乃至17番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から6番目乃至8番目の画素である。フレーム#n+1において、カバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から19番目乃至21番目の画素であり、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素は、左から10番目乃至12番目の画素である。
【0233】
フレーム#n-1において、背景領域に属する画素は、左から1番目の画素、および左から14番目乃至21番目の画素である。フレーム#nにおいて、背景領域に属する画素は、左から1番目乃至5番目の画素、および左から18番目乃至21番目の画素である。フレーム#n+1において、背景領域に属する画素は、左から1番目乃至9番目の画素である。
【0234】
背景画像生成部301が生成する、図36の例に対応する背景画像の例を図37に示す。背景画像は、背景のオブジェクトに対応する画素から構成され、前景のオブジェクトに対応する画像の成分を含まない。
【0235】
2値オブジェクト画像抽出部302は、背景画像および入力画像の相関を基に、2値オブジェクト画像を生成し、生成した2値オブジェクト画像を時間変化検出部303に供給する。
【0236】
図38は、2値オブジェクト画像抽出部302の構成を示すブロック図である。相関値演算部321は、背景画像生成部301から供給された背景画像および入力画像の相関を演算し、相関値を生成して、生成した相関値をしきい値処理部322に供給する。
【0237】
相関値演算部321は、例えば、図39(A)に示すように、X4を中心とした3×3の背景画像の中のブロックと、図39(B)に示すように、背景画像の中のブロックに対応するY4を中心とした3×3の入力画像の中のブロックに、式(4)を適用して、Y4に対応する相関値を算出する。
【0238】
【数2】
【数3】
【数4】
【0239】
相関値演算部321は、このように各画素に対応して算出された相関値をしきい値処理部322に供給する。
【0240】
また、相関値演算部321は、例えば、図40(A)に示すように、X4を中心とした3×3の背景画像の中のブロックと、図40(B)に示すように、背景画像の中のブロックに対応するY4を中心とした3×3の入力画像の中のブロックに、式(7)を適用して、Y4に対応する差分絶対値を算出するようにしてもよい。
【0241】
【数5】
【0242】
相関値演算部321は、このように算出された差分絶対値を相関値として、しきい値処理部322に供給する。
【0243】
しきい値処理部322は、相関画像の画素値としきい値th0とを比較して、相関値がしきい値th0以下である場合、2値オブジェクト画像の画素値に1を設定し、相関値がしきい値th0より大きい場合、2値オブジェクト画像の画素値に0を設定して、0または1が画素値に設定された2値オブジェクト画像を出力する。しきい値処理部322は、しきい値th0を予め記憶するようにしてもよく、または、外部から入力されたしきい値th0を使用するようにしてもよい。
【0244】
図41は、図36に示す入力画像のモデルに対応する2値オブジェクト画像の例を示す図である。2値オブジェクト画像において、背景画像と相関の高い画素には、画素値に0が設定される。
【0245】
図42は、時間変化検出部303の構成を示すブロック図である。フレームメモリ341は、フレーム#nの画素について領域を判定するとき、2値オブジェクト画像抽出部302から供給された、フレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像を記憶する。
【0246】
領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像を基に、フレーム#nの各画素について領域を判定して、領域情報を生成し、生成した領域情報を出力する。
【0247】
図43は、領域判定部342の判定を説明する図である。フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が0であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素が背景領域に属すると判定する。
【0248】
フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が1であり、フレーム#n-1の2値オブジェクト画像の対応する画素が1であり、フレーム#n+1の2値オブジェクト画像の対応する画素が1であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素が前景領域に属すると判定する。
【0249】
フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が1であり、フレーム#n-1の2値オブジェクト画像の対応する画素が0であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素がカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0250】
フレーム#nの2値オブジェクト画像の注目している画素が1であり、フレーム#n+1の2値オブジェクト画像の対応する画素が0であるとき、領域判定部342は、フレーム#nの注目している画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0251】
図44は、図36に示す入力画像のモデルに対応する2値オブジェクト画像について、時間変化検出部303の判定した例を示す図である。時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの対応する画素が0なので、フレーム#nの左から1番目乃至5番目の画素を背景領域に属すると判定する。
【0252】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの画素が1であり、フレーム#n+1の対応する画素が0なので、左から6番目乃至9番目の画素をアンカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0253】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの画素が1であり、フレーム#n-1の対応する画素が1であり、フレーム#n+1の対応する画素が1なので、左から10番目乃至13番目の画素を前景領域に属すると判定する。
【0254】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの画素が1であり、フレーム#n-1の対応する画素が0なので、左から14番目乃至17番目の画素をカバードバックグラウンド領域に属すると判定する。
【0255】
時間変化検出部303は、2値オブジェクト画像のフレーム#nの対応する画素が0なので、左から18番目乃至21番目の画素を背景領域に属すると判定する。
【0256】
次に、図45のフローチャートを参照して、領域判定部103の領域特定の処理を説明する。ステップS301において、領域判定部103の背景画像生成部301は、入力画像を基に、例えば、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを抽出して背景画像を生成し、生成した背景画像を2値オブジェクト画像抽出部302に供給する。
【0257】
ステップS302において、2値オブジェクト画像抽出部302は、例えば、図39を参照して説明した演算により、入力画像と背景画像生成部301から供給された背景画像との相関値を演算する。ステップS303において、2値オブジェクト画像抽出部302は、例えば、相関値としきい値th0とを比較することにより、相関値およびしきい値th0から2値オブジェクト画像を演算する。
【0258】
ステップS304において、時間変化検出部303は、領域判定の処理を実行して、処理は終了する。
【0259】
図46のフローチャートを参照して、ステップS304に対応する領域判定の処理の詳細を説明する。ステップS321において、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#nにおいて、注目する画素が0であるか否かを判定し、フレーム#nにおいて、注目する画素が0であると判定された場合、ステップS322に進み、フレーム#nの注目する画素が背景領域に属すると設定して、処理は終了する。
【0260】
ステップS321において、フレーム#nにおいて、注目する画素が1であると判定された場合、ステップS323に進み、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n-1において、対応する画素が0であるか否かを判定し、フレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n-1において、対応する画素が0であると判定された場合、ステップS324に進み、フレーム#nの注目する画素がカバードバックグラウンド領域に属すると設定して、処理は終了する。
【0261】
ステップS323において、フレーム#nにおいて、注目する画素が0であるか、または、フレーム#n-1において、対応する画素が1であると判定された場合、ステップS325に進み、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレームメモリ341に記憶されているフレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n+1において、対応する画素が0であるか否かを判定し、フレーム#nにおいて、注目する画素が1であり、かつ、フレーム#n+1において、対応する画素が0であると判定された場合、ステップS326に進み、フレーム#nの注目する画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると設定して、処理は終了する。
【0262】
ステップS325において、フレーム#nにおいて、注目する画素が0であるか、または、フレーム#n+1において、対応する画素が1であると判定された場合、ステップS327に進み、時間変化検出部303の領域判定部342は、フレーム#nの注目する画素を前景領域と設定して、処理は終了する。
【0263】
このように、領域特定部103は、入力された画像と対応する背景画像との相関値を基に、入力画像の画素が前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域のいずれかに属するかを特定して、特定した結果に対応する領域情報を生成することができる。
【0264】
図47は、領域特定部103の他の構成を示すブロック図である。図47に示す領域特定部103は、動き検出部102から供給される動きベクトルとその位置情報を使用する。図35に示す場合と同様の部分には、同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0265】
ロバスト化部361は、2値オブジェクト画像抽出部302から供給された、N個のフレームの2値オブジェクト画像を基に、ロバスト化された2値オブジェクト画像を生成して、時間変化検出部303に出力する。
【0266】
図48は、ロバスト化部361の構成を説明するブロック図である。動き補償部381は、動き検出部102から供給された動きベクトルとその位置情報を基に、N個のフレームの2値オブジェクト画像の動きを補償して、動きが補償された2値オブジェクト画像をスイッチ382に出力する。
【0267】
図49および図50の例を参照して、動き補償部381の動き補償について説明する。例えば、フレーム#nの領域を判定するとき、図49に例を示すフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像が入力された場合、動き補償部381は、動き検出部102から供給された動きベクトルを基に、図50に例を示すように、フレーム#n-1の2値オブジェクト画像、およびフレーム#n+1の2値オブジェクト画像を動き補償して、動き補償された2値オブジェクト画像をスイッチ382に供給する。
【0268】
スイッチ382は、1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像をフレームメモリ383−1に出力し、2番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像をフレームメモリ383−2に出力する。同様に、スイッチ382は、3番目乃至N−1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像のそれぞれをフレームメモリ383−3乃至フレームメモリ383−(N−1)のいずれかに出力し、N番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像をフレームメモリ383−Nに出力する。
【0269】
フレームメモリ383−1は、1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像を記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−1に出力する。フレームメモリ383−2は、2番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像を記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−2に出力する。
【0270】
同様に、フレームメモリ383−3乃至フレームメモリ383−(N−1)のそれぞれは、3番目のフレーム乃至N−1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像のいずれかを記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−3乃至重み付け部384−(N−1)のいずれかに出力する。フレームメモリ383−Nは、N番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像を記憶し、記憶されている2値オブジェクト画像を重み付け部384−Nに出力する。
【0271】
重み付け部384−1は、フレームメモリ383−1から供給された1番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みw1を乗じて、積算部385に供給する。重み付け部384−2は、フレームメモリ383−2から供給された2番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みw2を乗じて、積算部385に供給する。
【0272】
同様に、重み付け部384−3乃至重み付け部384−(N−1)のそれぞれは、フレームメモリ383−3乃至フレームメモリ383−(N−1)のいずれかから供給された3番目乃至N−1番目のいずれかのフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みw3乃至重みw(N-1)のいずれかを乗じて、積算部385に供給する。重み付け部384−Nは、フレームメモリ383−Nから供給されたN番目のフレームの動き補償された2値オブジェクト画像の画素値に予め定めた重みwNを乗じて、積算部385に供給する。
【0273】
積算部385は、1乃至N番目のフレームの動き補償され、それぞれ重みw1乃至wNのいずれかが乗じられた、2値オブジェクト画像の対応する画素値を積算して、積算された画素値を予め定めたしきい値th0と比較することにより2値オブジェクト画像を生成する。
【0274】
このように、ロバスト化部361は、N個の2値オブジェクト画像からロバスト化された2値オブジェト画像を生成して、時間変化検出部303に供給するので、図47に構成を示す領域特定部103は、入力画像にノイズが含まれていても、図35に示す場合に比較して、より正確に領域を特定することができる。
【0275】
次に、図47に構成を示す領域特定部103の領域特定の処理について、図51のフローチャートを参照して説明する。ステップS341乃至ステップS343の処理は、図45のフローチャートで説明したステップS301乃至ステップS303とそれぞれ同様なのでその説明は省略する。
【0276】
ステップS344において、ロバスト化部361は、ロバスト化の処理を実行する。
【0277】
ステップS345において、時間変化検出部303は、領域判定の処理を実行して、処理は終了する。ステップS345の処理の詳細は、図46のフローチャートを参照して説明した処理と同様なのでその説明は省略する。
【0278】
次に、図52のフローチャートを参照して、図51のステップS344の処理に対応する、ロバスト化の処理の詳細について説明する。ステップS361において、動き補償部381は、動き検出部102から供給される動きベクトルとその位置情報を基に、入力された2値オブジェクト画像の動き補償の処理を実行する。ステップS362において、フレームメモリ383−1乃至383−Nのいずれかは、スイッチ382を介して供給された動き補償された2値オブジェクト画像を記憶する。
【0279】
ステップS363において、ロバスト化部361は、N個の2値オブジェクト画像が記憶されたか否かを判定し、N個の2値オブジェクト画像が記憶されていないと判定された場合、ステップS361に戻り、2値オブジェクト画像の動き補償の処理および2値オブジェクト画像の記憶の処理を繰り返す。
【0280】
ステップS363において、N個の2値オブジェクト画像が記憶されたと判定された場合、ステップS364に進み、重み付け部384−1乃至384−Nのそれぞれは、N個の2値オブジェクト画像のそれぞれにw1乃至wNのいずれかの重みを乗じて、重み付けする。
【0281】
ステップS365において、積算部385は、重み付けされたN個の2値オブジェクト画像を積算する。
【0282】
ステップS366において、積算部385は、例えば、予め定められたしきい値th1との比較などにより、積算された画像から2値オブジェクト画像を生成して、処理は終了する。
【0283】
このように、図47に構成を示す領域特定部103は、ロバスト化された2値オブジェクト画像を基に、領域情報を生成することができる。
【0284】
以上のように、領域特定部103は、フレームに含まれている画素のそれぞれについて、動き領域、静止領域、アンカバードバックグラウンド領域、またはカバードバックグラウンド領域に属することを示す領域情報を生成することができる。
【0285】
図53は、混合比算出部104の構成の一例を示すブロック図である。推定混合比処理部401は、入力画像を基に、カバードバックグラウンド領域のモデルに対応する演算により、画素毎に推定混合比を算出して、算出した推定混合比を混合比決定部403に供給する。
【0286】
推定混合比処理部402は、入力画像を基に、アンカバードバックグラウンド領域のモデルに対応する演算により、画素毎に推定混合比を算出して、算出した推定混合比を混合比決定部403に供給する。
【0287】
前景に対応するオブジェクトがシャッタ時間内に等速で動いていると仮定できるので、混合領域に属する画素の混合比αは、以下の性質を有する。すなわち、混合比αは、画素の位置の変化に対応して、直線的に変化する。画素の位置の変化を1次元とすれば、混合比αの変化は、直線で表現することができ、画素の位置の変化を2次元とすれば、混合比αの変化は、平面で表現することができる。
【0288】
なお、1フレームの期間は短いので、前景に対応するオブジェクトが剛体であり、等速で移動していると仮定が成り立つ。
【0289】
この場合、混合比αの傾きは、前景のシャッタ時間内での動き量vの逆比となる。
【0290】
理想的な混合比αの例を図54に示す。理想的な混合比αの混合領域における傾きlは、動き量vの逆数として表すことができる。
【0291】
図54に示すように、理想的な混合比αは、背景領域において、1の値を有し、前景領域において、0の値を有し、混合領域において、0を越え1未満の値を有する。
【0292】
図55の例において、フレーム#nの左から7番目の画素の画素値C06は、フレーム#n-1の左から7番目の画素の画素値P06を用いて、式(8)で表すことができる。
【0293】
【数6】
【0294】
式(8)において、画素値C06を混合領域の画素の画素値Mと、画素値P06を背景領域の画素の画素値Bと表現する。すなわち、混合領域の画素の画素値Mおよび背景領域の画素の画素値Bは、それぞれ、式(9)および式(10)のように表現することができる。
【0295】
M=C06 (9)
B=P06 (10)
【0296】
式(8)中の2/vは、混合比αに対応する。動き量vが4なので、フレーム#nの左から7番目の画素の混合比αは、0.5となる。
【0297】
以上のように、注目しているフレーム#nの画素値Cを混合領域の画素値と見なし、フレーム#nの前のフレーム#n-1の画素値Pを背景領域の画素値と見なすことで、混合比αを示す式(3)は、式(11)のように書き換えられる。
【0298】
C=α・P+f (11)
式(11)のfは、注目している画素に含まれる前景の成分の和ΣiFi/vである。
式(11)に含まれる変数は、混合比αおよび前景の成分の和fの2つである。
【0299】
同様に、アンカバードバックグラウンド領域における、動き量vが4であり、時間方向の仮想分割数が4である、画素値を時間方向に展開したモデルを図56に示す。
【0300】
アンカバードバックグラウンド領域において、上述したカバードバックグラウンド領域における表現と同様に、注目しているフレーム#nの画素値Cを混合領域の画素値と見なし、フレーム#nの後のフレーム#n+1の画素値Nを背景領域の画素値と見なすことで、混合比αを示す式(3)は、式(12)のように表現することができる。
【0301】
C=α・N+f (12)
【0302】
なお、背景のオブジェクトが静止しているとして説明したが、背景のオブジェクトが動いている場合においても、背景の動き量vに対応させた位置の画素の画素値を利用することにより、式(8)乃至式(12)を適用することができる。
例えば、図55において、背景に対応するオブジェクトの動き量vが2であり、仮想分割数が2であるとき、背景に対応するオブジェクトが図中の右側に動いているとき、式(10)における背景領域の画素の画素値Bは、画素値P04とされる。
【0303】
式(11)および式(12)は、それぞれ2つの変数を含むので、そのままでは混合比αを求めることができない。ここで、画像は一般的に空間的に相関が強いので近接する画素同士でほぼ同じ画素値となる。
【0304】
そこで、前景成分は、空間的に相関が強いので、前景の成分の和fを前または後のフレームから導き出せるように式を変形して、混合比αを求める。
【0305】
図57のフレーム#nの左から7番目の画素の画素値Mcは、式(13)で表すことができる。
【0306】
【数7】
式(13)の右辺第1項の2/vは、混合比αに相当する。式(13)の右辺第2項は、後のフレーム#n+1の画素値を利用して、式(14)のように表すこととする。
【0307】
【数8】
【0308】
ここで、前景の成分の空間相関を利用して、式(15)が成立するとする。
【0309】
F=F05=F06=F07=F08=F09=F10=F11=F12 (15)
式(14)は、式(15)を利用して、式(16)のように置き換えることができる。
【0310】
【数9】
【0311】
結果として、βは、式(17)で表すことができる。
【0312】
β=2/4 (17)
【0313】
一般的に、式(15)に示すように混合領域に関係する前景の成分が等しいと仮定すると、混合領域の全ての画素について、内分比の関係から式(18)が成立する。
【0314】
β=1-α (18)
【0315】
式(18)が成立するとすれば、式(11)は、式(19)に示すように展開することができる。
【0316】
【数10】
【0317】
同様に、式(18)が成立するとすれば、式(12)は、式(20)に示すように展開することができる。
【0318】
【数11】
【0319】
式(19)および式(20)において、C,N、およびPは、既知の画素値なので、式(19)および式(20)に含まれる変数は、混合比αのみである。式(19)および式(20)における、C,N、およびPの関係を図58に示す。Cは、混合比αを算出する、フレーム#nの注目している画素の画素値である。Nは、注目している画素と空間方向の位置が対応する、フレーム#n+1の画素の画素値である。Pは、注目している画素と空間方向の位置が対応する、フレーム#n-1の画素の画素値である。
【0320】
従って、式(19)および式(20)のそれぞれに1つの変数が含まれることとなるので、3つのフレームの画素の画素値を利用して、混合比αを算出することができる。式(19)および式(20)を解くことにより、正しい混合比αが算出されるための条件は、混合領域に関係する前景の成分が等しい、すなわち、前景のオブジェクトが静止しているとき撮像された前景の画像オブジェクトにおいて、前景のオブジェクトの動きの方向に対応する、画像オブジェクトの境界に位置する画素であって、動き量vの2倍の数の連続している画素の画素値が、一定であることである。
【0321】
以上のように、カバードバックグラウンド領域に属する画素の混合比αは、式(21)により算出され、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の混合比αは、式(22)により算出される。
【0322】
α=(C-N)/(P-N) (21)
α=(C-P)/(N-P) (22)
【0323】
図59は、推定混合比処理部401の構成を示すブロック図である。フレームメモリ421は、入力された画像をフレーム単位で記憶し、入力画像として入力されているフレームから1つ後のフレームをフレームメモリ422および混合比演算部423に供給する。
【0324】
フレームメモリ422は、入力された画像をフレーム単位で記憶し、フレームメモリ421から供給されているフレームから1つ後のフレームを混合比演算部423に供給する。
【0325】
従って、入力画像としてフレーム#n+1が混合比演算部423に入力されているとき、フレームメモリ421は、フレーム#nを混合比演算部423に供給し、フレームメモリ422は、フレーム#n-1を混合比演算部423に供給する。
【0326】
混合比演算部423は、式(21)に示す演算により、フレーム#nの注目している画素の画素値C、注目している画素と空間的位置が対応する、フレーム#n+1の画素の画素値N、および注目している画素と空間的位置が対応する、フレーム#n-1の画素の画素値Pを基に、注目している画素の推定混合比を算出して、算出した推定混合比を出力する。例えば、背景が静止しているとき、混合比演算部423は、フレーム#nの注目している画素の画素値C、注目している画素とフレーム内の位置が同じ、フレーム#n+1の画素の画素値N、および注目している画素とフレーム内の位置が同じ、フレーム#n-1の画素の画素値Pを基に、注目している画素の推定混合比を算出して、算出した推定混合比を出力する。
【0327】
このように、推定混合比処理部401は、入力画像を基に、推定混合比を算出して、混合比決定部403に供給することができる。
【0328】
なお、推定混合比処理部402は、推定混合比処理部401が式(21)に示す演算により、注目している画素の推定混合比を算出するのに対して、式(22)に示す演算により、注目している画素の推定混合比を算出する部分が異なることを除き、推定混合比処理部401と同様なので、その説明は省略する。
【0329】
図60は、推定混合比処理部401により算出された推定混合比の例を示す図である。図60に示す推定混合比は、等速で動いているオブジェクトに対応する前景の動き量vが11である場合の結果を、1ラインに対して示すものである。
【0330】
推定混合比は、混合領域において、図54に示すように、ほぼ直線的に変化していることがわかる。
【0331】
図53に戻り、混合比決定部403は、領域特定部103から供給された、混合比αの算出の対象となる画素が、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域のいずれかに属するかを示す領域情報を基に、混合比αを設定する。混合比決定部403は、対象となる画素が前景領域に属する場合、0を混合比αに設定し、対象となる画素が背景領域に属する場合、1を混合比αに設定し、対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部401から供給された推定混合比を混合比αに設定し、対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部402から供給された推定混合比を混合比αに設定する。混合比決定部403は、領域情報を基に設定した混合比αを出力する。
【0332】
図61は、混合比算出部104の他の構成を示すブロック図である。選択部441は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、カバードバックグラウンド領域に属する画素および、これに対応する前および後のフレームの画素を推定混合比処理部442に供給する。選択部441は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素および、これに対応する前および後のフレームの画素を推定混合比処理部443に供給する。
【0333】
推定混合比処理部442は、選択部441から入力された画素値を基に、式(21)に示す演算により、カバードバックグラウンド領域に属する、注目している画素の推定混合比を算出して、算出した推定混合比を選択部444に供給する。
【0334】
推定混合比処理部443は、選択部441から入力された画素値を基に、式(22)に示す演算により、アンカバードバックグラウンド領域に属する、注目している画素の推定混合比を算出して、算出した推定混合比を選択部444に供給する。
【0335】
選択部444は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、対象となる画素が前景領域に属する場合、0である推定混合比を選択して、混合比αに設定し、対象となる画素が背景領域に属する場合、1である推定混合比を選択して、混合比αに設定する。選択部444は、対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部442から供給された推定混合比を選択して混合比αに設定し、対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部443から供給された推定混合比を選択して混合比αに設定する。選択部444は、領域情報を基に選択して設定した混合比αを出力する。
【0336】
このように、図61に示す他の構成を有する混合比算出部104は、画像の含まれる画素毎に混合比αを算出して、算出した混合比αを出力することができる。
【0337】
図62のフローチャートを参照して、図53に構成を示す混合比算出部104の混合比αの算出の処理を説明する。ステップS401において、混合比算出部104は、領域特定部103から供給された領域情報を取得する。ステップS402において、推定混合比処理部401は、カバードバックグラウンド領域に対応するモデルにより推定混合比の演算の処理を実行し、算出した推定混合比を混合比決定部403に供給する。混合比推定の演算の処理の詳細は、図63のフローチャートを参照して、後述する。
【0338】
ステップS403において、推定混合比処理部402は、アンカバードバックグラウンド領域に対応するモデルにより推定混合比の演算の処理を実行し、算出した推定混合比を混合比決定部403に供給する。
【0339】
ステップS404において、混合比算出部104は、フレーム全体について、混合比αを推定したか否かを判定し、フレーム全体について、混合比αを推定していないと判定された場合、ステップS402に戻り、次の画素について混合比αを推定する処理を実行する。
【0340】
ステップS404において、フレーム全体について、混合比αを推定したと判定された場合、ステップS405に進み、混合比決定部403は、画素が、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域のいずれかに属するかを示す、領域特定部103から供給された領域情報を基に、混合比αを設定する。混合比決定部403は、対象となる画素が前景領域に属する場合、0を混合比αに設定し、対象となる画素が背景領域に属する場合、1を混合比αに設定し、対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部401から供給された推定混合比を混合比αに設定し、対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部402から供給された推定混合比を混合比αに設定し、処理は終了する。
【0341】
このように、混合比算出部104は、領域特定部103から供給された領域情報、および入力画像を基に、各画素に対応する特徴量である混合比αを算出することができる。
【0342】
図61に構成を示す混合比算出部104の混合比αの算出の処理は、図62のフローチャートで説明した処理と同様なので、その説明は省略する。
【0343】
次に、図62のステップS402に対応する、カバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理を図63のフローチャートを参照して説明する。
【0344】
ステップS421において、混合比演算部423は、フレームメモリ421から、フレーム#nの注目画素の画素値Cを取得する。
【0345】
ステップS422において、混合比演算部423は、フレームメモリ422から、注目画素に対応する、フレーム#n-1の画素の画素値Pを取得する。
【0346】
ステップS423において、混合比演算部423は、入力画像に含まれる注目画素に対応する、フレーム#n+1の画素の画素値Nを取得する。
【0347】
ステップS424において、混合比演算部423は、フレーム#nの注目画素の画素値C、フレーム#n-1の画素の画素値P、およびフレーム#n+1の画素の画素値Nを基に、推定混合比を演算する。
【0348】
ステップS425において、混合比演算部423は、フレーム全体について、推定混合比を演算する処理を終了したか否かを判定し、フレーム全体について、推定混合比を演算する処理を終了していないと判定された場合、ステップS421に戻り、次の画素について推定混合比を算出する処理を繰り返す。
【0349】
ステップS425において、フレーム全体について、推定混合比を演算する処理を終了したと判定された場合、処理は終了する。
【0350】
このように、推定混合比処理部401は、入力画像を基に、推定混合比を演算することができる。
【0351】
図62のステップS403におけるアンカバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理は、アンカバードバックグラウンド領域のモデルに対応する式を利用した、図63のフローチャートに示す処理と同様なので、その説明は省略する。
【0352】
なお、図61に示す推定混合比処理部442および推定混合比処理部443は、図63に示すフローチャートと同様の処理を実行して推定混合比を演算するので、その説明は省略する。
【0353】
また、背景に対応するオブジェクトが静止しているとして説明したが、背景領域に対応する画像が動きを含んでいても上述した混合比αを求める処理を適用することができる。例えば、背景領域に対応する画像が一様に動いているとき、推定混合比処理部401は、背景の動きに対応して画像全体をシフトさせ、背景に対応するオブジェクトが静止している場合と同様に処理する。また、背景領域に対応する画像が局所毎に異なる背景の動きを含んでいるとき、推定混合比処理部401は、混合領域に属する画素に対応する画素として、背景の動きに対応した画素を選択して、上述の処理を実行する。
【0354】
また、混合比算出部104は、全ての画素について、カバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理のみを実行して、算出された推定混合比を混合比αとして出力するようにしてもよい。この場合において、混合比αは、カバードバックグラウンド領域に属する画素について、背景の成分の割合を示し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素について、前景の成分の割合を示す。アンカバードバックグラウンド領域に属する画素について、このように算出された混合比αと1との差分の絶対値を算出して、算出した絶対値を混合比αに設定すれば、信号処理装置は、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素について、背景の成分の割合を示す混合比αを求めることができる。
【0355】
なお、同様に、混合比算出部104は、全ての画素について、アンカバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理のみを実行して、算出された推定混合比を混合比αとして出力するようにしてもよい。
【0356】
次に、混合比算出部104の他の処理について説明する。
【0357】
シャッタ時間内において、前景に対応するオブジェクトが等速で動くことによる、画素の位置の変化に対応して、混合比αが直線的に変化する性質を利用して、空間方向に、混合比αと前景の成分の和fとを近似した式を立てることができる。混合領域に属する画素の画素値および背景領域に属する画素の画素値の組の複数を利用して、混合比αと前景の成分の和fとを近似した式を解くことにより、混合比αを算出する。
【0358】
混合比αの変化を、直線として近似すると、混合比αは、式(23)で表される。
【0359】
α=il+p (23)
式(23)において、iは、注目している画素の位置を0とした空間方向のインデックスである。lは、混合比αの直線の傾きである。pは、混合比αの直線の切片である共に、注目している画素の混合比αである。式(23)において、インデックスiは、既知であるが、傾きlおよび切片pは、未知である。
【0360】
インデックスi、傾きl、および切片pの関係を図64に示す。
【0361】
混合比αを式(23)のように近似することにより、複数の画素に対して複数の異なる混合比αは、2つの変数で表現される。図64に示す例において、5つの画素に対する5つの混合比は、2つの変数である傾きlおよび切片pにより表現される。
【0362】
図65に示す平面で混合比αを近似すると、画像の水平方向および垂直方向の2つの方向に対応する動きvを考慮したとき、式(23)を平面に拡張して、混合比αは、式(24)で表される。
【0363】
α=jm+kq+p (24)
式(24)において、jは、注目している画素の位置を0とした水平方向のインデックスであり、kは、垂直方向のインデックスである。mは、混合比αの面の水平方向の傾きであり、qは、混合比αの面の垂直方向の傾きである。pは、混合比αの面の切片である。
【0364】
例えば、図55に示すフレーム#nにおいて、C05乃至C07について、それぞれ、式(25)乃至式(27)が成立する。
【0365】
C05=α05・B05/v+f05 (25)
C06=α06・B06/v+f06 (26)
C07=α07・B07/v+f07 (27)
【0366】
前景の成分が近傍で一致する、すなわち、F01乃至F03が等しいとして、F01乃至F03をFcに置き換えると式(28)が成立する。
【0367】
f(x)=(1-α(x))・Fc (28)
式(28)において、xは、空間方向の位置を表す。
【0368】
α(x)を式(24)で置き換えると、式(28)は、式(29)として表すことができる。
【0369】
【0370】
式(29)において、(-m・Fc)、(-q・Fc)、および(1-p)・Fcは、式(30)乃至式(32)に示すように置き換えられている。
【0371】
s=-m・Fc (30)
t=-q・Fc (31)
u=(1-p)・Fc (32)
【0372】
式(29)において、jは、注目している画素の位置を0とした水平方向のインデックスであり、kは、垂直方向のインデックスである。
【0373】
このように、前景に対応するオブジェクトがシャッタ時間内において等速に移動し、前景に対応する成分が近傍において一定であるという仮定が成立するので、前景の成分の和は、式(29)で近似される。
【0374】
なお、混合比αを直線で近似する場合、前景の成分の和は、式(33)で表すことができる。
【0375】
f(x)=is+u (33)
【0376】
式(13)の混合比αおよび前景成分の和を、式(24)および式(29)を利用して置き換えると、画素値Mは、式(34)で表される。
【0377】
【0378】
式(34)において、未知の変数は、混合比αの面の水平方向の傾きm、混合比αの面の垂直方向の傾きq、混合比αの面の切片p、s、t、およびuの6つである。
【0379】
注目している画素の近傍の画素に対応させて、式(34)に示す正規方程式に、画素値Mまたは画素値Bを設定し、画素値Mまたは画素値Bが設定された複数の正規方程式を最小自乗法で解いて、混合比αを算出する。
【0380】
例えば、注目している画素の水平方向のインデックスjを0とし、垂直方向のインデックスkを0とし、注目している画素の近傍の3×3の画素について、式(34)に示す正規方程式に画素値Mまたは画素値Bを設定すると、式(35)乃至式(43)を得る。
【0381】
注目している画素の水平方向のインデックスjが0であり、垂直方向のインデックスkが0であるので、注目している画素の混合比αは、式(24)より、j=0およびk=0のときの値、すなわち、切片pに等しい。
【0382】
従って、式(35)乃至式(43)の9つの式を基に、最小自乗法により、水平方向の傾きm、垂直方向の傾きq、切片p、s、t、およびuのそれぞれの値を算出し、切片pを混合比αとして出力すればよい。
【0383】
次に、最小自乗法を適用して混合比αを算出するより具体的な手順を説明する。
【0384】
インデックスiおよびインデックスkを1つのインデックスxで表現すると、インデックスi、インデックスk、およびインデックスxの関係は、式(44)で表される。
【0385】
x=(j+1)・3+(k+1) (44)
【0386】
水平方向の傾きm、垂直方向の傾きq、切片p、s、t、およびuをそれぞれ変数w0,w1,w2,w3,w4、およびW5と表現し、jB,kB,B,j,k、および1をそれぞれa0,a1,a2,a3,a4、およびa5と表現する。誤差exを考慮すると、式(35)乃至式(43)は、式(45)に書き換えることができる。
【0387】
【数12】
式(45)において、xは、0乃至8の整数のいずれかの値である。
【0388】
式(45)から、式(46)を導くことができる。
【0389】
【数13】
【0390】
ここで、最小自乗法を適用するため、誤差の自乗和Eを式(47)に示すようにに定義する。
【0391】
【数14】
【0392】
誤差が最小になるためには、誤差の自乗和Eに対する、変数Wvの偏微分が0になればよい。ここで、vは、0乃至5の整数のいずれかの値である。従って、式(48)を満たすようにwyを求める。
【0393】
【数15】
【0394】
式(48)に式(46)を代入すると、式(49)を得る。
【0395】
【数16】
【0396】
式(49)のvに0乃至5の整数のいずれか1つを代入して得られる6つの式に、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを適用して、wyを算出する。上述したように、w0は水平方向の傾きmであり、w1は垂直方向の傾きqであり、w2は切片pであり、w3はsであり、w4はtであり、w5はuである。
【0397】
以上のように、画素値Mおよび画素値Bを設定した式に、最小自乗法を適用することにより、水平方向の傾きm、垂直方向の傾きq、切片p、s、t、およびuを求めることができる。
【0398】
式(35)乃至式(43)に対応する説明において、混合領域に含まれる画素の画素値をMとし、背景領域に含まれる画素の画素値をBとして説明したが、注目している画素が、カバードバックグラウンド領域に含まれる場合、またはアンカバードバックグラウンド領域に含まれる場合のそれぞれに対して、正規方程式を立てる必要がある。
【0399】
例えば、図55に示す、フレーム#nのカバードバックグラウンド領域に含まれる画素の混合比αを求める場合、フレーム#nの画素のC04乃至C08、およびフレーム#n-1の画素の画素値P04乃至P08が、正規方程式に設定される。
【0400】
図56に示す、フレーム#nのアンカバードバックグラウンド領域に含まれる画素の混合比αを求める場合、フレーム#nの画素のC28乃至C32、およびフレーム#n+1の画素の画素値N28乃至N32が、正規方程式に設定される。
【0401】
また、例えば、図66に示す、カバードバックグラウンド領域に含まれる画素の混合比αを算出するとき、以下の式(50)乃至式(58)が立てられる。混合比αを算出する画素の画素値は、Mc5である。
Mc1=(-1)・Bc1・m+(-1)・Bc1・q+Bc1・p+(-1)・s+(-1)・t+u (50)
Mc2=(0)・Bc2・m+(-1)・Bc2・q+Bc2・p+(0)・s+(-1)・t+u (51)
Mc3=(+1)・Bc3・m+(-1)・Bc3・q+Bc3・p+(+1)・s+(-1)・t+u (52)
Mc4=(-1)・Bc4・m+(0)・Bc4・q+Bc4・p+(-1)・s+(0)・t+u (53)
Mc5=(0)・Bc5・m+(0)・Bc5・q+Bc5・p+(0)・s+(0)・t+u (54)
Mc6=(+1)・Bc6・m+(0)・Bc6・q+Bc6・p+(+1)・s+(0)・t+u (55)
Mc7=(-1)・Bc7・m+(+1)・Bc7・q+Bc7・p+(-1)・s+(+1)・t+u (56)
Mc8=(0)・Bc8・m+(+1)・Bc8・q+Bc8・p+(0)・s+(+1)・t+u (57)
Mc9=(+1)・Bc9・m+(+1)・Bc9・q+Bc9・p+(+1)・s+(+1)・t+u (58)
【0402】
フレーム#nのカバードバックグラウンド領域に含まれる画素の混合比αを算出するとき、式(50)乃至式(58)において、フレーム#nの画素に対応する、フレーム#n-1の画素の背景領域の画素の画素値Bc1乃至Bc9が使用される。
【0403】
図66に示す、アンカバードバックグラウンド領域に含まれる画素の混合比αを算出するとき、以下の式(59)乃至式(67)が立てられる。混合比αを算出する画素の画素値は、Mu5である。
Mu1=(-1)・Bu1・m+(-1)・Bu1・q+Bu1・p+(-1)・s+(-1)・t+u (59)
Mu2=(0)・Bu2・m+(-1)・Bu2・q+Bu2・p+(0)・s+(-1)・t+u (60)
Mu3=(+1)・Bu3・m+(-1)・Bu3・q+Bu3・p+(+1)・s+(-1)・t+u (61)
Mu4=(-1)・Bu4・m+(0)・Bu4・q+Bu4・p+(-1)・s+(0)・t+u (62)
Mu5=(0)・Bu5・m+(0)・Bu5・q+Bu5・p+(0)・s+(0)・t+u (63)
Mu6=(+1)・Bu6・m+(0)・Bu6・q+Bu6・p+(+1)・s+(0)・t+u (64)
Mu7=(-1)・Bu7・m+(+1)・Bu7・q+Bu7・p+(-1)・s+(+1)・t+u (65)
Mu8=(0)・Bu8・m+(+1)・Bu8・q+Bu8・p+(0)・s+(+1)・t+u (66)
Mu9=(+1)・Bu9・m+(+1)・Bu9・q+Bu9・p+(+1)・s+(+1)・t+u (67)
【0404】
フレーム#nのアンカバードバックグラウンド領域に含まれる画素の混合比αを算出するとき、式(59)乃至式(67)において、フレーム#nの画素に対応する、フレーム#n+1の画素の背景領域の画素の画素値Bu1乃至Bu9が使用される。
【0405】
図67は、推定混合比処理部401の構成を示すブロック図である。推定混合比処理部401に入力された画像は、遅延部501および足し込み部502に供給される。
【0406】
遅延回路221は、入力画像を1フレーム遅延させ、足し込み部502に供給する。足し込み部502に、入力画像としてフレーム#nが入力されているとき、遅延回路221は、フレーム#n-1を足し込み部502に供給する。
【0407】
足し込み部502は、混合比αを算出する画素の近傍の画素の画素値、およびフレーム#n-1の画素値を、正規方程式に設定する。例えば、足し込み部502は、式(50)乃至式(58)に基づいて、正規方程式に画素値Mc1乃至Mc9および画素値Bc1乃至Bc9を設定する。足し込み部502は、画素値が設定された正規方程式を演算部503に供給する。
【0408】
演算部503は、足し込み部502から供給された正規方程式を掃き出し法などにより解いて推定混合比を求め、求められた推定混合比を出力する。
【0409】
このように、推定混合比処理部401は、入力画像を基に、推定混合比を算出して、混合比決定部403に供給することができる。
【0410】
なお、推定混合比処理部402は、推定混合比処理部401と同様の構成を有するので、その説明は省略する。
【0411】
図68は、推定混合比処理部401により算出された推定混合比の例を示す図である。図68に示す推定混合比は、等速で動いているオブジェクトに対応する前景の動きvが11であり、7×7画素のブロックを単位として方程式を生成して算出された結果を、1ラインに対して示すものである。
【0412】
推定混合比は、混合領域において、図54に示すように、ほぼ直線的に変化していることがわかる。
【0413】
混合比決定部403は、領域特定部101から供給された、混合比が算出される画素が、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域のいずれかに属するかを示す領域情報を基に、混合比を設定する。混合比決定部403は、対象となる画素が前景領域に属する場合、0を混合比に設定し、対象となる画素が背景領域に属する場合、1を混合比に設定し、対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部401から供給された推定混合比を混合比に設定し、対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部402から供給された推定混合比を混合比に設定する。混合比決定部403は、領域情報を基に設定した混合比を出力する。
【0414】
図69のフローチャートを参照して、推定混合比処理部401が図67に示す構成を有する場合における、混合比算出部102の混合比の算出の処理を説明する。ステップS501において、混合比算出部102は、領域特定部101から供給された領域情報を取得する。ステップS502において、推定混合比処理部401は、カバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理を実行し、推定混合比を混合比決定部403に供給する。混合比推定の処理の詳細は、図70のフローチャートを参照して、後述する。
【0415】
ステップS503において、推定混合比処理部402は、アンカバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理を実行し、推定混合比を混合比決定部403に供給する。
【0416】
ステップS504において、混合比算出部102は、フレーム全体について、混合比を推定したか否かを判定し、フレーム全体について、混合比を推定していないと判定された場合、ステップS502に戻り、次の画素について混合比を推定する処理を実行する。
【0417】
ステップS504において、フレーム全体について、混合比を推定したと判定された場合、ステップS505に進み、混合比決定部403は、領域特定部101から供給された、混合比が算出される画素が、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域のいずれかに属するかを示す領域情報を基に、混合比を設定する。混合比決定部403は、対象となる画素が前景領域に属する場合、0を混合比に設定し、対象となる画素が背景領域に属する場合、1を混合比に設定し、対象となる画素がカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部401から供給された推定混合比を混合比に設定し、対象となる画素がアンカバードバックグラウンド領域に属する場合、推定混合比処理部402から供給された推定混合比を混合比に設定し、処理は終了する。
【0418】
このように、混合比算出部102は、領域特定部101から供給された領域情報、および入力画像を基に、各画素に対応する特徴量である混合比αを算出することができる。
【0419】
混合比αを利用することにより、動いているオブジェクトに対応する画像に含まれる動きボケの情報を残したままで、画素値に含まれる前景の成分と背景の成分とを分離することが可能になる。
【0420】
また、混合比αに基づいて画像を合成すれば、実世界を実際に撮影し直したような動いているオブジェクトのスピードに合わせた正しい動きボケを含む画像を作ることが可能になる。
【0421】
次に、図69のステップS502に対応する、カバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理を図70のフローチャートを参照して説明する。
【0422】
ステップS521において、足し込み部502は、入力された画像に含まれる画素値、および遅延回路221から供給される画像に含まれる画素値を、カバードバックグラウンド領域のモデルに対応する正規方程式に設定する。
【0423】
ステップS522において、推定混合比処理部401は、対象となる画素についての設定が終了したか否かを判定し、対象となる画素についての設定が終了していないと判定された場合、ステップS521に戻り、正規方程式への画素値の設定の処理を繰り返す。
【0424】
ステップS522において、対象となる画素についての画素値の設定が終了したと判定された場合、ステップS523に進み、演算部173は、画素値が設定された正規方程式を基に、推定混合比を演算して、求められた推定混合比を出力する。
【0425】
このように、推定混合比処理部401は、入力画像を基に、推定混合比を演算することができる。
【0426】
図69のステップS153におけるアンカバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理は、アンカバードバックグラウンド領域のモデルに対応する正規方程式を利用した、図70のフローチャートに示す処理と同様なので、その説明は省略する。
【0427】
なお、背景に対応するオブジェクトが静止しているとして説明したが、背景領域に対応する画像が動きを含んでいても上述した混合比を求める処理を適用することができる。例えば、背景領域に対応する画像が一様に動いているとき、推定混合比処理部401は、この動きに対応して画像全体をシフトさせ、背景に対応するオブジェクトが静止している場合と同様に処理する。また、背景領域に対応する画像が局所毎に異なる動きを含んでいるとき、推定混合比処理部401は、混合領域に属する画素に対応する画素として、動きに対応した画素を選択して、上述の処理を実行する。
【0428】
次に、前景背景分離部105について説明する。図71は、前景背景分離部105の構成の一例を示すブロック図である。前景背景分離部105に供給された入力画像は、分離部601、スイッチ602、およびスイッチ604に供給される。カバードバックグラウンド領域を示す情報、およびアンカバードバックグラウンド領域を示す、領域特定部103から供給された領域情報は、分離部601に供給される。前景領域を示す領域情報は、スイッチ602に供給される。背景領域を示す領域情報は、スイッチ604に供給される。
【0429】
混合比算出部104から供給された混合比αは、分離部601に供給される。
【0430】
分離部601は、カバードバックグラウンド領域を示す領域情報、アンカバードバックグラウンド領域を示す領域情報、および混合比αを基に、入力画像から前景の成分を分離して、分離した前景の成分を合成部603に供給するとともに、入力画像から背景の成分を分離して、分離した背景の成分を合成部605に供給する。
【0431】
スイッチ602は、前景領域を示す領域情報を基に、前景に対応する画素が入力されたとき、閉じられ、入力画像に含まれる前景に対応する画素のみを合成部603に供給する。
【0432】
スイッチ604は、背景領域を示す領域情報を基に、背景に対応する画素が入力されたとき、閉じられ、入力画像に含まれる背景に対応する画素のみを合成部605に供給する。
【0433】
合成部603は、分離部601から供給された前景に対応する成分、スイッチ602から供給された前景に対応する画素を基に、前景成分画像を合成し、合成した前景成分画像を出力する。前景領域と混合領域とは重複しないので、合成部603は、例えば、前景に対応する成分と、前景に対応する画素とに論理和の演算を適用して、前景成分画像を合成する。
【0434】
合成部603は、前景成分画像の合成の処理の最初に実行される初期化の処理において、内蔵しているフレームメモリに全ての画素値が0である画像を格納し、前景成分画像の合成の処理において、前景成分画像を格納(上書き)する。従って、合成部603が出力する前景成分画像の内、背景領域に対応する画素には、画素値として0が格納されている。
【0435】
合成部605は、分離部601から供給された背景に対応する成分、スイッチ604から供給された背景に対応する画素を基に、背景成分画像を合成して、合成した背景成分画像を出力する。背景領域と混合領域とは重複しないので、合成部605は、例えば、背景に対応する成分と、背景に対応する画素とに論理和の演算を適用して、背景成分画像を合成する。
【0436】
合成部605は、背景成分画像の合成の処理の最初に実行される初期化の処理において、内蔵しているフレームメモリに全ての画素値が0である画像を格納し、背景成分画像の合成の処理において、背景成分画像を格納(上書き)する。従って、合成部605が出力する背景成分画像の内、前景領域に対応する画素には、画素値として0が格納されている。
【0437】
図72は、前景背景分離部105に入力される入力画像、並びに前景背景分離部105から出力される前景成分画像および背景成分画像を示す図である。
【0438】
図72(A)は、表示される画像の模式図であり、図72(B)は、図72(A)に対応する前景領域に属する画素、背景領域に属する画素、および混合領域に属する画素を含む1ラインの画素を時間方向に展開したモデル図を示す。
【0439】
図72(A)および図72(B)に示すように、前景背景分離部105から出力される背景成分画像は、背景領域に属する画素、および混合領域の画素に含まれる背景の成分から構成される。
【0440】
図72(A)および図72(B)に示すように、前景背景分離部105から出力される前景成分画像は、前景領域に属する画素、および混合領域の画素に含まれる前景の成分から構成される。
【0441】
混合領域の画素の画素値は、前景背景分離部105により、背景の成分と、前景の成分とに分離される。分離された背景の成分は、背景領域に属する画素と共に、背景成分画像を構成する。分離された前景の成分は、前景領域に属する画素と共に、前景成分画像を構成する。
【0442】
このように、前景成分画像は、背景領域に対応する画素の画素値が0とされ、前景領域に対応する画素および混合領域に対応する画素に意味のある画素値が設定される。同様に、背景成分画像は、前景領域に対応する画素の画素値が0とされ、背景領域に対応する画素および混合領域に対応する画素に意味のある画素値が設定される。
【0443】
次に、分離部601が実行する、混合領域に属する画素から前景の成分、および背景の成分を分離する処理について説明する。
【0444】
図73は、図中の左から右に移動するオブジェクトに対応する前景を含む、2つのフレームの前景の成分および背景の成分を示す画像のモデルである。図73に示す画像のモデルにおいて、前景の動き量vは4であり、仮想分割数は、4とされている。
【0445】
フレーム#nにおいて、最も左の画素、および左から14番目乃至18番目の画素は、背景の成分のみから成り、背景領域に属する。フレーム#nにおいて、左から2番目乃至4番目の画素は、背景の成分および前景の成分を含み、アンカバードバックグラウンド領域に属する。フレーム#nにおいて、左から11番目乃至13番目の画素は、背景の成分および前景の成分を含み、カバードバックグラウンド領域に属する。フレーム#nにおいて、左から5番目乃至10番目の画素は、前景の成分のみから成り、前景領域に属する。
【0446】
フレーム#n+1において、左から1番目乃至5番目の画素、および左から18番目の画素は、背景の成分のみから成り、背景領域に属する。フレーム#n+1において、左から6番目乃至8番目の画素は、背景の成分および前景の成分を含み、アンカバードバックグラウンド領域に属する。フレーム#n+1において、左から15番目乃至17番目の画素は、背景の成分および前景の成分を含み、カバードバックグラウンド領域に属する。フレーム#n+1において、左から9番目乃至14番目の画素は、前景の成分のみから成り、前景領域に属する。
【0447】
図74は、カバードバックグラウンド領域に属する画素から前景の成分を分離する処理を説明する図である。図74において、α1乃至α18は、フレーム#nにおける画素のぞれぞれに対応する混合比である。図74において、左から15番目乃至17番目の画素は、カバードバックグラウンド領域に属する。
【0448】
フレーム#nの左から15番目の画素の画素値C15は、式(68)で表される。
【0449】
ここで、α15は、フレーム#nの左から15番目の画素の混合比である。P15は、フレーム#n-1の左から15番目の画素の画素値である。
【0450】
式(68)を基に、フレーム#nの左から15番目の画素の前景の成分の和f15は、式(69)で表される。
【0451】
【0452】
同様に、フレーム#nの左から16番目の画素の前景の成分の和f16は、式(70)で表され、フレーム#nの左から17番目の画素の前景の成分の和f17は、式(71)で表される。
【0453】
f16=C16-α16・P16 (70)
f17=C17-α17・P17 (71)
【0454】
このように、カバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値Cに含まれる前景の成分fcは、式(72)で計算される。
【0455】
fc=C-α・P (72)
Pは、1つ前のフレームの、対応する画素の画素値である。
【0456】
図75は、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素から前景の成分を分離する処理を説明する図である。図75において、α1乃至α18は、フレーム#nにおける画素のぞれぞれに対応する混合比である。図75において、左から2番目乃至4番目の画素は、アンカバードバックグラウンド領域に属する。
【0457】
フレーム#nの左から2番目の画素の画素値C02は、式(73)で表される。
【0458】
ここで、α2は、フレーム#nの左から2番目の画素の混合比である。N02は、フレーム#n+1の左から2番目の画素の画素値である。
【0459】
式(73)を基に、フレーム#nの左から2番目の画素の前景の成分の和f02は、式(74)で表される。
【0460】
【0461】
同様に、フレーム#nの左から3番目の画素の前景の成分の和f03は、式(75)で表され、フレーム#nの左から4番目の画素の前景の成分の和f04は、式(76)で表される。
【0462】
f03=C03-α3・N03 (75)
f04=C04-α4・N04 (76)
【0463】
このように、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値Cに含まれる前景の成分fuは、式(77)で計算される。
【0464】
fu=C-α・N (77)
Nは、1つ後のフレームの、対応する画素の画素値である。
【0465】
このように、分離部601は、領域情報に含まれる、カバードバックグラウンド領域を示す情報、およびアンカバードバックグラウンド領域を示す情報、並びに画素毎の混合比αを基に、混合領域に属する画素から前景の成分、および背景の成分を分離することができる。
【0466】
図76は、以上で説明した処理を実行する分離部601の構成の一例を示すブロック図である。分離部601に入力された画像は、フレームメモリ621に供給され、混合比算出部104から供給されたカバードバックグラウンド領域およびアンカバードバックグラウンド領域を示す領域情報、並びに混合比αは、分離処理ブロック622に入力される。
【0467】
フレームメモリ621は、入力された画像をフレーム単位で記憶する。フレームメモリ621は、処理の対象がフレーム#nであるとき、フレーム#nの1つ前のフレームであるフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#nの1つ後のフレームであるフレーム#n+1を記憶する。
【0468】
フレームメモリ621は、フレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の対応する画素を分離処理ブロック622に供給する。
【0469】
分離処理ブロック622は、カバードバックグラウンド領域およびアンカバードバックグラウンド領域を示す領域情報、並びに混合比αを基に、フレームメモリ621から供給されたフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の対応する画素の画素値に図74および図75を参照して説明した演算を適用して、フレーム#nの混合領域に属する画素から前景の成分および背景の成分を分離して、フレームメモリ623に供給する。
【0470】
分離処理ブロック622は、アンカバード領域処理部631、カバード領域処理部632、合成部633、および合成部634で構成されている。
【0471】
アンカバード領域処理部631の乗算器641は、混合比αを、フレームメモリ621から供給されたフレーム#n+1の画素の画素値に乗じて、スイッチ642に出力する。スイッチ642は、フレームメモリ621から供給されたフレーム#nの画素(フレーム#n+1の画素に対応する)がアンカバードバックグラウンド領域であるとき、閉じられ、乗算器641から供給された混合比αを乗じた画素値を演算器643および合成部634に供給する。スイッチ642から出力されるフレーム#n+1の画素の画素値に混合比αを乗じた値は、フレーム#nの対応する画素の画素値の背景の成分に等しい。
【0472】
演算器643は、フレームメモリ621から供給されたフレーム#nの画素の画素値から、スイッチ642から供給された背景の成分を減じて、前景の成分を求める。演算器643は、アンカバードバックグラウンド領域に属する、フレーム#nの画素の前景の成分を合成部633に供給する。
【0473】
カバード領域処理部632の乗算器651は、混合比αを、フレームメモリ621から供給されたフレーム#n-1の画素の画素値に乗じて、スイッチ652に出力する。スイッチ652は、フレームメモリ621から供給されたフレーム#nの画素(フレーム#n-1の画素に対応する)がカバードバックグラウンド領域であるとき、閉じられ、乗算器651から供給された混合比αを乗じた画素値を演算器653および合成部634に供給する。スイッチ652から出力されるフレーム#n-1の画素の画素値に混合比αを乗じた値は、フレーム#nの対応する画素の画素値の背景の成分に等しい。
【0474】
演算器653は、フレームメモリ621から供給されたフレーム#nの画素の画素値から、スイッチ652から供給された背景の成分を減じて、前景の成分を求める。演算器653は、カバードバックグラウンド領域に属する、フレーム#nの画素の前景の成分を合成部633に供給する。
【0475】
合成部633は、フレーム#nの、演算器643から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の前景の成分、および演算器653から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素の前景の成分を合成して、フレームメモリ623に供給する。
【0476】
合成部634は、フレーム#nの、スイッチ642から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の背景の成分、およびスイッチ652から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素の背景の成分を合成して、フレームメモリ623に供給する。
【0477】
フレームメモリ623は、分離処理ブロック622から供給された、フレーム#nの混合領域の画素の前景の成分と、背景の成分とをそれぞれに記憶する。
【0478】
フレームメモリ623は、記憶しているフレーム#nの混合領域の画素の前景の成分、および記憶しているフレーム#nの混合領域の画素の背景の成分を出力する。
【0479】
特徴量である混合比αを利用することにより、画素値に含まれる前景の成分と背景の成分とを完全に分離することが可能になる。
【0480】
合成部603は、分離部601から出力された、フレーム#nの混合領域の画素の前景の成分と、前景領域に属する画素とを合成して前景成分画像を生成する。
合成部605は、分離部601から出力された、フレーム#nの混合領域の画素の背景の成分と、背景領域に属する画素とを合成して背景成分画像を生成する。
【0481】
図77は、図73のフレーム#nに対応する、前景成分画像の例と、背景成分画像の例を示す図である。
【0482】
図77(A)は、図73のフレーム#nに対応する、前景成分画像の例を示す。最も左の画素、および左から14番目の画素は、前景と背景が分離される前において、背景の成分のみから成っていたので、画素値が0とされる。
【0483】
左から2番目乃至4番目の画素は、前景と背景とが分離される前において、アンカバードバックグラウンド領域に属し、背景の成分が0とされ、前景の成分がそのまま残されている。左から11番目乃至13番目の画素は、前景と背景とが分離される前において、カバードバックグラウンド領域に属し、背景の成分が0とされ、前景の成分がそのまま残されている。左から5番目乃至10番目の画素は、前景の成分のみから成るので、そのまま残される。
【0484】
図77(B)は、図73のフレーム#nに対応する、背景成分画像の例を示す。最も左の画素、および左から14番目の画素は、前景と背景とが分離される前において、背景の成分のみから成っていたので、そのまま残される。
【0485】
左から2番目乃至4番目の画素は、前景と背景とが分離される前において、アンカバードバックグラウンド領域に属し、前景の成分が0とされ、背景の成分がそのまま残されている。左から11番目乃至13番目の画素は、前景と背景とが分離される前において、カバードバックグラウンド領域に属し、前景の成分が0とされ、背景の成分がそのまま残されている。左から5番目乃至10番目の画素は、前景と背景とが分離される前において、前景の成分のみから成っていたので、画素値が0とされる。
【0486】
次に、図78に示すフローチャートを参照して、前景背景分離部105による前景と背景との分離の処理を説明する。ステップS601において、分離部601のフレームメモリ621は、入力画像を取得し、前景と背景との分離の対象となるフレーム#nを、その前のフレーム#n-1およびその後のフレーム#n+1と共に記憶する。
【0487】
ステップS602において、分離部601の分離処理ブロック622は、混合比算出部104から供給された領域情報を取得する。ステップS603において、分離部601の分離処理ブロック622は、混合比算出部104から供給された混合比αを取得する。
【0488】
ステップS604において、アンカバード領域処理部631は、領域情報および混合比αを基に、フレームメモリ621から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値から、背景の成分を抽出する。
【0489】
ステップS605において、アンカバード領域処理部631は、領域情報および混合比αを基に、フレームメモリ621から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値から、前景の成分を抽出する。
【0490】
ステップS606において、カバード領域処理部632は、領域情報および混合比αを基に、フレームメモリ621から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値から、背景の成分を抽出する。
【0491】
ステップS607において、カバード領域処理部632は、領域情報および混合比αを基に、フレームメモリ621から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素の画素値から、前景の成分を抽出する。
【0492】
ステップS608において、合成部633は、ステップS605の処理で抽出されたアンカバードバックグラウンド領域に属する画素の前景の成分と、ステップS607の処理で抽出されたカバードバックグラウンド領域に属する画素の前景の成分とを合成する。合成された前景の成分は、合成部603に供給される。更に、合成部603は、スイッチ602を介して供給された前景領域に属する画素と、分離部601から供給された前景の成分とを合成して、前景成分画像を生成する。
【0493】
ステップS609において、合成部634は、ステップS604の処理で抽出されたアンカバードバックグラウンド領域に属する画素の背景の成分と、ステップS606の処理で抽出されたカバードバックグラウンド領域に属する画素の背景の成分とを合成する。合成された背景の成分は、合成部605に供給される。更に、合成部605は、スイッチ604を介して供給された背景領域に属する画素と、分離部601から供給された背景の成分とを合成して、背景成分画像を生成する。
【0494】
ステップS610において、合成部603は、前景成分画像を出力する。ステップS611において、合成部605は、背景成分画像を出力し、処理は終了する。
【0495】
このように、前景背景分離部105は、領域情報および混合比αを基に、入力画像から前景の成分と、背景の成分とを分離し、前景の成分のみから成る前景成分画像、および背景の成分のみから成る背景成分画像を出力することができる。
【0496】
次に、前景成分画像からの動きボケの除去について説明する。
【0497】
図79は、動きボケ除去部106の構成の一例を示すブロック図である。動き検出部102から供給された動きベクトルとその位置情報、および領域特定部103から供給された領域情報は、処理単位決定部801およびモデル化部802に供給される。前景背景分離部105から供給された前景成分画像は、足し込み部804に供給される。
【0498】
処理単位決定部801は、動きベクトルとその位置情報、および領域情報を基に、動きベクトルと共に、生成した処理単位をモデル化部802に供給する。処理単位決定部801は、生成した処理単位を足し込み部804に供給する。
【0499】
処理単位決定部801が生成する処理単位は、図80に例を示すように、前景成分画像のカバードバックグラウンド領域に対応する画素から始まり、アンカバードバックグラウンド領域に対応する画素までの動き方向に並ぶ連続する画素、またはアンカバードバックグラウンド領域に対応する画素から始まり、カバードバックグラウンド領域に対応する画素までの動き方向に並ぶ連続する画素を示す。処理単位は、例えば、左上点(処理単位で指定される画素であって、画像上で最も左または最も上に位置する画素の位置)および右下点の2つのデータから成る。
【0500】
モデル化部802は、動きベクトルおよび入力された処理単位を基に、モデル化を実行する。より具体的には、例えば、モデル化部802は、処理単位に含まれる画素の数、画素値の時間方向の仮想分割数、および画素毎の前景の成分の数に対応する複数のモデルを予め記憶しておき、処理単位、および画素値の時間方向の仮想分割数を基に、図81に示すような、画素値と前景の成分との対応を指定するモデルを選択するようにしても良い。
【0501】
例えば、処理単位に対応する画素の数が12でありシャッタ時間内の動き量vが5であるときにおいては、モデル化部802は、仮想分割数を5とし、最も左に位置する画素が1つの前景の成分を含み、左から2番目の画素が2つの前景の成分を含み、左から3番目の画素が3つの前景の成分を含み、左から4番目の画素が4つの前景の成分を含み、左から5番目の画素が5つの前景の成分を含み、左から6番目の画素が5つの前景の成分を含み、左から7番目の画素が5つの前景の成分を含み、左から8番目の画素が5つの前景の成分を含み、左から9番目の画素が4つの前景の成分を含み、左から10番目の画素が3つの前景の成分を含み、左から11番目の画素が2つの前景の成分を含み、左から12番目の画素が1つの前景の成分を含み、全体として8つの前景の成分から成るモデルを選択する。
【0502】
なお、モデル化部802は、予め記憶してあるモデルから選択するのではなく、動きベクトル、および処理単位が供給されたとき、動きベクトル、および処理単位を基に、モデルを生成するようにしてもよい。
【0503】
モデル化部802は、選択したモデルを方程式生成部803に供給する。
【0504】
方程式生成部803は、モデル化部802から供給されたモデルを基に、方程式を生成する。図81に示す前景成分画像のモデルを参照して、前景の成分の数が8であり、処理単位に対応する画素の数が12であり、動き量vが5であり、仮想分割数が5であるときの、方程式生成部803が生成する方程式について説明する。
【0505】
前景成分画像に含まれるシャッタ時間/vに対応する前景成分がF01/v乃至F08/vであるとき、F01/v乃至F08/vと画素値C01乃至C12との関係は、式(78)乃至式(89)で表される。
【0506】
【0507】
方程式生成部803は、生成した方程式を変形して方程式を生成する。方程式生成部803が生成する方程式を、式(90)乃至式(101)に示す。
【0508】
式(90)乃至式(101)は、式(102)として表すこともできる。
【0509】
【数17】
式(102)において、jは、画素の位置を示す。この例において、jは、1乃至12のいずれか1つの値を有する。また、iは、前景値の位置を示す。この例において、iは、1乃至8のいずれか1つの値を有する。aijは、iおよびjの値に対応して、0または1の値を有する。
【0510】
誤差を考慮して表現すると、式(102)は、式(103)のように表すことができる。
【0511】
【数18】
式(103)において、ejは、注目画素Cjに含まれる誤差である。
【0512】
式(103)は、式(104)に書き換えることができる。
【0513】
【数19】
【0514】
ここで、最小自乗法を適用するため、誤差の自乗和Eを式(105)に示すように定義する。
【0515】
【数20】
【0516】
誤差が最小になるためには、誤差の自乗和Eに対する、変数Fkによる偏微分の値が0になればよい。式(106)を満たすようにFkを求める。
【0517】
【数21】
【0518】
式(106)において、動き量vは固定値であるから、式(107)を導くことができる。
【0519】
【数22】
【0520】
式(107)を展開して、移項すると、式(108)を得る。
【0521】
【数23】
【0522】
式(108)のkに1乃至8の整数のいずれか1つを代入して得られる8つの式に展開する。得られた8つの式を、行列により1つの式により表すことができる。この式を正規方程式と呼ぶ。
【0523】
このような最小自乗法に基づく、方程式生成部803が生成する正規方程式の例を式(109)に示す。
【0524】
【数24】
【0525】
式(109)をA・F=v・Cと表すと、C,A,vが既知であり、Fは未知である。また、A,vは、モデル化の時点で既知だが、Cは、足し込み動作において画素値を入力することで既知となる。
【0526】
最小自乗法に基づく正規方程式により前景成分を算出することにより、画素Cに含まれている誤差を分散させることができる。
【0527】
方程式生成部803は、このように生成された正規方程式を足し込み部804に供給する。
【0528】
足し込み部804は、処理単位決定部801から供給された処理単位を基に、前景成分画像に含まれる画素値Cを、方程式生成部803から供給された行列の式に設定する。足し込み部804は、画素値Cを設定した行列を演算部805に供給する。
【0529】
演算部805は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などの解法に基づく処理により、動きボケが除去された前景成分Fi/vを算出して、動きボケが除去された前景の画素値である、0乃至8の整数のいずれかのiに対応するFiを算出して、図82に例を示す、動きボケが除去された画素値であるFiから成る、動きボケが除去された前景成分画像を出力する。
【0530】
なお、図82に示す動きボケが除去された前景成分画像において、C03乃至C10のそれぞれにF01乃至F08のそれぞれが設定されているのは、画面に対する前景成分画像の位置を変化させないためであり、任意の位置に対応させることができる。
【0531】
また、例えば、図83に示すように、処理単位に対応する画素の数が8であり、動き量vが4であるとき、動きボケ除去部106は、式(110)に示す行列の式を生成する。
【0532】
【数25】
【0533】
動きボケ除去部106は、このように処理単位の長さに対応した数の式を立てて、動きボケの量が調整された画素値であるFiを算出する。同様に、例えば、処理単位に含まれる画素の数が100あるとき、100個の画素に対応する式を生成して、Fiを算出する。
【0534】
以上のように、動きボケ除去部106は、動き量vおよび処理単位に対応して、式を生成し、生成した式に前景成分画像の画素値を設定して、動きボケが除去された前景成分画像を算出する。
【0535】
次に、図84のフローチャートを参照して、動きボケ除去部106による前景成分画像に含まれる動きボケの除去の処理を説明する。
【0536】
ステップS801において、動きボケ除去部106の処理単位決定部801は、動きベクトルおよび領域情報を基に、処理単位を生成し、生成した処理単位をモデル化部802に供給する。
【0537】
ステップS802において、動きボケ除去部106のモデル化部802は、動き量vおよび処理単位に対応して、モデルの選択や生成を行う。ステップS803において、方程式生成部803は、選択されたモデルを基に、正規方程式を作成する。
【0538】
ステップS804において、足し込み部804は、作成された正規方程式に前景成分画像の画素値を設定する。ステップS805において、足し込み部804は、処理単位に対応する全ての画素の画素値の設定を行ったか否かを判定し、処理単位に対応する全ての画素の画素値の設定を行っていないと判定された場合、ステップS804に戻り、正規方程式への画素値の設定の処理を繰り返す。
【0539】
ステップS805において、処理単位の全ての画素の画素値の設定を行ったと判定された場合、ステップS806に進み、演算部805は、足し込み部804から供給された画素値が設定された正規方程式を基に、動きボケを除去した前景の画素値を算出して、処理は終了する。
【0540】
このように、動きボケ除去部106は、動きベクトルおよび領域情報を基に、動きボケを含む前景画像から動きボケを除去することができる。
【0541】
すなわち、サンプルデータである画素値に含まれる動きボケを除去することができる。
【0542】
次に、図2の補正部107が実行する、背景成分画像の補正について説明する。
【0543】
図85は、図81に例を示す前景成分画像のモデルに対応する、背景成分画像のモデルの例を示す図である。
【0544】
図85に示すように、前景の成分が除去されているので、元の入力画像の混合領域に対応する、背景成分画像の画素の画素値は、元の入力画像の背景領域に対応する画素に比較して、混合比αに対応して、少ない数の背景の成分により構成されている。
【0545】
例えば、図85に例を示す背景成分画像において、画素値C01は、4つの背景の成分B02/Vで構成され、画素値C02は、3つの背景の成分B03/Vで構成され、画素値C03は、2つの背景の成分B04/Vで構成され、画素値C04は、1つの背景の成分B05/Vで構成される。
【0546】
また、図85に例を示す背景成分画像において、画素値C09は、1つの背景の成分B10/Vで構成され、画素値C10は、2つの背景の成分B11/Vで構成され、画素値C11は、3つの背景の成分B12/Vで構成され、画素値C12は、4つの背景の成分B13/Vで構成される。
【0547】
このように、元の入力画像の混合領域に対応する、画素の画素値が、元の入力画像の背景領域に対応する画素に比較して、少ない数の背景の成分により構成されているので、前景成分画像の混合領域に対応する画像は、背景領域の画像に比較して、例えば、暗い画像となる。
【0548】
補正部107は、このような、背景成分画像の混合領域に対応する画素の画素値のそれぞれに、混合比αに対応する定数を乗じて、背景成分画像の混合領域に対応する画素の画素値を補正する。
【0549】
例えば、図85に示す背景成分画像が入力されたとき、補正部107は、画素値C01に5/4を乗算し、画素値C02に5/3を乗算し、画素値C11に5/3を乗算し、画素値C12に5/4を乗算する。図82に例を示す、動きボケが除去された前景成分画像との画素の位置を整合させるために、補正部107は、画素値C03乃至C11の画素値を0とする。
【0550】
補正部107は、例えば、図85に示す背景成分画像が入力されたとき、図86に示す背景成分画像を出力する。
【0551】
このように、補正部107は、背景成分画像の混合領域に対応する画素の画素値を補正すると共に、背景成分画像について、動きボケが除去された前景成分画像との画素の位置を整合させる。
【0552】
図87は、背景成分画像、または前景成分画像毎に、異なる効果のエッジ強調処理を適用する動きボケ除去画像処理部108の構成を示すブロック図である。
【0553】
背景成分画像フレームメモリ1201は、補正部107から供給された、補正された背景成分画像を記憶する。背景成分画像フレームメモリ1201は、記憶している背景成分画像をエッジ強調部1203−1に供給する。
【0554】
前景成分画像フレームメモリ1202は、動きボケ除去部106から供給された、動きボケが除去された前景成分画像を記憶する。前景成分画像フレームメモリ1202は、記憶している前景成分画像をエッジ強調部1203−2に供給する。
【0555】
エッジ強調部1203−1は、背景成分画像フレームメモリ1201に記憶されている背景成分画像に、背景成分画像に適したエッジ強調の処理を適用する。
【0556】
例えば、エッジ強調部1203−1は、静止している画像である背景成分画像に、前景成分画像に比較して、エッジをより強調するエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、ノイズが含まれている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を発生させることなく、背景成分画像の解像度感をより増加させることができる。
【0557】
エッジ強調部1203−1は、エッジを強調した背景成分画像を、補正部1204に供給する。
【0558】
動きボケ付加部1205が付加する動きボケに対応して、補正部1204は、背景成分画像の混合領域の画素の画素値を0に設定するか、または付加される動きボケに対応する所定の値で、混合領域の画素の画素値を除算する。補正部1204は、このように補正された画像を合成部1206に供給する。
【0559】
エッジ強調部1203−2は、前景成分画像フレームメモリ1202に記憶されている前景成分画像に、前景成分画像に適したエッジ強調の処理を適用する。
【0560】
例えば、エッジ強調部1203−2は、前景成分画像に、背景成分画像に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、動きボケが除去された前景成分画像にノイズが含まれていても、前景成分画像において、解像度感を向上させつつ、不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0561】
エッジ強調部1203−2は、エッジ強調した前景成分画像を動きボケ付加部1205に供給する。
【0562】
以下、エッジ強調部1203−1およびエッジ強調部1203−2を個々に区別する必要がないとき、単にエッジ強調部1203と称する。
【0563】
図88は、エッジ強調部1203の構成を示すブロック図である。前景成分画像および背景成分画像のいずれか一方の入力画像は、ハイパスフィルタ1221および加算部1223に入力される。
【0564】
ハイパスフィルタ1221は、入力されたフィルタ係数を基に、入力画像から、画素位置に対して画素値が急激に変化している、いわゆる画像の周波数の高い成分を抽出し、画素位置に対して画素値の変化が少ない、いわゆる画像の周波数の低い成分を除去して、エッジ画像を生成する。
【0565】
例えば、ハイパスフィルタ1221は、図89(A)に示す画像が入力されたとき、図89(B)に示すエッジ画像を生成する。
【0566】
入力されるフィルタ係数が変化したとき、ハイパスフィルタ1221は、抽出する画像の周波数、除去する画像の周波数、および抽出する画像のゲインを変化させる。
【0567】
図90乃至図93を参照して、フィルタ係数とエッジ画像との関係を説明する。
【0568】
図90は、フィルタ係数の第1の例を示す図である。図90において、Eは、10の階乗を示す。例えば、E-04は、10-4を示し、E-02は、10-2を示す。
【0569】
例えば、ハイパスフィルタ1221は、入力画像の、注目している画素である注目画素の画素値、注目画素を基準として、空間方向Yの所定の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値、および注目画素を基準として、空間方向Yの他の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値のそれぞれに、図90に示すフィルタ係数のうち、対応する係数を乗算する。ハイパスフィルタ1221は、それぞれの画素の画素値に対応する係数を乗算して得られた結果の総和を算出して、算出された総和を注目画素の画素値に設定する。
【0570】
例えば、図90に示すフィルタ係数を使用するとき、ハイパスフィルタ1221は、注目画素の画素値に1.2169396を乗算し、注目画素から画面の上方向に1画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.52530356を乗算し、注目画素から画面の上方向に2画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.22739914を乗算する。
【0571】
図90に示すフィルタ係数を使用するとき、ハイパスフィルタ1221は、同様に、注目画素から画面の上方向に3画素乃至13画素の距離だけ離れている画素に対応する係数を乗算し、注目画素から画面の上方向に14画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.00022540586を乗算し、注目画素から画面の上方向に15画素の距離だけ離れている画素の画素値に-0.00039273163を乗算する。
【0572】
図90に示すフィルタ係数を使用するとき、ハイパスフィルタ1221は、注目画素から画面の下方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素に同様に対応する係数を乗算する。
【0573】
ハイパスフィルタ1221は、注目画素の画素値、注目画素から画面の上方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値、および注目画素から画面の下方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値のそれぞれに、対応する係数を乗算して得られた結果の総和を算出する。ハイパスフィルタ1221は、算出された総和を注目画素の画素値に設定する。
【0574】
ハイパスフィルタ1221は、注目画素の位置を空間方向Xに順次移動させて、上述した処理を繰り返し、画面全体の画素について、画素値を算出する。
【0575】
次に、ハイパスフィルタ1221は、上述のように係数を基に画素値が算出された画像の、注目している画素である注目画素の画素値、注目画素を基準として、空間方向Xの所定の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値、および注目画素を基準として、空間方向Xの他の方向に1画素乃至15画素の距離だけ離れている画素の画素値のそれぞれに、図90に示すフィルタ係数のうち、対応する係数を乗算する。ハイパスフィルタ1221は、それぞれの画素の画素値に対応する係数を乗算して得られた結果の総和を算出して、算出された総和を注目画素の画素値に設定する。
【0576】
ハイパスフィルタ1221は、注目画素の位置を空間方向Yに順次移動させて、上述した処理を繰り返し、画面全体の画素について、画素値を算出する。
【0577】
すなわち、この例において、ハイパスフィルタ1221は、図90に示す係数を使用する、いわゆる1次元フィルタである。
【0578】
図91は、図90の係数を使用するときのハイパスフィルタ1221の動作を示す図である。図91に示すように、図90の係数を使用するとき、ハイパスフィルタ1221における、抽出される画像成分の最大のゲインは、1である。
【0579】
図92は、フィルタ係数の第2の例を示す図である。
【0580】
図93は、図90に示すフィルタ係数を使用した処理と同様の処理を、図92の係数を使用して実行したときのハイパスフィルタ1221の動作を示す図である。図93に示すように、図92の係数を使用するとき、ハイパスフィルタ1221における、抽出される画像成分の最大のゲインは、1.5である。
【0581】
このように、ハイパスフィルタ1221は、供給されるフィルタ係数により、抽出する画像成分のゲインを変化させる。
【0582】
ここでは例示しないが、同様に、異なるフィルタ係数が供給されたとき、ハイパスフィルタ1221は、抽出する画像の周波数、および除去する画像の周波数を変化させることができる。
【0583】
図88に戻り、ハイパスフィルタ1221は、生成したエッジ画像をゲイン調整部1222に供給する。
【0584】
ゲイン調整部1222は、入力されたゲイン調整係数を基に、ハイパスフィルタ1221から供給されたエッジ画像を増幅するか、または減衰する。入力されるゲイン調整係数が変化したとき、ゲイン調整部1222は、エッジ画像の増幅率(減衰率)を変化させる。例えば、ゲイン調整部1222は、1以上の増幅率を指定するゲイン調整係数が入力されたとき、エッジ画像を増幅し、1未満の増幅率を指定するゲイン調整係数が入力されたとき、エッジ画像を減衰する。
【0585】
ゲイン調整部1222は、ゲインが調整されたエッジ画像を加算部1223に供給する。
【0586】
加算部1223は、分割された入力画像と、ゲイン調整部1222から供給された、ゲインが調整されたエッジ画像とを加算して、加算された画像を出力する。
【0587】
例えば、加算部1223は、図89(A)に示す入力画像が入力され、図89(B)に示すエッジ画像がハイパスフィルタ1221から供給されたとき、図89(A)の入力画像と図89(B)のエッジ画像とを加算して、図89(C)に示す画像を出力する。
【0588】
このように、エッジ強調部1203は、入力された画像にエッジ強調の処理を適用する。
【0589】
例えば、図88に構成を示すエッジ強調部1203−1は、図92に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いのより強いエッジ強調処理を、背景成分画像に適用する。図88に構成を示すエッジ強調部1203−2は、図90に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いの比較的弱いエッジ強調処理を、前景成分画像に適用する。
【0590】
図94は、エッジ強調部1203の他の構成を示すブロック図である。図94に示す例において、エッジ強調部1203は、フィルタ1241から構成されている。
【0591】
フィルタ1241は、入力されたフィルタ係数を基に、入力画像の、画素位置に対して画素値が急激に変化している、いわゆる画像の周波数の高い成分を増幅して、エッジ強調画像を生成する。
【0592】
例えば、フィルタ1241は、図95に例を示す係数が供給されたとき、図95に例を示す係数を基に、ハイパスフィルタ1221で説明した処理と同様の処理を実行する。
【0593】
図96は、図95の係数を使用するときのフィルタ1241の動作を示す図である。図96に示すように、図95の係数を使用するとき、フィルタ1241は、画像の周波数の高い成分を2倍に増幅し、画像の周波数の低い成分をそのまま通過させて、エッジ強調画像を生成する。
【0594】
図95の係数を使用するときのフィルタ1241は、図90の係数を利用し、ゲイン調整部1222のゲインが1であるときの、図88に構成を示すエッジ強調部1203の出力画像と同一の出力画像を出力する。
【0595】
図97は、フィルタ1241に供給されるフィルタ係数の第2の例を示す図である。
【0596】
図98は、図97の係数を使用するときのフィルタ1241の動作を示す図である。図98に示すように、図97の係数を使用するとき、フィルタ1241は、画像の周波数の高い成分を2.5倍に増幅し、画像の周波数の低い成分をそのまま通過させて、エッジ強調画像を生成する。
【0597】
図97の係数を使用するときのフィルタ1241は、図92の係数を利用し、ゲイン調整部1222のゲインが1であるときの、図88に構成を示すエッジ強調部1203の出力画像と同一の出力画像を出力する。
【0598】
このように、図94に構成を示すエッジ強調部1203は、入力されるフィルタ係数により、画像の高周波成分のゲインを変化させて、画像のエッジの強調の度合いを変更することができる。
【0599】
例えば、図94に構成を示すエッジ強調部1203−1は、図97に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いのより強いエッジ強調処理を、背景成分画像に適用する。図94に構成を示すエッジ強調部1203−2は、図95に示す係数を使用して、エッジ強調の度合いの比較的弱いエッジ強調処理を、前景成分画像に適用する。
【0600】
以上のように、エッジ強調部1203−1およびエッジ強調部1203−2は、例えば、異なるフィルタ係数またはゲイン調整係数を基に、前景成分画像または背景成分画像の性質に対応したエッジ強調の処理を、前景成分画像または背景成分画像毎に適用する。
【0601】
図87に戻り、動きボケ付加部1205は、所望の動きボケ調整量v'、例えば、入力画像の動き量vの半分の値の動きボケ調整量v'や、動き量vと無関係の値の動きボケ調整量v'を与えることで、画像に動きボケを付加する。動きボケ付加部1205は、動きボケが除去された前景成分画像の画素値Fiを動きボケ調整量v'で除すことにより、前景の成分Fi/v'を算出して、前景の成分Fi/v'の和を算出して、動きボケが付加された画素値を生成する。
【0602】
例えば、図99に示すエッジ強調された画像が入力され、動きボケ調整量v'が3のとき、図100に示すように、画素値C02は、(F01)/v'とされ、画素値C03は、(F01+F02)/v'とされ、画素値C04は、(F01+F02+F03)/v'とされ、画素値C05は、(F02+F03+F04)/v'とされる。
【0603】
動きボケ付加部1205は、エッジ強調した前景成分画像に動きボケを付加し、動きボケを付加した前景成分画像を合成部1206に供給する。
【0604】
合成部1206は、補正部1204から供給された、エッジ強調され、補正された背景成分画像、および動きボケ付加部1205から供給された、エッジ強調され、動きボケが付加された前景成分画像を合成し、合成された画像をフレームメモリ1207に供給する。
【0605】
フレームメモリ1207は、合成部1206から供給された、合成された画像を記憶すると共に、記憶している画像を出力画像として出力する。
【0606】
このように、図87に構成を示す動きボケ除去画像処理部108は、背景成分画像、または前景成分画像毎に、それぞれの画像の性質に対応したエッジ強調処理を適用するので、画像を不自然に劣化させることなく、画像の解像度感を増すことができる。
【0607】
図101は、図87に構成を示す動きボケ除去画像処理部108の処理を説明する図である。
【0608】
入力画像の前景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および背景領域は、領域特定部103に特定される。領域が特定された入力画像は、前景背景分離部105により、背景成分画像、および前景成分画像に分離される。
【0609】
分離された前景成分画像は、動きボケ除去部106により、動きボケが除去される。分離された背景成分画像は、補正部107により、混合領域に対応する画素の画素値が補正される。
【0610】
補正された背景成分画像、および動きボケが除去された前景成分画像は、図87に構成を示す動きボケ除去画像処理部108により、それぞれの画像の性質に対応して、それぞれの画像毎にエッジ強調される。
【0611】
エッジ強調された背景成分画像は、前景成分画像の動きボケの付加に対応して、補正される。エッジ強調された前景成分画像は、所望の動きボケが付加される。
【0612】
エッジ強調され、補正された背景成分画像、およびエッジ強調され、動きボケが付加された前景成分画像は、合成される。
【0613】
次に、図102のフローチャートを参照して、図25のステップS106に対応する、動きボケ除去画像処理部108のエッジ強調の処理を説明する。
【0614】
ステップS1201において、エッジ強調部1203−1は、背景成分画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、背景成分画像フレームメモリ1201に記憶されている背景成分画像をエッジ強調する。
【0615】
ステップS1202において、エッジ強調部1203−2は、前景成分画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、前景成分画像フレームメモリ1202に記憶されている前景成分画像をエッジ強調する。
【0616】
ステップS1203において、補正部1204は、前景成分画像の動きボケの付加に対応して、背景成分画像の画素値を補正する。
【0617】
ステップS1204において、動きボケ付加部1205は、前景成分画像に所望の動きボケを付加する。
【0618】
ステップS1205において、合成部1206は、エッジ強調され、補正された背景成分画像、およびエッジ強調され、動きボケが付加された前景成分画像を合成する。合成部1206は、合成された画像をフレームメモリ1207に供給する。フレームメモリ1207は、合成部1206から供給された画像を記憶する。
【0619】
ステップS1206において、フレームメモリ1207は、記憶している、合成された画像を出力し、処理は終了する。
【0620】
このように、図87に構成を示す動きボケ除去画像処理部108は、背景成分画像、および前景成分画像毎に、それぞれの性質に対応してエッジ強調の処理を実行することができるので、画像に不自然な歪みを生じさせることなく、解像度感を向上させることができる。
【0621】
なお、ステップS1201およびステップS1202の処理を、シリアルに実行しても、パラレルに実行しても良いことは勿論である。
【0622】
図103は、入力画像を分離して、分離された画像毎に処理する画像処理装置の機能の他の構成を示すブロック図である。図2に示す画像処理装置が領域特定と混合比αの算出を順番に行うのに対して、図103に示す画像処理装置は、領域特定と混合比αの算出を並行して行う。
【0623】
図2のブロック図に示す機能と同様の部分には同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0624】
入力画像は、オブジェクト抽出部101、領域特定部103、混合比算出部1501、および前景背景分離部1502に供給される。
【0625】
混合比算出部1501は、入力画像を基に、画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比を、入力画像に含まれる画素のそれぞれに対して算出し、算出した画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比を前景背景分離部1502に供給する。
【0626】
図104は、混合比算出部1501の構成の一例を示すブロック図である。
【0627】
図104に示す推定混合比処理部401は、図53に示す推定混合比処理部401と同じである。図104に示す推定混合比処理部402は、図53に示す推定混合比処理部402と同じである。
【0628】
推定混合比処理部401は、入力画像を基に、カバードバックグラウンド領域のモデルに対応する演算により、画素毎に推定混合比を算出して、算出した推定混合比を出力する。
【0629】
推定混合比処理部402は、入力画像を基に、アンカバードバックグラウンド領域のモデルに対応する演算により、画素毎に推定混合比を算出して、算出した推定混合比を出力する。
【0630】
前景背景分離部1502は、混合比算出部1501から供給された、画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、並びに領域特定部103から供給された領域情報を基に、入力画像を、背景成分画像、および前景成分画像に分離し、分離された画像を動きボケ除去画像処理部108に供給し、背景成分画像を補正部107に供給する。
【0631】
図105は、前景背景分離部1502の構成の一例を示すブロック図である。
【0632】
図71に示す動きボケ除去部106と同様の部分には同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0633】
選択部1521は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、混合比算出部1501から供給された、画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比のいずれか一方を選択して、選択した推定混合比を混合比αとして分離部601に供給する。
【0634】
分離部601は、選択部1521から供給された混合比αおよび領域情報を基に、混合領域に属する画素の画素値から前景の成分および背景の成分を抽出し、アンカバードバックグラウンド領域の背景の成分、アンカバードバックグラウンド領域の前景の成分、カバードバックグラウンド領域の背景の成分、およびカバードバックグラウンド領域の前景の成分に分離する。
【0635】
分離部601は、図76に示す構成と同じ構成とすることができる。
【0636】
このように、図103に構成を示す画像処理装置は、背景成分画像、および前景成分画像毎に、それぞれの性質に対応して処理を実行することができる。
【0637】
以上のように、本発明の画像処理装置においては、背景成分画像および前景成分画像に入力画像が分離され、分離された画像に適した処理が実行されるので、例えば、不自然な画像を生成することなく、より解像度の高い画像が生成される。
【0638】
なお、背景のオブジェクトが動いているとき、画像処理装置は、背景成分画像に含まれる動きボケを除去し、動きボケが除去された背景成分画像にエッジ強調の処理を実行するようにしてもよい。
【0639】
図106は、画像処理装置の機能の他の構成を示すブロック図である。
【0640】
図2に示す場合と同様の部分には同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0641】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。
【0642】
動き検出部102は、例えば、ブロックマッチング法、勾配法、位相相関法、およびペルリカーシブ法などの手法により、粗く抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの動きベクトルを算出して、算出した動きベクトルおよび動きベクトルの位置情報を領域特定部103に供給する。
【0643】
領域特定部103は、入力された画像の画素のそれぞれを、前景領域、背景領域、またはアンカバードバックグラウンド領域、若しくはカバードバックグラウンド領域からなる混合領域のいずれかに特定し、領域情報を混合比算出部104、および前景背景分離部2001に供給する。
【0644】
混合比算出部104は、入力画像、および領域特定部103から供給された領域情報を基に、混合領域に含まれる画素に対応する混合比αを算出して、算出した混合比を前景背景分離部2001に供給する。
【0645】
前景背景分離部2001は、領域特定部103から供給された領域情報、および混合比算出部104から供給された混合比αを基に、前景のオブジェクトに対応する画像の成分と、背景の成分のみから成る背景成分画像とを分離して、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景の成分のみからなる画像(以下、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像と称する)、アンカバードバックグラウンド領域の前景の成分のみからなる画像(以下、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像と称する)、カバードバックグラウンド領域の背景の成分のみからなる画像(以下、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像と称する)、カバードバックグラウンド領域の前景の成分のみからなる画像(以下、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像と称する)、および前景領域の画像を分離画像処理部2002に供給する。
【0646】
分離画像処理部2002は、前景背景分離部2001から供給された、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および前景領域の画像毎に、エッジ強調の処理を適用する。
【0647】
図107は、前景背景分離部2001の構成の一例を示すブロック図である。
前景背景分離部2001に供給された入力画像は、分離部2101、スイッチ2102、およびスイッチ2103に供給される。カバードバックグラウンド領域を示す情報、およびアンカバードバックグラウンド領域を示す、領域特定部103から供給された領域情報は、分離部2101に供給される。前景領域を示す領域情報は、スイッチ2102に供給される。背景領域を示す領域情報は、スイッチ2103に供給される。
【0648】
混合比算出部104から供給された混合比αは、分離部2101に供給される。
【0649】
分離部2101は、カバードバックグラウンド領域を示す領域情報、および混合比αを基に、入力画像のカバードバックグラウンド領域から前景の成分を分離するとともに、背景の成分を分離して、分離された前景の成分より構成されるカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および分離された背景の成分より構成されるカバードバックグラウンド領域の背景成分画像を出力する。
【0650】
分離部2101は、アンカバードバックグラウンド領域を示す領域情報、および混合比αを基に、入力画像のアンカバードバックグラウンド領域から前景の成分を分離するとともに、背景の成分を分離して、分離された前景の成分より構成されるアンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および分離された背景の成分より構成されるアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像を出力する。
【0651】
スイッチ2102は、前景領域を示す領域情報を基に、前景領域に対応する画素が入力されたとき、閉じられ、前景領域の画像を出力する。
【0652】
スイッチ2103は、背景領域を示す領域情報を基に、背景領域に対応する画素が入力されたとき、閉じられ、背景領域の画像を出力する。
【0653】
図108は、分離部2101の構成の一例を示すブロック図である。分離部2101に入力された画像は、フレームメモリ2121に供給され、混合比算出部104から供給されたカバードバックグラウンド領域およびアンカバードバックグラウンド領域を示す領域情報、並びに混合比αは、分離処理ブロック2122に入力される。
【0654】
フレームメモリ2121は、入力された画像をフレーム単位で記憶する。フレームメモリ2121は、処理の対象がフレーム#nであるとき、フレーム#nの1つ前のフレームであるフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#nの1つ後のフレームであるフレーム#n+1を記憶する。
【0655】
フレームメモリ2121は、フレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の対応する画素を分離処理ブロック2122に供給する。
【0656】
分離処理ブロック2122は、カバードバックグラウンド領域およびアンカバードバックグラウンド領域を示す領域情報、並びに混合比αを基に、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#n-1、フレーム#n、およびフレーム#n+1の対応する画素の画素値に図74および図75を参照して説明した演算を適用して、フレーム#nの混合領域に属する画素から前景の成分および背景の成分を分離する。
【0657】
分離処理ブロック2122は、アンカバード領域処理部2131、およびカバード領域処理部2132で構成されている。
【0658】
アンカバード領域処理部2131の乗算器2141は、混合比αを、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#n+1の画素の画素値に乗じて、スイッチ2142に出力する。スイッチ2142は、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#nの画素(フレーム#n+1の画素に対応する)がアンカバードバックグラウンド領域であるとき、閉じられ、乗算器2141から供給された混合比αを乗じた画素値を演算器2143に供給する。スイッチ2142から出力されるフレーム#n+1の画素の画素値に混合比αを乗じた値は、フレーム#nの対応する画素の画素値の背景の成分に等しく、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像として出力される。
【0659】
演算器2143は、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#nの画素の画素値から、スイッチ2142から供給された背景の成分を減じて、前景の成分を求める。演算器2143は、アンカバードバックグラウンド領域に属する、フレーム#nの画素の前景成分画像を出力する。
【0660】
カバード領域処理部2132の乗算器2151は、混合比αを、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#n-1の画素の画素値に乗じて、スイッチ2152に出力する。スイッチ2152は、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#nの画素(フレーム#n-1の画素に対応する)がカバードバックグラウンド領域であるとき、閉じられ、乗算器2151から供給された混合比αを乗じた画素値を演算器2153に供給する。スイッチ2152から出力されるフレーム#n-1の画素の画素値に混合比αを乗じた値は、フレーム#nの対応する画素の画素値の背景の成分に等しく、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像として出力される。
【0661】
演算器2153は、フレームメモリ2121から供給されたフレーム#nの画素の画素値から、スイッチ2152から供給された背景の成分を減じて、前景の成分を求める。演算器2153は、カバードバックグラウンド領域に属する、フレーム#nの画素の前景成分画像を出力する。
【0662】
特徴量である混合比αを利用することにより、画素値に含まれる前景の成分と背景の成分とを完全に分離することが可能になる。
【0663】
図109は、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、または前景領域の画像毎に、異なる効果のエッジ強調処理を適用する分離画像処理部2002の構成を示すブロック図である。
【0664】
背景領域フレームメモリ2201は、前景背景分離部2001から供給された、背景領域に属する画素からなる背景領域の画像を記憶する。背景領域フレームメモリ2201は、記憶している背景領域の画像をエッジ強調部2207−1に供給する。
【0665】
アンカバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2202は、前景背景分離部2001から供給された、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2202は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像をエッジ強調部2207−2に供給する。
【0666】
アンカバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2203は、前景背景分離部2001から供給された、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2203は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像をエッジ強調部2207−3に供給する。
【0667】
カバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2204は、前景背景分離部2001から供給された、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2204は、記憶しているカバードバックグラウンド領域の背景成分画像をエッジ強調部2207−4に供給する。
【0668】
カバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2205は、前景背景分離部2001から供給された、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2205は、記憶しているカバードバックグラウンド領域の前景成分画像をエッジ強調部2207−5に供給する。
【0669】
前景領域フレームメモリ2206は、前景背景分離部2001から供給された、前景領域に属する画素からなる前景領域の画像を記憶する。前景領域フレームメモリ2206は、記憶している前景領域の画像をエッジ強調部2207−6に供給する。
【0670】
エッジ強調部2207−1は、背景領域フレームメモリ2201に記憶されている背景領域の画像に、背景領域の画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した背景領域の画像を合成部2208に供給する。
【0671】
例えば、エッジ強調部2207−1は、静止している画像である背景領域の画像に、前景領域に比較して、エッジをより強調するエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を発生させることなく、背景領域の画像の解像度感をより増加させることができる。
【0672】
エッジ強調部2207−2は、アンカバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2202に記憶されている画像に、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部2208に供給する。
【0673】
例えば、エッジ強調部2207−2は、静止している画像であるアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に、前景領域に比較して、エッジをより強調するエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を発生させることなく、背景領域の画像の解像度感をより増加させることができる。
【0674】
エッジ強調部2207−3は、アンカバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2203に記憶されている画像に、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部2208に供給する。
【0675】
例えば、エッジ強調部2207−3は、動いている前景成分からなるカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0676】
エッジ強調部2207−4は、カバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2204に記憶されている画像に、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部2208に供給する。
【0677】
例えば、エッジ強調部2207−4は、静止している画像であるカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に、前景領域に比較して、エッジをより強調するエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を発生させることなく、背景領域の画像の解像度感をより増加させることができる。
【0678】
エッジ強調部2207−5は、カバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2205に記憶されている画像に、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部2208に供給する。
【0679】
例えば、エッジ強調部2207−5は、動いている前景成分からなるカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0680】
エッジ強調部2207−6は、前景領域フレームメモリ2206に記憶されている前景領域の画像に、前景領域の画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した前景領域の画像を合成部2208に供給する。
【0681】
例えば、エッジ強調部2207−6は、動いている前景領域の画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、前景領域の画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0682】
合成部2208は、エッジ強調部2207−1から供給された、エッジ強調された背景領域の画像、エッジ強調部2207−2から供給された、エッジ強調されたアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、エッジ強調部2207−3から供給された、エッジ強調されたアンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、エッジ強調部2207−4から供給された、エッジ強調されたカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、エッジ強調部2207−5から供給された、エッジ強調されたカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびエッジ強調部2207−6から供給された、エッジ強調された前景領域の画像を合成し、合成された画像をフレームメモリ2209に供給する。
【0683】
フレームメモリ2209は、合成部2208から供給された、合成された画像を記憶すると共に、記憶している画像を出力画像として出力する。
【0684】
このように、図109に構成を示す分離画像処理部2002は、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、または前景領域の画像毎に、それぞれの画像の性質に対応したエッジ強調の処理を適用するので、画像を不自然に劣化させることなく、画像の解像度感を増すことができる。
【0685】
図110は、図106に構成を示す分離画像処理部2002の処理を説明する図である。入力画像は、領域特定部103により、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域が特定される。
【0686】
領域が特定され、混合比算出部104により混合比αが検出された入力画像は、前景背景分離部2001により、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に分離される。
【0687】
分離画像処理部2002は、分離された前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像毎に、エッジ強調の処理を適用する。
【0688】
それぞれにエッジ強調された、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像は、合成され、1つの画像とされる。
【0689】
図111は、図106に構成を示す画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【0690】
ステップS2001において、領域特定部103は、動き検出部102から供給された動きベクトルおよびその位置情報、並びに入力画像を基に、入力画像の前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定する。
【0691】
ステップS2002において、混合比算出部104は、領域特定部103から供給された領域情報および入力画像を基に、混合比αを算出する。
【0692】
ステップS2003において、前景背景分離部2001は、領域特定部103から供給された領域情報、および混合比算出部104から供給された混合比αを基に、入力画像を、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に分離する。
【0693】
ステップS2004において、分離画像処理部2002は、分離された、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像毎に、エッジ強調の処理を実行して、処理は終了する。分離画像処理部2002が実行する画像処理の詳細は、後述する。
【0694】
このように、本発明に係る画像処理装置は、入力画像を、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に分離し、分離された、前景領域の画像、背景領域の画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、およびアンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像毎にエッジ強調の処理を実行する。
【0695】
次に、図112のフローチャートを参照して、ステップS2004に対応する、分離画像処理部2002のエッジ強調の処理を説明する。
【0696】
ステップS2021において、エッジ強調部2207−1は、背景領域の画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、背景領域フレームメモリ2201に記憶されている背景領域の画像をエッジ強調する。
【0697】
ステップS2022において、エッジ強調部2207−2は、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、アンカバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2202に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像をエッジ強調する。
【0698】
ステップS2023において、エッジ強調部2207−3は、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、アンカバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2203に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像をエッジ強調する。
【0699】
ステップS2024において、エッジ強調部2207−4は、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、カバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ2204に記憶されている、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像をエッジ強調する。
【0700】
ステップS2025において、エッジ強調部2207−5は、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、カバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ2205に記憶されている、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像をエッジ強調する。
【0701】
ステップS2026において、エッジ強調部2207−6は、前景領域の画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、前景領域フレームメモリ2206に記憶されている前景領域の画像をエッジ強調する。
【0702】
ステップS2027において、合成部2208は、それぞれにエッジ強調された、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および前景領域の画像を合成する。合成部2208は、合成された画像をフレームメモリ2209に供給する。フレームメモリ2209は、合成部2208から供給された画像を記憶する。
【0703】
ステップS2028において、フレームメモリ2209は、記憶している、合成された画像を出力し、処理は終了する。
【0704】
このように、図109に構成を示す分離画像処理部2002は、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および前景領域の画像毎に、それぞれの性質に対応してエッジ強調の処理を実行することができるので、動いている画像に不自然な歪みを生じさせることなく、解像度感を向上させることができる。
【0705】
なお、ステップS2021乃至ステップS2026の処理を、シリアルに実行しても、パラレルに実行しても良いことは勿論である。
【0706】
図113は、入力画像を分離して、分離された画像毎に処理する画像処理装置の機能の他の構成を示すブロック図である。図106に示す画像処理装置が領域特定と混合比αの算出を順番に行うのに対して、図113に示す画像処理装置は、領域特定と混合比αの算出を並行して行う。
【0707】
図106のブロック図に示す機能と同様の部分には同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0708】
入力画像は、オブジェクト抽出部101、領域特定部103、混合比算出部1501、および前景背景分離部2501に供給される。
【0709】
混合比算出部1501は、入力画像を基に、画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比を、入力画像に含まれる画素のそれぞれに対して算出し、算出した画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比を前景背景分離部2501に供給する。
【0710】
前景背景分離部2501は、混合比算出部1501から供給された、画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、並びに領域特定部103から供給された領域情報を基に、入力画像を、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および前景領域の画像に分離し、分離された画像を分離画像処理部2002に供給する。
【0711】
図114は、前景背景分離部2501の構成の一例を示すブロック図である。
【0712】
図107に示す前景背景分離部2001と同様の部分には同一の番号を付してあり、その説明は省略する。
【0713】
選択部2521は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、混合比算出部1501から供給された、画素がカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比、および画素がアンカバードバックグラウンド領域に属すると仮定した場合における推定混合比のいずれか一方を選択して、選択した推定混合比を混合比αとして分離部2101に供給する。
【0714】
分離部2101は、選択部2521から供給された混合比αおよび領域情報を基に、混合領域に属する画素の画素値から前景の成分および背景の成分を抽出し、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、およびカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に分離する。
【0715】
分離部2101は、図108に示す構成と同じ構成とすることができる。
【0716】
このように、図113に構成を示す画像処理装置は、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像、アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像、カバードバックグラウンド領域の背景成分画像、カバードバックグラウンド領域の前景成分画像、および前景領域の画像毎に、それぞれの性質に対応してエッジ強調の処理を実行することができる。
【0717】
図115は、画像処理装置の機能のさらに他の構成を示すブロック図である。
【0718】
画像処理装置に供給された入力画像は、オブジェクト抽出部101、領域特定部103、および領域処理部3001に供給される。
【0719】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。オブジェクト抽出部101は、例えば、入力画像に含まれる前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの輪郭を検出することで、前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出する。
【0720】
オブジェクト抽出部101は、入力画像に含まれる背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出して、抽出した画像オブジェクトを動き検出部102に供給する。オブジェクト抽出部101は、例えば、入力画像と、抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトとの差から、背景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトを粗く抽出する。
【0721】
動き検出部102は、例えば、ブロックマッチング法、勾配法、位相相関法、およびペルリカーシブ法などの手法により、粗く抽出された前景のオブジェクトに対応する画像オブジェクトの動きベクトルを算出して、算出した動きベクトルおよび動きベクトルの位置情報を領域特定部103に供給する。
【0722】
領域特定部103は、入力された画像の画素のそれぞれを、前景領域、背景領域、または混合領域のいずれかに特定し、画素毎に前景領域、背景領域、または混合領域のいずれかに属するかを示す領域情報を領域処理部3001に供給する。
【0723】
領域処理部3001は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、前景領域、背景領域、または混合領域毎に、入力画像を分割し、分割された入力画像毎に、エッジ強調の処理を適用する。
【0724】
図116は、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域毎に、異なる効果のエッジ強調処理を適用する領域処理部3001の構成を示すブロック図である。
【0725】
フレームメモリ3021は、入力画像を、フレーム単位で記憶する。フレームメモリ3021は、記憶している入力画像を領域分割部3022に供給する。
【0726】
領域分割部3022は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域に入力画像を分割する。すなわち、領域分割部3022は、分割された入力画像である、背景領域に属する画素からなる背景画像を背景領域フレームメモリ3023に供給し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3024に供給し、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3025に供給し、前景領域に属する画素からなる前景画像を前景領域フレームメモリ3026に供給する。
【0727】
背景領域フレームメモリ3023は、領域分割部3022から供給された、背景領域に属する画素からなる背景画像を記憶する。背景領域フレームメモリ3023は、記憶している背景画像をエッジ強調部3027−1に供給する。
【0728】
アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3024は、領域分割部3022から供給された、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3024は、記憶しているアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をエッジ強調部3027−2に供給する。
【0729】
カバードバックグラウンド領域フレームメモリ3025は、領域分割部3022から供給された、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像を記憶する。カバードバックグラウンド領域フレームメモリ3025は、記憶しているカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をエッジ強調部3027−3に供給する。
【0730】
前景領域フレームメモリ3026は、領域分割部3022から供給された、前景領域に属する画素からなる前景画像を記憶する。前景領域入力画像フレームメモリ506は、記憶している前景画像をエッジ強調部3027−4に供給する。
【0731】
エッジ強調部3027−1は、背景領域フレームメモリ3023に記憶されている背景画像に、背景画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した背景画像を合成部3028に供給する。
【0732】
例えば、エッジ強調部3027−1は、静止している画像である背景画像に、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域に比較して、エッジをより強調するエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を発生させることなく、背景画像の解像度感をより増加させることができる。
【0733】
エッジ強調部3027−2は、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3024に記憶されている画像に、アンカバードバックグラウンド領域の画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部3028に供給する。
【0734】
例えば、エッジ強調部3027−2は、動いている前景成分を含む画像であるアンカバードバックグラウンド領域の画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、アンカバードバックグラウンド領域の画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0735】
エッジ強調部3027−3は、カバードバックグラウンド領域フレームメモリ3025に記憶されている画像に、カバードバックグラウンド領域の画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した画像を合成部3028に供給する。
【0736】
例えば、エッジ強調部3027−3は、動いている前景成分を含む画像であるカバードバックグラウンド領域の画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、カバードバックグラウンド領域の画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0737】
エッジ強調部3027−4は、前景領域フレームメモリ3026に記憶されている前景画像に、前景画像に適したエッジ強調の処理を適用して、エッジ強調した前景画像を合成部3028に供給する。
【0738】
例えば、エッジ強調部3027−4は、動いている前景画像に、背景領域に比較して、エッジ強調の度合いの少ないエッジ強調の処理を実行する。このようにすることで、前景画像において、解像度感を向上させつつ、動いている画像にエッジ強調の処理を適用したときの不自然な画像の劣化を減少させることができる。
【0739】
合成部3028は、エッジ強調部3027−1から供給された、エッジ強調された背景画像、エッジ強調部3027−2から供給された、エッジ強調されたアンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、エッジ強調部3027−3から供給された、エッジ強調されたカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像、およびエッジ強調部3027−4から供給された、エッジ強調された前景画像を合成し、合成された画像をフレームメモリ3029に供給する。
【0740】
フレームメモリ3029は、合成部3028から供給された、合成された画像を記憶すると共に、記憶している画像を出力画像として出力する。
【0741】
このように、図116に構成を示す領域処理部3001は、背景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、または前景領域毎に、それぞれの画像の性質に対応したエッジ強調処理を適用するので、画像を不自然に劣化させることなく、画像の解像度感を増すことができる。
【0742】
図117は、図116に構成を示す領域処理部3001の処理を説明する図である。
【0743】
入力画像の前景領域、アンカバードバックグラウンド領域、カバードバックグラウンド領域、および背景領域は、領域特定部103に特定される。
【0744】
領域が特定された入力画像は、領域処理部3001により、領域毎に分割される。分割された、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景領域の画像は、図116に構成を示す領域処理部3001により、それぞれの画像の性質に対応して、それぞれの画像毎にエッジ強調される。
【0745】
それぞれにエッジ強調された、背景領域の画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景領域の画像は、合成される。
【0746】
図118は、図115に構成を示す画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【0747】
ステップS3001において、領域特定部103は、動き検出部102から供給された動きベクトルおよびその位置情報を基に、入力画像の前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を特定する。
【0748】
ステップS3002において、領域処理部3001は、入力画像を、特定された前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域に分割して、分割された、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域毎に、画像のエッジ強調の処理を実行して、処理は終了する。
【0749】
このように、本発明に係る画像処理装置は、入力画像を、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域に分割し、分割された、前景領域、背景領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域毎にエッジ強調の処理を実行する。
【0750】
次に、図119のフローチャートを参照して、ステップS3002に対応する、領域処理部3001のエッジ強調の処理を説明する。
【0751】
ステップS3021において、領域分割部3022は、領域特定部103から供給された領域情報を基に、背景領域、前景領域、カバードバックグラウンド領域、またはアンカバードバックグラウンド領域に入力画像を分割する。すなわち、領域分割部3022は、分割された入力画像である、背景領域に属する画素からなる背景画像を背景領域フレームメモリ3023に供給し、アンカバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をアンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3024に供給し、カバードバックグラウンド領域に属する画素からなる画像をカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3025に供給し、前景領域に属する画素からなる前景画像を前景領域フレームメモリ3026に供給する。
【0752】
ステップS3022において、エッジ強調部3027−1は、背景画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、背景領域フレームメモリ3023に記憶されている背景画像をエッジ強調する。
【0753】
ステップS3023において、エッジ強調部3027−2は、アンカバードバックグラウンド領域の画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ3024に記憶されている、アンカバードバックグラウンド領域の画像をエッジ強調する。
【0754】
ステップS3024において、エッジ強調部3027−3は、カバードバックグラウンド領域の画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、カバードバックグラウンド領域フレームメモリ3025に記憶されている、カバードバックグラウンド領域の画像をエッジ強調する。
【0755】
ステップS3025において、エッジ強調部3027−4は、前景画像の性質に対応したエッジ強調に処理により、前景領域フレームメモリ3026に記憶されている前景画像をエッジ強調する。
【0756】
ステップS3026において、合成部3028は、それぞれにエッジ強調された、背景画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景画像を合成する。合成部3028は、合成された画像をフレームメモリ3029に供給する。フレームメモリ3029は、合成部3028から供給された画像を記憶する。
【0757】
ステップS3027において、フレームメモリ3029は、記憶している、合成された画像を出力し、処理は終了する。
【0758】
このように、図116に構成を示す領域処理部3001は、背景画像、アンカバードバックグラウンド領域の画像、カバードバックグラウンド領域の画像、および前景画像毎に、それぞれの性質に対応してエッジ強調の処理を実行することができるので、動いている画像に不自然な歪みを生じさせることなく、解像度感を向上させることができる。
【0759】
なお、ステップS3022乃至ステップS3025の処理を、シリアルに実行しても、パラレルに実行しても良いことは勿論である。
【0760】
なお、前景となるオブジェクトの動きの方向は左から右として説明したが、その方向に限定されないことは勿論である。
【0761】
以上においては、3次元空間と時間軸情報を有する現実空間の画像をビデオカメラを用いて2次元空間と時間軸情報を有する時空間への射影を行った場合を例としたが、本発明は、この例に限らず、より多くの第1の次元の第1の情報を、より少ない第2の次元の第2の情報に射影した場合に適応することが可能である。
【0762】
なお、センサは、CCDに限らす、固体撮像素子である、例えば、BBD(Bucket Brigade Device)、CID(Charge Injection Device)、またはCPD(Charge Priming Device)などのセンサでもよく、また、検出素子がマトリックス状に配置されているセンサに限らず、検出素子が1列に並んでいるセンサでもよい。
【0763】
本発明の信号処理を行うプログラムを記録した記録媒体は、図1に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク91(フロッピ(登録商標)ディスクを含む)、光ディスク92(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク93(MD(Mini-Disc)(商標)を含む)、もしくは半導体メモリ94などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM72や、記憶部78に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0764】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0765】
【発明の効果】
本発明の画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムによれば、動きボケを含む入力画像データの画像を、不自然な画像とすることなく、解像度感を十分に上げることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置の機能の構成を示すブロック図である。
【図3】センサによる撮像を説明する図である。
【図4】画素の配置を説明する図である。
【図5】検出素子の動作を説明する図である。
【図6】動いている前景に対応するオブジェクトと、静止している背景に対応するオブジェクトとを撮像して得られる画像を説明する図である。
【図7】背景領域、前景領域、混合領域、カバードバックグラウンド領域、およびアンカバードバックグラウンド領域を説明する図である。
【図8】静止している前景に対応するオブジェクトおよび静止している背景に対応するオブジェクトを撮像した画像における、隣接して1列に並んでいる画素の画素値を時間方向に展開したモデル図である。
【図9】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図10】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図11】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図12】前景領域、背景領域、および混合領域の画素を抽出した例を示す図である。
【図13】画素と画素値を時間方向に展開したモデルとの対応を示す図である。
【図14】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図15】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図16】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図17】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図18】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図19】分割された画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【図20】分離された画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【図21】分割された画像の例を示す図である。
【図22】分離された画像の例を示す図である。
【図23】動きボケが除去された画像と、画素の画素値を時間方向に展開したモデル図との対応を示す図である。
【図24】本発明に係る画像処理装置の処理を説明する図である。
【図25】本発明に係る画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【図26】領域特定部103の構成の一例を示すブロック図である。
【図27】前景に対応するオブジェクトが移動しているときの画像を説明する図である。
【図28】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図29】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図30】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図31】領域判定の条件を説明する図である。
【図32】領域特定部103の領域の特定の結果の例を示す図である。
【図33】領域特定部103の領域の特定の結果の例を示す図である。
【図34】領域特定の処理を説明するフローチャートである。
【図35】領域特定部103の構成の他の一例を示すブロック図である。
【図36】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図37】背景画像の例を示す図である。
【図38】2値オブジェクト画像抽出部302の構成を示すブロック図である。
【図39】相関値の算出を説明する図である。
【図40】相関値の算出を説明する図である。
【図41】2値オブジェクト画像の例を示す図である。
【図42】時間変化検出部303の構成を示すブロック図である。
【図43】領域判定部342の判定を説明する図である。
【図44】時間変化検出部303の判定の例を示す図である。
【図45】領域判定部103の領域特定の処理を説明するフローチャートである。
【図46】領域判定の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図47】領域特定部103のさらに他の構成を示すブロック図である。
【図48】ロバスト化部361の構成を説明するブロック図である。
【図49】動き補償部381の動き補償を説明する図である。
【図50】動き補償部381の動き補償を説明する図である。
【図51】領域特定の処理を説明するフローチャートである。
【図52】ロバスト化の処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図53】混合比算出部104の構成の一例を示すブロック図である。
【図54】理想的な混合比αの例を示す図である。
【図55】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図56】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図57】前景の成分の相関を利用した近似を説明する図である。
【図58】C,N、およびPの関係を説明する図である。
【図59】推定混合比処理部401の構成を示すブロック図である。
【図60】推定混合比の例を示す図である。
【図61】混合比算出部104の他の構成を示すブロック図である。
【図62】混合比の算出の処理を説明するフローチャートである。
【図63】推定混合比の演算の処理を説明するフローチャートである。
【図64】混合比αを近似する直線を説明する図である。
【図65】混合比αを近似する平面を説明する図である。
【図66】混合比αを算出するときの複数のフレームの画素の対応を説明する図である。
【図67】混合比推定処理部401の他の構成を示すブロック図である。
【図68】推定混合比の例を示す図である。
【図69】混合比の算出の処理を説明するフローチャートである。
【図70】カバードバックグラウンド領域に対応するモデルによる混合比推定の処理を説明するフローチャートである。
【図71】前景背景分離部105の構成の一例を示すブロック図である。
【図72】入力画像、前景成分画像、および背景成分画像を示す図である。
【図73】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図74】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図75】画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図76】分離部601の構成の一例を示すブロック図である。
【図77】分離された前景成分画像、および背景成分画像の例を示す図である。
【図78】前景と背景との分離の処理を説明するフローチャートである。
【図79】動きボケ除去部106の構成の一例を示すブロック図である。
【図80】処理単位を説明する図である。
【図81】前景成分画像の画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図82】前景成分画像の画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図83】前景成分画像の画素値を時間方向に展開し、シャッタ時間に対応する期間を分割したモデル図である。
【図84】動きボケ除去部106による前景成分画像に含まれる動きボケの除去の処理を説明するフローチャートである。
【図85】背景成分画像のモデルを示す図である。
【図86】補正された背景成分画像のモデルを示す図である。
【図87】画像毎に、異なる効果のエッジ強調処理を適用する動きボケ除去画像処理部108の構成を示すブロック図である。
【図88】エッジ強調部1203の構成を示すブロック図である。
【図89】エッジ強調の処理を説明する図である。
【図90】フィルタ係数を示す図である。
【図91】ハイパスフィルタ1221の動作を説明する図である。
【図92】フィルタ係数を示す図である。
【図93】ハイパスフィルタ1221の動作を説明する図である。
【図94】エッジ強調部1203の他の構成を示すブロック図である。
【図95】フィルタ係数を示す図である。
【図96】フィルタ1241の動作を説明する図である。
【図97】フィルタ係数を示す図である。
【図98】フィルタ1241の動作を説明する図である。
【図99】動きボケ付加部1205に入力される画像に対応するモデルを示す図である。
【図100】動きボケ付加部1205から出力される画像に対応するモデルを示す図である。
【図101】動きボケ除去画像処理部108の処理を説明する図である。
【図102】動きボケ除去画像処理部108のエッジ強調の処理を説明するフローチャートである。
【図103】画像処理装置の機能の他の構成を示すブロック図である。
【図104】混合比算出部1501の構成の一例を示すブロック図である。
【図105】前景背景分離部1502の構成の一例を示すブロック図である。
【図106】画像処理装置の機能の他の構成を示すブロック図である。
【図107】前景背景分離部2001の構成の一例を示すブロック図である。
【図108】分離部2101の構成の一例を示すブロック図である。
【図109】分離画像処理部2002の構成を示すブロック図である。
【図110】分離画像処理部2002の処理を説明する図である。
【図111】図106に構成を示す画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【図112】分離画像処理部2002による、分離された画像の処理を説明するフローチャートである。
【図113】画像処理装置の機能のさらに他の構成を示すブロック図である。
【図114】前景背景分離部2501の構成の一例を示すブロック図である。
【図115】画像処理装置の機能のさらに他の構成を示すブロック図である。
【図116】領域処理部3001の構成を示すブロック図である。
【図117】領域処理部3001の処理を説明する図である。
【図118】図115に構成を示す画像処理装置の画像の処理を説明するフローチャートである。
【図119】領域処理部3001のエッジ強調の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
71 CPU, 72 ROM, 73 RAM, 76 入力部, 77 出力部,78 記憶部, 79 通信部, 91 磁気ディスク, 92 光ディスク, 93 光磁気ディスク, 94 半導体メモリ, 101 オブジェクト抽出部, 102 動き検出部, 103 領域特定部, 104 混合比算出部, 105 前景背景分離部, 106 動きボケ除去部, 107 補正部,108 動きボケ除去画像処理部, 201 フレームメモリ, 202−1乃至202−4 静動判定部, 203−1乃至203−3 領域判定部, 204 判定フラグ格納フレームメモリ, 205 合成部, 206 判定フラグ格納フレームメモリ, 301 背景画像生成部, 302 2値オブジェクト画像抽出部, 303 時間変化検出部, 321 相関値演算部, 322しきい値処理部, 341 フレームメモリ, 342 領域判定部, 361 ロバスト化部, 381 動き補償部, 382 スイッチ, 383−1乃至383−N フレームメモリ、 384−1乃至384−N 重み付け部,385 積算部, 401 推定混合比処理部, 402 推定混合比処理部, 403 混合比決定部, 421 フレームメモリ, 422 フレームメモリ, 423 混合比演算部, 441 選択部, 442 推定混合比処理部, 443 推定混合比処理部, 444 選択部, 501 遅延回路, 502 足し込み部, 503 演算部, 601 分離部, 602 スイッチ, 603 合成部, 604 スイッチ, 605 合成部, 621 フレームメモリ, 622 分離処理ブロック, 623 フレームメモリ, 631 アンカバード領域処理部, 632 カバード領域処理部, 633 合成部, 634 合成部, 801 処理単位決定部, 802 モデル化部,803 方程式生成部, 804 足し込み部, 805 演算部, 1201 背景成分画像フレームメモリ, 1202 前景成分画像フレームメモリ,1203−1および1203−2 エッジ強調部, 1204 補正部, 1205 動きボケ付加部, 1206 合成部, 1221 ハイパスフィルタ, 1222 ゲイン調整部, 1223 加算部, 1241 フィルタ, 1501 混合比算出部, 1502 前景背景分離部, 1521 選択部,2001 前景背景分離部, 2002 分離画像処理部, 2101 分離部, 2201 背景領域フレームメモリ, 2202 アンカバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ, 2203 アンカバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ, 2204 カバードバックグラウンド領域背景成分画像フレームメモリ, 2205 カバードバックグラウンド領域前景成分画像フレームメモリ, 2206 前景領域フレームメモリ, 2207−1乃至2207−6 エッジ強調部, 2208 合成部, 2501前景背景分離部, 2521 選択部, 3001 領域処理部, 3022領域分割部, 3023 背景領域フレームメモリ, 3024 アンカバードバックグラウンド領域フレームメモリ, 3025 カバードバックグラウンド領域フレームメモリ, 3026 前景領域フレームメモリ, 3027−1乃至3027−4 エッジ強調部, 3028 合成部
Claims (5)
- 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理する画像処理装置において、
前記入力画像データの注目フレームの前記画像データにおける注目する画素を注目画素として、前記注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、前記注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、前記注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、前記混合領域を特定すると共に、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、前記注目画素が、前記背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前記前景領域および前記背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定手段と、
前記領域特定情報に対応して、前記背景領域の画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前記前景領域の画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、前記入力画像データのエッジを強調するエッジ強調手段と
を含むことを特徴とする画像処理装置。 - 前記領域特定情報および前記前景オブジェクト成分と前記背景オブジェクト成分との混合の割合を示す混合比を基に、前記入力画像データの前記アンカバードバックグラウンド領域から、前景の成分と背景の成分を分離して、分離された前記前景の成分より構成される前記アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像および分離された前記背景の成分より構成される前記アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像を出力すると共に、前記入力画像データの前記カバードバックグラウンド領域から、前景の成分と背景の成分を分離して、分離された前記前景の成分より構成される前記カバードバックグラウンド領域の前景成分画像および分離された前記背景の成分より構成される前記カバードバックグラウンド領域の背景成分画像を出力する分離手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理する画像処理方法において、
前記入力画像データの注目フレームの前記画像データにおける注目する画素を注目画素として、前記注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、前記注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、前記注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、前記混合領域を特定すると共に、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、前記注目画素が、前記背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前記前景領域および前記背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップと、
前記領域特定情報に対応して、前記背景領域の画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前記前景領域の画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、前記入力画像データのエッジを強調するエッジ強調ステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理する画像処理用のコンピュータに、
前記入力画像データの注目フレームの前記画像データにおける注目する画素を注目画素として、前記注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、前記注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、前記注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、前記混合領域を特定すると共に、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、前記注目画素が、前記背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前記前景領域および前記背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップと、
前記領域特定情報に対応して、前記背景領域の画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前記前景領域の画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、前記入力画像データのエッジを強調するエッジ強調ステップと
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 時間積分効果を有する所定数の画素を有する撮像素子によって取得された所定数の画素データからなる入力画像データを処理するコンピュータに、
前記入力画像データの注目フレームの前記画像データにおける注目する画素を注目画素として、前記注目フレームよりも時間的に1つ後のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ後のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きい場合、前記注目画素が、前景オブジェクトを構成する前景オブジェクト成分および背景オブジェクトを構成する背景オブジェクト成分が混合されてなる混合領域のうちの前景から背景に変化する領域であるアンカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとし、前記注目フレームよりも時間的に1つ前のフレームおよび前記注目フレームよりも時間的に2つ前のフレームにおける、前記注目画素と同じ位置の画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記混合領域のうちの背景から前景に変化する領域であるカバードバックグラウンド領域を構成する画素であるとすることで、前記混合領域を特定すると共に、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値よりも大きく、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値より大きい場合、前記注目画素が、前記前景オブジェクト成分からなる前景領域を構成する画素であるとし、前記1つ後のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下であり、かつ、前記1つ前のフレームの前記注目画素と同じ位置の画素と前記注目画素の差分絶対値が閾値以下である場合、前記注目画素が、前記背景オブジェクト成分からなる背景領域を構成する画素であるとすることで、前記前景領域および前記背景領域の一方により構成される非混合領域を特定し、特定結果に対応する領域特定情報を出力する領域特定ステップと、
前記領域特定情報に対応して、前記背景領域の画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記アンカバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強調の度合いの少ないエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の背景成分画像に対しては前記前景領域に比較してエッジをより強調するエッジ強調処理、前記カバードバックグラウンド領域の前景成分画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理、前記前景領域の画像に対しては前記背景領域に比較してエッジ強度の度合いの少ないエッジ強調処理をそれぞれ実行することにより、前記入力画像データのエッジを強調するエッジ強調ステップと
を実行させるプログラム。
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JP2002373330A (ja) | 2002-12-26 |
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